ヨウ化か水素すいそ

ヨウ化か水素すいそ（ヨウかすいそ）とは、強酸きょうさん性せいの無機むき化合かごう物ぶつの一種いっしゅ。ハロゲン化か水素すいそのうち、ヨウ素もとと水素すいそからなる化合かごう物ぶつである。強つよい刺激しげき臭しゅうを持もつ無色むしょくの気体きたい。毒物どくぶつ及および劇げき物ぶつ取締とりしまり法ほうに定さだめる劇げき物ぶつに該当がいとうする。

ヨウ化か水素すいそ
IUPAC名めい ヨウ化か水素すいそ
別称べっしょう ヨウ化か水素すいそ酸さん
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう	10034-85-2
RTECS番号ばんごう	MW3760000
特性とくせい
化学かがく式しき	HI
モル質量しつりょう	127.904 g/mol
外観がいかん	無色むしょくの気体きたい
密度みつど	2.85 g/mL (-47 ℃)
融点ゆうてん	−50.80 ℃ (222.35 K)
沸点ふってん	−35.36 ℃ (237.79 K)
酸さん解離かいり定数ていすう pKa	−10
構造こうぞう
双極そうきょく子こモーメント	0.38 D
熱ねつ化学かがく
標準ひょうじゅん生成せいせい熱ねつ ΔでるたfHo	26.48 kJ mol−1
標準ひょうじゅんモルエントロピー So	206.594 J mol−1K−1
標準ひょうじゅん定圧ていあつモル比熱ひねつ, Cpo	29.158 J mol−1K−1
危険きけん性せい
安全あんぜんデータシート(外部がいぶリンク)	hydrogen iodide hydroiodic acid
主おもな危険きけん性せい	毒性どくせい (T) 腐食ふしょく性せい (C)
NFPA 704	0 3 1 ACID
Rフレーズ	R20, R21, R22, R35
Sフレーズ	S7, S9, S26, S45
関連かんれんする物質ぶっしつ
その他たの陰かげイオン	フッ化か水素すいそ 塩化えんか水素すいそ 臭におい化か水素すいそ
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・常つね圧あつ (100 kPa) におけるものである。

性質せいしつ

分子ぶんし式しきは、HI。分子ぶんし量りょうは 127.90、融点ゆうてんは −50.8 ℃、沸点ふってんは −35.1 ℃。強酸きょうさんのひとつである（pKa = −10）。ヨウ素もとと水素すいそは電気でんき陰性いんせい度どに差さがほとんどなく分子ぶんしの極性きょくせいは小ちいさいが、ヨウ化物ばけものイオンのイオン半径はんけいが大おおきく水素すいそイオンとの静電気せいでんき力りょくが小ちいさく電離でんりしやすいため、ヨウ化か水素すいそは強酸きょうさんとなる。還元かんげん力りょくが強つよく、空気くうき中ちゅうの酸素さんそに触ふれると容易よういに酸化さんかを受うけヨウ素もとの赤あか紫色むらさきいろを呈ていする。

水みずに極きわめて溶解ようかいしやすい気体きたいであり、水溶液すいようえきはヨウ化か水素すいそ酸さん (hydroiodic acid) と呼よばれ、おもに57%水溶液すいようえき（d=1.70g cm⁻³, 7.6mol dm⁻³）が市販しはんされている。塩化えんか水素すいそおよび臭におい化か水素すいそと同様どうように水みずに対たいする溶解ようかい熱ねつはきわめて大おおきい。

${\ce {HI(g)<=>{H^{+}(aq)}+I^{-}(aq)}}$,　　　${\mathit {\Delta }}H^{\circ }=-81.67{\mbox{kJ mol}}^{-1}$

製法せいほう・反応はんのう

製法せいほう

ヨウ素もとと水みずの混合こんごう物ぶつに冷却れいきゃくしながら赤あかリンを加くわえると発生はっせいする。

${\ce {{2P}+ {5I2}+ 8H2O -> {10HI}+ 2H3PO4}}$

反応はんのう

ヨウ化か水素すいそ酸さんをエーテルに作用さようさせ、エーテル結合けつごうを開ひらけ裂きれさせるとアルコールとヨウ化かアルキルを生しょうずる。

${\ce {{R-O-R'}+ HI -> {R-OH}+ R'I}}$