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小選挙区比例代表並立制 - Wikipedia

しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい

しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい(しょうせんきょくひれいだいひょうへいりつせい)とは、選挙せんきょ制度せいどひとつである。しょう選挙せんきょせい比例ひれい代表だいひょうせいふたつをわせておこな制度せいどである。各国かっこく議会ぎかい選挙せんきょ採用さいようされている。

概説がいせつ

編集へんしゅう

しょう選挙せんきょ選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう選挙せんきょ並行へいこうしておこな制度せいど場合ばあい、それぞれの長所ちょうしょ短所たんしょおぎなうことができるとされる。しょう選挙せんきょせい比例ひれい代表だいひょうせい重点じゅうてんかた制度せいど相互そうご関係かんけい着目ちゃくもくして、しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう併用へいようせい対比たいひしてろんじられる。並立へいりつせいちがい、併用へいようせい本質ほんしつてき比例ひれい代表だいひょうせいでありかく政党せいとう獲得かくとく議席ぎせき原則げんそくとして比例ひれい代表だいひょう得票とくひょうにより決定けっていされ、しょう選挙せんきょ部分ぶぶん政党せいとうない当選とうせんしゃ決定けってい使用しようされるにすぎない。

一般いっぱん並立へいりつせいという場合ばあいには、しょう選挙せんきょ選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう選挙せんきょのそれぞれによって議員ぎいん選出せんしゅつされる。有権者ゆうけんしゃは2ひょうゆうし、しょう選挙せんきょでは候補者こうほしゃ個人こじんに、比例ひれい代表だいひょうでは政党せいとう投票とうひょうするのが一般いっぱんてきである。

並立へいりつせいしたでは、一部いちぶ議席ぎせきしょう選挙せんきょでの当選とうせんしゃにより決定けっていされ、のこりの議席ぎせき政党せいとう名簿めいぼから決定けっていされる。かく政党せいとう比例ひれい代表だいひょう議席ぎせき獲得かくとくするために、一定いってい得票とくひょうりつ必要ひつようとする場合ばあいがある(阻止そし条項じょうこう)。この議席ぎせき獲得かくとく必要ひつよう得票とくひょうりつ要求ようきゅうは、名簿めいぼしき比例ひれい代表だいひょうせい採用さいようするおおくのその議会ぎかい全体ぜんたい比例ひれいてき結果けっかるために政党せいとう名簿めいぼ使つかわれる併用へいようせいちがい、並立へいりつせいでは、比例ひれいせい比例ひれい代表だいひょう部分ぶぶん議席ぎせきのみに限定げんていされる。したがって、5%の得票とくひょう見込みこまれる政党せいとうがあるとすると、その政党せいとう比例ひれい代表だいひょう部分ぶぶんでのみ5%を獲得かくとくし、ぜん議席ぎせきの5%を獲得かくとくするわけではない。

ぜん議席ぎせき比較ひかくした比例ひれい代表だいひょう部分ぶぶん比率ひりつは、フィリピンの8.75%から日本にっぽんの37.85%、キルギスの60%まで、ひろ上下じょうげする。この割合わりあいひくいほど多数たすう代表だいひょう性質せいしつつよくなる。

しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい採用さいようしているくに地域ちいき

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しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい採用さいようこく一覧いちらん
くに 議会ぎかい 制度せいど解説かいせつ
  アンドラ だい評議ひょうぎかい だい選挙せんきょ二人ふたり比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい採用さいようされている。
  イタリア 元老げんろういん
代議だいぎいん
2017ねん導入どうにゅうされた。元老げんろういん上院じょういん)はしょう選挙せんきょ78(うち在外ざいがい選挙せんきょ4)、比例ひれい122。代議だいぎいん下院かいん)はしょう選挙せんきょ155(うち在外ざいがい選挙せんきょ8)、比例ひれい245[1]
  ギニア 国民こくみん議会ぎかい 
  キルギス ジョゴルク・ケネシ  54議席ぎせき政党せいとう名簿めいぼ比例ひれい代表だいひょうで、のこる36議席ぎせきしょう選挙せんきょから選出せんしゅつ
  ジョージア ジョージア議会ぎかい  比例ひれい代表だいひょう全国ぜんこく1選挙せんきょ有効ゆうこうひょうの5%以上いじょう政党せいとうおよ政党せいとう連合れんごうたい議席ぎせき配分はいぶんしょう選挙せんきょ決選けっせん投票とうひょう制度せいどあり。
  セーシェル 国民こくみん議会ぎかい  そう定数ていすう34議席ぎせき。25議席ぎせきしょう選挙せんきょ選出せんしゅつのこる9議席ぎせきは10%以上いじょう得票とくひょう政党せいとう配分はいぶん
  セネガル 国民こくみん議会ぎかい  105議席ぎせきしょう選挙せんきょから、のこる60議席ぎせき政党せいとう名簿めいぼ比例ひれい代表だいひょう選出せんしゅつ
  タイ王国おうこく 人民じんみん代表だいひょういん 375議席ぎせきしょう選挙せんきょ選出せんしゅつのこる125議席ぎせき比例ひれい代表だいひょうから選出せんしゅつ一時いちじちゅう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいちゅう選挙せんきょ部分ぶぶん完全かんぜん連記れんきせい)を採用さいようしたが、もどされた。
  タジキスタン 国民こくみん議会ぎかい
下院かいん
41議席ぎせきしょう選挙せんきょで、のこる22議席ぎせき政党せいとう名簿めいぼ比例ひれい代表だいひょう選出せんしゅつ
  タンザニア 国民こくみん議会ぎかい 264議席ぎせきしょう選挙せんきょで、113議席ぎせき政党せいとう名簿めいぼ比例ひれい代表だいひょう選出せんしゅつ。ほか、ザンジバル議会ぎかい代表だいひょうわく大統領だいとうりょう任命にんめいわく司法しほう長官ちょうかんわくがある。
  中華民国ちゅうかみんこく
(台湾たいわん)
立法院りっぽういん  2007ねんからしょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい変更へんこう。ただし原住民げんじゅうみんわくについてはちゅう選挙せんきょのままである。
  日本にっぽん 衆議院しゅうぎいん 1996ねんそう選挙せんきょより導入どうにゅう。289議席ぎせきしょう選挙せんきょで、176議席ぎせき比例ひれい代表だいひょう選出せんしゅつ以下いか概要がいよう)。
  ネパール 制憲せいけん議会ぎかい 2008ねん選挙せんきょ採用さいようされた。240議席ぎせきしょう選挙せんきょで、335議席ぎせき比例ひれい代表だいひょう選出せんしゅつのこる26議席ぎせき内閣ないかく指名しめいによる。
  パレスチナ 立法りっぽう評議ひょうぎかい 1996ねんからちゅう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい導入どうにゅう。ただし重複じゅうふく立候補りっこうほはなく、また選挙せんきょ完全かんぜん連記れんきせい
  ハンガリー 国民こくみん議会ぎかい 現在げんざい使用しよう部分ぶぶんてきしょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう死票しひょう集計しゅうけいする全国ぜんこくがあるため、やや比例ひれい代表だいひょう性格せいかくつよい。
  フィリピン 代議だいぎいん
下院かいん
228議席ぎせきしょう選挙せんきょ選出せんしゅつのこる52議席ぎせき政党せいとう名簿めいぼから選出せんしゅつ(ただし政党せいとう名簿めいぼ配分はいぶんされる上限じょうげんは1政党せいとうあたり3議席ぎせき)。
  みなみオセチア みなみオセチア議会ぎかい 政党せいとう名簿めいぼ比例ひれい代表だいひょうしょう選挙せんきょからそれぞれ17めい選出せんしゅつ
  メキシコ 連邦れんぽう議会ぎかい 上院じょういんちゅう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい下院かいん比例ひれい代表だいひょう部分ぶぶん調整ちょうせい機能きのうがあり、やや比例ひれい代表だいひょう性格せいかくつよい。
  リトアニア セイマス 独立どくりつ現在げんざいまで使用しようぜん141議席ぎせきちゅう、71議席ぎせきしょう選挙せんきょで、のこる70議席ぎせき比例ひれい代表だいひょうから選出せんしゅつする。
  ロシア ロシア下院かいん 1993ねんから2003ねんまで使つかわれ、その完全かんぜん比例ひれいとなっていたが、2016ねんロシア下院かいん選挙せんきょからふたた採用さいようされている。ぜん450議席ぎせきちゅう、225議席ぎせきしょう選挙せんきょのこりの225議席ぎせき比例ひれい代表だいひょう選出せんしゅつする。
制度せいど詳細しょうさいについてはIPU(列国議会同盟れっこくぎかいどうめい)の"PARLINE database on national parliaments"も参照さんしょうした。

過去かこ採用さいようしたことがある国々くにぐに

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出典しゅってん
Inter Parliamentary Union (IPU) - 列国議会同盟れっこくぎかいどうめいホームページ

日本にっぽんしょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい制度せいど概要がいよう

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ちゅう選挙せんきょ時代じだいでは、候補者こうほしゃたちはひろ選挙せんきょ選挙せんきょカーではしまわり、駅前えきまえ演説えんぜつ各地かくち支持しじ母体ぼたいでの講演こうえんなどたくさん活動かつどうせねばならず、候補者こうほしゃたちは体力たいりょくてき重労働じゅうろうどうで、選挙せんきょ活動かつどう多額たがくひととおかねがかかっていた[2]

また、ちゅう選挙せんきょせいでは、かく選挙せんきょ定数ていすう3にん - 5にんたいし、自民党じみんとうないかく派閥はばつから複数ふくすう候補こうほ乱立らんりつして立候補りっこうほして、それが、自民党じみんとうない派閥はばつ同士どうし熾烈しれつあらそい、自民党じみんとう金権きんけん政治せいじ派閥はばつ論理ろんり密室みっしつ政治せいじんだ、と批判ひはんされた[3]

また、そういった候補者こうほしゃたちのふところ事情じじょう察知さっちして、だい企業きぎょう自分じぶんたちの意向いこう政治せいじ反映はんえいしてもらおうと政界せいかい秘密ひみつうら多額たがく献金けんきんをするケースも相次あいついだ(詳細しょうさいは「リクルート事件じけん」「東京とうきょう佐川急便さがわきゅうびん事件じけん」「ゼネコン汚職おしょく事件じけん」を参照さんしょう)。このように日本にっぽんなか選挙せんきょ制度せいどは、自民党じみんとう派閥はばつ中心ちゅうしん選挙せんきょ金銭きんせん授受じゅじゅ蔓延まんえん政権せいけん交代こうたい不在ふざい緊張きんちょうかん喪失そうしつ汚職おしょく政治せいじ日本にっぽん政治せいじ欠陥けっかんとされ、国民こくみんからおおきな政治せいじ不信ふしんまねいた(詳細しょうさいは「55ねん体制たいせい」を参照さんしょう)。このような背景はいけいから、衆議院しゅうぎいんあたらしい選挙せんきょ制度せいどとして、しょう選挙せんきょせい導入どうにゅうあん提示ていじされた。

あたらしいしょう選挙せんきょ制度せいどでは、従来じゅうらい派閥はばつ中心ちゅうしん選挙せんきょから政党せいとう本位ほんい政策せいさく本位ほんい選挙せんきょへの転換てんかん、その結果けっか政権せいけん交代こうたいきやすくなること、かく政党せいとう政策せいさく立案りつあん政権せいけん運営うんえい担当たんとう能力のうりょくみがくこと、いちとう優位ゆうい政党せいとうせい転換てんかんだい政党せいとうせいへの実現じつげん[4]、を目標もくひょうとしていた。

1994ねん細川ほそかわ内閣ないかくのもとで公職こうしょく選挙せんきょほう改正かいせいされ、衆議院しゅうぎいんに「しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい」(拘束こうそく名簿めいぼしき比例ひれい代表だいひょうせい)が導入どうにゅうされた[5]

1996ねん以降いこう衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょから、従来じゅうらいなか選挙せんきょわって、この「しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい」があたらしくスタートした。しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいは、現在げんざいつづいている選挙せんきょ制度せいどである。

このしょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい特徴とくちょうつぎとおりである。

  • 重複じゅうふく立候補りっこうほ制度せいどによって双方そうほう制度せいど一部いちぶ連動れんどうしている。
  • 政党せいとうしょう選挙せんきょ候補者こうほしゃ比例ひれい代表だいひょう名簿めいぼにも登載とうさいできる。
  • 比例ひれい代表だいひょう候補者こうほしゃ所属しょぞく政党せいとう順位じゅんいけることもできるが、重複じゅうふく立候補者りっこうほしゃについてはどう順位じゅんいとすることもできる。
  • どう順位じゅんいとした場合ばあい実際じっさい順位じゅんいしょう選挙せんきょにおける惜敗せきはいりつによって決定けっていされる[6][7][8]
  • 衆議院しゅうぎいんしょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょうせい拘束こうそく名簿めいぼ方式ほうしき)の並列へいれつせい参議院さんぎいん都道府県とどうふけん単位たんい選挙せんきょせいだい選挙せんきょせい)と全国ぜんこく単位たんい比例ひれい代表だいひょうせい拘束こうそく名簿めいぼ方式ほうしき)の並列へいれつせいをとっている。
  • 1983ねんより参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょうせい選挙せんきょせい並立へいりつてきもちいられているが、こちらは衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょちがって、重複じゅうふく立候補りっこうほみとめていないため、惜敗せきはいりつによる名簿めいぼ順位じゅんい変動へんどう発生はっせいしない[9][7]
  • 重複じゅうふく立候補りっこうほした議員ぎいんしょう選挙せんきょ当選とうせんした場合ばあい比例ひれい代表だいひょう名簿めいぼから除外じょがいされるが、しょう選挙せんきょ落選らくせんした場合ばあい比例ひれい代表だいひょう惜敗せきはいりつたかいほど、比例ひれいでの復活ふっかつ当選とうせん可能かのうせいがある。しかし、しょう選挙せんきょでも立候補りっこうほしていた場合ばあい供託きょうたくきん没収ぼっしゅうラインでもある有効ゆうこう投票とうひょう総数そうすうの10ぶんの1の得票とくひょうられていないと復活ふっかつ当選とうせん資格しかくうしな[10][7]
    • 導入どうにゅう初回しょかいとなっただい41かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょではこの規定きていがなく、供託きょうたくきん没収ぼっしゅうとなった重複じゅうふく立候補者りっこうほしゃ復活ふっかつ当選とうせんとなるれい発生はっせいしたため、制度せいどじょう問題もんだいめんとして議論ぎろん対象たいしょうとなり、その公職こうしょく選挙せんきょほう改正かいせい上記じょうき規定きてい導入どうにゅうされている。
  • 制度せいど改革かいかくともな地盤じばん同一どういつにする候補者こうほしゃたため、コスタリカ方式ほうしきにより候補者こうほしゃ調整ちょうせいがなされた。

衆議院しゅうぎいんにおける並立へいりつせい導入どうにゅう経緯けいいについては「政治せいじ改革かいかくよんほう」を参照さんしょう

批評ひひょう

編集へんしゅう

選挙せんきょせましょう選挙せんきょせいになったことで、候補者こうほしゃたちは選挙せんきょ区内くないくまなくまわれるようになり、選挙せんきょ活動かつどうも、比較的ひかくてきひくおさえるられるようになった。また、政党せいとう本位ほんい政策せいさく本位ほんい前面ぜんめんした選挙せんきょせんは、だい政党せいとうせいうながし、政権せいけん交代こうたい可能かのう制度せいどとなった。しかし、しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいの「しょう選挙せんきょせい」と「比例ひれい代表だいひょうせい」にはそれぞれ特徴とくちょうがある。

  • しょう選挙せんきょせい - 最高さいこう得票とくひょうしゃがシンプルに当選とうせんするが、それ以外いがい死票しひょうとなり、死票しひょうおおるという欠点けってんがある。
  • 比例ひれい代表だいひょうせい - 死票しひょう比較的ひかくてきすくなく、しょう政党せいとうにも有利ゆうりだが、政党せいとうかかげる政策せいさく選挙せんきょでのおも争点そうてんとなり、政党せいとうぞくしてる候補者こうほしゃ個人こじんかおえにくいという欠点けってんがある。

しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいは、この2つの制度せいど長所ちょうしょをいかし、短所たんしょおぎないあった制度せいどとなっている[2]

もと衆議院しゅうぎいん議員ぎいんかつもと参議院さんぎいん議員ぎいん石井いしいはじめは、かつて羽田はたつとむ小沢おざわ一郎いちろうらとともしょう選挙せんきょ制度せいど導入どうにゅうといった政治せいじ改革かいかく実現じつげんのために自民党じみんとう離脱りだつ新生党しんせいとうげ、しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい導入どうにゅう推進すいしんをした。しかし、だい49かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょ直前ちょくぜん2021ねん10月23にち神戸こうべ新聞しんぶんのインタビューないにおいて、安倍あべ政権せいけんながつづいた理由りゆうたいし、「選挙せんきょ制度せいど要因よういんや。おれ自民党じみんとう選挙せんきょ制度せいど会長かいちょうなんかで制度せいどづくりの中心ちゅうしんになったから戦犯せんぱんやな」「選挙せんきょ制度せいどというものが、いかに民主みんしゅ主義しゅぎ劣化れっかさせるかという象徴しょうちょうてきなことになってしまった。おれ責任せきにんおおきい。ちゅう選挙せんきょ派閥はばつ横行おうこうかね使つかかた問題もんだいやったけど、議員ぎいんたまかった。政治せいじ活力かつりょくがあふれ、ダイナミックだった。しょう選挙せんきょ議員ぎいん標準ひょうじゅん平準へいじゅんされ小粒こつぶになった。政治せいじ醍醐味だいごみはなくなった」とかたり、現在げんざいはかつての国会こっかい議員ぎいんくらべて政党せいとう政策せいさくおもとなり、候補者こうほしゃ個人こじんえにくくなったことを指摘してきし、その責任せきにん自身じしんにもあるとしている[11]

また、石井いしいおなじように当時とうじ若手わかて政治せいじ改革かいかく急先鋒きゅうせんぽう自民党じみんとう離党りとうして新生党しんせいとう参加さんかした石破いしばしげるも、「本来ほんらいならばしょう選挙せんきょ制度せいど移行いこうしてもわらなくていはずであるが、実際じっさい問題もんだいとして国会こっかい議員ぎいん選挙せんきょ人々ひとびととの距離きょりとおくなってしまった」と自身じしんYouTube動画どうがないべている[12]ほか、自身じしんのブログで「ちゅう選挙せんきょせいは『支持しじするとうえらんだのちひとえらぶ』という制度せいどでしたが、サービス合戦かっせんになって多額たがくかねがかかる、国家こっか利益りえきよりも地域ちいき利益りえき優先ゆうせんされる等々とうとう短所たんしょ強調きょうちょうするあまりに、その長所ちょうしょ看過かんかしていたことはいなめません」とべている[13]

一方いっぽう小沢おざわは「しょう選挙せんきょせいにしたから、政権せいけん交代こうたいきたんだ。ちゅう選挙せんきょせいのままだったら、永久えいきゅう自民党じみんとう政権せいけんつづいた。政権せいけん交代こうたい可能かのう議会ぎかいせい民主みんしゅ主義しゅぎ日本にっぽん定着ていちゃくさせるのがぼく長年ながねん目標もくひょう」とべ、当時とうじ判断はんだんただしかったとしている[14]一方いっぽう、「野党やとう政権せいけんって2くらいつづき、政権せいけん交代こうたい定着ていちゃくすればもうしょう選挙せんきょでなくてもいい」ともべている[15]

2023ねんには与野党よやとうでつくる衆議院しゅうぎいん選挙せんきょ制度せいど協議きょうぎかいが、しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせい導入どうにゅうめた1994ねん当時とうじ当事とうじしゃらに導入どうにゅう経緯けいいなどにかんしてヒアリングするとめ、6月19にち河野こうの洋平ようへいもと自由民主党じゆうみんしゅとう総裁そうさいどう26にち細川ほそかわ護煕もりひろもと首相しゅしょうへのききとりがおこなわれた。このなか河野こうのは「しょう選挙せんきょせいは、有権者ゆうけんしゃ政策せいさく本位ほんい政党せいとう中心ちゅうしん投票とうひょうすることを想定そうていしていたが、現在げんざいそうなっているかギャップをかんじる」とべ、当時とうじ想定そうていがあるとの認識にんしきしめした。また、しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう重複じゅうふく立候補りっこうほみとめていることについて「国民こくみん支持しじされているのか、世論せろんとよく必要ひつようがある」ともべた[16][17][18]一方いっぽう細川ほそかわは「当時とうじなか選挙せんきょ制度せいどくらべ、政治せいじとカネの問題もんだい状況じょうきょうおおきく改善かいぜんされたことはたしかだ」と成果せいか主張しゅちょう。「実際じっさい政権せいけん交代こうたいこるなど、民意みんい沿った穏健おんけん多党たとうせい政治せいじとなっており、おおむね想定そうていどおりの状況じょうきょうにある」と現状げんじょう評価ひょうかし、重複じゅうふく立候補りっこうほについては「惜敗せきはいりつたかひと議席ぎせきられるメリットがある」とべるなど河野こうのとはぎゃく評価ひょうかをした[19][20]

駿河台大学するがだいだいがく法科ほうか大学院だいがくいん教授きょうじゅ成田なりた憲彦のりひこは、「だい1とう比例ひれい単独たんどく下位かい当選とうせんした議員ぎいんは、日常にちじょう活動かつどうとしての選挙せんきょたず、次回じかい当選とうせん見込みこめずにポピュリズムてき行動こうどうはしり、とう不安定ふあんてい要因よういんとなった」とべている[21]

羽原はばらきよしみやびは、「派閥はばつ弱体じゃくたいともなとう執行しっこう権限けんげん強化きょうかされ、強引ごういん解散かいさんけん行使こうしや、選挙せんきょ焦点しょうてんを1つにしぼって世論せろん不消化ふしょうかまねく『民主みんしゅてき権力けんりょく行使こうし』につながった」としべている[22]

名古屋大学なごやだいがく大学院だいがくいん法学ほうがく研究けんきゅうじゅん教授きょうじゅ大屋おおやつよしひろしは、「衆参しゅうさん両院りょういんが2つの理念りねん折衷せっちゅうした選挙せんきょ制度せいどをそれぞれ採用さいようしており、両院りょういんがともに明確めいかく理念りねんしめさない制度せいど採用さいようしている」とべている[23]

北海学園大学ほっかいがくえんだいがく講師こうし山本やまもと健太郎けんたろうは、「自民党じみんとう対抗たいこうして政権せいけん獲得かくとく目指めざ政党せいとうは、よりだい規模きぼ勢力せいりょくとしてまとまって選挙せんきょのぞむことが重要じゅうようであるが、規模きぼ拡大かくだいすればするほど、多様たよう政策せいさく志向しこう議員ぎいんかかとう凝集ぎょうしゅうせいよわまる。しかし凝集ぎょうしゅうせいつよめようとすれば、規模きぼ拡大かくだい慎重しんちょうにならざるをえない」というジレンマがあるとべている[24]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 【イタリア】[立法りっぽう情報じょうほう上下じょうげ両院りょういん選挙せんきょほうと2022ねん選挙せんきょ結果けっか]”. 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん (2022ねん11月). 2024ねん2がつ24にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいのしくみ”. gakusyu.shizuoka-c.ed.jp. 2022ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  3. ^ 決戦けっせん記憶きおく金権きんけん政治せいじ批判ひはん政党せいとう本位ほんい転換てんかん…1996ねん橋本はしもと内閣ないかくしょう選挙せんきょ解散かいさん”. 読売新聞よみうりしんぶんオンライン (2021ねん10がつ18にち). 2023ねん6がつ22にち閲覧えつらん
  4. ^ しょう選挙せんきょせい問題もんだい”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん (2023ねん1がつ17にち). 2023ねん6がつ22にち閲覧えつらん
  5. ^ 発掘はっくつされた後藤田ごとうだ正晴まさはるの“遺言ゆいごん” 平成へいせい政治せいじの“劇薬げきやくしょう選挙せんきょせい導入どうにゅうとはなにだったのか?”. 文春ぶんしゅんオンライン (2029ねん1がつ31にち). 2024ねん3がつ8にち閲覧えつらん
  6. ^ そもそもしょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいって? 選挙せんきょプランナーが戦略せんりゃく朝日新聞あさひしんぶんデジタル”. 朝日新聞あさひしんぶんデジタル. 2022ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c 国政こくせい選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょうもおもしろい 衆議院しゅうぎいん選挙せんきょ北海道ほっかいどうでは…”. NHK北海道ほっかいどう. 2022ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  8. ^ しょう選挙せんきょ比例ひれい代表だいひょう並立へいりつせいの25ねん 統治とうち機構きこう改革かいかくという骨太ほねぶと議論ぎろんを | | 古賀こが伸明のぶあき”. 毎日新聞まいにちしんぶん政治せいじプレミア」. 2022ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  9. ^ 三田みた比例ひれい代表だいひょうせいとは?”. www.city.sanda.lg.jp. 2022ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  10. ^ 宮坂みやさか正太郎しょうたろう,今尾いまおりゅうひとし,渡辺わたなべ健太郎けんたろう,内海うつみゆう,山田やまだいたる. “安定あんてい多数たすう」「惜敗せきはいりつ」「供託きょうたくきん衆院しゅういんせんのしくみ”. 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ 〜ビジュアルデータ. 2022ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  11. ^ “「自民じみん祝儀しゅうぎ下駄げた、バカでも選挙せんきょおおい」“政界せいかいのオヤジ”石井いしい一氏かずうじ衆院しゅういんせんかたる”. 神戸こうべ新聞しんぶんNEXT. (2021ねん10がつ23にち). https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202110/0014785120.shtml 2022ねん3がつ20日はつか閲覧えつらん 
  12. ^ “イシバチャンネルだいきゅうじゅうさんだんちゅう選挙せんきょからしょう選挙せんきょへ」PART2”. YouTube. (2019ねん6がつ3にち). https://www.youtube.com/watch?v=A3W80DJRzAU 2022ねん9がつ14にち閲覧えつらん 
  13. ^ しょう選挙せんきょせいちゅう選挙せんきょせいなど”. 石破いしばしげる(いしばしげる)ブログ. (2019ねん5がつ24にち). http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-6e3525.html 2022ねん9がつ14にち閲覧えつらん 
  14. ^ 立憲りっけん民主みんしゅ小沢おざわ一郎いちろうさい起動きどう 政権せいけんるまで生涯しょうがい現役げんえき. 毎日新聞まいにちしんぶん. (2022ねん1がつ7にち). https://mainichi.jp/articles/20220107/dde/012/010/022000c 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  15. ^ 老兵ろうへい…されど剛腕ごうわん 小沢おざわ一郎いちろう秘策ひさくかたくす げきしろ90ふん. 毎日新聞まいにちしんぶん. (2023ねん7がつ13にち). https://mainichi.jp/sunday/articles/20230710/org/00m/040/002000d 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  16. ^ 河野こうの洋平ようへい重複じゅうふく立候補りっこうほ支持しじされているか」 衆院しゅういん選挙せんきょ制度せいどきょう. 毎日新聞まいにちしんぶん. (2023ねん6がつ19にち). https://mainichi.jp/articles/20230619/k00/00m/010/252000c 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  17. ^ 河野こうの洋平ようへい想定そうてい大変たいへんあった」 30ねんまえ政治せいじ改革かいかくかえる”. 朝日新聞あさひしんぶん. (2023ねん6がつ19にち). https://www.asahi.com/articles/ASR6M6QW3R6HUTFK036.html 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  18. ^ 自民じみん 河野こうのもと総裁そうさい 衆院しゅういん選挙せんきょ制度せいど当時とうじ想定そうてい現状げんじょうにギャップ””. NHK NEWS WEB. (2023ねん6がつ19にち). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230619/k10014103941000.html 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  19. ^ 細川ほそかわもと首相しゅしょうしょう選挙せんきょ導入どうにゅう 成果せいかあった 政治せいじとカネの問題もんだい改善かいぜん””. NHK NEWS WEB. (2023ねん6がつ26にち). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230626/k10014109991000.html 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  20. ^ 細川ほそかわもと首相しゅしょう 「政権せいけん交代こうたい経験けいけん機能きのうしている」 衆院しゅういん選挙せんきょ制度せいどめぐり”. 毎日新聞まいにちしんぶん. (2023ねん6がつ26にち). https://mainichi.jp/articles/20230626/k00/00m/010/114000c 2023ねん8がつ22にち閲覧えつらん 
  21. ^ 特集とくしゅう 選挙せんきょ制度せいどかんがえる - あかるい選挙せんきょ推進すいしん協会きょうかい p.9
  22. ^ しょう選挙せんきょせい導入どうにゅうをめぐる政治せいじ状況じょうきょう p.49 - 50
  23. ^ 特集とくしゅう 選挙せんきょ制度せいどかんがえる - あかるい選挙せんきょ推進すいしん協会きょうかい p.5
  24. ^ 1990年代ねんだい以降いこう政界せいかい再編さいへん政党せいとうシステムの流動りゅうどう nippon.com

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