第 だい 24次 じ 西成 にしなり 暴動 ぼうどう で出動 しゅつどう した大阪 おおさか 府 ふ 警察 けいさつ 機動 きどう 隊 たい (2008年 ねん )
ギリシャ 沖 おき でのシリア とイラク の難民 なんみん (2016年 ねん )
現代 げんだい において確固 かっこ とした安全 あんぜん 保障 ほしょう の定義 ていぎ は存在 そんざい せず、そのことは多 おお くの専門 せんもん 家 か によって指摘 してき されてきた。
安全 あんぜん 保障 ほしょう は古代 こだい ローマにおいて精神 せいしん 的 てき な心 しん の平穏 へいおん を意味 いみ するSecuritasを語源 ごげん とし、英語 えいご ではSecurityやフランス語 ふらんすご ではSécurité、ドイツ語 ご ではSicherheit、イタリア語 ご ではSicurezza、スペイン語 ご ではSeguridadと表記 ひょうき され、こうした欧州 おうしゅう の概念 がいねん を日本 にっぽん などが輸入 ゆにゅう した結果 けっか 、漢字 かんじ 表記 ひょうき としての安全 あんぜん 保障 ほしょう という概念 がいねん が成立 せいりつ することとなった。古代 こだい ローマにおけるsecuritasという概念 がいねん はストア哲学 てつがく の基本 きほん 概念 がいねん のひとつであり、政治 せいじ 的 てき 社会 しゃかい 的 てき な意味 いみ を帯 お びた結果 けっか 、ロ ろ ーマ帝国 まていこく 時代 じだい における「ローマによる平和 へいわ 」即 すなわ ちパクス・ロマーナ (Pax Romana)という概念 がいねん に結 むす び付 つ けられるようになった。
伝統 でんとう 的 てき な安全 あんぜん 保障 ほしょう 概念 がいねん とは、軍事 ぐんじ 的 てき な意味 いみ での国家 こっか の平和 へいわ と独立 どくりつ 或 ある いは国家 こっか 間 あいだ の関係 かんけい の中 なか でとらえられてきたが、今日 きょう では人間 にんげん の安全 あんぜん 保障 ほしょう をはじめとして非 ひ 国家 こっか 的 てき ・非 ひ 軍事 ぐんじ 的 てき な概念 がいねん が派生 はせい しており、その概念 がいねん は時代 じだい によって変化 へんか し、また文脈 ぶんみゃく や使用 しよう 者 しゃ 、学派 がくは 、価値 かち 観 かん によってもその意味 いみ が異 こと なることがある。このため、正確 せいかく に安全 あんぜん 保障 ほしょう という概念 がいねん をとらえる上 うえ で、使用 しよう には注意 ちゅうい を要 よう する。
近 きん 現代 げんだい では理論 りろん 上 じょう 、安全 あんぜん 保障 ほしょう と防衛 ぼうえい は厳密 げんみつ に区別 くべつ される。安全 あんぜん 保障 ほしょう とは『脅威 きょうい が及 およ ばないようにすることで安全 あんぜん な状態 じょうたい を保障 ほしょう すること』を目的 もくてき としているのに対 たい し、防衛 ぼうえい は『及 およ んできた脅威 きょうい に対抗 たいこう し何 なん らかの強制 きょうせい 力 りょく によってそれを排除 はいじょ する』ことが目的 もくてき である。
以下 いか では、ここでは伝統 でんとう 的 てき 安全 あんぜん 保障 ほしょう をはじめ、新 あら たな安全 あんぜん 保障 ほしょう 概念 がいねん を含 ふく めて今日 きょう 、国際 こくさい 政治 せいじ 上 じょう 、論議 ろんぎ される代表 だいひょう 的 てき な安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん について解説 かいせつ する。
伝統 でんとう 的 てき 安全 あんぜん 保障 ほしょう とは国家 こっか の領土 りょうど や政治 せいじ 的 てき 独立 どくりつ 、外部 がいぶ からの脅威 きょうい を軍事 ぐんじ 的 てき 手段 しゅだん による牽制 けんせい によって守 まも ることを主眼 しゅがん においた、最 もっと も基本 きほん 的 てき な安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん である。国防 こくぼう がこれに該当 がいとう する。今日 きょう においても軍事 ぐんじ 力 りょく を用 もち いて国家 こっか の生存 せいぞん と独立 どくりつ 、国民 こくみん の財産 ざいさん 、安全 あんぜん を保証 ほしょう することは極 きわ めて重要 じゅうよう な国家 こっか の役割 やくわり の一 ひと つとされている。今日 きょう では国家 こっか 総 そう 力戦 りきせん と核兵器 かくへいき の登場 とうじょう により戦争 せんそう が割 わり に合 あ わないものになったため十分 じゅうぶん な抑止 よくし 力 りょく を整備 せいび すれば、先進 せんしん 国 こく 同士 どうし の戦争 せんそう は起 お きにくくなっている。
人間 にんげん の安全 あんぜん 保障 ほしょう とは国際 こくさい 社会 しゃかい の秩序 ちつじょ を人間 にんげん ・社会 しゃかい の延長 えんちょう として認識 にんしき し、国家 こっか よりもむしろその最小 さいしょう 構成 こうせい 単位 たんい である人間 にんげん に注目 ちゅうもく し、武力 ぶりょく 行使 こうし を防 ふせ ぐためのシステム を確立 かくりつ し、その基本 きほん 的 てき な人権 じんけん 、平等 びょうどう 、民主 みんしゅ 主義 しゅぎ の発展 はってん をグローバルな市民 しみん 社会 しゃかい の協力 きょうりょく によって目指 めざ し、平和 へいわ を創出 そうしゅつ するグローバリズム学派 がくは の安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん である。またエイズ や環境 かんきょう 問題 もんだい などを研究 けんきゅう 対象 たいしょう に含 ふく める場合 ばあい もあるため、非常 ひじょう にさまざまな要素 ようそ を包括 ほうかつ する概念 がいねん である。
総合 そうごう 安全 あんぜん 保障 ほしょう とは脅威 きょうい に対 たい する手段 しゅだん を軍事 ぐんじ 的 てき なものに限 かぎ らず、非 ひ 軍事 ぐんじ 的 てき なものも最大限 さいだいげん に取 と り入 い れ、同時 どうじ に対象 たいしょう となる脅威 きょうい も国外 こくがい だけでなく、国内 こくない や自然 しぜん の脅威 きょうい をも対象 たいしょう とする安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん である。1980年 ねん に内閣 ないかく 総理 そうり 大臣 だいじん ・大平 おおひら 正芳 まさよし の総合 そうごう 安全 あんぜん 保障 ほしょう 問題 もんだい 研究 けんきゅう の政策 せいさく 研究 けんきゅう 会 かい 報告 ほうこく 書 しょ において理論 りろん 化 か された。
集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう とは国家 こっか 連合 れんごう において、正当 せいとう 性 せい のない一方 いっぽう 的 てき な軍事 ぐんじ 力 りょく の行使 こうし を原則 げんそく 禁止 きんし し、またその原則 げんそく に違反 いはん して武力 ぶりょく 行使 こうし に至 いた った国家 こっか に対 たい しては構成 こうせい 諸国 しょこく が連合 れんごう して軍事 ぐんじ 的 てき 手段 しゅだん も含 ふく む集団 しゅうだん 的 てき 制裁 せいさい をかける安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん である。国際 こくさい 連盟 れんめい において初 はじ めて採用 さいよう され、現在 げんざい では国際 こくさい 連合 れんごう がこの集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう を機能 きのう させる国際 こくさい 機関 きかん であるが、いまだ実現 じつげん しておらず、国連 こくれん 憲章 けんしょう に定 さだ められた体制 たいせい は整 ととの っていない。
戦争 せんそう 回避 かいひ が共通 きょうつう の利益 りえき であるとの認識 にんしき に基 もと づいて、敵 てき とも協力 きょうりょく して戦争 せんそう 回避 かいひ を目指 めざ す安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん である。冷戦 れいせん 期 き 、ヨーロッパ において生 う まれた概念 がいねん であり、従来 じゅうらい の競争 きょうそう 的 てき ・対立 たいりつ 的 てき な安全 あんぜん 保障 ほしょう を否定 ひてい し、敵対 てきたい 勢力 せいりょく との相互 そうご 依存 いぞん 的 てき な協力 きょうりょく を重視 じゅうし する。この具体 ぐたい 例 れい として1975年 ねん の全欧 ぜんおう 安全 あんぜん 保障 ほしょう 協力 きょうりょく 会議 かいぎ (現在 げんざい の欧州 おうしゅう 安全 あんぜん 保障 ほしょう 協力 きょうりょく 機構 きこう )が挙 あ げられる。
敵 てき ・味方 みかた が流動的 りゅうどうてき な不安定 ふあんてい 地域 ちいき の国家 こっか が体制 たいせい に加 くわ わり、各国 かっこく の協調 きょうちょう 主義 しゅぎ 的 てき な外交 がいこう や貿易 ぼうえき によって危険 きけん や脅威 きょうい を制御 せいぎょ し、戦争 せんそう を抑止 よくし し、戦争 せんそう が勃発 ぼっぱつ した場合 ばあい もその拡大 かくだい を抑制 よくせい することを目的 もくてき とする安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん である。非 ひ 軍事 ぐんじ 的 てき な側面 そくめん が重視 じゅうし されているものの、体制 たいせい に潜在 せんざい 的 てき 適性 てきせい 国 こく を含 ふく めてその地域 ちいき の全 すべ ての主要 しゅよう 国 こく が参加 さんか する必要 ひつよう があること、さらに潜在 せんざい 的 てき 適性 てきせい 国 こく を含 ふく めて域内 いきない の全 ぜん 主要 しゅよう 国 こく が共同 きょうどう 行動 こうどう に参加 さんか する意思 いし を持 も つこと、また顕在 けんざい 的 てき 敵性 てきせい 国 こく が体制 たいせい 内 ない に存在 そんざい しないことなどが体制 たいせい が機能 きのう する前提 ぜんてい 条件 じょうけん となる。
以上 いじょう から分 わ かるように、安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん は時代 じだい 、世界 せかい 観 かん 、思想 しそう 、政策 せいさく などによって変化 へんか しているため、注意 ちゅうい が必要 ひつよう な包括 ほうかつ 的 てき な概念 がいねん であることが分 わ かる。
古来 こらい から人類 じんるい にとって生存 せいぞん は最 さい 重要 じゅうよう 課題 かだい であり、そのために歴史 れきし 上 じょう の為政者 いせいしゃ たちは自国 じこく の安全 あんぜん を確保 かくほ するために多大 ただい な労力 ろうりょく を費 つい やしてきた。
19世紀 せいき までの国際 こくさい 社会 しゃかい においては、対立 たいりつ する国家 こっか (同盟 どうめい )間 あいだ の力 ちから の均衡 きんこう によって秩序 ちつじょ が安定 あんてい するという国際 こくさい 社会 しゃかい において、軍事 ぐんじ 力 りょく の造成 ぞうせい と同盟 どうめい の強化 きょうか によってのみ自国 じこく の安全 あんぜん を保障 ほしょう するという個別 こべつ 安全 あんぜん 保障 ほしょう の考 かんが え方 かた が支配 しはい 的 てき であった。故 ゆえ に当時 とうじ の安全 あんぜん 保障 ほしょう の研究 けんきゅう 領域 りょういき は、国家 こっか の外交 がいこう 政策 せいさく や軍事 ぐんじ 政策 せいさく などにとどまっていた。
しかし、この個別 こべつ 安全 あんぜん 保障 ほしょう のもとでは、対立 たいりつ する国家 こっか 間 あいだ の軍拡 ぐんかく 競争 きょうそう が発生 はっせい し、対立 たいりつ する国家 こっか 間 あいだ の緊張 きんちょう ・不信 ふしん 感 かん をいたずらに高 たか めて戦争 せんそう のリスクを高 たか めることとなる。また小規模 しょうきぼ な紛争 ふんそう が世界 せかい 戦争 せんそう へと拡大 かくだい する可能 かのう 性 せい も高 たか めることとなる。第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん は、個別 こべつ 安全 あんぜん 保障 ほしょう の危 あや うさを示 しめ した最初 さいしょ の世界 せかい 戦争 せんそう である。
そこで、この第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご には、集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう の考 かんが え方 かた に基 もと づく国際 こくさい 連盟 れんめい が設立 せつりつ された。集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう とは、全 ぜん 世界 せかい 全 すべ ての国々 くにぐに が体制 たいせい に参加 さんか し、武力 ぶりょく 行使 こうし を原則 げんそく 禁止 きんし するとともに、これに違反 いはん した国家 こっか に対 たい しては構成 こうせい 諸国 しょこく が協力 きょうりょく して軍事 ぐんじ 力 りょく を含 ふく めて制裁 せいさい する安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい である。ただし集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう の制度 せいど は、全 すべ ての国々 くにぐに が参加 さんか することや、顕在 けんざい 的 てき な敵対 てきたい 国 こく が体制 たいせい 内 ない に存在 そんざい しないことが条件 じょうけん となると考 かんが えられている。これによって国際 こくさい 緊張 きんちょう は緩和 かんわ され、軍縮 ぐんしゅく の可能 かのう 性 せい もありうる。
しかし国際 こくさい 連盟 れんめい は権限 けんげん や体制 たいせい において欠陥 けっかん があり、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん の開始 かいし を防 ふせ ぎ得 え なかった。この歴史 れきし を踏 ふ まえ、設立 せつりつ された国際 こくさい 連合 れんごう は集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう のための体制 たいせい をいっそう整備 せいび 強化 きょうか した。しかし国連 こくれん は米 べい ソ対立 たいりつ によって当初 とうしょ 考 かんが えられていたように円滑 えんかつ に機能 きのう することができなかった。冷戦 れいせん に突入 とつにゅう してからも国連 こくれん も機能 きのう 不全 ふぜん が起 お こり、またアメリカ においてはソ連 それん との対立 たいりつ があったため、ソ連 それん に対 たい する軍事 ぐんじ 政策 せいさく の研究 けんきゅう を中心 ちゅうしん に行 い ったために、軍事 ぐんじ 理論 りろん が中心 ちゅうしん であった。
安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう の第 だい 一 いち 次 じ 沈黙 ちんもく 期 き
編集 へんしゅう
1960年代 ねんだい 後半 こうはん から1970年代 ねんだい 後半 こうはん にかけて安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう は沈黙 ちんもく した。この沈黙 ちんもく 期 き は、米 べい ソ緊張 きんちょう 緩和 かんわ 外交 がいこう の影響 えいきょう や特 とく に危機 きき 的 てき な紛争 ふんそう が起 お きなかったことの理由 りゆう が強 つよ い。なお、1970年代 ねんだい 以降 いこう の安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう 活発 かっぱつ 化 か は、米 べい ソ緊張 きんちょう 緩和 かんわ 外交 がいこう の有効 ゆうこう 性 せい が示 しめ されなくなったことの影響 えいきょう が強 つよ い。
安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう の第 だい 二 に 次 じ 沈黙 ちんもく 期 き
編集 へんしゅう
1991年 ねん 12月、ソ連 それん が崩壊 ほうかい したが、これを予見 よけん できた研究 けんきゅう 者 しゃ が居 い なかった。また崩壊 ほうかい が起 お きた後 のち もそれを説明 せつめい できる研究 けんきゅう 者 しゃ が居 い なかった。以後 いご 、国際 こくさい 政治 せいじ 学者 がくしゃ 、その中 なか でも安全 あんぜん 保障 ほしょう を研究 けんきゅう する人々 ひとびと は沈黙 ちんもく した。ソ連 それん 崩壊 ほうかい によって「安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう は死 し んだ」という意見 いけん すら出回 でまわ った。冷戦 れいせん 後 ご は国際 こくさい 的 てき な相互 そうご 依存 いぞん 関係 かんけい の強 つよ まりや、国際 こくさい 経済 けいざい の発展 はってん を背景 はいけい に、安全 あんぜん 保障 ほしょう は広 ひろ く政治 せいじ 的 てき 、経済 けいざい 的 てき 利益 りえき を、軍事 ぐんじ 的 てき 手段 しゅだん のみならず外交 がいこう 、経済 けいざい 力 りょく 、文化 ぶんか などをも用 もち いて守 まも ることを指 さ すようになった。
PFP協定 きょうてい と再 さい 保証 ほしょう 型 がた 安全 あんぜん 保障 ほしょう 制度 せいど
編集 へんしゅう
ソ連 それん の脅威 きょうい が無 な くなり、西欧 せいおう が所有 しょゆう する戦術 せんじゅつ 核 かく 7400発 はつ の多 おお くは不要 ふよう とされ、大 だい 部分 ぶぶん は廃棄 はいき となった。これにより NATO の性質 せいしつ の変化 へんか が求 もと められたが、NATO解体 かいたい はむしろ地域 ちいき 情勢 じょうせい を悪化 あっか させるとして存続 そんぞく されることになる。1994年 ねん 1月 がつ 、NATO拡大 かくだい とそれに強 つよ く反対 はんたい するロシア への妥協 だきょう 案 あん として PFP協定 きょうてい が提唱 ていしょう された。1997年 ねん 9月 がつ 、日米 にちべい 防衛 ぼうえい 協定 きょうてい の指針 ししん の改訂 かいてい 作業 さぎょう が行 おこな われ、日本 にっぽん の本土 ほんど 防衛 ぼうえい だけでなく「周辺 しゅうへん 事態 じたい 」(当時 とうじ )にも対応 たいおう することが決定 けってい される。この安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい を 再 さい 保証 ほしょう 型 がた (リアシュアランス型 がた )安全 あんぜん 保障 ほしょう 制度 せいど という。
国際 こくさい 安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい の理論 りろん
編集 へんしゅう
国際 こくさい 社会 しゃかい という視点 してん で、安定 あんてい 的 てき な世界 せかい 秩序 ちつじょ を維持 いじ する国際 こくさい 体制 たいせい に関 かん する理論 りろん も安全 あんぜん 保障 ほしょう において主要 しゅよう な課題 かだい である。ここでは代表 だいひょう 的 てき なモデルや理論 りろん を述 の べる。
国際 こくさい 秩序 ちつじょ は力 ちから の不 ふ 均衡 きんこう や、国際 こくさい 経済 けいざい の影響 えいきょう などによって安定 あんてい と不安定 ふあんてい の状態 じょうたい を歴史 れきし 上 じょう 長年 ながねん 行 い き来 き してきた。ここではその安定 あんてい した国際 こくさい 秩序 ちつじょ が維持 いじ されている国際 こくさい 関係 かんけい の定式 ていしき 化 か を行 おこな った理論 りろん について述 の べる。
単 たん 極 きょく 平和 へいわ 論 ろん
圧倒的 あっとうてき な力 ちから を持 も った大国 たいこく の存在 そんざい が世界 せかい を平和 へいわ にするという理論 りろん である。この平和 へいわ 論 ろん の多 おお くはパクス・アメリカーナ を意味 いみ するが、中 なか には世界 せかい 政府 せいふ 思想 しそう などもある。
双極 そうきょく 平和 へいわ 論 ろん
圧倒的 あっとうてき な力 ちから を持 も った2ヶ国 かこく (勢力 せいりょく )の存在 そんざい が、お互 たが いに拮抗 きっこう することで結果 けっか として世界 せかい を平和 へいわ にするという理論 りろん である。この平和 へいわ 論 ろん の多 おお くは米 べい ソ冷戦 れいせん 期 き を意味 いみ する。
多 た 極 きょく 平和 へいわ 論 ろん
複数 ふくすう 国 こく による均衡 きんこう 、拮抗 きっこう 状態 じょうたい により世界 せかい 秩序 ちつじょ を平和 へいわ に維持 いじ するという理論 りろん である。つまり、国連 こくれん などの国際 こくさい 機関 きかん を中心 ちゅうしん とした平和 へいわ 論 ろん を意味 いみ する。
民主 みんしゅ 的 てき 平和 へいわ 論 ろん
民主 みんしゅ 主義 しゅぎ に基 もと づいた政治 せいじ 体制 たいせい を採用 さいよう する国家 こっか 同士 どうし では戦争 せんそう に訴 うった える可能 かのう 性 せい が少 すく ないという学説 がくせつ である。主 おも にブルース・ラセット によって論 ろん じられており、民主 みんしゅ 主義 しゅぎ 国家 こっか が好戦 こうせん 的 てき でないとは限 かぎ らないが、歴史 れきし 的 てき な経験 けいけん 則 そく においては民主 みんしゅ 主義 しゅぎ 国家 こっか 同士 どうし が戦争 せんそう を行 おこな うことが比較 ひかく 的 てき に少 すく ない傾向 けいこう があるとされる。従 したが って世界中 せかいじゅう の国家 こっか の体制 たいせい を民主 みんしゅ 化 か することによって、世界 せかい の安全 あんぜん 保障 ほしょう は確保 かくほ することができるという考 かんが え方 かた の基礎 きそ となっている。相互 そうご に高度 こうど な民主 みんしゅ 体制 たいせい を構築 こうちく できれば、軍事 ぐんじ バランスとは関係 かんけい なく平和 へいわ 関係 かんけい が維持 いじ できるという点 てん で、他 た の安全 あんぜん 保障 ほしょう 論 ろん とは一線 いっせん を画 かく している。その発想 はっそう の源流 げんりゅう はカント の平和 へいわ 思想 しそう にあるといわれ、カント的 てき 国際 こくさい 主義 しゅぎ ともいわれる。しかしながら、なぜ民主 みんしゅ 主義 しゅぎ 体制 たいせい が国際 こくさい 関係 かんけい における戦争 せんそう を抑制 よくせい するのかについては議論 ぎろん の余地 よち がある。
覇権 はけん モデル(hegemony model)とは、ある地域 ちいき 内 ない で他 た の国々 くにぐに を圧倒 あっとう するだけの国力 こくりょく を持 も つ「覇権 はけん 国家 こっか 」が存在 そんざい し、それが周辺 しゅうへん 諸国 しょこく を主導 しゅどう 的 てき に指導 しどう する国際 こくさい 秩序 ちつじょ のモデルのひとつである。
この覇権 はけん モデルはさらに二 に 種類 しゅるい に区分 くぶん される。直接的 ちょくせつてき に軍事 ぐんじ 力 りょく などを用 もち いて諸 しょ 外国 がいこく を支配 しはい する「専制 せんせい 帝国 ていこく 」は周辺 しゅうへん 国 こく を属国 ぞっこく として扱 あつか い、属国 ぞっこく の反抗 はんこう があれば武力 ぶりょく で鎮圧 ちんあつ する。間接 かんせつ 的 てき に経済 けいざい 力 りょく などを用 もち いて諸 しょ 外国 がいこく を支配 しはい 的 てき に指導 しどう する「民主 みんしゅ 帝国 ていこく 」(別名 べつめい 「リベラル・エンパイア」もしくは「帝国 ていこく 的 てき 共和 きょうわ 国 こく 」)は、周辺 しゅうへん 諸国 しょこく の協力 きょうりょく を得 え ながら広 ひろ い地域 ちいき に利害 りがい が共通 きょうつう する安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい と、国際 こくさい 的 てき な経済 けいざい の枠組 わくぐ みを提供 ていきょう し、勢力 せいりょく 圏 けん の諸 しょ 外国 がいこく の安定 あんてい を目指 めざ す。
勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデル(balance of power model)とは、一 ひと つの勢力 せいりょく (国家 こっか 、国家 こっか 群 ぐん )が強大 きょうだい 化 か した場合 ばあい 、その他 た の国々 くにぐに は連合 れんごう 化 か や軍事 ぐんじ 力 りょく の強化 きょうか などによって、勢力 せいりょく を拮抗 きっこう しようとする現象 げんしょう のモデルである。
この勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルはさらに「二 に 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデル」と「多 た 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデル」がある。二 に 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルとは、二 ふた つの勢力 せいりょく のみが主 おも に勢力 せいりょく を均衡 きんこう させようとするものであり、冷戦 れいせん 期 き のアメリカ とソ連 それん の関係 かんけい がこれにあたると考 かんが えられているが、歴史 れきし 的 てき には稀 まれ な場合 ばあい である。多 た 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルは、複数 ふくすう 勢力 せいりょく が同時 どうじ に勢力 せいりょく を拡張 かくちょう し、均衡 きんこう させようとするものである。歴史 れきし 的 てき にはこの場合 ばあい が多 おお く、第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん や第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん はこのモデルに合致 がっち すると考 かんが えられている。
多 た 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルの発展 はってん モデルであり、いくつかの大国 たいこく が利害 りがい 関係 かんけい については相互 そうご に妥協 だきょう ・協調 きょうちょう し、処理 しょり して秩序 ちつじょ を維持 いじ するモデルである。1815年 ねん のウィーン会議 かいぎ 以降 いこう から第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん までの約 やく 1世紀 せいき の間 あいだ のヨーロッパ は基本 きほん 的 てき に多 た 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルであると考 かんが えられているが、同時 どうじ に大国 たいこく 間 あいだ 協調 きょうちょう モデルが並存 へいそん していた時代 じだい でもあるとされている。しかし、アフリカ 植民 しょくみん 地 ち 分割 ぶんかつ を議題 ぎだい とするベルリン会議 かいぎ でどうしても協調 きょうちょう できない問題 もんだい が顕在 けんざい 化 か してしまい、三 さん 国 こく 同盟 どうめい と三 さん 国 こく 協商 きょうしょう の国際 こくさい 関係 かんけい が成立 せいりつ した時点 じてん で多 た 極 きょく 型 がた 勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルへと逆行 ぎゃっこう していった。
集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう モデルとは特定 とくてい の体制 たいせい に国家 こっか が入 はい り、原則 げんそく 的 てき に武力 ぶりょく 行使 こうし を禁 きん じ、もし構成 こうせい 国 こく がこれを違反 いはん すればその他 た の構成 こうせい 国 こく が協調 きょうちょう して軍事 ぐんじ ・経済 けいざい などの手段 しゅだん によって制裁 せいさい を加 くわ える国際 こくさい 安全 あんぜん 保障 ほしょう モデルである。勢力 せいりょく 均衡 きんこう モデルによって世界 せかい 大戦 たいせん をもたらしたという反省 はんせい に基 もと づいて、このモデルが国際 こくさい 連合 れんごう という形 かたち で実現 じつげん 化 か されることとなった。ただし地域 ちいき 連合 れんごう においても、集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう モデルが採用 さいよう されている場合 ばあい があり、アメリカ州 しゅう 機構 きこう 、アフリカ統一機構 あふりかとういつきこう 、NATO 、ワルシャワ条約 じょうやく 機構 きこう が挙 あ げられ、地域 ちいき 集団 しゅうだん 防衛 ぼうえい 条約 じょうやく 機構 きこう と呼 よ ばれる。
陸上 りくじょう 自衛隊 じえいたい 特殊 とくしゅ 部隊 ぶたい 特殊 とくしゅ 作戦 さくせん 群 ぐん (SFGp)
現代 げんだい においても、安全 あんぜん 保障 ほしょう にとって軍事 ぐんじ は非常 ひじょう に根幹 こんかん 的 てき な存在 そんざい である。なぜなら安全 あんぜん 保障 ほしょう の本質 ほんしつ 的 てき な課題 かだい である国家 こっか の生存 せいぞん 、独立 どくりつ の保持 ほじ 、領土 りょうど の防衛 ぼうえい などは軍事 ぐんじ 力 りょく と今 いま なお深 ふか い関係 かんけい があるからである。
軍事 ぐんじ 力 りょく (military capability)とは国家 こっか がその政治 せいじ 的 てき 目的 もくてき 、国益 こくえき を達成 たっせい するために用 もち いる物理 ぶつり 的 てき な破壊 はかい 力 りょく 、支配 しはい 力 りょく 、強制 きょうせい 力 りょく であり、広義 こうぎ 的 てき 軍事 ぐんじ 力 りょく は軍隊 ぐんたい だけでなく、さまざまな国力 こくりょく によって構成 こうせい される。
安全 あんぜん 保障 ほしょう における軍事 ぐんじ 力 りょく の役割 やくわり は、強制 きょうせい 、抵抗 ていこう 、抑止 よくし それぞれの機能 きのう を対外 たいがい 的 てき に示 しめ し、攻撃 こうげき に対 たい し予期 よき される損害 そんがい や攻撃 こうげき の戦略 せんりゃく ・戦術 せんじゅつ 上 じょう の困難 こんなん さを意識 いしき させることである。
トライデント I ミサイルとその再 さい 突入 とつにゅう 体 たい
大量 たいりょう 破壊 はかい 兵器 へいき 、特 とく に核兵器 かくへいき は安全 あんぜん 保障 ほしょう が特 とく に注目 ちゅうもく するテーマのひとつである。ここでは核 かく 戦略 せんりゃく に関 かん する理論 りろん などについて述 の べる。
冷戦 れいせん 期 き における米 べい ソ対立 たいりつ 中 ちゅう にアメリカにて発展 はってん した核 かく 抑止 よくし には以下 いか の種類 しゅるい がある。
存在 そんざい 的 てき 抑止 よくし (実存 じつぞん 的 てき 抑止 よくし )
核兵器 かくへいき の場合 ばあい 、数 すう 発 はつ で国家 こっか を消滅 しょうめつ させるほどの威力 いりょく を持 も つ、よって核 かく が存在 そんざい するというだけで国家 こっか 指導 しどう 者 しゃ 、為政者 いせいしゃ の考 かんが え方 かた や政策 せいさく 方針 ほうしん に関係 かんけい 無 な く抑制 よくせい 機能 きのう (抑止 よくし 力 りょく )が働 はたら くという考 かんが え
戦略 せんりゃく 的 てき 抑止 よくし
核兵器 かくへいき であっても、存在 そんざい だけに頼 たよ るのでなく危機 きき の場合 ばあい にはちゃんと機能 きのう させて初 はじ めて抑止 よくし 力 りょく が生 う まれるという考 かんが え
懲罰 ちょうばつ 的 てき 抑止 よくし
ソ連 それん が侵略 しんりゃく 行為 こうい に踏 ふ み切 き れば、ソ連 それん の都市 とし や工業 こうぎょう 地帯 ちたい に懲罰 ちょうばつ ・攻撃 こうげき 的 てき 報復 ほうふく を加 くわ えて抑止 よくし 力 りょく を持 も たせるという考 かんが え
拒否 きょひ 的 てき 抑止 よくし
ソ連 それん の政治 せいじ 的 てき ・軍事 ぐんじ 的 てき な目的 もくてき の達成 たっせい を拒否 きょひ し、あるいは目的 もくてき 達成 たっせい のためのコストが高 たか 過 す ぎることを認知 にんち させ抑止 よくし 力 りょく を持 も たせるという考 かんが え
敵対 てきたい 国家 こっか (または潜在 せんざい 的 てき 敵性 てきせい 国家 こっか )に対 たい する抑止 よくし 戦略 せんりゃく 。
演繹 えんえき 法的 ほうてき 抑止 よくし 戦略 せんりゃく モデル
演繹 えんえき 法的 ほうてき に抑止 よくし 戦略 せんりゃく を立 た てることをいう、1970年代 ねんだい まではこの考 かんが え方 かた が中心 ちゅうしん であった
帰納 きのう 法的 ほうてき 抑止 よくし 戦略 せんりゃく モデル
帰納 きのう 法的 ほうてき に抑止 よくし 戦略 せんりゃく を立 た てることをいう、1970年代 ねんだい からはこの考 かんが え方 かた が中心 ちゅうしん となる
演繹 えんえき 法的 ほうてき 抑止 よくし 戦略 せんりゃく モデル批判 ひはん
編集 へんしゅう
アレキサンダー・ジョージ は 核 かく 抑止 よくし 、地域 ちいき 紛争 ふんそう 、危機 きき の抑止 よくし の三 みっ つの抑止 よくし の内 うち 、核 かく 抑止 よくし 以外 いがい は変動 へんどう 要素 ようそ (目的 もくてき 、手段 しゅだん 、選択肢 せんたくし 、事態 じたい の悪循環 あくじゅんかん の可能 かのう 性 せい )が多 おお く、単純 たんじゅん な損得 そんとく 勘定 かんじょう では戦争 せんそう 勃発 ぼっぱつ を説明 せつめい できないと批判 ひはん した。これ以降 いこう 、帰納 きのう 法的 ほうてき 抑止 よくし 戦略 せんりゃく モデルの考 かんが え方 かた が主流 しゅりゅう となる。例 たと えば旧 きゅう 日本 にっぽん 軍 ぐん の南下 なんか 政策 せいさく や真珠湾 しんじゅわん 攻撃 こうげき は演繹 えんえき 法的 ほうてき 抑止 よくし 戦略 せんりゃく モデルによる単純 たんじゅん な利害 りがい 論 ろん では説明 せつめい できない。
安全 あんぜん 保障 ほしょう は時 とき に「いかに敵 てき を攻 せ めるか」「いかに敵 てき に被害 ひがい を与 あた えるか」 という事 こと を考 かんが えて、逆説 ぎゃくせつ 的 てき に「いかに平和 へいわ を保 たも つか」 を探 さぐ る手段 しゅだん を用 もち いる。有名 ゆうめい な考 かんが え方 かた は核兵器 かくへいき の「相互 そうご 確証 かくしょう 破壊 はかい 」(mutually assured destruction、MAD)である。
1965年 ねん にソ連 それん が抑止 よくし 力 りょく としての核兵器 かくへいき から、攻撃 こうげき としての核兵器 かくへいき に性質 せいしつ を変化 へんか させ、アメリカを攻撃 こうげき した場合 ばあい に、アメリカは核 かく による報復 ほうふく 攻撃 こうげき を行 おこな いソ連 それん の人口 じんこう の25%、工業 こうぎょう 力 りょく の50%を破壊 はかい するという考 かんが え方 かた である。しかし、この考 かんが え方 かた が出 で てくるとソ連 それん では対 たい 米 べい 確証 かくしょう 破壊 はかい 力 りょく の強化 きょうか が打 う ち出 だ され、ソ連 それん のGNP15%を軍備 ぐんび に投資 とうし するという大 だい 軍拡 ぐんかく を行 おこな った。
この間 あいだ 、米 べい ソ両国 りょうこく の間 あいだ で核 かく 戦争 せんそう が起 お きなかったことから「相互 そうご 確証 かくしょう 破壊 はかい 論 ろん 」は有効 ゆうこう であったとの考 かんが え方 かた が一時期 いちじき 主流 しゅりゅう になったが、相互 そうご 確証 かくしょう 破壊 はかい 論 ろん による核 かく 抑止 よくし は結果 けっか として過剰 かじょう な軍拡 ぐんかく を引 ひ き起 お こしたため、その抑止 よくし のための軍備 ぐんび 管理 かんり として SALT が行 おこな われ、特 とく に米 べい ソ両国 りょうこく の間 あいだ で軍縮 ぐんしゅく が進 すす んだ。
これを教訓 きょうくん に核 かく による報復 ほうふく 攻撃 こうげき が果 は たして本当 ほんとう に価値 かち があるのか、という対 たい 価値 かち 攻撃 こうげき 戦略 せんりゃく (counter value strategy)の考 かんが え方 かた が浮上 ふじょう した。1971年 ねん には核 かく 戦略 せんりゃく は選択 せんたく 的 てき に活用 かつよう すべき、との考 かんが え方 かた が広 ひろ がり「相互 そうご 確証 かくしょう 破壊 はかい 論 ろん 」の「全面 ぜんめん 報復 ほうふく 」の考 かんが え方 かた は後退 こうたい した。1974年 ねん に、柔軟 じゅうなん 目標 もくひょう 設定 せってい が発表 はっぴょう され、兵器 へいき の命中 めいちゅう 精度 せいど が高 たか い(高 たか くする)という前提 ぜんてい で、敵対 てきたい 国 こく からの攻撃 こうげき に報復 ほうふく の段階 だんかい を持 も たせた。
軍縮 ぐんしゅく (arms reduction、disarmament)とは戦争 せんそう のリスクを抑制 よくせい することを目的 もくてき として軍備 ぐんび を縮小 しゅくしょう していくプロセスを指 さ す。軍備 ぐんび 管理 かんり (arms control)とは軍備 ぐんび に関 かん する政策 せいさく に課 か せられる抑制 よくせい 措置 そち を指 さ す。近年 きんねん では軍備 ぐんび 管理 かんり という方 ほう が主流 しゅりゅう になりつつある。
1952年 ねん のアメリカ国家 こっか 安全 あんぜん 保障 ほしょう 局 きょく 。11月4日 にち に結成 けっせい されたインテリジェンス・コミュニティー (情報 じょうほう 機関 きかん 共同 きょうどう 体 たい )の中核 ちゅうかく 組織 そしき のひとつである。
安全 あんぜん 保障 ほしょう は冷戦 れいせん 後 ご 、非 ひ 軍事 ぐんじ 的 てき な側面 そくめん に対 たい する関心 かんしん の高 たか まりから経済 けいざい 、資源 しげん 、環境 かんきょう などの分野 ぶんや にも研究 けんきゅう 領域 りょういき を拡大 かくだい した。
非 ひ 軍事 ぐんじ 的 てき 側面 そくめん に関 かん する議論 ぎろん
編集 へんしゅう
ただし、安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん をどこまで拡大 かくだい するかについては、「何 なに にでも安全 あんぜん 保障 ほしょう の概念 がいねん が適応 てきおう できるのか」という議論 ぎろん が残 のこ っている。例 たと えば環境 かんきょう 問題 もんだい を安全 あんぜん 保障 ほしょう の観点 かんてん から研究 けんきゅう する場合 ばあい 、その「安全 あんぜん を保障 ほしょう する対象 たいしょう 」は、国家 こっか なのか、特定 とくてい の地域 ちいき なのか、地球 ちきゅう 全体 ぜんたい なのか、もし地球 ちきゅう 全体 ぜんたい を守 まも る対象 たいしょう とする問題 もんだい だとするならば、それは普通 ふつう の「環境 かんきょう 問題 もんだい 」であるのではないか、などの議論 ぎろん がある。
また、国政 こくせい においては安全 あんぜん 保障 ほしょう も政争 せいそう の具 ぐ であり、あらゆる事象 じしょう 、事柄 ことがら を安全 あんぜん 保障 ほしょう に結 むす びつけることで危機 きき 感 かん を煽 あお り自 みずか らの権力 けんりょく 拡大 かくだい に役立 やくだ てる政治 せいじ 手法 しゅほう が用 もち いられる場合 ばあい がある。しかし、全 すべ てを安全 あんぜん 保障 ほしょう に絡 から めてしまうと、必要 ひつよう 以上 いじょう の危機 きき 感 かん や不安 ふあん 感 かん を多 おお くの人々 ひとびと に与 あた えてしまう場合 ばあい がある。また、本来 ほんらい は対話 たいわ などの平和 へいわ 的 てき 解決 かいけつ も安全 あんぜん 保障 ほしょう に含 ふく まれているにもかかわらず、安全 あんぜん 保障 ほしょう に偏 かたよ った外交 がいこう 方針 ほうしん を敷 し くと外交 がいこう が硬直 こうちょく 化 か し、非 ひ 妥協 だきょう 、非 ひ 協力 きょうりょく 的 てき な国家 こっか として孤立 こりつ に結 むす びつく可能 かのう 性 せい がある。同時 どうじ に、集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう を敷 し く国家 こっか においては同盟 どうめい 国 こく への必要 ひつよう 以上 いじょう の譲歩 じょうほ に結 むす びつき国益 こくえき を損 そこ なう可能 かのう 性 せい もある。それは本来 ほんらい 安全 あんぜん 保障 ほしょう が目的 もくてき とする「国家 こっか や人々 ひとびと の安全 あんぜん な状態 じょうたい を保 たも つ」とはいえず、安全 あんぜん 保障 ほしょう が「国家 こっか を危険 きけん な状態 じょうたい に追 お い込 こ み、人々 ひとびと に不安 ふあん な状態 じょうたい を呼 よ び込 こ む」といった事態 じたい が生 しょう じてしまう。
経済 けいざい 安全 あんぜん 保障 ほしょう の目的 もくてき はその国家 こっか の経済 けいざい 、国民 こくみん の経済 けいざい 生活 せいかつ を維持 いじ 、改善 かいぜん することにある。経済 けいざい とは国家 こっか に住 す む人間 にんげん の生活 せいかつ そのものである。故 ゆえ に経済 けいざい 力 りょく は極 きわ めて重要 じゅうよう な国力 こくりょく であり、また国際 こくさい 経済 けいざい における競争 きょうそう 力 りょく を維持 いじ し、経済 けいざい 的 てき 自立 じりつ を達成 たっせい することは国家 こっか 存続 そんぞく に直接 ちょくせつ 関 かか わることであるといえる。
経済 けいざい における安全 あんぜん を定義 ていぎ することは軍事 ぐんじ における安全 あんぜん とその性質 せいしつ が本質 ほんしつ 的 てき に異 こと なっているため難 むずか しい。市場 いちば 経済 けいざい は本質 ほんしつ 的 てき に不安定 ふあんてい 性 せい を内在 ないざい するものであり、保護 ほご 主義 しゅぎ 的 てき な関税 かんぜい を設定 せってい するなどの手段 しゅだん で市場 いちば に過剰 かじょう に介入 かいにゅう することは国内 こくない 産業 さんぎょう の競争 きょうそう 力 りょく を低下 ていか させる恐 おそ れがある。また市場 いちば を制御 せいぎょ するために市場 いちば の独占 どくせん が必要 ひつよう になるが、それは市場 いちば 経済 けいざい の原理 げんり そのものに反 はん する行為 こうい である。国外 こくがい からの直接 ちょくせつ 投資 とうし や輸入 ゆにゅう などを断絶 だんぜつ して自給自足 じきゅうじそく を目指 めざ すことも近年 きんねん の経済 けいざい の相互 そうご 依存 いぞん 関係 かんけい が進 すす んでいるため、不可能 ふかのう に近 ちか い。故 ゆえ に経済 けいざい 安全 あんぜん 保障 ほしょう 政策 せいさく を行 おこな う場合 ばあい はこのような経済 けいざい の特性 とくせい や市場 いちば の原理 げんり を十分 じゅうぶん に把握 はあく して実行 じっこう することが極 きわ めて重要 じゅうよう である。
アメリカ 通商 つうしょう 拡大 かくだい 法 ほう 第 だい 232条 じょう には、安全 あんぜん 保障 ほしょう を理由 りゆう に輸入 ゆにゅう 制限 せいげん を行 おこな うことができる規定 きてい が定 さだ められており、2018年 ねん 3月23日 にち 以降 いこう 、アメリカに輸入 ゆにゅう される鉄鋼 てっこう ・アルミニウム 製品 せいひん に対 たい して追加 ついか 関税 かんぜい 措置 そち が行 おこな われた[2] 。
資源 しげん ・エネルギー は経済 けいざい 活動 かつどう を行 おこな い、資本 しほん の価値 かち を増殖 ぞうしょく させていくのに欠 か かせない国力 こくりょく の前提 ぜんてい 的 てき 存在 そんざい である。歴史 れきし 的 てき に見 み ても、資源 しげん 地域 ちいき を巡 めぐ る領土 りょうど 紛争 ふんそう は非常 ひじょう に多 おお い。戦略 せんりゃく 的 てき に重要 じゅうよう な資源 しげん ・エネルギーとしては、鉄 てつ 、アルミ 、クロム 、コバルト 、プラチナ 、石炭 せきたん 、石油 せきゆ 、天然 てんねん ガス などが挙 あ げられ、これらは近年 きんねん の科学 かがく 技術 ぎじゅつ 、工業 こうぎょう の発展 はってん 、大量 たいりょう 消費 しょうひ 社会 しゃかい の拡大 かくだい から重要 じゅうよう な価値 かち を持 も つようになっている。
資源 しげん の安全 あんぜん 保障 ほしょう に対 たい する脅威 きょうい には、禁輸 きんゆ 措置 そち 、供給 きょうきゅう 量 りょう の削減 さくげん による価格 かかく 吊 つ り上 あ げなどがある。代表 だいひょう 例 れい として1973年 ねん のOPEC の原油 げんゆ 価格 かかく 引 ひ き上 あ げが挙 あ げられる。また自然 しぜん 災害 さいがい や戦争 せんそう などによる供給 きょうきゅう システムの停止 ていし という脅威 きょうい も考 かんが えられる。第 だい 二 に 次 じ オイルショック はイラン革命 かくめい が主 おも な要因 よういん となって引 ひ き起 お こされた。
資源 しげん の安全 あんぜん 保障 ほしょう の手段 しゅだん として、天然 てんねん 資源 しげん の自給自足 じきゅうじそく の準備 じゅんび や国内 こくない における消費 しょうひ の抑制 よくせい などの脅威 きょうい の発生 はっせい を防止 ぼうし する方法 ほうほう 、さらに緊急 きんきゅう 事態 じたい に備 そな えた備蓄 びちく 、危機 きき 発生 はっせい における対策 たいさく 準備 じゅんび などの脅威 きょうい による被害 ひがい の最小 さいしょう 化 か を試 こころ みる方法 ほうほう がある。しかし、これらは大 おお きな費用 ひよう を伴 ともな う措置 そち であるため、慎重 しんちょう に検討 けんとう しなければいけない。
現代 げんだい の大量 たいりょう 生産 せいさん ・大量 たいりょう 消費 しょうひ の経済 けいざい 活動 かつどう と世界 せかい 的 てき な人口 じんこう 増加 ぞうか などが自然 しぜん 環境 かんきょう に大 おお きな影響 えいきょう を及 およ ぼしている。環境 かんきょう の安全 あんぜん 保障 ほしょう はこうした自然 しぜん 環境 かんきょう への影響 えいきょう が人間 にんげん の生存 せいぞん 地 ち に深刻 しんこく な悪影響 あくえいきょう を及 およ ぼすことがないように試 こころ みることにある。
あらゆる環境 かんきょう 問題 もんだい が安全 あんぜん 保障 ほしょう の対象 たいしょう になるわけではなく、基本 きほん 的 てき に国民 こくみん の生存 せいぞん 、国家 こっか の利益 りえき などに対 たい する間接 かんせつ 的 てき ・直接的 ちょくせつてき に影響 えいきょう する可能 かのう 性 せい がある問題 もんだい が主 おも となる。
1990年代 ねんだい に環境 かんきょう 安全 あんぜん 保障 ほしょう が活発 かっぱつ になり、特 とく にアメリカでは盛 さか んに議論 ぎろん された。
しかし、アメリカでの環境 かんきょう 安全 あんぜん 保障 ほしょう 議論 ぎろん は、しばしば環境 かんきょう 安全 あんぜん 保障 ほしょう が目的 もくてき とするものやその実際 じっさい の手段 しゅだん に混乱 こんらん が見 み られた。
結果 けっか として、環境 かんきょう 安全 あんぜん 保障 ほしょう についての議論 ぎろん は低迷 ていめい した。
現在 げんざい は国民 こくみん 活動 かつどう や国家 こっか の役割 やくわり 、企業 きぎょう の環境 かんきょう に対 たい する責務 せきむ という観点 かんてん からの環境 かんきょう 安全 あんぜん 保障 ほしょう の議論 ぎろん は現在 げんざい も続 つづ いている。
しかし、具体 ぐたい 的 てき かつ明確 めいかく 化 か されたルールが確立 かくりつ されるまでには至 いた っていない。
思想 しそう ・文化 ぶんか の安全 あんぜん 保障 ほしょう とは、統治 とうち 原理 げんり ・文化 ぶんか ・思想 しそう ・宗教 しゅうきょう ・国民 こくみん 性 せい などの思想 しそう 的 てき ・文化 ぶんか 的 てき な国家 こっか の基幹 きかん 的 てき な要素 ようそ を守 まも ることである。選挙 せんきょ などを通 つう じて大衆 たいしゅう の政治 せいじ への関係 かんけい が大 おお きくなれば、その行動 こうどう や世論 せろん が政治 せいじ 的 てき 影響 えいきょう 力 りょく を持 も つようになる。また同時 どうじ に交通 こうつう や通信 つうしん が高速 こうそく 化 か 、密接 みっせつ 化 か が増大 ぞうだい すれば国外 こくがい の思想 しそう や文化 ぶんか が流入 りゅうにゅう するようになる。そうすれば、これらを活用 かつよう して宣伝 せんでん ・広報 こうほう などを通 つう じて世論 せろん を外部 がいぶ から間接 かんせつ 的 てき に誘導 ゆうどう することが可能 かのう となる。例 たと えば、マスコミ を通 つう じてその国 くに の正統 せいとう 性 せい を主張 しゅちょう することによって、国際 こくさい 社会 しゃかい に対 たい して好意 こうい 的 てき な印象 いんしょう を形成 けいせい するなどが考 かんが えられる。宣伝 せんでん を行 おこな う場合 ばあい 、あからさまな偽 にせ 情報 じょうほう を流 なが せば宣伝 せんでん 者 しゃ の信頼 しんらい 性 せい を減退 げんたい させる。故 ゆえ に宣伝 せんでん 活動 かつどう で流 なが される情報 じょうほう は露骨 ろこつ な宣伝 せんでん ではなく、さり気 げ なく、かつ継続 けいぞく 的 てき ・戦略 せんりゃく 的 てき な大衆 たいしゅう 宣伝 せんでん となる。ただし、近年 きんねん は宣伝 せんでん に客観 きゃっかん 性 せい が求 もと められるようになっており、広報 こうほう との差異 さい は曖昧 あいまい になりつつある。ジョセフ・ナイは冷戦 れいせん 後 ご の国際 こくさい 関係 かんけい における問題 もんだい として「脅威 きょうい の種類 しゅるい と程度 ていど の曖昧 あいまい 性 せい 」にあると指摘 してき している。
安全 あんぜん 保障 ほしょう は観察 かんさつ 者 しゃ の視点 してん によってもその内容 ないよう が大 おお きく変 か わる。ここでは主要 しゅよう な学派 がくは や安全 あんぜん 保障 ほしょう 観 かん について述 の べる。
脅威 きょうい とは安全 あんぜん 保障 ほしょう において敵 てき または潜在 せんざい 的 てき な敵 てき を指 さ して使用 しよう する。脅威 きょうい には政治 せいじ 的 てき 、思想 しそう 的 てき 、経済 けいざい 的 てき なものが各種 かくしゅ 存在 そんざい するが、純粋 じゅんすい に軍事 ぐんじ 的 てき な脅威 きょうい は「能力 のうりょく 」と「意思 いし 」から判断 はんだん されるのが一般 いっぱん 的 てき である。すなわち、ある国 くに が自国 じこく に対 たい して侵略 しんりゃく する国家 こっか 意思 いし を有 ゆう していたとしても、それを実行 じっこう するための軍事 ぐんじ 力 りょく が存在 そんざい しないのであれば、また自国 じこく の軍事 ぐんじ 力 りょく が圧倒 あっとう している場合 ばあい は、その国 くに は脅威 きょうい ではない。またある国 くに が膨大 ぼうだい な軍事 ぐんじ 力 りょく を保有 ほゆう していたとしても、非常 ひじょう に友好 ゆうこう 的 てき な関係 かんけい があり、侵略 しんりゃく の国家 こっか 意思 いし がない場合 ばあい はこれも脅威 きょうい とはならない。
また非対称 ひたいしょう 脅威 きょうい という言葉 ことば がある。これは従来 じゅうらい の国家 こっか 対 たい 国家 こっか という対称 たいしょう 的 てき な脅威 きょうい ではなく、国家 こっか 対 たい 非 ひ 国家 こっか という対称 たいしょう ではない脅威 きょうい をいう。つまり対称 たいしょう 脅威 きょうい とは国家 こっか 体 たい と国家 こっか 体 たい の間 あいだ に生 しょう じる脅威 きょうい をいうが、非対称 ひたいしょう 脅威 きょうい とは、国家 こっか 体 たい と非 ひ 国家 こっか 体 たい の間 あいだ に生 しょう じる脅威 きょうい についていう。
国益 こくえき とは国家 こっか にとっての価値 かち または利益 りえき である。狭義 きょうぎ には国家 こっか の生存 せいぞん と独立 どくりつ 、広義 こうぎ には国家 こっか の経済 けいざい 的 てき 繁栄 はんえい や国際 こくさい 社会 しゃかい での地位 ちい 増進 ぞうしん などが国益 こくえき にあたる。現実 げんじつ 主義 しゅぎ 理論 りろん の重要 じゅうよう な概念 がいねん の一 ひと つであり、あらゆる国家 こっか はこの国益 こくえき を追求 ついきゅう して行動 こうどう していると考 かんが える。一方 いっぽう で理想 りそう 主義 しゅぎ やリベラリズム では一 いち 国 こく の利益 りえき である国益 こくえき を重視 じゅうし しない。何故 なぜ なら、より国際 こくさい 的 てき で共通 きょうつう 的 てき な利益 りえき 、例 たと えば国際 こくさい 公共 こうきょう 財 ざい や国際 こくさい レジーム を重要 じゅうよう 視 し し、また国益 こくえき が政策 せいさく 決定 けってい 者 しゃ の主観性 しゅかんせい によってその内容 ないよう が変化 へんか するからである。
ネオ・リアリズム とは国際 こくさい 構造 こうぞう があらゆる国家 こっか の行動 こうどう に影響 えいきょう すると仮定 かてい した理論 りろん 体系 たいけい であり、これにはウォルツ (K.N. Waltz) による国際 こくさい 政治 せいじ を無 む 政府 せいふ 状態 じょうたい と勢力 せいりょく 分布 ぶんぷ で説明 せつめい する Theory of International Politics (1979)、またギルピン (R.Gilpin) による戦争 せんそう だけが国際 こくさい 構造 こうぞう を変 か えるとする War and Change in World Politics (1981) などがある。
ネオ・リアリストであるウォルト (S. M. Walt) はバンドワゴン理論 りろん を打 う ち出 だ した。これは同盟 どうめい 体制 たいせい は脅威 きょうい に対抗 たいこう するだけでなく、脅威 きょうい 国 こく に同調 どうちょう される時 とき にも形成 けいせい されるという考 かんが えであり、つまりバンドワゴン(勝 か ち馬 ば に乗 の る)行動 こうどう を示 しめ すことを述 の べた。
例 たと えば1930年代 ねんだい に中 ちゅう 欧 おう 、バルカン 諸国 しょこく の中小 ちゅうしょう 国 こく がドイツ (ヒトラー )に次々 つぎつぎ と与 くみ し、協力 きょうりょく していった。また日 にち 英 えい 同盟 どうめい 、日 にち 独 どく 伊 い 三 さん 国 こく 同盟 どうめい 、現在 げんざい の日米 にちべい 同盟 どうめい などは勢力 せいりょく 均衡 きんこう 理論 りろん に立 た った同盟 どうめい ではなく、バンドワゴン理論 りろん に基 もと づく同盟 どうめい であると指摘 してき している。
リベラルな国際 こくさい 政治 せいじ 学者 がくしゃ は、「国家 こっか 」とは個人 こじん の自由 じゆう や権利 けんり を守 まも るための「必要 ひつよう 悪 あく 」として考 かんが えており、その「必要 ひつよう 悪 あく 」同士 どうし で議論 ぎろん の場 ば を設 もう けて平和 へいわ 構築 こうちく や国際 こくさい 秩序 ちつじょ の形成 けいせい を狙 ねら った。(詳細 しょうさい は 機能 きのう 主義 しゅぎ (国際 こくさい 関係 かんけい ) の項目 こうもく を参照 さんしょう )
機能 きのう 主義 しゅぎ の反省 はんせい と、リベラルな勢力 せいりょく によって 新 しん 機能 きのう 主義 しゅぎ が提唱 ていしょう された。
要 よう するに国家 こっか (国家 こっか 体 たい )ではなく、民間 みんかん (非 ひ 国家 こっか 体 たい )による外交 がいこう と、国家 こっか の暴走 ぼうそう の歯止 はど め、多 た 国籍 こくせき 企業 きぎょう 、それらが発展 はってん し非 ひ 国家 こっか 体 たい が国家 こっか 体 たい の国家 こっか 主権 しゅけん の制約 せいやく さえ可能 かのう という考 かんが えが出 で てくる(詳細 しょうさい は 新 しん 機能 きのう 主義 しゅぎ の項目 こうもく を参照 さんしょう )。
地政学 ちせいがく の観点 かんてん ではハートランド 、リムランド や、ランドパワー とシーパワー の対立 たいりつ などから非常 ひじょう に大局 たいきょく 的 てき かつ包括 ほうかつ 的 てき に国際 こくさい 関係 かんけい を観察 かんさつ する。シーパワーの理論 りろん として『海上 かいじょう 権力 けんりょく 史論 しろん The Influence of Sea Power upon History, 1660 - 1783』(1890年 ねん )という、マハン (Alfred Thayer Mahan)が執筆 しっぴつ したものがあり、シーパワー (海洋 かいよう 力 ちから 、海洋 かいよう 権力 けんりょく )の重要 じゅうよう 性 せい を説 と いた。またランドパワーの理論 りろん はハルフォード・マッキンダー が提唱 ていしょう した概念 がいねん であり、ハートランドを支配 しはい する大陸 たいりく 国家 こっか が有 ゆう するパワーであり、これはニコラス・スパイクマン によってシーパワーとリムランドにおいて対立 たいりつ すると論 ろん じた。
構造 こうぞう 的 てき 暴力 ぼうりょく とはある社会 しゃかい 体制 たいせい や秩序 ちつじょ 自体 じたい が貧困 ひんこん 、飢餓 きが 、抑圧 よくあつ などをもたらす場合 ばあい 、これも間接 かんせつ 的 てき には暴力 ぼうりょく であるという考 かんが え方 かた がある。これは平和 へいわ 学 がく の分野 ぶんや でヨハン・ガルトゥング (J.Galtung)が提唱 ていしょう した。ガルトゥングは「構造 こうぞう 的 てき 暴力 ぼうりょく が存在 そんざい する状態 じょうたい を社会 しゃかい 的 てき 不 ふ 正義 せいぎ と呼 よ ぶ」と定義 ていぎ している。
安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう や国際 こくさい 政治 せいじ 学 がく に非常 ひじょう に強 つよ く影響 えいきょう を与 あた えた学派 がくは 。シカゴ学派 がくは は 第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん の両 りょう 大戦 たいせん の影響 えいきょう が見 み られる。1900年 ねん の チャールズ・メリアム (C.E.Merriam) 就任 しゅうにん からシカゴ学派 がくは の大 おお きな潮流 ちょうりゅう が生 う まれる。具体 ぐたい 的 てき には以下 いか の事 こと をした。
政治 せいじ 学 がく に隣接 りんせつ 科学 かがく を導入 どうにゅう し、分析 ぶんせき を発展 はってん させた。フロイト の精神 せいしん 分析 ぶんせき の応用 おうよう など。
分析 ぶんせき に強 つよ く権力 けんりょく 、権威 けんい を持 も たせた。徹底的 てっていてき な検証 けんしょう 至上 しじょう 主義 しゅぎ というべき価値 かち 観 かん が政治 せいじ や安全 あんぜん 保障 ほしょう を科学 かがく 的 てき に分析 ぶんせき 可能 かのう にした。
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 憲法 けんぽう と現実 げんじつ のアメリカ社会 しゃかい の乖離 かいり に不信 ふしん 感 かん を抱 いだ き、経済 けいざい 的 てき 側面 そくめん から憲法 けんぽう を解釈 かいしゃく した。
政策 せいさく 科学 かがく を重視 じゅうし した。プロパガンダ の分析 ぶんせき 等 とう 。
石原 いしはら 莞爾 かんじ は、1940年 ねん に出版 しゅっぱん された『世界 せかい 最終 さいしゅう 戦 せん 論 ろん 』で、フリードリヒ大王 だいおう の時代 じだい の「持久 じきゅう 戦争 せんそう 」、フランス革命 かくめい 後 ご のナポレオン の「決戦 けっせん 戦争 せんそう 」に大別 たいべつ し、戦争 せんそう を持久 じきゅう と決戦 けっせん の二 ふた つに分 わ けている。だがこれらの考 かんが え方 かた は科学 かがく 的 てき 理論 りろん に基 もと づくものではなく、仏教 ぶっきょう 的 てき 価値 かち 観 かん が根底 こんてい にある。また第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん の次 つぎ に来 く る世界 せかい 戦争 せんそう を人類 じんるい の最終 さいしゅう 戦争 せんそう と位置付 いちづ け、東亜 とうあ 連盟 れんめい (つまり大 だい 東亜 とうあ 共栄 きょうえい 圏 けん )が世界 せかい の勝者 しょうしゃ となり天皇 てんのう が世界 せかい の盟主 めいしゅ となると本 ほん の中 なか で主張 しゅちょう した。
ソフト・パワー とは軍事 ぐんじ 力 りょく (ハードパワー)の対義語 たいぎご であり、強要 きょうよう するのではなく、間接 かんせつ 的 てき に相手 あいて に影響 えいきょう や共感 きょうかん を与 あた えることによって相手 あいて のある行動 こうどう や態度 たいど を引 ひ き出 だ す能力 のうりょく の総称 そうしょう である。軍事 ぐんじ 力 りょく だけでは国家 こっか の安全 あんぜん 保障 ほしょう 政策 せいさく としては不完全 ふかんぜん だと考 かんが えられており、このような能力 のうりょく を総合 そうごう 的 てき に用 もち いるべきだという考 かんが えは古来 こらい よりあるが、近年 きんねん 特 とく に戦争 せんそう 違法 いほう 化 か の流 なが れなどから注目 ちゅうもく されている。
具体 ぐたい 的 てき には映画 えいが 、古典 こてん 、芸能 げいのう 、食 しょく 文化 ぶんか 、ドラマ の海外 かいがい への宣伝 せんでん 、進出 しんしゅつ や政治 せいじ 思想 しそう 、宗教 しゅうきょう 、イデオロギー などの浸透 しんとう 、科学 かがく 技術 ぎじゅつ 力 ちから や経済 けいざい 力 りょく などが挙 あ げられる。近年 きんねん 、日本 にっぽん では世界 せかい 的 てき なアニメ 、漫画 まんが の人気 にんき を背景 はいけい に、これらをソフトパワーとして活用 かつよう すべきとの意見 いけん が多 おお い。
エアパワー とは航空 こうくう に関 かん するその国家 こっか の能力 のうりょく の総称 そうしょう である。イタリア人 じん ドゥーエ (Giulio Douhet) は 1921年 ねん に『制 せい 空論 くうろん 』を執筆 しっぴつ し、航空 こうくう 戦力 せんりょく (エアパワー)の重要 じゅうよう 性 せい を論 ろん じた。これは当時 とうじ は陸海 りくかい 軍 ぐん の抵抗 ていこう もあってすぐにその重要 じゅうよう 性 せい が認識 にんしき されることはなかったが、後 のち に核兵器 かくへいき の登場 とうじょう 、ミサイル技術 ぎじゅつ の発達 はったつ 、航空 こうくう 戦力 せんりょく の高度 こうど 化 か などから各国 かっこく 軍 ぐん でも重要 じゅうよう 視 し されるようになっていった。
国際 こくさい 連合 れんごう は第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 終結 しゅうけつ 後 ご の国際 こくさい 社会 しゃかい の秩序 ちつじょ を安定 あんてい させることを目的 もくてき として、創設 そうせつ された集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい である(詳細 しょうさい は国際 こくさい 連合 れんごう を参照 さんしょう )。
集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい は、構成 こうせい 国 こく は武力 ぶりょく 行使 こうし を原則 げんそく 行 おこな わず、外交 がいこう 交渉 こうしょう によって問題 もんだい を解決 かいけつ し、万 まん 一 いち 構成 こうせい 国 こく が違反 いはん して武力 ぶりょく 行使 こうし を行 おこな えばその他 た の体制 たいせい の構成 こうせい 国 こく が協力 きょうりょく して軍事 ぐんじ 力 りょく も含 ふく めた制裁 せいさい 措置 そち を行 おこな うことによって、国際 こくさい 秩序 ちつじょ を安定 あんてい させる体制 たいせい である。
国連 こくれん 軍 ぐん とは国連 こくれん 憲章 けんしょう に基 もと づいて安全 あんぜん 保障 ほしょう 理事 りじ 会 かい の要請 ようせい を以って武力 ぶりょく 制裁 せいさい を実施 じっし する軍隊 ぐんたい である。ただし、冷戦 れいせん の米 べい ソ対立 たいりつ によって国連 こくれん の機能 きのう 不全 ふぜん が起 お こったため、現在 げんざい に至 いた るまで存在 そんざい しない組織 そしき である(国連 こくれん 軍 ぐん を参照 さんしょう )。
国連 こくれん 平和 へいわ 維持 いじ 活動 かつどう と(PKO、peace-keeping operation)は国連 こくれん の集団 しゅうだん 安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい が米 べい ソ対立 たいりつ という時代 じだい 背景 はいけい により冷戦 れいせん 期 き には機能 きのう 不全 ふぜん になっていたために代替 だいたい 案 あん として発達 はったつ した紛争 ふんそう 管理 かんり の活動 かつどう である。代替 だいたい 案 あん として発展 はってん したものであるため、国連 こくれん 憲章 けんしょう や国連 こくれん によって公的 こうてき に定義 ていぎ されたことはない(詳細 しょうさい は国連 こくれん 平和 へいわ 維持 いじ 活動 かつどう を参照 さんしょう )。
基本 きほん 的 てき に平和 へいわ 維持 いじ 活動 かつどう は紛争 ふんそう 当事 とうじ 者 しゃ が停戦 ていせん に合意 ごうい し、かつ活動 かつどう への合意 ごうい を得 え ることが前提 ぜんてい で、中立 ちゅうりつ 的 てき な立場 たちば によって実行 じっこう される。具体 ぐたい 的 てき には小規模 しょうきぼ の平和 へいわ 維持 いじ 軍 ぐん (PKF)や軍事 ぐんじ 監視 かんし 団 だん などを派遣 はけん し、選挙 せんきょ 支援 しえん や治安 ちあん 維持 いじ 、兵力 へいりょく 引 ひ き離 はな しなどの機能 きのう を果 は たす。武力 ぶりょく 制裁 せいさい などの任務 にんむ を担 にな うことはなく、あくまで非 ひ 強制 きょうせい 的 てき な範囲 はんい で平和 へいわ 状態 じょうたい を支援 しえん する。
1992年 ねん 6月 がつ 17日 にち 、国際 こくさい 連合 れんごう 事務 じむ 総長 そうちょう のガリ(ブトロス・ブトロス=ガーリ )は、ガリ構想 こうそう の中 なか で5種類 しゅるい の平和 へいわ 機能 きのう を提示 ていじ した。
予防 よぼう 外交 がいこう (注 ちゅう :予防 よぼう 外交 がいこう の定義 ていぎ は50以上 いじょう 存在 そんざい し、明確 めいかく な定義 ていぎ は無 な い)
平和 へいわ 的 てき 手段 しゅだん による平和 へいわ の創造 そうぞう (紛争 ふんそう を平和 へいわ 的 てき な手段 しゅだん を用 もち いて平和 へいわ 的 てき に解決 かいけつ する)
強制 きょうせい 的 てき な措置 そち を施 ほどこ し、平和 へいわ を創造 そうぞう する(平和 へいわ 強制 きょうせい )
平和 へいわ 維持 いじ (停戦 ていせん など)
紛争 ふんそう 後 ご の平和 へいわ の建設 けんせつ 、構築 こうちく
以上 いじょう の5種類 しゅるい の平和 へいわ 機能 きのう の内 うち 、国連 こくれん が(正当 せいとう 性 せい 、不当 ふとう 性 せい を判断 はんだん して)関与 かんよ するのは「強制 きょうせい 的 てき な措置 そち を施 ほどこ し、平和 へいわ を創造 そうぞう する(平和 へいわ 強制 きょうせい )」のみである。
これは国連 こくれん 憲章 けんしょう 第 だい 六 ろく 章 しょう 及 およ び国連 こくれん 憲章 けんしょう 第 だい 七 なな 章 しょう の理念 りねん を合 あ わせて提言 ていげん したものであるが、数 すう 多 おお くの国々 くにぐに や有識者 ゆうしきしゃ から批判 ひはん を浴 あ びた。批判 ひはん の多 おお くは、平和 へいわ 強制 きょうせい によって国連 こくれん が介入 かいにゅう 先 さき の国家 こっか 主権 しゅけん を無視 むし することに関 かん して、より「積極 せっきょく 的 てき 」になる事 こと に比重 ひじゅう が置 お かれたためである。
よってガリ構想 こうそう が示 しめ した平和 へいわ 強制 きょうせい 部隊 ぶたい (Peace enforcement units)は多 おお くの人 ひと によって問題 もんだい 点 てん を指摘 してき され有効 ゆうこう 性 せい が疑問 ぎもん 視 し され、1994年 ねん にはソマリア における紛争 ふんそう などの解決 かいけつ に失敗 しっぱい したため、今後 こんご は行 おこな わないことをガリ自身 じしん が宣言 せんげん した。
セキュリティ・パラドックス(security paradox)、あるいは安全 あんぜん 保障 ほしょう のジレンマ (security dilemma)とは安全 あんぜん 保障 ほしょう 政策 せいさく 立案 りつあん 上 じょう のジレンマをいう。
A国 こく とB国 こく が対立 たいりつ し、A国 こく がB国 こく に対 たい する明確 めいかく な安全 あんぜん 保障 ほしょう を定 さだ め強化 きょうか すると、B国 こく もA国 こく に対 たい して安全 あんぜん 保障 ほしょう を強化 きょうか する。これらが悪循環 あくじゅんかん し、平和 へいわ のための安全 あんぜん 保障 ほしょう が逆説 ぎゃくせつ 的 てき にかえって軍拡 ぐんかく や軍事 ぐんじ 的 てき 緊張 きんちょう を呼 よ ぶことになる。
安全 あんぜん 保障 ほしょう 政策 せいさく はしばしば国民 こくみん 世論 せろん だけでなく、近隣 きんりん 諸国 しょこく 、世界 せかい の世論 せろん も動 うご かすため、特定 とくてい の方向 ほうこう に意図 いと を持 も った政治 せいじ 勢力 せいりょく によって安全 あんぜん 保障 ほしょう が政争 せいそう の道具 どうぐ に使 つか われることがしばしばある。
「文明 ぶんめい の衝突 しょうとつ 」の著者 ちょしゃ であるサミュエル・P・ハンティントン は、かつてソ連 それん 崩壊 ほうかい 後 のち に新 あら たな脅威 きょうい を探 さが し、日米 にちべい 間 あいだ の貿易 ぼうえき 摩擦 まさつ を取 と り上 あ げ、日本 にっぽん を経済 けいざい 的 てき な敵 てき と仮定 かてい し、経済 けいざい 戦争 せんそう が生 しょう じ経済 けいざい 安全 あんぜん 保障 ほしょう が必要 ひつよう だと提起 ていき した。これによって日米 にちべい 間 あいだ の関係 かんけい が崩壊 ほうかい する程度 ていど までは行 い かなかったが、極 きわ めて深刻 しんこく な意見 いけん の対立 たいりつ が生 しょう じた。なお、経済 けいざい 安全 あんぜん 保障 ほしょう ではスピンオフ が今後 こんご 期待 きたい できないとし、特 とく に石原 いしはら 慎太郎 しんたろう 著作 ちょさく の「NOと言 い える日本 にっぽん 」はアメリカ の安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう 者 しゃ の多 おお くを刺激 しげき した。石原 いしはら 慎太郎 しんたろう の指摘 してき するアメリカ軍 ぐん が日本 にっぽん の高度 こうど な軍事 ぐんじ 技術 ぎじゅつ に依存 いぞん している点 てん に、安全 あんぜん 保障 ほしょう 上 じょう の問題 もんだい があるとして高度 こうど な技術 ぎじゅつ は全 すべ て国産 こくさん にすべきとの考 かんが え方 かた がアメリカに広 ひろ まった。しかしそれを実現 じつげん するには自由 じゆう 貿易 ぼうえき を否定 ひてい し、保護 ほご 主義 しゅぎ を強化 きょうか しなければならないため、結果 けっか として経済 けいざい 的 てき 衰退 すいたい を招 まね くことが判明 はんめい し、現在 げんざい 、経済 けいざい 安全 あんぜん 保障 ほしょう の議論 ぎろん は低迷 ていめい している。その後 ご 、ハンティントンは新 あら たな脅威 きょうい を探 さが し、中国 ちゅうごく 脅威 きょうい 論 ろん を提起 ていき し、その次 つぎ は宗教 しゅうきょう 対立 たいりつ 、文明 ぶんめい の衝突 しょうとつ という脅威 きょうい を提起 ていき した。ハンティントンの論 ろん が間違 まちが っているということではなく、安全 あんぜん 保障 ほしょう 研究 けんきゅう を行 おこな っている人々 ひとびと は脅威 きょうい を「探 さが し出 だ し」「煽 あお る」傾向 けいこう にあるということを差 さ し引 ひ いて物事 ものごと を見 み なければならない。
特高警察 とっこうけいさつ 、警視庁 けいしちょう 特別 とくべつ 高等 こうとう 部 ぶ 検閲 けんえつ 課 か による検閲 けんえつ 事務 じむ の様子 ようす 。(1938年 ねん 〈昭和 しょうわ 13年 ねん 〉)
基本 きほん 的 てき 人権 じんけん や言論 げんろん の自由 じゆう の抑圧 よくあつ 、弾圧 だんあつ などにも治安 ちあん や安全 あんぜん 保障 ほしょう 上 じょう の名分 めいぶん が使 つか われることがある。
大日本帝国 だいにっぽんていこく は1928年 ねん に治安 ちあん 維持 いじ 法 ほう の改正 かいせい を行 おこな った。これにより日本 にっぽん 共産党 きょうさんとう 及 およ び党員 とういん と、その支持 しじ 者 しゃ 、また労働 ろうどう 組合 くみあい 、農民 のうみん (農業 のうぎょう 従事 じゅうじ 者 しゃ )組合 くみあい 、プロレタリア 文化 ぶんか 運動 うんどう など左翼 さよく 参加 さんか 者 しゃ の摘発 てきはつ を行 おこな った。これは結果 けっか として、特高警察 とっこうけいさつ 、独立 どくりつ 性 せい の小 ちい さい司法 しほう などを生 う み、基本 きほん 的 てき 人権 じんけん や言論 げんろん の自由 じゆう の抑圧 よくあつ を加速 かそく させた。また治安 ちあん 維持 いじ 法 ほう によって、未 み 送検 そうけん 者 しゃ 含 ふく む逮捕 たいほ 者 しゃ の数 かず は数 すう 十 じゅう 万 まん 人 にん を超 こ えていたといわれている。政府 せいふ 発表 はっぴょう では送検 そうけん 者 しゃ 7万 まん 5681人 にん 、起訴 きそ 5162人 にん 、未 み 送検 そうけん 者 しゃ 含 ふく む逮捕 たいほ 者 しゃ の数 かず は不明 ふめい となっている。
存在 そんざい しない危機 きき やまだ危機 きき といえるほどのものではない程度 ていど のものを、恣意 しい 的 てき に「危機 きき 」「脅威 きょうい 」と過大 かだい に評価 ひょうか し世論 せろん 誘導 ゆうどう や国家 こっか の予算 よさん 獲得 かくとく しようとする試 こころ みが軍 ぐん 産 さん 複 ふく 合体 がったい によって行 おこな われる場合 ばあい がある。
911テロ 後 ご 、2003年 ねん にアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく は国土 こくど 安全 あんぜん 保障 ほしょう 省 しょう を創設 そうせつ したが、国土 こくど 安全 あんぜん 保障 ほしょう 省 しょう が自由 じゆう に使 つか える予算 よさん は配分 はいぶん される予算 よさん の内 うち の4%に過 す ぎず、その4%は人件 じんけん 費 ひ や設備 せつび 費 ひ で使 つか い切 き ってしまう。残 のこ りの96%の予算 よさん は使途 しと が決 き まっており、その使途 しと は極 きわ めて政治 せいじ 的 てき な意図 いと によって左右 さゆう されている。これは安全 あんぜん 保障 ほしょう の名 な を借 か りて、国土 こくど 安全 あんぜん 保障 ほしょう 省 しょう の予算 よさん を特定 とくてい の政治 せいじ 勢力 せいりょく が自分 じぶん の政治 せいじ 勢力 せいりょく の権益 けんえき のために予算 よさん を使 つか う危険 きけん 性 せい が残 のこ る。また国土 こくど 安全 あんぜん 保障 ほしょう 省 しょう と国防総省 こくぼうそうしょう の目的 もくてき 、業務 ぎょうむ 内容 ないよう が被 こうむ っていると指摘 してき されている。さらに国土 こくど 安全 あんぜん 保障 ほしょう 省 しょう の国土 こくど 安全 あんぜん 保障 ほしょう 会議 かいぎ と、国防総省 こくぼうそうしょう の国家 こっか 安全 あんぜん 保障 ほしょう 会議 かいぎ の二 ふた つの会議 かいぎ 間 あいだ に連絡 れんらく 網 もう が無 な いことも指摘 してき されている。
幕府 ばくふ 末期 まっき 時代 じだい には幕府 ばくふ 陸軍 りくぐん 、幕府 ばくふ 海軍 かいぐん を創設 そうせつ し、独自 どくじ で安全 あんぜん 保障 ほしょう を担 にな うことになった。明治維新 めいじいしん によって近代 きんだい 化 か した日本 にっぽん は1871年 ねん に日本 にっぽん 軍 ぐん が創設 そうせつ された。しかし当初 とうしょ は法 ほう 整備 せいび 等 とう もされていないため、横浜 よこはま に英 えい 仏 ふつ 横浜 よこはま 駐屯 ちゅうとん 軍 ぐん (イギリス軍 ぐん とフランス軍 ぐん )の駐留 ちゅうりゅう を認 みと めていた。しかし、駐留 ちゅうりゅう 軍 ぐん の経費 けいひ は明治 めいじ 政府 せいふ 側 がわ が全 すべ て負担 ふたん していたため、国家 こっか 主権 しゅけん 侵害 しんがい の恐 おそ れがあるため日 にち 清 しん 戦争 せんそう 前 まえ に撤退 てったい 、独自 どくじ で日本 にっぽん は安全 あんぜん 保障 ほしょう を担 にな っていた。
日 にち 清 しん 戦争 せんそう 、日 にち 露 ろ 戦争 せんそう に勝利 しょうり し、第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん にはドイツ帝国 ていこく とオーストリア=ハンガリー帝国 ていこく に勝利 しょうり した日本 にっぽん は国際 こくさい 連盟 れんめい の常任 じょうにん 理事 りじ 国 こく にもなった。第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん によって当初 とうしょ は日本 にっぽん 軍 ぐん が優勢 ゆうせい になり、東南 とうなん アジア を植民 しょくみん 地 ち 化 か していたイギリス軍 ぐん やフランス軍 ぐん を降伏 ごうぶく させ、占領 せんりょう した。その後 ご 、日本 にっぽん 軍 ぐん による真珠湾 しんじゅわん 攻撃 こうげき により太平洋戦争 たいへいようせんそう が勃発 ぼっぱつ した。日本 にっぽん はアメリカ軍 ぐん の圧倒的 あっとうてき な強 つよ さによって、日本 にっぽん は敗北 はいぼく した。
太平洋戦争 たいへいようせんそう での敗戦 はいせん によって、日本国 にっぽんこく 憲法 けんぽう を制定 せいてい し、憲法 けんぽう の精神 せいしん とされた平和 へいわ 主義 しゅぎ の下 した で国権 こっけん の発動 はつどう としての武力 ぶりょく の放棄 ほうき をしてきた。冷戦 れいせん 期 き に突入 とつにゅう すると世界 せかい は資本 しほん 主義 しゅぎ 国 くに により構成 こうせい された西側 にしがわ 諸国 しょこく とソ連 それん を盟主 めいしゅ とした共産 きょうさん 主義 しゅぎ 国 くに との間 あいだ で二 に 極 きょく 型 がた の勢力 せいりょく 図 ず が形成 けいせい されていった中 なか で日本 にっぽん はアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 主導 しゅどう による戦後 せんご 統治 とうち の中 なか で資本 しほん 主義 しゅぎ 陣営 じんえい の一員 いちいん として、米国 べいこく の同盟 どうめい 国 こく としての役割 やくわり をはたしていった。当時 とうじ の日本 にっぽん 周辺 しゅうへん の極東 きょくとう 地域 ちいき は共産 きょうさん 勢力 せいりょく が強 つよ く、日本 にっぽん はソ連 それん と中国 ちゅうごく といった二 に 大 だい 共産 きょうさん 主義 しゅぎ 国 こく と隣接 りんせつ する国 くに として資本 しほん 主義 しゅぎ 陣営 じんえい の盟主 めいしゅ ・米国 べいこく にとって安全 あんぜん 保障 ほしょう 上 じょう の重要 じゅうよう な拠点 きょてん として認識 にんしき され、日本 にっぽん 国内 こくない 各地 かくち に米 べい 軍 ぐん 基地 きち が設 もう けられ資本 しほん 主義 しゅぎ 陣営 じんえい の戦略 せんりゃく 的 てき 橋頭堡 きょうとうほ とされていた。米 べい 軍 ぐん 指導 しどう の下 した で警察 けいさつ 予備 よび 隊 たい が編成 へんせい され、以来 いらい 、途中 とちゅう 保安 ほあん 隊 たい 、自衛隊 じえいたい への改編 かいへん を経 へ て今日 きょう に至 いた っている。このようななかで独立 どくりつ 回復 かいふく 後 ご も日本 にっぽん の安全 あんぜん 保障 ほしょう 戦略 せんりゃく は基本 きほん 的 てき に米国 べいこく の世界 せかい 戦略 せんりゃく の元 もと で構築 こうちく されてきた。
自衛 じえい 力 りょく の保持 ほじ についての是非 ぜひ は戦後 せんご 憲法 けんぽう 論争 ろんそう や国民 こくみん 世論 せろん の中 なか で大 おお きな問題 もんだい となり、1960年 ねん には日米 にちべい 安全 あんぜん 保障 ほしょう 条約 じょうやく に基 もと づき、日米 にちべい 同盟 どうめい が締結 ていけつ された。国内 こくない 世論 せろん は戦後 せんご の痛手 いたで の中 なか で復興 ふっこう の途上 とじょう にあり、国民 こくみん 感情 かんじょう としても安全 あんぜん 保障 ほしょう を論 ろん ずることが忌避 きひ されるムードがあり、日米 にちべい 同盟 どうめい 締結 ていけつ 時 じ であった60年 ねん 安保 あんぽ 、また新 しん 日米 にちべい 安保 あんぽ 条約 じょうやく 締結 ていけつ 時 じ の70年 ねん 安保 あんぽ 闘争 とうそう などを経 へ て時 とき として世論 せろん の大 おお きな反対 はんたい を受 う けつつも日本 にっぽん 国 こく としては専守防衛 せんしゅぼうえい の理念 りねん の下 した で自衛隊 じえいたい を保有 ほゆう し続 つづ けてきた。戦後 せんご 、長期 ちょうき にわたって政権 せいけん を担 にな ってきた自由民主党 じゆうみんしゅとう は早 はや い時期 じき から自衛 じえい 力 りょく の保持 ほじ 及 およ び集団 しゅうだん 的 てき 自衛 じえい 権 けん の保有 ほゆう 等 とう の問題 もんだい をめぐって有事 ゆうじ 法制 ほうせい や憲法 けんぽう 改正 かいせい を主張 しゅちょう してきたが、いまだ第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん の記憶 きおく が生々 なまなま しいなか日本 にっぽん 社会党 しゃかいとう ほか護憲 ごけん 勢力 せいりょく の反対 はんたい を受 う け、きわめて抑制 よくせい 的 てき な安全 あんぜん 保障 ほしょう 体制 たいせい の中 なか で米 べい 軍 ぐん の軍事 ぐんじ 力 りょく による抑止 よくし 力 りょく をもって極東 きょくとう 地域 ちいき における安全 あんぜん 保障 ほしょう 秩序 ちつじょ を維持 いじ してきた。その後 ご も最低限 さいていげん の自衛 じえい 力 りょく の必要 ひつよう 性 せい については国民 こくみん 世論 せろん も大 おお いに見解 けんかい の分 わ かれる中 なか で社会 しゃかい の中 なか で理解 りかい が得 え られていたといえようが、憲法 けんぽう 改正 かいせい などによる軍事 ぐんじ 力 りょく に対 たい しての抑制 よくせい 的 てき な見解 けんかい が世論 せろん を覆 おお っていたといえる。
しかし、冷戦崩壊 れいせんほうかい の後 のち 、米 べい ソ二 に 極 きょく 対立 たいりつ の陰 かげ に隠 かく れてきた民族 みんぞく や宗教 しゅうきょう 的 てき 価値 かち 観 かん による地域 ちいき 間 あいだ の対立 たいりつ が表面 ひょうめん 化 か するとともに次第 しだい にPKO を中心 ちゅうしん とした平和 へいわ 的 てき な貢献 こうけん の道 みち が模索 もさく される様 よう になり、自衛隊 じえいたい による海外 かいがい 派遣 はけん の機会 きかい も次第 しだい に増 ふ えていった。
今日 きょう 、北朝鮮 きたちょうせん のミサイル の度重 たびかさ なる発射 はっしゃ 、中国 ちゅうごく の軍拡 ぐんかく など、以前 いぜん とは異 こと なる状況 じょうきょう 下 か 、日本 にっぽん の安全 あんぜん 保障 ほしょう においては専守防衛 せんしゅぼうえい のあり方 かた 、日米 にちべい 同盟 どうめい のあり方 かた 、自衛隊 じえいたい の運用 うんよう の範囲 はんい などが大 おお いに議論 ぎろん を生 う んでおり、憲法 けんぽう を改正 かいせい し、米国 べいこく の同盟 どうめい 国 こく としての役割 やくわり をはたしてきた戦後 せんご の歩 あゆ みを追認 ついにん するとともに、今後 こんご は日米 にちべい 同盟 どうめい の下 した でより積極 せっきょく 的 てき な軍事 ぐんじ 的 てき 貢献 こうけん を模索 もさく すべきとする改憲 かいけん 論 ろん と、現行 げんこう 憲法 けんぽう を堅持 けんじ し、憲法 けんぽう がうたう平和 へいわ 主義 しゅぎ の理想 りそう を具現 ぐげん 化 か すべきという護憲 ごけん 論 ろん とに二分 にぶん し、国民 こくみん 世論 せろん を二分 にぶん する事態 じたい となっている。
安全 あんぜん 保障 ほしょう の分野 ぶんや の専 せん 門 もん ・関連 かんれん 用語 ようご
編集 へんしゅう