尚なお巴ともえ志こころざし王おう

尚なお 巴ともえ志こころざし王おう（しょう はしおう、1372年ねん（洪ひろし武たけ5年ねん） - 1439年ねん6月1日にち（正統せいとう4年ねん4月がつ20日はつか））は、琉球りゅうきゅう王国おうこくの第だい一いち尚しょう氏し王おう統みつる・第だい2代だい国王こくおう（在位ざいい：1422年ねん - 1439年ねん）。尚なお思おもえ紹王の子こ。1429年ねん、三さん山やま（中山なかやま・山北やまきた・山南さんなん）を統一とういつし、琉球りゅうきゅう王国おうこくが成立せいりつした。神かみ号ごうは勢いきおい治ち高だか真しん物ぶつ（せじたかまもの）。

尚なお巴ともえ志こころざし王おう
琉球りゅうきゅう国王こくおう
在位ざいい	1422年ねん-1439年ねん
全ぜん名な	巴ともえ志こころざし、尚なお巴ともえ志こころざし
神かみ号ごう	勢いきおい治ち高だか真しん物ぶつ
居城いじろ	首くび里さと城じょう
出生しゅっしょう	1372年ねん 南山みなみやま王国おうこく 佐敷さしき城しろ
死去しきょ	1439年ねん6月1日にち 琉球りゅうきゅう王国おうこく首くび里さと城じょう
埋葬まいそう	1439年ねん 天てん山陵さんりょう（後のちに読谷よみたん尚なお巴ともえ志こころざし王おう三さん代だいの墓はか改葬かいそう）
王おう世子せいし	尚なお忠ちゅう王おう
配偶はいぐう者しゃ	眞鍋まなべ金きん（伊覇いは按司一いち世せいの長女ちょうじょ）
子女しじょ	別記べっき
家名かめい	第だい一いち尚しょう氏し
王朝おうちょう	第だい一いち尚しょう氏し王おう統みつる
父親ちちおや	尚なお思おもえ紹王
母親ははおや	美里みさと子この娘むすめ（伝承でんしょう）

概要がいよう

尚なお思おもえ紹と美里みさと子この娘むすめの長男ちょうなんとして生うまれる。父ちちの尚なお思おもえ紹は、「苗代なわしろ大だい親おや（なわしろうふやー）」ともいわれる。

1393年ねん、当時とうじ伊覇いは城じょうを拠点きょてんとしていた伊覇いは按司一いち世せいの推挙すいきょを経へて父ちちの後のちを継つぎ南山なんざんの佐敷さしき按司となる（後のちに尚なお巴ともえ志こころざしは伊覇いは按司一いち世せいの長女ちょうじょ・眞鍋まなべ金きんを妃ひとした）。

1406年ねん、中ちゅう山王さんのう武たけ寧やすしを攻撃こうげきして察度王おう統みつるを滅亡めつぼうさせ、首都しゅとを浦添うらぞえから首くび里さと（現在げんざいの那覇なは市し）に遷うつした。また父ちちの尚なお思おもえ紹を中ちゅう山王さんのうに即位そくいさせた。

1416年ねん、北きた山王さんのう攀よじ安あん知ともを倒たおし(北山きたやま侵攻しんこう)、次男じなんの尚なお忠ただしを北山きたやま監守かんしゅとして北部ほくぶの抑おさえにした。

1421年ねんに父ちちの尚なお思おもえ紹王が薨去こうきょし、1422年ねんに中ちゅう山王さんのうに即位そくい。

1429年ねん、南みなみ山王さんのう他た魯毎を滅ほろぼして第だい一いち尚しょう氏し王おう統みつるによる琉球りゅうきゅう王国おうこく最初さいしょの統一とういつ王朝おうちょうを成立せいりつさせた。

在位ざいい中ちゅうは首くび里さと城じょうを拡張かくちょう整備せいびし、王城おうじょうにふさわしい城しろとした。あわせて安国やすくに山さんに花木はなきを植うえ、中ちゅう山門さんもんを創建そうけんし外苑がいえんを整備せいびした。また那覇なは港こうの整備せいびを進すすめ、中国ちゅうごく（明あきら）をはじめ日本にっぽん・朝鮮ちょうせん・南方みなかた諸国しょこく・海外かいがい諸国しょこくとの交易こうえきを盛さかんに行おこない、琉球りゅうきゅうの繁栄はんえいの基礎きそをもたらした。

なお、研究けんきゅう者しゃの間あいだでは、「尚なお巴ともえ志こころざし」は当あて字じであるとの考かんがえが共通きょうつう認識にんしきである。しかし、その読よみ方かたとしては、主おもに以下いかの説せつが提唱ていしょうされており、定説ていせつと呼よべるものはない。

• 東ひがし恩納おんな寛ひろし惇あつし『沖繩おきなわ奄美あまみ大島おおしま地名ちめい辭典じてん』（第だい3版はん、第だい1頁ぺーじ、昭和しょうわ49年ねん）では「こはち」とする。琉球りゅうきゅう文学ぶんがく研究けんきゅう者しゃの池宮いけみや正治しょうじなどによる「しゅあじ（小しょう按司）」説せつや、おもろさうしに出でてくる「ちやうはち（チョーハチ）」説せつ
• 琉球りゅうきゅう歴史れきし研究けんきゅう者しゃの上里うえさと隆史たかしなどによる「さばち」説せつや「しょうあじ（小しょう按司）」説せつ
• 漢文かんぶん学者がくしゃの石井いしい望のぞむによる、『皇すめらぎ明あかり實録じつろく』所載しょさいの蘇そ惹爬燕つばめ之の、師し惹、思おもえ紹とともに山南さんなん領域りょういきの「すざ（べじ）」（兄あに、王おう）の福建ふっけん漢かん字音じおんとする説せつ
• 尚なお巴ともえ志こころざし王おうの童わらわ名めいとされる「さはち」説せつ

尚なお巴ともえ志こころざしは三さん山やまを1429年ねんに統一とういつしたとするのが通説つうせつだが、和田わだ久徳ひさのりは、早期そうきの『明あきら実録じつろく』『歴代れきだい宝たから案あん』で三さん山やま統一とういつが明示めいじされたわけではなく、単たんに南山なんざんの遣や使つかいが翌年よくねん以後いごに記載きさいを見みないだけであるとして、三山さんやま統一とういつの史実しじつが存在そんざいしないとした

石井いしい望のぞむは、三山さんやま統一とういつ説せつの始はじめ見みは1456年ねん『寰宇通どおり志こころざし』卷まき百ひゃく十じゅう六ろく琉球りゅうきゅう國こく條じょうだとして、その記述きじゅつでは永楽えいらく年間ねんかんに冊さつ封ふうを受うけたが、「自じ後ご惟おもんみだ中なか山王さんのうのみ來朝らいちょうし、今いまに至いたるまで絶たえず、その山南さんなん山北さんぽく二王におうは蓋けだし中ちゅう山王さんのうの併する所ところとなる云うん」との推測すいそくを記載きさいしている。明あかり国こくでは実情じつじょうが分わからず、ただ朝貢ちょうこうが来こないだけだとする。よって石井いしいは、三山さんやま時代じだいとはイスラム宦官かんがん貿易ぼうえき時代じだいであり、統一とういつと見みえるのは鄭てい和かずらの宦官かんがん貿易ぼうえき時代じだいが終おわったに過すぎないとする。1429年ねん以後いごも争乱そうらんが相次あいつぎ、統一とういつにほど遠とおいが、金丸かねまる尚しょう円えん時代じだいからは薩摩さつまの貿易ぼうえき統制とうせいの結果けっか、琉球りゅうきゅうの統一とういつ性せいが高たかまり、尚しょう氏しは世襲せしゅうされ、後のちに第だい二に尚しょう氏しと呼よばれるに至いたる、とする

系譜けいふ

• 父ちち：尚なお思おもえ紹王
• 母はは：不ふ詳しょう。美里みさと子この娘むすめ（伝承でんしょう）
• 妃ひ：眞鍋まなべ金きん（マチルギ、伊覇いは按司一いち世せいの長女ちょうじょ）
  • 長男ちょうなん：佐敷さしき王子おうじ（叔父おじ平田ひらた大だい比ひ屋やの養子ようし、平田ひらた之子ゆきことなる）
  • 次男じなん：尚なお忠ただし（初代しょだい北山きたやま監守かんしゅ、後のちに第だい三さん代だい琉球りゅうきゅう国王こくおう、母ははは妃ひの眞鍋まなべ金きん）
  • 三男さんなん：今帰仁なきじん王子おうじ（元もと具志頭ぐしかみ王子おうじ、第だい二に代だい北山きたやま監守かんしゅ）
  • 四男よつお：八重やえ瀬せ按司（八はち重じゅう瀬せ城主じょうしゅ）
  • 五男いつお：尚なお金かね福ぶく（第だい五ご代だい琉球りゅうきゅう国王こくおう）
  • 六男むつお：尚なお布里ふり（江洲えす王子おうじ）
  • 七なな男なん：尚なお泰久やすひさ（越来ごえく王子おうじ、第だい六ろく代だい琉球りゅうきゅう国王こくおう、母ははは妃ひの眞鍋まなべ金きん）
  • 八男はちお：前田まえだ按司
  • 長女ちょうじょ：佐さ司し笠りゅう安司やすし加か那な志こころざし

登場とうじょう作品さくひん

テレビドラマ

• 琉球りゅうきゅう歴史れきしドラマ 尚なお巴ともえ志こころざし（2017年ねん、琉球放送りゅうきゅうほうそう、演えんじ・金城きんじょう大和やまと）

関連かんれん項目こうもく

• 琉球りゅうきゅう国王こくおうの一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 『尚なお巴ともえ志こころざし』 - コトバンク
• 尚なお巴ともえ志こころざし王おうが国王こくおうとなったことの意味いみ - 沖縄おきなわ県立けんりつ博物館はくぶつかん・美術館びじゅつかん