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民族 - Wikipedia

民族みんぞく

一定いってい文化ぶんかてき特徴とくちょう基準きじゅんとしてほか区別くべつされる共同きょうどうたい
民族みんぞく集団しゅうだんから転送てんそう

民族みんぞく(みんぞく、英語えいご:Ethnicity)とは、言語げんご人種じんしゅ文化ぶんか歴史れきしてき運命うんめい共有きょうゆうし、同族どうぞく意識いしきによってむすばれた人々ひとびと集団しゅうだんである。以下いかのように英語えいごにおける概念がいねん日本語にほんご翻訳ほんやくしたものなど、複数ふくすう概念がいねん存在そんざいする。

  • エスニック・グループ (Ethnic group)文化ぶんか言語げんご習慣しゅうかん宗教しゅうきょうなど)で区分くぶんされる集団しゅうだん人類じんるいがくにおける定義ていぎ)。→ほん記事きじあつかう。
  • ネーション (Nation)18世紀せいき以降いこう社会しゃかい近代きんだいや「国民こくみん国家こっか形成けいせい」にさらされたEthnic groupのうち、エリートが「民族みんぞく運動うんどう」をおこなって「政治せいじりょく」を獲得かくとくし、その「政治せいじりょく」によって「民族みんぞく」としての認知にんち獲得かくとくしたものをいう。さらに「国家こっか」の獲得かくとく成功せいこうしたものは「国民こくみん」とやくされる。(政治せいじがくにおける定義ていぎ)→ネーション国民こくみん閲覧えつらんのこと。
  • トライブ (Tribe)一般いっぱんには「部族ぶぞく」とやくされるが、「民族みんぞく」とやくされる場合ばあいもある。「民族みんぞく集団しゅうだん」よりしょう単位たんい。→部族ぶぞく閲覧えつらんのこと。
  • レイス (Race):「人種じんしゅ」を意味いみするが、まれに「民族みんぞく」とやくされる場合ばあいがある。→人種じんしゅ閲覧えつらんのこと。

民族みんぞく (エスニック・グループ)の定義ていぎ

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民族みんぞく(みんぞく)または民族みんぞく集団しゅうだん(みんぞくしゅうだん)(えい: Ethnic group, Ethnicity)とは一定いってい文化ぶんかてき特徴とくちょう基準きじゅんとしてほか区別くべつされる集団しゅうだんをいう。土地とち血縁けつえん関係かんけい言語げんご共有きょうゆう母語ぼご)や、宗教しゅうきょう伝承でんしょう社会しゃかい組織そしきなどがその基準きじゅんとなるが、普遍ふへんてき客観きゃっかんてき基準きじゅんもうけても概念がいねん内容ないよう一致いっちしない場合ばあいおおいことから、むしろある民族みんぞく概念がいねんへの帰属きぞく意識いしきという主観しゅかんてき基準きじゅん客観きゃっかんてき基準きじゅんであるとされることもある[1]

津田つだみわによると、ethnic group定義ていぎについて、「本質ほんしつろん」と「構築こうちくろん」がある。[2]

本質ほんしつろんによる定義ていぎでは、血縁けつえんせい身体しんたいてき特性とくせい社会しゃかいてき出自しゅつじ言語げんご慣習かんしゅうなど、自分じぶん意思いしではえられない、ひとにあらかじめあたえれたものやそとからあきらかなもの(客観きゃっかんてき属性ぞくせい)が集団しゅうだん確定かくていする。

構築こうちくろんによる定義ていぎでは、集団しゅうだん人々ひとびと集団しゅうだんとの相互そうご作用さよう過程かてい選択せんたくてき形成けいせいするもので、目的もくてきおうじて自分じぶんである程度ていど自由じゆう選択せんたくできるとし、そとからかならずしも明確めいかくでない帰属きぞく意識いしきなど(主観しゅかんてき属性ぞくせい)が集団しゅうだん確定かくていにとって重要じゅうようである。

津田つだは、現在げんざいでは、学問がくもん分野ぶんやわず「民族みんぞく」という言葉ことばはほぼ ethnic group をすとかんがえてくなりつつあるとするが、政治せいじがく歴史れきしがくなどの学問がくもん分野ぶんやでは、依然いぜんとして「民族みんぞく」という言葉ことばネーション (Nation)して使用しようされている。

分類ぶんるい

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民族みんぞく」、「民族みんぞく集団しゅうだん」という概念がいねんひろがりをつものであり、客観きゃっかんてき基準きじゅんもうけても概念がいねん内容ないよう一致いっちしない場合ばあいおおいが、以下いかのように分類ぶんるいされることもある。

母語ぼごによる分類ぶんるい

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民族みんぞくもっと実用じつようてき分類ぶんるいひとつとして、母語ぼごによる分類ぶんるいがある[3]ウラル語族ごぞく母語ぼごとする民族みんぞくウラルけい民族みんぞくテュルク諸語しょご母語ぼごとする民族みんぞくテュルクけい民族みんぞくなどである。この場合ばあい民族みんぞくくくりは言語げんごのそれとひとしくなり、言語げんごによって民族みんぞく一意いちいさだまる。

語族ごぞくによって定義ていぎされた民族みんぞく集団しゅうだん特異とくいてきY染色せんしょくたいハプログループ以下いかのとおりである[4]

生活せいかつ様式ようしきによる分類ぶんるい

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生業せいぎょう様式ようしきによって定義ていぎする方法ほうほうである。狩猟しゅりょう採集さいしゅう民族みんぞく農耕のうこう民族みんぞく遊牧ゆうぼく民族みんぞく騎馬きば民族みんぞくなど。

語源ごげん語義ごぎ

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Ethnic groupの語源ごげん

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英語えいごエスニック・グループ(エスニシティー)(ethnic group, ethnicity)の語源ごげんは、ギリシャエトノス(ethnos)であり、またはエトニ(フランス語ふらんすご)である。これは、一定いってい文化ぶんかてき特徴とくちょう基準きじゅんとしてほか区別くべつされる共同きょうどうたいをいう。土地とち血縁けつえん関係かんけい言語げんご共有きょうゆう母語ぼご)や、宗教しゅうきょう伝承でんしょう社会しゃかい組織そしきなどがその基準きじゅんとなる。

ひがしアジアにおける「民族みんぞく」の語源ごげん

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西川にしかわ長夫ながおによると「民族みんぞく」という熟語じゅくごは、明治めいじ日本にっぽん鋳造ちゅうぞうされた和製わせい漢語かんご[5]で、明治めいじはそれまでもっと一般いっぱんてき熟語じゅくごであった「氏族しぞく」・「種族しゅぞく」といったことばを、洋書ようしょ翻訳ほんやくさいあまりかえさないようにするための虚弱きょじゃく役割やくわりしかなかった。1930年代ねんだい以降いこう日本にっぽん社会しゃかい学者がくしゃによって ethnicity/people/folk/nation/kinship/race とう西洋せいようかく概念がいねんがパッチワーク・ごったされたうえで、ナショナリズムで味付あじつけされて強化きょうかされたキメラである [6]

中国ちゅうごく古典こてんでは、ほとんど「民族みんぞく」というかたり登場とうじょうしないが、古代こだいにまでさかのぼればごくまれに一定いっていのグループをなす人々ひとびと共同きょうどうたいれいがあり、こうしたれいおも中国ちゅうごく和製わせい漢語かんごせつ否定ひていろんしゃ珍重ちんちょうしている。[れい郝時とおちゅうぶん民族みんぞくいち源流げんりゅうこうべん》,《民族みんぞく研究けんきゅう》2004 ねんだい 6[7]如瑩漢語かんご"民族みんぞく"一詞在我国的最早出現》,《世界せかい民族みんぞく》2001 ねんだい 6 ] 。たとえば、6世紀せいき前半ぜんはん成立せいりつした『みなみひとししょ列伝れつでんさんじゅうの「こういっでん顧歓つてちゅう

こんしょはなおんな民族みんぞくどるかわ、而露くびへんうずくま濫用らんようえびすれい」(民族みんぞく氏族しぞくとする写本しゃほんもある)

という記述きじゅつをあげることができる。なおこの記事きじは、大夫たいふやその子女しじょまでも中国ちゅうごく北朝ほくちょう民族みんぞく風俗ふうぞくえびすれい)にまっているとべている部分ぶぶんである。

関連かんれんする用語ようご

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 山内やまうち昌之まさゆき民族みんぞく時代じだい』NHK人間にんげん大学だいがくテキスト,1994,30ぺーじ
  2. ^ 民族みんぞく Ethnic Group / Tribe / Nation」(アジア経済けいざい研究所けんきゅうじょ調査ちょうさ研究けんきゅう」)
  3. ^ 水野みずのいちはれ(2016)『人間にんげんいとなみがわかる地理ちりがく入門にゅうもん』ベレ出版しゅっぱん
  4. ^ 崎谷さきやみつる(2009)『DNA・考古こうこ言語げんご学際がくさい研究けんきゅうしめす しん日本にっぽん列島れっとうつとむまこと出版しゅっぱん
  5. ^ 民族みんぞくという錯乱さくらん”. 2021ねん11月19にち閲覧えつらん
  6. ^ 社会しゃかい学者がくしゃ小松こまつ堅太郎けんたろう(1894-1959ねん)と“民族みんぞく”―“民族みんぞく概念がいねん肥大ひだい潮流ちょうりゅうなか”. 2023ねん11月19にち閲覧えつらん
  7. ^ ちゅうぶん民族みんぞくいち源流げんりゅうこうべん”. 2021ねん11月19にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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