民社党みんしゃとう

民社党みんしゃとう（みんしゃとう、略称りゃくしょう：民社みんしゃ、英えい: Democratic Socialist Party、略称りゃくしょう: DSP）は、かつて存在そんざいした日本にっぽんの政党せいとう。民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ、右派うは社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ政党せいとうである。

日本にっぽんの政党せいとう

民社党みんしゃとう Democratic Socialist Party
成立せいりつ年月日ねんがっぴ	1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）1月がつ24日にち
前身ぜんしん政党せいとう	日本にっぽん社会党しゃかいとう（一部いちぶ）
解散かいさん年月日ねんがっぴ	1994年ねん（平成へいせい6年ねん）12月9日にち
解散かいさん理由りゆう	新進党しんしんとうへの合流ごうりゅう
後継こうけい政党せいとう	新進党しんしんとう
本部ほんぶ所在地しょざいち	〒105 東京とうきょう都と港みなと区く虎ノ門とらのもん2丁目ちょうめ3番ばん13号ごう 第だい18森もりビル6階かい ※1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）12月24日にちより
政治せいじ的てき思想しそう・立場たちば	中道ちゅうどう - 中道ちゅうどう左派さは 議会ぎかい主義しゅぎ 右派うは社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ 社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ 民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ 社会しゃかい自由じゆう主義しゅぎ 福祉ふくし国家こっか 反共はんきょう主義しゅぎ
機関きかん紙し	『週刊しゅうかん民社みんしゃ』 『革新かくしん』（月刊げっかん誌し。後のちに『KAKUSHIN』に改称かいしょう）
国際こくさい組織そしき	社会しゃかい主義しゅぎインターナショナル

西尾にしお末広すえひろ、片山かたやま哲あきら、水谷みずたに長三郎ちょうさぶろうら日本にっぽん社会党しゃかいとうを離党りとうした右派うはの国会こっかい議員ぎいんによって、1960年ねん1月がつ24日にちに結成けっせいされた。結成けっせい時じの党名とうめいは民主みんしゅ社会党しゃかいとう（みんしゅしゃかいとう）。反はん共産きょうさん主義しゅぎ・反はんソ連それんを掲かかげる。1969年ねん11月に改称かいしょうし、1994年ねん12月、新進党しんしんとうの結成けっせいに伴ともない解散かいさんした。

沿革えんかくと概要がいよう

結党けっとう

1960年ねん1月がつ24日にち、民主みんしゅ社会党しゃかいとうの結党けっとう大会たいかいが九段会館くだんかいかんで開催かいさいされた。

1959年ねん6月の参院さんいん選せん敗北はいぼくの総括そうかつと60年ねん安保あんぽ闘争とうそうの運動うんどう方針ほうしんをめぐって、同年どうねん10月がつ18日にちに社会党しゃかいとう右派うはの西尾にしお末広すえひろ派はが日本にっぽん社会党しゃかいとうから脱党だっとう。再建さいけん同志どうし会かいを結成けっせいした。さらに同おなじ右派うはの河上かわかみ丈たけ太郎たろう派はの一部いちぶも同調どうちょうし離党りとう。

1960年ねん1月がつ24日にち、民主みんしゅ社会党しゃかいとう（みんしゅしゃかいとう）の結党けっとう大会たいかいが九段会館くだんかいかんで開催かいさいされた。西尾にしお末広すえひろが中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん長ちょう（党首とうしゅ）に、曽祢そね益えきが書記しょき長ちょうに就任しゅうにんした。結党けっとう時じの国会こっかい議員ぎいんの参加さんか者しゃは衆議院しゅうぎいん38人にん、参議院さんぎいん16人にん。その後ご断続だんぞく的てきに参加さんか者しゃがあり、最終さいしゅう的てきに衆議院しゅうぎいん40人にん、参議院さんぎいん17人にんとなった。1969年ねん11月に民社党みんしゃとうに名称めいしょうを改称かいしょうした。

民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎに基もとづき、混合こんごう経済けいざいによる福祉ふくし国家こっか建設けんせつを掲かかげ、共産きょうさん主義しゅぎに対たいする強つよい敵意てきいを特徴とくちょうとした。自みずからを国民こくみん勤労きんろう者しゃの党とうと規定きていし、「参加さんかする福祉ふくし」、減量げんりょう経営けいえいのための公務員こうむいん削減さくげん、官公労かんこうろうのストライキ規制きせいなどを主張しゅちょう。

当初とうしょは駐留ちゅうりゅうなき安保あんぽを唱となえ、のちには日米にちべい安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやくのより一いち層そうの強化きょうか、超ちょう法規ほうき発言はつげんで自民党じみんとう政権せいけんに解任かいにんされた栗栖くりす弘ひろし臣しん元もと統合とうごう幕僚ばくりょう会議かいぎ議長ぎちょうを支持しじして公認こうにん候補こうほにするなど、有事ゆうじ立法りっぽう制定せいていを掲かかげて自民党じみんとう以上いじょうに右翼うよく的てき・タカ派は的てきであったと評ひょうされるも、その一方いっぽうで、憲法けんぽう第だい9条じょう改訂かいていについては反対はんたいして野党やとう色いろの保持ほじを図はかっていた。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく中央ちゅうおう情報じょうほう局きょく (CIA) が、自由民主党じゆうみんしゅとう有力ゆうりょく者しゃや、社会党しゃかいとう右派うはを指さすとみられる「左派さは穏健おんけん勢力せいりょく」に資金しきん提供ていきょうし、民社党みんしゃとう結成けっせいを促うながしていたことが2006年ねん7月がつ18日にち、アメリカ国務省こくむしょうの外交がいこう史料しりょう集しゅうで公開こうかいされた。結党けっとうまでに7万まん5000ドルの資金しきん援助えんじょがあり、その後ごも毎年まいとし同どう程度ていどの援助えんじょがあったが、1964年ねんに打うち切きられたという。他た、財界ざいかいの支援しえんを受うけており、経団連けいだんれんが献金けんきんしていた。ただし、経団連けいだんれんは自民党じみんとうの十じゅう分ぶんの一いちという枠わくを設もうけていたため、基本きほん的てきには労働ろうどう組合くみあいからの支援しえん額がくが割合わりあいとしては大おおきかった。

民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎと反共はんきょう主義しゅぎ

「左右さゆうの全体ぜんたい主義しゅぎと対決たいけつ」を主張しゅちょうし、福祉ふくし国家こっか建設けんせつ、中産ちゅうさん階級かいきゅう国家こっかを理念りねんとしていた。党とうが掲かかげる「民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ」とは、革命かくめいを否定ひていして代議だいぎ制せい民主みんしゅ主義しゅぎを通つうじて労働ろうどう者しゃの権利けんり擁護ようご、福祉ふくし増進ぞうしんを行おこない、合法ごうほう的てき・民主みんしゅ的てきに社会しゃかい主義しゅぎの理想りそうを実現じつげんしていこうとする立場たちばであり、西欧せいおう・北欧ほくおうの社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ政党せいとうの理念りねんを手本てほんに、自みずからを国民こくみん政党せいとうと規定きていした。国際こくさい面めんでは各国かっこくの社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ・民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ政党せいとうが参加さんかする社会しゃかい主義しゅぎインターナショナルに加盟かめいした。結党けっとう時じは5年ねん以内いないの政権せいけん獲得かくとくを目標もくひょうとしていた。

「左右さゆうの全体ぜんたい主義しゅぎとの対決たいけつ」とは、共産きょうさん主義しゅぎとファシズムに反対はんたいするという意味いみだが、特とくに反共はんきょうを優先ゆうせんし、日本にっぽん共産党きょうさんとうを厳きびしく批判ひはんした。当時とうじは日本にっぽん社会党しゃかいとうもマルクス・レーニン主義しゅぎを色濃いろこく残のこしながら「社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ」を掲かかげ始はじめており、その違ちがいを強調きょうちょうするために、「民社党みんしゃとうの掲かかげる民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ」と社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎは違ちがうと主張しゅちょうした。

外交がいこうにおいても同様どうようであり、ソ連それんを糾弾きゅうだんする一方いっぽうで韓国かんこく、朴ぼく正煕せいき政権せいけんやスペイン、フランコ政権せいけんなど反共はんきょう反はんソで一致いっちすれば権威けんい主義しゅぎ的てきな体制たいせいも支持しじした。ソ連それんと同おなじ共産党きょうさんとう独裁どくさい国家こっかでも中ちゅうソ対立たいりつから当時とうじ米国べいこくに接近せっきんしていた中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくに訪中ほうちゅう団だんを派遣はけんして「民社党みんしゃとうは日にち中ちゅう関係かんけいの正常せいじょう化かをはばむ反動はんどう勢力せいりょくと対決たいけつして闘たたかう」として一ひとつの中国ちゅうごくを支持しじする共同きょうどう声明せいめいで日にち中ちゅう国交こっこう正常せいじょう化かに一役ひとやくを担にない、チリ・クーデター（リチャード・ニクソン米べい大統領だいとうりょうとCIAの支援しえんを受うけた軍部ぐんぶによるクーデターで選挙せんきょを通つうじて民主みんしゅ的てきに誕生たんじょうした社会しゃかい主義しゅぎ政府せいふが崩壊ほうかい）による新しん自由じゆう主義しゅぎ的てきなピノチェト政権せいけん成立せいりつの際さいに民社党みんしゃとう代表だいひょうとしてチリを視察しさつした塚本つかもと三郎さぶろう衆院しゅういん議員ぎいんが同どうクーデターを「天てんの声こえ」と絶賛ぜっさんするなど設立せつりつ経緯けいいからCIAと繋つながりを持もつ民社党みんしゃとうの親米しんべい姿勢しせいは鮮明せんめいだった。なお日本にっぽん社会党しゃかいとうはソ連それん、中国ちゅうごく、北朝鮮きたちょうせん、ベトナム、キューバなど東側ひがしがわ諸国しょこくの独裁どくさい国家こっかに親和しんわ的てきだったが、社会しゃかい主義しゅぎインターナショナルや西欧せいおう、北欧ほくおうの社民しゃみん主義しゅぎ政党せいとうは反共はんきょうであると同時どうじに、これらの軍事ぐんじ政権せいけんや開発かいはつ独裁どくさい政権せいけんなどを「支持しじしない」姿勢しせいを示しめしていた。

また、容共ようきょうでマルクス・レーニン主義しゅぎの総評そうひょうや統一とういつ労組ろうそ懇こんに対たいし、反はん全体ぜんたい主義しゅぎ、反共はんきょうの労働ろうどう組合くみあいである全日本ぜんにほん労働ろうどう組合くみあい会議かいぎ（全労ぜんろう会議かいぎ）を支持しじ母体ぼたいとし、1964年ねんに全労ぜんろう会議かいぎが全日本ぜんにほん労働ろうどう総そう同盟どうめい（同盟どうめい）と改組かいそされた後のちも支持しじ、協力きょうりょく関係かんけいは続つづいた。国くにの重要じゅうような安全あんぜん保障ほしょうを担になう防衛ぼうえいや電力でんりょく業界ぎょうかいとの繋つながりが密みつで、そのため民社党みんしゃとうも防衛ぼうえい力りょく維持いじや原発げんぱつ推進すいしんに熱心ねっしんであった。

国防こくぼうと憲法けんぽう認識にんしき

結党けっとう当初とうしょにおいては安保あんぽ改定かいていに反対はんたいするなど防衛ぼうえい問題もんだいでは社会党しゃかいとう右派うはに近ちかい立場たちばにあったが、日にち韓かん基本きほん条約じょうやくの批准ひじゅんでは自民党じみんとうに同調どうちょう。さらに民社党みんしゃとうブレーンだった蠟山政道せいどうらがまとめた日米にちべい安保あんぽ肯定こうてい論ろんが発表はっぴょうされた1968年ねん以降いこうは、自衛隊じえいたい合憲ごうけん・日米にちべい安保あんぽ維持いじ（ただし当初とうしょは「駐留ちゅうりゅうなき安保あんぽ」への転換てんかん、「事前じぜん協議きょうぎ」への拒否きょひ権けん付与ふよを主張しゅちょう）・国会こっかいの常任じょうにん委員いいん会かいとして防衛ぼうえい委員いいん会かいの設置せっちを主張しゅちょうするなどの方向ほうこうに動うごいた。1970年代ねんだいには自衛隊じえいたい合憲ごうけん確認かくにんの国会こっかい決議けつぎの必要ひつよう性せいや有事ゆうじ法制ほうせいの整備せいびを唱となえた。また、1986年ねんに政府せいふの国防こくぼう会議かいぎを改組かいそし、安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎを設置せっちする際さいには、その名称めいしょうを「国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎ」とするよう唱となえた。欧州おうしゅう社民しゃみん主義しゅぎ政党せいとうと同おなじく、軍備ぐんびを否定ひていしない立場たちばは、防衛ぼうえい関係かんけい労組ろうそとの繋つながりがあったことも要因よういんとなった。また政府せいふの集団しゅうだん的てき自衛じえい権けん解釈かいしゃく（保持ほじしているが行使こうしできない）を欺瞞ぎまん的てきと言いい切きり、憲法けんぽう上じょうは行使こうしが禁止きんしされていないのだから、政策せいさく論ろんとして行使こうし容認ようにんも含ふくめた国民こくみん的てき議論ぎろんを行おこなうことを政府せいふに呼よびかけていた。

憲法けんぽうへの姿勢しせいは、民社党みんしゃとう系けい護憲ごけん団体だんたい「新しん護憲ごけん」（憲法けんぽう擁護ようご新しん国民こくみん会議かいぎ）を設置せっちするなど護憲ごけんの立場たちばを取とり、1960年代ねんだい前半ぜんはんの内閣ないかく憲法けんぽう調査ちょうさ会かいへの参加さんかも見送みおくった。ただ、専守防衛せんしゅぼうえいに立たつ自衛隊じえいたいは合憲ごうけんとの立場たちばをとり、社会党しゃかいとうとの違ちがいを示しめした。1992年ねんには論ろん憲けんを前提ぜんていに党内とうないに「世界せかい平和へいわと憲法けんぽう問題もんだい特別とくべつ委員いいん会かい」を設置せっちし、翌年よくねん3月がつの同どう委員いいん会かいの中なか間あいだ報告ほうこくでは憲法けんぽう9条じょう2項こうを改正かいせいし、自衛隊じえいたい、文民ぶんみん統制とうせいの明文化めいぶんかや国際こくさい貢献こうけんの必要ひつよう性せいを提言ていげんしたが、支持しじ労組ろうその反発はんぱつもあり、改憲かいけんが党とうの方針ほうしんとなることはなかったが、先述せんじゅつの通とおり集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしは憲法けんぽう上じょう可能かのうとの立場たちばをとっていた。一方いっぽう、護憲ごけん団体だんたいだった「新しん護憲ごけん」は民社党みんしゃとう解党かいとう後ご、「論ろん憲けん会議かいぎ」を経へて、現在げんざいは改憲かいけん団体だんたいとなり「創憲そうけん会議かいぎ」に衣替ころもがえしている。

なお、「創憲そうけん会議かいぎ」は2005年ねん2月がつに「創憲そうけん」を考かんがえるための提言ていげん書しょを発表はっぴょう。国旗こっき・国歌こっかの明文化めいぶんか、再さい軍備ぐんびによる積極せっきょく的てきな国際こくさい貢献こうけん、徴兵ちょうへい制せい禁止きんし、首相しゅしょう権限けんげん強化きょうか、改憲かいけん要件ようけんの緩和かんわ（国会こっかいの発議はつぎで三さん分ぶんの二に以上いじょうの賛成さんせいを得えれば国民こくみん投票とうひょうは不要ふようとするなど）などを提唱ていしょうした。同年どうねん10月がつ、この提言ていげんに基もとづき、「創憲そうけん会議かいぎ　新しん憲法けんぽう草案そうあん」を発表はっぴょうした。

中道ちゅうどう提携ていけいと自民党じみんとう・社会党しゃかいとうとの関係かんけい

党勢とうせいは、結党けっとう直後ちょくごの1960年ねん11月の衆院しゅういん選せんで40から17議席ぎせきと大おおきく落おち込こんだ。その後ご、しばらくは20 - 30議席ぎせき前後ぜんこうで推移すいい。

1970年代ねんだい以降いこう、公明党こうめいとう・新自由しんじゆうクラブ・社会しゃかい民主みんしゅ連合れんごうの中道ちゅうどう政党せいとうが伸長しんちょうすると共ともに、これら諸しょ政党せいとうと協力きょうりょくする姿勢しせいを取とった。特とくに公明党こうめいとうとの「公民こうみん協力きょうりょく」は広ひろく行おこなわれたものの、成果せいかを出だすまでには至いたらなかった。そうした中なかでも多党たとう化か傾向けいこうが進展しんてんした1970年代ねんだい後半こうはんから1980年代ねんだい半なかばに掛かけて党勢とうせい回復かいふくに結実けつじつ。1983年ねん12月の第だい37回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょでは、追加ついか公認こうにんを含ふくめると衆院しゅういんで結党けっとう時じの党勢とうせいに迫せまる39議席ぎせきを獲得かくとくした。中道ちゅうどう結集けっしゅうこそが、1976年ねん12月、1979年ねん9月がつ、1983年ねん12月の衆院しゅういん総そう選挙せんきょで、自民党じみんとうを過半数割かはんすうわれさせる原動力げんどうりょくだったとも指摘してきされている。それに気きづいた自民党じみんとうは、1980年ねん6月がつ、1986年ねん7月がつに衆参しゅうさん同日どうじつ選挙せんきょに打うって出でて、いずれも大勝たいしょうする。これは、同日どうじつ選せんにすることで参院さんいんで選挙せんきょ協力きょうりょくが成立せいりつしても、衆院しゅういんの選挙せんきょ区くでは議席ぎせきを争あらそうことになり、勢力せいりょく結集けっしゅうが極きわめて困難こんなんになるためである。

社会党しゃかいとうとは何なん度ども和解わかいの試こころみがなされ、選挙せんきょ協力きょうりょくも行おこなったが、民社党みんしゃとうは原発げんぱつ・日米にちべい安保あんぽ容認ようにんを要求ようきゅうするのが常つねであった。社会党しゃかいとうは民社党みんしゃとう、公明党こうめいとうの要求ようきゅうに沿そい、共産党きょうさんとうと距離きょりを置おき、中道ちゅうどう左派さはによる野党やとう連携れんけいを取とろうとした。これを「社しゃ公民こうみん路線ろせん」と呼よぶ。

しかし、民社党みんしゃとうと公明党こうめいとうは1970年代ねんだいから国対こくたい政治せいじを始はじめた自民党じみんとうの田中たなか角栄かくえいらとの連携れんけいを築きずいたため、「自公民じこうみん路線ろせん」と呼よばれた。

1987年ねんの連合れんごう結成けっせいにより、社しゃ公民こうみん3党とうは再ふたたび接近せっきんし、1989年ねん7月がつの参院さんいん選せん、1990年ねん2月がつの衆院しゅういん選せん、1992年ねん7月がつの参院さんいん選せんでは社しゃ公民こうみん協力きょうりょくのため連合れんごうによる「連合れんごうの会かい」統一とういつ候補こうほが立たてられたほか、社会党しゃかいとう・民社党みんしゃとう・社民連しゃみんれんの歴史れきし的てき和解わかいと再さい統合とうごうも議論ぎろんされた。

しかし、各かく選挙せんきょで社会党しゃかいとうが伸長しんちょう、逆ぎゃくに民社党みんしゃとうは惨敗ざんぱいし、「連合れんごうの会かい」統一とういつ候補こうほも民社党みんしゃとう系けいは軒並のきなみ落選らくせんした。このため、両者りょうしゃの関係かんけい悪化あっかは決定的けっていてきとなった。

1989年ねん参院さんいん選せん直後ちょくごの内閣ないかく総理そうり大臣だいじん指名しめい選挙せんきょで、与野党よやとう逆転ぎゃくてんした参議院さんぎいんでは社会党しゃかいとうの土井どいたか子こ委員いいん長ちょうが指名しめいされた（衆議院しゅうぎいんの優越ゆうえつにより、自民党じみんとうの海部かいふ俊樹としきが選出せんしゅつ）。決選けっせん投票とうひょうでは、野党やとうの多おおくは共産党きょうさんとうも含ふくめ土井どいに投票とうひょうしたが、民社党みんしゃとうは白票はくひょうを投とうじた。

公明党こうめいとうに対たいする認識にんしきの差異さい

公明党こうめいとうとの距離きょりをめぐっては、党内とうないに対立たいりつがあった。西村にしむら栄一えいいち、佐々木ささき良作りょうさく、永末ながすえ英一ひでかずなどは公明党こうめいとうとの連携れんけいを主張しゅちょうし、中道ちゅうどう新党しんとう構想こうそうを提唱ていしょうしたり、社しゃ公民こうみん路線ろせんを目指めざしたのに対たいし、春日かすが一幸かずゆき、塚本つかもと三郎さぶろう、大内おおうち啓伍けいごなどは公明党こうめいとうと距離きょりを置おき、自民党じみんとうと連携れんけいしようとした。

公明党こうめいとうとの連携れんけい派はは衆議院しゅうぎいん中ちゅう選挙せんきょ区く制せいのもとで、同おなじ選挙せんきょ区くに公明党こうめいとう候補こうほがなく、公明党こうめいとう（創価学会そうかがっかい）の全面ぜんめん支援しえんで議席ぎせきを得えた議員ぎいんが多おおいのに対たいし、公明党こうめいとうと距離きょりを置おいたグループは、同おなじ選挙せんきょ区くで公明党こうめいとうと議席ぎせきを争あらそった議員ぎいんが多おおい。ただ、1970年代ねんだい以降いこう、民みん公こう両りょう党とう間あいだの一部いちぶで選挙せんきょ協力きょうりょくを行おこない、中道ちゅうどう勢力せいりょくの連携れんけいを図はかった。

非ひ自民じみん・非ひ共産きょうさん政権せいけんへの連立れんりつ参加さんか、解党かいとう

1993年ねん7月がつの第だい40回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで自民党じみんとうが過半数かはんすうを割わり、同年どうねん8月がつ、社会しゃかい・新生しんせい・公明こうめい・日本にっぽん新しん・民社みんしゃ・さきがけ・社民連しゃみんれん・民改連みんかいれんの8党派とうはによる細川ほそかわ内閣ないかくが発足ほっそくして民社党みんしゃとうは初はじめて与党よとうとなった。民社党みんしゃとう委員いいん長ちょうの大内おおうち啓伍けいごが厚生こうせい大臣だいじんに就任しゅうにんし、入閣にゅうかくした。

続つづく羽田はた内閣ないかくでも大内おおうちが厚相こうしょうに留任りゅうにんしたが、発足ほっそく直後ちょくごに社会党しゃかいとうが連立れんりつ政権せいけんから離脱りだつし、羽田はた内閣ないかくは少数しょうすう与党よとう政権せいけんに転落てんらく。わずか2ヶ月かげつで退陣たいじんに追おい込こまれ、自社じしゃさ連立れんりつ政権せいけんの村山むらやま内閣ないかく発足ほっそくにより、民社党みんしゃとうは10ヶ月かげつで野党やとうに転落てんらくした。

同年どうねん12月がつ、新進党しんしんとう結党けっとうにより解党かいとうし、約やく35年ねんの歴史れきしに幕まくを下おろした。35年間ねんかん、遂ついに結党けっとう時じの議席ぎせき数すうを超こえられないままであった。なお、新進党しんしんとうへの公明党こうめいとう・創価学会そうかがっかいの参加さんかに反発はんぱつした塚本つかもと三郎さぶろう、大内おおうち啓伍けいごら（それぞれ霊友会れいゆうかい、立正佼成会りっしょうこうせいかいから支援しえんを受うけていた）は新進党しんしんとうに参加さんかせず、自民党じみんとうへ入党にゅうとうした。

旧きゅう民社党みんしゃとう系けい勢力せいりょくは、新進党しんしんとうへの合流ごうりゅうにあたり、新党しんとうに社会しゃかい主義しゅぎインターナショナルへの加盟かめいを求もとめたものの却下きゃっかされた。

解党かいとう後ご

1990年代ねんだいの政党せいとうの離合りごう集散しゅうさん

詳細しょうさいは「民社みんしゃ協会きょうかい」を参照さんしょう

民社党みんしゃとう解党かいとうと同時どうじに政治せいじ団体だんたい「民社みんしゃ協会きょうかい」が結成けっせいされ、大半たいはんの議員ぎいんが新進党しんしんとうに合流ごうりゅう。新進党しんしんとう解党かいとう後ごは、多おおくが新党しんとう友愛ゆうあい、民主党みんしゅとう、民進党みんしんとうを経へて国民こくみん民主党みんしゅとうに参加さんかした。一部いちぶ、自民党じみんとうに移籍いせきした者ものもいる。

民社党みんしゃとう全国ぜんこく青年せいねん部ぶは国際こくさい社会しゃかい主義しゅぎ青年せいねん同盟どうめい (IUSY) に加盟かめいしていたが、民社党みんしゃとうの解党かいとう後ごは民社みんしゃゆーす2001（後のちに「民社みんしゃユース」）と改称かいしょうした。2003年ねんに解散かいさんし、IUSY加盟かめい権けんのみを継承けいしょうし民社みんしゃユースとは無関係むかんけいという形かたちで社会しゃかい主義しゅぎ青年せいねんフォーラムが結成けっせいされた。なお、社会しゃかい主義しゅぎ青年せいねんフォーラムは、2005年ねん7月がつから9月がつにかけて旧きゅう民社みんしゃ系けいの役員やくいんが辞任じにんや脱退だったいし他ほかの役員やくいんに交代こうたい。その後ご、2006年ねん1月がつのチリ大統領だいとうりょう選せんに関かんする声明せいめいで、チリ社会党しゃかいとう候補こうほミシェル・バチェレの当選とうせんを歓迎かんげいし、1973年ねん9月がつ11日にちのチリ社会党しゃかいとうサルバドール・アジェンデ政権せいけんに対たいするアウグスト・ピノチェトのクーデターを民社党みんしゃとうが擁護ようごしたことにつき誤あやまりであった旨むねを公式こうしきに示しめしたが、その後ご2008年ねん3月がつの臨時りんじ総会そうかいをもって解散かいさんした。民社みんしゃユース末期まっきから解散かいさんにかけて、構成こうせい員いんの大だい多数たすうは民社みんしゃ人権じんけん会議かいぎに結集けっしゅう、以前いぜんから取とり組くんでいた北朝鮮きたちょうせんによる日本人にっぽんじん拉致らち問題もんだいをバックアップする運動うんどうに参加さんかした。

国会こっかいでは2016年ねんの第だい24回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょで直ちょく嶋しま正行まさゆきが、2017年ねんの第だい48回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょで川端かわばた達夫たつおと高木たかぎ義明よしあきが、2022年ねんの第だい26回かい参議院さんぎいん議員ぎいん通常つうじょう選挙せんきょで柳田やなぎだ稔みのるが引退いんたいしたため、民社党みんしゃとうでの国会こっかい議員ぎいん歴れきのある現職げんしょく議員ぎいんは国会こっかいから姿すがたを消けすこととなった。民社党みんしゃとうでの党員とういん歴れきのある現職げんしょく国会こっかい議員ぎいんには国民こくみん民主党みんしゅとうの川合かわい孝典たかのり、自民党じみんとうの山谷やまたにえり子こ、高木たかぎ啓あきら、立憲りっけん民主党みんしゅとうの渡辺わたなべ周あまね、熊谷くまがい裕人ひろとがいる。

党名とうめい改称かいしょう問題もんだい

1985年ねん4月がつ、党とう委員いいん長ちょうとなった塚本つかもと三郎さぶろうは、「民社党みんしゃとう」の党名とうめいから社会しゃかい主義しゅぎを連想れんそうする「社しゃ」の部分ぶぶんを外はずし、「民主党みんしゅとう」などに改称かいしょうしようとしたが、春日かすが一幸かずゆき、佐々木ささき良作りょうさくらに猛もう反対はんたいされて実現じつげんされなかった。

永末ながすえ英一ひでかずが委員いいん長ちょうになると、「われわれは、ソーシャリストの集団しゅうだんです」と言明げんめいし、原点げんてん回帰かいきを目指めざしたが、米沢よねざわ隆たかしらは「民社みんしゃの『社しゃ』は社会しゃかいではなく会社かいしゃの『社しゃ』」と反論はんろんした。大内おおうち啓伍けいご委員いいん長ちょう時代じだいも党名とうめいから「社しゃ」を外はずし「民主党みんしゅとう」などに変かえようとしたが、古参こさん幹部かんぶや学者がくしゃ、同盟どうめい系けい労組ろうその反対はんたいで頓挫とんざ。それに替かわって、大内おおうちは「民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ」「社会しゃかい主義しゅぎ」の文言もんごんを極力きょくりょく使つかわない手法しゅほうを用もちい、“社会しゃかい主義しゅぎ離ばなれ”を図はかった。

社会しゃかい主義しゅぎを避さけたがる勢力せいりょくと、あくまで民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎの正統せいとう派はたらんとする勢力せいりょくに二分にぶんされたことが、この党とうの性格せいかくを曖昧あいまいでわかりにくいものにした。このため、ブレーンの学者がくしゃの中なかにも、「民主みんしゅ社会党しゃかいとうではなく、民間みんかん会社かいしゃ党とうになってしまう」との嘆なげきが聞きかれたこともある。

その一方いっぽうで、この曖昧あいまいさが共産きょうさん主義しゅぎにも資本しほん主義しゅぎにも与くみしない独自どくじ路線ろせんであるともいえ、また創価学会そうかがっかいという後うしろ盾たてを持もつ公明党こうめいとうとの差別さべつ化かがなされていた。

北朝鮮きたちょうせん拉致らち問題もんだいでの役割やくわり

最初さいしょに北朝鮮きたちょうせんの拉致らち疑惑ぎわくを国会こっかいで取とり上あげたのは、1988年ねん1月がつの衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎにおける当時とうじの民社党みんしゃとう委員いいん長ちょう塚本つかもと三郎さぶろうの代表だいひょう質問しつもんである（1980年ねんの公明党こうめいとう参議院さんぎいん議員ぎいんの和泉いずみ照雄てるおが拉致らち問題もんだいに連つらなるアベック失踪しっそう事件じけんに関かんして参議院さんぎいん決算けっさん委員いいん会かいで質問しつもんをしたことがあるが、質疑しつぎ応答おうとうにおいて北朝鮮きたちょうせんという国名こくめいは出でなかった）。その後ごも、西村にしむら眞しん悟さとるや荒木あらき和博かずひろなど旧きゅう民社党みんしゃとう関係かんけい者しゃが積極せっきょく的てきに拉致らち被害ひがい者しゃ救出きゅうしゅつのための活動かつどうに取とり組くんでいる。また、民主党みんしゅとう政権せいけん発足ほっそく後ごは拉致らち問題もんだい担当たんとう大臣だいじんに中井なかい洽ひろし、柳田やなぎだ稔みのる、中野なかの寛成かんせい、田中たなか慶けい秋あきと旧きゅう民社党みんしゃとうの出身しゅっしん者しゃが就任しゅうにんした。

政策せいさくの歴史れきし

1960年代ねんだい

（以下いか、『民社党みんしゃとうの光ひかりと影かげ』を参照さんしょう）

「その理念りねんは、民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎに基もとづき、資本しほん主義しゅぎをあらため、左右さゆうの全体ぜんたい主義しゅぎに対決たいけつし、個人こじん人格じんかくの自由じゆうな発展はってんをもたらす社会しゃかいの実現じつげん」である。

「そのための改革かいかくの目標もくひょうは、政治せいじの秩序ちつじょ、経済けいざいの秩序ちつじょ、社会しゃかい生活せいかつの秩序ちつじょ、教育きょういくと文化ぶんか、国際こくさい秩序ちつじょにあり、この変革へんかくを通つうじて福祉ふくし国家こっかを建設けんせつする。特とくに外交がいこうと安全あんぜん保障ほしょうについては、自主じしゅ独立どくりつの立場たちばから、自国じこくを守まもるためには最小限さいしょうげんの自衛じえい措置そちを必要ひつよう」とする。

1. 「西欧せいおうの社会しゃかい主義しゅぎ政党せいとうが参加さんかしている社会しゃかい主義しゅぎインターの反はん共産きょうさん主義しゅぎの立場たちば」を採とる。
   • 「自由じゆうで民主みんしゅ的てきな社会しゃかい、公正こうせいな福祉ふくし社会しゃかいをめざした民社党みんしゃとうにとって許ゆるされざるものは左右さゆうの全体ぜんたい主義しゅぎであった」。
2. 「議会ぎかい制せい民主みんしゅ主義しゅぎに立たって暴力ぼうりょくの連鎖れんさになる革命かくめい論ろんを否定ひてい」。
   • 「審議しんぎ拒否きょひは原則げんそくとして行おこなわず、審議しんぎを尽つくす。つまり反対はんたいの法案ほうあんであっても社会党しゃかいとうのように、暴力ぼうりょく的てきな阻止そし活動かつどうはしない」。
   • 1967年ねん10月がつ8日にち、新しん左翼さよくによる暴力ぼうりょく的てき街頭がいとうデモを批判ひはんし、「破壊はかいと革命かくめいの学生がくせい運動うんどうから、創造そうぞうと改革かいかくの学生がくせい運動うんどうへ」をスローガンとした。
   • 「社会党しゃかいとうのように対案たいあんを示しめさず『反対はんたいのための反対はんたい』をすることはしない、という方針ほうしん」。
3. 「階級かいきゅうを超こえ、すべての国民こくみんに支ささえられる国民こくみん政党せいとうにならなければ政権せいけん党とうにはなれないと主張しゅちょう」（「階級かいきゅう的てき大衆たいしゅう政党せいとう」論ろん）。
   • 階級かいきゅう革命かくめい論ろんのような絶対ぜったい主義しゅぎを否定ひていし、二に者しゃ以上いじょうの相互そうごに存在そんざいを認みとめ共存きょうぞんすることを前提ぜんていとする相対そうたい主義しゅぎを採用さいよう。
4. 「国防こくぼうに対たいする現実げんじつ的てきな路線ろせん…自衛隊じえいたいの存在そんざいの肯定こうてい」。
5. 「院外いんがいの大衆たいしゅう運動うんどうは議会ぎかい政治せいじの補完ほかん」。
   • 「民社党みんしゃとうは、他たの野党やとうとの「院内いんない共闘きょうとう」はやっても、院外いんがい共闘きょうとうは原則げんそくとしてやらなかった。」。
6. 「政党せいとうと労組ろうそとの関係かんけいに節度せつどを保たもち、相互そうごの支配しはい関係かんけいを否定ひてい」。
7. 「野党やとうの国際こくさい活動かつどうに自制じせい的てき態度たいどをとり、いわゆる「超党派ちょうとうは外交がいこう」を推進すいしん」。

1970年代ねんだい

1. 責任せきにん野党やとう路線ろせんを強調きょうちょう。1978年ねん運動うんどう方針ほうしんでは「伯仲はくちゅう時代じだいの野党やとうに対たいする要請ようせいは、その決断けつだんと行動こうどうが、国民こくみん生活せいかつや政府せいふの重要じゅうような政策せいさく決定けっていに、より直接的ちょくせつてきな影響えいきょうを及およぼす事態じたいが増大ぞうだいし、したがって政党せいとう間あいだの思想しそう的てき、政策せいさく的てき相違そういの存在そんざいを前提ぜんていとしつつも、その相違そういを強調きょうちょうしあうことよりも、お互たがいの共通きょうつう点てんを追求ついきゅうすることによって、国家こっかや国民こくみんの現実げんじつ的てき利益りえきを守まもろうとする立場たちばにたつことである」とされている。国家こっかと国民こくみんにとってプラスであれば、与党よとう提案ていあんであったとしても、民社党みんしゃとうは推進すいしんするのである。これについて、梅澤うめざわ昇平しょうへい教授きょうじゅによれば、「与党よとう自民党じみんとうにとっては『単独たんどく採決さいけつ』で押おし切きったのかどうかが気きになるところであった。世論せろんを押おし切きって、１党とうだけで強行きょうこうした、というのはまずい。少すくなくても外国がいこくとの関係かんけいでは最悪さいあくのパターンとなる。そこで、民社党みんしゃとうが審議しんぎに応おうじてくれるかどうかに強つよい関心かんしんがあったようだ。」と評論ひょうろんしている。条約じょうやくの締結ていけつにおいては、自民党じみんとうだけでなく、野党やとうのうち一ひとつが賛成さんせいすることが外務省がいむしょうの省益しょうえきになることもあり、自民党じみんとう外交がいこう部ぶから重宝ちょうほうされた時代じだいでもあった。
2. 牛歩ぎゅうほ戦術せんじゅつの否定ひてい。
3. あくまで政権せいけん交代こうたいをめざすことを維持いじ。結党けっとう時じに「政権せいけんをとらぬ政党せいとうはネズミをとらぬネコのようなものであり、ナンセンスである」と西尾にしお末広すえひろ委員いいん長ちょうは演説えんぜつしたが、万まん年ねん野党やとうを批判ひはんし、政界せいかい再編さいへんを目指めざす。ただし、共産党きょうさんとうとの共闘きょうとうは排除はいじょする。
4. 公明党こうめいとうとの本格ほんかく的てきな選挙せんきょ協力きょうりょくを展開てんかい。これは「公明党こうめいとうの協力きょうりょくなしでは当選とうせんできない議員ぎいんができた」ためである。
5. 有事ゆうじ法制ほうせいの整備せいび。1978年ねん、栗栖くりす弘ひろし臣しん統幕とうばく僚長の発言はつげんを受うけて、陸海空りくかいくうの3幕僚ばくりょう長ちょうを聴取ちょうしゅし、有事ゆうじ法制ほうせいの整備せいびの先頭せんとうに立たった。当時とうじ、自衛隊じえいたいは有事ゆうじでも交通こうつう信号しんごうを守まもらなければならないといった信しんじられない状況じょうきょうが続つづいていたのであり、そこで自衛隊じえいたい員いんを守まもるための法ほう整備せいびに着手ちゃくしゅしたのが民社党みんしゃとうである。

1980年代ねんだい

1. 「勤労きんろう者しゃの福祉ふくし国家こっか建設けんせつ構想こうそう」を維持いじ。
2. 消費しょうひ税法ぜいほう案あんは条件じょうけん闘争とうそうとし、法案ほうあん成立せいりつを認みとめる。その条件じょうけんとしてサラリーマンへの課税かぜい偏重へんちょうを是正ぜせいする税制ぜいせい案あんを引ひき出だしたことで知しられる。また弾力だんりょく条項じょうこうを導入どうにゅうしたのも民社党みんしゃとうである。
3. 昭和しょうわ天皇てんのう崩御ほうぎょにともない、「民社党みんしゃとうは日本にっぽんの伝統でんとうの要ようである皇室こうしつに対たいして最大限さいだいげんの敬意けいいを評ひょうした」。
4. マルクス主義まるくすしゅぎのいう「国家こっか悪あく」理論りろんを否定ひていするとともに、ルソー流りゅうの国家こっか論ろんを否定ひていし、ラスキの多元的たげんてき国家こっか論ろんに接近せっきん。「権力けんりょく機構きこうとしての国家こっか自体じたいは、なんらの道徳どうとく的てき価値かちをもつものではない」ことを党とうの基本きほん原理げんりとしており、マルクス主義まるくすしゅぎに対抗たいこうしている。また、国民こくみん共同きょうどう体たいである国家こっかの存在そんざいを重視じゅうしするので、安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくも現実げんじつ的てき路線ろせんを重視じゅうしするようにと理論りろん的てきに導みちびき出だしていた。非ひ武装ぶそう政策せいさくを否定ひていし、現実げんじつ的てきな平和へいわ論ろんに依よって立たつ。そのため当初とうしょは日米にちべい安保あんぽ体制たいせいに消極しょうきょく的てきであったが、しだいに積極せっきょく的てき評価ひょうかへ転換てんかんする。
5. 産業さんぎょう政策せいさくを推進すいしんし、石油せきゆショックという問題もんだいに対応たいおうして特別とくべつ立法りっぽうを制定せいてい。自由じゆう市場いちば優先ゆうせんの自民党じみんとう、国有こくゆう国こく管かんの社しゃ共どもと異ことなり、自由じゆう市場いちばを基本きほんとしつつ、政府せいふが外部がいぶ不ふ経済けいざいを補正ほせいするという路線ろせんを採とる。
6. 教育きょういく臨調りんちょうを提唱ていしょうし、中曽根なかそね内閣ないかく時じに推進すいしんされた。
7. 大学だいがく基本きほん法ほうを提唱ていしょうし、教育きょういく基本きほん法ほうを改正かいせい。
8. 謝罪しゃざい外交がいこうを批判ひはん。
9. 老人ろうじん保健ほけん法ほう制定せいていに賛成さんせい。老人ろうじん医療いりょうの安定あんてい化かを目指めざしたが、この点てんでは社しゃ共どもから攻撃こうげきを受うけていた。
10. 大おおきな政府せいふから効率こうりつ的てきな政府せいふへの転換てんかん。小ちいさな政府せいふではなく、行政ぎょうせい改革かいかくによる効率こうりつ性せいを重視じゅうしする。ただし、「党とうとして新しん自由じゆう主義しゅぎを肯定こうていしたことはない」。

1990年代ねんだい

1. 「民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎの理念りねんは、「自由じゆう、公正こうせい、友愛ゆうあい」の理念りねんであると定義ていぎ」。社会しゃかい主義しゅぎインターが1989年ねんに定さだめた「民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎは自由じゆう、社会しゃかい正義まさよし、連帯れんたいを求もとめる国際こくさい的てき運動うんどうである」という定義ていぎに合致がっちしている。
2. 英国えいこく労働党ろうどうとうにならい、第だい三さんの道みちを模索もさくする。これは多元的たげんてきな政治せいじ思想しそうの模索もさくなのであり、「全すべてが一致いっちすることはない。むしろ、すべてが一致いっちすることは『おかしい』と認識にんしきするのが民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎの思想しそう的てき系譜けいふの伝統でんとうである」と眞鍋まなべ貞樹さだき教授きょうじゅが端はし的てきに民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎの理念りねんを記しるしている。
3. タブーなしの憲法けんぽう論議ろんぎの推進すいしん。ただし、「さすがの民社党みんしゃとうも憲法けんぽう改正かいせいについては党内とうないはまとまらず、改正かいせい論議ろんぎはタブー視ししないに留とどまっている」とある（p.169）。なお民社党みんしゃとう出身しゅっしんの川端かわばた達夫たつおは2017年ねんに「憲法けんぽうを変かえさせてはいけないということ。憲法けんぽうを子こや孫まごの代だいまで引ひき継ついで手渡てわたしたい。」と述のべているが、民社党みんしゃとうと語かたる会かいの創憲そうけん主義しゅぎとの間あいだに齟齬そごがある。
4. 非ひ武装ぶそう中立ちゅうりつ路線ろせんなどの幻想げんそう的てき政策せいさくを排除はいじょして、現実げんじつ的てき安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを推進すいしん。1992年ねん、国連こくれんのカンボジアへのPKO派遣はけんについて、自由民主党じゆうみんしゅとう、民社党みんしゃとう、公明党こうめいとうの三さん党とうで二に年ねん近ちかくかけて法案ほうあんを成立せいりつさせた。対たいする社会党しゃかいとうは憲法けんぽう違反いはんとして牛歩ぎゅうほ戦術せんじゅつを採用さいようした。しかし、民社党みんしゃとうは「国際こくさい貢献こうけんのためには人的じんてき貢献こうけんが不可欠ふかけつであること、その中心ちゅうしんは自己じこ完結かんけつできる自衛隊じえいたい以外いがいにはないこと、憲法けんぽう条文じょうぶんにも、国際こくさい社会しゃかいで名誉めいよある地位ちいを占しめたいと思おもう、とあり、憲法けんぽうの精神せいしんに合致がっちすること」を理由りゆうにして、PKOへの自衛隊じえいたいの派遣はけんを政府せいふに要求ようきゅうしたのである。
5. 民社党みんしゃとうは「創憲そうけん」、公明党こうめいとうは「加か憲けん」を党是とうぜとしていた。政策せいさく研究けんきゅうフォーラム（旧きゅう民社みんしゃ研けん）の法律ほうりつ学者がくしゃや民社党みんしゃとうと語かたる会かいのメンバーが創憲そうけん会議かいぎをつくり、『新しん憲法けんぽう草案そうあん』を平成へいせい18年ねんに発表はっぴょうしている。

2000年代ねんだい

1. 民主党みんしゅとうの旧きゅう民社党みんしゃとう議員ぎいんによって構成こうせいされる「創憲そうけん会議かいぎ」により『新しん憲法けんぽう草案そうあん』が公表こうひょうされている（2005年ねん）。これは『国くにを創つくる 憲法けんぽうを創つくる―新しん憲法けんぽう草案そうあん』という題だいが付ふされ、市販しはんされている。前文ぜんぶんと序章じょしょう、計けい 11 章しょう 116 条じょうで構成こうせいされている。序章じょしょう、第だい1章しょう天皇てんのう、第だい2章しょう権利けんりおよび義務ぎむ、第だい3章しょう立法りっぽう権けん、第だい4章しょう執政しっせい権けん、第だい5章しょう司法しほう権けん、第だい6章しょう憲法けんぽう裁判所さいばんしょ、第だい7章しょう財政ざいせい、第だい8章しょう地方ちほう自治じち、第だい9章しょう改正かいせい、第だい10章しょう最高さいこう法規ほうきとなっている。『「日本にっぽん型がた・第だい三さんの道みち」を求もとめて』という章しょうでは、自民党じみんとうの憲法けんぽう草案そうあんとの比較ひかくがされている。

民社党みんしゃとうの防衛ぼうえい政策せいさく

1. 1965年ねん、国会こっかいに常任じょうにんの防衛ぼうえい委員いいん会かいを設置せっちするように働はたらきかけ、26年ねんをかけて、1991年ねんに実現じつげんしている。シビリアン・コントロールを確立かくりつした。
2. 1968年ねん、『自主じしゅ防衛ぼうえいの五ご原則げんそく』を発表はっぴょうし、1970年ねんに中曽根なかそね防衛ぼうえい長官ちょうかんが「専守防衛せんしゅぼうえい」という概念がいねんを採択さいたくした。
3. 1978年ねん、有事ゆうじ法ほう制度せいどの整備せいびを要求ようきゅうし、25年ねんをかけて、2003年ねんの武力ぶりょく攻撃こうげき事態じたい対処たいしょ法ほうとして実現じつげんした。
4. 1985年ねん、防衛ぼうえい予算よさんの「総額そうがく明示めいじ方式ほうしき」を採用さいようし、当時とうじGNP１％枠わく内ないに押おし込こめられていた防衛ぼうえい予算よさんの拡大かくだいを達成たっせい。
5. 政府せいふ解釈かいしゃくを変更へんこうして集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんを行使こうしできるようにした方ほうがよいのではないかという提言ていげんを「民社党みんしゃとうと語かたる会かい」より受うけ、党とうの方針ほうしんの一ひとつとした。
6. 憲法けんぽう改正かいせいについては「さすがの民社党みんしゃとうも憲法けんぽう改正かいせいについては党内とうないはまとまらず、改正かいせい論議ろんぎはタブー視ししないに留とどまっている」としている。

役職やくしょく

歴代れきだいの中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん長ちょう（党首とうしゅ）

代だい	委員いいん長ちょう		在任ざいにん期間きかん
1		西尾にしお末広すえひろ	1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）1月がつ - 1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）6月がつ
2		西村にしむら栄一えいいち	1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）6月がつ - 1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）4月がつ
3		春日かすが一幸かずゆき	1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）8月がつ - 1977年ねん（昭和しょうわ52年ねん）11月
4		佐々木ささき良作りょうさく	1977年ねん（昭和しょうわ52年ねん）11月 - 1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）4月がつ
5		塚本つかもと三郎さぶろう	1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）4月がつ - 1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）2月がつ
6		永末ながすえ英一ひでかず	1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）2月がつ - 1990年ねん（平成へいせい2年ねん）4月がつ
7		大内おおうち啓伍けいご	1990年ねん（平成へいせい2年ねん）4月がつ - 1994年ねん（平成へいせい6年ねん）6月がつ
8		米沢よねざわ隆たかし	1994年ねん（平成へいせい6年ねん）6月がつ - 1994年ねん（平成へいせい6年ねん）12月

• は民社党みんしゃとうが政権せいけん獲得かくとくした時点じてんでの代表だいひょう。
• は民社党みんしゃとうが政権せいけんを失うしなった時点じてんでの代表だいひょう。

歴代れきだいの中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん会かい、執行しっこう部ぶ役員やくいん表ひょう

民社党みんしゃとう中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん会かい
大会たいかい	中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん長ちょう	中央ちゅうおう執行しっこう 副ふく委員いいん長ちょう	執行しっこう部ぶ書記しょき長ちょう	政策せいさく審議しんぎ会長かいちょう	国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょう	参議院さんぎいん議員ぎいん会長かいちょう
1	西尾にしお末広すえひろ	—	曾禰益えき	今いま澄きよし勇いさむ	春日かすが一幸かずゆき	天田あまだ勝正かつまさ
4	西尾にしお末広すえひろ	伊藤いとう卯四郎うしろう	西村にしむら栄一えいいち	竹本たけもと孫一まごいち	佐々木ささき良作りょうさく	天田あまだ勝正かつまさ
8	西村にしむら栄一えいいち	—	春日かすが一幸かずゆき	竹本たけもと孫一まごいち	佐々木ささき良作りょうさく	天田あまだ勝正かつまさ
10	西村にしむら栄一えいいち	—	佐々木ささき良作りょうさく	竹本たけもと孫一まごいち	池田いけだ禎ただし治ち	向井むかい長年ながとし
-	（佐々木ささき良作りょうさく）	—	佐々木ささき良作りょうさく	竹本たけもと孫一まごいち	池田いけだ禎ただし治ち	向井むかい長年ながとし
13	春日かすが一幸かずゆき	—	佐々木ささき良作りょうさく	竹本たけもと孫一まごいち	池田いけだ禎ただし治ち	向井むかい長年ながとし
15	春日かすが一幸かずゆき	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお	佐々木ささき良作りょうさく	竹本たけもと孫一まごいち	池田いけだ禎ただし治ち	向井むかい長年ながとし
-	春日かすが一幸かずゆき	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお	（塚本つかもと三郎さぶろう）	竹本たけもと孫一まごいち	池田いけだ禎ただし治ち	向井むかい長年ながとし
16	春日かすが一幸かずゆき	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお 佐々木ささき良作りょうさく	塚本つかもと三郎さぶろう	竹本たけもと孫一まごいち	池田いけだ禎ただし治ち	向井むかい長年ながとし
17	春日かすが一幸かずゆき	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお 佐々木ささき良作りょうさく	塚本つかもと三郎さぶろう	河村かわむら勝まさる	佐々木ささき良作りょうさく	向井むかい長年ながとし
18	佐々木ささき良作りょうさく	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお	塚本つかもと三郎さぶろう	大内おおうち啓伍けいご	玉置たまき一徳かずのり	向井むかい長年ながとし
-	佐々木ささき良作りょうさく	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお	塚本つかもと三郎さぶろう	大内おおうち啓伍けいご	永末ながすえ英一ひでかず	向井むかい長年ながとし
19	佐々木ささき良作りょうさく	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお 向井むかい長年ながとし	塚本つかもと三郎さぶろう	大内おおうち啓伍けいご	永末ながすえ英一ひでかず	三治さんじ重信しげのぶ
20	佐々木ささき良作りょうさく	小平こだいら忠ただし 中村なかむら正雄まさお	塚本つかもと三郎さぶろう	大内おおうち啓伍けいご	永末ながすえ英一ひでかず	三治さんじ重信しげのぶ
22	塚本つかもと三郎さぶろう	永末ながすえ英一ひでかず	大内おおうち啓伍けいご	米沢よねざわ隆たかし	小沢おざわ貞さだ孝こう	藤井ふじい恒男つねお
24	永末ながすえ英一ひでかず	河村かわむら勝まさる 三治さんじ重信しげのぶ 抜山ぬきやま映子えいこ	米沢よねざわ隆たかし	中野なかの寛成かんせい	吉田よしだ之の久ひさし	藤井ふじい恒男つねお
-	永末ながすえ英一ひでかず	河村かわむら勝まさる 三治さんじ重信しげのぶ 抜山ぬきやま映子えいこ	米沢よねざわ隆たかし	中野なかの寛成かんせい	神田かんだ厚あつし	藤井ふじい恒男つねお
25	大内おおうち啓伍けいご	田渕たぶち哲也てつや 西村にしむら章三しょうぞう 抜山ぬきやま映子えいこ	米沢よねざわ隆たかし	中野なかの寛成かんせい	神田かんだ厚あつし	吉田よしだ之の久ひさし
-	大内おおうち啓伍けいご	田渕たぶち哲也てつや 西村にしむら章三しょうぞう 抜山ぬきやま映子えいこ	米沢よねざわ隆たかし	中野なかの寛成かんせい	青山あおやま丘たかし	吉田よしだ之の久ひさし
27	米沢よねざわ隆たかし	吉田よしだ之の久ひさし 安倍あべ基はじめ雄ゆう 西村にしむら章三しょうぞう 抜山ぬきやま映子えいこ	中野なかの寛成かんせい	伊藤いとう英成えいせい	青山あおやま丘たかし	吉田よしだ之の久ひさし

閣僚かくりょう経験けいけん者しゃ等とう

（）内ないは入閣にゅうかく直前ちょくぜんの党とう役職やくしょく

細川ほそかわ内閣ないかく

• 国務大臣こくむだいじん

厚生こうせい大臣だいじん：大内おおうち啓伍けいご（中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん長ちょう）

• 政務次官せいむじかん

文部もんぶ政務次官せいむじかん：安倍あべ基はじめ雄ゆう

建設けんせつ政務次官せいむじかん：伊藤いとう英成えいせい

羽田はた内閣ないかく

• 国務大臣こくむだいじん

法務大臣ほうむだいじん：中井なかい洽ひろし 1994年ねん5月がつ8日にち -

厚生こうせい大臣だいじん：大内おおうち啓伍けいご（中央ちゅうおう執行しっこう委員いいん長ちょう）

防衛庁ぼうえいちょう長官ちょうかん：神田かんだ厚あつし（国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょう）

• 政務次官せいむじかん

大蔵おおくら政務次官せいむじかん：北橋きたはし健治けんじ

文部もんぶ政務次官せいむじかん：勝木かつき健司けんじ

党勢とうせいの推移すいい

衆議院しゅうぎいん

選挙せんきょ	当選とうせん/候補者こうほしゃ	定数ていすう	備考びこう
（結党けっとう時じ）	21/-	467	入党にゅうとう+40
第だい29回かい総そう選挙せんきょ	17/105	467
第だい30回かい総そう選挙せんきょ	23/59	467
第だい31回かい総そう選挙せんきょ	30/60	486
第だい32回かい総そう選挙せんきょ	31/68	486	追加ついか公認こうにん+1
第だい33回かい総そう選挙せんきょ	19/65	491	沖縄おきなわ社会しゃかい大衆たいしゅう党とうより移籍いせき+1
第だい34回かい総そう選挙せんきょ	29/51	511
第だい35回かい総そう選挙せんきょ	35/53	511	追加ついか公認こうにん+1
第だい36回かい総そう選挙せんきょ	32/50	511	追加ついか公認こうにん+1
第だい37回かい総そう選挙せんきょ	38/54	511	追加ついか公認こうにん+1
第だい38回かい総そう選挙せんきょ	26/56	512
第だい39回かい総そう選挙せんきょ	14/44	512
第だい40回かい総そう選挙せんきょ	15/28	511	追加ついか公認こうにん+4

参議院さんぎいん

選挙せんきょ	当選とうせん/候補者こうほしゃ	非ひ改選かいせん	定数ていすう	備考びこう
（結党けっとう時じ）	12/-	-	250	入党にゅうとう+17
第だい6回かい通常つうじょう選挙せんきょ	5/24	7	250
第だい7回かい通常つうじょう選挙せんきょ	3/21	4	250
第だい8回かい通常つうじょう選挙せんきょ	7/16	3	250
第だい9回かい通常つうじょう選挙せんきょ	6/11	7	252
第だい10回かい通常つうじょう選挙せんきょ	5/14	5	252
第だい11回かい通常つうじょう選挙せんきょ	6/11	5	252
第だい12回かい通常つうじょう選挙せんきょ	6/11	6	252	死去しきょ-1、追加ついか公認こうにん+1
第だい13回かい通常つうじょう選挙せんきょ	6/32	6	252	追加ついか公認こうにん+1
第だい14回かい通常つうじょう選挙せんきょ	5/27	7	252
第だい15回かい通常つうじょう選挙せんきょ	3/25	5	252	追加ついか公認こうにん+1
第だい16回かい通常つうじょう選挙せんきょ	4/20	5	252	当選とうせん無効むこう-1、追加ついか公認こうにん+1

（参考さんこう文献ぶんけん：石川いしかわ真澄ますみ（一部いちぶ山口やまぐち二郎じろうによる加筆かひつ）『戦後せんご政治せいじ史し』2004年ねん8月がつ、岩波書店いわなみしょてん・岩波いわなみ新書しんしょ、ISBN 4-00-430904-2）

• 当選とうせん者しゃに追加ついか公認こうにんは含ふくまず。追加ついか公認こうにんには会派かいはに加くわわった無所属むしょぞくを含ふくむ。

民社党みんしゃとうと文化ぶんか人じん

民社党みんしゃとうは文化ぶんか人じんが関かかわることが多おおかった。1962年ねん4月がつには、『人生じんせい劇場げきじょう』を描えがいた尾崎おざき士郎しろう、日本にっぽんミュージカルの草分くさわけを担になった菊田きくた一夫かずお、NHKの長寿ちょうじゅ番組ばんぐみ『国会こっかい討論とうろん会かい』（現げん『日曜にちよう討論とうろん』）の司会しかいを務つとめた唐島からしま基もと智さとし三さん、平林ひらばやしたい子こ文学ぶんがく賞しょうでおなじみの平林ひらばやしたい子こなど文化ぶんか人じんたちが「民社党みんしゃとうを励はげます会かい」を発起ほっきしている。平林ひらばやしたい子こは、民主みんしゅ社会しゃかい協会きょうかいの理事りじも務つとめている。また、民社党みんしゃとうはキャンペーンガールを公募こうぼしていた時期じきもあり、その中なかからは女優じょゆうの市川いちかわ翔子しょうこや、のちにブルーリボン賞しょう主演しゅえん女優じょゆう賞しょうに飾かざられた片岡かたおか礼子あやこなどを輩出はいしゅつした。

評価ひょうか

1980年代ねんだい後半こうはんから1990年代ねんだいになると党勢とうせいが行いき詰づまり、看板かんばんの政策せいさく理念りねんだった「福祉ふくし国家こっか」路線ろせんも、日常にちじょう生活せいかつに密着みっちゃくした個別こべつ具体ぐたい的てきな福祉ふくし施策しさくとしては公明党こうめいとうの福祉ふくし社会しゃかいトータルプランに先さきを越こされ、かつて福祉ふくし国家こっかを完全かんぜん否定ひていしていた共産党きょうさんとう・社会党しゃかいとう左派さはや、別べつの角度かくどから否定ひていしていた自民党じみんとうと中央ちゅうおう・地方ちほう官庁かんちょうも、生活せいかつ要求ようきゅう型がたの福祉ふくしスローガンを掲かかげたため次第しだいに独自どくじ性せいを失うしなっていった。

そこで民社党みんしゃとうは「労働ろうどう福祉ふくし」をメインとする観点かんてんから転換てんかんを模索もさくした。「消費しょうひ者しゃ」に的まとを絞しぼり、宮澤みやざわ内閣ないかくが打うち出だした資産しさん倍増ばいぞう論ろんのベースだった「生活せいかつ大国たいこくづくり」より数すう年ねん前まえに、「生活せいかつ先進せんしん国こくづくり」という概念がいねんを打うち出だした。組織そしき労働ろうどう者しゃもしくは未み組織そしきを含ふくめた労働ろうどう者しゃを軸じくとしながらも、そこには収おさまりきらない幅広はばひろい層そうの国民こくみんにアピールすることを狙ねらった民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎの新しん解釈かいしゃくとも言いえた。経済けいざい力りょくは世界せかい第だい二に位いながら、庶民しょみんの暮くらしぶりはその水準すいじゅんに達たっしないのは、消費しょうひ財ざいを含ふくむ内外ないがい価格かかく差さのためであることに目めをつけた。しかし自民党じみんとうとの連立れんりつ志向しこうが強つよい春日しゅんじつ・塚本つかもと・大内おおうち派はと、社しゃ公民こうみん連れんによる政権せいけん交代こうたいを目指めざし社会党しゃかいとうの現実げんじつ路線ろせん転換てんかんの遅おくれに目めをつぶる佐々木ささき・永末ながすえ・米沢よねざわ派はの抗こう争そうが激化げきかし、十分じゅうぶんに議論ぎろんを深ふかめられなかった。

1987年ねんの連合れんごう結成けっせいによる労働ろうどう運動うんどうの理念りねん的てき統一とういつで、それ以降いこう、社会党しゃかいとう、民社党みんしゃとう、社民連しゃみんれん、連合れんごう参議院さんぎいん（のちの民主改革連合みんしゅかいかくれんごう）などと、社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ＝民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ勢力せいりょく結集けっしゅうの社会しゃかい的てき基盤きばんが整ととのい、ようやく西欧せいおう的てき福祉ふくし国家こっか路線ろせんの国くにづくりをする土台どだいができあがろうとした時期じきはあった。しかし社会党しゃかいとうが、結果けっかとして与党よとう・自民党じみんとうの議席ぎせきではなく他ほかの野党やとうの議席ぎせきを奪うばったために、「社しゃ公民こうみん路線ろせん」の社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ勢力せいりょくを主体しゅたいとした政権せいけん交代こうたいの可能かのう性せいをさらに遠とおざけてしまった。さらに近親きんしん憎悪ぞうおもあり、民社党みんしゃとうは「社しゃ公民こうみん路線ろせん」による非ひ自民じみん・非ひ共産きょうさん連立れんりつ政権せいけん成立せいりつと政策せいさく転換てんかんを捨すて、「自公民じこうみん路線ろせん」プラスアルファの「政策せいさく転換てんかんなき政権せいけん交代こうたい（自民党じみんとう勢力せいりょく内ないの権力けんりょく闘争とうそう）」に巻まき込こまれていった。1990年代ねんだい前半ぜんはんの「政治せいじ改革かいかく」と称しょうする流ながれの中なかで、社会党しゃかいとうも委員いいん長ちょうが、国対こくたい政治せいじに肯定こうてい的てきな田邊たなべ誠まこと、山花やまはな貞夫さだおと変かわり、連合れんごう会長かいちょうの山岸やまぎし章あきらも加くわわって、小沢おざわ一郎いちろうグループとの連携れんけいを選択せんたくして、小しょう選挙せんきょ区く制せい導入どうにゅうに邁進まいしんした。

ただし、社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ＝民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎは、ヨーロッパ各国かっこくで1990年代ねんだい以降いこうも続々ぞくぞくと社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ＝民主みんしゅ社会しゃかい主義しゅぎ政党せいとうによる中道ちゅうどう左派さは政権せいけんが誕生たんじょうするなど、新しん自由じゆう主義しゅぎ的てき経済けいざい政策せいさくによる格差かくさ拡大かくだいなどの市場いちばの失敗しっぱいが批判ひはんされる中なかで、対立たいりつ軸じくとして価値かちが見直みなおされた。また敵対てきたいしていた共産きょうさん主義しゅぎは、1980年代ねんだい以降いこうの冷戦れいせんの終結しゅうけつおよび東欧とうおう・ソ連それん共産きょうさん圏けんの崩壊ほうかいにより衰退すいたいし、日本にっぽんでも大おおきく力ちからを失うしなった。一方いっぽうで、民社党みんしゃとうに代表だいひょうされる中道ちゅうどう勢力せいりょく自体じたいは衰退すいたいしたものの、新進党しんしんとう解党かいとう後ごに発足ほっそくした新党しんとう友愛ゆうあいが母体ぼたいの一ひとつとなった民主党みんしゅとうは自民党じみんとうに対抗たいこうする2大だい政党せいとうとしての立場たちばを確立かくりつ。また、民主党みんしゅとうが掲かかげる理念りねんには民主みんしゅ中道ちゅうどうなど民社党みんしゃとうの理念りねんに近ちかい部分ぶぶんもあり、さらに労働ろうどう運動うんどうにおいても連合れんごうの方針ほうしんはほぼ同盟どうめいのものを踏襲とうしゅうしており、結果けっかとして民主党みんしゅとう・連合れんごうの中なかに民社党みんしゃとう・同盟どうめいのスタンスが承継しょうけいされたと捉とらえることもできる。

2016年ねんに民主党みんしゅとうから改称かいしょうし結成けっせいされた政党せいとうである民進党みんしんとうは、2017年ねんの衆院しゅういん選せん直前ちょくぜんに小池こいけ百合子ゆりこ代表だいひょう率ひきいる希望きぼうの党とうと枝野えだの幸男ゆきお代表だいひょう率ひきいる立憲りっけん民主党みんしゅとうに事実じじつ上じょう分裂ぶんれつした。2018年ねん5月がつ7日にちには希望きぼうの党とう所属しょぞくの衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの大半たいはんと参議院さんぎいんの民進党みんしんとう議員ぎいんが中心ちゅうしんとなって国民こくみん民主党みんしゅとうを設立せつりつした。その際さい参議院さんぎいん民進党みんしんとうに在籍ざいせきしていた旧きゅう総評そうひょう系けいの組織そしき内ない議員ぎいんや一部いちぶのリベラル系けい議員ぎいんは民進党みんしんとうを離党りとうして立憲りっけん民主党みんしゅとうに参加さんかした。国民こくみん民主党みんしゅとうに残留ざんりゅうした連合れんごうの組織そしき内ない議員ぎいんは旧きゅう同盟どうめい系けいが大半たいはんとなり民社党みんしゃとう・同盟どうめいの流ながれは国民こくみん民主党みんしゅとうに受うけ継つがれることになった（その後ご、2020年ねんに旧きゅう・国民こくみん民主党みんしゅとうは新しん・国民こくみん民主党みんしゅとうと新しん・立憲りっけん民主党みんしゅとうに再度さいど分割ぶんかつされたが、民社みんしゃ協会きょうかいは新しん・国民こくみん民主党みんしゅとうと協力きょうりょく・交流こうりゅう関係かんけいにある）。

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

• 『日本にっぽん政治せいじ年鑑ねんかん 1960年版ねんばん』世界せかい書院しょいん、1960年ねん4月がつ10日とおか。 

関連かんれん項目こうもく

• 全日本ぜんにほん労働ろうどう総そう同盟どうめい
• 核兵器かくへいき禁止きんし平和へいわ建設けんせつ国民こくみん会議かいぎ（核禁会議かくきんかいぎ）
• 田久保たくぼ忠ただし衛まもる
• 社会しゃかい主義しゅぎインターナショナル
• 猪木いのき正道せいどう
• 関せき嘉彦よしひこ
• 松下まつした正ただし寿ことぶき
• 社会しゃかい大衆たいしゅう党とう - 戦前せんぜんの無産むさん政党せいとうで政策せいさくや理念りねん、人脈じんみゃくといった面めんでは民社党みんしゃとうの源流げんりゅうのひとつ。
• 新進党しんしんとう - 新党しんとう友愛ゆうあい - 民主党みんしゅとう (日本にっぽん 1998-2016) - 民進党みんしんとう - 希望きぼうの党とう - 国民こくみん民主党みんしゅとう (日本にっぽん 2018)
• 国民こくみん民主党みんしゅとう (日本にっぽん 2020)

外部がいぶリンク

• 核禁会議かくきんかいぎ
• 財団ざいだん法人ほうじん 富士ふじ社会しゃかい教育きょういくセンター
• 政策せいさく研究けんきゅうフォーラム
• 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん 憲政けんせい資料しりょう室しつ 民社党みんしゃとう国際こくさい局きょく旧きゅう蔵ぞう資料しりょう
• 参院さんいん選せん選挙せんきょ公報こうほう全国ぜんこく区く・城戸きどかよこ（日本にっぽん女性じょせい党とう・１９７７年ねん） - 元もと民社党みんしゃとう福岡ふくおか県連けんれん執行しっこう役員やくいんの城戸きど嘉よしみ世子せいしが、教育きょういく党とう結党けっとう前まえに日本にっぽん女性じょせい党とうから出馬しゅつばしたときの選挙せんきょ公報こうほう。
• 参院さんいん選せん選挙せんきょ公報こうほう全国ぜんこく区く・安里あさと積つもる千代ちよ（無所属むしょぞく・１９６５年ねん） - 無所属むしょぞくから沖縄おきなわ社会しゃかい大衆たいしゅう党とうを経へて民社党みんしゃとうに入党にゅうとうした安里あさとの選挙せんきょ公報こうほう。