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臭化水素 - Wikipedia

におい水素すいそ(しゅうかすいそ、Hydrogen bromide)とはハロゲン水素すいそのひとつで、水素すいそ臭素しゅうそ化合かごうぶつ化学かがくしきHBr標準ひょうじゅん状態じょうたいでは無色むしょく刺激しげきしゅう気体きたいだが、液化えきかさせることもできる。水溶液すいようえき強酸きょうさんにおい水素すいそさんである。におい水素すいそさん脱水だっすいざいくわえるとにおい水素すいそ遊離ゆうりさせることができる。毒物どくぶつおよげきぶつ取締とりしまりほうさだめるげきぶつ該当がいとうする。法律ほうりつじょう名称めいしょうはブロム水素すいそ[1]

におい水素すいそ
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PubChem
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 10035-10-6
特性とくせい
化学かがくしき HBr
モル質量しつりょう 80.912 g/mol
外観がいかん 無色むしょく透明とうめい気体きたい
密度みつど 3.307g/L,気体きたい
融点ゆうてん

–86.80℃(186.35K)

沸点ふってん

–66.38℃(206.77K)

みずへの溶解ようかい 193g/100 ml (20℃)
さん解離かいり定数ていすう pKa ≈ –9
構造こうぞう
分子ぶんしかたち 直線ちょくせんがた
双極そうきょくモーメント 0.82D
ねつ化学かがく
標準ひょうじゅん生成せいせいねつ ΔでるたfHo −36.40 kJ mol−1
標準ひょうじゅんモルエントロピー So 198.695 J mol−1K−1
標準ひょうじゅん定圧ていあつモル比熱ひねつ, Cpo 29.142 J mol−1K−1
危険きけんせい
安全あんぜんデータシート(外部がいぶリンク) hydrobromic acid
hydrogen bromide
おも危険きけんせい 毒性どくせい腐食ふしょくせい
NFPA 704
0
4
2
COR
関連かんれんする物質ぶっしつ
そのかげイオン フッ水素すいそ
塩化えんか水素すいそ
ヨウ水素すいそ
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

用途ようと多岐たきにわたる。たとえばアルコールからブロモアルカンをつくるのに利用りようされる。

 

アルケンに付加ふかしてブロモアルカンをあたえる。

 

アルキンに付加ふかさせるとブロモアルケンが生成せいせいする。この付加ふか反応はんのう立体りったい化学かがく通常つうじょうアンチがたである。

  

ハロアルケンへの付加ふかでは gem-ジハロアルカンがられる。反応はんのうマルコフニコフそくしたがう。

 

エポキシドラクトンひらきたまきやブロモアセタールの合成ごうせいにももちいられる。また、おおくの有機ゆうき反応はんのう触媒しょくばいとしてもちいられる[2][3][4][5]

合成ごうせいほう

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実験じっけんしつ規模きぼ

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おおくの合成ごうせいほうられている。簡便かんべん方法ほうほうとして硫酸りゅうさんにおいナトリウムの反応はんのうげられる[6]

 

にはテトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)の臭素しゅうそ[6]

 

白金はっきん触媒しょくばい存在そんざいでの精製せいせいした水素すいそガスと臭素しゅうそ反応はんのう[6]

 

リンさんによる臭素しゅうそ還元かんげん[3]

 

がある。

無水むすいにおい水素すいそは、しょうスケール(10ミリモルから1モル)ではトリフェニルホスホニウムブロミド (Ph3PH+Br) をキシレンなか加熱かねつ還流かんりゅうしてねつ分解ぶんかいすることによってられる[2]

上記じょうき方法ほうほう合成ごうせいされたにおい水素すいそ不純物ふじゅんぶつとして Br2ふくむことがあるが、これは薄片はくへんじょうどうまたはフェノールうえ通過つうかさせることによってのぞくことができる。[7]

工業こうぎょう規模きぼ

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工業こうぎょうてき主要しゅよう化合かごうぶつである塩化えんか水素すいそ塩酸えんさんことなり、におい水素すいそにおい水素すいそさん製造せいぞう規模きぼちいさい。初期しょき製造せいぞうほうは 200–400 ℃ 程度ていど高温こうおん水素すいそ臭素しゅうそ反応はんのうさせるものであった。この反応はんのう通常つうじょう白金はっきんアスベスト触媒しょくばいされる[3][7]

におい水素すいそさん

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におい水素すいそのハロゲン水素すいそ同様どうようきわめてみず溶解ようかいしやすく、水溶液すいようえきにおい水素すいそさんばれ、47.63%のものは沸点ふってん124.3℃のきょうにえ混合こんごうぶつである。市販しはんひんきょうにえ混合こんごうぶつちかい48%(d=1.48g cm−3, 8.8mol dm−3程度ていどのものが一般いっぱんてきであり医薬いやくようがいげきぶつ指定していける。

みずたいする溶解ようかいねつきわめておおきくハロゲン水素すいそなか最大さいだいである[8]

     

塩酸えんさん類似るいじ性質せいしつをもつつよい1さんであるが、やや酸化さんかされやす空気くうきにより酸化さんかけたり、ひかりにより分解ぶんかい臭素しゅうそ遊離ゆうり色味いろみびることがある。

水溶液すいようえきちゅうにおけるさん解離かいり定数ていすう直接的ちょくせつてき測定そくてい不可能ふかのうであるが、ねつ力学りきがくてきなサイクルによりpKa=−9と推定すいていされている[9]

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 毒物どくぶつおよげきぶつ取締とりしまりほう昭和しょうわじゅうねん法律ほうりつだいさんひゃくさんごう別表べっぴょうだい2:73”. e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく (2018ねん6がつ27にち). 2020ねん1がつ12にち閲覧えつらん。 “2016ねん4がつ1にち施行しこうぶん
  2. ^ a b Hercouet, A.; LeCorre, M. (1988). "Triphenylphosphonium bromide: A convenient and quantitative source of gaseous hydrogen bromide". Synthesis, 157-158. doi:10.1055/s-1988-27502
  3. ^ a b c Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements; Butterworth-Heineman: Oxford, Great Britain; pp. 809–812.
  4. ^ Carlin, W. W. US Patent 4,147,601, April 3, 1979.
  5. ^ Vollhardt, K. P. C.; Schore, N. E. (2003). Organic Chemistry: Structure and Function; 4th Ed.; W. H. Freeman and Company: New York, NY.
  6. ^ a b c WebElements: Hydrogen Bromide, URL http://www.webelements.com/webelements/compounds/text/H/Br1H1-10035106.html
  7. ^ a b Ruhoff, J. R.; Burnett, R. E.; Reid, E. E. "Hydrogen Bromide (Anhydrous)". Organic Syntheses, Coll. Vol. 2, p.338 (1943); Vol. 15, p.35 (1935). リンク
  8. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  9. ^ FA コットン, G. ウィルキンソンちょ, 中原なかはら まさるげんやく 『コットン・ウィルキンソン無機むき化学かがく』 培風館ばいふうかん、1987ねん原書げんしょ:F. ALBERT COTTON and GEOFFREY WILKINSON, Cotton and Wilkinson ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY A COMPREHENSIVE TEXT Fourth Edition, INTERSCIENCE, 1980.

関連かんれん項目こうもく

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