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カラタチ - Wikipedia

カラタチ枳殻からたち[3]枸橘からたち[3]学名がくめい: Citrus trifoliata)はミカンカラタチぞく落葉らくよう低木ていぼくミカンるいきんえんの1ぞく1しゅ柑橘類かんきつるい[4]中国ちゅうごく原産げんさん学名がくめいtrifoliataさんまいでこの複葉ふくようから。原産地げんさんち長江ながえうえ流域りゅういき日本にっぽんには8世紀せいきごろにはつたわっていたとされる。

カラタチ
カラタチ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : バラるい Rosids
: ムクロジ Sapindales
: ミカン Rutaceae
ぞく : カラタチぞく Poncirus
たね : カラタチ P. trifoliata
学名がくめい
Citrus trifoliata L. (1763)[1]
シノニム
和名わみょう
カラタチ
英名えいめい
Trifoliate orange

名称めいしょう

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和名わみょうカラタチ唐橘からたちばな(からたちばな)がまったものである。別名べつめいでもカラタチバナともよばれる[5]別名べつめいでは、キコク(枳殻からたち)ともよばれる。中国ちゅうごく植物しょくぶつめいかんめい)は、枸橘からたち(くきつ)という[5]

歴史れきし生育せいいく

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中国ちゅうごく中部ちゅうぶ原産げんさん[6]日本にっぽんにもひろえられている[4]日本にっぽんへはふるくに渡来とらいし、奈良なら時代じだい末期まっき成立せいりつしたとわれる『万葉集まんようしゅう』にもられる[6]平安へいあん時代じだいには果実かじつ薬用やくようにされた[6]現代げんだいでは、がきなどにうえ栽されているのがられる[7]柑橘類かんきつるいなかでももっと耐寒たいかんせいつよく、やせた土地とちにもえて生育せいいくでき[7]東北とうほく地方ちほうでも生育せいいくする[6][4]

特徴とくちょう

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落葉らくよう広葉樹こうようじゅ低木ていぼくからしょう高木こうぼく[6]樹高きだかは2 - 4メートル (m) ほど樹皮じゅひくらばい褐色かっしょく成木なりきこまかいたてすじはいり、若木わかぎでは生長せいちょうとも緑地りょくち褐色かっしょくたてすじはいり、かわおおくざらつく[3]えだ緑色みどりいろふとく、稜角りょうかくがあり、3センチメートル (cm) にもなるおおきくてするどとげ互生ごせいする[7]。このとげ基部きぶ幅広はばひろいのはほんしゅ特徴とくちょう[3]変形へんけいしたもの、あるいはえだ変形へんけいしたものというせつがある。

互生ごせいし、3しょう複葉ふくよう(3複葉ふくよう)で、葉柄ようへいつばさがある[7][6]しょうは4 - 6 cmほど楕円だえんがたまたは倒卵形とうらんけいで、周囲しゅういこまかいのこじょうがある。アゲハチョウ幼虫ようちゅうこのんでべる[4]

花期かきはる(4 - 5がつ)で[6]まえに3 - 4 cmほどの5べんしろはなかせ、芳香ほうこうがある[7]はなのあとには、みち3 - 4 cmの球形きゅうけいで軟毛におおわれた緑色みどりいろ果実かじつをつけ、あきにはじゅくして黄色きいろくなる[7][6]果実かじつ食用しょくようになるが[6]種子しゅしおおつよ酸味さんみ苦味にがみがあるため、そのままでは食用しょくようにはかない[7][4]

冬芽とうががわえだ互生ごせいし、半円はんえんがたとげ基部きぶ上側うわがわにつき、赤褐色せきかっしょくうろこ2 - 3まいつつまれている[3]とげしたがわにはこんのこり、このこんからも芽吹めぶくこともある[3]

栽培さいばい品種ひんしゅとして、えだやトゲが湾曲わんきょくするヒリュウりゅう)や、えだやトゲの湾曲わんきょくがヒリュウよりもさらにはげしく成長せいちょうきわめて緩慢かんまんな「こうけむり」が存在そんざいする。どちらの品種ひんしゅも「雲龍うんりゅうカラタチ」の名前なまえ販売はんばいされていることがおおい。

するどとげがあることから、外敵がいてき侵入しんにゅうふせ目的もくてき生垣いけがきによく使つかわれる[6][8]はたけまもりだけではなく、住宅じゅうたくにわまわりにもしばしば使つかわれてきた[4]。しかし住宅じゅうたく事情じじょう変化へんかなどからこのとげきらわれ、また生垣いけがきそのものが手入ていれの面倒めんどうからブロックへいなどにえられたため、1960年代ねんだいころからカラタチの生垣いけがき減少げんしょうした[4]

日本にっぽんではウンシュウミカンなどの柑橘類かんきつるい栽培さいばいするときに、台木だいぎとして使つかわれる[6][4]病気びょうきつよいことや、はや結実けつじつたっすることなどの利点りてんがあるが、ユズナツミカン台木だいぎにくらべると寿命じゅみょうみじかいという欠点けってんもある。

果実かじつ利用りよう一般いっぱんてきではなく、果実かじつしゅ材料ざいりょうとして使つかわれる程度ていどである。果実かじつにはつよ酸味さんみ苦味にがみがあるため果実かじつ自体じたい食用しょくようむずかしい。

オレンジとカラタチの細胞さいぼう融合ゆうごうによる雑種ざっしゅに「オレタチ」がある[9]

薬用やくよう

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成熟せいじゅく果実かじつ乾燥かんそうさせたものは、枳殻からたち(きこく)とよばれる生薬きぐすりであるが[7]中国ちゅうごく薬物やくぶつめいではからたち(きじつ)ともよんでいる。成熟せいじゅく果実かじつ場合ばあいは、中国ちゅうごく薬物やくぶつめい枳殻からたちとよんでいる[5]枳殻からたちは、かんやく本来ほんらいナツミカンで、ミカンの大型おおがた未熟みじゅくはてであるというせつもある[7]。また、日本にっぽんではカラタチ果実かじつ生薬きぐすりのことをからたち(きじつ・きじゅつ)とんで通用つうようもしているが、これは日本にっぽんでの誤用ごようでカタタチのかんめいにあてたものだとするせつがある[7]。カラタチのかんめいは「枸橘からたち」と[7]

カラタチ果実かじつからつくる生薬きぐすりは、果実かじつって、輪切わぎりでてん日干ひぼしして調製ちょうせいしたもので[7]芳香ほうこうせいけん作用さよう利尿りにょう作用さよう発汗はっかん作用さよう去痰きょたん作用さようがあるとされ[7]未熟みじゅくはてよりも成熟せいじゅくはてのほうが作用さようおだやかである[5]乾燥かんそう不十分ふじゅうぶんだとおそれがある[5]使つかかたは、生薬きぐすり1にちりょう2 - 10グラムみず400 cc半量はんりょうになるまでせんじて、1にち3かいけて服用ふくようする用法ようほうられている[5][7]胃腸いちょうねつひえます薬草やくそうで、にんしょう虚弱きょじゃく体質たいしつひとへの服用ふくよう禁忌きんきとされる[5]民間みんかんでは、皮膚ひふうつくしくたも効果こうかもあるとされており、果実かじつ枝葉えだは随時ずいじよくりょうとして風呂ふろれると、皮膚ひふをきれいにして、からだあたため、発汗はっかん去痰きょたんうながすといわれている[7]

近年きんねん研究けんきゅうにより、カンキツトリステザウイルス(CTV)にたいする免疫めんえきせいゆうする機能きのうせい成分せいぶんひとつである、オーラプテンこう濃度のうど含有がんゆうすることがあきらかになっている。オーラプテンはそのにもはつガン抑制よくせい作用さようこう炎症えんしょう作用さよう脂質ししつ代謝たいしゃ改善かいぜん効果こうかメタボリックシンドロームともな炎症えんしょう反応はんのう緩和かんわ効果こうかとう[10][11]

カラタチを題材だいざいにした作品さくひんれい

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Citrus trifoliata L. カラタチ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん3がつ26にち閲覧えつらん
  2. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Poncirus trifoliata (L.) Raf. カラタチ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん3がつ26にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ 2014, p. 117.
  4. ^ a b c d e f g h 辻井つじいたちいち 2006, p. 102.
  5. ^ a b c d e f g 貝津かいづこうこう 1995, p. 20.
  6. ^ a b c d e f g h i j k 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん 1997, p. 125.
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 馬場ばばあつし 1996, p. 40.
  8. ^ a b 辻井つじいたちいち 2006, p. 101.
  9. ^ のうけん機構きこう果樹かじゅ研究所けんきゅうじょ「カンキツ『カラタチ・オレタチ』」2013ねん6がつ27にち閲覧えつらん
  10. ^ カラタチのカンキツトリステザウイルス抵抗ていこうせい連鎖れんさするDNAマーカー”. 果樹かじゅ育種いくしゅ素材そざい開発かいはつのための遺伝子いでんし機能きのう解析かいせきおよびDNA利用りよう技術ぎじゅつ開発かいはつ. のうけん機構きこう (2006ねん). 2017ねん10がつ23にち閲覧えつらん
  11. ^ Ohta, Satoshi; Endo, Tomoko; Shimada, Takehiko; Fujii Hiroshi (2011). Shimizu, Tokuro; Kuniga, Takeshi; Yoshioka, Terutaka; Nesumi, Hirohisa; Yoshida, Toshio; Omura, Mitsuo. “PCR Primers for Marker Assisted Backcrossing to Introduce a CTV Resistance Gene from Poncirus trifoliata (L.) Raf. into Citrus”. Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (Japanese Society for Horticultural Science) 80 (3): 295-307. オリジナルの2017ねん10がつ23にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171023003356/http://ci.nii.ac.jp/naid/130004510722 2017ねん10がつ23にち閲覧えつらん. 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 貝津かいづ好孝よしたか日本にっぽん薬草やくそう小学館しょうがくかん小学館しょうがくかんのフィールド・ガイドシリーズ〉、1995ねん7がつ20日はつか、20ぺーじISBN 4-09-208016-6 
  • 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ樹皮じゅひ冬芽とうが四季しきつうじて樹木じゅもく観察かんさつする 431しゅまことぶんどう新光しんこうしゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014ねん10がつ10日とおか、117ぺーじISBN 978-4-416-61438-9 
  • 辻井つじい達一たついちぞく日本にっぽん樹木じゅもく中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、2006ねん2がつ25にち、101 - 103ぺーじISBN 4-12-101834-6 
  • 馬場ばばあつし薬草やくそう500しゅ栽培さいばいから効用こうようまで』大貫おおぬきしげる写真しゃしん)、まことぶんどう新光しんこうしゃ、1996ねん9がつ27にち、40ぺーじISBN 4-416-49618-4 
  • 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997ねん5がつ10日とおか、125ぺーじISBN 4-522-21557-6