民政みんせい局きょく

民政みんせい局きょく（みんせいきょく、Government Section、通称つうしょう：GS）は、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ（GHQ/SCAP）内部ないぶの組織そしき。GHQのなかで占領せんりょう政策せいさくの中心ちゅうしんを担になった。

概要がいよう

1945年ねん10月2日にち、GHQ設置せっちとともに発足ほっそく。

局長きょくちょうはダグラス・マッカーサー司令しれい官かんの分身ぶんしんと呼よばれたコートニー・ホイットニー准じゅん将しょう。その部下ぶかに局長きょくちょう代理だいりのチャールズ・ケーディス大佐たいさ（1948年ねんに次長じちょうに昇格しょうかく）、フランクリン・ルーズベルト大統領だいとうりょうのニューディール政策せいさくに参画さんかくしたニューディーラーをはじめ、太平洋たいへいよう問題もんだい調査ちょうさ会かい（IPR）系けいの日本にっぽん研究けんきゅう家かトーマス・アーサー・ビッソン 、ミネソタ大学だいがくのクィグリー教授きょうじゅ、ノースウェスタン大学だいがくのケネス・コールグローブ教授きょうじゅら、日本にっぽん研究けんきゅうの専門せんもん家かが多数たすう所属しょぞくしており、社会しゃかい民主みんしゅ主義しゅぎ志向しこうであった。

日本にっぽん占領せんりょうの目的もくてきである軍閥ぐんばつ・財閥ざいばつの解体かいたい、軍国ぐんこく主義しゅぎ集団しゅうだんの解散かいさん、軍国ぐんこく主義しゅぎ思想しそうの破壊はかいを遂行すいこうし、日本にっぽんの民主みんしゅ化か政策せいさくの中心ちゅうしん的てき役割やくわりを担になった。社会党しゃかいとうの片山かたやま哲あきら、民主党みんしゅとうの芦田あしだ均ひとしら革新かくしん政党せいとう・進歩しんぽ主義しゅぎ政党せいとうの政権せいけんを支ささえ、保守ほしゅ（復古ふっこ主義しゅぎ）の吉田よしだ茂しげるらを嫌きらっていたが、片山かたやま・芦田あしだ両りょう内閣ないかくはいずれも短命たんめいに終おわった。

チャールズ・ウィロビー少将しょうしょうが率ひきいる参謀さんぼう第だい2部ぶ（G2）はGHQの中なかでは保守ほしゅ派はであり、G2はリベラリストの多おおいGSとしばしば対立たいりつした。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう制定せいてい過程かていへの関与かんよ

GSは、戦時せんじ中ちゅうから大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうと大日本帝国だいにっぽんていこくの統治とうち機構きこうを研究けんきゅうしており、自みずから憲法けんぽう制定せいてい作業さぎょうに乗のり出だす機会きかいをうかがっていた。

1945年ねん12月26日にちに首相しゅしょう官邸かんていに提出ていしゅつされた、憲法けんぽう研究けんきゅう会かい「憲法けんぽう草案そうあん要綱ようこう」に対たいしては肯定こうてい的てき評価ひょうかをくだしている。他方たほうで、幣ぬさ原内はらうち閣かくの下したで発足ほっそくした憲法けんぽう問題もんだい調査ちょうさ委員いいん会かい（委員いいん長ちょう：松本まつもと烝治）の、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうの趣旨しゅしが色濃いろこく残のこる「憲法けんぽう改正かいせい要綱ようこう（甲かぶと案あん）」（松本まつもと試案しあん）には否定ひてい的てきであった。

1946年ねん2月がつ、立法りっぽう・行政ぎょうせい・人権じんけん等とうの分野ぶんやごとに条文じょうぶんを起草きそうする8つの委員いいん会かいと、全体ぜんたいの監督かんとく・調整ちょうせいを受うけ持もつ運営うんえい委員いいん会かいを局内きょくないに設もうけ、マッカーサー草案そうあん作成さくせいにあたった。

山崎やまざき首班しゅはん工作こうさく

昭和電工しょうわでんこう事件じけんにより芦田あしだ内閣ないかくが座礁ざしょうし、芦田あしだ均ひとしは退陣たいじんを余儀よぎなくされた。同時どうじに、GS内ないでも汚職おしょくが蔓延まんえんしていた事実じじつが発覚はっかく。一方いっぽう、GSの権威けんい失墜しっついに勢いきおいづいたG2は、ウルトラ・コンサバティスト（超ちょう保守ほしゅ主義しゅぎ者しゃ）の吉田よしだ茂しげるを首班しゅはん候補こうほに擁立ようりつするよう画策かくさくするが、GSはこれに反発はんぱつし、民主みんしゅ自由党じゆうとう幹事かんじ長ちょうの山崎やまざき猛たけしを首班しゅはん候補こうほに擁立ようりつするよう、民主みんしゅ自由党じゆうとうに働はたらきかけた。しかし、吉田よしだは敏感びんかんにこの動うごきを察知さっちし、山崎やまざき首班しゅはん工作こうさくは頓挫とんざ。1948年ねん10月19日にち、第だい2次じ吉田よしだ内閣ないかくが成立せいりつする。

「山崎やまざき首班しゅはん工作こうさく事件じけん」も参照さんしょう

第だい2次じ吉田よしだ内閣ないかく以降いこう

「逆ぎゃくコース」を参照さんしょう

GHQ内ないでも、保守ほしゅ派はのG2の発言はつげん権けんが増ましてリベラルなGSは隅すみに追おいやられ、占領せんりょう政策せいさくも保守ほしゅ的てきに転換てんかん。芦田あしだ内閣ないかくの瓦解がかいに伴ともない、G2内部ないぶには東側ひがしがわの社会しゃかい主義しゅぎ圏けんに対抗たいこうするため、日本にっぽんを「反共はんきょうの砦とりで」にし、日本にっぽんの再さい軍備ぐんびまで検討けんとうさせる動うごきも出でた。ケーディスは占領せんりょう政策せいさくの大だい転換てんかんを阻止そしするためホワイトハウスの翻意ほんいを促うながすべくアメリカに一時いちじ帰国きこくするも、その困難こんなんさを悟さとり、日本にっぽんに戻もどらずそのまま辞任じにんした。この占領せんりょう政策せいさくの転換てんかんに基もとづき、マッカーサーは「経済けいざい安定あんてい9原則げんそく」の実施じっしを吉田よしだに要求ようきゅうし、吉田よしだはそれを受うけ入いれた。

さらに、経済けいざい改革かいかくのためにアメリカからジョゼフ・ドッジが招まねかれる。ドッジらにより民政みんせい局きょくの社会しゃかい主義しゅぎ的てきな占領せんりょう政策せいさくはきびしく非難ひなんされ、ドッジ・ラインにより一定いっていの自由じゆう競争きょうそうが容認ようにんされる。その結果けっか、ニューディーラーたちは事実じじつ上じょう失脚しっきゃく。GSは急速きゅうそくに日本にっぽんに対たいする影響えいきょう力りょくを失うしなっていき、その後ごも影響えいきょう力りょくは回復かいふくしないまま終焉しゅうえんを迎むかえる。

関連かんれん項目こうもく

• 冷戦れいせん
• 共産きょうさん主義しゅぎ
• 社会しゃかい主義しゅぎ
• ニューディーラー
• コミンテルン
• 容共ようきょう