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道德真經註 - Chinese Text Project
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道德どうとく真經さねつね註》

[Three Kingdoms (220 - 265)] Wang Bi Library Resources
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1 道德どうとく真經さねつね... :
みちどう非常ひじょうどうめいめい非常ひじょうめい道之みちゆきどうめい指事しじ造形ぞうけい其常也。不可ふかどう不可ふかめい也。無名むめい天地てんちはじめ有名ゆうめい萬物ばんぶつはは凡有みなはじめ於無,かたち」、「無名むめいこれそくため萬物ばんぶつはじめ,及其「有形ゆうけい」、「有名ゆうめいこれのりちょうそだてこれちんどくため其母也。言道ことみち以無がた無名むめいはじめなり萬物ばんぶつ,以始以成而不知ふち其所以玄またげん也。つね無欲むよく,以觀其妙;みょうしゃほろこれごく也。萬物始於微而後成,はじめ於無而後せいつね無欲むよく空虛くうきょ以觀其始ぶつみょうつねゆうよく,以觀其徼。徼,かえりおわり也。凡有ため,必以無為むいようほしこれしょほんてきどう而後ずみつねゆうよく以觀其終ぶつ徼也。此兩しゃどう而異めいどういいげんげんまたげん,眾妙もん兩者りょうしゃはじめあずかはは也。どうだししゃどう於玄也。異名いみょうしょほどこせ不可ふかどう也。ざいくびそくいいはじめざいおわりそくいいははげんしゃめい也,默然もくぜんゆう也。はじめはは所出しょしゅつ也,不可ふかとく而名,不可ふかごと同名どうめい曰玄,而言いいげんしゃ不可ふかとく而謂しか也。いいしかのり不可ふか以定乎一げん而已,のりめいそくしつとお矣。曰,げんまたげん也。眾妙みなしたがえどう而出,曰眾みょうもん也。

2 道德どうとく真經さねつね... :
天下てんかみな知美ともみため,斯惡やめみな善之よしゆきためぜん,斯不善ふぜんやめ有無うむ相生あいおい難易なんい相成あいな長短ちょうたんしょう較,高下こうげしょうかたぶけ音聲おんせいしょう前後ぜんごしょうずいしゃにんこころこれしょらく進也しんや惡者わるものにんこころこれしょ惡疾あくしつ也。あくなお喜怒きど也;ぜん不善ふぜんなお是非ぜひ也。喜怒きど同根どうこん是非ぜひ同門どうもん不可ふかとくへん舉也,此六者皆陳自然不可偏舉之明數也。以聖じんしょ無為むいこと自然しぜんやめあしためそくはい也。くだり不言ふげんきょう;萬物作焉而不辭,なま而不ゆうため而不恃,智慧ちえ備,ためそくにせ也。こうなり而弗きょいんぶつ而用,いさおかれなりきょ也。おっとただどる以不使つかいこうざいおのれのりこう不可ふか久也ひさや

3 道德どうとく真經さねつね... :
なおけん使つかいみんそうなんとく貨,使つかいみん不為ふためぬすめよく使つかい民心みんしん不亂ふらんけんなおのう也。なおしゃ嘉之よしゆきめい也。とうとしゃ隆之たかゆきしょう也。ただのうにん尚也なおや曷為;ただようほどこせ貴之たかゆきなにためなおかしこあらわめいさかえ其任,ため而常こうのうしょうしゃ貨過ようむさぼしゃきおいおもむき穿ほじ窬探篋,ぼついのち而盜,ほしのり心無こころなところらん也。以聖じんきょ其心,じつ其腹,こころふところさとし而腹ふところしょくむなしゆうさとし而實知也ともやじゃく其志,つよ其骨。ほね無知むち以幹,こころざしせいごと以亂,こころきょそくこころざしじゃく也。つね使つかいみん無知むち無欲むよくまもり其真也。使つかいおっと知者ちしゃ敢為かんい也。知者ちしゃいいため也。ため無為むいのり不治ふち

4 道德どうとく真經さねつね... :
みちおき而用あるみつるふち兮似萬物ばんぶつそうくじけ其銳,かい其紛,かず其光,どう其塵,たたえ兮似あるそんわれ不知ふちだれ之子ゆきこぞうみかどさきおっと一家いっかりょうしゃ不能ふのうぜんいえいち國之くにゆきりょうしゃ能成よしなりこくきゅうりょく舉重,不能ふのうためよう故人こじん雖知,萬物ばんぶつ也,而不以みちのり不能ふのう贍也。雖形たま不法ふほう於天そく不能ふのうぜん其寧。てん雖精ぞう不法ふほう於道そく不能ふのう其精。おき而用よう不能ふのうきゅう滿まん以造じつらいのり溢,おき而用またふくみつる,其為無窮むきゅうまたやめごく矣。かたち雖大,不能ふのうるい其體,こと雖殷,不能ふのうたかし其量,萬物捨此而求主,しゅ其安ざい乎。またふち兮似萬物ばんぶつそう乎。するどくじけ而無そんまがえかい不勞ふろう和光わこう而不汙,其體どうちり而不渝,其真またたたえ兮似あるそん乎。もり其形,とく不能ふのう其載,てん慊其ぞうとく不能ふのう其覆,天地てんち莫能及之,またみかどせん乎。みかど天帝てんてい也。

5 道德どうとく真經さねつね... :
天地てんち不仁ふじん,以萬ぶつため芻狗;天地あまちつとむ自然しぜん無為むいみやつこ,萬物自相治理,不仁ふじん也。仁者じんしゃ造立ぞうりゅうほどこせゆうおん有為ゆうい造立ぞうりゅうほどこせのりぶつしつ其真,ゆうおん有為ゆういれつぶつ不具ふぐそんもの不具ふぐそんのり不足ふそく以備載矣。不為ふためじゅうせい芻,而獸しょく芻;不為ふため人生じんせいいぬ,而人しょくいぬ無為むい於萬物而萬物各適其所用,のり莫不贍矣。わかとしゆかりおのれじゅあしにん也。聖人せいじん不仁ふじん,以百姓ひゃくしょうため芻狗。聖人せいじんあずか天地てんちあい其德,以百姓比芻狗也。天地てんちあいだ,其猶橐籥乎?きょ而不こごめどう而愈橐,はい橐也。籥,らく籥也。橐籥なか空洞くうどう無情むじょう無為むいきょ,而不とくきゅうこごめどう不可ふか竭盡也。天地てんちなかとろけしかにん自然しぜん不可ふかとく而窮,なおわか橐籥也。多言たげんすうきゅう如守ちゅういよいよ為之ためゆきそくいよいよしつ矣。ものじゅ其惡,こと錯其ごとすみ不言ふげん必窮數也かずや。橐籥而守すうちゅうのり無窮むきゅうつき,棄己にんぶつのり莫不わか橐籥有意ゆうい於為ごえ也,のり不足ふそく以共吹者もとめ也。

6 道德どうとく真經さねつね... :
谷神やちかみ不死ふしいいげんめすげんめすもんいい天地てんち綿綿めんめんわかそんようつとむ谷神やちかみ谷中たになかひさしたに也,形無かたなしかげぎゃくたがえしょ不動ふどうまもりしずかおとろえたに以之なり而不其形,此至ぶつ也。ところ卑而不可ふかとくめいいい天地てんち綿綿めんめんわかそんようつとむもんげんめすところ由也よしやほん所由しょゆうあずかごく同體どうたいいい天地てんち也。よくげんそんよこしまのり其形,よくげんほろびよこしま萬物ばんぶつ以之せい綿綿めんめんわかそん也,ものなりよう不勞ふろう也。曰,よう而不つとむ也。

7 道德どうとく真經さねつね... :
天長地久てんちょうちきゅう天地てんち所以ゆえんのうちょう且久しゃ,以其自生じせい自生じせいそくあずかものそう自生じせいそくぶつ也。のう長生ちょうせい以聖人後じんご其身而身さきがい其身而身そん以其無私むし耶,能成よしなり其私。無私むししゃ無為むい於身也。さきそん曰,能成よしなり其私也。

8 道德どうとく真經さねつね... :
うえよし若水わかみずみずぜん萬物ばんぶつ而不そうしょ眾人これしょあくひとあく卑也。いく於道。みち無水むすいゆう曰,いく也。きょ善地ぜんちこころぜんふちあずか善仁よしひとげん善信よしのぶせい善治よしはることぜんのうどうぜんおっとただそうゆうげんじんみなおう於治道也みちや

9 道德どうとく真經さねつね... :
もち而盈如其やめいいしつ德也とくやすんでしつ其德またみつるいきおい必傾危。如其やめしゃいい乃更如無とくこうしゃ也。揣而梲之,不可ふか長保ながほすんで揣末れいとんがまたするどこれれいいきおい必摧衂故不可ふか長保ながほ也。金玉きんぎょく滿堂まんどう,莫之のうもりわか其已。富貴ふうき而驕,のこ其咎。不可ふか長保ながほ也。こうなり退すさてん道也みちやよんさらうんこうなりそくうつり

10 道德どうとく真經さねつね... :
營魄抱一ほういつのうはなれ乎?なおしょ也。營魄,にんつねきょしょ也,一人ひとり也。げんじんのうしょつねきょたく抱一ほういつしんしんのうつねはなれ乎,のり萬物自賓矣。せん致柔,のう嬰兒えいじ乎?せんにん也,致極也,げんにん自然しぜん。致,いたりやわらのうわか嬰兒えいじところよく乎,のりぶつぜん而性とく矣。滌除げんらんのう無疵むきず乎?げんものごく也,げんのう滌除よこしまかざりいたり於極らんのう以物かい其明。きず其神乎,のりおわりあずか玄同げんどう也。愛國あいこくみんのう無知むち乎?にんじゅつ以求なりうんすう以求匿者,智也ともやげんらん無疵むきずなおぜっせい也。治國ちこく以智,なお智也ともやのう以智乎,のりみん辟而こく治之はるゆき也。てんもんひらき闔,のうためめす乎?てんもん天下てんかこれしょしたがえ由也よしやひらき闔,治亂ちらんさい也,あるひらけある闔,けいどおり於天曰,てんもんひらき闔也。めすおう而不倡,いん不為ふためげんてんもんひらき閡能ためめす乎,のりぶつまろうど而處やす矣。明白めいはくよんたちのう無為むい乎?げんいたりあかりよんたち迷無惑,のう以為乎,のりぶつ矣。所謂いわゆるみちつね無為むいほうおうわかのうもりのり萬物ばんぶつなまふさが其原そのはら也。畜之。きん其性也。なま而不ゆうため而不恃,ちょう而不おさむいいげんとくふさが其原そのはらのりぶつ自生じせいなにこうゆうきん其性,のりぶつすみなに為之ためゆき恃。もの長足ちょうそくわれおさむなり有德うとくせいげん如何いか。凡言げんとくみな有德うとく不知ふち其主,乎幽めい

11 道德どうとく真經さねつね... :
さんじゅうきょういちこしきとう其無,ゆう車之くるまのようこしき所以ゆえんのうすべさんじゅうしゃ也,以其無能むのう受物のう以實すべ眾也。埏埴以為とう其無,ゆうこれよう。鑿戶牖以ためしつとう其無,ゆうしつこれようゆう以為これ以為ようはにかべ所以ゆえんなり,三者而皆以無為用也。げんしゃゆう所以ゆえんためみなよりゆき以為よう也。

12 道德どうとく真經さねつね... :
五色ごしきれい人目ひとめめくら五音ごいんれいじんみみろう五味ごみれい人口じんこう爽,はせ騁畋りょうれい人心じんしん發狂はっきょう爽,しつ也,しつ口之くちのよういい爽。おっと耳目じもくこうこころみなじゅん其性也,以順せいいのちはん以傷自然しぜん曰聾、めくら、爽、きょう也。なんとく貨令じんぎょうさまたげなんとく貨,ふさがひと正路まさじれいじんぎょうさまたげ也。以聖人為じんいはら不為ふためかれ此。ためはらしゃ以物やしなえおのれためしゃ以物やくおのれ聖人せいじん不為ふため也。

13 道德どうとく真經さねつね... :
ちょうはずかしめわかおどろき大患たいかんわかなにいいちょうはずかしめわかおどろきちょうためとくわかおどろきしつわかおどろきいいちょうはずかしめわかおどろきちょう必有はずかしめさかえ必有患,おどろきはずかしめとうさかえ患同也。ためとくちょうはずかしめさかえ患若おどろきのり不足ふそく以亂天下でんか也。なにいい大患たいかんわか大患たいかんさかえちょうぞく也。せいあつ,必入いいだい患也。ひと迷之於榮ちょうかえし於身,曰大患若也。われ所以ゆえんゆう大患たいかんしゃためわれゆうゆかりゆう其身也。及吾自然しぜん也。われゆうなん患?貴以たかいため天下でんかわかよせ天下でんか以易其身,曰貴也。如此乃可以託天下でんか也。あい以身ため天下でんかわかたく天下でんかもの以損其身,曰愛也。如此乃可以寄天下でんか也,以寵はずかしめさかえ患損えき其身,しかこう乃可以天下付かふ也。

14 道德どうとく真經さねつね... :
めい曰夷,聽之聞名曰希,搏之とくめい曰微。此三しゃ不可ふか致詰,こん而為いちじょうぞう無聲むせいひびきのうしょ不通ふつうしょ往,とく而知,さら以我耳目じもくたい不知ふちためめい不可ふか致詰,こん而為一也かずや其上皦,其下昧。なわなわ不可ふかめい復歸ふっき於無ぶついいじょうじょうものぞうよくげんよこしま,而物よし以成。よくげんゆうよこしま,而不其形,曰,じょうじょうものぞう也。いいとぼけとぼけ不可ふかとく而定也。むかい其首,ずい其後。これどう,以御いまゆうゆうゆう其事。のう知古ちこはじめいいどう無形むけい無名むめいしゃ萬物ばんぶつそう也。雖今不同ふどううつりぞくえき莫不よし乎此,以成其治しゃ也。これどう,以御いまゆう上古じょうこ雖遠,其道そん焉,雖在,こん以知はじめ也。

15 道德どうとく真經さねつね... :
いにしえぜんためしゃ微妙びみょうげんどおりふか不可ふか識。おっとただ不可ふか識,つよためよう兮若ふゆわたるがわふゆわたるがわしかわかほしたびわかよく,其情不可ふかとく貌也。なお兮若かしこよん鄰,よん鄰合おさむ中央ちゅうおうおもなおしか不知ふちしょ趣向しゅこうしゃ也。うえ德之のりゆきじん,其端ちょう不可ふか覩,とくおもむき不可ふかまたなお此也。げん兮其わかきゃくきよし兮若冰之はたしゃくあつし兮其わかしらき,曠兮其若だに,渾兮其若にご凡此しょわかみなげん其容,ぞう不可ふかとく而形めい也。孰能にご以靜じょきよし?孰能やす以久どうじょせいおっとみそ以理ぶつそくとくあきらにご以靜ぶつそくとくきよしやす動物どうぶつそくとくせい,此自然しぜん道也みちや。孰能しゃげん其難也。じょしゃしょう慎也しんや此道しゃよくみつるみつる必溢也。おっとただみつるのう蔽不新成しんせい蔽,くつがえぶた也。

16 道德どうとく真經さねつね... :
致虛ごくまもりしずかあつげん致虛,ものごくあつもりしずかもの正也まさや萬物ばんぶつなみさく動作どうさ生長せいちょうわれ以觀ふく以虛靜觀せいかん反復はんぷく。凡有おこり於虛,どうおこり於靜,萬物ばんぶつ雖並動作どうさそつ復歸ふっき於虛せいぶつごくあつ也。おっとぶつげいげいかく復歸ふっき其根。かくはん其所はじめ也。かえり曰靜,復命ふくめい復命ふくめい曰常,かえりそくしずか曰靜。せいそく復命ふくめい復命ふくめい也。復命ふくめいそくとくせいいのちつね曰常也。つね曰明。不知ふちつね,妄作きょうつねためぶつ不偏ふへんあきら皦昧じょうゆたかりょうぞう曰知つね明也あきやただ此復乃能つつみどおり萬物ばんぶつしょようしつ以往いおうのりよこしまにゅう乎分,のりぶつはなれ其分,不知ふちつねのり妄作きょう也。つねようしょつつみどおり也。よう乃公,しょつつみどおりのり乃至ないし於蕩しか公平こうへい也。公乃きみのおうとろけしか公平こうへいのり乃至ないし於無しょしゅうひろし也。おう乃天,しょしゅうひろしのり乃至ないし於同乎天也。てん乃道,あずかてんあいとくからだどう大通だいつうのり乃至ないし於極虛無きょむ也。みち乃久,窮極きゅうきょく虛無きょむ得道とくどうつねのり乃至ないし於不ゆうごく也。ぼつ殆。これためぶつ水火すいか不能ふのうがい金石かねいし不能ふのうざんよう於心そくとら兕無しょとう其齒かく兵戈へいかしょよう其鋒なに危殆きたいゆう乎。

17 道德どうとく真經さねつね... :
大上おおがみ下知げじゆう大上おおがみいい大人おとな也。大人おとなざいうえ曰大じょう大人おとなざいうえきょ無為むいことぎょう不言ふげんきょう,萬物作焉而不為始,下知げじゆう而已,ことしたがえじょう也。其次おや而譽不能ふのう無為むいきょごと不言ふげんためきょうたて善行ぜんこうほどこせ使つかいとくおや而譽也。其次かしここれ不能ふのうふく以恩じんれいぶつ,而賴けん也。其次あなどこれ不能ふのうほう以正ひとしみん,而以智治ともはるこく下知げじ避之,其令したがえ曰,あなどこれ也。しん不足ふそく焉,ゆう不信ふしん焉。おっとからだしつせいそく疾病しっぺいせい,輔物しつのりきず釁作。しん不足ふそく焉,のりゆう不信ふしん,此自然しぜん道也みちややめしょ不足ふそく智之としゆきところひとし也。ゆう兮其げんこうなりごととげ百姓ひゃくしょうみないいわが自然しぜん自然しぜん,其端兆不可得而見也,其意趣いしゅ不可ふかとく而覩也,もの以易其言,げん必有おう曰,ゆう兮其げん也。きょ無為むいことぎょう不言ふげんきょう以形りつぶつこうなりごととげ,而百姓不知其所以然也。

18 道德どうとく真經さねつね... :
大道だいどうはいゆう仁義じんぎしつ無為むいことさら以施としたて善道ぜんどう進物しんもつ也。智慧ちえゆうだいにせくだりじゅつようあきら,以察かんにせおもむき形見がたみもの避之。智慧ちえそくだいにせなま也。ろくおや不和ふわゆうこう慈;國家こっか昏亂,ゆう忠臣ちゅうしん甚美めいなま於大おだいあく所謂いわゆるよしあく同門どうもんろくおや父子ふし兄弟きょうだい夫婦ふうふ也。わかろくおや國家こっか自治じちのりこう忠臣ちゅうしん不知ふち其所ざい矣。さかなしょう忘於江湖こうこみちのりしょう濡之とくせい也。

19 道德どうとく真經さねつね... :
ぜっせい棄智,みんひゃくばいぜっじん棄義,みんふくこう慈;ぜったくみ棄利,盜賊とうぞくゆう。此三しゃ以為ぶん不足ふそくれいゆう所屬しょぞくだきしらきしょうわたし寡欲かよくひじりさとしざいぜん也。仁義じんぎにんぜん也。たくみようぜん也。而直うんぜっぶん不足ふそくれいゆう所屬しょぞく以見其指,曰,此三者以為文而未足,れいじんゆう所屬しょぞくぞく素樸そぼく寡欲かよく

20 道德どうとく真經さねつね... :
ぜっがくゆうただあずかおもね相去あいさり幾何きか善之よしゆきあずかあく相去あいさりわかなにひとところかしこ不可ふかかしこしたへんため學者がくしゃえきため道者どうしゃそんしかのりがくもとめえきしょのう,而進其智しゃ也,わかはた無欲むよく而足,なにもとめ於益。不知ふち而中,なにもとめ於進。おっと燕雀えんじゃくゆうひきばと鴿どばとゆうかたきかん鄉之ごうのみん,必知旃裘,自然しぜんやめあしえきのりぞくけりあしなに截鶴頸,かしこほまれ而進,なにかしこけいただおもねよしあく相去あいさりわかなに故人こじんところかしこわれまた焉,敢恃以為よう也。あら兮其未央みお哉!歎與ぞくしょうかえしとお也。眾人熙熙,如享ふとしろう,如春とうだい眾人迷於すすむ,惑於さかえよくすすむこころきそえ熙熙如享ふとしろう,如春とうだい也。わがどく怕兮其未ちょう,如嬰孩;げんわがくるわしか無形むけいめいちょう舉,如嬰のう孩也。儽儽兮,わかしょわかしょたく眾人みな有餘ゆうよ,而我どくわかのこ眾人ゆうふところ有志ゆうしみつる溢胸しん曰,みな有餘ゆうよ也。わがどくくるわしか無為むい無欲むよくわか遺失いしつ也。わが愚人ぐじんこころ也哉!ぜっこれにん心無こころなしょべつ析,ところよしあくなおしか其情不可ふか睹,わが頹然わか此也。沌沌兮,ところべつ析,不可ふかためめい俗人ぞくじんあきらあきら耀其光也みつやわがどくわか昏。俗人ぞくじん察察,分別ふんべつべつ析也。わがどく悶悶もんもん。澹兮其若海わかうみじょう不可ふか睹。飂兮わかとめしょ繫縶。眾人みなゆう以,以,よう也。みなよくゆうしょほどこせよう也。而我どく頑似ひなところほしため悶悶もんもん昏昏,わかしょ識,曰,頑且ひな也。わがどく於人,而貴しょくははしょくははなまほん也。ひとしゃみな棄生みんほんとうとすえかざりはな曰,わがどくよく於人。

21 道德どうとく真經さねつね... :
あな德之のりゆきようおもんみどうしたがえあな空也くうやおもんみ以空ためとくしかこう乃能動作どうさ從道つぐみち道之みちゆきためぶつおもんみとぼけおもんみとぼけ恍惚こうこつ無形むけい繫之歎。とぼけ兮恍兮,其中有ちゅううぞうとぼけ兮惚兮,其中有ちゅううぶつ以無がたはじめぶつ繫成ぶつ萬物ばんぶつ以始以成,而不知ふち其所以然,曰,とぼけ兮惚兮,とぼけ兮恍兮,其中有ちゅううぞう也。窈兮めい兮,其中有精ゆうせい窈、めい深遠しんえん歎,深遠しんえん不可ふかとく而見。しか而萬ぶつ由之よしゆき,其可とく,以定其真。曰,窈兮めい兮,其中有精ゆうせい也。其精甚真,其中有信ありのぶしんじしんけん也。ものはん窈冥,のりせいごく萬物ばんぶつせいじょう曰,其精甚真,其中有ちゅうう信也しんや自今じこん及古,其名いたりしんごく不可ふかとくめい無名むめいそく其名也。及今,よし此而なり曰,及今,其名也。以閱眾甫。眾甫,ものはじめ也。以無名むめいせつ萬物ばんぶつはじめ也。われなん以知眾甫じょう哉?以此。上之うえのしょうん也。げんわれなん以知萬物之始於無哉,以此知之ともゆき也。

22 道德どうとく真經さねつね... :
きょくそくぜん其明そくぜん也。枉則じき是則これのり其是あきら也。くぼそくみつるのり其功ゆう也。へいそくしん矜則其德ちょう也。しょうのりのり惑。自然しぜんみちまたなお也,うたててんどお其根,うたてしょうてんとく其本。のりどお其真,曰惑也;しょうのりとく其本,曰得也。以聖じん抱一ほういつため天下でんかしきいちしょうこれごく也。しきなお則之のりゆき也。あきらあきら有功ゆうこう矜故ちょうおっとただそう天下てんか莫能あずかこれそういにしえ所謂いわゆるきょくそくぜんしゃあに虛言きょげん哉!まことぜん而歸

23 道德どうとく真經さねつね... :
まれごと自然しぜん聽之聞名曰希,したあきらげん道之みちゆきげんあわ兮其無味むみ也,不足ふそく,聽之不足ふそく聞,しかのり無味むみ不足ふそく聽之,げん乃是自然しぜん至言しげん也。飄風おわりあさ驟雨しゅうう終日しゅうじつ。孰為此者?天地てんち天地てんちひさし不能ふのうひさし,而況於人乎?げん暴疾きょうちょう也。從事じゅうじ於道しゃ道者どうしゃどう於道,從事じゅうじいい舉動,從事じゅうじ於道しゃ也。みち以無がた無為むいなりずみ萬物ばんぶつ從事じゅうじ於道しゃ,以無為むいためくん不言ふげんためきょう綿綿めんめんわかそん而物とく其真,あずかみち同體どうたい曰同於道。とくしゃどう於德,とくしょう也,しょうのり曰得也。くだりとくそくあずか同體どうたい曰,どう於得也。しつしゃどう於失。しつるい也,るいのりしつ曰失也。くだりしつそくあずかしつ同體どうたい曰,どう於失也。どう於道しゃみちまたらくどくどう於德しゃとくまたらくどくどう於失しゃしつまたらくどくげん隨行ずいこう其所,どう而應しん不足ふそく焉,ゆう不信ふしん焉。忠信ちゅうしん不足ふそく於下おした,焉有信也しんや

24 道德どうとく真經さねつね... :
くわだてしゃだてものなおすすむのりしつやす曰,くわだてしゃだてまたがしゃくだりしゃ不明ふめいしゃあきらしゃこう矜者ちょう。其在道也みちや,曰餘しょくぜいぎょう其唯於道而論わか卻至これぎょうもり饌之あまり也。ほん雖美,さら薉也。雖有功ゆうこう而自これさらため肬贅しゃ也。ものあるあくゆう道者どうしゃしょ

25 道德どうとく真經さねつね... :
ゆうぶつ混成こんせい先天せんてんせいこんしか不可ふかとく而知,而萬ぶつ由之よしゆき以成,混成こんせい也。不知ふち其誰之子ゆきこ先天せんてんせいさび兮寥兮,獨立どくりつあらため寂寥せきりょう形體けいたい也。ものこれひき獨立どくりつ也。かえし終始しゅうししつ其常,曰不あらため也。しゅうこう而不殆,以為天下でんかははしゅうこうところいたり而免殆,能生のうぜん大形おおがた也,以為天下でんかはは也。われ不知ふち其名,めい以定がた混成こんせい無形むけい不可ふかとく而定,曰,不知ふち其名也。曰道,おっとめい以定がた以稱言道ことみち於無ぶつ而不由也よしや混成こんせいなかげんたたえ最大さいだい也。つよ為之ためゆきめい,曰大。われ所以ゆえん曰道しゃ其可ごとたたえ最大さいだい也。せめ其字定之さだゆき所由しょゆうのり繫於だいだいゆう繫,のり必有ぶんゆうぶんそくしつ其極矣。曰,つよためめい曰大。だい曰逝,逝,ぎょう也。もりいち大體だいたい而已。しゅうこうところいたり曰逝也。逝曰とおとお曰反。とおごく也。しゅうしょ窮極きゅうきょく不偏ふへん於一。逝故曰遠也,不隨ふずい於所てき,其體獨立どくりつ曰反也。みちだいてんだいだいおうまただい天地てんちせい人為じんいとうと,而王じんしゅ也。雖不しょく大亦おおまたふくためだいあずかさんひき曰,おうまただい也。いき中有ちゅううよんだい四大しだいみちてんおう也。凡物ゆうしょう有名ゆうめいそく其極也,こと道則みちのりゆう所由しょゆうゆう所由しょゆうしかこういいためどうしかのりどうしょうちゅうだい也,わかしょうだい也。しょう不可ふかとく而名曰域也,みち天地てんちおうみなざい乎無しょう內,曰,いき中有ちゅううよんだいしゃ也。而王きょ其一焉。しょじんぬしだい也。ひとほうほうてんてんほうどうみちほう自然しぜんほういい法則ほうそく也。ひとたがえ,乃得ぜんやすほう也。たがえてん,乃得ぜんほうてん也。てんたがえどう,乃得ぜんくつがえほう道也みちやみちたがえ自然しぜん,乃得其性,ほう自然しぜんしゃ在方ざいかた而法かたざいえん而法えん,於自然しぜんしょたがえ自然しぜんしゃしょうげん窮極きゅうきょくやめ也。ようさとし無知むち,而形たま及精ぞうせいぞう及無がたゆう及無てん相法そうほう也。道順みちじゅん自然しぜんてん焉。てんほう於道,のり焉。ほう於天,にんぞう焉。所以ゆえんためぬしいちこれしゃしゅ也。

26 道德どうとく真經さねつね... :
じゅうためけいせいため躁君。凡物かる不能ふのうおもしょう不能ふのう鎮大。行者ぎょうじゃ使ぎょう不動ふどうしゃ制動せいどう以重必為けいせい必為躁君也。以聖じん終日しゅうじつぎょう不離ふり輜重しちょう以重為本ためもと不離ふり雖有さかえかんつばめしょ超然ちょうぜん以經こころ也。奈何いかんまんじょうおも,而以身輕みがる天下でんかけいのりしつほん,躁則しつくんけい重也しげやしつほんため也,しつくんためしつくん也。

27 道德どうとく真經さねつね... :
善行ぜんこうわだち迹,じゅん自然しぜん而行,みやつこはじめものとくいたり而無わだち迹也。善言ぜんげんきず讁;じゅんぶつこれせいべつ析,きず讁可とく其門也。ぜんすう不用ふよう籌策;いんぶつすうかりかたち也。ぜん閉無せき楗而不可ふかひらけぜんゆいなわやく不可解ふかかいいんぶつ自然しぜんしつらえほどこせ不用ふようせき楗繩やく不可ふかひらきかい也。此五者皆言不造不施,いんぶつこれせい以形せいぶつ也。以聖じんつねぜんすくいじん棄人;聖人せいじんだてがためい以檢於物,みやつこすすむこう以殊棄不肖ふしょう,輔萬物之自然而不為始,曰無棄人也。なおけんのうのりみんそうなんとく貨,のりみん不為ふためぬすめよくのり民心みんしん不亂ふらんつね使つかい民心みんしん無欲むよく惑,のり棄人矣。つねぜんすくいぶつ棄物,いいかさねあかり善人ぜんにんしゃ善人ぜんにん舉善以師不善ふぜんいい矣。善人ぜんにんしゃ善人ぜんにん也。善人ぜんにん以善ひとし不善ふぜん,以善棄不善ふぜん不善ふぜんじん善人ぜんにんこれしょ也。其師,あい其資,雖智だい迷,雖有其智,自任じにん其智,いんぶつ,於其どう必失。曰,雖智だい迷。いいようみょう

28 道德どうとく真經さねつね... :
其雄,まもり其雌,ため天下でんか谿。ため天下でんか谿,常德じょうとく不離ふり復歸ふっき於嬰ゆうさきぞくめすぞく也。ため天下でんかせん也,必後也,以聖人後じんご其身而身さき也。谿不もとめぶつ而物嬰兒えいじ不用ふようさとし而合自然しぜんさとし其白,まもり其黑,ため天下でんかしきしきそく也。ため天下でんかしき常德じょうとく忒,忒,也。復歸ふっき於無きょく不可ふかきゅう也。其榮,まもり其辱,ため天下でんかたに常德じょうとく乃足,復歸ふっき於樸。此三しゃげんつねはんおわり乃德ぜん其所しょ也。したあきらうんたんしゃ道之みちゆきどう也。こう不可ふかつねしょ其母也。しらきのりため聖人せいじんようのりためかんちょうしらき也。のりひゃくぎょうことるいせいわかうつわ也。聖人せいじんいん分散ぶんさん為之ためゆきたてかんちょう。以善ため不善ふぜんためうつりふうえきぞくふく使一也かずやだいせいわりだいせいしゃ,以天下之したのしん為心いしんわり也。

29 道德どうとく真經さねつね... :
はたほし天下てんか而為われ其不とくやめ天下てんか神器じんぎかみ形無かたなしかた也。うつわ合成ごうせい也。無形むけい以合,いい神器じんぎ也。不可ふかため也,ためしゃはいしゃしつ萬物ばんぶつ自然しぜんためせいいん不可ふかため也。どおり不可ふか也。ものゆうつねせい,而造為之ためゆき必敗也。ものゆう往來おうらい而執必失矣。ものあるくだりあるしたがえある歔或吹。あるつよある羸,あるくじけある隳。以聖じん甚,おごたい凡此しょあるげん物事ものごと逆順ぎゃくじゅん反覆はんぷくほどこせためわり也。聖人せいじんたち自然しぜんいたりとおる萬物ばんぶつじょういん不為ふためじゅん而不ほどこせじょ其所以迷,其所以惑,しん不亂ふらん而物せい自得じとく也。

30 道德どうとく真經さねつね... :
以道じんおもしゃ以兵きょう天下でんか以道じんぬしなお不可ふか以兵きょう於天きょうじんしゅ躬於道者どうしゃ乎。其事こうかえためはじめしゃつとむよくりつこうせいごと,而有道者どうしゃつとむよくかえはん無為むいうん,其事こうかえ也。これしょしょ荊棘けいきょくせい焉。大軍たいぐんこれ,必有凶年きょうねんげんきょうがいもの也。ゆうしょずみ,必有しょきずぞくがい人民じんみんざん荒田あらだうね曰荊とげせい焉。ぜんしゃはて而已,以取きょうはてなおすみ也。げん善用ぜんようしゃおもむき以濟なん而已矣,以兵りょくつよ於天也。はて而勿矜,はて而勿伐,はて而勿驕。われ以師どうためなおとくやめ而用,なに矜驕ゆう也。はて而不とくやめはて而勿きょうげん用兵ようへい雖趣こうはてずみなんしかときとくやめとうふくようしゃただしとう以除暴亂,とげようはて以為きょう也。ものたけしそくおいいいみちみちはややめたけし武力ぶりょく暴興,喻以へいきょう於天しゃ也。飄風おわりあさ驟雨しゅうう終日しゅうじつ暴興必不どうはややめ也。

31 道德どうとく真經さねつね... :
おっとけいへいしゃ不祥ふしょううつわものあるあくゆう道者どうしゃしょ君子くんしきょそくひだり用兵ようへいそくみぎへいしゃ不祥ふしょううつわ君子くんしうつわとくやめ而用恬淡てんたんためじょうかち而不,而美これしゃらく殺人さつじんおっとらく殺人さつじんしゃのり不可ふか以得こころざし於天矣。吉事きちじなおひだり凶事きょうじなおみぎへん將軍しょうぐんきょひだりうえ將軍しょうぐんきょみぎげん以喪れいしょ殺人さつじん眾,以哀悲泣戰勝せんしょう,以喪れいしょ

32 道德どうとく真經さねつね... :
みちつね無名むめい
しらき雖小,
1天下てんか莫能しん也。ほうおうわかのう守之もりゆき萬物ばんぶつはたまろうど
みち無形むけい繫常,不可ふかめい,以無めいためつね曰道つね無名むめい也。しらきためぶつ,以無為心いしん也,また無名むめいしょう得道とくどう莫若もりしらきおっと智者ちしゃ以能しん也,勇者ゆうしゃ以武使也,巧者こうしゃ以事やく也,ちからしゃ重任じゅうにん也,しらきためぶつ,憒然不偏ふへんきん於無ゆう曰,莫能しん也。だきしらき無為むい以物るい其真,以欲がい其神,のりぶつまろうど而道自得じとく也。天地てんち相合そうごう以降いこう甘露かんろみん莫之れい而自ひとしげん天地てんち相合そうごうのり甘露かんろもとめ而自くだわがもり其真せい無為むいのりみんれい而自ひとし也。はじめせい有名ゆうめいめいまたすんでゆうおっとまたはたどめとめ所以ゆえん殆。はじめせいいいしらきはじめためかんちょうこれ也。はじめせいかんちょう不可ふかたて名分めいぶん以定尊卑そんぴはじめせい有名ゆうめい也,此以往將そうきりがたなこれまつ曰,めいまたすんでゆうおっとまたはたとめ也,とげにんめい以號ぶつのりしつ治之はるゆきはは故知こちとめ所以ゆえん殆也。たとえどう在天ざいてんなお川谷かわたに於江うみ川谷かわたに以求あずかうみこううみ召之,召不もとめ而自しゃせい行道ぎょうどう於天しゃれい而自ひとしもとめ自得じとく曰,なお川谷かわたにあずかこううみ也。

1. しらき雖小, : Inserted. 本章ほんしょうおう弼注多言たげんしらき」,よりどころ河上かわかみこうちゅうほんうまおううずたか老子ろうしおつぞう

33 道德どうとく真經さねつね... :
知人ちじんしゃさとし知者ちしゃあかり知人ちじんしゃさとし而已矣,わか知者ちしゃちょう智之としゆきじょう也。勝人まさとしゃ有力ゆうりょく勝者しょうしゃきょう勝人まさとしゃ有力ゆうりょく而已矣,わか勝者しょうしゃもの以損其力,よう其智於人,わかよう其智於己也。よう其力於人,わかよう其力於己也。明用みょうよう於己,のりぶつ避焉,ちからよう於己,のりぶつあらため焉。知足ちそくしゃとみ知足ちそくしつ富也とみや強行きょうこうしゃ有志ゆうしつとむ能行よしゆき,其志必獲,曰強行者ぎょうじゃ有志ゆうし矣。しつ其所しゃひさ以明察,りょうりょく而行,しつ其所,必獲久長ひさなが矣。而不亡者もうじゃことぶき雖死而以ためせいみちほろび乃得ぜん其壽,ぼつ而道なおそんきょうそん而道そつ乎。

34 道德どうとく真經さねつね... :
大道だいどう氾兮,其可左右さゆう言道ことみち氾濫はんらんしょ不適ふてき左右さゆう上下じょうげ周旋しゅうせん而用,のりしょいたり也。萬物恃之而生而不辭,こうなりめいゆうころもよう萬物ばんぶつ不為ふためぬしつね無欲むよくめい於小;萬物皆由道而生,すんでせい不知ふち所由しょゆう天下てんかつね無欲むよくとき萬物ばんぶつかくとく其所,わかみちほどこせ於物,めい於小矣。萬物歸焉而不為主,めいためだい萬物ばんぶつみな以生,而力使不知ふち所由しょゆう,此不為ふためしょうふくめい於大おだい矣。以其おわりためだい能成よしなり其大。ためだい於其ほそなん於其えき

35 道德どうとく真經さねつね... :
だいぞう天下てんか往。だいぞう天象てんしょうはは也,かんあつしりょうのうつつみすべ萬物ばんぶつところはんきずおもわかこれのり天下でんか往也。往而がいあん平太へいた形無かたなし識,不偏ふへんあきら萬物得往而不害妨也。らくあずかえさ過客かかくどめ道之みちゆき出口いでぐちあわ乎其無味むみ不足ふそく,聽之不足ふそく聞,よう不可ふかすんで言道ことみちふかだいにん聞道きくならくこれげん乃更如樂あずかえさおうかんえつ人心じんしん也。らくあずかえさそくのうれい過客かかくどめ,而道げんあわしか無味むみ不足ふそくそく不足ふそく以悅其目,聽之不足ふそく聞則不足ふそく以娛其耳,わかしょちゅうしか乃用不可ふか窮極きゅうきょく也。

36 道德どうとく真經さねつね... :
はたよく歙之,必固はりはたよくじゃく,必固きょうはたよくはい,必固きょうはたほしだつこれ,必固あずかこれいいほろあかりはたよくじょきょうはり暴亂,とう以此よんしゃいんぶつこれせいれい其自戮,かりけいためだい,以除しょうぶつ也,曰微明也あきやあし其張,れいあし而又もとめ其張,のり眾所歙也,あずか其張不足ふそく而改其求はりしゃいよいよえき而已,はん危。柔弱にゅうじゃくかつつよしきょうさかな不可ふかだつ於淵,國之くにゆき利器りき不可ふか以示じん利器りき利國としくにこれ也。ただいんぶつこれせいかりけい以理ぶつうつわ不可ふか覩,而物かくとく其所,のりこく利器りき也。しめせじんしゃにんけい也。けい以利こくのりしつ矣。さかなだつ於淵そく必見ひっけんしつ矣。利國としくに而立じりつけい以示じんまた必失也。

37 道德どうとく真經さねつね... :
みちつね無為むいじゅん自然しぜん也。而無不為ふため萬物ばんぶつよしため,以治以成也。ほうおうわかのう守之もりゆき萬物ばんぶつはた而欲さくわれはた鎮之以無めいしらき而欲さくさくよくしげる也。われはた鎮之無名むめいしらき不為ふためぬし也。無名むめいしらきおっとまたはた無欲むよく無欲むよくきおい也。よく以靜,天下てんかはたじょう

38 道德どうとく真經さねつね... :
上德かみとく不德ふとく有德うとくとくしつとく以無とく上德かみとく無為むい而無以為;とく為之ためゆき而有以為。うえひとし為之ためゆき而無以為;じょうよし為之ためゆき而有以為。うえあや為之ためゆき而莫おうのり攘臂而扔しつどう而後とくしつとく而後じんしつひとし而後しつよし而後れいおっと禮者れいしゃ忠信ちゅうしんうすき,而亂くびぜん識者しきしゃ道之みちゆきはな,而愚はじめ以大丈夫じょうぶしょ其厚,きょ其薄;しょ其實,きょ其華。かれ此。とくしゃとく也。つねとく而無無害むがい以德ためめい焉。なに以得とくよし道也みちやなに以盡とく?以無為むいよう。以無為むいようそく莫不也,もの焉,のりものけいゆう焉,のり不足ふそく以免其生。以天雖廣,以無為心いしん聖王せいおう雖大,以虛ためぬし曰,以復而視,のり天地てんちこころいたり而思のり先王せんおういたり覩也。めつ其私而無其身,のり四海莫不瞻,遠近えんきん莫不いたりこと其己而有其心,のり一體いったい不能ふのうぜんはだこつ不能ふのうしょうよう以上いじょう德之のりゆきじんただどうよう不德ふとく其德,無用むようのう有德うとく而無不為ふためもとめ而得,不為ふため而成,有德うとく而無とくめい也。したとくもとめ而得ため而成のりりつぜん以治ぶつとくめいゆう焉。もとめ而得必有しつ焉,ため而成必有はい焉,善名ぜんなせいのりゆう不善ふぜんおう焉,したとく為之ためゆき而有以為也。以為しゃしょへんため也。凡不能ふのう無為むい而為これしゃみな德也とくや仁義じんぎ禮節れいせつ是也これやはた明德めいとく上下じょうげ,輒舉とく以對上德かみとくいたり於無以為,きょくとく下之したのりょううえひとし是也これやあし及於以為而猶為之ためゆき焉。為之ためゆき而無以為,有為ゆうい為之ためゆき患矣。ほんざい無為むいははざい無名むめい,棄本捨母而適其子,こう雖大焉,必有すみめい雖美焉,にせまた必生。不能ふのう不為ふため而成,不興ふきょう而治,のり乃為ゆうひろしはくほどこせ仁愛じんあいこれしゃ,而愛ところへんわたしうえひとし為之ためゆき而無以為也。あい不能ふのうけんのりゆうそもそもこう正真しょうしん而義理之まさゆきしゃ,忿枉ゆうじきじょかれおさむ物事ものごと而有以心ため矣,うえよし為之ためゆき而有以為也。ちょく不能ふのうあつのりゆうゆうかざりおさむぶんれい敬之たかゆきしゃなおこうおさむけいこうせめ往來おうらいのりたいあいだ忿怒ふんどせい焉。うえれい為之ためゆき而莫おうのり攘臂而扔おっとだいごく也,其唯どう乎,此已往,あにあしみこと哉。雖德盛業せいぎょうだいとみ而有萬物ばんぶつなおかくとく其德,雖貴以たかい無為むいよう不能ふのう捨無以為たい也,不能ふのう捨無以為からだそくしつ其為だい矣,所謂いわゆるしつどう而後德也とくや。以無為むいようとく其母,のうおのれ不勞ふろう焉而ぶつした此已往,のりしつようはは不能ふのう無為むい而貴はくほどこせ不能ふのうはくほどこせ而貴正直しょうじき不能ふのう正直しょうじき而貴かざりけい所謂いわゆるしつとく而後じんしつひとし而後しつよし而後れい也。おっとれい也,ところはじめくび忠信ちゅうしんあつつう簡不せめ備於ひょう機微きびそうせいおっと仁義じんぎはつ於內,ためなおにせきょうつとむがいかざり而可ひさ乎。おっと禮者れいしゃ忠信ちゅうしんうす而亂くび也。ぜん識者しきしゃ前人ぜんじん而識也,そく德之のりゆきりん也。竭其聰明そうめい以為ぜん識,やく其智りょく以營庶事,雖德其情,かんたくみわたるひそか,雖豐其譽,いよいよ篤實とくじつろう而事昏,つとむ而治薉,雖竭ひじりさとし而民いよいよがいしゃおのれにんぶつのり無為むい而泰。守夫もりお素樸そぼくのり不順ふじゅんてんせい,聽彼しょ,棄此しょもり,識道はな而愚くび茍得其為こうははのり萬物作焉而不辭也。萬事存焉而不勞也,よう以形,以名,仁義じんぎあらわれいけいあきら也。おっとこれ以大どう,鎮之以為めいのりぶつしょなおこころざししょ營,かくにん其貞,ことよう其誠,のり仁德じんとくあつ焉,ぎょう義正よしまさ焉,れいけいしん焉,棄其所載しょさいしゃ其所せいよう成形せいけいやく聰明そうめいじんそくまこと焉,其競焉,れい其爭焉,仁德じんとくあつよう仁之ひとししょのう也,ぎょう義之よしゆきただしよう義之よしゆきしょなり也。れい敬之たかゆききよしようれいところわたる也。これ以道,みつる以母,あらわ而無しょなおあきら而無しょきそえようおっと無名むめいめい以篤焉。ようおっと無形むけいかたち以成焉。まもりはは以存其子,たかしほん以舉其末,のりがためい俱有而邪せい大美おおみはいてん而華不作ふさくはは不可ふかとおほん不可ふかしつ仁義じんぎはは所生しょせい以為ははかたちたくみところしげる以為たくみ也。捨其はは而用其子,棄其ほん而適其末,めいそくゆうしょぶんかたちそくゆうしょとめ,雖極其大,必有しゅう,雖盛其美,必有憂患ゆうかんいさおざい為之ためゆきあにあししょ也。

39 道德どうとく真經さねつね... :
むかしいちしゃむかしはじめ也。いちすうはじめ而物ごく也。かく一物いちもつなま所以ゆえんためぬし也。ものみなかくとく此一以成,既成きせい而舍以居なりきょなりそくしつ其母,みなきれはつ歇竭ほろび也。てんとくいち以清,とくいち以寧,かみ得一とくいち以靈,たに得一とくいち以盈,萬物ばんぶつとくいち以生,ほうおう得一とくいち以為天下でんかさだ。其致かく以其一致いっち此清、やすしれいみつるなまさだてん以清はたおそれきれもちいいち以致きよしみみようきよし以清也。守一しゅいち則清のりきよしつよう清則きよのりおそれきれ也。ためこうはは不可ふかしゃ也。以皆無用むよう其功,おそれ其本也。以寧はたおそれはつかみ以靈はたおそれ歇,たに以盈はたおそれ竭,萬物無以生將恐滅,こうおう以貴だかはたおそれ以賤為本ためもとたか以下いかためもと以侯おう自稱じしょう﹑寡﹑こく。此非以賤為本ためもと耶?乎?致數輿こし輿こしよく琭琭如玉,珞珞如石。きよ不能ふのうためきよしみつる不能ふのうためみつるみなゆう其母以存其形,きよし不足ふそくとうとみつる不足ふそくざい其母,而母かたち乃以賤為ほん高乃たかの以下いかためもと致數輿こし乃無輿こし也,玉石ぎょくせき琭琭珞珞,たいつき於形,よく也。

40 道德どうとく真經さねつね... :
はんしゃ道之みちゆきどうたか以下いかためもと以賤為本ためもとゆう無為むいよう,此其はん也。どうみな其所のりぶつどおり矣。曰,たんしゃ道之みちゆきどう也。弱者じゃくしゃ道之みちゆきよう柔弱にゅうじゃくどうつう不可ふか窮極きゅうきょく天下てんか萬物ばんぶつせい於有,有生ゆうせい於無。天下てんかものみな有為ゆういせいゆうところはじめ,以無為本ためもとはたほしぜんゆう,必反於無也。

41 道德どうとく真經さねつね... :
上士じょうし聞道きくならくつとむ而行有志ゆうし也。ちゅう聞道きくならくわかそんわかほろび下士かし聞道きくならくだいわらいわらい不足ふそく以為どう建言けんげんゆうけんなおたて也。明道みょうどうわか昧,ひかり而不耀。すすむみちわか退ずさこう其身而身さきそと其身而身そんえびすどうわか纇,纇,㘨也。だい夷之えびすのどういんぶつこれせいひら以割ぶつ,其平,乃更はんわか纇㘨也。上德かみとくわかたに不德ふとく其德,所懷しょかい也。大白おおしろわかはずかしめ其白,まもり其黑,大白たいはくしかこう乃得。廣德ひろのりわか不足ふそく廣德ひろのりみつるくるわしか無形むけい不可ふか滿也みつや建德けんとくわか偷,偷,ひき也。建德けんとくしゃいんぶつ自然しぜんだてほどこせわか偷匹。しつわか渝,しつしんしゃ矜其しん渝。大方おおかたすみほう而不わりすみ也。大器晚成たいきばんせい大器たいきなり天下でんかぜんべつ晚成ばんせい也。大音おおとまれごえ聽之聞名曰希,不可ふかとく聞之おん也。ゆうこえそくゆうぶんゆうぶんそくみや而商矣,ふんそく不能ふのうすべ眾,ゆうごえしゃ大音おおと也。だいぞう無形むけい有形ゆうけいそくゆうぶんゆうぶんしゃゆたかのりえんほのおそくかんぞう而形しゃだいぞうみちかくれ無名むめいおっとただどうぜんかし且成。凡此しょぜんみなどうところしげる也。ざいぞうそくためだいぞう,而大ぞう無形むけいざいおとそくため大音おおと,而大おんまれごえもの以之なり而不成形せいけいかくれ而無めい也。かしただきょう其乏而已,一貸之則足以永終其德,曰善かし也。成之しげゆき如機たくみたっもの而不ずみ其形,曰善なり

42 道德どうとく真經さねつね... :
道生どうしょういち一生いっしょうせいさんさんなま萬物ばんぶつ。萬物負陰而抱陽,おき以為ひとこれしょあくただ﹑寡﹑こく,而王公おうこう以為しょうものあるそん而益,あるえき而損。萬物ばんぶつまんかたち,其歸一也かずやなによし致一,ゆかり於無也。ゆかり乃一,いちいいやめいいいちあにとく無言むごん乎。ゆうげん有一ゆういち如何いか有一ゆういち有二ゆうじとげなま乎三,したがえこれゆうすうつき乎斯,以往いおう非道ひどうながれ萬物ばんぶつなまわれ其主,雖有まんかたちおきいち焉。百姓ひゃくしょう有心うしん異國いこくことふう,而得いちしゃ王侯おうこうぬし焉。以一ためぬしいちなんしゃいよいよおおいよいよとおそんそくきんこれそんいたりつき,乃得其極。すんでいいいちなお乃至ないしさんきょうほん一而道可近乎,そん而益,あに虛言きょげん也。ひとこれしょきょうわがまた教之のりゆきわがこれきょう使つかいじんしたがえ也,而用おっと自然しぜん,舉其いたりじゅん必吉,たがえ必凶。人相にんそうきょうたがえ其凶也,また如我きょうじん,勿違也。つよはりしゃとく其死,われはた以為教父きょうふつよはりそく必不とく其死。人相にんそうきょうためきょうはりのり必如きょうじん當為とういきょうはり也。舉其きょうはりとく其死以教よこしまわかうんじゅんわれきょう必吉也,とく其違きょうてき以為教父きょうふ也。

43 道德どうとく真經さねつね... :
天下てんかいたりやわらはせ騁天下之したのいたりけんしょ不入ふにゅう水無みずなししょ不出ふしゅつ於經。ゆうにゅう無閒むげんわれ以知無為むい有益ゆうえき虛無きょむ柔弱にゅうじゃくしょ不通ふつうゆう不可ふかきゅういたりやわら不可ふかおり,以此推之,故知こち無為むい有益ゆうえき也。不言ふげんきょう無為むいえき天下てんかまれ及之。

44 道德どうとく真經さねつね... :
めいあずか孰親?なおめいこのみだか,其身必疏。あずか貨孰むさぼ貨無いや,其身必少。あずかほろび孰病?とく多利たり而亡其身,何者なにものためびょう也。甚愛必大多藏たぞう必厚ほろび甚愛あずかものどおり多藏たぞうあずかものもとめこれしゃおさむこれしゃ眾,ためぶつしょびょうだいあつしほろび也。知足ちそくはずかしめとめ殆,以長ひさし

45 道德どうとく真經さねつね... :
大成たいせいわかかけ,其用へいずいぶつ而成,不為ふためいちぞうわかかけ也。だいみつるわかおき,其用きゅうだいみつるおきあしずいぶつ而與,ところあい矜,わかおき也。だいちょくわかこごめずいぶつ而直,ちょく不在ふざいいちわかこごめ也。だいたくみわかつたなだいたくみいん自然しぜん以成みやつこため異端いたんわかつたな也。だいわきまえわか訥。だいべんいんぶつ而言,おのれところづくりわか訥也。躁勝かんせいかちねつせいしずため天下でんかせい躁罷しかこうかちかんせい無為むい以勝ねつ,以此推之,則清のりきよせいため天下でんか正也まさやせいそくぜんものしん,躁則はんぶつこれせいおもんみせいしず乃得如上じょじょうしょだい也。

46 道德どうとく真經さねつね... :
天下てんか有道ありみち,卻走以糞。天下てんか有道ありみち知足ちそくどめもとめ於外,かくおさむ其內而已,卻走治田はったくそ也。天下てんか無道むどうえびすせい於郊。貪欲どんよくいやおさむ其內,かくもとめ於外,えびすせい於郊也。わざわい莫大ばくだい於不知足ちそくとがめ莫大ばくだい於欲とく知足ちそくあしつねあし矣。

47 道德どうとく真經さねつね... :
出戶でと天下でんか窺牖,天道てんとうことゆうむね,而物ゆうぬし雖殊而同也,おもんばか雖百而其致一也。みちゆうだいつねゆうだい致,これどう以御いま,雖處於今,以知はじめ不出ふしゅつ,窺牖而可知也ともや其出わたるとお,其知わたるしょうざい於一而求之於眾也,みち不可ふか,聽之不可ふか聞,搏之不可ふか,如其知之ともゆき須出わか不知ふちいよいよとおいよいよ迷也。以聖じんくだり而知,而名,得物えもの致,雖不ぎょう而慮知也ともや。識物そう雖不,而是非ぜひとく而名也。不為ふため而成。あかりぶつこれせいいん而已。不為ふため而使なり矣。

48 道德どうとく真經さねつね... :
ためがくえきつとむよくすすむ其所のうえき其所習。ためどうそんつとむよくはん虛無きょむ也。そんまたそこね,以至於無ため無為むい而無不為ふため有為ゆういそくゆうしょしつ無為むい乃無しょ不為ふため也。天下てんかつね無事ぶじどうつねいん也。及其有事ゆうじ自己じこづくり也。不足ふそく以取天下でんかしつすべほん也。

49 道德どうとく真經さねつね... :
聖人せいじん無常むじょうしん,以百姓ひゃくしょうしん為心いしんどうつねいん也。ぜんしゃわれ善之よしゆき不善ふぜんしゃわれまた善之よしゆきかくいん其用そくぜんしつ也。德善とくぜん棄人也。信者しんじゃわれ信之のぶゆき不信ふしんしゃわれまた信之のぶゆきとくしん聖人せいじんざい天下てんか歙歙,ため天下でんか渾其しん百姓ひゃくしょうみなちゅう其耳かくよう聰明そうめい聖人せいじんみな孩之。みな使而無よく,如嬰也。おっと天地てんちしつらえ聖人せいじん成能なるのうにんはかりごと鬼謀きぼう百姓ひゃくしょう與能よのうしゃのうしゃあずかこれしゃこれのうだいのりだい貴則たかのりぶつゆう其宗,ことゆう其主,如此そく冕疏たかし而不懼於欺,黈纊塞みみ而無戚於慢,またなにためろう一身いっしん聰明そうめい,以察百姓ひゃくしょうじょう哉。おっと明察めいさつぶつものまたきおい以其あかりおう,以不信ふしん察物,ものまたきおい以其不信ふしんおうおっと天下でんかしん必同其所おう敢異そく莫肯よう其情矣。甚矣,がいだい也,莫大ばくだい於用其明矣,おっとざい智則とものりじんあずかこれ訟,ざいちからそくじんあずかこれそうさとし不出ふしゅつ於人而立じりつ乎訟のりきゅう矣。ちから不出ふしゅつ於人而立じりつ乎爭のり危矣。有能ゆうのう使じん無用むよう其智りょく乎己しゃ也,如此そくおのれ以一てきじん,而人以千まんてきおのれ也。わか乃多其法もうはん其刑ばつふさが其徑おさむ其幽たくのり萬物失其自然,百姓喪其手足,ちょうらん於上,さかならん於下おした以聖じん於天,歙歙焉,心無こころなところしゅ也,ため天下でんか渾心焉,しょてき莫也。しょ察焉,百姓ひゃくしょうなん避,ところもとむ焉,百姓ひゃくしょうなんおう避無おうのり莫不よう其情矣。ひと無為むいしゃ其所のう而為其所不能ふのうしゃ其所ちょう而為其短,如此,のりげんしゃげん其所ぎょうしゃぎょう其所のう,百姓各皆注其耳目焉,われみな孩之而已。

50 道德どうとく真經さねつね... :
出生しゅっしょういれ出生しゅっしょうにゅう死地しちなまじゅうゆうさんじゅうゆうさんじんなまどう死地しちまたじゅうゆうさんおっと何故なぜ?以其生生せいせいあつぶた聞善攝生せっせいしゃ陸行りくこう不遇ふぐう兕虎,いれぐんかぶとへい;兕無しょとう其角きかくとらしょ措其つめへいしょよう其刃。おっと何故なぜ?以其無死むしじゅう有三ゆうぞうなおうんじゅう分有ぶんゆうさんふん其生どうぜんせいごくじゅう分有ぶんゆうさんみみみちぜんごくまたじゅう分有ぶんゆうさんみみ。而民生生せいせいあつさらせい焉,ぜん攝生せっせいしゃ以生ためせい無死むし也。うつわがいしゃ,莫甚乎兵戈へいかししがいしゃ,莫甚乎兕とら,而令兵戈へいかしょよう其鋒とら兕無しょ措其つめかく,斯誠以欲るい其身しゃ也,なに死地しちゆう乎。おっと蚖蟺以淵ためあさ,而鑿あな其中,たか鸇以やまため卑,而增其上,矰繳不能ふのう及,もう不能ふのういたいいしょ於無死地しち矣,しか而卒以甘えさ,乃入於無せいあに生生せいせいあつ乎,もの茍不以求はなれ其本,以欲渝其しん,雖入ぐん而不がい陸行りくこう不可ふかはん也,赤子あかごのり貴信きしん矣。

51 道德どうとく真經さねつね... :
道生どうしょうとく畜之,ものがたいきおい成之しげゆきものせい而後畜,畜而かたちかたち而後なりなによし而生?道也みちやなんとく而畜?德也とくやなんよし而形?もの也;なん使つかい而成,いきおい也。ただいん也,のうもの而不がたただぜい也,のうもの而不なり。凡物所以ゆえんせいこう所以ゆえんなりみなゆう所由しょゆうゆう所由しょゆう焉,のり莫不よし道也みちや推而きょくまたいたり道也みちやずい其所いんかくゆうしょう焉。以萬物莫不尊道而貴德。道者どうしゃものところ由也よしやとくしゃもの所得しょとく也。由之よしゆき乃得,曰不とくしつみことのりがいとく也。道之みちゆきみこと德之のりゆきたかおっと莫之いのち而常自然しぜんいのちなみさく爵。道生どうしょうとく畜之。ちょうそだてこれちんどくやしなえくつがえこれいいなり其實,かくとく其庇かげきず其體矣。なま而不ゆうため而不恃,ため而不ゆうちょう而不おさむいいげんとく有德うとく不知ふち其主也,乎幽めい以謂げん德也とくや

52 道德どうとく真經さねつね... :
天下てんかゆうはじめ,以為天下でんかははぜんはじめのりぜんやしなえ畜之矣,天下てんかゆうはじめのり以為天下でんかはは矣。既得きとく1其母,以2其子,既知きち其子,ふくもり其母,ぼつ3殆。ははほん也,すえ也。得本とくもと以知まつしゃほん以逐まつ也。ふさが其兌,閉其もん兌,ことほっ所由しょゆうせいもんことほっ所由しょゆうしたがえ也。終身しゅうしんつとむ無事ぶじえいいつ終身しゅうしんつとむ也。ひらき其兌,すみ其事,終身しゅうしんすくい閉其げん而濟其事,終身しゅうしんすくいしょう曰明,まもりやわら曰強。ため治之はるゆきこう不在ふざいだいだい不明ふめいしょう乃明。まもりきょうつよしまもりやわら乃強也。よう其光,あらわどう以去みん迷。復歸ふっき其明,不明ふめい察也。のこ殃,ため習常。道之みちゆきつね也。

1. とく : Originally read: "". よりどころいっ叢書そうしょほんうまおううずたかほんあらため
2. 以 : Originally read: "ふく". よりどころいっ叢書そうしょほんうまおううずたかほんあらため
3. : Originally read: "其". よりどころいっ叢書そうしょほんうまおううずたかほんあらため

53 道德どうとく真經さねつね... :
使つかいわがかいしかゆうぎょう於大おだいどうただほどこせかしこげんわか使つかいわがかいしかゆうぎょう大道だいどう於天ただほどこせ為之ためゆきかしこ也。大道だいどう甚夷,而民こうみちげん大道だいどうとろけしか正平しょうへい,而民なおひさししゃ而不ゆかりこうしたがえよこしまみちきょうふくほどこせため以塞大道だいどうちゅう乎。曰,大道だいどう甚夷,而民こうみちあさ甚除,あさ宮室きゅうしつ也。じょきよしこう也。甚蕪,くら甚虛;あさ甚除,のり甚蕪,くら甚虛,しつらえ一而眾害生也。ふくぶん綵,おび利劍りけんいや飲食いんしょく財貨ざいか有餘ゆうよため夸盜。非道ひどう也哉!凡物以其どうとくのりみなよこしま也,よこしまそくぬすめ也。夸而以其どうとく,竊位也,舉非どう以明非道ひどうのりみなぬすめ夸也。

54 道德どうとく真經さねつね... :
ぜんけんしゃ不拔ふばつかた其根而後營其まつ拔也。ぜんだきしゃだっむさぼ於多,ひとし其所のうだつ也。子孫しそん祭祀さいし輟。子孫しそんでん此道以祭祀さいしそく輟也。修之のぶゆき於身,其德乃真;修之のぶゆき於家,其德乃餘;以身及人也,修之のぶゆきそくしん修之のぶゆきそく有餘ゆうよ修之のぶゆきはいしょほどこせてんだい修之のぶゆき於鄉,其德乃長;修之のぶゆき於國,其德乃豐;修之のぶゆき於天,其德乃普。以身かん,以家かん,以鄉かんきょう,以國かんこくかれみなしか也。以天かん天下でんか以天百姓心觀天下之道也,天下てんかみち逆順ぎゃくじゅん吉凶きっきょうまたみな如人道也みちやわれなん以知天下でんかしか哉?以此。上之うえのしょうん也。げんわれなん以得天下でんか乎,察己以知もとめ於外也,所謂いわゆる出戶でと以知天下でんかしゃ也。

55 道德どうとく真經さねつね... :
含德あつ於赤はち蠆虺へび螫,猛獸もうじゅうよりどころ,攫鳥搏。赤子あかごもとめ無欲むよく不犯ふぼん眾物,毒蟲どくむしものはんひと也。しゃ德之のりゆきあつしゃ不犯ふぼん於物,もの以損其全也。ほねじゃくすじやわ而握かた以柔じゃくにぎのうしゅうかた未知みち牝牡ひんぼごう而全さくさくちょう也。もの以損其身,のう全長ぜんちょう也。げん含德あつしゃもの以損其德,渝其しん柔弱にゅうじゃくそう而不摧折しゃみなわか此也。せいいたり也。終日しゅうじつごう而不しゃがれそうほっしん終日しゅうじつごえ而不しゃがれ也。和之かずゆきいたり也。知和ちわ曰常,もの以和ためつね故知こち和則かずのりとくつね也。つね曰明。皦不昧,あつしりょう,此常也。無形むけい不可ふかとく而見,曰明也あきや益生ますお曰祥。なま不可ふかえきえきのり夭也。しん使曰強。こころむべゆう使つかいそくきょうものたけしそくおいいいみちみちはややめ

56 道德どうとく真經さねつね... :
知者ちしゃ不言ふげんいん自然しぜん也。げんしゃ不知ふちみやつこ事端じたん也。ふさが其兌,閉其もんくじけ其銳,含守しつ也。かい其分,じょそうげん也。かず其光,しょとくあらわそくぶつしょへんそう也。どう其塵,しょとく賤則ぶつしょへんはじ也。いい玄同げんどう不可ふかとく而親,不可ふかとく而疏;とく而親,のりとく而疏也。不可ふかとく而利,不可ふかとく而害;とく而利,のりとく而害也。不可ふかとく而貴,不可ふかとく而賤。とく而貴,のりとく而賤也。ため天下てんかとうともの以加也。

57 道德どうとく真經さねつね... :
以正治國ちこく,以奇用兵ようへい,以無事ぶじ天下てんか以道治國ちこくそく國平くにへい,以正治國ちこくそくせいおこり也,以無事ぶじそく能取のとろ天下でんか也。うえあきらうん,其取天下でんかしゃつね無事ぶじ,及其有事ゆうじまた不足ふそく以取天下でんか也。以正治國ちこくそく不足ふそく以取天下でんか,而以用兵ようへい也夫。以道治國ちこくたかしほん以息まつ,以正治國ちこくたて辟以おさむまつほんたて而末あさみんしょ及,必至ひっし於奇用兵ようへい也。われなん以知其然哉?以此。天下てんか忌諱きき,而民わたるひんみん多利たり國家こっかしげる昏;利器りき,凡所以ゆえん利己りこうつわ也。みんきょうそく國家こっかじゃくひと伎巧,ぶつしげるおこりみん智慧ちえそくたくみにせせいたくみにせなまのりよこしまごとおこり法令ほうれいしげるあきら盜賊とうぞくゆうたてせいよく以息よこしま,而奇へいよう忌諱ききよく以恥ひん,而民わたるひん利器りきよく以強こくしゃ也,而國いよいよ昏多。みなしゃほん以治まつ以致此也。聖人せいじんうん:「わが無為むい而民わがこうせい而民せいわが無事ぶじ而民とみわが無欲むよく而民しらき。」上之うえのしょよくみんしたがえこれそく也。わがこれしょよくただ無欲むよく而民また無欲むよくしらき也。此四しゃたかしほん以息まつ也。

58 道德どうとく真經さねつね... :
其政悶悶もんもん,其民じゅんじゅんげん善治よしはるせいしゃ無形むけい無名むめい無事ぶじせい舉,悶悶もんもんしかそついたり於大おだい曰,其政悶悶もんもん也。其民しょそうきそえ寬大かんだいじゅんあつし曰,其民じゅん淳也あつや其政察察,其民かけかけたてけいめいあきら賞罰しょうばつ,以檢かんにせ曰察察也。ことるい分析ぶんせきみんふところそうきそえ曰,其民かけかけ也。わざわい兮福これしょ倚,ぶく兮禍これしょふく。孰知其極?其無ただしげんだれ善治よしはるごく乎!ただせい舉,かたちめい悶悶もんもんしか而天下大しもおお其極也。せいふくため以正治國ちこくのり便びんふく以奇用兵ようへい矣。曰,せいふくためぜんふくため妖。たてぜん以和萬物ばんぶつのり便びんふくゆう妖之患也。ひと迷,其日かたひさしげんじん迷惑めいわくしつどうかたひさし矣。不可ふか便びんせい善治よしはる以責。以聖じんかた而不わり以方しるべぶつしゃ其邪,以方割物われもの所謂いわゆる大方おおかたすみれん而不劌,れん清廉せいれん也;劌,きず也。以清れんしんみんれい其邪,れい其汙,清廉せいれん劌傷於物也。ちょく而不肆,以直しるべぶつれい其僻,而不以直げきにえ於物也。所謂いわゆるだいちょくわかこごめ也。ひかり而不燿。以光かん其所以迷,光照みつてるもとめ其隱慝也,所謂いわゆる明道みょうどうわか昧也,此皆たかしほん以息まつおさむ而使ふく也。

59 道德どうとく真經さねつね... :
人事じんじてん,莫若嗇。莫若,なお莫過也。嗇,農夫のうふ農人のうにん治田はるたつとむ其殊るいかえり於齊おさい一也かずやぜん自然しぜん不急ふきゅう其荒びょうじょ其所以荒びょううえうけたまわ天命てんめいしも百姓ひゃくしょう,莫過於此。おっとただ嗇,いいはやふくはやふくつね也。ふくいいじゅうせきとくただじゅうせきとくよくするどそくしかこう乃能使はやふく其常,曰早ふくいいじゅうせきとくしゃ也。じゅうせき德則とくのりかつ克則かつのり莫知其極;みち無窮むきゅう也。莫知其極,以有こく以有きゅう而莅こくのうゆうこく也。ゆうこくはは長久ちょうきゅう國之くにゆき所以ゆえんやすいいははじゅうせきとくただ其根,しかこう營末,乃得其終也。いいふかかた柢,長生ちょうせいひさみち

60 道德どうとく真經さねつね... :
大國たいこくわか烹小鮮。擾也,躁則がいせいそくぜんしん其國わたるだい,而其ぬしわたるせいしかこう乃能こうとく眾心矣。以道のぞき天下でんか,其鬼かみ大國たいこくそくわか烹小鮮,以道蒞天そく其鬼かみ也。其鬼かみ,其神きずじんかみがい自然しぜん也,ものもり自然しぜんそくかみしょかみしょそく不知ふちしんためしん也。其神きずじん聖人せいじんまたきずじんみちあまねすなわちしんきずじんかみきずじんそく不知ふちしんためしんみちあまねすなわち聖人せいじんまたきずじん聖人せいじんきずじんそく不知ふち聖人せいじんためせい也。なおうん不知ふちしんためしんまた不知ふちひじりためせい也。おっと恃威もう以使ぶつしゃ治之はるゆきおとろえ也。使つかい不知ふち神聖しんせいため神聖しんせいみちごく也。おっとりょうあいきずとく交歸焉。かみきずじん聖人せいじんまたきずじん聖人せいじんきずじんかみまたきずじん曰,りょうあいきず也。神聖しんせいごうどう,交歸也。

61 道德どうとく真經さねつね... :
大國たいこくしゃ下流かりゅうこううみだい而處のり百川ももがわりゅう大國たいこくだい而處のり天下でんかりゅう曰,大國たいこく下流かりゅう也。天下てんか交。天下てんかしょかい也。天下てんかめすせい而不もとめもの也。めすつね以靜しょうおす,以靜ため以其しずかのうため也,めすめす也。躁動貪欲どんよくめすつね以靜,のうかつ雄也ゆうや。以其せいふくのうためもの也。大國たいこく以下いか小國しょうこく大國たいこく以下いかなおうん大國たいこく下小國しもおぐにのり小國しょうこく小國しょうこくそく小國おぐに以下いか大國たいこくのり大國たいこく大國たいこくおさめ也。あるした以取,あるした而取。げんただおさむ卑下ひげしかこう乃各とく其所。大國たいこくよくけん畜人,小國おぐによくにゅうことじんおっと兩者りょうしゃかくとく其所よくだいしゃむべため小國おぐにおさむぜん而已,不能ふのうれい天下でんか大國おおくにおさむのり天下でんか曰,かくとく其所よくのりだいしゃむべため也。

62 道德どうとく真經さねつね... :
道者どうしゃ萬物ばんぶつおくおくなお曖也。とくひさしかげ善人ぜんにんたからたから以為よう也。善人ぜんにんこれしょ以全也。げん以市,みことぎょう以加じん言道ことみちところさきものゆう於此也。雖有珍寶ちんぽう璧馬,以匹ごとのり以奪眾貨賈,曰,よしげん以市也,みことぎょうのり千里せんりそとおう曰,以加於人也。ひと不善ふぜんなに棄之ゆう不善ふぜんとうどう以免たて天子てんしおけさんおおやけげん以尊ぎょう道也みちや雖有拱璧以先如坐しん此道。此道,上之うえのしょうん也。げんたて天子てんしおけさんおおやけみこと其位,じゅう其人,所以ゆえんため道也みちやものゆう於此しゃ雖有拱抱たから璧以さき而進如坐而進此道也みちやいにしえ所以ゆえん此道しゃなに曰:以求有罪ゆうざい以免耶?ため天下てんかとうと以求そくとくもとめ,以免そくとくまぬかれしょ而不ほどこせため天下でんか也。

63 道德どうとく真經さねつね... :
ため無為むいこと無事ぶじあじ無味むみ無為むいため,以不言ふげんためきょう,以恬淡てんたんためあじ治之はるゆきごく也。大小だいしょう多少たしょうほう怨以とくしょう怨則不足ふそく以報,だい怨則天下でんかこれしょよく誅,じゅん天下でんかこれしょどうしゃ德也とくやなん於其えきためだい於其ほそ天下でんか難事なんじ必作於易,天下てんか大事だいじ必作於細。以聖じんおわり不為ふためだい能成よしなり其大。おっとけいだく必寡しんじえき必多なん以聖じんなおなん以聖じんざいなおなおなん於細えききょう聖人せいじんざい而欲ゆるがせ於此乎,曰,なおなん也。おわり無難ぶなん矣。

64 道德どうとく真經さねつね... :
安易あんい,其未ちょうえきはかりごと以其やす忘危,忘亡,はかりごとこういきおい曰易也。其脆えき泮,其微えき雖失いれゆう,以其ほろもろこれあし以興大功たいこうえき也。此四しゃみなせつまきおわり也,不可ふか以無而不不可ふか以微而弗也,而弗のりせいゆう焉,ほろ而不のりせいだい焉,おもんばかおわり患,如始わざわいのり無敗むはいごと為之ためゆき於未ゆういい其安ちょう也。治之はるゆき於未らんいいほろもろ也。ごうだきなま於毫まつきゅうそうこれだいおこり於累千里せんりこれぎょうはじめ於足ためしゃはいしゃしつとう以慎おわりじょほろまきほろじょみだれ,而以ほどこせため治之はるゆきかたちめいこれはんなまことばらたくみ辟滋さくはいしつ也。以聖じん無為むい無敗むはいしつみん從事じゅうじつね於幾おきなり而敗まきおわり也。まきおわり如始,のり無敗むはいごと以聖じんほしよくなんとく貨;こうよく雖微,そうなお為之ためゆききょうなんとく貨雖ほそむさぼぬすめ為之ためゆきおこり也。がく不學ふがくふく眾人これしょ不學ふがく而能しゃ自然しぜん也。喻於學者がくしゃ也。がく不學ふがく,以復眾人以輔萬物ばんぶつ自然しぜん,而不敢為かんい

65 道德どうとく真經さねつね... :
いにしえため道者どうしゃ以明みんはた以愚あきらいいたくみいつわり,蔽其しらき也。いい知守ちもりしんじゅん自然しぜん也。みん難治なんじ,以其さとしさとしたくみいつわり難治なんじ也。以智治國ちこく國之くにゆきぞくさとしなお也,以智而治こく所以ゆえんいいぞくしゃいい智也ともやみん難治なんじ,以其智也ともやとうつとむふさが閉門へいもんれい無知むち無欲むよく,而以さとしじゅつどうみん邪心じゃしんすんでどうふく以巧じゅつぼうみんにせみん其術,ぼうずい而避思惟しいみつたくみ,奸偽えきしげる曰,以智治國ちこく國之くにゆきぞく也。以智治國ちこく國之くにゆきぶく此兩しゃまた稽式。つね稽式,いいげんとくげんとくふか矣,とお矣,稽,どう也。古今ここんこれしょどうのり不可ふかのう稽式,いいげんとくげんとくふか矣,とお矣。あずかものはん矣,はん其真也。しか乃至ないしだいじゅん

66 道德どうとく真經さねつね... :
こううみ所以ゆえんのうため百谷ももたに王者おうじゃ,以其ぜんのうためひゃくたにおう以欲うえみん,必以言下ごんかよくさきみん,必以以聖じんしょじょう而民じゅうしょぜん而民がい以天らく推而いや,以其そう天下てんか莫能あずかこれそう

67 道德どうとく真經さねつね... :
天下てんかみないいわがみちだい不肖ふしょうおっとただだい不肖ふしょうわかあやかひさ矣其ほそ也夫!ひさ矣其ほそなお曰其ほそひさし矣。あやかのりしつ其所以為だい矣,曰,わかあやかひさし矣,其細也夫。わがゆう三寶さんぼうもち而保いち曰慈,曰儉,さん曰不敢為かんい天下でんかさき。慈故のういさみおっと慈,以陳そくしょう,以守則しゅそくかたのういさむ也。儉故のうこう節儉せっけんあい天下てんか匱,のう廣也ひろなり敢為かんい天下でんかさき能成よしなりちょうただがい其身,ためぶつしょしかこう乃能りつなりため天下でんかためぶつちょう也。いましゃ慈且いさむ且,なお也。しゃ儉且こうしゃ且先,矣!おっと慈以せんのりしょうあい慜而避於なん勝也かつや守則しゅそくかたてんはたすくい,以慈まもるこれ

68 道德どうとく真經さねつね... :
ぜんためしゃそつそち也。たけなおさきりょうじん也。善戰ぜんせんしゃいかこう而不さきおう而不唱,不在ふざいいか善勝よしかつてきしゃあずかあずかそう也。善用ぜんようじんしゃ為之ためゆきいいそうとくいい用人ようにんちから用人ようにん而不為之ためゆきしものりりょく不為ふためよう也。いいはいてんいにしえごく

69 道德どうとく真經さねつね... :
用兵ようへいゆうごと:「われ敢為かんいぬし而為きゃく敢進すん而退じゃく。」いいぎょうぎょうかれとげとめ攘無ひじ,扔無てきくだりいいぎょうひね也,げん以謙退すさあい慈,敢為かんいぶつさきようせんなおこうくだり,攘無ひじへい,扔無てき也,げんゆうあずかこれこう也。へいわざわい莫大ばくだい於輕てきけいてきいくわれたからげんわれあい慈謙退すさよく以取きょう無敵むてき於天也。とくやめ而卒いたり於無てき,斯乃われ所以ゆえんためだいわざわい也。たから三寶さんぼう也,曰,いくほろびわれたからこうへいしょうあいしゃかち矣。こう,舉也;とう也。あいしゃ,必相惜而おもむき避害,必勝ひっしょう

70 道德どうとく真經さねつね... :
われげん甚易,甚易ぎょう天下てんか莫能,莫能ぎょう出戶でと窺牖而知,曰,甚易知也ともや無為むい而成,曰甚えきぎょう也。惑於躁欲,曰,莫之のう知也ともや。迷於さかえ曰,莫之能行よしゆき也。げんゆうむねことゆうくんそう萬物ばんぶつそう也。きみ萬物ばんぶつしゅ也。おっとただ無知むち以不わが以其げんゆうむねことゆうくんゆう知之ともゆきじんとく不知ふち也。しゃまれのりしゃとうとただふか知者ちしゃまれ也,わがえきまれわがまたひき曰,しゃまれのりしゃ也。以聖じん褐懷だま褐者,どう其塵,ふところだましゃたから其真也。聖人せいじん所以ゆえんなん,以其どうちり而不ことふところだま而不渝,なん而為也。

71 道德どうとく真經さねつね... :
不知ふちじょう不知ふちびょう不知ふち知之ともゆき不足ふそくにんそくびょう也。おっとただびょうびょう以不びょう聖人せいじんやまい,以其びょうびょう以不びょう

72 道德どうとく真經さねつね... :
みんかしこたけしのりだいいたり狎其しょいや其所せいせいしず無為むいいいけんみつるいいなまはなれ清淨せいじょうぎょう其躁よく,棄其けんにん其威けんのりぶつ擾而みんへき不能ふのうふくせいみんみん不能ふのうこらえ其威,のり上下じょうげだいつぶせ矣,天誅てんちゅうはたいたり曰,みんかしこたけしのりだいいたり狎其しょいや其所せいげん威力いりょく不可ふかにん也。おっとただいやいや也。以不いやいや以天莫之いや以聖じん其所,以光耀行也。自愛じあいとうと貴則たかのりぶつ狎厭きょせいかれ此。

73 道德どうとく真經さねつね... :
いさむ於敢そくころせ必不とく其死也。いさむ於不敢則かつ必齊いのち也。此兩しゃあるあるがい俱勇而所ほどこせしゃこと利害りがい不同ふどう曰,あるあるがい也。てんこれしょあく,孰知其故?以聖じんなおむずかしこれ孰,だれ也。げんだれのう天下でんかこれしょあくよこしま,其唯聖人せいじんおっと聖人せいじんあきらなおなん勇敢ゆうかんきょう聖人せいじんあかり而欲ぎょう也,曰,なおなん也。てんみちそう而善しょうてんただそう天下てんか莫能あずかこれそう不言ふげん而善おうじゅんそくきちぎゃくのりきょう不言ふげん而善おう也。召而しょのりぶつ繟然而善はかりごとたれぞう而見吉凶きっきょうさきごと而設まことやす而不忘危,召而はかりごと曰,繟然而善はかりごと也。天網てんもう恢恢,疏而しつ

74 道德どうとく真經さねつね... :
みんかしこ奈何いかん以死懼之?わか使つかいみんつねかしこ,而為しゃわれ而殺,孰敢?詭異らんぐんいい也。つね有司ゆうしころせしゃころせおっとだいころせしゃころせいいだいだいたくみ斲,おっとだいだいたくみ斲者,希有けうきず其手矣。ため逆順ぎゃくじゅんしゃこれしょあく忿也,仁者じんしゃじんところやまし也。曰,つね有司ゆうしころせ也。

75 道德どうとく真經さねつね... :
みんひだる,以其うえしょくぜい以饑。みん難治なんじ,以其じょう有為ゆうい以難みんけい,以其もとめせいあつ以輕おっとただ以生ためしゃけん於貴せいげんみん所以ゆえんへき治之はるゆき所以ゆえんみだれみなよしじょうよし其下也,みんしたがえじょう也。

76 道德どうとく真經さねつね... :
ひとなま也柔じゃく,其死也堅きょう。萬物草木之生也柔脆,其死也枯けやきけん強者きょうしゃ柔弱にゅうじゃくしゃせい以兵きょうそくかち強兵きょうへい以暴於天しゃものこれしょあく也,必不とくしょうきょうのりへいものしょ也。強大きょうだいしょ木之本きのもと也。柔弱にゅうじゃくしょじょうえだじょう是也これや

77 道德どうとく真經さねつね... :
てんみち,其猶ちょうゆみあずかこうしゃそもそもしたしゃ舉之;有餘ゆうよしゃそん不足ふそくしゃてんみちそん有餘ゆうよ而補不足ふそくひと道則みちのりしかあずか天地てんちあいとく,乃能つつみ,如天みち。如人りょうのりかくゆう其身,とくしょうひとし,如惟無私むし乎,自然しぜんしかこう乃能あずか天地てんちあいとくそん不足ふそく以奉有餘ゆうよ。孰能有餘ゆうよ以奉天下でんかただ有道ありみちしゃ以聖人為じんい而不恃,こうなり而不しょ,其不よくけんげんただのうしょみつる而全むなしそんゆう以補和光同塵わこうどうじんとろけ而均しゃただ道也みちや以聖じんよくしめせ其賢以均天下でんか

78 道德どうとく真經さねつね... :
天下てんか莫柔じゃく於水,而攻けん強者きょうしゃ莫之のうしょう,其無以易以,よう也。其謂すい也,げん用水ようすい柔弱にゅうじゃくもの以易也。じゃくかつつよしやわらかつつよし天下てんか不知ふち莫能ぎょう以聖じんうん:「受國あかいい社稷しゃしょくぬし;受國不祥ふしょうため天下でんかおう。」せいげんわかはん

79 道德どうとく真經さねつね... :
和大かずひろ怨,必有あまり怨,不明ふめい其契以致だい怨已いたり而德和之かずゆき,其傷ふく有餘ゆうよ怨也。やす以為ぜん以聖じんひだりちぎりひだりちぎりぼう怨之所由しょゆうせい也。而不せめ於人。有德うとくちぎり有德うとくひとねんおもえ其契,不念ぶねん怨生而後せめ於人也。德司とくじてっとおるつかさじん也。天道てんとうおやつねあずか善人ぜんにん

80 道德どうとく真經さねつね... :
小國おぐに寡民。くにすんでしょうみんまた寡,なお使つかい反古ほごきょう國大こくだいみん眾乎,舉小こく而言也。使つかいゆう什伯うつわ而不ようげん使みん雖有什伯うつわ而無所用しょようなに不足ふそく也。使つかいみんおも而不どお徙。使つかいみん不用ふようおもんみたからむさぼ貨賂,かくやす其居,じゅう而不どお徙也。雖有ぶね輿こししょじょう,雖有かぶとへいしょひね使つかいじんふく結繩けつじょう而用あま其食,よし其服,やす其居,らく其俗。鄰國しょうもち,雞犬こえ相聞そうもんみんいたり老死ろうしあい往來おうらいところ欲求よっきゅう

81 道德どうとく真經さねつね... :
しんごと不美ふみ實在じつざいしつ也。げん不信ふしんほんざいしらき也。ぜんしゃ不辯ふべんべんしゃ不善ふぜん知者ちしゃはくごくざい一也かずやはくしゃ不知ふち聖人せいじんせき無私むしゆうただぜんあずかにんぶつ而已。すんで以為じんおのれいよいよゆうものしょみこと也。すんで以與じんおのれいよいよおおものしょ也。てんみち而不がいどうつね生成せいせい也。聖人せいじんみちため而不そうじゅんてんあいきず也。

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おう弼註道德どうとくけい

底本ていほん:《正統せいとうどうぞうほんおう弼註道德どうとく真經さねつね

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