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直列4気筒 - Wikipedia

直列ちょくれつ4気筒きとう(ちょくれつよんきとう)とは、レシプロエンジンひとし形式けいしきの1つ。シリンダーが1れつに4ほん配置はいちされているものをす。とう記事きじではもっぱピストンしき内燃ないねん機関きかんのそれについてべる。

自動車じどうしゃでの4気筒きとうエンジン

乗用車じょうようしゃ商用しょうようしゃ

 
ホンダ・シビックSiようK20Z3かた1,998ccエンジン

現在げんざい乗用車じょうようしゃにおいてもっともオーソドックスなエンジン形式けいしきである。ミラーサイクル採用さいようして燃費ねんぴさい重視じゅうしした100馬力ばりき未満みまんのものから、ターボチャージャー採用さいようして400馬力ばりき以上いじょう発生はっせいするハイパワーモデルまで幅広はばひろくカバーしている。排気はいきりょうとしては1.0Lから2.5L程度ていどのものが一般いっぱんてきである。

6気筒きとう以上いじょう方式ほうしきくらべると振動しんどう問題もんだいとされやすく、振動しんどう低減ていげんするために排気はいきりょうおおきい(おおむね2.0L以上いじょうちょく4エンジンではバランスシャフト採用さいようされる。このバランスシャフトは、たがいにぎゃく回転かいてんする2ほんいちついおもりきシャフトをクランクシャフトの回転かいてんすうの2ばい速度そくど回転かいてんさせることで振動しんどう相殺そうさいするが、それでも完全かんぜん振動しんどうすのはむずかしいため、従来じゅうらいじき4はしょう中型ちゅうがた大衆たいしゅうしゃへの採用さいよう一般いっぱんてきであった。しかしエコ意識いしきたかまっている昨今さっこんちょく噴化によりノッキング問題もんだい緩和かんわされたこともあり、6気筒きとう・8気筒きとうたりまえであった高級こうきゅうしゃ大型おおがたしゃにもちょく4ターボを採用さいようする事例じれい[1](→ダウンサイジングコンセプト)はもはやめずらしくなくなってきている。一方いっぽうながらくちょく4がカバーしてきた1.5L前後ぜんご排気はいきりょう直列ちょくれつ3気筒きとうえるれいえてきており、ちょく4のほうもダウンサイジングなみさらされている現状げんじょうがある。

市販しはんされた自動車じどうしゃようガソリンエンジンでもっと排気はいきりょうちいさいちょく4は、1963ねん発売はつばい軽自動車けいじどうしゃホンダ・T360の354ccである。軽自動車けいじどうしゃ規格きかく排気はいきりょうが660ccに変更へんこうされてからもこのクラスのちょく4は量産りょうさんされていたが、燃費ねんぴにシビアな時代じだい背景はいけいからねつ効率こうりつめんまさ直列ちょくれつ3気筒きとう移行いこうすすみ、2013ねん1がつの2代目だいめ三菱みつびし・パジェロミニ販売はんばい終了しゅうりょうって絶滅ぜつめつした。

ぎゃくちょく4のディーゼルエンジンでないもので最大さいだい排気はいきりょうのエンジンは1961ねんポンティアック・テンペストの3,188cc(195ci)エンジンである。また1970年代ねんだい以降いこう三菱自動車みつびしじどうしゃランチェスターの法則ほうそくられるフレデリック・ランチェスター考案こうあんしたランチェスター・バランサーをベースに、サイレントシャフトばれる独創どくそうてきなバランスシャフトを開発かいはつし、三菱みつびし・ジープ三菱みつびし・スタリオンで2,555ccを実現じつげんのちにこの技術ぎじゅつ採用さいようした1990年代ねんだいポルシェ・968は2,992ccまで拡大かくだいしている。

なお火炎かえん伝播でんぱ問題もんだいからボアみち限界げんかいがあるガソリンエンジンとことなり、トラックとう多用たようされるディーゼルエンジンでは気筒きとうあたり1,000ccをえるだい排気はいきりょうちょく4も使用しようされている。かつて路線ろせんバスきゅうちょく6エンジンが主流しゅりゅうであったが、はいガス規制きせい強化きょうかによってちょく4ターボエンジンへの[2]すすんでいる。

競技きょうぎようしゃ

 
1,000馬力ばりきはるかにえる出力しゅつりょく発生はっせいしたBMWのF1よう直列ちょくれつ4気筒きとうシングルターボエンジン
 
トヨタ・3S-GTE様々さまざまなカテゴリでチューニングベースとして使用しようされ、パイクスピーク仕様しようでは800馬力ばりき以上いじょう/700Nm以上いじょう出力しゅつりょく発揮はっきした。

WRCWTCCWorld RXTCRGT500BTCCなど市販しはんしゃをベースとするメジャーレースでは、ベース車両しゃりょう都合つごう自動車じどうしゃメーカーの販促はんそくなどのため、1.6〜2.0L程度ていどちょく4ターボを規則きそく指定していする場合ばあいおおい。またF3スーパーフォーミュラのようなじゅんレーシングカーでも市販しはんしゃのエンジン、あるいは上記じょうきのような市販しはんしゃベースのカテゴリからのエンジンの流用りゅうよう前提ぜんていとしている場合ばあいちょく4ターボが指定していされる場合ばあいもある。

GT500およびスーパーフォーミュラの統一とういつ規格きかくNippon Race Engineちょく4ターボである。

気筒きとうすう自由じゆう選択せんたくできるカテゴリであっても、市販しはんしゃからの流用りゅうようによる開発かいはつコストのひくさや軽量けいりょう・コンパクトな特性とくせいこのまれて、ちょく4が採用さいようされるケースがしばしある。ちょく6をブランドアイコンの一部いちぶとするBMWも、競技きょうぎでは軽量けいりょうさやエンジン配置はいち自由じゆうたかさからちょく4をもちいることのほうおおく、グループABMW・M3スーパーツーリング318iスーパー2000320iなどがちょく4で公認こうにん取得しゅとくし、各地かくち猛威もういるった[3]

F1では1950〜1960年代ねんだいなかば、とく最大さいだい排気はいきりょうが1.5リッターに制限せいげんされていた時代じだいちょく4がよく採用さいようされていた。DFVエンジン中心ちゅうしんとしたV8の流行りゅうこうにより一時いちじ消滅しょうめつするが、1970年代ねんだいまつターボ技術ぎじゅつ登場とうじょうしたことで復活ふっかつ1983ねんにはネルソン・ピケBMWせいちょく4ターボでドライバーズチャンピオンにかがやいた。ターボが禁止きんしとなる1989ねんまでには、決勝けっしょう仕様しようで1,000馬力ばりき以上いじょう予選よせん仕様しようで1,300〜1,400馬力ばりきほどにたっしていたとされている。

プロトタイプレーシングカーでもふるくからちょく4ターボの採用さいようおおく、IMSA無敵むてきちか戦績せんせきでタイトルを獲得かくとくしたイーグル・MkIIIセブリング12あいだレース制覇せいはしたマツダ・RT24-Pなどがられる。

インディ500歴代れきだい最多さいた優勝ゆうしょうエンジンは、27しょうげた自然しぜん吸気きゅうきちょく4である。オッフェンハウザーしゃ制作せいさくしたこの4,200ccのDOHCエンジンは「オフィー」という愛称あいしょうられ、1930ねんから1970年代ねんだいのDFVエンジン登場とうじょうまでのあいだながらく活躍かつやくつづけた。

オートバイでの直列ちょくれつ4気筒きとう

 
ホンダ・ドリームCB750FOURのエンジン

オートバイりん業界ぎょうかいでは慣例かんれいよこきでシリンダーが横並よこならびになるから、並列へいれつよん気筒きとうともばれている(ただし厳密げんみつ意味いみでの並列へいれつよん気筒きとうだとクランクシャフトがよんじくあるエンジンになってしまうため、本来ほんらいならば俗称ぞくしょうちかい)。いわゆるロードスポーツモデルを中心ちゅうしんに、排気はいきりょう250ccから1,400ccまで存在そんざいする。

市販しはんオートバイ史上しじょうもっとちいさな直列ちょくれつ4気筒きとうエンジンは、モト・グッツィ製作せいさくした231ccのBenelli/Moto Guzzi 254である。レース専用せんよう車両しゃりょうでは1960年代ねんだいホンダが125ccのRC146製作せいさくのち世界せかい最小さいしょう直列ちょくれつ5気筒きとうエンジンである125ccのRC148/149製作せいさくつながっている。ぎゃくに、市販しはんオートバイで現在げんざいのところ史上しじょうもっとおおきな排気はいきりょうのものはカワサキ・ZX-14Rの1,441ccである。

 
1929ねんしきヘンダーソン・KJの1340ccエンジン

ふるくは1910年代ねんだいたて直列ちょくれつ4気筒きとう搭載とうさいしたヘンダーソン・モーターサイクル事例じれい存在そんざいするが、近代きんだいてき直列ちょくれつ4気筒きとう最初さいしょ搭載とうさいしたオートバイは1966ねんMVアグスタ発売はつばいしたDOHC2バルブのMV600である。しかし、MV600の生産せいさん数量すうりょうかぎられており、1969ねんにホンダが発売はつばいしたSOHC2バルブのホンダ・ドリームCB750FOUR実質じっしつてき近代きんだいてき直列ちょくれつ4気筒きとう最初さいしょ搭載とうさいしたオートバイとすることがおおい。このCB750FOURの爆発ばくはつてきなヒットが、そのオートバイようエンジン主流しゅりゅう直列ちょくれつ4気筒きとううつ契機けいきとなった。

今日きょうではクルーザーがたオートバイオフロードバイクスクーターのぞいて、ほとんどすべての形式けいしきのオートバイが直列ちょくれつ4気筒きとう搭載とうさいしている。とくに、高速こうそく高性能こうせいのうりにしたフラッグシップけいのモデルはほぼ直列ちょくれつ4気筒きとうってもい。なおBMWなど一部いちぶのメーカーはたてきエンジン直列ちょくれつ4気筒きとう販売はんばいしているが、そののメーカーはほぼすべよこきエンジン形式けいしきである。

 
デルビ4の2ストローク392ccエンジン

2ストローク機関きかんにおいては、1954ねんスペインデルビモンジュイック24あいだ耐久たいきゅうレースようのロードレーサーのデルビ・4製造せいぞうしているが、エンジン破損はそんでリタイアし、その市販しはん車両しゃりょう発売はつばいされることもなかった。ロードレースにおいてはヤマハの500ccワークスレーサーYZR500による採用さいよう著名ちょめいで、1973ねんOW20から1981ねんOW53まで[4]この形式けいしき採用さいようされた。1976ねんには500ccのOW23をベースに750ccにボアアップされたYZR750(0W31)登場とうじょう[5]市販しはんロードレーサーのTZ500/TZ750としても市場いちば投入とうにゅうされた。

よんりん軽自動車けいじどうしゃなどにおいてはてい回転かいてんいきのトルク特性とくせいなどを考慮こうりょして直列ちょくれつ3気筒きとうにエンジンの主流しゅりゅううつっていった経緯けいいがあるが、オートバイにおいてはある程度ていどまでそれを犠牲ぎせいにしてでもこう回転かいてんいき重視じゅうししたセッティングをおこなえるため、パワー特性とくせい製造せいぞうコストのいからもっともバランスのれた直列ちょくれつ4気筒きとうひろもちいられるエンジンとなっている。

なお、2009ねんヤマハ・YZF-R1クロスプレーンクランクシャフトを採用さいよう等間隔とうかんかく爆発ばくはつとした直列ちょくれつ4気筒きとうエンジンを搭載とうさいし、クランクシャフトの慣性かんせいトルクに影響えいきょうされないダイレクトなコントロールせいている。これは、2004ねんより競技きょうぎMotoGPようヤマハ・YZR-M1において採用さいようされたコンセプトの市販しはんしゃへのフィードバックによるものである。[6]クロスプレーンクランクシャフトはスズキおよびカワサキといったヤマハ以外いがい直列ちょくれつ4気筒きとうエンジンのMotoGP参戦さんせん車両しゃりょうにも採用さいようされている。

2気筒きとうどうばくエンジン

4ストロークの通常つうじょう直列ちょくれつ4気筒きとうエンジンは、180ずつ位相いそうをずらして点火てんかタイミングが720ちゅう1-3-4-2(1-2-4-3のれいもあり)のじゅん等間隔とうかんかく点火てんかされる。これにたいして、2ストローク2気筒きとうどうばくエンジンでは360ちゅう1-4と、2-3の2気筒きとうずつが等間隔とうかんかく同時どうじ点火てんかされる。

こう出力しゅつりょくには90間隔かんかくで1気筒きとうずつ点火てんかしたほう有利ゆうりだが、ピストンの往復おうふくが1-2気筒きとうと3-4気筒きとう対称たいしょうにならず1の偶力振動しんどう発生はっせいしてしまう。2気筒きとうどうばくレイアウトでは4ストロークとおなじく1振動しんどう発生はっせいせず、また均等きんとう爆発ばくはつ2気筒きとうエンジンと同様どうよう力強ちからづよいトルクがられる特性とくせいになる。

かたについて

直列ちょくれつエンジン同様どうよう、「インライン4(フォア)」、「i4」、「ストレート4(フォー)」、「S4」、「L4」、「ちょく4」など様々さまざま俗称ぞくしょう存在そんざいする。また車体しゃたい進行しんこう方向ほうこうたいしてたてきに搭載とうさいされるエンジンを「直列ちょくれつ4気筒きとう」、横向よこむきに搭載とうさいされるエンジンのことを「並列へいれつ4気筒きとう」とび、区別くべつする場合ばあいもある(正確せいかくにはどちらも直列ちょくれつエンジンである)。

脚注きゃくちゅう

  1. ^ 日産にっさん・スカイライントヨタ・クラウンシボレー・カマロなど
  2. ^ ジェイ・バスせい路線ろせんバス車両しゃりょうエルガエルガミオブルーリボンレインボー)がそうである。また、同社どうしゃせい観光かんこうバスタイプの車両しゃりょうセレガ9m仕様しようメルファガーラ9m仕様しようガーラミオ)も、ちょく4ターボにえられた。
  3. ^ From sporty road car to the WTCC: the BMW 320si.
  4. ^ マシン一覧いちらん(500cc) - バイクレース - ヤマハ発動機やまははつどうき株式会社かぶしきがいしゃ
  5. ^ YZR750(0W31) - バイクレース - ヤマハ発動機やまははつどうき株式会社かぶしきがいしゃ
  6. ^ モーターファン・イラストレーテッドVol.4 p.077

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