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インターシティ - Wikipedia

インターシティInterCity, Inter-City, Intercityなど、略称りゃくしょうIC)は、ヨーロッパ各国かっこくおも在来ざいらいせんにおいて、その都市としあいだ連絡れんらくしゅたる目的もくてきとして運行うんこうされる優等ゆうとう列車れっしゃである。

InterCity
InterCity
スイス運行うんこうされる電車でんしゃ方式ほうしきのインターシティ・"ICN" (InterCity Neigezug)
ドイツ鉄道てつどう推進すいしん運転うんてんよう運転うんてんだいきのインターシティよう客車きゃくしゃ
デンマーク国鉄こくてつのインターシティようIC3がた気動車きどうしゃ
イタリアのインターシティの車内しゃない

その性質せいしつJR特急とっきゅう列車れっしゃちかく、主要しゅよう都市とし中心ちゅうしんとして比較的ひかくてき長距離ちょうきょり専用せんよう車両しゃりょう使用しようしてかく線区せんく最高さいこう速度そくど運転うんてんされる。おおくのくに日本にっぽん特急とっきゅう料金りょうきん相当そうとうする追加ついか料金りょうきん特別とくべつ料金りょうきん必要ひつようとされるが、これが必要ひつようないくにもあり、必要ひつようであっても日本円にほんえん換算かんさんで500えん程度ていど追加ついかする程度ていどみ、JRの特急とっきゅう料金りょうきんくら低廉ていれん場合ばあいおおい。

ドイツスイスオーストリアデンマークなどでとくにネットワークが発達はったつしている。これらのくにでは、1あいだごとあるいは2あいだごとのおぼえやすいパターンダイヤ採用さいようし、主要しゅようえきではちが系統けいとう同士どうしすうぶん時間じかんによって、おなホーム対面たいめんができるように配慮はいりょされているのが特徴とくちょうである[1]

ただしくにによっては、上記じょうき国々くにぐにのようなパターンダイヤや相互そうご接続せつぞくおこなわず、一般いっぱん国内こくない都市としあいだむす長距離ちょうきょり優等ゆうとう列車れっしゃ特急とっきゅう列車れっしゃ相当そうとうする列車れっしゃ)の種別しゅべつめいとして「インターシティ」という言葉ことば使つかわれることもある。

InterCity元々もともとイギリス国鉄こくてつ同様どうよう優等ゆうとう列車れっしゃたいしてあたえた呼称こしょうであったが、同国どうこくでは国鉄こくてつ民営みんえいともない、正式せいしき呼称こしょうとしてはすでに使用しようされていない。

英語えいごけん以外いがいでも英語えいご由来ゆらいのインターシティという言葉ことばもちいられているが、つづりはイギリスではInterCityまたはInter-City, ドイツではIntercity, スイスやオーストリアではInterCityのように若干じゃっかんちがいがある[2][3]

各国かっこく事例じれい

編集へんしゅう

西にしドイツ当時とうじ1968ねんに、都市としあいだむすF-Zug特急とっきゅう列車れっしゃ)のうち6往復おうふくたいして"Intercity A"から"Intercity F"の名称めいしょうかんされたのが最初さいしょである。1971ねん9月26にちダイヤ改正かいせいでは、従来じゅうらいのF-Zugを再編さいへんするかたちで、主要しゅよう都市としあいだひとしときへだたむすぶインターシティのシステムが構築こうちくされた。当初とうしょ一等いっとうしゃのみで組成そせいされ、TEEラインゴルト」と同等どうとう客車きゃくしゃ、あるいはTEEようVT601かたち気動車きどうしゃ使用しようされた。設定せってい当初とうしょ運行うんこう系統けいとう以下いかのとおりで、かく系統けいとうとも2あいだ間隔かんかくのパターンダイヤで設定せっていされ、主要しゅようえきハノーファーケルンドルトムントマンハイムヴュルツブルク )では、対面たいめんえによる系統けいとう同士どうし接続せつぞくがとられた。

 
初期しょきのドイツのインターシティ路線ろせんもう(1971ねん - 1984ねん

1977ねんより、103がた電気でんき機関きかんしゃによる、最高さいこう速度そくど200km/h運転うんてん開始かいしされた。

1979ねん5月27にちダイヤ改正かいせいでは、"Intercity '79"とばれる、大幅おおはば改革かいかくおこなわれた。運行うんこう系統けいとう増加ぞうかにより、主要しゅよう線区せんくでは1あいだ間隔かんかくでの乗車じょうしゃチャンスが確保かくほされるようになったほか、一等いっとうしゃくわえてとうしゃ連結れんけつされるようになった。当時とうじ西にしドイツ国鉄こくてつは"Jede Stunde, jede Klasse"(英訳えいやくすれば"Every hour, every class"、日本語にほんご意訳いやくすれば「毎時まいじ発車はっしゃかくとう連結れんけつ」)をスローガンとして「インターシティ」の広報こうほうつとめた。1980年代ねんだいはいってからも拡大かくだいつづいた。

 
2007ねんのドイツのインターシティもうICEふくむ)

ドイツさい統一とういつ直前ちょくぜん1990ねんなつには、ひがしドイツ直通ちょくつうする最初さいしょのインターシティ「ヨハン・ゼバスティアン・バッハごうフランクフルト・アム・マインライプツィヒ)が設定せっていされ、統一とういつきゅうひがしドイツ地域ちいきにも拡大かくだいした。1991ねん6がつ運転うんてんはじめたICEは、次第しだいにインターシティをえていった。一方いっぽうインターシティはきゅうインターレギオ (IR) の一部いちぶ系統けいとうすう増加ぞうかさせている。現在げんざいドイツ鉄道てつどうにおいて、インターシティはICEにだい2優等ゆうとう列車れっしゃ位置いちづけられている。

スイスでは、スイス連邦れんぽう鉄道てつどう(スイス国鉄こくてつ1982ねん列車れっしゃ時刻じこくの60ふん間隔かんかくのパターンダイヤを導入どうにゅうし、インターシティの運行うんこう開始かいしした。追加ついか料金りょうきん徴収ちょうしゅうしない。都市としあいだだけでなく通勤つうきん輸送ゆそうにももちいられて混雑こんざつすることがあるため、主要しゅよう区間くかんでは最高さいこう時速じそく200キロで2かいけんIC2000もちいられる。またICNばれる最高さいこう時速じそく200キロのしき車両しゃりょう運用うんようされている。

スイスではバーン2000計画けいかくにより高速こうそくしんせん建設けんせつえき改良かいりょうおこない、国内こくないでは30ふん間隔かんかくのパターンダイヤを実施じっしし、スピードアップとともに主要しゅようえきでのインターシティなどの接続せつぞく利便りべんせい向上こうじょうさせ、都市としあいだ所要しょよう時間じかん短縮たんしゅくさせている。

オーストリア

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オーストリアでは、主要しゅよう幹線かんせんでインターシティが1あいだまたは2あいだごと運行うんこうされているが、比較的ひかくてき停車駅ていしゃえきおおく、急行きゅうこう快速かいそく列車れっしゃてき性格せいかくである。オーストリアでは、ユーロシティ国際こくさい列車れっしゃだけでなく国内こくない列車れっしゃとしても設定せっていされ、インターシティよりも運行うんこう距離きょりなが停車駅ていしゃえきすくない上位じょうい列車れっしゃとして位置いちづけられている。

イタリアでは国内こくない主要しゅよう都市としむすかたち運行うんこうおこなわれている。夜行やこう列車れっしゃとして寝台しんだいしゃなどを連結れんけつしたインターシティ・ナイト (ICN) も存在そんざいする。現在げんざいでは車両しゃりょうのリニューアルが段階だんかいてきおこなわれており、それがんだものはインターシティ・プラス (ICP) の名前なまえ運行うんこうされている。

また、ユーロスター・イタリアでかつて使用しようされていたETR500機関きかんしゃのみをインターシティよう客車きゃくしゃりょうはし連結れんけつしたかたち運行うんこうされる、ユーロスター・シティ (ESc) とばれる列車れっしゃ存在そんざいする。この列車れっしゃ料金りょうきんはインターシティとユーロスター・イタリアのなかあいだ程度ていど設定せっていされている。

イタリアのインターシティは全車ぜんしゃ指定していせき予約よやく必要ひつようであるほか包括ほうかつ運賃うんちん制度せいど採用さいようしており、切符きっぷ購入こうにゅう時期じきなどによって運賃うんちん変動へんどうする。

 
オランダのインターシティもう

オランダ鉄道てつどうは、国内こくない都市としあいだあみのようにむすんでいるが、「インターシティ」は、これらの都市としあいだむす速達そくたつ列車れっしゃとしての位置いちづけであり、日本にっぽん私鉄してつにおける追加ついか料金りょうきん不要ふよう特急とっきゅうや、JRのしん快速かいそく特別とくべつ快速かいそくちか存在そんざいえる。いずれの系統けいとうも30 - 60ふん間隔かんかくのパターンダイヤをみ、主要しゅようえきでの系統けいとう同士どうし接続せつぞくや、普通ふつう列車れっしゃとの緩急かんきゅう接続せつぞくなどもおこなわれている。一部いちぶ列車れっしゃは、末端まったん各駅かくえき停車ていしゃする場合ばあいもある。

基本きほんてきにはオランダ国内こくない完結かんけつするが、首都しゅとアムステルダムと、ベルギー首都しゅとブリュッセルむすベネルクストレインえきでの表示ひょうじたんインターシティ)や、ドイツベルリンハノーファーかうインターシティ(ドイツ鉄道てつどう客車きゃくしゃ運行うんこう)のような国際こくさい列車れっしゃ存在そんざいする。

なお、ドイツとのあいだのインターシティ以外いがいは、特別とくべつ料金りょうきん徴収ちょうしゅうせず、座席ざせき指定してい出来できない。

ベルギーのインターシティは国内こくない主要しゅよう都市とし網羅もうらしており、国外こくがいへまたがるものもある。リエージュ - ブリュッセルあいだのインターシティは、HSL2(ベルギー高速こうそく鉄道てつどう2号線ごうせん)を走行そうこうし、最高さいこう時速じそくは200キロである。

スペイン鉄道てつどう事業じぎょうしゃであるRENFEマドリード - アビラ - バリャドリッド - ブルゴス - ビトリア - イルン - アンダイユ(フランスとスペインの国境こっきょうまちで、フランスがわぞくする)あいだで、"Intercity"を1にち1往復おうふく運転うんてんしている(2007ねんふゆダイヤ)。

448かたち特急とっきゅうがた電車でんしゃ使用しようされ、最高さいこう速度そくどは160km/h, 643kmをやく7あいだかけてはしる。ぜん区間くかん広軌こうき在来ざいらいせん経由けいゆし、標準軌ひょうじゅんき高速こうそくしんせん経由けいゆしない。

1990年代ねんだいまでは上記じょうきのほか、マドリード - バレンシアマドリード - サラゴサマドリード - ログローニョマドリード - パンプローナマドリード - マラガかく系統けいとうにも設定せっていされていたが、高速こうそくしんせん (AVE) の開業かいぎょうや、タルゴアラリスへのえなどにより、現在げんざいは1往復おうふくのみの存在そんざいとなっている。

 
ポーランドのインターシティもう

ポーランドにおいては、PKP Intercity によりインターシティ列車れっしゃ運行うんこうされている。最高さいこう速度そくどは160キロである。

ハンガリーではブダペスト中心ちゅうしんとして放射状ほうしゃじょう国内こくないかく都市としに、2あいだまたは4あいだ間隔かんかくでインターシティが運転うんてんされている。ブダペストからのおもさきは、デブレツェンニーレジハーザミシュコルツセゲドショプロンソンバトヘイペーチベーケーシュチャバなどで、ルーマニアのブカレストまで運行うんこうされるものもある。

チェコではプラハ - オストラヴァあいだでインターシティが運行うんこうされ、最高さいこう速度そくどは160キロである。 なお、この区間くかんではペンドリーノかたスーパーシティも、あわせて運行うんこうされている。

国際こくさい列車れっしゃ

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1980ねん国際こくさい鉄道てつどう連合れんごう国際こくさい列車れっしゃたいしてもインターシティの種別しゅべつもちいることとし、18往復おうふく国際こくさいインターシティが誕生たんじょうした。うち15往復おうふく西にしドイツのインターシティを国外こくがいまで延長えんちょうしたものであるが、3往復おうふくはドイツとは無関係むかんけい列車れっしゃであった[4]。そのかつてTEEであった列車れっしゃなどおおくの国際こくさい長距離ちょうきょり列車れっしゃがインターシティとなった。

1987ねんユーロシティ創設そうせつされると国際こくさいインターシティのおおくはそちらに種別しゅべつ変更へんこうしたが、一部いちぶはインターシティにとどまった。また1990年代ねんだい以降いこうひがしヨーロッパにも国際こくさいインターシティがまれている[5]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 発着はっちゃくせんすうおおだい規模きぼ中央ちゅうおうえきターミナルえきでははなれたホーム同士どうしえになる場合ばあいや、接続せつぞく時間じかんながくなる場合ばあいがある。
  2. ^ Z.P. & G.M 2008
  3. ^ Schönborn 2008
  4. ^ Malaspina 2006, pp. 16–19
  5. ^ Malaspina 2006, pp. 46–47

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Malaspina, Jean-Pierre (2006), Trains d'Europe -Tome 2-, Paris: La Vie du Rail, ISBN 2-915034-49-4 
  • 雑誌ざっし) (2008) (ドイツ). Intercity -(BAHN EXTRA 4/2008 - Juli/August). München, Germany: GeraMond. ISBN 978-3-89724-202-9 
    • Z.P; G.M., “Die Anfäng des Intercity-Systems”, pp. 12 - 13 
    • Schönborn, Hans-Bernhard, “Intercity-Züge in Europa”, pp. 88 - 90