中西なかにし太ふとし

中西なかにし 太ふとし（なかにし ふとし、1933年ねん4月がつ11日にち - 2023年ねん5月11日にち）は、香川かがわ県けん高松たかまつ市し出身しゅっしんのプロ野球やきゅう選手せんしゅ（内野ないや手しゅ）・コーチ・監督かんとく、解説かいせつ者しゃ・評論ひょうろん家か。1999年ねんに野球やきゅう殿堂でんどう入はいり。豪ごう打だと俊足しゅんそくで「怪童かいどう」と呼よばれ、西鉄にしてつライオンズの黄金おうごん期きを支ささえた。西鉄にしてつ、日本にほんハム、阪神はんしんで監督かんとくとなり、多おおくの球団きゅうだんや選手せんしゅのコーチも務つとめた。指導しどう者しゃとしては「ふとっさん」や「名めい伯楽ばくろう」と呼よばれ、打撃だげき指導しどうは高たかく評価ひょうかされた。

中西なかにし 太ふとし

1954年ねんのオールスターゲームにて
基本きほん情報じょうほう
国籍こくせき	日本にっぽん
出身しゅっしん地ち	香川かがわ県けん高松たかまつ市し松島まつしま町まち
生年月日せいねんがっぴ	(1933-04-11) 1933年ねん4月がつ11日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(2023-05-11) 2023年ねん5月11日にち（90歳さい没ぼつ）
身長しんちょう 体重たいじゅう	174 cm 93 kg
選手せんしゅ情報じょうほう
投球とうきゅう・打席だせき	右みぎ投とう右みぎ打だ
ポジション	三塁手さんるいしゅ、一塁いちるい手しゅ
プロ入いり	1952年ねん
初はつ出場しゅつじょう	1952年ねん3月がつ21日にち
最終さいしゅう出場しゅつじょう	1969年ねん10月がつ8日にち
経歴けいれき（括弧かっこ内ないはプロチーム在籍ざいせき年度ねんど）
選手せんしゅ歴れき
高松たかまつ第一高等学校だいちこうとうがっこう 西鉄にしてつライオンズ (1952 - 1969)
監督かんとく・コーチ歴れき
西鉄にしてつライオンズ (1962 - 1969) ヤクルトアトムズ (1971 - 1973) 日本にっぽんハムファイターズ (1974 - 1975) 阪神はんしんタイガース (1979 - 1981) ヤクルトスワローズ (1983 - 1984) 近鉄きんてつバファローズ (1985 - 1990) 読売よみうりジャイアンツ (1992) 千葉ちばロッテマリーンズ (1994) オリックス・ブルーウェーブ (1995 - 1997)
野球やきゅう殿堂でんどう（日本にっぽん） 殿堂でんどう表彰ひょうしょう者しゃ
選出せんしゅつ年ねん	1999年ねん
選出せんしゅつ方法ほうほう	競技きょうぎ者しゃ表彰ひょうしょう
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高松たかまつ第一高等学校だいちこうとうがっこう時代じだいは甲子園こうしえんで夏なつ2回かいベスト4、春はる1回かい出場しゅつじょう。甲子園こうしえんで二に戦せん連続れんぞくランニングホームランも記録きろくした。西鉄にしてつでは三原みはら脩おさむ監督かんとく時代じだいの黄金おうごん期きを支ささえ、本塁打ほんるいだ王おう5回かい、打点だてん王おう3回かい、首位しゅい打者だしゃ2回かい、ベストナイン（三塁手さんるいしゅ）7回かいを記録きろく。1953年ねんには史上しじょう最年少さいねんしょうでトリプルスリーと二に冠かん（本塁打ほんるいだ王おう・打点だてん王おう）を、1955年ねんにはパ・リーグ最高さいこう殊勲しゅくん選手せんしゅを達成たっせいした。

西鉄にしてつでは選手せんしゅ兼けん監督かんとくを経へて監督かんとくとなり、1963年ねんにリーグ優勝ゆうしょうを達成たっせい。5球団きゅうだんで監督かんとく・監督かんとく代行だいこうを、ヤクルト、近鉄きんてつ、巨人きょじん、オリックスなどでもコーチや臨時りんじコーチを歴任れきにん。若松わかまつ勉つとむ、岡田おかだ彰布あきのぶ、掛かけ布ぬの雅之まさゆき、宮本みやもと慎也しんやらを育そだてた。「何事なにごとも苦くるしい時ときが自分じぶんの礎いしずえをつくる」という「何なに苦く楚すわえ」が座右ざゆうの銘めいで、岩村いわむら明憲あきのりや田口たぐち壮たけしに引ひき継つがれた。

妻つまは三原みはら脩おさむの長女ちょうじょ。人生じんせいの師しでもある三原みはらからは「人ひとを見みて法ほうを説とけ」や「三原みはらイズム」、メモ魔まを受うけ継ついだ。中西なかにしが持もっていた「三原みはらノート」は栗山くりやま英樹ひできに引ひき継つがれている。高松たかまつ讃さん紫むらさき会かいでは名誉めいよ会長かいちょうに就任しゅうにん。2000年ねんに初はつの高松たかまつ市し市民しみん栄誉えいよ賞しょうとなり、たかまつミライエには中西なかにしの特設とくせつコーナーが設もうけられている。

経歴けいれき

プロ入いり前まえ

幼少ようしょう期きは野菜やさいの行商ぎょうしょうをしていた母ははの手てで育そだてられる。小学しょうがく6年生ねんせいだった1945年ねん7月がつ4日にち、住すんでいた高松たかまつで高松たかまつ空襲くうしゅうに遭あう。一いち度どは防空壕ぼうくうごうに逃にげ込こんだが、周まわりの大人おとなたちに招まねかれるように防空壕ぼうくうごうを出でて、間あいだもなくして自分じぶんが避難ひなんしていた防空壕ぼうくうごうは爆撃ばくげきされた。本人ほんにんも「あのまま防空壕ぼうくうごうにいたら命いのちは無なかったから、運うんが良よかった」と語かたっている。1946年ねん、旧制きゅうせい高松たかまつ一いち中ちゅうに入学にゅうがく（高松たかまつ一いち中ちゅうは1948年ねんに学制がくせい改革かいかくにより高松たかまつ一いち高だかとなる）。高松たかまつ一いち高だか時代じだいは本塁打ほんるいだを量産りょうさんし、「怪童かいどう」といわれていた。中西なかにしが打撃だげき練習れんしゅうを始はじめると、打球だきゅうが速はやすぎて危険きけんなため内野ないや手しゅは外野がいやに移動いどうしていたという。甲子園こうしえんには三塁手さんるいしゅとして3度ど出場しゅつじょう。1949年ねん春はるの選抜せんばつは準々じゅんじゅん決勝けっしょうに進すすむが、小倉北こくらきた高だかのエース福嶋ふくしま一雄かずおに完封かんぷう負まけを喫きっする。同年どうねん夏なつの選手権せんしゅけんは、準決勝じゅんけっしょうで佐々木ささき信也しんや（高橋たかはし）のいた湘南しょうなん高だかに延長えんちょう10回かいにサヨナラ負まけする。

1951年ねん夏なつの選手権せんしゅけんは準決勝じゅんけっしょうに進すすむが、優勝ゆうしょう校こうとなる平安へいあん高だかの清水しみず宏ひろし員いん（毎日まいにち）、上市かみいち明あきら（大映だいえい）のバッテリーに抑おさえられ3-4で惜敗せきはい。この大会たいかいでは岡山東おかやまひがし高だかの秋山あきやま登のぼる（大洋たいよう）らから2試合しあい連続れんぞくでランニングホームラン、計けい6打点だてんを記録きろくした。同年どうねんの広島ひろしま国体こくたいでは準々じゅんじゅん決勝けっしょう（初戦しょせん）で都島みやこじま工こうと対戦たいせん、延長えんちょう21回かいの熱戦ねっせんの末すえに0-1でサヨナラ負まけした。高校こうこうの2年ねん上じょうに山下やました健けん（阪急はんきゅう）、1年ねん上じょうに玉木たまき春雄はるお（西鉄にしてつ）、同期どうきには松岡まつおか雅俊まさとし（東映とうえい）、1年ねん下かには荒井あらい健けん（近鉄きんてつ）、松井まつい清きよし（西鉄にしてつ）と後のちにプロ入いりするチームメイトが揃そろっていた。

国体こくたい出場しゅつじょう後ご、高校こうこう卒業そつぎょう後ごの進路しんろについて飛田ひだ穂みのる洲しゅうより早稲田大学わせだだいがく進学しんがくを勧すすめられ、見学けんがくのために上京じょうきょう。この時ときに同郷どうきょう・香川かがわの先輩せんぱいで早大そうだいOBでもある西鉄にしてつライオンズの三原みはら脩おさむ監督かんとくと出会であった。

三原みはらは貧まずしかった中西なかにしの早大そうだい進学しんがくの費用ひようを西鉄にしてつが出だす代かわりに、卒業そつぎょうしたら入団にゅうだんするように約束やくそくをさせた。しかし毎日まいにちオリオンズの若林わかばやし忠志ただし監督かんとくが毎日新聞まいにちしんぶん高松たかまつ支局しきょく長ちょうを伴ともなって中西なかにしの兄あにを抱だき込こみ、契約けいやく寸前すんぜんまでいっているとの連絡れんらくが入はいる。三原みはらはすぐさま中西なかにしの家いえに向むかい、西鉄にしてつ側がわには高松たかまつ一いち高だか野球やきゅう部ぶ後援こうえん会かいや市会しかい議員ぎいんまでが出でてきて入団にゅうだんを後押あとおしした。最終さいしゅう的てきには「郷里きょうりの先輩せんぱいを信しんじるのが一番いちばん良よい」という母親ははおやの決断けつだんにより、西鉄にしてつ入いりが決きまった。早大そうだい進学しんがくの夢ゆめが打うち砕くだかれたのとプロでやっていく自信じしんの無なさから、決定けっていの瞬間しゅんかんに中西なかにしは大声おおごえをあげて泣ないた。

現役げんえき時代じだい

1952年ねんに西鉄にしてつへ正式せいしき入団にゅうだんすると、開幕かいまくから七なな番ばん打者だしゃ、三塁手さんるいしゅに抜擢ばってきされ活躍かつやく。プロ初はつ本塁打ほんるいだはランニングホームランであった（高校こうこう時代じだいに甲子園こうしえんで記録きろくした本塁打ほんるいだも2本ほんともランニングホームランである）。同年どうねんは打率だりつ.281（17位い）、12本塁打ほんるいだで新人しんじん王おうを獲得かくとく。

1953年ねんには7月がつから四よん番ばん打者だしゃに座すわり、トリプルスリー（打率だりつ.314、36本塁打ほんるいだ、36盗塁とうるい）を史上しじょう最年少さいねんしょうで達成たっせい。同年どうねんから6年ねん連続れんぞくでベストナインに選出せんしゅつされる。また、36本塁打ほんるいだは2021年ねん現在げんざいも2019年ねんの村上むらかみ宗そう隆たかしと並ならび高だか卒そつ2年ねん以内いないの選手せんしゅの最多さいた本塁打ほんるいだ記録きろくであり、86打点だてんも同年どうねんの村上むらかみが抜ぬくまで高卒こうそつ2年ねん目め以内いないの選手せんしゅの最多さいた記録きろくだった。その後ごも1958年ねんまで毎年まいとしの様ように三冠王さんかんおうに近ちかい成績せいせきを残のこし、1956年ねんはパシフィック・リーグMVPを受賞じゅしょう。1953年ねんから1956年ねんにかけては4年ねん連続れんぞくで本塁打ほんるいだ王おうを獲得かくとく。1953年ねんは大映だいえい（30本ほん）と近鉄きんてつ（31本ほん）、1954年ねんは近鉄きんてつ（27本ほん）のチーム本塁打ほんるいだを個人こじんで上回うわまわっていた。他ほかにも、1955年ねんは17敬遠けいえんでパ・リーグの初代しょだい最多さいた敬遠けいえんとなり、翌年よくねんも山内やまうち和弘かずひろと並ならぶ17敬遠けいえんを記録きろくした。

大下おおした弘ひろし・豊田とよだ泰光やすみつ・関口せきぐち清治きよじ・高倉たかくら照幸てるゆき・河野こうの昭あきら修おさむらと形成けいせいする強力きょうりょく打線だせんは「流線型りゅうせんけい打線だせん」と呼よばれ、1954年ねんに球団きゅうだん初はつのリーグ優勝ゆうしょうを飾かざる。同年どうねんの中日ちゅうにちドラゴンズとの日本にっぽんシリーズでも25打数だすう8安打あんだ3打点だてんと活躍かつやく。稲尾いなお和久かずひさが入団にゅうだんした1956年ねんからは水原みずはら茂しげる監督かんとく率ひきいる巨人きょじんを相手あいてに3年ねん連続れんぞく日本一にっぽんいちという黄金おうごん時代じだいをき上ずきあげた。この時期じきに三原みはらの長女ちょうじょ・敏子としこのもとへ婿むこ入いりし、三原みはらの義理ぎりの息子むすことなっている（戸籍こせき上じょうは「三原みはら太ふとし」となっている）。1956年ねんの巨人きょじんとの日本にっぽんシリーズでは第だい2戦せんに安原やすはら達いたる佳けい、第だい4戦せんに中尾なかお碩せき志こころざしから本塁打ほんるいだを放はなつ。この年としは29本塁打ほんるいだ・95打点だてんで二に冠かん王おうに輝かがやくも、打率だりつは豊田とよだ泰光やすみつと4毛もうの差さで三冠王さんかんおうを逃のがす。

1957年ねんの日本にっぽんシリーズは21打数だすう5安打あんだ無む打点だてんとあまり活躍かつやくの場ばはなかったが、1958年ねんの日本にっぽんシリーズは第だい5戦せんから3試合しあい連続れんぞく本塁打ほんるいだを放はなち本領ほんりょうを発揮はっきした。

1958年ねんは打率だりつ.314と23本塁打ほんるいだで二に冠かん王おうに輝かがやくも、打点だてん王おうの葛城かつらぎ隆雄たかお（大毎だいまい）に1打点だてん差さで届とどかず、三冠王さんかんおうを逃のがす。なおこの時ときの打率だりつ.314は、1953年ねんの岡本おかもと伊い三美みよし（近鉄きんてつ）の.314を下回したまわり、2リーグ分裂ぶんれつ後ごパ・リーグの首位しゅい打者だしゃとしては最低さいてい打率だりつ記録きろくで、1976年ねんに西鉄にしてつの後進こうしん・太平洋たいへいようクラブの吉岡よしおか悟さとるが.309で首位しゅい打者だしゃとなるまて最低さいてい打率だりつだった。

1958年ねんまでは常つねにタイトル争あらそいに加くわわるほどの打棒だぼうを誇ほこるが、1959年ねんの6月がつ3日にちの近鉄きんてつ戦たたかえ（平和へいわ台だい）で鈴木すずき武たけしにき手きてをスパイクされて6針はり縫ぬう負傷ふしょう。さらに1960年ねんには左ひだり手首てくびに腱鞘炎けんしょうえんを患わずらい満足まんぞくなスイングができなくなり、常時じょうじ出場しゅつじょうは困難こんなんになる。

1961年ねんには回復かいふくが見みられ、主おもに一塁いちるい手しゅとして78試合しあいに先発せんぱつ出場しゅつじょう、打率だりつ.304、21本塁打ほんるいだを記録きろく。しかしベストナインには9試合しあいのみ起用きようされた三塁手さんるいしゅとして選出せんしゅつされた。

1962年ねんからは西鉄にしてつの選手せんしゅ兼任けんにん監督かんとくに就任しゅうにん。再ふたたび怪我けがが悪化あっかし開幕かいまくから欠場けつじょう、28試合しあいの先発せんぱつにとどまる。同年どうねんオフには豊田とよだが国鉄こくてつスワローズに移籍いせきした。

1963年ねんは開幕かいまくから一塁いちるい手しゅとして出場しゅつじょう。チームも好調こうちょうを維持いじし、トニー・ロイ、ジム・バーマ、ジョージ・ウィルソンら「三さん銃じゅう士し」が活躍かつやく。若生わこう忠男ただお・畑はた隆幸たかゆき・田中たなか勉つとむ・安部あべ和春かずはる・井上いのうえ善夫よしおら若手わかて投手とうしゅの奮闘ふんとうもあり、南海なんかいと熾烈しれつな優勝ゆうしょう争あらそいを繰くり広ひろげる。最大さいだい14.5ゲーム差さを追おい上あげて最後さいごの4試合しあい（2日にち連続れんぞくのダブルヘッダー。3勝しょう1分ふん以上いじょうもしくは2勝しょう2分ふんで優勝ゆうしょう、3勝しょう1敗はいで南海なんかいとの同率どうりつプレーオフ、それ以外いがいは南海なんかいの優勝ゆうしょう）に全勝ぜんしょうし、劇的げきてきなリーグ優勝ゆうしょうを決きめる。同年どうねんの日本にっぽんシリーズでは巨人きょじんに3勝しょう4敗はいで敗退はいたいした。

1964年ねんからは代打だいだでの出場しゅつじょうが主おもになる。チームは稲尾いなおを故障こしょうで欠かいたため、5位いへ転落てんらく。同年どうねんオフの退団たいだんとなった若林わかばやし忠志ただしヘッドコーチの処遇しょぐうを巡めぐりバッシングを受うけ、「若林わかばやしに成績せいせき不振ふしんの責任せきにんを取とらせた」とマスコミからの非難ひなんを浴あびた。実じつはこの時とき、若林わかばやし退団たいだんの真しんの理由りゆうは末期まっきガンのためであったが、若林わかばやしの家族かぞくの意向いこうからその事実じじつは本人ほんにんにも伏ふせられ、真相しんそうは中西なかにしと若林わかばやし夫人ふじんしか知しらなかった。自みずからの真しんの病状びょうじょうを知しらない若林わかばやしは中西なかにしが見舞みまいに来くるたびに、「自分じぶんはもう大丈夫だいじょうぶだから現場げんばに戻もどしてほしい」と語かたっていたという。それがもはや叶かなわないことを知しっていた中西なかにしは「涙なみだが出でるほど辛からかった」と後年こうねんに回想かいそうしている。若林わかばやしは1965年ねん、58歳さいで死去しきょした。

1965年ねんはルーキーの池永いけなが正明まさあきが20勝しょうで新人しんじん王おうを獲得かくとくしたほか、稲尾いなおの復活ふっかつもあり3位いでAクラスに返かえり咲ざく。

1966年ねんは稲尾いなおがリリーフに転向てんこうし、最優秀さいゆうしゅう防御ぼうぎょ率りつを獲得かくとく。同年どうねん9月がつ30日にち、中西なかにしはこのシーズン5本ほん目めの代打だいだ本塁打ほんるいだを記録きろくするが、これは自身じしん通算つうさん10本ほん目めの代打だいだ本塁打ほんるいだであり、大だい館たて勲夫いさおの当時とうじの日本にっぽんプロ野球やきゅう記録きろくを二ふたつとも更新こうしんしている。

1967年ねんは宮寺みやでら勝利しょうりを正せい捕手ほしゅに据すえたため、和田わだ博実ひろみを外野がいやにコンバート。池永いけながが最多さいた勝かちを獲得かくとくし、2年ねん連続れんぞくで2位いとなった。

1968年ねんは「猛もう打だ西鉄にしてつ」復活ふっかつを狙ねらって、高木たかぎ喬たかし・広野ひろの功いさおを獲得かくとく。東田ひがしだ正義まさよし・竹之内たけのうち雅史まさしの台頭たいとうもあったが、5位いに終おわる。

1969年ねんは宮寺みやでらに代かわって村上むらかみ公こう康やすしが正せい捕手ほしゅとなったが、チーム打率だりつ最下位さいかい・チーム防御ぼうぎょ率りつ5位いという散々さんざんな内容ないようで2年ねん連続れんぞくで5位いとなる。広野こうやが20本塁打ほんるいだ、村上むらかみが14本塁打ほんるいだを放はなった。同年どうねんに中西なかにしは現役げんえきを引退いんたいし、監督かんとくも退任たいにん。同年どうねん10月がつに発覚はっかくし、西鉄にしてつの選手せんしゅも関与かんよしていた八百長やおちょう疑惑ぎわく事件じけん、いわゆる「黒くろい霧きり事件じけん」についての道義どうぎ的てき責任せきにんを負おっての辞任じにんでもあった。

中西なかにしが着つけた背番号せばんごう6は、将来しょうらい有望ゆうぼうな選手せんしゅが出でるまでの保留ほりゅう欠番けつばんとされ、1973年ねん、西鉄にしてつが身売みうりした際さいに、監督かんとくの稲尾いなおの推薦すいせんで菊川きくかわ昭二郎しょうじろうが33から変更へんこうして着つけた。

引退いんたい後ご

引退いんたい後ごに1年ねんだけTBS解説かいせつ者しゃ（1970年ねん）を務つとめた後のち、ヤクルト（1971年ねん - 1973年ねんヘッドコーチ, 1983年ねん - 1984年ねん一軍いちぐんヘッド兼けん打撃だげきコーチ）、日本にほんハム（1974年ねん - 1975年ねん監督かんとく）、阪神はんしん（1979年ねん - 1980年ねん一軍いちぐん打撃だげきコーチ, 1980年ねん - 1981年ねん監督かんとく）、近鉄きんてつ（1985年ねん - 1988年ねん一軍いちぐん打撃だげきコーチ, 1989年ねん - 1990年ねんヘッドコーチ）、巨人きょじん（1992年ねん一軍いちぐん打撃だげき総合そうごうコーチ）、ロッテ（1994年ねんヘッドコーチ）、オリックス（1995年ねん - 1997年ねんヘッドコーチ）で監督かんとく・コーチを歴任れきにん。指導しどう者しゃ生活せいかつの合間あいまを縫ぬって、九州朝日放送きゅうしゅうあさひほうそう（1976年ねん - 1978年ねん）・毎日放送まいにちほうそう（1982年ねん, 1991年ねん）解説かいせつ者しゃ、日刊にっかんスポーツ評論ひょうろん家か（1977年ねん - 1978年ねん, 1982年ねん , 1991年ねん, 1993年ねん）を務つとめた。

ヤクルトコーチ1期き目めにはプロ入いり前まえから若松わかまつ勉つとむの素質そしつを見抜みぬき、体からだの小ちいささを理由りゆうにプロ入いりを拒否きょひしていた若松わかまつに対たいして北海道ほっかいどうまで出向でむいて説得せっとくを行おこない、入団にゅうだん後ごはマンツーマン指導しどうにより2年ねん目めで首位しゅい打者だしゃを獲得かくとくするまでに育そだて上あげた。後のちに若松わかまつが野球やきゅう殿堂でんどう入いりを果はたした時ときは「自分じぶんの殿堂でんどう入いりよりもうれしい、自分じぶんに若松わかまつを託たくしたお父とうさんからもお褒ほめの言葉ことばを授さずかり、非常ひじょうに嬉うれしかった」と述のべている。2期き目めには八重樫やえがし幸雄ゆきおと二に人にん三脚さんきゃくで独特どくとくのオープンスタンスの打撃だげきフォームを造つくり上あげ、これにより打力だりょくが向上こうじょうした八重樫やえがしは正せい捕手ほしゅの座ざを獲得かくとくし、現役げんえき晩年ばんねんは代打だいだの切きり札ふだとして活躍かつやくした。1984年ねん4月がつには武たけ上うえ四郎しろう辞任じにんに伴ともない監督かんとく代行だいこうを務つとめるも、体調たいちょう不良ふりょうと成績せいせき不振ふしんのため18試合しあいで辞任じにん。

日本にほんハムでは初代しょだい監督かんとくに就任しゅうにんするも2年ねん連続れんぞく最下位さいかいで解任かいにんされ、代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう兼けん球団きゅうだん代表だいひょうの三原みはらは、初回しょかいに走者そうしゃが出でた場面ばめんでバントのサインを多用たようしていた中西なかにしの采配さいはいを見みて、監督かんとくの器うつわではないと思おもったという。また、張本ちょうほん勲くんは一打いちだ逆転ぎゃくてんの場面ばめんを直視ちょくしできずにベンチ裏うらに下さがり、マネージャーを通とおして状況じょうきょうを確認かくにんしていた中西なかにしの采配さいはいについて、選手せんしゅも戦たたかう気きになれなかったと振ふり返かえっている。

阪神はんしん時代じだいはドン・ブレイザーの辞任じにんに伴ともない、監督かんとくへ昇格しょうかくしたが、5位いに終おわる。1981年ねんは3位いになるも同年どうねん退任たいにんし、在任ざいにん中ちゅうはコーチ時代じだいから折おり合あいの悪わるかった江本えもと孟紀たけのりに「ベンチがアホや」と公言こうげんされ、確執かくしつが修復しゅうふく不能ふのうなほど悪化あっかして引退いんたいに追おい込こんでしまう。ただし、引退いんたい後ごしばらくしてからは、会あえば会話かいわをし、肩かたを組くんで写真しゃしんを撮とることもある関係かんけいに回復かいふくしている。一方いっぽうで、掛かけ布ぬの雅之まさゆきを中心ちゅうしんとした猛虎もうこ打線だせんの基礎きそを横溝よこみぞ桂かつら打撃だげきコーチと共ともにき上ずきあげた。掛かけ布ぬのから師しと仰あおがれ「中西なかにしさんは選手せんしゅのいい所しょをどんどん引ひき出だしてくれてね。それで欠点けってんを補おぎなっちゃうんだよ」。球たまを呼よび込こんで打うつよう大おおきなジェスチャーで求もとめる中西なかにしに、掛かけ布ぬのは「バットを大おおきく引ひいて打うつイメージが、より鮮明せんめいになった」と振ふり返かえる。

近鉄きんてつコーチ時代じだいは盟友めいゆうの仰木おうぎ彬あきら監督かんとくとタッグを組くみ、1989年ねんのリーグ優勝ゆうしょうに貢献こうけん。オリックスコーチ時代じだいには仰木おうぎと再ふたたびタッグを組くみ、リーグ2連覇れんぱと1996年ねんの日本一にっぽんいちに貢献こうけん。特とくに近鉄きんてつコーチ時代じだいは10.19があった1988年ねんと劇的げきてきなリーグ優勝ゆうしょうを果はたした翌よく1989年ねんにおける仰木おうぎとのコンビで、球団きゅうだんの人気にんきも実力じつりょくとともに急上昇きゅうじょうしょうし、近鉄きんてつは常勝じょうしょうチーム西武せいぶの最大さいだいのライバル球団きゅうだんとなった。伊東いとう勤つとむはその西武せいぶの選手せんしゅであったにも関かかわらず指導しどうを受うけた経験けいけんがあり、中西なかにしについて、教おしえるのが好すきな人ひとだったと振ふり返かえっている。新井あらい宏昌ひろあきは「打撃だげきの師し。中西なかにしさんの教おしえで初はつの首位しゅい打者だしゃ。打者だしゃに会あったスタイルを見みつける中西なかにしさんの教おしえを受うけたことは、その後ご指導しどう者しゃ人生じんせいにもプラスになった。」と述のべている。1989年ねん近鉄きんてつ優勝ゆうしょうの立役者たてやくしゃとなったラルフ・ブライアントは、1988年ねん途中とちゅうまで中日ちゅうにち二に軍ぐんでプレーしていたが、仰木おうぎらと共ともに二に軍ぐん戦せんを視察しさつした中西なかにしが「獲えれ。ワシが直なおす」と進言しんげんし、金銭きんせんトレードでの近鉄きんてつ移籍いせきが実現じつげん。その後ごはマンツーマンの練習れんしゅうを行おこない成功せいこうに繋つなげ、後のちに日本にっぽんでの成功せいこうの秘訣ひけつを訊きかれたブライアントは、中西なかにしの口癖くちぐせである「シンボウ」（辛抱しんぼう）と答こたえている。なお、西鉄にしてつ時代じだいは中西なかにしの参謀さんぼう役やくを、まだ現役げんえき選手せんしゅだった仰木おうぎが務つとめていた。

ロッテ時代じだいはシーズン途中とちゅうからは八木沢やぎさわ荘そう六ろくの後のちを受うけて監督かんとく代行だいこうを務つとめ、手腕しゅわんが評価ひょうかされ翌年よくねんからの正式せいしき就任しゅうにんを打診だしんされるも、年俸ねんぽうなどの条件じょうけんが折おり合あわず固辞こじ。

オリックス退団たいだん後ごも様々さまざまな球団きゅうだんで「特別とくべつコーチ」「臨時りんじコーチ」を務つとめたが、1999年ねんにはヤクルト監督かんとくを務つとめていた若松わかまつの依頼いらいにより、バッティングアドバイザーに就任しゅうにん。同年どうねんには野球やきゅう殿堂でんどう入いりを果はたし、2001年ねんまで務つとめた。在任ざいにん中ちゅうは宮本みやもと慎也しんやを指導しどうし、当時とうじの宮本みやもとは守備しゅびの人ひとであったが、これにより打力だりょくが向上こうじょう。後のちにプロ通算つうさん2000安打あんだを達成たっせいした際さいに「（中西なかにしとの出会であいがなければ）2000本ほんになんて到底とうてい届とどかなかったと思おもいます」と語かたっている。並行へいこうして2000年ねんからは4度目どめの日刊にっかんスポーツ評論ひょうろん家かとなり、2002年ねんからは評論ひょうろん活動かつどうに専念せんねん。

1997年ねんに甲状腺こうじょうせんがんを患わずらったが克服こくふくし、経過けいかは良好りょうこうであり、2007年ねん2月がつにはメジャーリーグに挑戦ちょうせんする愛弟子まなでし・岩村いわむら明憲あきのりの自主じしゅトレを手伝てつだい、中西なかにし自みずからバッティングピッチャーとして登板とうばん。岩村いわむらも「こんな元気げんきな70代だいの人ひとはそうはいないですよ」と驚おどろくほどだった。

自身じしんの座右ざゆうの銘めいである「何なに苦く楚すわえ（なにくそ-何事なにごとも苦くるしむことが楚すわえとなる）」は、オリックス・ヤクルト時代じだいの教おしえ子ごである田口たぐち壮たけしや岩村いわむらに受うけ継つがれ、その影響えいきょうは田口たぐちの著書ちょしょ「何なに苦く楚すわえ日記にっき」や岩村いわむらのブログ「AKI何なに苦く楚すわえ魂たましい」に見みられる。2007年ねん10月がつには現役げんえき時代じだいのユニフォームやトロフィーなどの資料しりょう49点てんを故郷こきょうの高松たかまつに寄贈きぞうし、2008年ねん4月がつ26日にちより高松たかまつ市し松島まつしま町まちの高松たかまつ市民しみん文化ぶんかセンターで公開こうかいされていたが、2012年ねん3月11日にち限かぎりで建物たてものが閉館へいかんとなった。その後ごは市民しみん文化ぶんかセンターの後継こうけい施設しせつとして2016年ねん11月23日にちにオープンした高松たかまつ市しこども未み来館らいかん（たかまつミライエ）1階かいの「市民しみん交流こうりゅうゾーン」に「怪童かいどう中西なかにし太ふとしコーナー」が改あらためて設置せっちされている。

2008年ねんの第だい90回かい全国ぜんこく高等こうとう学校がっこう野球やきゅう選手権せんしゅけん記念きねん大会たいかい開会かいかい式しき前まえに「甲子園こうしえんレジェンズ」の一人ひとりとして登場とうじょう。

2019年ねん4月がつ2日にち

2017年ねんに学生がくせい野球やきゅうの指導しどう資格しかくを回復かいふく。2018年ねん3月がつには高倉たかくら照幸てるゆき前ぜん会長かいちょうの後のちを受うけて「ライオンズOB会かい」会長かいちょうに就任しゅうにん。同年どうねん夏なつには第だい100回かい全国ぜんこく高等こうとう学校がっこう野球やきゅう選手権せんしゅけん記念きねん大会たいかい香川かがわ県けん大会たいかいと本ほん大会たいかい（大会たいかい14日にち目め）で始球しきゅう式しきを行おこなった。2019年ねん4月がつ2日にちにはライオンズ埼玉さいたま移転いてん40周年しゅうねんを記念きねんして、メットライフドームにてパ・リーグ本拠地ほんきょち開幕かいまく戦せんで始球しきゅう式しきに招聘しょうへいされた。

2023年ねん5月11日にち、心不全しんふぜんのため死去しきょ。90歳さい没ぼつ。同年どうねんシーズンオフの11月3日にちに高松たかまつ市内しないでお別わかれの会かいの開催かいさいが予定よていされている。墓所はかしょは世田谷せたがや区く実相寺じっそうじ。

プレースタイル

打撃だげき

「怪童かいどう」と称しょうされるほどのスラッガーであった。中西なかにしは、その豪快ごうかいな打撃だげきで数々かずかずの伝説でんせつを残のこしている。以下いかはその一いち例れいである。

• 1953年ねん8月がつ29日にち、対たい大映だいえい戦たたかえ（平和へいわ台だい野球やきゅう場じょう）で林はやし義一ぎいち投手とうしゅから放はなった打球だきゅうはライナーでバックスクリーンを優ゆう々と越こえ、場外じょうがいの福岡ふくおか城址じょうしまで届とどいた。大和やまと球だま士しの「プロ野球やきゅう三さん国史こくし第だい十じゅう巻かん」によると、打球だきゅうは「バックスクリーンの上空じょうくう三さん十じゅうフィート、約やく九きゅうメートルのところを越こえていった」。その飛ひ距離きょりは「五ご百ひゃく三さん十じゅうフィート(一いち六ろく二にメートル)」で、プロ野球やきゅう最長さいちょう飛ひ距離きょりの本塁打ほんるいだ、また福岡ふくおか城址じょうしは「外野がいやスタンドから更さらに50m先さき」にあるため、180〜190m近ちかく飛とんだ可能かのう性せいもあると言いわれており、まさに球史きゅうしに残のこる大だいホームランであったとされる。この時ときも、林はやし義一ぎいち投手とうしゅは「（取とれるライナーかと思おもって）ジャンプした。そうしたらグングン伸のびて、バックスクリーンのはるか上じょうを越こえていった」と千葉ちば茂しげるに後年こうねん語かたっていたと言いう。ただ打うった中西なかにし本人ほんにんは、あまりにも低ひくい弾道だんどうだった為ため、本塁打ほんるいだになるとは思おもわず、一塁いちるいを回まわるあたりまでは全力ぜんりょく疾走しっそうをしていたといい、それほどの飛ひ距離きょりの本塁打ほんるいだになるとも思おもっていなかったという。また同僚どうりょうの豊田とよだ泰光やすみつは「あの一発いっぱつクラスのホームランを太ふとしさんは何なん本ほんも打うっている。左中間さちゅうかん場外じょうがいに飛とばした打球だきゅうは、当時とうじは照明しょうめいが暗くらかったし、どこまで飛とんでいったか分わからんのだよ。あの一発いっぱつより大おおきいものもあったはず」と語かたっている。
• 1955年ねんの川崎球場かわさききゅうじょうで行おこなわれた試合しあいでは、中西なかにしの放はなった地面じめんすれすれの強烈きょうれつなライナーがショートを守まもっていた有ゆう町まち昌昭まさあきの足あしを直撃ちょくげきした。有ゆう町まちは病院びょういん送おくりとなったが、彼かれはあまりの打球だきゅうの速はやさに一いち歩ほも動うごけずグラブを差さし出だすことすら出来できなかった。この試合しあいを観戦かんせんしていた記者きしゃの大和やまと球だま士しは、報知ほうち新聞しんぶんに「中西なかにしが日本にっぽんで初はじめてのゴロを打うった。二死にし後ご、遊ゆう撃げき有ゆう町まちめがけたライナーは有ゆう町まちの左ひだりのスパイクか右みぎ足首あしくびにぶつかり、勢いきおい余あまって二塁にるいの守備しゅび位置いち付近ふきんに転ころがる痛烈つうれつなゴロ。打球だきゅうの鋭するどさといい野手やしゅを一発いっぱつし打倒だとうしたことといい、跳はね返かえり具合ぐあいといい、まさに日本にっぽんで初はじめて見みるゴロであった」と記しるしている。なお有ゆう町まちは当時とうじまだプロ2年ねん目めであったが、この打球だきゅうによる負傷ふしょうの影響えいきょうに加くわえて「俺おれはあんなの捕とる自信じしんない」と自信じしん喪失そうしつしてしまったことにより、同年どうねん限かぎりで現役げんえきを引退いんたいした。
• 1958年ねんのシーズン、南海なんかいに7月がつに11.5ゲーム差さをつけられた西鉄にしてつは終盤しゅうばん戦せんに猛追もうついして、9月28日にちに平和へいわ台だい球場きゅうじょうでの26回戦かいせん（カード最終さいしゅう戦せん）を勝率しょうりつ6厘りん差さの2位いで迎むかえた。中西なかにしは1回かいの第だい一いち打席だせきで先発せんぱつの杉浦すぎうら忠ただしからスリーランを放はなった。打うった瞬間しゅんかん、杉浦すぎうらは「ショートライナーか左前打さぜんだだ」と思おもった打球だきゅうがライナーのままスタンドインし、看板かんばんを直撃ちょくげきした。外野がいや手しゅの大沢おおさわ昌あきら芳よし（後のちに啓二けいじ）と長谷川はせがわ繁雄しげおは互たがいに顔かおを見合みあわせて一いち歩ほも動うごけなかった。
• 南海なんかいの捕手ほしゅの野村のむら克也かつやは中西なかにしについて、力士りきしのような体からだで柔やわらかく、素振そぶりひとつ、フリーバッティング一ひとつとっても絵えになる打者だしゃだったと語かたっている。中西なかにしがベンチ前まえで素振そぶりをすると、反対はんたい側がわの南海なんかい側がわベンチまで「ブンッ」という音おとが聞きこえて南海なんかいベンチで話題わだいとなったという。このような体験たいけんをしたのは中西なかにしただ一いち人にんだけとのこと。バットを持もたせてもらったことがあったが振ふれるような重おもさではなかったという。
• 遊撃手ゆうげきしゅがジャンプしてわずかに届とどかなかったライナー性せいの打球だきゅうが、ものすごい勢いきおいでそのままスタンドインした。また、投手とうしゅの肩口かたぐちを抜ぬけたライナーが伸のびに伸のびて平和へいわ台だいのバックスクリーンを超こえていった（青田あおた昇のぼるの証言しょうげんより。このとき青田あおたはセンター前ぜんヒットと思おもって一いち歩ほ前まえに出でたという）。
• ファウルチップで焦こげたボールの皮かわの匂においが、マウンド上うえの投手とうしゅまで届とどいた（中西なかにし曰いわく、当時とうじはバットを動物どうぶつの脂あぶらで磨みがくことが多おおく、ボールが焦こげたというのは誤あやまりであるものの、ダッグアウトまでその匂においが届とどいたという）。
• 中西なかにしの打球だきゅうについて三原みはらは「中西なかにし君くんの本領ほんりょうは、しかしこの本塁打ほんるいだではない。飛ひ距離きょりもそうだが、それにプラス打球だきゅうの速はやさがあった。この打球だきゅうスピードについては、ヒイキ目めでなく、中西なかにしの前まえに中ちゅう西にしなく中西なかにしのあとに中西なかにしなし、といってもいい。その秘密ひみつは、類るいまれなリストの強つよさ、柔軟じゅうなんさにあったと思おもう」と述のべている。
• 王おう貞治さだはるの育そだての親おやでもある荒川あらかわ博ひろしは、「日本にっぽんプロ野球やきゅうで最強さいきょうのバッターは誰だれかと聞きかれたら次つぎの2人ふたり。右みぎの中西なかにし、左ひだりの王おうでしょうな。中西なかにしはあのデカイ体たいをものすごい勢いきおいで回転かいてんさせるから、打球だきゅうが速はやいうえによく飛とぶ。文字もじどおりの大砲たいほうでしたよ。まあケタ違けたちがいの打球だきゅうを打うっていた。同おなじ右みぎの強打者きょうだしゃといっても、悪わるいけど長嶋ながしま茂雄しげおとじゃ格かくが違ちがっていたね」と語かたっている。
• メジャーの強つよチームが頻繁ひんぱんに来日らいにちした1955年ねん前後ぜんこう、来日らいにちしたメジャーリーガーたちは、「中西なかにしだけはメジャー級きゅう」という言葉ことばを残のこして帰国きこくした。その打棒だぼうは、海うみの向むこうにも鳴なり響ひびいていた。
• メジャーリーガーもその打撃だげきには一目いちもく置おいていた。1956年ねんの日米にちべい野球やきゅうではブルックリン・ドジャースのギル・ホッジスとホームラン競争きょうそうを行おこない、13本塁打ほんるいだを放はなった。1958年ねん11月4日にち大阪おおさかスタヂアムで行おこなわれたセントルイス・カージナルスとの日米にちべい野球やきゅう第だい8戦せんでは満塁まんるいの場面ばめんで野村のむら克也かつやの代打だいだで登場とうじょう。左中間さちゅうかんに弾丸だんがんライナーで飛とび込こむホームランを放はなちカージナルスナインの度肝どぎもを抜ぬいた。試合しあい後ごカージナルスの選手せんしゅたちが、わざわざ記念きねん撮影さつえいを申もうし込こみ、「ビッグ・バッファロー」と呼よばれた。この日米にちべい野球やきゅうで放はなった3本塁打ほんるいだ、11打点だてんは日本にっぽん勢ぜい最多さいたである。
• 同おなじリーグで同おなじ右みぎのスラッガーであった山内やまうち一弘かずひろとは、互たがいに認みとめ合あうライバル関係かんけいであった。二人ふたりは当時とうじの球界きゅうかいを代表だいひょうする強打者きょうだしゃであり、かつ打撃だげきのスタイルが全まったく異ことなっていたことから、同おなじプロの右みぎ打者だしゃたちの間あいだで「中西なかにし流りゅう」「山内やまうち流りゅう」という言葉ことばが生うまれ、参考さんこうにされる存在そんざいであった。
• 「素振そぶりの音おとが相手あいてベンチまで聞きこえた」という程ほどスイングスピードが速はやく大おおきな武器ぶきであったのだが、あまりにも速はやすぎたために体からだへの負担ふたんもまた大おおきく、腱鞘炎けんしょうえんを患わずらったが、現役げんえき引退いんたい後ご、実じつは1959年ねんに小玉こだま明利あきとしからスパイクされたことが遠因えんいんでき手きての骨ほねが欠かけていたことが判明はんめいした。これがなければ「率りつを除のぞく全すべての分野ぶんやにおいて2倍ばいは通算つうさん成績せいせきを残のこしていた」と言いわれる。

守備しゅび・走塁そうるい

• ずんぐりむっくりな体型たいけいに似合にあわぬ俊足しゅんそくで盗塁とうるい数すうも多おおかった。1953年ねんには36盗塁とうるいを記録きろくし、史上しじょう3人にん目めの打率だりつ3割わり・30本塁打ほんるいだ・30盗塁とうるい（トリプルスリー）を達成たっせいしている。三塁さんるいの守備しゅびでは柔やわらかなグラブ捌さばきを見みせ、また目めの前まえにフェンスが迫せまっていても怪我けがを恐おそれずに打球だきゅうを追おったことから、遊撃手ゆうげきしゅを務つとめていた豊田とよだ泰光やすみつとともに「金網かなあみデスマッチ」と言いわれていた。このため前歯まえばを3本ほん折損せっそんしている。
• 非常ひじょうに器用きような選手せんしゅであり、内野ないやのすべてのポジションに加くわえ、外野がいや手しゅも無難ぶなんにこなしている。

記録きろくに関かんするトピック

二に冠かん獲得かくとく4回かい、本塁打ほんるいだ王おう5回かい（4年ねん連続れんぞく含ふくむ）、首位しゅい打者だしゃ2回かい、打点だてん王おう3回かいの打撃だげきタイトルを誇ほこる。特筆とくひつすべきは、これらのタイトルを高卒こうそつから入団にゅうだん7年ねん目めまでに獲得かくとくしていることである。

戦後せんご初はつの三冠王さんかんおうとなるチャンスが何なん度どもあった。特とくに惜おしかったのは1956年ねんと1958年ねんである。前者ぜんしゃは首位しゅい打者だしゃを同僚どうりょうの豊田とよだ泰光やすみつと争あらそったが、最終さいしゅう戦せんを前まえに三原みはら監督かんとくが両者りょうしゃに休養きゅうようを命めいじたため、豊田とよだの首位しゅい打者だしゃが決きまった（ただし、豊田とよだは首位しゅい打者だしゃ、中西なかにしは二に冠かん王おうで構かまわないと最初さいしょから両者りょうしゃで話はなし合あって決きめていたとも言いわれている）。後者こうしゃは全ぜん日程にっていを終了しゅうりょうして三さん冠かん、ただし打点だてんのみは大毎だいまいオリオンズの葛城かつらぎ隆雄たかおと同数どうすうという状況じょうきょうで、葛城かつらぎが最終さいしゅう戦せんで本塁打ほんるいだを放はなったため、打点だてん王おうを逃のがしたというものである。この時とき葛城かつらぎに本塁打ほんるいだを打うたれたのは、元もと同僚どうりょうの大津おおつ守まもる投手とうしゅ（当時とうじ近鉄きんてつ）であり、後日ごじつ試合しあいで対戦たいせんの際さいに中西なかにしと顔かおを合あわせ、「すまん」と謝あやまったとされている。なお、中西なかにしが何なん度どもタイトルに近ちかづいたことで、それまで日本にっぽんではあまり知しられていなかった「トリプルクラウン」が認識にんしきされるようになり、さらに「三冠王さんかんおう」という訳語やくごもマスコミで定着ていちゃくするに至いたった。

中西なかにしは三冠王さんかんおうになったことはないが、打率だりつ・本塁打ほんるいだ・打点だてんの部門ぶもんにおいて、「1部門ぶもんがリーグ2位いの二に冠かん王おう」を1953年ねん・1955年ねん・1956年ねん・1958年ねんの通算つうさん4回かい記録きろくしている。これは王おう貞治さだはるの5回かい、長嶋ながしま茂雄しげおの3回かいに挟はさまれて歴代れきだい2位いである。中西なかにしは4回かいすべてが僅差きんさであり、1953年ねんは打率だりつにおいて4厘りん差さで岡本おかもと伊い三美みよしに、1955年ねんは打点だてんにおいて1打点だてん差さで山内やまうち和弘かずひろに、1956年ねんは打率だりつにおいて.0004差さで豊田とよだに（中西なかにしは.3247、豊田とよだは.3251）、1958年ねんは打点だてんにおいて1打点だてん差さで葛城かつらぎに、それぞれタイトルを奪うばわれた。

指導しどう者しゃとして

西鉄にしてつ、日本にほんハム、阪神はんしんで計けい12シーズンにわたって監督かんとくを務つとめ、Aクラス6回かい（リーグ優勝ゆうしょう1回かい）の実績じっせきを持もつが、野村のむら克也かつやは著書ちょしょで監督かんとくとしては「失敗しっぱい」という評価ひょうかをしている。

一方いっぽうで、コーチとしては数すう多おおくの強打者きょうだしゃを指導しどうしており、前述ぜんじゅつの野村のむらもコーチとしての指導しどう実績じっせきは高たかく評価ひょうかしている。吉田よしだ義男よしおは「中西なかにしさんは教おしえる達人たつじんでしたね」と話はなしており、江夏えなつ豊ゆたかは「名めい監督かんとくは数多かずおおくいても、名めいコーチは少すくない」が持論じろんだが、その中なかで「投なげるほうの名めいコーチは権藤ごんどう博ひろしさん、打うつほうの名めいコーチは中西なかにしさん」と語かたっている。

中西なかにし本人ほんにんも、若手わかて選手せんしゅと直接ちょくせつ向むき合あえる打撃だげきコーチが天職てんしょくで、監督かんとくには向むいていないと公言こうげんしていた。

中西なかにしの打撃だげき理論りろんは「ボールを呼よび込こんで下半身かはんしんで打うつ」こと、「バットを内側うちがわから出だす」ことを基本きほんとしており、練習れんしゅう法ほうではティー打撃だげきに重点じゅうてんを置おいている。中西なかにし流りゅうの指導しどう法ほうは、教おしえ子ごの若松わかまつや伊勢いせ孝夫たかお、杉村すぎむら繁しげるらに引ひき継つがれている。

人物じんぶつ

愛称あいしょうは「太ふとっさん（ふとっさん）」。あるいは「太ふとし」。

非常ひじょうに運動うんどう神経しんけいに優すぐれていたことで知しられ、本人ほんにんも「私わたしは農耕のうこう民族みんぞくだから」と言いう、その足腰あしこしの強つよさは特筆とくひつ物ぶつであった。相撲すもう好すきであり、関脇せきわけ・鶴つるヶ嶺みね（後ごの井筒いづつ親方おやかた）と非常ひじょうに仲なかが良よかったため、よく井筒いづつ部屋へやに出稽古でげいこに出でかけていたという。しかも三さん段だん目めほどの力士りきしであれば軽かるくあしらって勝かってしまうこともあった程ほどで、鶴つるヶ嶺みねは「中西なかにしさんは相撲すもうの世界せかいに入はいっていても、間違まちがいなく幕内まくうちまでは軽々かるがる行いったと思おもう」と述のべている。

荒あらくれ者ものの西鉄にしてつ野武士のぶし軍団ぐんだんの中心ちゅうしん打者だしゃで豪快ごうかいな打撃だげきとその風貌ふうぼうから勘違かんちがいされやすいが、性格せいかくは繊細せんさいで真面目まじめで人一倍ひといちばい練習れんしゅう熱心ねっしんだった。宿舎しゅくしゃで同どう部屋へやだった稲尾いなお和久かずひさは「毎日まいにち、夜よる、寝ねる前まえに部屋へやでビュンビュンとバットを振ふる。振ふるたびにすごい風圧ふうあつで、ガラス窓まどが割われそうになるので怖こわかった」と振ふり返かえっている。練習れんしゅうのしすぎが腱鞘炎けんしょうえんの原因げんいんのひとつとも言いわれる。

やや気きが小ちいさい面めんが見みられた。腱鞘炎けんしょうえんで試合しあいから遠とおざかっていた選手せんしゅ兼任けんにん監督かんとく時代じだい、試合しあい前まえにバックネットの前まえで素振そぶりをしていると、スタンドのファンから大声おおごえで「中西なかにし、試合しあいに出でんか!」と野次やじを飛とばされた。気きの強つよい選手せんしゅならすぐにそちらを向むいて睨にらみつけそうなものだが、中西なかにしはそちらを見みることができず、横よこにいた記者きしゃに「どんな奴やつが怒鳴どなってる?」と素振そぶりを続つづけながら尋たずねたという。流線型りゅうせんけい打線だせんの中核ちゅうかくを担になったが、たとえば一番いちばん打者だしゃの高倉たかくら照幸てるゆきが二塁打にるいだを放はなつと、気きが強つよくチャンスに強つよい二に番ばんの豊田とよだに「トヨ（豊田とよだ）、（走者そうしゃを）返かえしとけよ・・」と呟つぶやく事こともあった。豊田とよだが首尾しゅびよくタイムリーを放はなち先制せんせい点てんを取とると中西なかにしも重圧じゅうあつから解放かいほうされその後ごの打席だせきは打棒だぼうが爆発ばくはつし、一番いちばんの高倉たかくらから三さん番ばん中西なかにしまでで試合しあいを早々そうそうに決きめてしまう事こともままあった。

中西なかにしは現役げんえき時代じだいにおける最もっとも忘わすれられない場面ばめんとして、1958年ねんの日本にっぽんシリーズ、1勝しょう3敗はいで迎むかえた第だい5戦せん、2-3と1点てんビハインドの9回かい裏うら一死いっし三さん塁るいという「非常ひじょうに責任せきにんある打席だせき（中西なかにし）」で三塁さんるいゴロに倒たおれた場面ばめんを挙あげている。この試合しあいは続つづく5番ばんの関口せきぐち清治きよじが起死回生きしかいせいのタイムリーヒットを打うって同点どうてんに追おいつき、延長えんちょう10回かい裏うら稲尾いなおのサヨナラ本塁打ほんるいだで勝利しょうり。西鉄にしてつは第だい6戦せん、第だい7戦せんも連勝れんしょうして奇跡きせきの逆転ぎゃくてん優勝ゆうしょうを果はたし、中西なかにしもまたこの第だい5戦せんに続つづいて第だい6戦せん、第だい7戦せんでも本塁打ほんるいだを放はなつ活躍かつやくを見みせたが、第だい5戦せん9回かい裏うらの場面ばめんは「もしあのまま試合しあいが終おわっていたら…」と思おもい返かえすことがたびたびあったという。

三原みはら脩おさむについて取材しゅざいで聞きかれることが多おおく、「三原みはらさんの事ことについてはもう勘弁かんべんしてくれというぐらい話はなしてる」と語かたっている。

阪神はんしん監督かんとく時代じだいの中西なかにしは痛風つうふうを患わずらっており、スパイクの足あし先さきを切きり取とって痛いたさを誤魔化ごまかしていた。

詳細しょうさい情報じょうほう

年度ねんど別べつ打撃だげき成績せいせき

年とし 度ど	球たま 団だん	試ためし 合ごう	打だ 席せき	打だ 数かず	得とく 点てん	安やす 打だ	二に 塁るい 打だ	三さん 塁るい 打だ	本ほん 塁るい 打だ	塁るい 打だ	打だ 点てん	盗ぬすめ 塁るい	盗ぬすめ 塁るい 死し	犠 打だ	犠 飛ひ	四よん 球たま	敬けい 遠とお	死し 球たま	三さん 振ふ	併 殺ころせ 打だ	打だ 率りつ	出で 塁るい 率りつ	長なが 打だ 率りつ	O P S
1952	西鉄にしてつ	111	410	384	57	108	20	7	12	178	65	16	4	0	--	26	--	0	38	12	.281	.327	.464	.790
1953		120	509	465	92	146	20	7	36	288	86	36	16	1	--	41	--	1	52	13	.314	.370	.619	.989
1954		130	554	493	87	146	28	8	31	283	82	23	9	2	4	51	--	4	73	10	.296	.364	.574	.938
1955		135	549	473	96	157	28	4	35	298	98	19	12	0	3	71	17	2	91	10	.332	.419	.630	1.049
1956		137	523	462	74	150	27	5	29	274	95	15	12	1	5	54	17	1	70	8	.325	.393	.593	.987
1957		132	538	486	84	154	31	3	24	263	100	15	6	0	2	49	6	1	71	14	.317	.379	.541	.920
1958		126	469	404	61	127	19	1	23	217	84	8	9	0	2	60	10	3	59	10	.314	.405	.537	.942
1959		59	181	153	21	45	10	1	7	78	29	2	3	0	3	24	7	1	24	6	.294	.387	.510	.897
1960		32	54	47	6	17	2	1	1	24	10	1	0	0	1	6	4	0	8	4	.362	.426	.511	.937
1961		99	301	253	48	77	6	1	21	148	54	4	6	0	3	44	13	1	42	8	.304	.405	.585	.990
1962		44	82	71	6	19	1	0	2	26	11	2	1	0	1	9	2	1	8	4	.268	.354	.366	.720
1963		81	241	216	26	61	7	0	11	101	26	0	3	0	0	24	2	1	47	10	.282	.357	.468	.824
1964		33	46	40	2	6	2	0	0	8	4	0	0	0	0	6	1	0	10	2	.150	.261	.200	.461
1965		34	58	51	3	15	2	0	2	23	9	0	0	0	1	6	1	0	8	4	.294	.362	.451	.813
1966		51	55	51	6	14	2	0	6	34	15	1	0	0	1	3	2	0	9	0	.275	.309	.667	.976
1967		32	40	36	3	10	2	0	3	21	9	0	0	0	0	3	0	1	7	1	.278	.350	.583	.933
1968		26	28	25	1	10	0	0	1	13	8	0	0	0	0	3	3	0	5	1	.400	.464	.520	.984
1969		6	7	6	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	1	0	0	2	0	.000	.143	.000	.143
通算つうさん：18年ねん		1388	4645	4116	673	1262	207	38	244	2277	785	142	81	4	26	481	85	17	624	117	.307	.379	.553	.933

• 各かく年度ねんどの太字ふとじはリーグ最高さいこう

年度ねんど別べつ監督かんとく成績せいせき

年度ねんど	球団きゅうだん	順位じゅんい	試合しあい	勝利しょうり	敗戦はいせん	引分ひきわけ	勝率しょうりつ	ゲーム差さ	チーム 本塁打ほんるいだ	チーム 打率だりつ	チーム 防御ぼうぎょ率りつ	年齢ねんれい
1962年ねん	西鉄にしてつ	3位い	136	62	68	6	.477	16.0	92	.245	3.00	29歳さい
1963年ねん		1位い	150	86	60	4	.589	-	146	.244	2.69	30歳さい
1964年ねん		5位い	150	63	81	6	.438	19.5	116	.242	3.57	31歳さい
1965年ねん		3位い	140	72	64	4	.529	15.5	112	.246	3.00	32歳さい
1966年ねん		2位い	138	75	55	8	.577	4.0	125	.231	2.13	33歳さい
1967年ねん		2位い	140	66	64	10	.508	9.0	98	.222	2.50	34歳さい
1968年ねん		5位い	133	56	74	3	.431	24.0	110	.237	3.17	35歳さい
1969年ねん		5位い	130	51	75	4	.405	25.0	119	.225	3.40	36歳さい
1974年ねん	日本にほんハム	6位い	130	49	75	6	.395	6位い・6位い	96	.246	4.11	41歳さい
1975年ねん		6位い	130	55	63	12	.466	4位い・4位い	100	.258	3.89	42歳さい
1980年ねん	阪神はんしん	5位い	130	54	66	10	.450	20.5	134	.262	3.73	47歳さい
1981年ねん		3位い	130	67	58	5	.536	8.0	114	.272	3.32	48歳さい
通算つうさん：12年ねん			1640	748	811	81	.480	Aクラス6回かい、Bクラス6回かい

※1　1962年ねん、1966年ねんから1996年ねんまでは130試合しあい制せい

※2　1963年ねんから1964年ねんまでは150試合しあい制せい

※3　1965年ねんは140試合しあい制せい

※4　1973年ねんから1982年ねんまでは前ぜん後期こうき制せいのため、ゲーム差さ欄らんは上段じょうだん前期ぜんき順位じゅんい、下段げだん後期こうき順位じゅんいを表示ひょうじ

※5　1965年ねんは試合しあい前ぜん練習れんしゅうで負傷ふしょうし4月がつ19日にちから5月がつ10日とおかまで欠場けつじょう（7勝しょう6敗はい）。監督かんとく代理だいりは深見ふかみ安あん博ひろし

※6　1969年ねんは成績せいせき不振ふしんにより5月がつ23日にちから6月がつ13日にちまで（13勝しょう5敗はい）、復帰ふっき後ごの10月がつ9日にちから閉幕へいまくまで休養きゅうよう（1勝しょう2敗はい）。監督かんとく代行だいこうは鬼頭おにがしら政一まさかず

※7　1980年ねん、ドン・ブレイザー監督かんとく辞任じにんに伴ともない、5月15日にちにコーチから監督かんとくに就任しゅうにん（41勝しょう54敗はい9分ふん 勝率しょうりつ.432）

※8　1984年ねん、ヤクルト武たけ上うえ四郎しろう監督かんとく休養きゅうよう後ごの4月がつ28日にちから監督かんとく代行だいこう（5勝しょう11敗はい2分ふん）。成績せいせき不振ふしんにより5月がつ22日にちに休養きゅうよう。監督かんとく代行だいこうは土橋どばし正幸まさゆき

※9　1994年ねん、ロッテ八木沢やぎさわ荘そう六ろく監督かんとく解任かいにんに伴ともない8月がつ2日にちから監督かんとく代行だいこう（21勝しょう22敗はい2分ふん）

※10 通算つうさん成績せいせきは実際じっさいに指揮しきした試合しあいの成績せいせき

タイトル

• 首位しゅい打者だしゃ：2回かい（1955年ねん、1958年ねん）
• 本塁打ほんるいだ王おう：5回かい（1953年ねん - 1956年ねん、1958年ねん）※1953年ねんは昭和しょうわ生うまれ初はつ、かつ20歳さいでの達成たっせいはNPB最年少さいねんしょう（2リーグ制せい以降いこうでは唯一ゆいいつ、1リーグ制せいを含ふくむと4人にん目め）。
• 打点だてん王おう：3回かい（1953年ねん、1956年ねん - 1957年ねん）※1953年ねんは昭和しょうわ生うまれ初はつ
• 最多さいた出塁しゅつるい数すう：1回かい（1958年ねん）
• 最多さいた安打あんだ（当時とうじ連盟れんめい表彰ひょうしょうなし）：2回かい（1953年ねん、1957年ねん）※1953年ねんは昭和しょうわ生うまれ初はつ

表彰ひょうしょう

• 最高さいこう殊勲しゅくん選手せんしゅ（MVP）：1回かい（1956年ねん）
• 新人しんじん王おう（1952年ねん） ※高卒こうそつ1年ねん目めの選手せんしゅとして史上しじょう初はつ
• ベストナイン：7回かい（1953年ねん - 1958年ねん、1961年ねん）
• 野球やきゅう殿堂でんどう競技きょうぎ者しゃ表彰ひょうしょう（1999年ねん）
• 日本にっぽんシリーズ優秀ゆうしゅう選手せんしゅ賞しょう：1回かい（1958年ねん）
• オールスターゲームMVP：2回かい（1954年ねん 第だい1戦せん、1958年ねん 第だい2戦せん）

記録きろく

初はつ記録きろく

• 初はつ出場しゅつじょう・初はつ先発せんぱつ出場しゅつじょう：1952年ねん3月がつ21日にち、対たい近鉄きんてつパールス1回戦かいせん（春日かすが原げん球場きゅうじょう）、7番ばん・三塁手さんるいしゅで先発せんぱつ出場しゅつじょう
• 初はつ安打あんだ：同上どうじょう、4回かい裏うらに沢藤さわふじ光郎みつおから右中間うちゅうかんへエンタイトル二塁打にるいだ
• 初はつ打点だてん：1952年ねん3月がつ23日にち、対たい近鉄きんてつパールス2回戦かいせん（豊楽ほうらく園えん球場きゅうじょう）、9回かい裏うらに関根せきね潤じゅん三さんからサヨナラ適時てきじ二塁打にるいだ
• 初はつ本塁打ほんるいだ：1952年ねん4月がつ17日にち、対たい毎日まいにちオリオンズ6回戦かいせん（川崎球場かわさききゅうじょう）、6回かい表ひょうに上野うえの重雄しげおからランニング本塁打ほんるいだ

節目ふしめの記録きろく

• 100本塁打ほんるいだ：1955年ねん8月がつ4日にち、対たい近鉄きんてつパールス11回戦かいせん（平和へいわ台だい球場きゅうじょう）、4回かい裏うらに山下やました登のぼるから先制せんせい決勝けっしょうソロ　※史上しじょう15人にん目め
• 150本塁打ほんるいだ：1957年ねん6月がつ18日にち、対たい近鉄きんてつパールス10回戦かいせん（大阪おおさかスタヂアム）、6回かい表ひょうに蔦つた行雄ゆきおから3ラン　※史上しじょう10人にん目め
• 1000安打あんだ：1959年ねん5月がつ20日はつか、対たい東映とうえいフライヤーズ8回戦かいせん（平和へいわ台だい球場きゅうじょう）、6回かい裏うらに牧野まきの伸しんから　※史上しじょう31人にん目め
• 200本塁打ほんるいだ：1961年ねん4月がつ22日にち、対たい南海なんかいホークス1回戦かいせん（大阪おおさかスタヂアム）、5回かい表ひょうに皆川みなかわ睦雄むつおから右中間うちゅうかんへ3ラン　※史上しじょう7人にん目め
• 1000試合しあい出場しゅつじょう：1961年ねん5月がつ17日にち、対たい南海なんかいホークス6回戦かいせん（平和へいわ台だい球場きゅうじょう）、5回かい裏うらに城戸きど則のり文ぶんの代打だいだで出場しゅつじょう　※史上しじょう58人にん目め

その他たの記録きろく

• 最多さいた安打あんだ（当時とうじ連盟れんめい表彰ひょうしょうなし）：2回かい （1953年ねん、1957年ねん） ※1994年ねんより表彰ひょうしょう
• リーグ最多さいた長打ちょうだ：3年ねん連続れんぞく（1953-1955年ねん）※パ・リーグ最長さいちょうタイ
• リーグ最高さいこう長打ちょうだ率りつ：4年ねん連続れんぞく5回かい　※ともに柳田やなぎだ悠ゆう岐と並ならぶパ・リーグタイ記録たいきろく
• 3割わり30本ほん30盗塁とうるい：1953年ねん、20歳さいでの達成たっせいは史上しじょう最年少さいねんしょう。36盗塁とうるいはトリプルスリー達成たっせい者しゃの中なかで最多さいた記録きろく
  • 35本塁打ほんるいだ35盗塁とうるい：NPB初はつの達成たっせい、後のちに秋山あきやま幸二こうじが記録きろく
• オールスターゲーム出場しゅつじょう：7回かい （1953年ねん - 1955年ねん、1957年ねん - 1958年ねん、1961年ねん、1963年ねん）

背番号せばんごう

• 6（1952年ねん - 1969年ねん）
• 60（1971年ねん - 1973年ねん）
• 88（1974年ねん、1995年ねん - 1997年ねん）
• 30（1975年ねん）
• 81（1979年ねん - 1981年ねん）
• 80（1983年ねん - 1984年ねん）
• 77（1985年ねん - 1990年ねん）
• 70（1992年ねん）
• 89（1994年ねん）

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• 『人ひとを活いかす 人ひとを育そだてる』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ、1991年ねん5月がつ、ISBN 4051056309。
• 『活かつ人じん術じゅつ 強つよい組織そしきをつくるために』小学館しょうがくかん、1998年ねん5月がつ、ISBN 4093872511。
• 『西鉄にしてつライオンズ最強さいきょうの哲学てつがく』ベべースボすぼール・マガジン社るまがじんしゃ、2007年ねん11月、ISBN 4583100639。

監修かんしゅう

• 『守備しゅび入門にゅうもん』有紀ゆうき書房しょぼう〈ぼくたちの野球やきゅう百科ひゃっか〉、1971年ねん、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000000793134。
• 『野球やきゅうバッティング入門にゅうもん』福田ふくだてんこう 漫画まんが、集英社しゅうえいしゃ〈まんが版ばん入門にゅうもん百科ひゃっか〉、1972年ねん、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000000800562。

出演しゅつえん・対談たいだん

解説かいせつ者しゃとしての出演しゅつえん番組ばんぐみ

• TBSラジオ エキサイトナイター（TBSラジオ、解説かいせつ。MBSラジオ時代じだいにも出演しゅつえん中継ちゅうけいのネット受うけ放送ほうそうあり）
• SAMURAI BASEBALL（TBS系列けいれつのプロ野球やきゅう中継ちゅうけいの現行げんこうタイトル。TBS時代じだい・毎日放送まいにちほうそう時代じだいに出演しゅつえん）
• 毎日放送まいにちほうそうダイナミックナイター（毎日放送まいにちほうそうラジオ、解説かいせつ。TBSラジオ・KBCラジオ時代じだいにも出演しゅつえん中継ちゅうけいのネット受うけ放送ほうそうあり）
• KBCジャンボナイター（KBCラジオ、解説かいせつ。MBSラジオ時代じだいにも出演しゅつえん中継ちゅうけいのネット受うけ放送ほうそうあり）
• ニッポン放送にっぽんほうそうショウアップナイター（ニッポン放送にっぽんほうそう、解説かいせつ。MBSラジオ・KBCラジオからの出演しゅつえん中継ちゅうけいのネット受うけの他ほか、自社じしゃ制作せいさく中継ちゅうけいへの出向しゅっこう出演しゅつえんあり）
• ゴールデンナイター/パワーアップナイター/プロ野球やきゅう中継ちゅうけい（KBCテレビ、解説かいせつ）
• 猛虎もうこ紳士録しんしろく（スカイA Sports+、現在げんざいコメンテーター〔猛虎もうこ紳士しんし〕として出演しゅつえん中ちゅう）

出演しゅつえんCM

• ヤクルト『タフマン』（ヤクルトヘッドコーチ時代じだいに武たけ上うえ四郎しろう監督かんとくと共演きょうえん）

対談たいだん

• かがわさぬき野の2008年ねん夏なつ号ごう掲載けいさいインタビュー記事きじ

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 香川かがわ県けん出身しゅっしんの人物じんぶつ一覧いちらん
• 埼玉さいたま西武せいぶライオンズの選手せんしゅ一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 個人こじん年度ねんど別べつ成績せいせき 中西なかにし太ふとし - NPB.jp 日本にっぽん野球やきゅう機構きこう
• 野球やきゅう殿堂でんどう 中西なかにし太ふとし - 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん野球やきゅう殿堂でんどう博物館はくぶつかん