Tu-95 (航空機こうくうき)

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ソビエト連邦の旗ツポレフ Tu-95

エンゲリス空軍基地から離陸するTu-95MS

エンゲリス空軍くうぐん基地きちから離陸りりくするTu-95MS

Tu-95(ツポレフ95:ロシア:Ту-95)は、ソビエト連邦れんぽうソ連それん)が開発かいはつした戦略せんりゃく爆撃ばくげきである。開発かいはつツポレフ設計せっけいきょくで、ソ連それん空軍くうぐんけのTu-95のほか、ソ連それん海軍かいぐんけの長距離ちょうきょり洋上ようじょう哨戒しょうかいたいせん哨戒しょうかいかた開発かいはつされ、それらはTu-142(ツポレフ142;ロシア:Ту-142)の形式けいしき名称めいしょうあたえられている。

アメリカ国防総省こくぼうそうしょうてたコードネームはType 40NATOコードネームは-95、-142どもベア(Bear:くま)。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ほぼ真上まうえから撮影さつえいされたTu-95
後退こうたいかくいたなが主翼しゅよくじゅう反転はんてんプロペラ、エンジンナセル配置はいちがよくわか

Tu-95は1950年代ねんだい開発かいはつされた長距離ちょうきょり戦略せんりゃく爆撃ばくげきで、米国べいこくせいB-29デッドコピーであるTu-4発展はってんがたともべる機体きたいである。試作しさくのTU-95/1は1952ねん11月12にちはつ飛行ひこうしており、首都しゅとモスクワにおける1955ねんのツシノ航空こうくうショーでは7飛行ひこうしている。

1956ねんからはソ連それん空軍くうぐんでTu-95Mの実用じつよう配備はいびはじまり、1959ねんにはTu-95K-20の生産せいさん開始かいしされ、1961ねんにはTu-95K-20に空中くうちゅう給油きゅうゆプローブ取付とりつけたTu-95KDが登場とうじょうしている。

1970年代ねんだいにはTu-95に巡航じゅんこうミサイル搭載とうさい能力のうりょく付与ふよ計画けいかくはじまり、1972ねんにはKSR-5(AS-6 キングフィッシュ)巡航じゅんこうミサイルが搭載とうさい可能かのうなTu-95M-5が飛行ひこう試験しけん開始かいししており、1976ねんにはKh-55(AS-15A ケント)巡航じゅんこうミサイルが搭載とうさい可能かのうなTu-95M-55がはつ飛行ひこうした。この型式けいしきをTu-95MSとした量産りょうさん決定けっていしたが、すでにTu-95の生産せいさんラインは閉鎖へいさされており、1983ねんにその生産せいさんラインを再開さいかいさせてTu-95MSの量産りょうさん開始かいしされている。また、再開さいかいされた生産せいさんラインにわせて、たいせん哨戒しょうかいがたのTu-142の量産りょうさん開始かいしされている。初期しょき機体きたいぜん退役たいえきしており、現在げんざいでは最新さいしんがたのTu-95MSとたいせん哨戒しょうかいようのTu-142が運用うんようされているのみである。

プロペラだが、レシプロエンジンではなくガスタービンエンジンでプロペラを駆動くどうする、いわゆるターボプロップである。主翼しゅよくつばさつるちょうの25%の位置いちにおいて、方向ほうこううちつばさで37つばさはし方向ほうこうそとつばさで35の、ターボプロップとしてはめずらしい後退こうたいつばさっており、プロペラ世界せかい最速さいそく最高さいこうそく950km/h)をほこる。4まい・タンデムのじゅう反転はんてんプロペラを、比較的ひかくてきおそ回転かいてんすうやく1500rpm程度ていど)で回転かいてんさせている。先端せんたん速度そくどひくくすることで、効率こうりつ低下ていか低減ていげん高速こうそくでの飛行ひこう実現じつげんしており、このプロペラが独特どくとく低音ていおんはっする。また、ターボプロップ研究けんきゅうはそのつづいているものの、これをえる、ないしどう程度ていど成功せいこうしたれい以後いごにない、航空こうくう史上しじょう稀有けう成功せいこうれいとなっている。

空中くうちゅう給油きゅうゆなしで15,000km(8,000nm)の航続こうぞく距離きょりつ。

Tu-95がターボプロップ方式ほうしき採用さいようした理由りゆうとして、1950年代ねんだいのジェットエンジンの燃費ねんぴわるさがある。すでにジェット爆撃ばくげきTu-16実用じつようされており、戦略せんりゃく爆撃ばくげきとしてM-4開発かいはつちゅうであったが、当時とうじのジェットエンジンの燃費ねんぴではきたアメリカ大陸あめりかたいりく爆撃ばくげきできる航続こうぞく距離きょりることはむずかしいと判断はんだんされていたため、Tu-95では燃費ねんぴいターボプロップを採用さいようすることとなった。

ほん成功せいこうは、ソ連それんがプロペラを比較的ひかくてき低速ていそく回転かいてんさせながら高速こうそく飛行ひこうする手法しゅほう確立かくりつできたことによる。のターボプロップ最適さいてき飛行ひこう速度そくどは724 km/h 以下いかで、この速度そくど以下いか巡航じゅんこうなら効率こうりつたかいものの、それ以上いじょう高速こうそくではむしろターボファンエンジンのほうが効率こうりつい。その理由りゆうからどうクラスのさい高速度こうそくどゆうする航空機こうくうきのエンジンにはターボファンが普及ふきゅうし、ターボプロップの採用さいよう一部いちぶとどまった。また、先進せんしんターボプロップ(ATP:Advanced TurboProp)としょうして高速こうそくなどについて各国かっこくでそれなりの研究けんきゅう開発かいはつおこなわれているものの、いまだTu-95をしのぐものは実用じつようされていない。これらの要因よういんにより、Tu-95は世界せかい最速さいそくのプロペラでありつづけている。

アメリカでも高速こうそくターボプロップ研究けんきゅうすすめられ、どう時代じだいばくげきでありライバルでもあるB-52においても当初とうしょ高速こうそくターボプロップ採用さいよう予定よていされていたが、結局けっきょく実用じつようされずにターボジェットエンジンが搭載とうさいされ、のち効率こうりつたかいターボファンエンジンにかわそうされている。

機体きたい胴体どうたいない兵器へいきくらには回転かいてんしきランチャーを装備そうびしており、Tu-95MS-6では、Kh-55長距離ちょうきょり巡航じゅんこうミサイル6はつ搭載とうさいできるほか、りょう主翼しゅよくにもKh-55をかく1はつ搭載とうさい可能かのうである、その発展はってんがたであるTu-95MS-16では、りょう主翼しゅよくに10はつのKh-55を搭載とうさいしてけい16はつ巡航じゅんこうミサイルの搭載とうさい可能かのうとなったが、戦略せんりゃく兵器へいき制限せいげん交渉こうしょう(SALT)と戦略せんりゃく兵器へいき削減さくげん交渉こうしょう(START)の協定きょうていにより、現在げんざいではそれが不可能ふかのうとなっている。また、洋上ようじょう作戦さくせんようにKh-65Eそらたいかんミサイル搭載とうさいできるようになっており、通常つうじょうばくだん兵器へいきくらに12,000kgを搭載とうさいできる。

Tu-95の銃座じゅうざ
機関きかんほう上部じょうぶにあるのが射撃しゃげき管制かんせいようのレーダー、レドーム下部かぶ取付とりつけられているちいさなアンテナはRSBN短距離たんきょり航法こうほうシステムようのアンテナ

胴体どうたいにはじゅうとうがあり、NR-23 23mm機関きかんほう1もんとそのうえ射撃しゃげき管制かんせいようの「ボックス・テイル」レーダーが方向ほうこうかじえん部分ぶぶん取付とりつけられている[注釈ちゅうしゃく 1]初期しょき機体きたいには胴体どうたい背部はいぶ旋回せんかいしき機関きかんほうじゅうとう装備そうびされていたが、現在げんざい機体きたいでは廃止はいしされている。

搭載とうさい電子でんし機器ききは、機首きしゅ先端せんたんに「トアド・ストール」気象きしょうレーダーとその下部かぶ大形おおがたレドームなかにオズボール航法こうほう/ばくげきレーダーが装備そうびされており、それらの機器きき冷却れいきゃくするための冷却れいきゃくようのダクトが胴体どうたい左側ひだりがわ後部こうぶまでびている。そのにRSBN短距離たんきょり航法こうほうシステムを装備そうびしており、その弓矢ゆみやがたのアンテナが胴体どうたいの「ボックス・テイル」レーダーのレドームの下部かぶ取付とりつけられている。機首きしゅ先端せんたん気象きしょうレーダーの左右さゆうには電子でんし攻撃こうげき(ECM)器材きざいようフェアリングがあり、機首きしゅ下面かめんには「グラウンド・バウンザー」ECMアンテナが装備そうびされ、後部こうぶ胴体どうたい左右さゆうにはポッドじょうのECM器材きざい装備そうびされている。垂直すいちょく尾翼びよく上端じょうたんえん比較的ひかくてき大形おおがたのフェアリングないには赤外線せきがいせん警戒けいかい受信じゅしん装備そうびされており、機体きたい各所かくしょにレーダー警戒けいかい装置そうちのセンサーようふくらみがある。また、降着こうちゃく装置そうちとびら主翼しゅよくポッドにはチャフフレア・ディスペンサーが装備そうびされている。

B-52およAn-124ならぶTu-95

Tu-95のそう生産せいさんすう派生はせいがたふくめて500以上いじょうであり、生産せいさん断続だんぞくてき1990年代ねんだいまでつづけられた。ソ連それん空軍くうぐんくわえ、ソ連それん崩壊ほうかいロシア空軍くうぐんウクライナ空軍くうぐん、およびカザフスタン空軍くうぐんでも運用うんようされたが、ウクライナ、カザフスタンの保有ほゆうはロシアへ条件じょうけんづけ譲渡じょうとされるか、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの資金しきん援助えんじょで1990年代ねんだい搭載とうさい兵器へいきとともに解体かいたいされた。

運用うんよう[編集へんしゅう]

「ツァーリ・ボンバ」実験じっけん[編集へんしゅう]

1961ねん10月30にちソ連それんノヴァヤゼムリャしま上空じょうくうおこなわれた史上しじょう最大さいだい水素すいそばくだん「AN602(通称つうしょうツァーリ・ボンバ)」によるかく実験じっけんでは、投下とうかようたい衝撃波しょうげきは放射線ほうしゃせん熱線ねっせん防御ぼうぎょ重点じゅうてんいた専用せんよう改修かいしゅうけたTu-95Vが使用しようされた。

西側にしがわ諸国しょこくへの偵察ていさつ示威じい飛行ひこう[編集へんしゅう]

また、領空りょうくう侵犯しんぱん防空ぼうくう識別しきべつけんへの接近せっきん進入しんにゅうとして各国かっこくにて確認かくにんされた大型おおがたソ連それんおおくがTu-95である。きゅうソ連それん時代じだいから米国べいこく西にしヨーロッパ日本にっぽんなどへの偵察ていさつ示威じい活動かつどうは2020年代ねんだいつづいている[1]日本にっぽん接近せっきんして飛行ひこう行動こうどうは、その行動こうどうパターンから「東京とうきょう急行きゅうこう」と呼称こしょうされている。

2019ねん7がつ23にち、2のTu-95MSが中国ちゅうごく人民じんみん解放かいほうぐん空軍くうぐんH-6Kせんしんばくげき2とともにはつ共同きょうどう警戒けいかい監視かんし活動かつどう日本海にほんかい上空じょうくうおこな[2][3][4][5]防空ぼうくう識別しきべつけん侵入しんにゅうしてやく30かい警告けいこく無視むししたちゅうのうちロシア軍機ぐんきA-50竹島たけしま上空じょうくう領空りょうくう侵犯しんぱんしたとして18大韓民国だいかんみんこく空軍くうぐん戦闘せんとうF-15F-16やく360はつ警告けいこく射撃しゃげきしたと韓国かんこく発表はっぴょう[6][7]日本にっぽん航空こうくう自衛隊じえいたいも10F-15JF-2スクランブルおこなって4カ国かこくみだ[8][9]空自くうじ尖閣諸島せんかくしょとう上空じょうくう領空りょうくう侵犯しんぱんする90km手前てまえちゅう針路しんろ変更へんこううながした[10][11]

シリア内戦ないせん[編集へんしゅう]

シリア内戦ないせんでアサド政権せいけんぐん支援しえんするため2015ねん11月、戦略せんりゃく爆撃ばくげきとともにTu-95MSMがISILたいする巡航じゅんこうミサイル攻撃こうげき投入とうにゅうされた[12]

ウクライナ侵攻しんこう[編集へんしゅう]

2022ねんロシアのウクライナ侵攻しんこうでは、ウクライナにたいするそら対地たいちミサイル攻撃こうげき投入とうにゅうされた。Tu-95をふくむロシアの戦略せんりゃく爆撃ばくげき部隊ぶたい使用しようしているロシア本土ほんどのジャギレボ空軍くうぐん基地きちリャザンしゅう)とエンゲリス空軍くうぐん基地きちサラトフしゅう)が同年どうねん12がつ5にち攻撃こうげきけ、ロシア国防省こくぼうしょうはウクライナの長距離ちょうきょりドローンによるとの見解けんかい発表はっぴょうした[13]2023ねん9月にはTu-95の機体きたいじょうタイヤせた姿すがた報道ほうどうされたが、これはドローン攻撃こうげきから機体きたいまもるための一時いちじてき措置そちではないかと議論ぎろんされた[14]

派生はせいがた[編集へんしゅう]

ばくげきがたほか偵察ていさつかたたいせん哨戒しょうかいかたTu-142開発かいはつされ、また主翼しゅよく、エンジンなどをそのままに、胴体どうたいあらため設計せっけいした長距離ちょうきょり旅客機りょかくきかたTu-114や、そのTu-114をベースにした早期そうき警戒けいかいかたTu-126などの派生はせいがた開発かいはつ生産せいさんされた。

試作しさくがた[編集へんしゅう]

95-1
1製造せいぞうされた2TV-2Fターボプロップエンジン装備そうび試作しさく
95-2
かつて1存在そんざいしていたTV-12ターボプロップエンジンを装備そうびした試作しさく。その、Tu-95LLに改造かいぞうされる。

量産りょうさんがた[編集へんしゅう]

Tu-95
24配備はいびされた95-2をもとばくげき装備そうび実装じっそうして1954ねんから1957ねんまで先行せんこう生産せいさんされた戦略せんりゃく爆撃ばくげきがた機首きしゅ空中くうちゅう給油きゅうゆプローブが装備そうびされていない唯一ゆいいつ型式けいしきである。生産せいさんされた1はVがたに、3はKがたに、1はMAがたに、1はTu-116に改造かいぞうされた。NATOコードネームはベアA。
Tu-95M
5配備はいびされた初期しょき生産せいさんがた。エンジンを改良かいりょうがたのMK-12Mとし最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうした。自由じゆう落下らっかがた通常つうじょうかくばくだんおもへいそうとした通常つうじょう爆撃ばくげきがた製造せいぞうされた1はTu-119に、1は95-3に、1はTU-95M-55に、4はTu-95MRに、1はTu-95RTに、1はTu-116に、4はTu-95MUに改造かいぞうされた。1957ねんから1958ねんにかけて製造せいぞうされた。NATOコードネームはベアA。
Tu-95A
40製造せいぞうされたTu-95のかくばくだん運用うんよう能力のうりょく付与ふよした型式けいしき遮光しゃこうカーテンと断熱だんねつざいばくだんそう追加ついかし1956ねん配備はいびはじまった。胴体どうたい下面かめん方向ほうこうかじしろ塗装とそうしており、NATOコードネームはベアA。
Tu-95K
20新造しんぞうされ、に3のTu-95を改造かいぞうして配備はいびされたKh-20西側にしがわ名称めいしょう:AS-3“Kangaroo”)そらたいかんミサイル搭載とうさい能力のうりょく付与ふよした戦略せんりゃく爆撃ばくげきがた胴体どうたい下部かぶはん埋込うめこしきにKh-20を1はつ搭載とうさいできる。機首きしゅ捜索そうさく誘導ゆうどうようおおきなレーダードームが装備そうびされた。1956ねんから1961ねんまで製造せいぞうされた。製造せいぞうされた24はKDがた改造かいぞうされ、Tu-95を原型げんけいとする3のKがたはKUがた指定していされた。さらに1はM-5に、1はSM-20発射はっしゃはは改造かいぞうされた。NATOコードネームはベアB。
Tu-95M-56
32製造せいぞうされたKh-55、Kh-55SM、Kh-555 巡航じゅんこうミサイル 6 搭載とうさい可能かのう戦略せんりゃく爆撃ばくげきがた。NATOコードネームはベアH。
Tu-95K-22
46配備はいびされたすべてのKMがた改造かいぞうKh-22西側にしがわ名称めいしょう:AS-4“Kitchen”)そらたいかんミサイル搭載とうさい能力のうりょく付与ふよしたかた胴体どうたい下部かぶはん埋込うめこしきに1はつ左右さゆうない翼下よくかかく1はつけい3はつ搭載とうさい可能かのう砲塔ほうとう撤去てっきょされECM装置そうちわるとう変更へんこうもあった。NATOコードネームはベアG。
Tu-95RT
52配備はいび(51新造しんぞう、1のTu-95Mを改造かいぞう)された海軍かいぐん長距離ちょうきょり偵察ていさつがた攻撃こうげき目標もくひょうとなる敵艦てきかんたい位置いち索敵さくてきし、たいかんミサイルを搭載とうさいした潜水せんすいかんつたえるとともに潜水せんすいかんから発射はっしゃされたミサイルのなかあいだ誘導ゆうどうになっていた。またTu-22/Tu-22Mから発射はっしゃされたたいかんミサイルのなかあいだ誘導ゆうどうおこなうこともできた。NATOコードネームはベアD
Tu-95MS
6のTu-142MKをもと改造かいぞうされ配備はいびした空中くうちゅう発射はっしゃ巡航じゅんこうミサイル搭載とうさい能力のうりょく付与ふよしたミサイルはは(X-55)。Tu-142の機体きたいフレームを使用しようしているが、コクピット部分ぶぶん天井てんじょうたかくなり、全長ぜんちょうはTu-142よりもわずかにみじかくなっている。ミサイルとしてはKh-55もしくはKh-15を搭載とうさいする。胴体どうたい主翼しゅよくなどはTu-142Mとおな設計せっけい使用しよう胴体どうたいないばくだんそうに6連装れんそう回転かいてんしきランチャーを装備そうびする。機首きしゅに、Tu-95Kよりぶりのレーダードームを装備そうび。NATOコードネームはベアH。
Tu-95MS-6
32製造せいぞうされたTu-95MSのうち、とく胴体どうたいない6連装れんそうランチャーのみを装備そうびしている機体きたいけるさい呼称こしょう。また、りょう主翼しゅよく巡航じゅんこうミサイルを取付とりつけるためのハードポイントがある。
Tu-95MSM
56のMS-16がた近代きんだいした通常つうじょう弾頭だんとうのKh-101巡航じゅんこうミサイル運用うんよう能力のうりょく付与ふよし、GLONASS航法こうほう衛星えいせいもちいた精密せいみつ爆撃ばくげき可能かのうにした機体きたいで、シリア空爆くうばく投入とうにゅうされた[15]
Tu-142
海軍かいぐんたいせん哨戒しょうかいがた胴体どうたい前部ぜんぶをわずかに延長えんちょう主翼しゅよく形状けいじょう変更へんこう燃料ねんりょうタンクのインテグラルタンクフラップ変更へんこうなどがおこなわれた。初期しょきがた滑走かっそうへの接地せっちあつ低下ていかねらって片側かたがわ12りんしゅあしっていたが、後期こうきがたでは普通ふつう片側かたがわ4りんのものにもどされた。ベルクート捜索そうさくレーダーや電子でんし情報じょうほう収集しゅうしゅう機能きのう搭載とうさい。NATOコードネームはベアF
Tu-142M
海軍かいぐんたいせん哨戒しょうかいがたで、Tu-142からさらに胴体どうたい前部ぜんぶを0.3m延長えんちょうするとともに操縦そうじゅうせき天井てんじょうたかさを変更へんこうがあった。また垂直すいちょく尾翼びよく上端じょうたん磁気じき探知たんち(MAD)が装備そうびされた。
Tu-142MK
海軍かいぐんたいせん哨戒しょうかいがた。Tu-142Mを近代きんだいしたものでコルシュ-K索敵さくてきレーダー搭載とうさい
インド海軍かいぐんたいせん哨戒しょうかいかたTu-142MK-E
Tu-142MK-E
インド海軍かいぐん輸出ゆしゅつされたたいせん哨戒しょうかいがた
Tu-142MZ
最新さいしんたいせん哨戒しょうかいがたでTu-142MKから搭載とうさいされている装備そうび近代きんだいはかられ、潜水せんすいかん探知たんち能力のうりょく向上こうじょうした。
Tu-142MR
潜水艦せんすいかん通信つうしんがたTACAMO)。空中くうちゅう胴体どうたい下部かぶからながいアンテナを曳航えいこうし、潜水せんすいかん司令しれいあいだ通信つうしん中継ちゅうけいする。生産せいさんすうすう。NATOコードネームはベアJ
Tu-116
2改造かいぞう(1のTu-95、1のTu-95M)して配備はいびされたぐん高官こうかんけの要人ようじん輸送ゆそうがた
Tu-95U
4改造かいぞう(3のTu-95MP-2と1のTu-95MR)して配備はいびされた練習れんしゅうかた末期まっきには区別くべつのため胴体どうたい後部こうぶあかせんいていた。NATOコードネームはベアT
Tu-95KU
3のTu-95を改造かいぞうして戦略せんりゃく兵器へいき削減さくげん条約じょうやくにより練習れんしゅう種別しゅべつ変更へんこうされたもの。識別しきべつようあかせん胴体どうたいしるす。
Tu-95MU
4老朽ろうきゅうしたTu-95Mを練習れんしゅう改造かいぞうしたもの。一部いちぶ表記ひょうき計器けいきことなる以外いがいはMがたおな能力のうりょくつ。運用うんよう末期まっきには区別くべつのため胴体どうたい後部こうぶあかせんいていた。
Tu-95MS-16
かつて存在そんざいした胴体どうたいない6連装れんそうランチャーのほかに主翼しゅよく4箇所かしょ装備そうびしたパイロンに10はつ巡航じゅんこうミサイルを搭載とうさいし、けい16はつ携行けいこうできるタイプ。戦略せんりゃく兵器へいき削減さくげん条約じょうやくによりパイロンは使用しようされないこととされ、56ぜんがMSM仕様しよう変更へんこうされた。
Tu-95KD
かつて存在そんざいしたTu-95Kを改造かいぞうして配備はいびされた航続こうぞく距離きょり延伸えんしんがた。Kh-20を搭載とうさいすると空気くうき抵抗ていこう増大ぞうだいして燃費ねんぴ性能せいのう悪化あっかしたため、航続こうぞく距離きょり維持いじするために空中くうちゅう給油きゅうゆ必要ひつようせいかんがえられ、機首きしゅ空中くうちゅう給油きゅうゆようドローグを付与ふよされ、その結果けっか良好りょうこうであった。その改造かいぞうした24すべてはKMがたにアップグレードされた。NATOコードネームはベアB。
Tu-95KM
かつて46配備はいび(22新造しんぞう、24のTu-95KDをアップグレード)されていた空中くうちゅう給油きゅうゆドローグを追加ついかする量産りょうさんがた。また以降いこう量産りょうさん空中くうちゅう給油きゅうゆドローグを装備そうびすることが標準ひょうじゅんとなった。新造しんぞうされた1は105.11がた宇宙うちゅう航行こうこうようジェット機じぇっとき母艦ぼかん改造かいぞうされた。その、ミサイルの高性能こうせいのうけ、配備はいびしたすべての46はK-22がた改造かいぞうされた。NATOコードネームはベアC。
Tu-95MR
かつて存在そんざいした4のTu-95Mを改造かいぞうして配備はいびされた戦術せんじゅつ偵察ていさつがた兵器へいきそうにカメラをみ、電子でんし情報じょうほう収集しゅうしゅうELINT)もおこなえるようアンテナを増設ぞうせつした。その、MRを1のこして、のこる3はMP-2がた改造かいぞうされたものの、最終さいしゅうてきに4ともTu-95Uにさい改造かいぞうされた。NATOコードネームはベアE。

試作しさく/実験じっけんがた[編集へんしゅう]

Tu-95-3(オーダー244)
1製造せいぞうされたTu-95Mの実験じっけんがた
95-3
1のTu-95Mを改造かいぞうしてKSR-5の発射はっしゃテストにもちいた実験じっけんがた
XTu-95-K
1のTu-95Kを改造かいぞうしてつくられたSM-20発射はっしゃはは
Tu-95MA
1製造せいぞうされた先進せんしんミサイルよう実験じっけんがたでTu-95をベースにしている。
Tu-95V
1のTu-95を改造かいぞうした大型おおがた水素すいそばくだん「ツァーリ・ボンバ」投下とうか実験じっけんのために改造かいぞうされた投下とうか試験しけんがた
Tu-119
1のTu-95Mを改造かいぞうして配備はいびされた原子力げんしりょく飛行機ひこうき実用じつよう試験しけんがた胴体どうたい中央ちゅうおう小型こがた原子げんしみ、放射線ほうしゃせん遮蔽しゃへい構造こうぞうのチェックを目的もくてきに34かい試験しけん飛行ひこうおこなった。旧称きゅうしょうはTu-95LAL。
Tu-95N
1のTu-95を改造かいぞうして配備はいびされた、小型こがたちょう音速おんそく攻撃こうげきRS英語えいごばん目標もくひょうちかくまで運搬うんぱんする親子おやこ飛行機ひこうきパラサイト・ファイター)のははがた。その、RSの開発かいはつ中止ちゅうしされた。RSをさい回収かいしゅうする手段しゅだんはないため、実現じつげんしていればRSは事実じじつじょう特別とくべつ攻撃こうげきたいとなっていたとかんがえられる。現在げんざい博物館はくぶつかん保存ほぞんされている。
Tu-95M-5
1のTu-95Kを改造かいぞうして配備はいびされたミサイル運用うんよう試験しけんがた。Tu-95Kの生産せいさんすすんではいたが、並行へいこうして旧型きゅうがたのTu-95/Mを改修かいしゅうしてたいかんミサイル搭載とうさいがたとすることも検討けんとうされ、1がTu-95M-5として改造かいぞうされたが、計画けいかく放棄ほうきされた。KSR-5(西側にしがわ名称めいしょう:AS-6“Kingfish”)そらたいかんミサイルをりょううち翼下よくかに1はつずつ搭載とうさいした。
Tu-95M-55
1のTu-95MSを改造かいぞうしてつくられたX-55の発射はっしゃ実験じっけんははがた
95-4
1のTU-95KMを改造かいぞうし105.11がた宇宙うちゅう航行こうこうようジェット機じぇっとき母艦ぼかんにしたもの。NATOコードネームはベアC。
Tu-96
1製造せいぞうされたTV-16ターボプロップエンジンを装備そうびした実験じっけんがたに1製造せいぞうされる予定よていだったが未成みせい

仕様しよう(Tu-95MS)[編集へんしゅう]

三面図
三面さんめん

要目ようもく[編集へんしゅう]

性能せいのう[編集へんしゅう]

  • 最大さいだい速度そくど:925km/h
  • 航続こうぞく距離きょり:15,000km
  • 最大さいだい運用うんよう高度こうど:12,000m(39,000ft
  • 上昇じょうしょうりつ:600m/min(2,000ft/min)

武装ぶそう[編集へんしゅう]

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

映画えいが[編集へんしゅう]

レッド・オクトーバーをえ!
たいせん哨戒しょうかいがた登場とうじょうアイスランド南方みなかた上空じょうくうにて、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく亡命ぼうめいしようとする架空かくうタイフーンがた原子力げんしりょく潜水せんすいかんレッド・オクトーバー」を発見はっけんし、魚雷ぎょらい攻撃こうげきおこなう。

小説しょうせつ[編集へんしゅう]

日本にっぽん北朝鮮きたちょうせん戦争せんそう 自衛隊じえいたい武装ぶそう蜂起ほうき
1領空りょうくう侵犯しんぱんおこない、小松こまつ基地きちから2F-15Jによるスクランブルおよび、警告けいこく射撃しゃげきけるもかいさずにつづけ、竹島たけしまばくげきし、完全かんぜん消滅しょうめつさせる。

アニメ・漫画まんが[編集へんしゅう]

少女しょうじょ終末しゅうまつ旅行りょこう
だい2登場とうじょう。スクラップヤードとおもわれる場所ばしょ放置ほうちされており、チトとユーリが機内きない散策さんさくする。
ファントム無頼ぶらい
だい7「ロシアよりあいをこめて」に、燃料ねんりょう投棄とうきバルブの故障こしょうにより燃料ねんりょう不足ふそくとなったソ連それん空軍くうぐん乗員じょういん女性じょせいだけのばくげきがたが、百里基地ひゃくりきち緊急きんきゅう着陸ちゃくりくした。

ゲーム[編集へんしゅう]

H.A.W.X.2
ロシアぐんばくげきとして登場とうじょう後半こうはんではTu-160 ブラックジャック出番でばんってわられ、登場とうじょうしない。
エースコンバットシリーズ
エースコンバット04および「04」のやく15ねんえがいた「エースコンバット7」において、エルジア共和きょうわこく空軍くうぐん(04)およエルジア王国おうこく空軍くうぐん(7)のばくげきとして登場とうじょうする。べつ世界せかいかんえがかれた「エースコンバットAH」ではロシアはん政府せいふぐんばくげきとして登場とうじょうし、民間みんかん偽装ぎそうしてドバイ爆撃ばくげきしようとするが、主人公しゅじんこうらに阻止そしされる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ Tu-95MS以前いぜん旧式きゅうしき機体きたいは、Gsh-23機関きかんほう2もんと「ビーハインド」射撃しゃげき管制かんせいようレーダーのわせである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 中国ちゅうごく・ロシアばくげき日本にっぽん周辺しゅうへん共同きょうどう飛行ひこう 防衛ぼうえいしょう発表はっぴょう 日本にっぽん政府せいふ両国りょうこく懸念けねん伝達でんたつ日本経済新聞にほんけいざいしんぶん(2022ねん12月1にち)2022ねん12月9にち閲覧えつらん
  2. ^ “Joint drills by 2 air forces mark historic occasion for global stability”. たまきだま時報じほう. (2019ねん7がつ30にち). http://www.globaltimes.cn/content/1159750.shtml 2019ねん7がつ31にち閲覧えつらん 
  3. ^ “ロシア国防省こくぼうしょう「ロシアと中国ちゅうごく軍機ぐんき 共同きょうどう警戒けいかい監視かんし活動かつどう実施じっし」”. NHK. (2019ねん7がつ23にち). https://web.archive.org/web/20190723120813/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190723/k10012005481000.html 2019ねん7がつ23にち閲覧えつらん 
  4. ^ “В Минобороны рассказали, что самолеты РФ и КНР впервые провели совместное патрулирование”. TASS. (2019ねん7がつ23にち). https://tass.ru/armiya-i-opk/6692696 2019ねん7がつ23にち閲覧えつらん 
  5. ^ “ロシアぐん中国ちゅうごくはつ巡回じゅんかい飛行ひこう 竹島たけしま上空じょうくう侵犯しんぱん否定ひてい. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2019ねん7がつ24にち). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47709270U9A720C1000000/ 2019ねん7がつ24にち閲覧えつらん 
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  7. ^ 韓国かんこく防空ぼうくう識別しきべつけんにロシア・中国ちゅうごく侵入しんにゅう 韓国かんこくF15とF16がロシアへ360発射はっしゃげき ”. ニューズウィーク. (2019ねん7がつ23にち). https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/post-12601.php 2019ねん7がつ23にち閲覧えつらん 
  8. ^ 竹島たけしま上空じょうくうに4カ国かこく戦闘せんとうちゅうロが合同ごうどう軍事ぐんじりょく誇示こじ. CNN. (2019ねん7がつ24にち). https://www.cnn.co.jp/world/35140319.html 2019ねん7がつ24にち閲覧えつらん 
  9. ^ 中国ちゅうごくとロシアが日本海にほんかい共同きょうどう演習えんしゅう領空りょうくう侵犯しんぱん発生はっせいで4カ国かこくみだれ ”. FlyTeam. (2019ねん7がつ24にち). https://flyteam.jp/news/article/113075 2019ねん7がつ24にち閲覧えつらん 
  10. ^ ちゅう尖閣せんかく侵犯しんぱん寸前すんぜん 7がつ ばくげき竹島たけしまから編隊へんたい ”. 産経さんけいニュース. (2019ねん9がつ28にち). https://www.sankei.com/article/20190928-CHCW3WB25JIGDMH2YVJNLY7OWU/ 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん 
  11. ^ 尖閣せんかく接近せっきんちゅうが「調整ちょうせい空自くうじ対応たいおう複雑ふくざつに ”. 産経さんけいニュース. (2019ねん9がつ28にち). https://www.sankei.com/article/20190928-2TNLDBL7ORLADM5QAV2D6SR4IU/ 2019ねん10がつ4にち閲覧えつらん 
  12. ^ “Long-range aircraft of the Russian Aerospace Forces carried out strikes with air-based cruise missiles on the ISIS terrorist objects within the air operation”. ロシア国防省こくぼうしょう公式こうしきサイト. http://eng.mil.ru/en/news_page/country/more.htm?id=12066124@egNews 
  13. ^ ウクライナがドローン攻撃こうげき ロシア空軍くうぐん基地きち標的ひょうてき日本経済新聞にほんけいざいしんぶん(2022ねん12月6にち)2022ねん12がつ10日とおか閲覧えつらん
  14. ^ ロシアぐんくるまタイヤで爆撃ばくげきおおう ドローン攻撃こうげきからの保護ほご目的もくてき”. CNN (2023ねん9がつ6にち). 2023ねん9がつ9にち閲覧えつらん
  15. ^ 航空こうくう最新さいしんニュース Tu-95MSMベアがKh-101を実戦じっせんはつ運用うんよう」『航空こうくうファン』2017ねん12がつごう通巻つうかん770ごうぶん林堂はやしどう p.124

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]