即そく墨すみ之の戰たたかえ

即そく墨すみ之の戰たたかえ
日にち期き	前ぜん284年ねん－前まえ279年ねん
地点ちてん	即そく墨すみ（今いま山東さんとう省しょう平ひらた度たび市し東南とうなん）
结果	齊ひとし國こく獲得かくとく決定けってい性せい勝利しょうり而復國こく
参まいり战方
燕つばめ國こく	齊ひとし國こく
指ゆび挥官与あずか领导者しゃ
樂らく毅あつし（前期ぜんき）; 騎き劫こう †（後期こうき）	田た單たん
兵力へいりょく
不ふ詳しょう	五ご千せん餘あまり眾(不ふ含百姓ひゃくしょう）
伤亡与あずか损失
不ふ詳しょう	不ふ詳しょう

即そく墨すみ之の戰たたかえ發生はっせい於前284年ねん至いたり前まえ279年ねん，戰國せんごく時代じだい燕つばめ國こく名將めいしょう樂らく毅あつし統率とうそつ燕つばめ軍ぐん攻おさむ打だ齊ひとし國こく即そく墨すみ城しろ的てき一場いちじょう攻防こうぼう戰爭せんそう。即そく墨すみ軍民ぐんみん在ざい守將しゅしょう戰死せんし之の後こう共きょう推齊宗室そうしつ田た單たん為ため將しょう堅守けんしゅ抵抗ていこう燕つばめ軍ぐん，此攻防戰ぼうせん被ひ稱しょう為ため即そく墨すみ之の戰たたかえ。

背景はいけい[编辑]

前ぜん284年ねん，燕つばめ國こく名將めいしょう樂らく毅あつし率りつ燕つばめ、秦はた、趙ちょう、韓かん、魏たかし、楚すわえ六國聯軍攻打齊ひとし國こく，在ざい濟すみ西之にしの戰せん中ちゅう大敗たいはい齊ひとし軍ぐん，接せっ連れん攻おさむ下か臨淄，然しか後こう分ぶん兵へい五ご路ろ，欲よく徹底てってい消滅しょうめつ齊ひとし軍ぐん並なみ佔領齊ひとし國こく全ぜん境さかい^[1]，燕つばめ軍ぐん僅以六個月就攻取了齊國七十餘城，只ただ剩あま下した莒和わ即そく墨すみ兩城りょうじょう未み被ひ攻おさむ克かつ^[2]^[3]。

戰爭せんそう過程かてい[编辑]

當時とうじ楚すわえ國こく以援助えんじょ齊ひとし國こく為ため名めい出兵しゅっぺい，但ただし其後楚すわえ國こく大將たいしょう淖齒弒殺齊ひとし湣王；前まえ283年ねん，齊ひとし國こく大臣だいじん王おう孫まご賈等とう殺ころせ死し淖齒為ため齊ひとし湣王報ほう仇かたき，立だて齊ひとし湣王之子ゆきこ田た法ほう章あきら為ため王おう，是ぜ為ため齊ひとし襄じょう王おう，死守ししゅ莒城以抗燕つばめ軍ぐん，並なみ號ごう召民眾起來らい抵抗ていこう^[4]。另一方面ほうめん，在ざい即そく墨すみ大夫たいふ出で戰陣せんじん亡ほろび後ご，田た單たん率りつ族ぞく人じん以鐵皮がわ護まもる車軸しゃじく逃至即そく墨すみ，後ご被ひ推舉為ため城じょう守もり，即そく墨すみ全ぜん城しろ軍民ぐんみん由よし田た單たん率りつ領りょう抵抗ていこう，雙方そうほう交戰こうせん數すう年ねん，樂らく毅あつし強攻きょうこう不ふ克かつ，只ただ好こう包圍ほうい城市じょうし^[5]^[6]。

燕つばめ軍ぐん圍かこえ攻おさむ莒和即そく墨すみ一いち年ねん未み下した，樂らく毅あつし遂とげ改あらため用よう攻おさむ心しん戰せん，命いのち燕つばめ軍ぐん撤至距兩城じょう九きゅう里さと的てき地方ちほう設營せつえい築ちく壘るい。並なみ下か令れい凡城中有ちゅうう出來でき的てき居きょ民みん不ふ加か拘かかわ捕ど，有ゆう困難こんなん的てき居きょ民みん予よ以賑濟ずみ，以爭取と民心みんしん。如此相しょう持じ三さん年ねん之の久ひさ，兩城りょうじょう仍未被ひ攻おさむ下か^[7]。

前ぜん279年ねん，燕つばめ昭あきら王おう逝世，燕つばめ惠めぐみ王おう繼つぎ位い，田た單たん利用りよう反はん間あいだ計けい放出ほうしゅつ謠言ようげん，導しるべ致燕惠めぐみ王おう廢除はいじょ樂らく毅あつし的てき職務しょくむ，改あらため派は騎き劫こう代替だいたい樂らく毅あつし為ため將領しょうりょう，由ゆかり此樂毅あつし被ひ迫せり出奔しゅっぽん趙ちょう國こく^[8]。騎き劫こう到いた任にん後便こうびん一反樂毅的做法，下した令れい對たい即そく墨すみ實施じっし強攻きょうこう。但ただし在ざい齊ひとし國こく軍民ぐんみん的てき頑強がんきょう抵抗ていこう下か，其攻勢こうせい仍未能のう奏效そうこう。

田た單たん佯裝神來かみく助すけ齊ひとし，以振奮城中ちゅう軍民ぐんみん人心じんしん，果然かぜん激發げきはつ人心じんしん。田た單たん又また用よう激げき將しょう法ほう，宣せん稱たたえ齊ひとし人じん怕被劓刑，結果けっか騎き劫こう把わ齊ひとし人じん俘虜ふりょ、降くだ者しゃ處しょ以劓刑けい，不知ふち已やめ經けい激怒げきど了りょう齊ひとし人じん之の心しん。田た單たん還かえ宣せん稱たたえ齊ひとし人じん怕先人的じんてき墳墓ふんぼ被ひ掘出ほりだし來らい，並なみ火燒ひたき屍體したい，若わか然しか這樣做，齊ひとし人じん必定ひつじょう投降とうこう，結果けっか騎き劫こう再度さいど中ちゅう計けい，在ざい城しろ外がい掘ほ墳ふん焚屍，結果けっか再さい激發げきはつ人心じんしん，齊ひとし兵へい的てき怒氣どき更盛こうせい^[9]。其後，田た單たん佯裝城中じょうちゅう軍ぐん力りょく虛弱きょじゃく，他た先さき命いのち精せい壯たけし甲かぶと士し全部ぜんぶ隱かくれ伏ふく起おこり來らい，以老弱じゃく、婦女ふじょ登城とじょう守もり望もち，使つかい燕つばめ軍ぐん誤あやま以為齊ひとし軍ぐん少壯しょうそう已やめ傷きず亡ほろび殆盡，失しつ去さ繼續けいぞく作戰さくせん的てき能力のうりょく、快かい要よう投降とうこう的てき樣子ようす，然しか後こう派は人じん向こう燕つばめ軍ぐん詐いつわり降くだ，並なみ送金そうきん、降くだ表出ひょうしゅつ城じょう，要求ようきゅう破やぶ城しろ不要ふよう擄掠，燕つばめ軍ぐん信しん以為真しん，一心坐待受降，更さら加か麻痺まひ鬆す懈たゆ了りょう^[10]。

田た單たん趁機收集しゅうしゅう牛うし隻せき，聚得千せん餘よ隻せき，畫かく上じょう五ご花はな彩いろどり紋もん、披上土ど黃色おうしょく綢緞、牛うし角かく紮了刀がたな和牛わぎゅう尾お綁了用よう油あぶら浸ひた過か的てき葦あし草そう。田た單たん鑿開城かいじょう牆十じゅう餘よ口くち，於夜間あいだ布置ふち好こう，準備じゅんび了りょう五ご千せん士し兵へい，準備じゅんび好こう了りょう就放牛出うしいで城並じょうなみ且點火てんか在ざい牠們的てき尾お，牛うし隻せき疼痛とうつう不ふ已やめ，猛もう力ちから向こう前ぜん衝，突襲燕つばめ營，齊ひとし壯士そうし五ご千せん隨ずい後ご衝殺。燕つばめ軍ぐん將士しょうし見み此，以為神かみ兵へい天てん降くだ，田た單たん又また聚集婦ふ孺齊敲銅器き戰せん鼓こ，聲音こわね震天動地しんてんどうち，嚇得燕つばめ軍ぐん將士しょうし潰つぶせ不ふ成なり軍ぐん，騎き劫こう亦また死し於亂軍ぐん之の中なか，田た單たん率りつ兵へい乘じょう勝かち追擊ついげき，收おさむ復ふく了りょう齊ひとし國こく七なな十じゅう餘座よざ城じょう，打だ敗はい了りょう燕つばめ軍ぐん，燕つばめ軍ぐん一直潰逃到河上^[11]。

田た單たん收おさむ兵へい後ご迎接げいせつ在ざい莒被擁立ようりつ的てき齊ひとし襄じょう王おう入いり都と臨淄為ため齊ひとし王おう，因いん功こう被ひ封ふう任にん為ため相國しょうこく，名めい為安ためやす平たいら君くん，又また加か封ふう夜よる邑（今こん山東さんとう掖わき縣けん）萬まん戶こ，死後しご葬そう於安平城ひらじろ內^[12]^[13]。

影響えいきょう[编辑]

即そく墨すみ之の戰たたかえ成なり為ため中國ちゅうごく戰爭せんそう史上しじょう以弱勝しょう強的ごうてき典型てんけい戰せん例れい。齊ひとし國こく雖然憑藉此仗乘じょう勢ぜい復ふく國こく，但ただし是ぜ其實力りょく已やめ江河こうが日び下か。而燕國こく亦また因いん此仗由よし盛もり轉うたて衰おとろえ。

參考さんこう文獻ぶんけん[编辑]

^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう樂らく毅あつし列傳れつでん》：於是使し樂らく毅あつし約やく趙ちょう惠めぐみ文ぶん王おう，別使べっし連れん楚すわえ、魏ぎ，令れい趙ちょう嚪說秦しん以伐齊ひとし之これ利り。諸侯しょこう害がい齊ひとし湣王之の驕おご暴，皆みな爭そう合從がっしょう與あずか燕つばめ伐き齊ひとし。樂らく毅あつし還かえ報むくい，燕つばめ昭あきら王おう悉起兵へい，使つかい樂らく毅あつし為ため上じょう將軍しょうぐん，趙ちょう惠めぐみ文ぶん王おう以相國こく印しるし授樂毅あつし。樂らく毅あつし於是並なみ護まもる趙ちょう、楚すわえ、韓かん、魏ぎ、燕つばめ之の兵へい以伐齊ひとし，破やぶ之これ濟ずみ西にし。諸侯しょこう兵へい罷やめ歸き，而燕軍樂ぐんがく毅あつし獨どく追おい，至いたり於臨菑。齊ひとし湣王之の敗はい濟ずみ西にし，亡ほろび走はし，保ほ於莒。樂らく毅あつし獨どく留とめ徇齊，齊ひとし皆みな城じょう守もり。樂らく毅あつし攻おさむ入にゅう臨菑，盡つき取ど齊ひとし寶たから財物ざいぶつ祭器さいき輸之燕つばめ。燕つばめ昭あきら王おう大だい說せつ，親おや至いたり濟ずみ上じょう勞ろう軍ぐん，行賞こうしょう饗きょう士し，封ふう樂らく毅あつし於昌國こく，號ごう為ため昌あきら國こく君くん。於是燕つばめ昭あきら王おう收おさむ齊ひとし鹵獲ろかく以歸，而使樂らく毅あつし複ふく以兵平たいら齊ひとし城じょう之の不ふ下した者しゃ。
^ 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：遂とげ進軍しんぐん深入ふかいり。齊ひとし人じん果はて大亂たいらん失しつ度ど，湣王出走しゅっそう。樂らく毅あつし入にゅう臨淄，取と寶物ほうもつ、祭器さいき，輸之於燕。燕つばめ王おう親おや至いたり濟ずみ上じょう勞ろう軍ぐん，行賞こうしょう饗きょう士し，封ふう樂らく毅あつし為ため昌あきら國こく君くん，遂とげ使し留とめ徇齊城じょう之の未み下した者しゃ。
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう樂らく毅あつし列傳れつでん》：樂らく毅あつし留とめ徇齊五ご歲さい，下した齊ひとし七なな十じゅう餘あまり城じょう，皆みな為ため郡ぐん縣けん以屬燕つばめ，唯ただ獨どく莒、即そく墨すみ未み服ふく。
^ 《史記しき卷まき四よん十じゅう六ろく田た敬けい仲なか完かん世よ家か》：四よん十じゅう年ねん，燕つばめ、秦はた、楚すわえ、三さん晉すすむ合ごう謀はかりごと，各かく出で銳するど師し以伐，敗はい我わが濟すみ西にし。王おう解かい而卻。燕つばめ將すすむ樂らく毅あつし遂とげ入にゅう臨淄，盡つき取ど齊ひとし之これ寶藏ほうぞう器き。湣王出で亡ほろび，之これ衛まもる。衛まもる君くん辟宮舍しゃ之の，稱しょう臣しん而共具ぐ。湣王不遜ふそん，人にん侵おかせ之これ。湣王去さ，走はし鄒、魯，有ゆう驕おご色いろ，鄒、魯君弗どる內，遂とげ走はし莒。楚すわえ使し淖齒將兵しょうへい救すくい齊ひとし，因いん相しょう齊ひとし湣王。淖齒遂とげ殺ころせ湣王而與燕つばめ共ども分ぶん齊ひとし之これ侵おかせ地ち鹵器。湣王之の遇ぐう殺ころせ，其子法ほう章あきら變名へんめい姓せい為ため莒太史し敫家庸いさお。太たい史し敫女奇き法ほう章あきら狀じょう貌，以為非ひ恆人つねと，憐而常つね竊衣食しょく之の，而與私通しつう焉。淖齒既すんで以去莒，莒中人じん及齊亡ほろび臣しん相しょう聚求もとめ湣王子こ，欲よく立りつ之の。法ほう章あきら懼其誅己也，久之ひさゆき，乃敢自じ言げん「我わが湣王子おうじ也」。於是莒人共立きょうりつ法ほう章あきら，是ぜ為ため襄じょう王おう。以保莒城而佈告つげ齊ひとし國こく中ちゅう：「王おう已やめ立たて在ざい莒矣。」
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：燕つばめ軍ぐん聞齊王おう在ざい莒，并兵攻おさむ之これ。淖齒既すんで殺ころせ湣王於莒，因いん堅守けんしゅ，距燕軍ぐん，數すう年ねん不ふ下した。燕つばめ引兵東ひがし圍かこえ即そく墨すみ，即そく墨すみ大夫たいふ出で與あずか戰せん，敗はい死し。城中じょうちゅう相しょう與あずか推田單たん，曰：「安平あびら之の戰たたかえ，田た單たん宗人むねと以鐵籠こめ得え全ぜん，習兵。」立たて以為將軍しょうぐん，以即墨すみ距燕。
^ 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：初はつ，燕つばめ人じん攻おさむ安平あびら，臨淄市し掾じょう田た單たん在ざい安平あびら，使つかい其宗人じん皆みな以鐵籠かご傅でん車しゃ槥。及城潰つぶせ，人にん爭そう門もん而出，皆みな以轊折おり車しゃ敗はい，為ため燕つばめ所しょ禽；獨どく田た單たん宗人むねと以鐵籠こめ得え免まぬかれ，遂とげ奔即墨すみ。是ぜ時じ齊ひとし地ち皆みな屬ぞく燕つばめ，獨どく莒、即そく墨すみ未み下した，樂らく毅あつし及並右みぎ軍ぐん、前ぜん軍ぐん以圍莒，左ひだり軍ぐん、後こう軍ぐん圍かこえ即そく墨すみ。即そく墨すみ大夫たいふ出で戰せん而死。即そく墨ぼく人じん曰：「安平あびら之の戰たたかえ，田た單たん宗人むねと以鐵籠こめ得え全ぜん，是ぜ多た智さとし習兵。」因いん共立きょうりつ以為將はた以拒燕つばめ。
^ 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：樂らく毅あつし圍かこえ二に邑，期き年ねん不ふ克かつ，及令解かい圍かこえ，各かく去さ城しろ九きゅう里さと而為壘るい，令れい曰：「城中じょうちゅう民みん出で者しゃ勿獲，困こま者しゃ賑にぎわい之の，使つかい即そく舊きゅう業ぎょう，以鎮新しん民みん。」三さん年ねん而猶未み下した。
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：頃ころ之の，燕つばめ昭あきら王おう卒そつ，惠めぐみ王立おうりつ，與樂ようらく毅あつし有ゆう隙すき。田た單たん聞之，乃縱反間はんかん於燕，宣言せんげん曰：「齊ひとし王おう已やめ死し，城しろ之の不拔ふばつ者しゃ二に耳みみ。樂らく毅あつし畏かしこ誅而不ふ敢歸，以伐齊ひとし為ため名めい，實じつ欲よく連れん兵へい南面なんめん而王齊ひとし。齊ひとし人じん未み附ふ，故こ且緩攻おさむ即そく墨すみ以待其事。齊ひとし人ひと所しょ懼，唯ただ恐おそれ他た將之まさゆき來らい，即そく墨すみ殘ざん矣。」燕つばめ王おう以為然しか，使つかい騎き劫こう代だい樂らく毅あつし。樂らく毅あつし因いん歸かえり趙ちょう，燕つばめ人士じんし卒そつ忿。
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：而田單たん乃令城中じょうちゅう人じん食しょく必祭其先祖せんぞ於庭，飛鳥あすか悉翔舞まい城中じょうちゅう下か食しょく。燕つばめ人じん怪かい之の。田た單たん因いん宣言せんげん曰：「神來かみく下か教きょう我が。」乃令城中じょうちゅう人じん曰：「當とう有ゆう神しん人為じんい我が師し。」有ゆう一いち卒そつ曰：「臣しん可か以為師し乎？」因いん反はん走はし。田た單たん乃起，引還，東鄉とうごう坐すわ，師事しじ之の。卒そつ曰：「臣しん欺君，誠まこと無能むのう也。」田た單たん曰：「子こ勿言也！」因いん師し之の。每まい出で約束やくそく，必稱神かみ師し。乃宣言せんげん曰：「吾われ唯ただ懼燕軍ぐん之の劓所得しょとく齊ひとし卒そつ，置おけ之の前まえ行ぎょう，與あずか我わが戰たたかえ，即そく墨すみ敗はい矣。」燕つばめ人じん聞之，如其言ごと。城中じょうちゅう人見ひとみ齊ひとし諸しょ降くだ者しゃ盡つき劓，皆みな怒いか，堅守けんしゅ，唯ただ恐おそれ見み得う。單たん又また縱たて反間はんかん曰：「吾われ懼燕人じん掘ほ吾われ城じょう外塚とのづか墓ぼ，僇先人じん，可か為ため寒心かんしん。」燕つばめ軍ぐん盡つき掘ほ壟墓，燒死しょうし人じん。即そく墨ぼく人じん從したがえ城上じょうかみ望見ぼうけん，皆みな涕泣ていきゅう，俱欲出で戰せん，怒いか自じ十じゅう倍ばい。
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：田た單たん知ち士卒しそつ之の可用かよう，乃身操みさお版ばん插，與あずか士卒しそつ分ぶん功こう，妻妾さいしょう編へん於行伍ご之の間あいだ，盡つき散ち飲食いんしょく饗きょう士し。令れい甲かぶと卒そつ皆みな伏ふく，使つかい老弱ろうじゃく女子じょし乘じょう城じょう，遣や使つかい約やく降くだ於燕，燕つばめ軍ぐん皆みな呼よび萬まん歲さい。田た單たん又また收おさむ民みん金きん，得とく千せん溢，令れい即そく墨すみ富豪ふごう遺のこ燕つばめ將すすむ，曰：「即そく墨すみ即そく降くだ，原はら無む虜とりこ掠かすめ吾われ族ぞく家か妻妾さいしょう，令れい安堵あんど。」燕つばめ將すすむ大喜だいぎ，許もと之の。燕つばめ軍ぐん由よし此益懈たゆ。
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：田た單たん乃收城中じょうちゅう得とく千せん餘あまり牛うし，為ため絳繒衣ころも，畫かく以五彩あや龍文たつふみ，束たば兵刃へいじん於其角かく，而灌脂あぶら束たば葦あし於尾，燒しょう其端。鑿城數すう十じゅう穴あな，夜よる縱たて牛うし，壯士そうし五ご千せん人にん隨ずい其後。牛尾うしのお熱ねつ，怒いか而奔燕つばめ軍ぐん，燕つばめ軍ぐん夜よる大だい驚おどろき。牛尾うしお炬火きょか光明こうみょう炫燿，燕つばめ軍ぐん視し之の皆みな龍文たつふみ，所しょ觸さわ盡つき死傷ししょう。五ご千せん人にん因いん銜枚擊げき之の，而城中ちゅう鼓こ譟從之の，老弱ろうじゃく皆みな擊げき銅器どうき為ため聲ごえ，聲こえ動どう天地てんち。燕つばめ軍ぐん大だい駭，敗走はいそう。齊ひとし人じん遂とげ夷えびす殺ころせ其將騎き劫こう。燕つばめ軍ぐん擾亂じょうらん奔走ほんそう，齊ひとし人じん追つい亡ほろび逐北，所しょ過か城しろ邑皆畔ほとり燕つばめ而歸田た單たん，兵へい日び益えき多た，乘じょう勝かち，燕つばめ日にち敗亡はいぼう，卒そつ至いたり河上かわかみ，而齊七なな十餘城皆複為齊。
^ 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：乃迎襄じょう王おう於莒，入にゅう臨菑而聽政せい。襄じょう王おう封ふう田た單たん，號ごう曰安平たいら君くん。
^ 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：王おう亟殺此九子者以謝安平君，不ふ然しか，國くに其危矣！」乃殺九子而逐其家，益えき封ふう安平あびら君くん以夜邑萬まん戶こ

參まいり見み[编辑]

[1] 《史記しき卷まき八はち十じゅう樂らく毅あつし列傳れつでん》：於是使し樂らく毅あつし約やく趙ちょう惠めぐみ文ぶん王おう，別使べっし連れん楚すわえ、魏ぎ，令れい趙ちょう嚪說秦しん以伐齊ひとし之これ利り。諸侯しょこう害がい齊ひとし湣王之の驕おご暴，皆みな爭そう合從がっしょう與あずか燕つばめ伐き齊ひとし。樂らく毅あつし還かえ報むくい，燕つばめ昭あきら王おう悉起兵へい，使つかい樂らく毅あつし為ため上じょう將軍しょうぐん，趙ちょう惠めぐみ文ぶん王おう以相國こく印しるし授樂毅あつし。樂らく毅あつし於是並なみ護まもる趙ちょう、楚すわえ、韓かん、魏ぎ、燕つばめ之の兵へい以伐齊ひとし，破やぶ之これ濟ずみ西にし。諸侯しょこう兵へい罷やめ歸き，而燕軍樂ぐんがく毅あつし獨どく追おい，至いたり於臨菑。齊ひとし湣王之の敗はい濟ずみ西にし，亡ほろび走はし，保ほ於莒。樂らく毅あつし獨どく留とめ徇齊，齊ひとし皆みな城じょう守もり。樂らく毅あつし攻おさむ入にゅう臨菑，盡つき取ど齊ひとし寶たから財物ざいぶつ祭器さいき輸之燕つばめ。燕つばめ昭あきら王おう大だい說せつ，親おや至いたり濟ずみ上じょう勞ろう軍ぐん，行賞こうしょう饗きょう士し，封ふう樂らく毅あつし於昌國こく，號ごう為ため昌あきら國こく君くん。於是燕つばめ昭あきら王おう收おさむ齊ひとし鹵獲ろかく以歸，而使樂らく毅あつし複ふく以兵平たいら齊ひとし城じょう之の不ふ下した者しゃ。

[2] 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：遂とげ進軍しんぐん深入ふかいり。齊ひとし人じん果はて大亂たいらん失しつ度ど，湣王出走しゅっそう。樂らく毅あつし入にゅう臨淄，取と寶物ほうもつ、祭器さいき，輸之於燕。燕つばめ王おう親おや至いたり濟ずみ上じょう勞ろう軍ぐん，行賞こうしょう饗きょう士し，封ふう樂らく毅あつし為ため昌あきら國こく君くん，遂とげ使し留とめ徇齊城じょう之の未み下した者しゃ。

[3] 《史記しき卷まき八はち十じゅう樂らく毅あつし列傳れつでん》：樂らく毅あつし留とめ徇齊五ご歲さい，下した齊ひとし七なな十じゅう餘あまり城じょう，皆みな為ため郡ぐん縣けん以屬燕つばめ，唯ただ獨どく莒、即そく墨すみ未み服ふく。

[4] 《史記しき卷まき四よん十じゅう六ろく田た敬けい仲なか完かん世よ家か》：四よん十じゅう年ねん，燕つばめ、秦はた、楚すわえ、三さん晉すすむ合ごう謀はかりごと，各かく出で銳するど師し以伐，敗はい我わが濟すみ西にし。王おう解かい而卻。燕つばめ將すすむ樂らく毅あつし遂とげ入にゅう臨淄，盡つき取ど齊ひとし之これ寶藏ほうぞう器き。湣王出で亡ほろび，之これ衛まもる。衛まもる君くん辟宮舍しゃ之の，稱しょう臣しん而共具ぐ。湣王不遜ふそん，人にん侵おかせ之これ。湣王去さ，走はし鄒、魯，有ゆう驕おご色いろ，鄒、魯君弗どる內，遂とげ走はし莒。楚すわえ使し淖齒將兵しょうへい救すくい齊ひとし，因いん相しょう齊ひとし湣王。淖齒遂とげ殺ころせ湣王而與燕つばめ共ども分ぶん齊ひとし之これ侵おかせ地ち鹵器。湣王之の遇ぐう殺ころせ，其子法ほう章あきら變名へんめい姓せい為ため莒太史し敫家庸いさお。太たい史し敫女奇き法ほう章あきら狀じょう貌，以為非ひ恆人つねと，憐而常つね竊衣食しょく之の，而與私通しつう焉。淖齒既すんで以去莒，莒中人じん及齊亡ほろび臣しん相しょう聚求もとめ湣王子こ，欲よく立りつ之の。法ほう章あきら懼其誅己也，久之ひさゆき，乃敢自じ言げん「我わが湣王子おうじ也」。於是莒人共立きょうりつ法ほう章あきら，是ぜ為ため襄じょう王おう。以保莒城而佈告つげ齊ひとし國こく中ちゅう：「王おう已やめ立たて在ざい莒矣。」

[5] 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：燕つばめ軍ぐん聞齊王おう在ざい莒，并兵攻おさむ之これ。淖齒既すんで殺ころせ湣王於莒，因いん堅守けんしゅ，距燕軍ぐん，數すう年ねん不ふ下した。燕つばめ引兵東ひがし圍かこえ即そく墨すみ，即そく墨すみ大夫たいふ出で與あずか戰せん，敗はい死し。城中じょうちゅう相しょう與あずか推田單たん，曰：「安平あびら之の戰たたかえ，田た單たん宗人むねと以鐵籠こめ得え全ぜん，習兵。」立たて以為將軍しょうぐん，以即墨すみ距燕。

[6] 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：初はつ，燕つばめ人じん攻おさむ安平あびら，臨淄市し掾じょう田た單たん在ざい安平あびら，使つかい其宗人じん皆みな以鐵籠かご傅でん車しゃ槥。及城潰つぶせ，人にん爭そう門もん而出，皆みな以轊折おり車しゃ敗はい，為ため燕つばめ所しょ禽；獨どく田た單たん宗人むねと以鐵籠こめ得え免まぬかれ，遂とげ奔即墨すみ。是ぜ時じ齊ひとし地ち皆みな屬ぞく燕つばめ，獨どく莒、即そく墨すみ未み下した，樂らく毅あつし及並右みぎ軍ぐん、前ぜん軍ぐん以圍莒，左ひだり軍ぐん、後こう軍ぐん圍かこえ即そく墨すみ。即そく墨すみ大夫たいふ出で戰せん而死。即そく墨ぼく人じん曰：「安平あびら之の戰たたかえ，田た單たん宗人むねと以鐵籠こめ得え全ぜん，是ぜ多た智さとし習兵。」因いん共立きょうりつ以為將はた以拒燕つばめ。

[7] 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：樂らく毅あつし圍かこえ二に邑，期き年ねん不ふ克かつ，及令解かい圍かこえ，各かく去さ城しろ九きゅう里さと而為壘るい，令れい曰：「城中じょうちゅう民みん出で者しゃ勿獲，困こま者しゃ賑にぎわい之の，使つかい即そく舊きゅう業ぎょう，以鎮新しん民みん。」三さん年ねん而猶未み下した。

[8] 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：頃ころ之の，燕つばめ昭あきら王おう卒そつ，惠めぐみ王立おうりつ，與樂ようらく毅あつし有ゆう隙すき。田た單たん聞之，乃縱反間はんかん於燕，宣言せんげん曰：「齊ひとし王おう已やめ死し，城しろ之の不拔ふばつ者しゃ二に耳みみ。樂らく毅あつし畏かしこ誅而不ふ敢歸，以伐齊ひとし為ため名めい，實じつ欲よく連れん兵へい南面なんめん而王齊ひとし。齊ひとし人じん未み附ふ，故こ且緩攻おさむ即そく墨すみ以待其事。齊ひとし人ひと所しょ懼，唯ただ恐おそれ他た將之まさゆき來らい，即そく墨すみ殘ざん矣。」燕つばめ王おう以為然しか，使つかい騎き劫こう代だい樂らく毅あつし。樂らく毅あつし因いん歸かえり趙ちょう，燕つばめ人士じんし卒そつ忿。

[9] 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：而田單たん乃令城中じょうちゅう人じん食しょく必祭其先祖せんぞ於庭，飛鳥あすか悉翔舞まい城中じょうちゅう下か食しょく。燕つばめ人じん怪かい之の。田た單たん因いん宣言せんげん曰：「神來かみく下か教きょう我が。」乃令城中じょうちゅう人じん曰：「當とう有ゆう神しん人為じんい我が師し。」有ゆう一いち卒そつ曰：「臣しん可か以為師し乎？」因いん反はん走はし。田た單たん乃起，引還，東鄉とうごう坐すわ，師事しじ之の。卒そつ曰：「臣しん欺君，誠まこと無能むのう也。」田た單たん曰：「子こ勿言也！」因いん師し之の。每まい出で約束やくそく，必稱神かみ師し。乃宣言せんげん曰：「吾われ唯ただ懼燕軍ぐん之の劓所得しょとく齊ひとし卒そつ，置おけ之の前まえ行ぎょう，與あずか我わが戰たたかえ，即そく墨すみ敗はい矣。」燕つばめ人じん聞之，如其言ごと。城中じょうちゅう人見ひとみ齊ひとし諸しょ降くだ者しゃ盡つき劓，皆みな怒いか，堅守けんしゅ，唯ただ恐おそれ見み得う。單たん又また縱たて反間はんかん曰：「吾われ懼燕人じん掘ほ吾われ城じょう外塚とのづか墓ぼ，僇先人じん，可か為ため寒心かんしん。」燕つばめ軍ぐん盡つき掘ほ壟墓，燒死しょうし人じん。即そく墨ぼく人じん從したがえ城上じょうかみ望見ぼうけん，皆みな涕泣ていきゅう，俱欲出で戰せん，怒いか自じ十じゅう倍ばい。

[10] 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：田た單たん知ち士卒しそつ之の可用かよう，乃身操みさお版ばん插，與あずか士卒しそつ分ぶん功こう，妻妾さいしょう編へん於行伍ご之の間あいだ，盡つき散ち飲食いんしょく饗きょう士し。令れい甲かぶと卒そつ皆みな伏ふく，使つかい老弱ろうじゃく女子じょし乘じょう城じょう，遣や使つかい約やく降くだ於燕，燕つばめ軍ぐん皆みな呼よび萬まん歲さい。田た單たん又また收おさむ民みん金きん，得とく千せん溢，令れい即そく墨すみ富豪ふごう遺のこ燕つばめ將すすむ，曰：「即そく墨すみ即そく降くだ，原はら無む虜とりこ掠かすめ吾われ族ぞく家か妻妾さいしょう，令れい安堵あんど。」燕つばめ將すすむ大喜だいぎ，許もと之の。燕つばめ軍ぐん由よし此益懈たゆ。

[11] 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：田た單たん乃收城中じょうちゅう得とく千せん餘あまり牛うし，為ため絳繒衣ころも，畫かく以五彩あや龍文たつふみ，束たば兵刃へいじん於其角かく，而灌脂あぶら束たば葦あし於尾，燒しょう其端。鑿城數すう十じゅう穴あな，夜よる縱たて牛うし，壯士そうし五ご千せん人にん隨ずい其後。牛尾うしのお熱ねつ，怒いか而奔燕つばめ軍ぐん，燕つばめ軍ぐん夜よる大だい驚おどろき。牛尾うしお炬火きょか光明こうみょう炫燿，燕つばめ軍ぐん視し之の皆みな龍文たつふみ，所しょ觸さわ盡つき死傷ししょう。五ご千せん人にん因いん銜枚擊げき之の，而城中ちゅう鼓こ譟從之の，老弱ろうじゃく皆みな擊げき銅器どうき為ため聲ごえ，聲こえ動どう天地てんち。燕つばめ軍ぐん大だい駭，敗走はいそう。齊ひとし人じん遂とげ夷えびす殺ころせ其將騎き劫こう。燕つばめ軍ぐん擾亂じょうらん奔走ほんそう，齊ひとし人じん追つい亡ほろび逐北，所しょ過か城しろ邑皆畔ほとり燕つばめ而歸田た單たん，兵へい日び益えき多た，乘じょう勝かち，燕つばめ日にち敗亡はいぼう，卒そつ至いたり河上かわかみ，而齊七なな十餘城皆複為齊。

[12] 《史記しき卷まき八はち十じゅう二に田た單たん列傳れつでん》：乃迎襄じょう王おう於莒，入にゅう臨菑而聽政せい。襄じょう王おう封ふう田た單たん，號ごう曰安平たいら君くん。

[13] 《資し治ち通どおり鑑かん卷まき四よん周しゅう紀き四よん》：王おう亟殺此九子者以謝安平君，不ふ然しか，國くに其危矣！」乃殺九子而逐其家，益えき封ふう安平あびら君くん以夜邑萬まん戶こ

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