55年ねん体制たいせい

55年ねん体制たいせい（ごじゅうごねんたいせい）は、日本にっぽんにおいて、1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）以降いこう長ながらく続つづいた自由民主党じゆうみんしゅとう・日本にっぽん社会党しゃかいとう（+その他た）の2:1の構図こうずによる政治せいじ体制たいせい。

初出しょしゅつは1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）に、政治せいじ学者がくしゃの升ます味あじ準じゅん之の輔が発表はっぴょうした論文ろんぶん「1955年ねんの政治せいじ体制たいせい」（『思想しそう』1964年ねん4月がつ号ごう）である。1960年代ねんだい当時とうじ、左右さゆう統一とういつした社会党しゃかいとうが再ふたたび分裂ぶんれつし社会党しゃかいとうと民社党みんしゃとうになり、さらに公明党こうめいとうが台頭たいとう、新党しんとうが乱立らんりつする時代じだいとなっていた。

55年ねん体制たいせい時代じだいは与党よとう第だい1党とう自由民主党じゆうみんしゅとうが国政こくせい選挙せんきょで単独たんどく過半数かはんすうを占しめ続つづけることで政権せいけんを維持いじし続つづけた一方いっぽう、野党やとう第だい1党とう日本にっぽん社会党しゃかいとうとその他た非ひ自社じしゃ政党せいとうの合計ごうけいで3分ぶんの1を占しめ、憲法けんぽう改正かいせいによる軍拡ぐんかくを阻止そししていたことから、与党よとうの自民党じみんとうは、改憲かいけんを志向しこうしつつも軽けい武装ぶそう・内政ないせい重視じゅうしの路線ろせんを行おこなった。

野党やとう第だい一いち党とうの社会党しゃかいとうは途中とちゅうから過半数かはんすうの候補者こうほしゃを選挙せんきょに擁立ようりつ自体じたいせず、政権せいけん交代こうたいは狙ねらわない万まん年ねん野党やとうである代かわりに、憲法けんぽう改正かいせいを発議はつぎさせない3分ぶんの2の議席ぎせき阻止そしと労働ろうどう組合くみあいの維持いじを狙ねらった。野党やとう第だい三さん勢力せいりょくの民社党みんしゃとうと公明党こうめいとうは社しゃ公民こうみん路線ろせんや自公民じこうみん路線ろせんなどで自社じしゃ両りょう党とうに接触せっしょくし、日本にっぽん共産党きょうさんとうは社会党しゃかいとうとの革新かくしん陣営じんえい内ない対立たいりつはありながらも社しゃ共ども路線ろせんを取とったりしていた。

政治せいじとカネのスキャンダルによって自民党じみんとうが国民こくみんの信頼しんらいを年々ねんねん減へらしていく一方いっぽう、ソ連それん崩壊ほうかいで冷戦れいせんが終結しゅうけつし、自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎの勝利しょうりに終おわると、自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎか社会しゃかい主義しゅぎ（共産きょうさん主義しゅぎ）かという保革ほかくイデオロギー対立たいりつの重要じゅうよう度どは薄うすまった。以降いこうの1990年代ねんだいの政界せいかい再編さいへん期きに入はいり、旧来きゅうらいの保革ほかくイデオロギー対立たいりつは、冷戦れいせんの終結しゅうけつとも呼応こおうして、政党せいとう間あいだ対立たいりつ軸じくとしての重要じゅうよう性せいを低下ていかさせ、政治せいじ改革かいかく（中ちゅう選挙せんきょ区く制せい廃止はいしなどの選挙せんきょ制度せいど改革かいかく）への賛否さんぴが対立たいりつ軸じくとなった。右派うはは旧来きゅうらいの自民党じみんとうの「保守党ほしゅとう型がた大おおきな政府せいふ」路線ろせんと政治せいじ改革かいかくへの賛否さんぴで分裂ぶんれつした。そして、冷戦れいせんの敗北はいぼく側がわのイデオロギーを支持しじしていた社会党しゃかいとうも、旧来きゅうらいの投票とうひょう層そうから政権せいけん交代こうたいを狙ねらえない「万まん年ねん（左翼さよく）野党やとう」の立場たちばから政権せいけん交代こうたいを狙ねらえる中道ちゅうどう的てき政党せいとうを望のぞむ声こえが台頭たいとうしていくことで支持しじを失うしなっていった。後のちに社会党しゃかいとうからの移動いどう者しゃらも参画さんかくして誕生たんじょうした民主党みんしゅとう（1998年ねん結党けっとう）は都市とし的てき利益りえきを代弁だいべんしている政党せいとうとみなされたことで、自民党じみんとうの対抗たいこう勢力せいりょくとして成長せいちょうした。

1993年ねん（平成へいせい5年ねん）の衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにおいて、自民党じみんとう議員ぎいんらが分裂ぶんれつによる過半数割かはんすうわれ、社会党しゃかいとうも惨敗ざんぱいとなるなか、多数たすう誕生たんじょうした新党しんとうが議席ぎせきを伸のばした。この結果けっか、非ひ自民党じみんとう連立れんりつ政権せいけんとなる細川ほそかわ内閣ないかくが成立せいりつし、55年ねん体制たいせいは崩壊ほうかいした。

経過けいか

体制たいせい成立せいりつの背景はいけい

連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ（GHQ）による占領せんりょう下かの日本にっぽんにおいて、GHQ指令しれいにより無産むさん政党せいとう（日本にっぽん社会党しゃかいとうや日本にっぽん共産党きょうさんとうなど）が合法ごうほう化かされる一方いっぽう、同時どうじに保守ほしゅ政党せいとうが乱立らんりつする事態じたいが発生はっせいした。

一方いっぽうで日本にっぽん社会党しゃかいとうは、1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）に講和こうわ条約じょうやくと日米にちべい安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやく（安保あんぽ）に対たいする態度たいどの違ちがいから右派うは社会党しゃかいとう・左派さは社会党しゃかいとうに分裂ぶんれつしていたが、保守ほしゅ政権せいけんによる「逆ぎゃくコース」や改憲かいけんに対抗たいこうするために、「護憲ごけんと反はん安保あんぽ」を掲かかげて1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）に社会党しゃかいとう再さい統一とういつが行おこなわれた。この日本にっぽん社会党しゃかいとうの統一とういつに危機きき感かんを覚おぼえた財界ざいかいからの要請ようせいで、それまで存在そんざいした日本にっぽん民主党みんしゅとうと自由党じゆうとうが保守ほしゅ合同ごうどうして自由民主党じゆうみんしゅとうが誕生たんじょうし、保守ほしゅ政党せいとうが第だい1政党せいとうとなった。見みかけ上じょうは二に大だい政党せいとう制せいとなり広ひろく歓迎かんげいされたが、基本きほん的てきな議席ぎせきの割合わりあいは自民党じみんとう2/3・社会党しゃかいとう1/3であり、二に大だい政党せいとう制せいの長所ちょうしょであるはずの政権せいけん交代こうたい円滑えんかつ化かに資しすることはなかった。自民党じみんとうは「改憲かいけん・保守ほしゅ・安保あんぽ護持ごじ」を、日本にっぽん社会党しゃかいとうは「護憲ごけん・革新かくしん・反はん安保あんぽ」を、それぞれ標榜ひょうぼうした。

1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）当時とうじの世界せかい情勢じょうせいはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとソビエト連邦れんぽうが主導しゅどうする冷戦れいせんの真まっただ中なかであり、55年ねん体制たいせいも冷戦れいせんという国際こくさい社会しゃかいに合あわせた、いわば代理だいり戦争せんそうとしての日本にっぽん国内こくないの政治せいじ構造こうぞう（「国内こくない冷戦れいせん」）であると指摘してきする意見いけんがある。元もと歴史れきし学者がくしゃの與那覇よなは潤じゅんは、期きせずしてそれなりに江戸えど時代じだいを再現さいげんしたところがあるとしている。政治せいじ学者がくしゃジェラルド・カーティスは、「戦後せんごの日本にっぽんの自民党じみんとう一いち党とう支配しはい体制たいせいは、民主みんしゅ主義しゅぎ的てきだったと思おもいます。その中なかには、革新かくしん陣営じんえいには社会党しゃかいとうや、またその時ときは公明党こうめいとうも革新かくしんの方ほうだったから、公明党こうめいとう、民社党みんしゃとう、あと共産党きょうさんとうがいましたが、やはり自民党じみんとうに対たいしてブレーキをかける役割やくわりを果はたしていましたし、野党やとうが国民こくみんに人気にんきのあることを提案ていあんすると、自民党じみんとうはそれを自分じぶんたちの政策せいさくにしていました」と述のべている。

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  自由民主党じゆうみんしゅとう
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  日本にっぽん社会党しゃかいとう
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  民社党みんしゃとう
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  公明党こうめいとう
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  日本にっぽん共産党きょうさんとう

「一いちと二に分ぶんの一いち」の確定かくてい

衆議院しゅうぎいんにおける二に大だい政党せいとうの得票とくひょう率りつ・議席ぎせき占有せんゆう率りつ（緑みどりが自民党じみんとう＝下目しため盛もり、紫むらさきが日本にっぽん社会党しゃかいとう＝上目うわめ盛ざかり）

自由民主党じゆうみんしゅとうは押おし付つけ憲法けんぽう論ろんを主張しゅちょう、自主じしゅ憲法けんぽう制定せいていを党是とうぜに定さだめた。1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）の総そう選挙せんきょでは互たがいに過半数かはんすうにのぼる候補こうほを立たて、真まっ向こうから争あらそった。投票とうひょう率りつ76.99%は男女だんじょ普通ふつう選挙せんきょになってからでは最高さいこうの記録きろくであり、二に大だい政党せいとう制せいへの国民こくみんの関心かんしんの高たかまりを示しめしたものといえた。その結果けっか、定数ていすう467で自由民主党じゆうみんしゅとう287議席ぎせき（他た、追加ついか公認こうにん11）、日本にっぽん社会党しゃかいとう166議席ぎせき（他た、追加ついか公認こうにん1）となり、二に大だい政党せいとうの公認こうにん候補こうほだけで全体ぜんたいの97%の議席ぎせきを占しめた。これは総そう選挙せんきょ最高峰さいこうほうの記録きろくである。しかし、議席ぎせき数すうは追加ついか公認こうにんを含ふくめると、自由民主党じゆうみんしゅとうが1議席ぎせきを減へらしただけの圧勝あっしょうであり、日本にっぽん社会党しゃかいとうは7議席ぎせきを増ふやしたものの、護憲ごけんに必要ひつような3分ぶんの1の議席ぎせきを確保かくほしたに留とどまった。

このように、二に大だい政党せいとう制せいといっても国会こっかいの議席ぎせき数すうでは自由民主党じゆうみんしゅとうと日本にっぽん社会党しゃかいとうの勢力せいりょく比ひは2:1であった。そのため、「一いちと二に分ぶんの一いち政党せいとう制せい（一いちか二に分ぶんの一いち政党せいとう制せい）」とも呼よばれる。この保守ほしゅと革新かくしんの“2:1”の比率ひりつは、保守ほしゅ分裂ぶんれつのため社会党しゃかいとうが第だい1党とうになった1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）の総そう選挙せんきょの時点じてんで既すでに現あらわれていた。

55年ねん体制たいせいは、自由民主党じゆうみんしゅとうから日本にっぽん社会党しゃかいとうへの政権せいけん交代こうたいが実現じつげんできない一方いっぽう、保守ほしゅ政党せいとうは国会こっかいで憲法けんぽう改正かいせいのための3分ぶんの2以上いじょうの議席ぎせきを確保かくほできなかったことから、政権せいけん交代こうたいと憲法けんぽう改正かいせいのない体制たいせいとされる。

戦後せんご暫しばらくは、いわゆる諸派しょは・ミニ政党せいとうがしばしば議席ぎせきを獲得かくとくしていた。しかし55年ねん体制たいせいが久ひさしくなると、参議院さんぎいんで一時いちじ的てきにミニ政党せいとうが進出しんしゅつした時期じきもあるが、衆議院しゅうぎいんで議席ぎせきを獲得かくとくすることはほとんどなくなった。

55年ねん体制たいせい前半ぜんはん期きにおける自由民主党じゆうみんしゅとう内ない事情じじょう

初代しょだい自民党じみんとう総裁そうさいは日本にっぽん民主党みんしゅとうの総裁そうさいであった党人とうじん鳩山はとやま一郎いちろうが務つとめたが、後継こうけいの石橋いしばし湛山たんざんが脳のう梗塞こうそくにより退陣たいじんすると、官僚かんりょう機構きこうの扱あつかいを心得こころえている商工しょうこう省しょう出身しゅっしんの岸きし信介しんすけや吉田よしだ学校がっこうの池田いけだ勇人はやと・佐藤さとう栄作えいさくら官僚かんりょう派はがトップの座ざを占しめるようになった。これに対たいして資金しきん集あつめなどで党とうに貢献こうけんしているにもかかわらず総裁そうさいを輩出はいしゅつできない党人とうじん派はの不平ふへい不満ふまんが高たかまり、中ちゅう選挙せんきょ区くでの保守ほしゅ票ひょうの争奪そうだつと相あいまって、党内とうないでは激はげしい派閥はばつ抗争こうそうが行おこなわれることとなった。

日本にっぽん社会党しゃかいとうの衰退すいたい

1960年代ねんだいに入はいると国民こくみんに新しん憲法けんぽうが定着ていちゃくし、自由民主党じゆうみんしゅとうの議員ぎいんも改憲かいけんにはこだわらない議員ぎいんが主流しゅりゅうとなった。憲法けんぽう調査ちょうさ会かい（第だい1次じ）が終了しゅうりょうしたのもその流ながれであった。こうして、「保守ほしゅ本流ほんりゅう」と呼よばれる議員ぎいんたちを中心ちゅうしんに、安全あんぜん保障ほしょうをアメリカに依存いぞんし、国防こくぼう費ひの分ぶんを経済けいざい政策せいさくに当あてる軽けい武装ぶそう路線ろせんを基盤きばんとした政策せいさくが採とられることになった。「護憲ごけんと反たん安保あんぽ」を掲かかげる日本にっぽん社会党しゃかいとうにとっては、対抗たいこう相手あいての陰かげが薄うすくなることにつながった。60年ねん安保あんぽ闘争とうそうの時代じだいに行おこなわれた1960年ねんの第だい29回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでも、社会党しゃかいとうは微増びぞうに留とどまった。

国民こくみんも「安保あんぽ」体制たいせいを受うけ入いれ始はじめた1960年代ねんだいにあって、日本にっぽん社会党しゃかいとうはイタリア共産党きょうさんとうに端はしを発はっする構造こうぞう改革かいかく論ろんを導入どうにゅうし対応たいおうしようとしたが、議会ぎかい政治せいじより社会しゃかい主義しゅぎ革命かくめいを優先ゆうせんする左派さはによって葬ほうむられ、構改派はは社会しゃかい民主みんしゅ連合れんごうを結成けっせいして離脱りだつした。その後ごは左派さは主導しゅどうの下した、「護憲ごけんと反はん安保あんぽ、国鉄こくてつ解体かいたい阻止そし」にこだわり続つづけることで支持しじ基盤きばんを失うしなっていった。

日本にっぽん社会党しゃかいとうは支持しじ基盤きばんを労働ろうどう組合くみあいに絞しぼるようになり、1960年代ねんだい末まつ以降いこう、総そう選挙せんきょのたびに公認こうにん候補者こうほしゃを減へらす消極しょうきょく策さくを取とるようになった。こうして日本にっぽん社会党しゃかいとうは政権せいけん獲得かくとくの意欲いよくを失うしない、選挙せんきょのたびごとに勢力せいりょくを衰退すいたいさせ「長期ちょうき低落ていらく傾向けいこう」と呼よばれるようになる。野党やとう勢力せいりょくは社会党しゃかいとう・民社党みんしゃとう・公明党こうめいとう・日本にっぽん共産党きょうさんとうの群雄割拠ぐんゆうかっきょとなり、一いち党とうで自由民主党じゆうみんしゅとうに対抗たいこう出来できる政党せいとうは皆無かいむとなった。こうして1975年ねん（昭和しょうわ50年ねん）に成立せいりつした構図こうずは「75年ねん体制たいせい」とも呼よばれる。

社会党しゃかいとうの存在そんざいは自民党じみんとうにとっても好都合こうつごうであった。自民党じみんとうは米国べいこくから過度かどの要求ようきゅうがあれば、社会党しゃかいとう主導しゅどうの国民こくみん運動うんどうを見みせつけて米国べいこくを牽制けんせいした。

自由民主党じゆうみんしゅとうの初はつの単独たんどく過半数かはんすう失墜しっつい以降いこう

自由民主党じゆうみんしゅとうは議席ぎせき数すうで漸減ぜんげん傾向けいこうを示しめしつつも第だい1党とう・政権せいけん与党よとうの座ざは維持いじし続つづけたが、長期ちょうき政権せいけん下かで汚職おしょくが続発ぞくはつし、田中たなか角栄かくえいがロッキード事件じけんで逮捕たいほされるに至いたって、政治せいじ不信ふしんを招まねき始はじめた。自由民主党じゆうみんしゅとう自体じたいが混乱こんらんしていき、1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）の総そう選挙せんきょでは自民党じみんとうが結党けっとう以来いらい初はじめて単独たんどく過半数かはんすうを失うしない、新自由しんじゆうクラブと連立れんりつ政権せいけんを組くむまで追おい込こまれた。しかし、1986年ねん（昭和しょうわ61年ねん）の総そう選挙せんきょで自民党じみんとうが勝利しょうりし、再ふたたび自民党じみんとう単独たんどく過半数かはんすう獲得かくとくするなど党勢とうせいは一時いちじ的てきに回復かいふくした。また新自由しんじゆうクラブの存在そんざいは結果けっか的てきに反はん自民じみん票ひょうが革新かくしん陣営じんえいに流ながれることを阻止そしし、自民党じみんとうを救すくっていたとも考かんがえられる。

しかし、1988年ねん（昭和しょうわ63年ねん）の「リクルート事件じけん」、1992年ねん（平成へいせい4年ねん）の「東京とうきょう佐川急便さがわきゅうびん事件じけん」、「金丸かねまる事件じけん」など「政治せいじとカネ」問題もんだいより、国民こくみんの政治せいじ不信ふしんが頂点ちょうてんに達たっする。

冷戦崩壊れいせんほうかいによる保革ほかく対立たいりつの低下ていか・55年ねん体制たいせいの崩壊ほうかい

55年ねん体制たいせいはジャパン・アズ・ナンバーワンと呼よばれた世界せかいトップクラスの経済けいざい大国たいこくを作つくり、竹下たけした登のぼるは「日本にっぽんの長寿ちょうじゅは世界一せかいいち、格差かくさがないのも世界一せかいいち、それが世界一せかいいちの金貸かねかし国こくになった」と演説えんぜつした。しかし、1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）から1992年ねん（平成へいせい4年ねん）にかけての世界せかい規模きぼでの冷戦れいせん体制たいせいの崩壊ほうかいと並行へいこうして、バブル崩壊ほうかいも重かさなり、なおやまない政治せいじ不信ふしんが自由民主党じゆうみんしゅとうの支持しじを低落ていらくさせた。1980年代ねんだい後半こうはんからテレビ朝日てれびあさひの『ニュースステーション』『朝あさまで生なまテレビ!』『サンデープロジェクト』『ビートたけしのTVタックル』といった報道ほうどう・政治せいじバラエティ番組ばんぐみが人気にんきを得えていったこともそれを後押あとおしした（これは後のちに椿つばき事件じけんとして問題もんだい化かした）。

自由民主党じゆうみんしゅとう不信ふしんに日本にっぽん社会党しゃかいとうも歩調ほちょうを合あわせるかのように議席ぎせきを減へらし、1980年代ねんだい後半こうはんに土井どいブームなどにより一時いちじ的てきに回復かいふくした勢力せいりょくも、やがて長期ちょうき低落ていらく傾向けいこうに復ふくする。自由民主党じゆうみんしゅとうの失墜しっついと、それに取とって代かわる実力じつりょくを持もたない日本にっぽん社会党しゃかいとうの不振ふしんは、体制たいせいへの不満ふまんと無力むりょく感かんを著いちじるしく高たかめ、無党派むとうは層そう、そして政治せいじそのものへの無む関心かんしん層そうの増大ぞうだいを生うんだ。

米国べいこくも冷戦れいせん後ごの敵てきを「ロシア、中国ちゅうごく、日本にっぽん、ドイツ」と位置いちづけ、日本にっぽんに対たいし米べいソ冷戦れいせん時代じだいの軽けい武装ぶそう・工業こうぎょう国こく路線ろせんからの転換てんかんを迫せまった。

これに対たいし海部かいふ内閣ないかく・宮澤みやざわ内閣ないかくが政治せいじ改革かいかく関連かんれん法案ほうあんを提出ていしゅつするが、いずれも最終さいしゅう的てきに廃案はいあんとなった。そして宮澤みやざわ内閣ないかくの政治せいじ改革かいかく関連かんれん法案ほうあんの廃案はいあんに反発はんぱつした自由民主党じゆうみんしゅとう議員ぎいんが大量たいりょうに離党りとう、羽田はた孜つとむ・小沢おざわ一郎いちろうらによる新生党しんせいとうや、武村たけむら正義まさよしらによる新党しんとうさきがけが結党けっとうされるに至いたった（新党しんとうブーム）。

その結果けっか政界せいかい再編さいへんの機運きうんが生うまれ、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつによる衆議院しゅうぎいん解散かいさん（嘘うそつき解散かいさん）を受うけた1993年ねん（平成へいせい5年ねん）の総そう選挙せんきょで自由民主党じゆうみんしゅとう離党りとう者しゃによる新生党しんせいとう、新党しんとうさきがけ、細川ほそかわ護まもる熙率ひきいる日本新党にほんしんとうが躍進やくしんし、自由民主党じゆうみんしゅとうは大幅おおはばに過半数かはんすうを割わり込こむ結果けっかとなった。また、日本にっぽん社会党しゃかいとうも惨敗ざんぱいした。

総そう選挙せんきょ前まえに連立れんりつ協議きょうぎをしていた新生党しんせいとう、日本にっぽん社会党しゃかいとう、公明党こうめいとう、民社党みんしゃとう、社会しゃかい民主みんしゅ連合れんごうは、日本新党にほんしんとうの細川ほそかわを首相しゅしょうとすることで合意ごういし、自由民主党じゆうみんしゅとうとの連携れんけいを模索もさくしていた日本新党にほんしんとう、新党しんとうさきがけがこれを受諾じゅだくし、1993年ねん（平成へいせい5年ねん）8月がつ9日にちに細川ほそかわ内閣ないかくが成立せいりつし自由民主党じゆうみんしゅとうは初はじめて野党やとうに移行いこうした。これをもって、38年間ねんかんにわたって続つづいた55年ねん体制たいせいは崩壊ほうかいした。

ただし、55年ねん体制たいせいの定義ていぎの差さにより、体制たいせい終了しゅうりょうの時期じきには他たに諸説しょせつもある。一般いっぱん的てきには上記じょうきの細川ほそかわ政権せいけんが発足ほっそくした1993年ねん8月がつ9日にちをもって崩壊ほうかいとするが、自民党じみんとうと社会党しゃかいとうが連立れんりつして自社じしゃさ連立れんりつ政権せいけんが発足ほっそくした1994年ねん（平成へいせい6年ねん）6月がつ、衆議院しゅうぎいん第だい二に党とうが社会党しゃかいとうに代かわり新進党しんしんとうとなった1994年ねん12月も挙あげられることがある。いずれにせよこの時期じき（1993年ねん - 1994年ねん）以降いこう、戦後せんご長ながらく続つづいてきた政治せいじ体制たいせいは変化へんかしていった。

関連かんれん項目こうもく

• 自公民じこうみん路線ろせん
• 社しゃ公民こうみん路線ろせん
• 一いち党とう優位ゆうい政党せいとう制せい
• 二に大だい政党せいとう制せい#日本にっぽんにおける二に大だい政党せいとう
• 包括ほうかつ政党せいとう/国民こくみん政党せいとう
• 細川ほそかわ内閣ないかく - 55体制たいせい成立せいりつ後ご初はつの非ひ自民党じみんとう政権せいけん
• 小しょう選挙せんきょ区く比例ひれい代表だいひょう並立へいりつ制せい - 55年ねん体制たいせいの背景はいけいの一ひとつであった中なか選挙せんきょ区く制せいを廃止はいしし、導入どうにゅうされた。

外部がいぶリンク

• 『55年ねん体制たいせい』 - コトバンク