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An-124 (航空機こうくうき)

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An-124 ルスラーン
Ан-124 «Руслан»

An-124-100 ルスラーン

An-124-100 ルスラーン

  • はつ飛行ひこう1982ねん12月24にち
  • 生産せいさんすう:56
  • 生産せいさん開始かいし:1984ねん
  • 運用うんよう開始かいし1986ねん
  • 運用うんようじょうきょう現役げんえき
  • ユニットコスト:7,000まん-1おくUSドル
  • 派生はせいがたAn-225

An-124 ルスラーンウクライナ: Ан-124 «Руслан»アーン・ストー・ドヴァーッツャチ・チョトィールィ・ルスラーンロシア: Ан-124 «Руслан»アーン・ストー・ドヴァーッツァチ・チトゥィーリェ・ルスラーン)は、ソビエト連邦れんぽうのアントノフ設計せっけいきょくОКБ имени О.К.Антонова現在げんざいウクライナO・K・アントーノウ記念きねん航空こうくう科学かがく技術ぎじゅつふく合体がったい(ANTK アントーノウ))が開発かいはつした輸送ゆそうであり、量産りょうさんされた機体きたいとしては世界せかい最大さいだいのものである。

ウクライナやロシアでは前述ぜんじゅつしたルスラーンの愛称あいしょうしたしまれている一方いっぽう北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう(NATO)がつけたNATOコードネームコンドルCondor)であった。また、An-124をベースに開発かいはつされた輸送ゆそうとしてAn-225 ムリーヤがある。

開発かいはついた経緯けいい

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ソビエト連邦れんぽうのアントノフ設計せっけいきょくは、当時とうじ世界せかい最大さいだい輸送ゆそうとしてAn-22開発かいはつし、1965ねん2がつ27にちはつ飛行ひこうさせた[1]一方いっぽうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでもこれとほぼ並行へいこうして、1964ねん5月より次期じき輸送ゆそういちじゅう兵站へいたんシステム(CX-HLS)の提案ていあん依頼いらいしょ発出はっしゅつしており、これはC-5として結実けつじつして、「世界せかい最大さいだい輸送ゆそう」のタイトルをAn-22からうばった[1]

An-22では従来じゅうらいどおりのターボプロップエンジンクズネツォフ NK-12)を搭載とうさいしていたのにたいし、C-5では、CX-HLS計画けいかく一環いっかんとして開発かいはつされたしん技術ぎじゅつであるこうバイパスターボファンエンジンゼネラル・エレクトリック TF39)を採用さいようした[1]。これはてい燃費ねんぴだい推力すいりょく両立りょうりつしており、1970年代ねんだいはいると、西側にしがわ諸国しょこくでは民間みんかんでも同様どうようのエンジンがひろもちいられるようになっていった[1]。これにたいし、ソビエト連邦れんぽうではこうバイパスターボファンエンジンの実用じつよう手間取てまどっており、同国どうこくはつワイドボディとして開発かいはつしたIl-86採用さいようすうなや一因いちいんとなった[1]

旅客機りょかくき場合ばあい計画けいかく経済けいざいのもとで東側ひがしがわ諸国しょこく国有こくゆう企業きぎょうから一定いってい発注はっちゅうがあるため、西側にしがわ諸国しょこく機体きたいくらべて性能せいのうてきおとっていてもおおきな問題もんだいにはならないが、軍用ぐんよう性能せいのう劣位れつい重大じゅうだい問題もんだいとなる[1]ソビエト連邦れんぽうぐんでは、C-5に対抗たいこうできる戦略せんりゃく輸送ゆそう開発かいはつするためにはこうバイパスターボファンエンジンの開発かいはつ必須ひっすであると判断はんだんし、1970年代ねんだい後半こうはんよりプロフレース設計せっけいきょくによって着手ちゃくしゅされた[1]。そしてこのエンジンを搭載とうさいする輸送ゆそうとして開発かいはつされたのがほんである[1]

1982ねん12月24にちはつ飛行ひこうおこなった[1]西側にしがわへは1985ねんパリ航空こうくうショー披露ひろうされた[2]

設計せっけい

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基本きほん構造こうぞう

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An-124は、量産りょうさんされた輸送ゆそうとしては世界せかい最大さいだい機体きたいである[3]。C-5とくらべると、全長ぜんちょうのみC-5のほうがながいが、それ以外いがいは、全幅ぜんぷくぜんこう主翼しゅよく面積めんせき、また空虚くうきょ重量じゅうりょう最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうペイロード貨物かもつしつ寸法すんぽうなどはすべてAn-124のほうがおおきいになっている[1]

基本きほん構造こうぞう従来じゅうらいどおりのけい合金ごうきんせいだが、軽量けいりょうのため、表面積ひょうめんせきにして1,500平方へいほうメートル重量じゅうりょうにして5,500キロのふくごうざいもちいられており、2,000キロ以上いじょう軽量けいりょう達成たっせいしている[3]たかそらりょく効率こうりつ航続こうぞく距離きょりるため、主翼しゅよくつばさあつ12%と比較的ひかくてきあつく、つばさがたはスーパークリティカルつばさがた[4]したはんかくされている[3]後退こうたいかくは、うち舷側げんそくぜんえんやく35そと舷側げんそくで32である[3]。それぞれのつばさ上面うわつらには、つばさ付根つけねからつばさはしまで一体いったい押出おしだし成形せいけいされたそとばんもちいられている[3]

着陸ちゃくりく装置そうちたか強度きょうどち、前線ぜんせん整地せいちでの着陸ちゃくりく可能かのうである[4]しゅあし左右さゆうそれぞれにじゅう車輪しゃりんあしばしらを5ほんならべた10りん構成こうせいとなっている[1]。またぜんあしにもじゅう車輪しゃりんあしばしらが2ほんそなわっていて、2ほん連動れんどうしてみさおこうされる[1]。すなわち、着陸ちゃくりく装置そうち全体ぜんたいでの車輪しゃりんすうは24りんとなる[3]タイヤのサイズは、しゅあしでは1,270×510、ぜんあしでは1,120×450である[3]。なお、貨物かもつろし機首きしゅげ/姿勢しせいれるように、ぜんあしあしばしらちぢめることができる[5]。この操作そうさを「ニーリング」としょう[1]機体きたいげるのに3ふんげるのに6ふんはんかかる[3]

下記かきとおり、コックピットはアッパーデッキにもうけられて、6めい搭乗とうじょういん操縦そうじゅう2めい航空こうくう機関きかん2めい航法こうほう1めい通信つうしん1めい)が着席ちゃくせきする[4]飛行ひこう制御せいぎょよんじゅう冗長じょうちょうされたフライ・バイ・ワイヤ方式ほうしきによっておこなわれており、すべての操縦そうじゅうつばさめん油圧ゆあつによって制御せいぎょされる[3]

動力どうりょく系統けいとう

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上記じょうき経緯けいいにより、ほんでは、機体きたいとほぼ並行へいこうして開発かいはつされたこうバイパスターボファンエンジンであるD-18T搭載とうさいする[1]。これはファン直径ちょっけい2.33メートルという大型おおがたエンジンで、1980ねんはつ試験しけん運転うんてんおこない、9月19にちよりぜん規模きぼ開発かいはつはいった[1]。バイパスは5.7で、Il-62の後期こうきがた搭載とうさいしていたD-30KUの2.4よりもはるかにおおきく、西側にしがわ諸国しょこくプラット・アンド・ホイットニー JT9D(バイパス4.8)やゼネラル・エレクトリック CF6(バイパス4.6-5.9)、ロールス・ロイス RB211(バイパス4.4-5.0)に匹敵ひってきするとなった[1]。なお、ソ連それんにはこのエンジンを搭載とうさいできるテストベッドがなかったため、エンジンのはつすすむそらほんはつ飛行ひこう同時どうじおこなわれた[1]

航空こうくう燃料ねんりょうは、すべつばさないの10インテグラルタンク収容しゅうようされており、合計ごうけいりょうは348,740 L (92,130 U.S. gal)にたっする[3]。ただし民間みんかんがたでは、一部いちぶのタンクはそなえていない場合ばあいもある[3]

輸送ゆそう能力のうりょく

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胴体どうたいはダブルバブルがた断面だんめんで、上側うわがわのアッパーデッキがコクピット、ロビーおよび客室きゃくしつしたがわのロウワーデッキが貨物かもつしつとなっている[3]。ロビーには空中くうちゅう輸送ゆそういん12めいおよび客室きゃくしつ乗務じょうむいん、また客室きゃくしつには乗客じょうきゃく88名分めいぶん座席ざせきけられる[3]

C-5と同様どうように、機首きしゅじょうヒンジしきひらくバイザーしき貨物かもつとびらとすることで、貨物かもつしつ前後ぜんごカーゴランプもうけて、機首きしゅ方向ほうこう全通ぜんつうさせている[1]機首きしゅバイザーのげには7ふん後部こうぶとびらひらくのには3ふんようする[3]貨物かもつしつ寸法すんぽうたかさ4.39×ゆかめんはば6.40×ながさ36.32メートルである[1]最大さいだいはばは6.63メートル、天井てんじょうはばは4.26メートル、またランプ一部いちぶ搭載とうさい使用しようした場合ばあいながさ41.54メートルとなる[3]

最大さいだいペイロードは120,022 kgにたっする[1]。ロウワーデッキはチタンせいで、ゆかめん緊締装置そうちはそれぞれ12,000 kgf(ランプのものは5,000 kgf)のたい荷重かじゅうそなえている[3]独立どくりつ国家こっか共同きょうどうたい(CIS)諸国しょこく主力しゅりょく戦車せんしゃであればすべ搭載とうさいできるほか、ISOコンテナであれば12収容しゅうようできる[3]

貨物かもつしつはアッパーデッキとちがってあずかあつよわく(24.6 kPa, 3.57 psi[5][6])、通常つうじょう人員じんいん輸送ゆそうには使つかわないが、必要ひつようであれば便所べんじょ2所要しょよう酸素さんそボトルとともに兵員へいいん360めい搭乗とうじょうさせることはできる[3]空挺くうていへいであれば268めいものりょう投下とうかであれば4,500キロまでの貨物かもつパレット16搭載とうさいできる[3]。また航空こうくう医療いりょう後送こうそう(AE)に使つか場合ばあいは、担架たんか288しょう介助かいじょ要員よういん28めい搭乗とうじょうさせることができる[3]

運用うんよう

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アントーノウ航空こうくうのAn-124-100

1986ねんにはソ連それん空軍くうぐん就役しゅうえき[1]1992ねんにはロシア連邦れんぽう航空こうくう委員いいんかいがAn-124-100に民間みんかん形式けいしき証明しょうめい付与ふよした。生産せいさんソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかいによって一時いちじてき中断ちゅうだんされたが、そのひく生産せいさんりつで2004ねんまで生産せいさんつづけられ、56生産せいさんされた[7][8]

2000ねん以降いこうウクライナキエフにあるアヴィアーント・キエフ国立こくりつ航空機こうくうき工場こうじょうげん アントノフシリアル製造せいぞう工場こうじょう)とアヴィアスタル-SPでは既存きそんのAn-124-100をAn-124-100M近代きんだい改修かいしゅうする作業さぎょうおこなわれている。このかたでは西側にしがわせい新型しんがた電子でんし機器きき搭載とうさいし、搭乗とうじょういん航法こうほう通信つうしんはぶいた4めい削減さくげんした。ほかにもいくつか改修かいしゅうがた計画けいかくされており、そのなかにはエンジンを西側にしがわせいゼネラル・エレクトリック CF6変更へんこうしたAn-124-130というモデルも存在そんざいする。

生産せいさんは2004ねん終了しゅうりょうしたが、ロシア国内こくないのアヴィアスタル-SPでの生産せいさん再開さいかい画策かくさくし、2008ねんにウクライナとのあいだだい3四半期しはんきにAn-124-100の生産せいさん再開さいかいすることで合意ごういした[9]2009ねん否定ひていされたものの[10]、2009ねん後半こうはんメドヴェージェフ大統領だいとうりょうにより、An-124-300の生産せいさん再開さいかいめいぜられた[11][12][13]。しかし、これは2013ねん1がつ18にち撤回てっかいされた[14]。しかし、これも撤回てっかいされ同年どうねん8がつ合意ごういたっしたと報道ほうどうおこなわれた[15]。しかし、これはウクライナ危機ききによってふたた頓挫とんざした[16]

現在げんざいでは、旅客機りょかくきベースの輸送ゆそうでは対応たいおうできないちょう大型おおがた貨物かもつ運搬うんぱんとしても活用かつようされており、ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかいこう西側にしがわ諸国しょこくでもそのだい搭載とうさいりょう利用りようしたビジネスが活発かっぱつである[1]。2013ねん時点じてんで、世界せかい140かこく以上いじょうで768の空港くうこう使用しようした実績じっせきがあるとされていた[1]

日本にっぽんでは、1999ねん広島電鉄ひろしまでんてつ5000かたち電車でんしゃ(グリーンムーバー)輸送ゆそうや、2003ねん自衛隊じえいたいイラク派遣はけん物資ぶっし輸送ゆそうったほか、2011ねんには福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこにおける注水ちゅうすい活動かつどう使つかう70mきゅうコンクリートポンプしゃやく60トン)をドイツから輸送ゆそうしたなどの実績じっせきがある。また、整地せいちでのすぐれた離着陸りちゃくりく能力のうりょくかし、南極なんきょくなどへ物資ぶっしはこさいにも使用しようされている。そのパキスタンへの国際こくさい緊急きんきゅう援助えんじょ活動かつどうにおいて、陸上りくじょう自衛隊じえいたいCH-47運搬うんぱん[17]するなど、災害さいがい救助きゅうじょのためのヘリコプター輸送ゆそうにおいても、その輸送ゆそう能力のうりょく活用かつようされている。

2014ねんすえごろからはB787増産ぞうさんともない、製造せいぞう拠点きょてんのある愛知あいちけん米国べいこくシアトルあいだでの貨物かもつ需要じゅよう増大ぞうだいたいしてボーイングしゃ自社じしゃせい貨物かもつB747 LCF輸送ゆそうりょくかなくなったこともあり、ヴォルガ・ドニエプル航空こうくう保有ほゆうするAn-124が国際こくさいチャーター貨物かもつ便びんとして中部ちゅうぶ国際こくさい空港くうこう頻繁ひんぱん飛来ひらいしている。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、NASAロケット人工じんこう衛星えいせい国際こくさい宇宙うちゅうステーションのコンポーネント輸送ゆそう利用りようするほかアメリカぐん物資ぶっし輸送ゆそうのためにチャーターすることがあり、日本にっぽん国内こくないざい日米にちべいぐん基地きちへの飛来ひらい時折ときおり観察かんさつされている。また、人工じんこう衛星えいせい輸送ゆそうはアメリカにかぎらず欧州おうしゅうロシアなどでも多数たすう実績じっせきがあり、三菱電機みつびしでんきせい人工じんこう衛星えいせいおも通信つうしん放送ほうそう用途ようと静止せいし衛星えいせい)を他国たこく射場いば輸送ゆそうするために日本にっぽん空港くうこう飛来ひらいするケースもある。

ロシア空軍くうぐんは、2010ねん保有ほゆうする22オーバーホールこうAn-124-100M-150にアップグレードすることを決定けってい[18][14]、2014ねん12月2にちまでに6のアップグレードを完了かんりょうしている。ロシアでは2014ねん-2016ねんにかけてさらに5のアップグレードを実施じっしした[19]。2016ねんには12017ねんには2をアップグレードする予定よていである[20]

アップグレードはウクライナではなくウリヤノフスクにあるアヴィアスタル-SPによっておこなわれている。同社どうしゃはアヴィアーントとともにAn-124を生産せいさんした企業きぎょうひとつで、ロシア国内こくないにおけるメンテナンスおこなっている。しかし、An-124はウクライナ危機ききによって製造元せいぞうもとアントノフのサポートをられなくなっており、安全あんぜんせいかげとしている[16]。そのため、ロシアでは後継こうけいとして2016ねんからペイロード80トンきゅうちょう大型おおがた輸送ゆそうIl-106 エルマーク」の開発かいはつ開始かいしする予定よていで、2024ねん量産りょうさん開始かいし見込みこんでいる[21]2015ねん11月27にちには、搭載とうさいするD-18Tエンジンが設計せっけい生産せいさんともにウクライナ(設計せっけいイーウチェンコ製造せいぞうモトール・シーチ)でありロシア国内こくないでの運用うんようなんがあるため、2019ねんまでにエンジンを国産こくさんのNK-23Dで代替だいたいすることが発表はっぴょうされた[22][23]

愛称あいしょう

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ヴォルガ・ドニエプル航空こうくうのAn-124-100

愛称あいしょうの「ルスラーン」は、アレクサンドル・プーシキンいたルスランとリュドミラ』("Руслан и Людмила")や、それをもとにウクライナ関係かんけいふかミハイル・グリンカ作曲さっきょくをした同名どうめいオペラ主人公しゅじんこう名前なまえ愛称あいしょう由来ゆらいであるともわれるが、これらの作品さくひんもとになった昔話むかしばなし主人公しゅじんこうである騎士きし由来ゆらいもとめるほう普通ふつうである。キエフ大公たいこうこく時代じだい舞台ぶたいとするこの説話せつわでは、悪魔あくまにさらわれた大公たいこうむすめリュドミーラたすし、騎士きしルスラーンはひめとの結婚けっこんる。

なお、「ルスラーン」はウクライナじんロシアじんなどの一般いっぱんてき男性だんせい名前なまえで、トルコけい名前なまえわれており、ロシアふうなおすと「レフ」(Левリェーフ)となる。現代げんだいでもおおられる名前なまえであり「獅子しし」を意味いみする。一方いっぽう、「リュドミーラ」(ウクライナでは「リュドムィーラ」)は女性じょせい名前なまえで、スラヴけい名前なまえであり、「人々ひとびとあいされる」などを意味いみする。こちらも、現代げんだいおおられる名前なまえである。

派生はせいがた

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An-124
基本きほんとなる軍用ぐんよう輸送ゆそうがた
An-124-100
An-124-100
民間みんかんがた
An-124-100VS
商業しょうぎょうよう衛星えいせいははがた。1998ねんから計画けいかく開始かいしされ、2000ねんまでに4がAn-124-100より変換へんかんされた[24]。2だんポリョート英語えいごばんロケットを使つかいペイロードは600kg-4,000kg[25][26]
An-124-100VTA
An-124-100の近代きんだい改修かいしゅうがた。ペイロードを120トンまで増加ぞうかさせ、20ねん耐用たいよう年数ねんすう延長えんちょうした[27]
An-124-100M
An-124-100の近代きんだい改修かいしゅうがた
西側にしがわのコリンズおよびリットンしゃせい新型しんがた電子でんし機器きき搭載とうさいし、搭乗とうじょういんから航法こうほう通信つうしんはぶいて4めい削減さくげんしたほか衝突しょうとつ回避かいひ警報けいほうシステムなどを搭載とうさいエンジン騒音そうおんすくないD-18Tシリーズ3となった[28]
An-124-100M-150
An-124-100M-150
An-124-100の近代きんだい改修かいしゅうがた。ペイロードを150tとした。
An-124-111VD
ヴォルガ・ドニエプル航空こうくうけの改修かいしゅうがた。エンジンをFADEC装備そうびのD-18Tシリーズ3Mに変更へんこう
信頼しんらいせい寿命じゅみょう騒音そうおん燃費ねんぴ改善かいぜんし、最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょうは402トン、ペイロードは150トンとなった。グラスコックピットにより乗員じょういんすうは3めいとなる。ICAO カテゴリー IIIaの着陸ちゃくりく性能せいのう要件ようけんたし、120トン積載せきさい航続こうぞく距離きょりは5,000km。運用うんよう寿命じゅみょうは50ねん延長えんちょうされる[29]
An-124TVD
An-124-100のエンジンをクズネツォフ NK-93かわそうするもの。計画けいかくのみ[30]
An-124-102
キャビンのおおきさを2.3mうえばして内部ないぶ容積ようせき拡大かくだいし、搭乗とうじょう員数いんずうを3めいまでらしたかた
内部ないぶ容積ようせきおおきくなった代償だいしょうとして重量じゅうりょう増加ぞうかでペイロードと航続こうぞく距離きょりがそれぞれ135トンと2,500kmに減少げんしょうし、巡航じゅんこう速度そくどは45km/h低下ていか燃料ねんりょう消費しょうひは10%増加ぞうかする見込みこみであった。計画けいかくのみ[24][31]
An-124-130
エンジンをゼネラル・エレクトリックせいCF6-80C2かわそうしたあん計画けいかくのみ[24]
An-124-135
貨物かもつかた計画けいかくのみ[32]
An-124-150
貨物かもつがた改良かいりょうあん計画けいかくのみ[32]
An-124-200
機体きたい強化きょうかして離陸りりく重量じゅうりょうを402トン、ペイロードを150トンに増加ぞうかさせ、グラスコックピットとデジタルアビオニクスにより、3-4めいでの運航うんこう可能かのうとする。エンジンはD-18Tシリーズ3Mにかわそうする[33]
An-124-210
エアバス A400M配備はいびまでのつなぎとなる戦略せんりゃく輸送ゆそうほっしたイギリス空軍くうぐん提案ていあんされた、ロールス・ロイスせいRB211-524H-Tエンジンとハネウェルせいアビオニクス(コックピットの機能きのう表示ひょうじ装置そうち、TCAS-2000 EPAGS)を搭載とうさいしたかたC-17A グローブマスターIIIやぶ採用さいよう[34][35]
An-124-300
かつてはAn-124-NGと呼称こしょうされていた[36]
胴体どうたいを5.9m延長えんちょうしてキャビンの容積ようせきを1,300m3拡大かくだい主翼しゅよくは6.6m延長えんちょうして79.9mとし搭載とうさい燃料ねんりょう増加ぞうかさせた。グラスコックピットにより、2めいでの運用うんよう可能かのうとなる。150トン積載せきさいで8,100km、120トン積載せきさいで10,000kmの飛行ひこう可能かのうである。
エンジンは西側にしがわせいのものをふくむ295-340kNクラスのものを装備そうびでき、D-18Tシリーズ5のほかGEnx-2B67やPD-30、ロールス・ロイス トレントプラット・アンド・ホイットニー PW4000装備そうび可能かのう[33][37][38]
An-124-300V
詳細しょうさい不明ふめいであるが、D-18Tエンジンとロシアせいのアビオニクス(れい:クポルIII操縦そうじゅう航法こうほう装置そうち)を装備そうびするとされている[38]
An-124-KC
KC-Xへの提案ていあん検討けんとうされた空中くうちゅう給油きゅうゆかた[39]計画けいかくのみ。
An-124-FFR
消防しょうぼうがた[24]計画けいかくのみ。

採用さいようこく

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事故じこにより4がこれまでにうしなわれており[40]運用うんようちゅう機体きたいは52である。

軍用ぐんよう

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26運用うんようちゅうである[41]

ロシア空軍くうぐんのAn-124

ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦れんぽう

ロシアの旗 ロシア

民間みんかんよう

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ヴォルガ・ドニエプル航空こうくうのAn-124-100
リビア・アラブ・エア・カーゴのAn-124-100

2013ねん段階だんかい合計ごうけい26民間みんかんようとして運用うんようされている。

アントーノウ航空こうくう
7運用うんようちゅう
アヴィアーント
1おもアラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽう政府せいふ運用うんよう
ヴォルガ・ドニエプル航空こうくう
12運用うんようちゅうであり、2013ねんに5発注はっちゅうしていた。2020ねん11月緊急きんきゅう着陸ちゃくりくする事故じこによりぜん一時いちじ運航うんこう停止ていししていたが[42]、12月に運航うんこう再開さいかい[43]
ポレット航空こうくう
6運用うんようちゅうであり、2013ねんに5発注はっちゅうしていた。
リビア・アラブ・エア・カーゴ
2運用うんようしていたが、2011ねんリビア内戦ないせん以後いご地上ちじょう待機たいき状態じょうたいとなっている[44]

要目ようもく

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出典しゅってん: Antonov.com[45]

しょもと

性能せいのう

  • 最大さいだい速度そくど: 865km/h (467kn) 537mph
  • 巡航じゅんこう速度そくど: 800–850km/h (430kn) 490mph
  • 航続こうぞく距離きょり: 5,200km (2,808nm) 3,231mi
  • 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど: 12,000m (39,370ft)
  • 離陸りりく滑走かっそう距離きょり: 2,520m (8,270ft)
  • 着陸ちゃくりく滑走かっそう距離きょり: 900m (3,000ft)
  • つばさめん荷重かじゅう: 365kg/m2 (74.7lb/sq ft)
  • 推力すいりょく重量じゅうりょう: 0.23


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おも大型おおがた輸送ゆそう比較ひかく
アメリカ合衆国の旗C-5B アメリカ合衆国の旗C-17 ロシアの旗Il-76MD ウクライナの旗An-124 ウクライナの旗An-225 中華人民共和国の旗Y-20
画像がぞう
乗員じょういん 2 - 5めい 2 - 4めい 5めい 4 - 6めい 6めい 3めい
全長ぜんちょう 75.3 m 53.0 m 53.19 m 68.96 m 84.0 m 47.0 m
全幅ぜんぷく 67.89 m 51.8 m 50.5 m 73.3 m 88.71 m 50.0 m
ぜんこう 19.84 m 16.8 m 14.44 m 20.78 m 18.1 m 15.0 m
空虚くうきょ重量じゅうりょう 170 t 128.1 t 92.5 t 175 t 285 t 100 t
基本きほん離陸りりく重量じゅうりょう 263 t 600 t
最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう 388 t 265.35 t 210 t 405 t 640 t 220 t
最大さいだい積載せきさいりょう 122.471 t 77.519 t 53 t 150 t 250 t 66 t
貨物かもつしつ L37.0×W5.8×H4.1m L26.83×W5.49×H3.76m L20.0×W3.4×H3.4m L36.0×W6.4×H4.4m L43.35×W6.4×H4.4m L20.0×W4.0×H4.0m
発動はつどう TF39×4 F117-PW-100×4 PS-90A-76×4 D-18T×4 D-18T×6 D-30KP-2×4
ターボファン
巡航じゅんこう速度そくど 830 km/h 830 km/h 800 km/h 800 – 850 km/h 800 km/h 810 km/h
航続こうぞく距離きょり 122 t / 4,444 km 0 t / 9,815 km
71 t / 4,630 km
40 t / 5,000 km
53 t / 4,200 km
0 t / 15,000 km
150 t / 3,700 km
600 t / 4,000 km 0 t / 7,500 km
最短さいたん離陸りりく滑走かっそう距離きょり 1,600 m 1,000 m 1,800 m 2,530 m 2,400 m 600 - 700 m
生産せいさんすう(-2023) 131 279 960 55 1 68
運用うんようじょうきょう 現役げんえき 使用しよう不能ふのう 現役げんえき

2022ねんロシアのウクライナ侵攻しんこうによる攻撃こうげき焼損しょうそんし、破壊はかいされる。

航続こうぞく距離きょり
An-124-100 Аn-124-100М-150
0t 15,000km
10t 14,125km
20t 13,250km
30t 12,375km
40t 11,500km 11,900km
72t 8,700km
90t 7,125km
92t 7,500km
97t 6,495km
104t 5,900km
108t 5,550km
113t 5,925km
120t 4,500km 5,400km
122t 5,200km
150t 3,200km

登場とうじょう作品さくひん

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映画えいが

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007 ダイ・アナザー・デイ
ジェームズ・ボンド敵役かたきやくである、北朝鮮きたちょうせん将軍しょうぐん息子むすこ対決たいけつする場面ばめんがAn-124の機内きないという設定せってい撮影さつえいではIl-76 キャンディッド使用しようされた)。
実際じっさい北朝鮮きたちょうせんどう機種きしゅ運用うんようしたことはないが、民間みんかんなのでチャーターは可能かのう
グランド・セフト・オートV
貨物かもつ」の名称めいしょう登場とうじょうする。実機じっきとはエンジン形状けいじょうことなっている。
コール オブ デューティシリーズ
CoD:MW2
ロシアぐん使用しようする。対空たいくう監視かんしもうつぶされたアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく本土ほんど上空じょうくう堂々どうどう飛行ひこうし、空挺くうていへい次々つぎつぎ降下こうかさせる。
CoD:MW3
ヨーロッパ各地かくち空挺くうていへい次々つぎつぎ降下こうかさせる。
バトルフィールド バッド カンパニー2
キャンペーン終盤しゅうばんで、スカラー兵器へいき搭載とうさいして登場とうじょう作中さくちゅうでハガードがAn-225だと紹介しょうかいしているが、ハガードの誤解ごかいである。最終さいしゅうてきにマーロウたちによって墜落ついらくする。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 青木あおき 2022.
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  6. ^ Antonov's Heavy Transports. Midland Publishing
  7. ^ Era of Ruslan: 25 years
  8. ^ Последний "Руслан"
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  11. ^ Russia to Resume Making World’s Largest Plane, Kommersant Says
  12. ^ Ан-124 влетает в оборонзаказ
  13. ^ ВВС России получили три модернизированных "Руслана"
  14. ^ a b Russian Ministry of Defense acknowledges that the resuming of An-124-300’s production makes no sense
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  20. ^ Aviastar-SP to upgrade three An-124 Ruslan transport aircraft
  21. ^ WSI DAILY 2014/11/6 ロシアの戦略せんりゃくかく演習えんしゅうしんちょう大型おおがた輸送ゆそう計画けいかく
  22. ^ Самолеты Ан-124 «Руслан» получат российские двигатели вместо украинских
  23. ^ Годовой отчет ОАК за 2015 год. Часть 4 - перспективы развития
  24. ^ a b c d Ан-124 - aviaros.narod
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  26. ^ Ан-124-100ВС «Руслан»
  27. ^ Ульяновский лайнер Ан-124-100ВТА, доработанный в рамках программы модернизации самолётов военно-транспортной авиации Министерства обороны России, передан заказчику
  28. ^ АН-124-100 Руслан
  29. ^ MAKS: Volga-Dnepr details new modernised An-124 variant
  30. ^ Стратегический военно-транстпортый самолет АН-124 Руслан
  31. ^ PICTURE: Volga-Dnepr details proposed taller An-124 variant
  32. ^ a b Antonov An-124 Ruslan (Condor) - Heavy-Lift Strategic Transport Aircraft - History, Specs and Pictures - Military Aircraft
  33. ^ a b Будущее «Руслана»: вопросов больше, чем ответов
  34. ^ АН-124-210 Руслан
  35. ^ R-R powered Super An-124 offered
  36. ^ Волга-Днепр собирается заказать 40 самолетов Ан-124-100
  37. ^ An-124-300 proposal could double Ruslan range
  38. ^ a b Петр Бутовски об Ан-124 «Руслан»
  39. ^ 17 Января 2006 г.
  40. ^ Авиационные происшествия, инциденты и авиакатастрофы в СССР и оссии”. 2015ねん12月5にち閲覧えつらん
  41. ^ ВВС России поддерживают возобновление производства Ан-124
  42. ^ ヴォルガ・ドニエプル航空こうくう、An-124-100の運航うんこう一時いちじ停止ていし
  43. ^ Volga-Dnepr Airlines brings its first An-124-100 back into the skies”. www.volga-dnepr.com. 2021ねん2がつ28にち閲覧えつらん
  44. ^ Libyan Arab Air Cargo ▷▷ (ATDB)
  45. ^ Antonov AN-124-100 Ruslan / Antonov An-124-100/An-124-200 Performance”. Official Antonov site. 10 August 2013閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Jackson, Paul (2004). Jane's All the World's Aircraft 2004-2005. Jane's Information Group. ISBN 978-0710626141 
  • 青木あおきけん「ウクライナのアントノフ : その経緯けいい実績じっせき、そしてAn-225ムリヤのこと」『航空こうくうファンだい71かんだい6ごうぶん林堂はやしどう、58-63ぺーじ、2022ねん6がつCRID 1520573726340398720 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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