(Translated by https://www.hiragana.jp/)
内閣不信任決議 - Wikipedia

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ

議会ぎかい内閣ないかくたいして不信任ふしんにん決議けつぎすること

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ(ないかくふしんにんけつぎ)は、議会ぎかい内閣ないかく信任しんにんせず退陣たいじん要求ようきゅうする決議けつぎである[1]

2012ねん9がつ野田のだ内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん投票とうひょうをする内閣ないかく総理そうり大臣だいじん野田のだ佳彦よしひこ

概要がいよう

編集へんしゅう

内閣ないかく議会ぎかい信任しんにんようすることは議院ぎいんないかくせい核心かくしんてき原則げんそくである[2]

したがって、内閣ないかく制度せいど採用さいようするくにのうちでも議院ぎいんないかくせいをとるくににおいてはとく重要じゅうよう意味いみち、政治せいじ制度せいどとしては、議会ぎかい不信任ふしんにん決議けつぎおこなった場合ばあいには内閣ないかく当然とうぜんそう辞職じしょくする制度せいどをとるか、もしくは内閣ないかくそう辞職じしょく議会ぎかい解散かいさんかの二者択一にしゃたくいつとする制度せいどのいずれかがとられる[3]両院りょういんせいくににおいては内閣ないかくとく下院かいん信任しんにんようするものとされ、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ下院かいんのみにあたえられる権限けんげんであることがおおい。

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ特定とくてい内閣ないかく信任しんにんせず退陣たいじんもとめることを内容ないようとする決議けつぎであるのにたいして[1]特定とくてい内閣ないかくたいしそのしょくにおいて行政ぎょうせいけん行使こうしすることを委任いにんすることを内容ないようとする決議けつぎとして内閣ないかく信任しんにん決議けつぎがある[1]内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ現在げんざい内閣ないかく信任しんにんすべきかかを問題もんだいとするてん内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ共通きょうつうし、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつされた場合ばあい内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつされた場合ばあいは、いずれも現在げんざい内閣ないかく議会ぎかいからの信任しんにんていないというてん共通きょうつうする。このようなことから便宜上べんぎじょう内閣ないかく信任しんにん決議けつぎについてもこの項目こうもくあつかう。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう

編集へんしゅう

日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい69じょうは「内閣ないかくは、衆議院しゅうぎいん不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつし、また信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつしたときは、10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんされないかぎり、内閣ないかくそう辞職じしょくをしなければならない」とし、衆議院しゅうぎいん内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ内閣ないかく信任しんにん決議けつぎについてさだめている。日本国にっぽんこく憲法けんぽうしたにおいては内閣ないかくだいいちいんたる衆議院しゅうぎいんにおける指導しどうてき勢力せいりょく基礎きそとして存立そんりつする[4]

したがって、内閣ないかく衆議院しゅうぎいんにおいて議員ぎいん過半数かはんすうからの信任しんにんうしなっている場合ばあいにはその存立そんりつ維持いじすることができないこととなり、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい56じょうだい2こう規定きていにより衆議院しゅうぎいん出席しゅっせき議員ぎいん過半数かはんすう内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつまたは内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつされたときは、10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんされないかぎ内閣ないかくそう辞職じしょくをしなければならないことになる[5]日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい69じょう)。

なお、憲法けんぽうだい69じょうは「衆議院しゅうぎいん」と規定きていしているとおり、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎおよ内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ衆議院しゅうぎいんのみにみとめられる権能けんのうとされており、かり参議院さんぎいんで「不信任ふしんにん」のした内閣ないかく問責もんせき決議けつぎしても憲法けんぽう69じょうのような法的ほうてき効果こうかしょうずることはなく政治せいじてき効果こうかしょうじるにとどまるとほぐされている[6][7]

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんあるいは内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん衆議院しゅうぎいん提出ていしゅつされた場合ばあい衆参しゅうさん両院りょういんほん会議かいぎ委員いいんかいにおける内閣ないかく提出ていしゅつによるすべての議案ぎあん審議しんぎ審査しんさ政府せいふ質疑しつぎ停止ていしされることになる[8]

決議けつぎ内容ないよう

編集へんしゅう

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ

編集へんしゅう
 
2012ねん9がつ野田のだ内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん否決ひけつされ一礼いちれいする野田のだ内閣ないかく閣僚かくりょう

憲法けんぽうだい69じょうの「不信任ふしんにん」とは、げん行政ぎょうせいになっている特定とくてい内閣ないかく信任しんにんせず退陣たいじんもとめる意思いしをいう[1]

先述せんじゅつとおり、内閣ないかく内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ衆議院しゅうぎいんにおいて可決かけつされた場合ばあい10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんされないかぎり、そう辞職じしょくをしなければならないが(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい69じょう)、実際じっさい可決かけつされたらそく衆議院しゅうぎいん解散かいさんかつそう選挙せんきょ選択せんたくすることおおい。

この憲法けんぽう69じょう効果こうかしょうじさせるための「不信任ふしんにん」については、決議けつぎ文章ぶんしょうのうちに明文めいぶんをもってしめすまでの必要ひつようはないとされるが[9]すくなくとも不信任ふしんにん意思いし明確めいかくにするものである必要ひつようがあるとされる[9][10]

議員ぎいん内閣ないかく不信任ふしんにんかんする動議どうぎもしくは決議けつぎあん発議はつぎするときは、理由りゆうし、50にん以上いじょう賛成さんせいしゃ連署れんしょして、これを議長ぎちょう提出ていしゅつしなければならない(衆議院しゅうぎいん規則きそくだい28じょうの3)。したがって、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん提出ていしゅつにはすくなくとも発議はつぎしゃ1にん賛成さんせいしゃ50にんけい51にん必要ひつようとなる。

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん議案ぎあん同様どうように、議長ぎちょう諮問しもんけて議院ぎいん運営うんえい委員いいんかい議事ぎじ日程にってい作成さくせいする。ただし内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん先決せんけつ問題もんだいでありほか一般いっぱん議事ぎじ優先ゆうせんするので、議院ぎいん構成こうせい案件あんけんがあったり、一事いちじ再議さいぎ同一どういつ会期かいきなかいちのみ)に抵触ていしょくするといった理由りゆうがなければ議運ぎうんすみやかな上程じょうてい答申とうしんする[11]内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん競合きょうごうする場合ばあいについては次節じせつ参照さんしょう)。もっとも、衆議院しゅうぎいん解散かいさん一切いっさい議事ぎじ動議どうぎ優先ゆうせんしてあつかわれるため、解散かいさん詔書しょうしょはっせられたときは、議長ぎちょう議事ぎじただちに中止ちゅうしして詔書しょうしょ朗読ろうどくおこなうことになる[12][13][14]衆議院しゅうぎいん解散かいさんとともに本案ほんあん廃案はいあんとなる)。提出ていしゅつしゃ委員いいんかい審査しんさ省略しょうりゃくしてほん会議かいぎすることをもとめ、ほん会議かいぎはこれをみとめるのが慣例かんれいである[11]

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんについての議事ぎじ手続てつづきとしては、

  1. 趣旨しゅし弁明べんめい
  2. 本案ほんあんについての反対はんたい討論とうろん
  3. 本案ほんあんについての賛成さんせい討論とうろん
  4. 採決さいけつ
  5. 票数ひょうすうならびに可否かひについての発表はっぴょう

じゅんおこなわれる。議員ぎいん表決ひょうけつくわわるためには議場ぎじょうにいなければならない[15][16]衆議院しゅうぎいん規則きそくだい148じょう参照さんしょう)。

採決さいけつ方法ほうほうほん会議かいぎまえ議院ぎいん運営うんえい委員いいんかいにおいてけっせられる。一般いっぱんてき採決さいけつ方法ほうほう記名きめい投票とうひょうほん会議かいぎじょうかく議席ぎせきそなけられた議員ぎいん氏名しめいあらかじ記載きさいされている白色はくしょく青色あおいろ二色にしき木札きふだ通称つうしょう名刺めいし”をもちいるもの[15][17])であり、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんとする議員ぎいん白色はくしょく木札きふだ白票はくひょう賛成さんせいひょう)を、とする議員ぎいん青色あおいろ木札きふだ青票せいひょう反対はんたいひょう)を投票とうひょうする(衆議院しゅうぎいん規則きそくだい153じょう参照さんしょう)。記名きめい投票とうひょうかく議員ぎいん持参じさんした白票はくひょうまた青票せいひょう参事さんじ手交しゅこうする方法ほうほうがとられている[17]記名きめい投票とうひょうおこなさいにはあらかじ議場ぎじょう閉鎖へいさすることになっている[15]議場ぎじょう閉鎖へいさ)。これは投票とうひょうには一定いってい時間じかんがかかるが、議場ぎじょうへの出入でいりをきんじなければ過半数かはんすう算定さんてい基礎きそとなる出席しゅっせき議員ぎいんすう固定こていできなくなることから議場ぎじょう閉鎖へいさする必要ひつようがあるためである[18](このてん過半数かはんすう算定さんてい基礎きそ出席しゅっせき議員ぎいんすうではなく投票とうひょう総数そうすう議場ぎじょう閉鎖へいさ必要ひつようのない内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめい選挙せんきょとはことなる)。記名きめい投票とうひょうでは白色はくしょく青色あおいろ二色にしきひょうもちいるため無効むこうひょうしょうじる余地よちはない[19](このてん投票とうひょう用紙ようしせんじん氏名しめい記載きさいすることをよう無効むこうひょうしょうじうる内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめい選挙せんきょとはことなる)。記名きめい投票とうひょう場合ばあいには「内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんとする議員ぎいん氏名しめい」と「とする議員ぎいん氏名しめい」がそれぞれ会議かいぎろく掲載けいさいされる(衆議院しゅうぎいん規則きそくだい200じょうだい16ごう参照さんしょう)。

ほん会議かいぎまえ議院ぎいん運営うんえい委員いいんかいではかく会派かいは賛成さんせい反対はんたい棄権きけん立場たちばあきらかにされるが、野党やとうだいいちとう決議けつぎあんたいして同調どうちょうせず棄権きけん表明ひょうめいしている場合ばあいなど、あまりにも大差たいさであることが判明はんめいしている場合ばあい起立きりつ採決さいけつとなることもある。また、記名きめい投票とうひょう出席しゅっせき議員ぎいんの1/5以上いじょう要求ようきゅう必要ひつようになるため、賛成さんせいしゃが1/5をっている状況じょうきょう提出ていしゅつしても、起立きりつ採決さいけつになることがある。過去かこ起立きりつ採決さいけつくだり われた事例じれいでは1975ねん7がつ3にち三木みき内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん1982ねん8がつ18にち鈴木すずき善幸ぜんこう内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんおよ2013ねん12月6にちだい2安倍あべ内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんの3れい(いずれも起立きりつ少数しょうすう否決ひけつ)がある。2013ねん事例じれいは、野党やとうなか日本にっぽん維新いしんかい不信任ふしんにん決議けつぎあん反対はんたいしたため、賛同さんどうしゃが1/5にりなかった結果けっかであった[20]。なお、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん本案ほんあん審議しんぎちゅう閣僚かくりょう衆議院しゅうぎいん議員ぎいんしょくであっても議員ぎいんせきではなく大臣だいじんせき着席ちゃくせきする慣例かんれいがある。

決議けつぎあん可決かけつがなされれば確実かくじつ倒閣とうかく達成たっせいできるため、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ政権せいけん内閣ないかく)と対抗たいこうする野党やとうにとっては最後さいごにして最大さいだい最強さいきょう武器ぶきである。この絶大ぜつだい効力こうりょくこそ、まさに「伝家でんか宝刀ほうとう」とわれる所以ゆえんである。これにたいして、衆議院しゅうぎいん解散かいさんけん内閣ないかく総理そうり大臣だいじん伝家でんか宝刀ほうとうばれる。

また、不信任ふしんにんあん野党やとう結束けっそく存在そんざい意義いぎさい確認かくにんする意味合いみあいもあるため、野党やとう不信任ふしんにんあん賛成さんせいしない党派とうはであっても、明確めいかく反対はんたい、あるいは信任しんにんあん賛成さんせい態度たいどることはまれである。通常つうじょうは、不信任ふしんにんあん明確めいかく賛成さんせいしない野党やとう棄権きけん欠席けっせきえらぶことになる。

ただ、先述せんじゅつのように内閣ないかく存立そんりつには議会ぎかい信任しんにんようするとすることは議院ぎいんないかくせい核心かくしんてき原則げんそくとされている[2]実際じっさいには議院ぎいんないかくせいしたでは与党よとう議席ぎせき過半数かはんすうめているのが通例つうれいで、与党よとうない分裂ぶんれつといった事態じたいおちいっていないかぎ内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつされることはまれであり、先例せんれいでは内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつされた事例じれいは4れいすくない。また、慣例かんれいとしてみとめられている一事いちじ再議さいぎ原則げんそくにより、同一どういつ会期かいきなかには1しか提出ていしゅつできない。そのため、会期かいきちゅう否決ひけつされてしまうと会期かいき終了しゅうりょうまで内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎという対抗たいこう手段しゅだんうしなわれることになってしまうため、現実げんじつには不信任ふしんにん決議けつぎあん提出ていしゅつには慎重しんちょうにならざるをない。野党やとうがわからは、政権せいけん与党よとうとの対決たいけつしょくしめすために、国会こっかい会期かいきまつあるいは内閣ないかく衆議院しゅうぎいん解散かいさん実行じっこうすることが確実かくじつになった段階だんかいにおいて内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん提出ていしゅつされることがおおい(内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん採決さいけつまえ解散かいさんとなるれいすくなくない)。一方いっぽう与党よとうない分裂ぶんれつ様相ようそうていしている場合ばあいなどには、野党やとうがわから会期かいきまついたまえ提出ていしゅつされることがあり、また、分裂ぶんれつ状態じょうたいにある与党よとうないからの内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん提出ていしゅつとその可決かけつ確実視かくじつしされる政局せいきょくにおいて、内閣ないかく採決さいけつまえみずかそう辞職じしょくした事例じれいもある。

なお、内閣ないかく提出ていしゅつ予算よさん否決ひけつおおきな修正しゅうせいも、ウェストミンスター・システムでは不信任ふしんにん同義どうぎとみなされる。日本にっぽん帝国ていこく議会ぎかい時代じだいでも輔弼ほひつ責任せきにんかかわる事態じたいとされ、内閣ないかくそう辞職じしょくするか衆議院しゅうぎいん解散かいさん天皇てんのう進言しんげんするのが慣例かんれいとされていた。日本国にっぽんこく憲法けんぽうでは衆議院しゅうぎいんほん会議かいぎでの予算よさん否決ひけつれいいまのところ[注釈ちゅうしゃく 1]予算よさん関連かんれんしてそう辞職じしょく解散かいさん義務付ぎむづける明文めいぶん規定きていい。

内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ

編集へんしゅう

憲法けんぽうだい69じょうの「信任しんにん」とは、げん行政ぎょうせいになっている特定とくてい内閣ないかくたいしそのしょくにおいて行政ぎょうせいけん行使こうしすることを委任いにんする意思いしをいう[1]議員ぎいん内閣ないかく信任しんにんかんする動議どうぎもしくは決議けつぎあん発議はつぎする要件ようけんは、不信任ふしんにん動議どうぎ発議はつぎ場合ばあい同様どうようである(衆議院しゅうぎいん規則きそくだい28じょうの3)。

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ対極たいきょく位置いちするものであり、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつされた場合ばあいには内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつされた場合ばあいおな効力こうりょくがある。つまり、内閣ないかく内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん衆議院しゅうぎいんにおいて否決ひけつされた場合ばあい10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんされないかぎり、そう辞職じしょくをしなければならない(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい69じょう)。

不信任ふしんにん決議けつぎあん野党やとうがわからされるものであるのにたいして、信任しんにん決議けつぎあん与党よとうがわからされる。ただ、実際じっさいには国会こっかい投票とうひょうにより内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめいされ、また、この指名しめいでは衆議院しゅうぎいん指名しめい優先ゆうせんし(衆議院しゅうぎいん優越ゆうえつ)、以後いご衆議院しゅうぎいんとの関係かんけいにおいては信任しんにんけていることが前提ぜんていとなり、また、議院ぎいんないかくせいでのしたでは与党よとう過半数かはんすうめているのが通例つうれいで、あえて内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん提出ていしゅつして決議けつぎする必要ひつようがないため、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん提出ていしゅつされることはきわめてまれである。前例ぜんれいでは野党やとうがわ議事ぎじ妨害ぼうがいへの対抗たいこうあるいは参議院さんぎいんにおける内閣ないかく総理そうり大臣だいじんたいする問責もんせき決議けつぎ可決かけつ対抗たいこうするかたちおこなわれている。

国会こっかいにおいて野党やとう議事ぎじ妨害ぼうがいのひとつとして、議事ぎじばしのために、個別こべつ閣僚かくりょうたいして不信任ふしんにんあん乱発らんぱつすることがある。その場合ばあい不信任ふしんにんあん採決さいけつ先決せんけつ問題もんだいとして一般いっぱん議案ぎあん優先ゆうせんして処理しょりされ、閣僚かくりょうかずだけ不信任ふしんにんあん採決さいけつおこなうことが可能かのうであるため、議事ぎじ運営うんえいばされることとなる。これにたいする与党よとうがわ対抗たいこうさくとして、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎおこなうことがある。議事ぎじ手続てつづき一般いっぱん原則げんそくとして、現状げんじょう肯定こうていてき動議どうぎ現状げんじょう否定ひていてき動議どうぎでは現状げんじょう肯定こうていてき動議どうぎ優先ゆうせんしてけっするものとされる[21]動議どうぎ項目こうもく参照さんしょう)。日本にっぽんでも内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん優先ゆうせんして審議しんぎされ、信任しんにん決議けつぎあん可決かけつ不信任ふしんにん決議けつぎあん否決ひけつ同等どうとう意味いみつため、信任しんにん決議けつぎ可決かけつしてしまえば、通常つうじょう与党よとう多数たすうめる議院ぎいん運営うんえい委員いいんかいが、一事いちじ再議さいぎ原則げんそくによりその会期かいきちゅう閣僚かくりょう不信任ふしんにん決議けつぎあん上程じょうていしない名分めいぶんつ。後述こうじゅつのように、議事ぎじ手続てつづきじょう内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん個別こべつ国務大臣こくむだいじんたいする不信任ふしんにん決議けつぎあんとの関係かんけいについては内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん先決せんけつ案件あんけんとされており[22]内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ可決かけつ以後いご同一どういつ会期かいきちゅう個別こべつ国務大臣こくむだいじんたいする不信任ふしんにん決議けつぎあんについても一事いちじ再議さいぎ原則げんそくによって議決ぎけつようしないものとしてあつかわれる[22]

また、参議院さんぎいんにおいて内閣ないかく総理そうり大臣だいじんたいする問責もんせき決議けつぎ可決かけつされた場合ばあいにおいて、それにたいして衆議院しゅうぎいん内閣ないかく信任しんにんする意思いしあきらかにするために内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ可決かけつすることがある。

海外かいがいでは日本にっぽんほど党議とうぎ拘束こうそくきびしくないくにおおいため、内閣ないかく与党よとう執行しっこう必要ひつようせいたかいとかんがえる議案ぎあん内閣ないかく信任しんにんあんとの一括いっかつ議案ぎあんとして提出ていしゅつすることによって、反対はんたいまわりそうな与党よとう議員ぎいん賛成さんせい投票とうひょうをさせるためにもちいられることがある。

内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん提出ていしゅつには、採決さいけついたらなかったものをふくめ、現在げんざいまでに以下いかの3れいがある。

  • 1956ねん5月1にち日本国にっぽんこく憲法けんぽうはつとなる内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあんほん会議かいぎでの日程にってい追加ついか動議どうぎにより緊急きんきゅう上程じょうていされたが、どう動議どうぎ可決かけつ提出ていしゅつしゃ議案ぎあん撤回てっかいしたため、信任しんにん決議けつぎあんそのものの採決さいけつにはいたらなかった。
  • 1992ねん6月12にち(いわゆるPKO国会こっかい)、与党よとう自民党じみんとう宮澤みやざわ内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん提出ていしゅつ6月14にち公明党こうめいとう民社党みんしゃとう賛成さんせい可決かけつした。
  • 2008ねん6月11にち野党やとう多数たすうめる参議院さんぎいん福田ふくだ康夫やすお首相しゅしょう問責もんせき決議けつぎげん憲法けんぽうはじめて可決かけつされたことをけ、与党よとう自民党じみんとう公明党こうめいとう衆議院しゅうぎいん信任しんにん決議けつぎあん提出ていしゅつよく6月12にち可決かけつした。

信任しんにん決議けつぎあん場合ばあい採決さいけつ方法ほうほうほん会議かいぎまえ議院ぎいん運営うんえい委員いいんかいにおいてけっせられ、一般いっぱんてき採決さいけつ方法ほうほう記名きめい投票とうひょうであり、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあんとする議員ぎいん白色はくしょく木札きふだ白票はくひょう賛成さんせいひょう)を、とする議員ぎいん青色あおいろ木札きふだ青票せいひょう反対はんたいひょう)を投票とうひょうする(衆議院しゅうぎいん規則きそくだい153じょう参照さんしょう)。記名きめい投票とうひょう場合ばあいには「内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあんとする議員ぎいん氏名しめい」と「とする議員ぎいん氏名しめい」がそれぞれ会議かいぎろく掲載けいさいされる(衆議院しゅうぎいん規則きそくだい200じょうだい16ごう参照さんしょう)。

なお、信任しんにん決議けつぎあんについては議員ぎいんによる発議はつぎのほか内閣ないかくによる発議はつぎみとめられるかという論点ろんてんがあり、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ議院ぎいん意思いし表明ひょうめいのためのものであるとみて否定ひていてきする(議員ぎいんによる発議はつぎかぎるとする)消極しょうきょくせつ憲法けんぽうだい69じょう内閣ないかく衆議院しゅうぎいんたいして信任しんにんあたえるようもとめる権利けんりみとめたものとみて肯定こうていてきする積極せっきょくせつ学説がくせつかれている[23]。ただし、消極しょうきょくせつをとっても閣議かくぎ決定けっていされた内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん大臣だいじんである衆議院しゅうぎいん議員ぎいん議員ぎいん立場たちば所定しょてい要件ようけんたしたうえ提出ていしゅつすれば議院ぎいんあつかうべきであるから結論けつろんにおいておおきなはない[23]

決議けつぎ効果こうか

編集へんしゅう

先述せんじゅつのように内閣ないかく議会ぎかい信任しんにんようするとすることは議院ぎいんないかくせい核心かくしんてき原則げんそくである[2]内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん可決かけつされた場合ばあい内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん否決ひけつされた場合ばあいには内閣ないかく議会ぎかい信任しんにんけていることになるが、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつされた場合ばあい内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ否決ひけつされた場合ばあいには内閣ないかく議会ぎかいからの信任しんにんけていないこととなる。ほう制度せいどとしては、議会ぎかい不信任ふしんにん決議けつぎおこなった場合ばあいには当然とうぜん内閣ないかくそう辞職じしょくすべきとする制度せいどと、内閣ないかくそう辞職じしょく議会ぎかい解散かいさんかの二者択一にしゃたくいつとする制度せいどがある[3]日本国にっぽんこく憲法けんぽう後者こうしゃ制度せいど採用さいようし「内閣ないかくは、衆議院しゅうぎいん不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつし、また信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつしたときは、10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんされないかぎり、そう辞職じしょくをしなければならない」(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい69じょう)として、衆議院しゅうぎいん内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつまたは内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ否決ひけつされた場合ばあいにも無条件むじょうけんそう辞職じしょくとするのではなく10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんすれば一定いってい期間きかんないかく存在そんざいすることとしている[2]

内閣ないかくそう辞職じしょく選択せんたくした場合ばあいには、国会こっかいほうもとづいてただちにりょう議院ぎいんたいして通知つうちおこない、憲法けんぽう規定きていしたがって内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめい選挙せんきょおこなわれることになる(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい67じょうだい1こう)。

衆議院しゅうぎいん解散かいさん選択せんたくした場合ばあいには、解散かいさんから40にち以内いない衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょおこない、その選挙せんきょから30にち以内いない特別とくべつかい特別とくべつ国会こっかい)を召集しょうしゅうしなければならない(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい54じょうだい1こう)。ただ、そう選挙せんきょ結果けっかかかわらず憲法けんぽうは「衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょのちはじめて国会こっかい召集しょうしゅうがあったときは、内閣ないかくは、そう辞職じしょくをしなければならない」(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい70じょう)としている。その趣旨しゅしは、それまでの内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめいした衆議院しゅうぎいん存在そんざいしなくなり、衆議院しゅうぎいん議員ぎいんそう選挙せんきょによってあらたに衆議院しゅうぎいん構成こうせいされることになった以上いじょう、たとえ同一どういつもの内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめいされるとしても内閣ないかくあらたにその信任しんにん基礎きそるべきであるとの趣旨しゅしである[24]

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ衆議院しゅうぎいん解散かいさん関係かんけいについて、衆議院しゅうぎいん解散かいさん衆議院しゅうぎいん不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつしまたは信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつしたときにかぎられるとする学説がくせつ(69じょうせつ)もあるが、69じょうせつたいしては憲法けんぽうだい69じょう衆議院しゅうぎいん内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつあるいは内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ否決ひけつされた場合ばあい内閣ないかく進退しんたいについてさだめた規定きていで、内閣ないかく衆議院しゅうぎいん解散かいさん実質じっしつてき決定けっていけん主体しゅたいさだめた規定きていでもなければ解散かいさん制限せいげんした規定きていでもないとの批判ひはんがある[25]実務じつむじょう衆議院しゅうぎいん解散かいさん憲法けんぽうだい69じょう場合ばあい限定げんていされていない。

なお、衆議院しゅうぎいん解散かいさんについては7じょう解散かいさん69じょう解散かいさんとに分類ぶんるいして説明せつめいされることがある。ただし、憲法けんぽうじょう内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつ場合ばあいふくめ、憲法けんぽうだい69じょうによる場合ばあいかという解散かいさん理由りゆうわず衆議院しゅうぎいん解散かいさん天皇てんのう国事こくじ行為こういとして詔書しょうしょをもっておこなわれ[26][27]、その形式けいしきてきせんしめせけん憲法けんぽうじょう天皇てんのうにあり(日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい7じょう3ごう[25]解散かいさん詔書しょうしょ直接ちょくせつ法的ほうてき根拠こんきょ日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい7じょうにある[27][28]憲法けんぽう制定せいてい直後ちょくごには解散かいさんけん実質じっしつてき決定けっていけん所在しょざいをめぐっておおきな対立たいりつがあった背景はいけいから、1948ねん昭和しょうわ23ねん)の衆議院しゅうぎいん解散かいさん解散かいさん)の解散かいさん詔書しょうしょには「衆議院しゅうぎいんにおいて、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつした。よって内閣ないかく助言じょげん承認しょうにんにより、日本国にっぽんこく憲法けんぽうだいろくじゅうきゅうじょうおよだいななじょうにより、衆議院しゅうぎいん解散かいさんする。」と記載きさいされた。ただ、その衆議院しゅうぎいん解散かいさんにおける解散かいさん詔書しょうしょ文言もんごん内閣ないかく不信任ふしんにんあん可決かけつされた場合ばあいふくめていずれもたんに「日本国にっぽんこく憲法けんぽうだいななじょうにより、衆議院しゅうぎいん解散かいさんする。」という表現ひょうげんとなっている。これは衆議院しゅうぎいん解散かいさん詔書しょうしょをもっておこなわれるが、この詔書しょうしょ直接ちょくせつ根拠こんきょ日本国にっぽんこく憲法けんぽうだい7じょうにあり、また、この文言もんごん解散かいさん理由りゆうわないため、一般いっぱんてきには、いかなる場合ばあい衆議院しゅうぎいん解散かいさんについても適用てきようしうるものとほぐされているためである[13][27]。このようなことから今日きょう解散かいさん詔書しょうしょ文言もんごんは「日本国にっぽんこく憲法けんぽうだいななじょうにより、衆議院しゅうぎいん解散かいさんする。」という表現ひょうげん確立かくりつされている。実際じっさいには便宜べんぎてき意味合いみあいで「7じょう解散かいさん」と「69じょう解散かいさん」という分類ぶんるいもちいられることがある。ただ、「7じょう解散かいさん」と「69じょう解散かいさん」という分類ぶんるい一義的いちぎてきでなく文献ぶんけんによってことなった分類ぶんるい仕方しかたがなされており、内閣ないかく不信任ふしんにんあん可決かけつされたことをけて内閣ないかく解散かいさん選択せんたくした場合ばあいを69じょう解散かいさんとしそれ以外いがい場合ばあいを7じょう解散かいさんとして分類ぶんるいしている文献ぶんけん[29](この分類ぶんるいをとると69じょう解散かいさん現在げんざいまでに4れいということになる)がある一方いっぽうで、詔書しょうしょ文言もんごん基準きじゅんとしてだい2吉田よしだ内閣ないかくにおける解散かいさん後述こうじゅつ解散かいさん)がだい69じょうだい7じょうもとづく解散かいさんとしたうえ解散かいさんはすべて7じょう解散かいさんであるとして分類ぶんるいする文献ぶんけん[30]もある。

また内閣ないかく総理そうり大臣だいじん閣僚かくりょう訴追そつい同意どういけん悪用あくようする事態じたい法務大臣ほうむだいじん個別こべつ事件じけんについて検事けんじ総長そうちょうたいする指揮しきけん悪用あくようする事態じたいは、衆議院しゅうぎいん内閣ないかく不信任ふしんにんけんによって抑制よくせいされることになる[31]

一覧いちらん

編集へんしゅう

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん衆議院しゅうぎいん提出ていしゅつされた事例じれいにはつぎのものがある(太字ふとじ可決かけつされた内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんはす決議けつぎまえそう辞職じしょく解散かいさん起立きりつ採決さいけつ議案ぎあん撤回てっかい廃案はいあんなどの特異とくいてき事例じれい)。なお、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん否決ひけつされた実例じつれい現在げんざいのところ存在そんざいしない。

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんおよ内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん一覧いちらん
かい ほん会議かいぎ採決さいけつ 内閣ないかく 決議けつぎあん 採決さいけつ いや ひょう 備考びこう
4 1948ねん昭和しょうわ23ねん12月23にち だい2吉田よしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 可決かけつ 227 130 97 同日どうじつ衆議院しゅうぎいん解散かいさん解散かいさん
内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ記名きめい投票とうひょう可決かけつされた歴代れきだい最大さいだいひょう
7 1950ねん昭和しょうわ25ねん5月1にち だい3吉田よしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 143 256 113 2あん上程じょうてい一事いちじ再議さいぎにより2あん審議しんぎ不要ふよう
13 1952ねん昭和しょうわ27ねん6月26にち だい3吉田よしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 113 234 121 2あん上程じょうてい一事いちじ再議さいぎにより2あん審議しんぎ不要ふよう
15 1953ねん昭和しょうわ28ねん3月14にち だい4吉田よしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 可決かけつ 229 218 11 同日どうじつ衆議院しゅうぎいん解散かいさんバカヤロー解散かいさん
内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ記名きめい投票とうひょう可決かけつされた歴代れきだい最小さいしょうひょう
19 1954ねん昭和しょうわ29ねん4がつ24にち だい5吉田よしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 208 228 20 3あん上程じょうてい一事いちじ再議さいぎによりの2あん審議しんぎ不要ふよう
内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ記名きめい投票とうひょう否決ひけつされた歴代れきだい最小さいしょうひょう
20 1954ねん昭和しょうわ29ねん12月7にち[* 1] だい5吉田よしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうていまえ内閣ないかくそう辞職じしょく
24 1956ねん昭和しょうわ31ねん5月1にち だい3鳩山はとやま一郎いちろう内閣ないかく 信任しんにん 撤回てっかい - - - 議事ぎじ日程にっていへの追加ついか動議どうぎ可決かけつ趣旨しゅし弁明べんめいまえ提案ていあんしゃ撤回てっかい
1956ねん昭和しょうわ31ねん6月1にち だい3鳩山はとやま一郎いちろう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 151 258 107
26 1957ねん昭和しょうわ32ねん5月17にち だい1きし内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 151 249 98
28 1958ねん昭和しょうわ33ねん4がつ25にち[* 2] だい1きし内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうてい討論とうろんちゅう衆議院しゅうぎいん解散かいさんはな解散かいさん
31 1959ねん昭和しょうわ34ねん3月28にち だい2きし内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 142 253 111
38 1961ねん昭和しょうわ36ねん6月8にち[* 3] だい2池田いけだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうていまえ会期かいき終了しゅうりょう廃案はいあん
46 1964ねん昭和しょうわ39ねん6月24にち だい3池田いけだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 164 270 106
51 1966ねん昭和しょうわ41ねん5月14にち だい1佐藤さとう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 144 226 82
56 1967ねん昭和しょうわ42ねん8がつ7にち だい2佐藤さとう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 156 235 79
61 1969ねん昭和しょうわ44ねん7がつ30にち だい2佐藤さとう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 182 250 68
67 1971ねん昭和しょうわ46ねん12月24にち だい3佐藤さとう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 178 283 105
68 1972ねん昭和しょうわ47ねん6月15にち だい3佐藤さとう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 159 267 108
71 1973ねん昭和しょうわ48ねん9月22にち だい2田中たなか角栄かくえい内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 190 252 62
73 1974ねん昭和しょうわ49ねん7がつ31にち だい2田中たなか角栄かくえい内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 197 265 68
75 1975ねん昭和しょうわ50ねん7がつ3にち 三木みき内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 少数しょうすう 多数たすう 不明ふめい 起立きりつ採決さいけつ内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんたいして野党やとう日本にっぽん社会党しゃかいとう棄権きけんとの立場たちばをとったため記名きめい採決さいけつとせず起立きりつ採決さいけつ[32]
76 1975ねん昭和しょうわ50ねん12月19にち 三木みき内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 194 254 60
78 1976ねん昭和しょうわ51ねん11月4にち[* 3] 三木みき内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうていまえ会期かいき終了しゅうりょう廃案はいあん
88 1979ねん昭和しょうわ54ねん9月7にち[* 2] だい1大平おおひら内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうてい趣旨しゅし弁明べんめいまえ衆議院しゅうぎいん解散かいさん増税ぞうぜい解散かいさん
91 1980ねん昭和しょうわ55ねん5月16にち だい2大平おおひら内閣ないかく 不信任ふしんにん 可決かけつ 243 187 56 同月どうげつ19にち衆議院しゅうぎいん解散かいさんハプニング解散かいさん
96 1982ねん昭和しょうわ57ねん8がつ18にち 鈴木すずき内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 少数しょうすう 多数たすう 不明ふめい 起立きりつ採決さいけつ内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんたいして野党やとう日本にっぽん社会党しゃかいとう民社党みんしゃとう新自由しんじゆうクラブ・民主みんしゅ連合れんごう棄権きけんとの立場たちばをとったため記名きめい採決さいけつとせず起立きりつ採決さいけつ[33]
98 1983ねん昭和しょうわ58ねん5月24にち だい1中曽根なかそね内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 122 261 139
100 1983ねん昭和しょうわ58ねん11月28にち[* 2] だい1中曽根なかそね内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうてい趣旨しゅし弁明べんめいまえ衆議院しゅうぎいん解散かいさん田中たなか判決はんけつ解散かいさん
113 1988ねん昭和しょうわ63ねん12月23にち 竹下たけした内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 191 286 95
123 1992ねん平成へいせい4ねん6月14にち 宮澤みやざわ内閣ないかく 信任しんにん 可決かけつ 326 128 198 不信任ふしんにん決議けつぎあん1あん提出ていしゅつ
一事いちじ再議さいぎにより上程じょうてい不要ふよう
日本国にっぽんこく憲法けんぽうでははつ内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ採決さいけつ
126 1993ねん平成へいせい5ねん6月18にち 宮澤みやざわ内閣ないかく 不信任ふしんにん 可決かけつ 255 220 35 同日どうじつ衆議院しゅうぎいん解散かいさんうそつき解散かいさん
129 1994ねん平成へいせい6ねん6月25にち[* 1] 羽田はた内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - 可決かけつ確実かくじつなためほん会議かいぎ上程じょうていまえ内閣ないかくそう辞職じしょく
132 1995ねん平成へいせい7ねん6月13にち 村山むらやま内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 189 290 101
141 1997ねん平成へいせい9ねん12月11にち だい2橋本はしもと内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 219 268 49
142 1998ねん平成へいせい10ねん6月12にち だい2橋本はしもと内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 207 273 66
145 1999ねん平成へいせい11ねん8がつ11にち 小渕おぶち内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 134 354 220
147 2000ねん平成へいせい12ねん6月2にち[* 2] だい1森内もりうちかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうてい趣旨しゅし弁明べんめいまえ衆議院しゅうぎいん解散かいさんかみくに解散かいさん
150 2000ねん平成へいせい12ねん11月21にち だい2森内もりうちかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 190 237 47 加藤かとうらん
151 2001ねん平成へいせい13ねん3月5にち だい2森内もりうちかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 192 274 82
154 2002ねん平成へいせい14ねん7がつ30にち だい1小泉こいずみ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 185 280 95
156 2003ねん平成へいせい15ねん7がつ25にち だい1小泉こいずみ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 178 287 109
159 2004ねん平成へいせい16ねん6月15にち だい2小泉こいずみ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 193 280 87
162 2005ねん平成へいせい17ねん8がつ8にち[* 2] だい2小泉こいずみ内閣ないかく 不信任ふしんにん 未決みけつ - - - ほん会議かいぎ上程じょうてい趣旨しゅし弁明べんめいまえ衆議院しゅうぎいん解散かいさん郵政ゆうせい解散かいさん
165 2006ねん平成へいせい18ねん12月15にち だい1安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 134 335 201
166 2007ねん平成へいせい19ねん6月29にち だい1安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 130 330 200
169 2008ねん平成へいせい20ねん6月12にち 福田ふくだ康夫やすお内閣ないかく 信任しんにん 可決かけつ 336 10 326 前日ぜんじつ参議院さんぎいん首相しゅしょう問責もんせき決議けつぎ可決かけつ
記名きめい投票とうひょうにおける歴代れきだい最大さいだいひょう信任しんにん可決かけつされた歴代れきだい最大さいだいひょう
171 2009ねん平成へいせい21ねん7がつ14にち 麻生あそう内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 139 333 194 前日ぜんじつ21にちでの衆議院しゅうぎいん解散かいさん表明ひょうめい政権せいけん交代こうたい解散かいさん)、おな参議院さんぎいん首相しゅしょう問責もんせき決議けつぎ可決かけつ
174 2010ねん平成へいせい22ねん6月16にち かん直人なおと内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 153 315 162
177 2011ねん平成へいせい23ねん6月2にち かん直人なおと内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 152 293 141 否決ひけつふたた与党よとうない造反ぞうはんかんおろし)のうごきがき、決議けつぎあんさい提出ていしゅつ可否かひろんじられた
180 2012ねん平成へいせい24ねん8がつ9にち 野田のだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 86 246 160 野党やとう自民党じみんとう公明党こうめいとう賛成さんせいせず欠席けっせき
185 2013ねん平成へいせい25ねん12月6にち だい2安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 少数しょうすう 多数たすう 不明ふめい 起立きりつ採決さいけつ野党やとう日本にっぽん維新いしんかい不信任ふしんにん決議けつぎあん反対はんたいしたため規定きていすうたっせず起立きりつ採決さいけつ
189 2015ねん平成へいせい27ねん9月18にち だい3安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 139 325 186
190 2016ねん平成へいせい28ねん5月31にち だい3安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 124 345 221
192 2016ねん平成へいせい28ねん12月15にち だい3安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 119 342 223
193 2017ねん平成へいせい29ねん6月15にち だい3安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 123 342 219
196 2018ねん平成へいせい30ねん7がつ20日はつか だい4安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 135 320 185
198 2019ねんれい元年がんねん) 6がつ25にち だい4安倍あべ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 134 323 189
204 2021ねんれい3ねん) 6がつ15にち かんよしえら内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 134 322 188
208 2022ねんれい4ねん6月9にち だい2岸田きしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 106 346 240 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ記名きめい投票とうひょう否決ひけつされた歴代れきだい最大さいだいひょう
211 2023ねんれい5ねん) 6がつ16にち だい2岸田きしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 107 342 235
212 2023ねんれい5ねん) 12月13にち だい2岸田きしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 167 288 121
213 2024ねんれい6ねん) 6がつ20日はつか だい2岸田きしだ内閣ないかく 不信任ふしんにん 否決ひけつ 167 288 121

脚注きゃくちゅう

  1. ^ a b 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん国会こっかい提出ていしゅつされたが、内閣ないかくそう辞職じしょくしたため、ほん会議かいぎへは上程じょうていされなかったもの。日付ひづけ便宜上べんぎじょうそう辞職じしょくとした。
  2. ^ a b c d e 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん国会こっかい提出ていしゅつされたが、衆議院しゅうぎいん解散かいさんされたため、ほん会議かいぎでの採決さいけついたらなかったもの。日付ひづけ解散かいさんとした。
  3. ^ a b 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん国会こっかい提出ていしゅつされたが、ほん会議かいぎ上程じょうていまえ会期かいき終了しゅうりょうとなり廃案はいあんとなったもの。日付ひづけ会期かいき終了しゅうりょうとした。
  • 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん採決さいけつ最長さいちょう記録きろく - 海部かいふ内閣ないかく 818日間にちかん
  • 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん最多さいた採決さいけつ記録きろく - 安倍あべ内閣ないかく 9かい
  • 組閣そかくから内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん採決さいけつまでの最短さいたん記録きろく - かん直人なおと内閣ないかく 8にち組閣そかく:2010ねん6がつ8にち採決さいけつ:6月16にち採決さいけつ
  • そう選挙せんきょ直後ちょくご組閣そかくから内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん採決さいけつまでの最短さいたん記録きろく - だい4吉田よしだ内閣ないかく 134にち組閣そかく:1952ねん10がつ30にち組閣そかく採決さいけつ:1953ねん3がつ14にち
  • 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん否決ひけつからそう辞職じしょくまでの最短さいたん記録きろく - だい3佐藤さとう内閣ないかく 22にち不信任ふしんにん否決ひけつ:1972ねん6がつ15にちそう辞職じしょく:7がつ7にち
  • 内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎ提出ていしゅつから当時とうじ会期かいきまつまでの最長さいちょう日数にっすう - だい2森内もりうちかく 116にちまえ不信任ふしんにん採決さいけつ:2001ねん3がつ5にち会期かいきまつ:6月29にち

その論点ろんてん

編集へんしゅう

一事いちじ再議さいぎとの関係かんけい

編集へんしゅう

国会こっかいである議案ぎあん否決ひけつされた場合ばあいに、どういち会期かいきちゅうあらためて同一どういつ議案ぎあん提出ていしゅつすることは原則げんそくとしてできない(一事いちじ再議さいぎ原則げんそく)とする慣例かんれいがある。当然とうぜんこの原則げんそく内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあんにもおよぶ。これを利用りようし、内閣ないかく信任しんにん決議けつぎ可決かけつすることにより議事ぎじ妨害ぼうがい目的もくてきでの個別こべつ閣僚かくりょう不信任ふしんにん決議けつぎあん上程じょうてい阻止そしする戦術せんじゅつもちいられたこともあった(PKO国会こっかい)。ただし、事情じじょう変更へんこう原則げんそく適用てきようされる場合ばあい一事いちじ再議さいぎ例外れいがいとなるともされる。また、衆議院しゅうぎいんにおいてさき決議けつぎについての無効むこう確認かくにん議決ぎけつをすることが必要ひつようかどうかについても議論ぎろんがある[34]。いずれにせよ、再度さいど提出ていしゅつされた議案ぎあんほん会議かいぎ上程じょうていするかかの判断はんだん通常つうじょう議案ぎあん同様どうよう議院ぎいん運営うんえい委員いいんかいにおいておこなわれる。

なお、明治めいじ憲法けんぽうではだい39じょうにより一方いっぽういん否決ひけつされた議案ぎあんたいする一事いちじ再議さいぎ明文化めいぶんかされていた。

内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん可決かけつ以外いがいでも、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんたいして国会こっかい議員ぎいんとして「院内いんない秩序ちつじょみだした」ことを理由りゆう懲罰ちょうばつ動議どうぎ提出ていしゅつして、ほん会議かいぎで3ぶんの2以上いじょう賛成さんせい除名じょめい処分しょぶんにすることによって、国会こっかい議員ぎいん資格しかく喪失そうしつかたちで「内閣ないかく総理そうり大臣だいじんけたとき」として内閣ないかくそう辞職じしょくむことは理論りろんじょう可能かのうである[注釈ちゅうしゃく 2]

閣僚かくりょうたいする不信任ふしんにん決議けつぎ

編集へんしゅう

内閣ないかく全体ぜんたいではなく個々ここ閣僚かくりょうたいする不信任ふしんにん決議けつぎもありうるが、法的ほうてき辞職じしょく強制きょうせいするものではなく憲法けんぽうだい69じょうのような効果こうかしょうじることもない[23][35]。ただし、個々ここ閣僚かくりょうたいする不信任ふしんにん決議けつぎがあった場合ばあいに、これを内閣ないかくにおいて内閣ないかく全体ぜんたい基本きほん政策せいさくたいする不信任ふしんにん意思いし表示ひょうじであるとみて衆議院しゅうぎいん解散かいさんしあるいはそう辞職じしょくをすることは可能かのうであるとほぐされている[10]

閣僚かくりょう不信任ふしんにん決議けつぎ可決かけつれいは1952ねんだい6だい通産つうさん大臣だいじん池田いけだ勇人はやとたいする決議けつぎのみであるが、決議けつぎけて池田いけだ大臣だいじん任意にんい辞任じにんしている。

なお、内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん個別こべつ国務大臣こくむだいじんたいする不信任ふしんにん決議けつぎあんとの関係かんけいについては内閣ないかく不信任ふしんにん決議けつぎあん内閣ないかく信任しんにん決議けつぎあん先決せんけつ案件あんけんとされており[22]以後いご同一どういつ会期かいきちゅう個別こべつ国務大臣こくむだいじんたいする不信任ふしんにん決議けつぎあんについても一事いちじ再議さいぎ原則げんそくによって議決ぎけつようしないものとしてあつかわれることになる[22]

参議院さんぎいんにおける問責もんせき決議けつぎ

編集へんしゅう

参議院さんぎいん問責もんせき決議けつぎおこなわれることがあるが、こちらは基本きほんてき合議ごうぎたい内閣ないかくたいしてでなく内閣ないかく総理そうり大臣だいじんなど個別こべつ国務大臣こくむだいじんたいするものとなっている。1954ねん昭和しょうわ29ねん)4がつ23にち参議院さんぎいんほん会議かいぎで「法務大臣ほうむだいじん検事けんじ総長そうちょうたいする指揮しきけん発動はつどうかん内閣ないかく警告けいこくするの決議けつぎあん」が可決かけつされたれいはある[6][36]。しかし、これらの決議けつぎには政治せいじてき効果こうかのみで法的ほうてき拘束こうそくりょくはない[6]憲法けんぽうだい69じょうは「衆議院しゅうぎいんで」と規定きていしており、参議院さんぎいんで「不信任ふしんにん」のした内閣ないかく問責もんせき決議けつぎしても憲法けんぽう69じょうのような法的ほうてき効果こうかみとめられないとほぐされている[7]

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう

編集へんしゅう

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうしたにおいては内閣ないかくまたは特定とくてい大臣だいじん責任せきにん追及ついきゅうする手段しゅだんとして「不信任ふしんにん決議けつぎ」と「弾劾だんがいてき上奏じょうそう」があった[37]

不信任ふしんにん決議けつぎ

編集へんしゅう

およそ議事ぎじ機関きかん法令ほうれいじょう根拠こんきょ有無うむわず一定いってい問題もんだいにつき意思いし表示ひょうじ意思いし表明ひょうめいおこなうことができるとされ、その場合ばあい一般いっぱんてきもちいられる形式けいしき決議けつぎである[38]大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうにおいても内閣ないかく特定とくてい国務大臣こくむだいじんたいする不信任ふしんにん決議けつぎおこなうことができたが法律ほうりつじょう効力こうりょくをもつものではなかった[37]

ただ、政治せいじじょう効果こうかについて美濃部みのべ達吉たつきち内閣ないかくまたは対象たいしょうとなった特定とくてい大臣だいじん辞職じしょくするか衆議院しゅうぎいん解散かいさんするのいずれかにするほかはないとかいしていた[37]

弾劾だんがいてき上奏じょうそう

編集へんしゅう

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうにおいては、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんおよ国務大臣こくむだいじん任免にんめんけん天皇てんのうゆうしていた(大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうだい10じょう)。帝国ていこく議会ぎかい衆議院しゅうぎいん天皇てんのうたいして現在げんざい政府せいふ信任しんにんしていないむねについて上奏じょうそう議院ぎいんほうだい51じょうだい52じょう)をおこなうという形式けいしき天皇てんのう善処ぜんしょもとめることができた。

上奏じょうそう法的ほうてき強制きょうせいりょくかったが、帝国ていこく議会ぎかい両院りょういん上奏じょうそうけん大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうだい49じょうによって保障ほしょうされている以上いじょうなんらかの対応たいおう必要ひつようがあり、結果けっかてきとき内閣ないかくそう辞職じしょく衆議院しゅうぎいん解散かいさん、もしくは天皇てんのう詔勅しょうちょくによる仲裁ちゅうさい事実じじつじょう政府せいふがわ譲歩じょうほ)などの措置そちることになった。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ 1948ねん与党よとうない調整ちょうせいととのわないうちに衆議院しゅうぎいん予算よさん委員いいんかい政府せいふ予算よさんあん撤回てっかい動議どうぎ可決かけつされたことが契機けいきとなって、内閣ないかくそう辞職じしょくした事例じれいはある。
  2. ^ 国会こっかい議員ぎいん資格しかく喪失そうしつした内閣ないかく総理そうり大臣だいじん地位ちいについて法律ほうりつでは明記めいきされていないが、2000ねん4がつ25にち参議院さんぎいん予算よさん委員いいんかいだい59だい内閣ないかく法制ほうせいきょく長官ちょうかん津野つのおさむは『「内閣ないかく総理そうり大臣だいじん国会こっかい議員ぎいんたる地位ちいうしなった場合ばあい」は「内閣ないかく総理そうり大臣だいじんけたとき」に該当がいとうする』と答弁とうべんし、また首相しゅしょう官邸かんていのHPでは内閣ないかく総理そうり大臣だいじん国会こっかい議員ぎいんでなくなった場合ばあいは「内閣ないかく総理そうり大臣だいじん失格しっかく」として「内閣ないかく総理そうり大臣だいじんけたとき」に該当がいとうし、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん国会こっかい議員ぎいんくなった場合ばあい内閣ないかくそう辞職じしょくしなければならないとしている。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ a b c d e 松澤まつざわ (1987) p.120
  2. ^ a b c d 阿部あべ (1991) p.228
  3. ^ a b 阿部あべ (1991) p.230
  4. ^ 行政ぎょうせい制度せいど研究けんきゅうかいへん (1983) p.122
  5. ^ 国会こっかい議事ぎじにおける表決ひょうけつすうについては樋口ひぐち中村なかむら佐藤さとう浦部うらべ (1998) pp.118-119も参照さんしょう
  6. ^ a b c 佐藤さとう (1984) p.842
  7. ^ a b 松澤まつざわ (1987) pp.122-123
  8. ^ 参議院さんぎいん総務そうむ委員いいんかい調査ちょうさしつへん (2009) p.319
  9. ^ a b 伊藤いとう (1995) p.522
  10. ^ a b 佐藤さとう (1984) p.844
  11. ^ a b 衆議院しゅうぎいん先例せんれいしゅう 平成へいせい15年版ねんばん 2.3.13 (373) p.456
  12. ^ 松澤まつざわ (1987) p.341
  13. ^ a b 浅野あさの河野こうの (2003) p.35
  14. ^ 参議院さんぎいん総務そうむ委員いいんかい調査ちょうさしつへん (2009) p.118
  15. ^ a b c 浅野あさの河野こうの (2003) p.85
  16. ^ 松澤まつざわ (1987) p.524
  17. ^ a b 松澤まつざわ (1987) p.526
  18. ^ 松澤まつざわ (1987) pp.526-530
  19. ^ 松澤まつざわ (1987) pp.526-527
  20. ^ 内閣ないかく不信任ふしんにんあん起立きりつ採決さいけつ 戦後せんご3れいの「略式りゃくしき 共同通信社きょうどうつうしんしゃ、2013ねん12月6にち2240ふん
  21. ^ 大塚おおつか (2007) p.247
  22. ^ a b c d 参議院さんぎいん総務そうむ委員いいんかい調査ちょうさしつへん (2009) p.320
  23. ^ a b c 松澤まつざわ (1987) p.121
  24. ^ 伊藤いとう (1995) p.518
  25. ^ a b 佐藤さとう (1991) p.58
  26. ^ 浅野あさの河野こうの (2003) pp.35-36
  27. ^ a b c 芦部あしべ (1984) pp.513-514
  28. ^ 浅野あさの河野こうの (2003) p.36
  29. ^ 詳細しょうさいについては福岡ふくおか (2010) p.131など参照さんしょう
  30. ^ 詳細しょうさいについては宮下みやした小竹こだけ (2005) p.20など参照さんしょう
  31. ^ 宮沢みやざわ (1978)
  32. ^ だい75かい国会こっかい 衆議院しゅうぎいん 議院ぎいん運営うんえい委員いいんかい だい34ごう 昭和しょうわ50ねん(1975ねん)7がつ3にち会議かいぎろく
  33. ^ だい96かい国会こっかい 衆議院しゅうぎいん 議院ぎいん運営うんえい委員いいんかい だい37ごう 昭和しょうわ57ねん(1982ねん)8がつ18にち会議かいぎろく
  34. ^ 激論げきろん!クロスファイア、2011ねん7がつ23にち
  35. ^ 伊藤いとう (1995) p.523
  36. ^ 松澤まつざわ (1987) p.123
  37. ^ a b c 美濃部みのべ (1926) (1999ねん復刻ふっこくばん) pp.309-310
  38. ^ 松澤まつざわ (1987) p.156

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 浅野あさの一郎いちろう河野こうのひさしん国会こっかい事典じてん用語ようごによる国会こっかいほう解説かいせつ有斐閣ゆうひかく、2003ねん
  • 芦部あしべ信喜しきへん演習えんしゅう憲法けんぽうあおりん書院しょいん、1984ねん
  • 阿部あべあきらあおりん教科書きょうかしょシリーズ 憲法けんぽう 改訂かいていあおりん書院しょいん、1991ねん
  • 伊藤いとうただしおのれ憲法けんぽう だいさんはん弘文こうぶんどう、1995ねん
  • 大塚おおつか康男やすお議会ぎかいじんっておきたい危機きき管理かんりじゅつ』ぎょうせい、2007ねん
  • 行政ぎょうせい制度せいど研究けんきゅうかいへん現代げんだい行政ぎょうせい全集ぜんしゅう1政府せいふ』ぎょうせい、1983ねん
  • 佐藤さとういさお新版しんぱん 憲法けんぽうした)』有斐閣ゆうひかく、1984ねん
  • 佐藤さとう幸治こうじへんようせつコンメンタール 日本国にっぽんこく憲法けんぽう三省堂さんせいどう、1991ねん
  • 参議院さんぎいん総務そうむ委員いいんかい調査ちょうさしつへん議会ぎかい用語ようご事典じてん学陽書房がくようしょぼう、2009ねん
  • 衆議院しゅうぎいん先例せんれいしゅう 平成へいせい15年版ねんばん 2.3.13 (373)
  • 樋口ひぐち陽一よういち中村なかむら睦男むつお佐藤さとう幸治こうじ浦部うらべほう注解ちゅうかい法律ほうりつがく全集ぜんしゅう3 憲法けんぽうIII(だい41じょうだい75じょう)』あおりん書院しょいん、1998ねん
  • 福岡ふくおか政行まさゆきわる!政治せいじのしくみ』PHP研究所けんきゅうじょ、2010ねん
  • 松澤まつざわ浩一こういち議会ぎかいほう』ぎょうせい、1987ねん
  • 美濃部みのべ達吉たつきち憲法けんぽう撮要さつよう 改訂かいていだい5はん有斐閣ゆうひかく、1926ねん(1999ねん復刻ふっこくばん
  • 宮沢みやざわしゅんよし『コンメンタールぜんてい日本国にっぽんこく憲法けんぽう日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、1978ねん
  • 宮下みやしたただしやす小竹こだけ雅子まさこ『もっとりたい!国会こっかいガイド』岩波書店いわなみしょてん、2005ねん

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう