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人類学 - Wikipedia

人類じんるいがく

人類じんるいかんしての総合そうごうてき学問がくもん

人類じんるいがく(じんるいがく、えい: anthropology)とは、人類じんるいかんしての総合そうごうてき学問がくもんである。生物せいぶつがくてき特性とくせいについて研究けんきゅう対象たいしょうとする学問がくもん分野ぶんや形質けいしつ人類じんるいがくもしくは自然しぜん人類じんるいがくび、言語げんご社会しゃかいてき慣習かんしゅうなど文化ぶんかてき側面そくめんについて研究けんきゅうする学問がくもん分野ぶんや文化ぶんか人類じんるいがくもしくは社会しゃかい人類じんるいがくぶ。さらに言語げんごがく考古学こうこがく民俗みんぞくがく民族みんぞくがく芸能げいのう包括ほうかつする。

概要がいよう

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人類じんるいがく人文じんぶん科学かがく社会しゃかい科学かがく自然しぜん科学かがくすべてにつ。人類じんるいがく対象たいしょう人類じんるいさだめている以外いがいには、とく固有こゆう方法ほうほうろんっているわけではない。そのため、その内容ないようは、生物せいぶつがくてき手法しゅほうもちいたゲノム研究けんきゅう生理学せいりがくてき研究けんきゅうから、社会しゃかい科学かがく人文じんぶん科学かがくてき手法しゅほうもちいてあるコミュニティの行動こうどう科学かがくてき研究けんきゅうまで多岐たきわたる。かつては自社じしゃかいからとおはなれたコミュニティ、ないしは先史せんし時代じだい人間にんげん対象たいしょうにすることが学問がくもんてき特徴とくちょうとされていたが、現在げんざいではそういった制約せいやくはない。つまり研究けんきゅう手法しゅほうにとらわれない学際がくさいてき研究けんきゅうによって人類じんるいとはなにかを全体ぜんたいとしてあきらかにしようとする学問がくもん分野ぶんやである。

そのため、制度せいどじょう位置いちづけは下記かきのように複雑ふくざつである。自然しぜん人類じんるいがく一般いっぱん生物せいぶつがくぞくする動物どうぶつがく下位かい分野ぶんや分類ぶんるいされる一方いっぽう文化ぶんか人類じんるいがく社会しゃかい科学かがくに、言語げんごがく考古学こうこがく人文じんぶん科学かがく分類ぶんるいされる。

人類じんるいがく範囲はんい制度せいどじょう位置いちづけはくにによってことなっている。アメリカでは、文化ぶんか人類じんるいがく民族みんぞくがく)、考古学こうこがく言語げんごがくさん分野ぶんやをあわせて広義こうぎ文化ぶんか人類じんるいがくび、これに自然しぜん人類じんるいがくふくんだ総合そうごうてき人類じんるい学科がっか大学だいがく設置せっちされている。これにくわえてこれらよん分野ぶんやアメリカ人類じんるいがく協会きょうかいという統一とういつ学会がっかい組織そしきしている。

これにたいして、イギリスでは社会しゃかい科学かがくてき手法しゅほうもちいる社会しゃかい人類じんるいがく生物せいぶつがくいち分野ぶんやである自然しぜん人類じんるいがく、および考古学こうこがく言語げんごがく分離ぶんりされている。このイギリスの制度せいどは、欧州統合おうしゅうとうごう前後ぜんごからヨーロッパ人類じんるいがく発展はってんおおきな影響えいきょうあたえており、1990年代ねんだいには社会しゃかい文化ぶんか人類じんるいがくかんする欧州おうしゅう統一とういつ学会がっかいとして、ヨーロッパ社会しゃかい人類じんるい学会がっかい設立せつりつされた。

日本にっぽんにおける人類じんるいがく下位かい分野ぶんや

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日本にっぽんでは一般いっぱん理学部りがくぶ医学部いがくぶぞくする生物せいぶつがくけい自然しぜん人類じんるいがく伝統でんとうてき人類じんるいがくとすることがおおく、社会しゃかい科学かがくけい学部がくぶ設置せっちされた民族みんぞくがく文化ぶんか人類じんるいがく)は制度せいどじょう完全かんぜん分離ぶんりされており、学会がっかい自然しぜん人類じんるいがく日本人にっぽんじんるい学会がっかい[1]文化ぶんか人類じんるいがく日本にっぽん文化ぶんか人類じんるい学会がっかい旧称きゅうしょう日本にっぽん民族みんぞく学会がっかい[2]などにかれている。また人類じんるい共通きょうつう基盤きばん研究けんきゅうとしての下位かい分野ぶんやとして霊長れいちょうるいがく位置いちづけられることもある[注釈ちゅうしゃく 1]

以下いか日本にっぽん人類じんるいがく関連かんれん学会がっかい協議きょうぎかい参加さんかする学会がっかい記述きじゅつする。

  • 文化ぶんか人類じんるいがく
  • 生理せいり人類じんるいがく
  • 霊長れいちょうるいがく
  • 人類じんるいがく
  • 民俗みんぞくがく

なお、文化ぶんか人類じんるいがく自然しぜん人類じんるいがく方法ほうほうろん具体ぐたいてき現象げんしょうめいおうじて細分さいぶんする傾向けいこうにあるため、それぞれの下位かい分野ぶんやについてはリンクさき参考さんこうにすること。

アメリカにおける人類じんるいがく下位かい分野ぶんや

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、人類じんるいがく以下いかの4分野ぶんやからなる。4分野ぶんやわせて、しばしばよん分類ぶんるい人類じんるいがく(Quadrant Anthropology)、総合そうごう人類じんるいがく(general anthropology)とわれる。

  1. 先史せんし考古学こうこがく Archaeology
  2. 言語げんごがく言語げんご人類じんるいがく)Ligustic Anthroplogy
  3. 生物せいぶつ人類じんるいがく Biological Anthropology
  4. 民族みんぞくがく民俗みんぞくがく文化ぶんか人類じんるいがく Cultural Anthroplogy

もともと、集団しゅうだんごとの差異さいろんじるのはエジプト古代こだい絵画かいがにもえる。「アンスロポロジー」という言葉ことば最初さいしょ使つかったのはアリストテレスであったが、その意味いみは「ひとうわさをするひと、あるいは自慢じまんばなしをするひと」という意味いみであって、直接的ちょくせつてき関係かんけいはない。古代こだいローマ医師いしガレノス動物どうぶつ人類じんるい解剖かいぼうがくてき比較ひかくおこなった記録きろくが、自然しぜん人類じんるいがくてき最初さいしょ報告ほうこくだろう[よう出典しゅってん]。アンスロポロジーを現代げんだいてき用法ようほう使つかったのは、マグヌス・ハントだとわれている。E・タイソンはヒトをふく霊長れいちょうるい比較ひかく解剖かいぼうおこなったことで記録きろくのこっている。

カール・フォン・リンネは『自然しぜん体系たいけいだい10はんにおいてヒト有尾ありおざるキツネザルコウモリ霊長れいちょうの4ぞくとし、ヒトぞくなかホモ・サピエンス類人猿るいじんえんをおいた。一方いっぽうビュフォン機能きのうてき分析ぶんせきをし、人類じんるい進化しんか人種じんしゅ影響えいきょうった。このころまで、西欧せいおうにおける人類じんるいがく議論ぎろんはキリスト教会きょうかい主張しゅちょうする単一たんいつ起源きげんろん(アダムからすべての人類じんるいまれたとする教義きょうぎ)とその反論はんろんおおきな枠組わくぐみとしていたが、1856ねんホモ=ネアンデルタレンシス化石かせき発見はっけんされ、1859ねんチャールズ・ダーウィンが『たね起源きげん』を発行はっこうしたことによって激変げきへんきる。

たね起源きげん以降いこう、それまで人類じんるい単一たんいつ起源きげんせつ複数ふくすう起源きげんせつ議論ぎろん中心ちゅうしんであった人類じんるいがくは、ヒトの身体しんたいてき特徴とくちょうがいかに適応てきおうてき意義いぎつかの議論ぎろんへとうつっていく。この過程かてい伝統でんとうてき人種じんしゅかん科学かがくてき根拠こんきょのないことがあきらかにされていくことになる。レイシズムracism言葉ことばは、人種じんしゅごとの優劣ゆうれつ科学かがくてき存在そんざいしていてそれをまえてあゆんでいこうとする、当時とうじよくられたいまとなっては科学かがくてき言説げんせつを、批判ひはんする態度たいどなかで、人類じんるい学者がくしゃルース・ベネディクトによってひろめられた。[3] 

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 分類ぶんるいぐんとして逆転ぎゃくてんしているので、研究けんきゅうしゃによっては霊長れいちょうるいがく下位かい分野ぶんやとしての人類じんるいがく主張しゅちょうされる場合ばあいがある。

出典しゅってん

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  1. ^ 日本人にっぽんじんるい学会がっかいについて
  2. ^ 日本にっぽん文化ぶんか人類じんるい学会がっかいとは
  3. ^ Lapsley, Hilary. (1999). Margaret Mead and Ruth Benedict : the kinship of women. Amherst, Mass.: University of Massachusetts Press. ISBN 0585319073. OCLC 45843549. https://www.worldcat.org/oclc/45843549 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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