内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかん

日本にっぽん; 内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかん ; Deputy Chief Cabinet Secretary
	五ご七なな桐きり花はな紋もん
	現職げんしょく者しゃ; 村井むらい英樹ひでき（政務せいむ・衆しゅう）; 森屋もりや宏ひろし（政務せいむ・参まいり）; 栗生くりゅう俊一しゅんいち（事務じむ）; 就任しゅうにん日び 2023年ねん（令れい和わ3年ねん5）9月13日にち
担当たんとう機関きかん	内閣ないかく官房かんぼう
上官じょうかん	内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかん; （林はやし芳正よしまさ）
任命にんめい	内閣ないかく総理そうり大臣だいじん; （岸田きしだ文雄ふみお）
根拠こんきょ法令ほうれい	内閣ないかく法ほう
前身ぜんしん	内閣ないかく書記官しょきかん長ちょう
創設そうせつ	1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月3日にち
初代しょだい	周東しゅうとう英雄ひでお
略称りゃくしょう	官房かんぼう副ふく長官ちょうかん
俸給ほうきゅう	年額ねんがく約やく2833万まん円えん
ウェブサイト	内閣ないかく官房かんぼう
	表ひょう; 話はなし; 編へん; 歴れき;

内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかん（ないかくかんぼうふくちょうかん、英えい: Deputy Chief Cabinet Secretary^[2]）は、内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんを補佐ほさする特別とくべつ職しょくの国家こっか公務員こうむいん。1998年ねん7月がつより定員ていいんは3人にん（内閣ないかく法ほう規定きてい）。

概説がいせつ

内閣ないかく官房かんぼうの入居にゅうきょする内閣ないかく府庁ふちょう舎しゃ

内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんが執務しつむする内閣ないかく総理そうり大臣だいじん官邸かんてい

内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんは内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんの職務しょくむを助たすけ、命いのちを受うけて内閣ないかく官房かんぼうの事務じむをつかさどり、及およびあらかじめ内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんの定さだめるところにより内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかん不在ふざいの場合ばあいその職務しょくむを代行だいこうする（内閣ないかく法ほう14条じょう第だい3項こう）。待遇たいぐうとしては副ふく大臣だいじんと同等どうとうであるが、組閣そかく後ごの記念きねん撮影さつえいに閣僚かくりょうと同席どうせきするなど、他たの副ふく大臣だいじんとは扱あつかいが異ことなっている^{[注ちゅう 1]}。内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんは首相しゅしょう、内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんとともに内政ないせい、外交がいこう全般ぜんぱんを担当たんとうすることから、準じゅん閣僚かくりょう級きゅうとして位置いちづけられている^[3]^[4]。戦前せんぜんの内閣ないかく書記官しょきかん長ちょうの実質じっしつ的てきな後継こうけいとも位置いちづけられる^[5]。

危機きき管理かんりを担当たんとうする内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんが東京とうきょうから離はなれる場合ばあいには、行政府ぎょうせいふの最高さいこう責任せきにん者しゃである内閣ないかく総理そうり大臣だいじんが東京とうきょうにいることが望のぞましいとされ、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんと内閣ないかく官房かんぼう長官ちょうかんが同時どうじに東京とうきょうを離はなれる事態じたいは異例いれいと報道ほうどうされることがあるが^[6]^[7]、その場合ばあいは内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんが東京とうきょうにいて危機きき管理かんりを担当たんとうすることになる^[8]^[9]。

政務せいむ担当たんとうの副ふく長官ちょうかんは、首相しゅしょう派閥はばつの出身しゅっしん者しゃなど首相しゅしょう側近そっきんの中堅ちゅうけん・若手わかて政治せいじ家かが任命にんめいされることが多おおい。一方いっぽうでは重要じゅうよう性せいから閣僚かくりょう経験けいけん者しゃなどのベテランが就任しゅうにんする例れいも見みられる。前者ぜんしゃの場合ばあいは、当とう職しょく経験けいけん後ごに重要じゅうような役職やくしょくを歴任れきにんすることも多おおく、若手わかて政治せいじ家かの登竜門とうりゅうもんポスト^[10]とされている（のちに首相しゅしょうになった官房かんぼう副ふく長官ちょうかんは2022年ねん現在げんざいで竹下たけした登のぼる、海部かいふ俊樹としき、森もり喜朗よしろう、安倍晋三あべしんぞう、鳩山はとやま由紀夫ゆきおの5人にん）。後者こうしゃの例れいとしては、2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい発生はっせい時じには、大蔵おおくら大臣だいじん・財務ざいむ大臣だいじんを歴任れきにんしたベテラン政治せいじ家かである藤井ふじい裕久ひろひさ、官房かんぼう長官ちょうかん経験けいけん者しゃである仙谷せんごく由人よしとが就任しゅうにんするなど、官邸かんてい機能きのう強化きょうかの観点かんてんから異例いれいの起用きようが相次あいついだ。他たの副ふく大臣だいじん、政務次官せいむじかん職しょくに閣僚かくりょう経験けいけん者しゃが就つくことは降格こうかくイメージにつながりかねないこともあって例れいは少すくないが^{[注ちゅう 2]}、特とくに1980年代ねんだい以降いこうの官房かんぼう副ふく長官ちょうかんは完全かんぜんにその例外れいがいとなっており、上記じょうきの藤井ふじい、仙谷せんごく以外いがいにも、細田ほそだ博之ひろゆき、鈴木すずき宗男むねお、与謝野よさの馨かおる、藤本ふじもと孝雄たかお、小沢おざわ一郎いちろう、藤波ふじなみ孝生たかおらが閣僚かくりょう経験けいけんを経へて官房かんぼう副ふく長官ちょうかんに就任しゅうにんしている。

政務せいむ担当たんとうの副ふく長官ちょうかんは、内政ないせいでは重要じゅうよう事項じこうの企画きかく立案りつあんや省庁しょうちょう間あいだの調整ちょうせいを行おこなう^[11]。また、首相しゅしょうの外遊がいゆうの際さいには同行どうこうし、首脳しゅのう会談かいだん後ごの同行どうこう記者きしゃ団だんへの説明せつめいや首相しゅしょうへの助言じょげんを行おこなう^[12]^[13]。

事務じむ担当たんとうの副ふく長官ちょうかんは、戦前せんぜんの内閣ないかく書記官しょきかん長ちょうの実質じっしつ的てきな後継こうけいであり^[5]、書記官しょきかん長ちょうのほとんどを旧きゅう内務省ないむしょう出身しゅっしん者しゃが占しめていた経緯けいいから、中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん以前いぜんは旧きゅう内務省ないむしょう系けい官庁かんちょうのうち警察庁けいさつちょう、旧きゅう自治省じちしょう、旧きゅう厚生省こうせいしょうの出身しゅっしん者しゃで次官じかん級きゅうポストを経験けいけんした者ものから任命にんめいされるのが慣例かんれいとなっており、省庁しょうちょう再編さいへん後ごも概おおむね踏襲とうしゅうされてきた^{[注ちゅう 3]}^[5]。一方いっぽうで第だい1次じ安倍あべ内閣ないかくでは的場まとば順三じゅんぞう（旧きゅう大蔵省おおくらしょう出身しゅっしんで国土こくど事務次官じむじかん経験けいけん者しゃ）が、野田のだ内閣ないかくでは竹たけ歳とし誠まこと（旧きゅう建設省けんせつしょう出身しゅっしんで国土こくど交通こうつう事務次官じむじかん経験けいけん者しゃ）が就任しゅうにんするなど慣例かんれいにとらわれない起用きようもなされている。第だい2次じ安倍あべ内閣ないかくの杉田すぎた和博かずひろの場合ばあい、警察庁けいさつちょう警備けいび局きょく長ちょうを務つとめた後のちで次官じかん級きゅうポストである警視総監けいしそうかんの経験けいけん者しゃが務つとめることが多おおい内閣ないかく危機きき管理かんり監かんを経へての就任しゅうにんであった。

事務じむ担当たんとうの副ふく長官ちょうかんは、次官じかん連絡れんらく会議かいぎを運営うんえいするなど各省かくしょう間あいだの調整ちょうせいを主おもな職務しょくむとしており、官僚かんりょう機構きこうのトップに位置付いちづけられる^[15]。内閣ないかくを超こえて長期間ちょうきかん在任ざいにんする例れいも多おおく、例たとえば石原いしはら信雄のぶおは自民党じみんとう政権せいけん、非ひ自民じみん連立れんりつ政権せいけん、自社じしゃさ政権せいけんにおいて7人にんの首相しゅしょうに仕つかえた。

内閣ないかく人事じんじ局長きょくちょうは内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんの中なかから指名しめいする者ものをもって充あてられる（内閣ないかく法ほう第だい21条じょう）。

任免にんめん

内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんは認証官にんしょうかんであるが、任命にんめい対象たいしょうの資格しかく要件ようけんや副ふく長官ちょうかん相互そうご間あいだの職務しょくむ分担ぶんたんは内閣ないかく法ほうなど法令ほうれい上じょうは明確めいかくには規定きていされておらず、政務せいむ担当たんとうとして衆議院しゅうぎいん議員ぎいんと参議院さんぎいん議員ぎいんから1人にんずつの計けい2人ふたりが、事務じむ担当たんとうとして次官じかん級きゅうポスト経験けいけん者しゃ等とうのキャリア官僚かんりょうから1人ひとりが、それぞれ任命にんめいされるのが慣例かんれいとなっている。

来歴らいれき

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）9月がつ19日にち - 内閣ないかく書記官しょきかん長ちょうの下したに内閣ないかく副ふく書記官しょきかん長ちょう（定数ていすう1人にん）が新設しんせつされる。
1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）5月がつ3日にち - 日本国にっぽんこく憲法けんぽうの施行しこうに伴ともない、内閣ないかく副ふく書記官しょきかん長ちょうを廃はいして内閣ないかく官房かんぼう次長じちょう（定数ていすう1人にん）が設置せっちされる。内閣ないかく法ほうでなく「内閣ないかく官房かんぼう及および法制ほうせい局きょく職員しょくいん等とう設置せっち制せい（昭和しょうわ22年ねん政令せいれい第だい2号ごう）」で定さだめられたいわゆる「政令せいれい職しょく」。
1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）6月がつ17日にち - 内閣ないかく官房かんぼう及および法制ほうせい局きょく職員しょくいん等とう設置せっち制せいの改正かいせいにより、定数ていすうが増員ぞういんされ2人ふたりとなる。
1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）6月1日にち - 内閣ないかく官房かんぼう職員しょくいん設置せっち制せいの廃止はいしと内閣ないかく法ほうの一部いちぶ改正かいせいにより、政令せいれい職しょくの内閣ないかく官房かんぼう次長じちょうを廃はいして法定ほうてい職しょくの内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかんが設置せっちされる。定員ていいんは先例せんれいを踏襲とうしゅう。
1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）7月がつ1日にち - 総務庁そうむちょうの設置せっちに伴ともない、内閣ないかく官房かんぼうに加くわえて総理府そうりふ（大臣だいじん庁ちょう等とうを除のぞく）の総括そうかつ整理せいりの補佐ほさをも担当たんとうする。
1998年ねん（平成へいせい10年ねん）7月がつ1日にち - 内閣ないかく法ほうの一部いちぶ改正かいせいにより、定数ていすうが2人ふたり（政務せいむ担当たんとう、事務じむ担当たんとう1人にんずつ）から3人にん（政務せいむ担当たんとうを1人にん増ふやす）に増員ぞういんされる。3人にん目めが任命にんめいされたのは31日にち。
2001年ねん（平成へいせい13年ねん）1月がつ6日にち - 内閣ないかく法ほうの一部いちぶ改正かいせいにより、いわゆる認証官にんしょうかんになり、その任免にんめんは天皇てんのうから認証にんしょうされる。中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへんに伴ともない、総理府そうりふに引ひき続つづき内閣ないかく府ふ（大臣だいじん庁ちょう等とうを除のぞく）の総括そうかつ整理せいりの補佐ほさを担当たんとうする。