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測候所 - Wikipedia

測候所そっこうじょ

地方ちほう気象台きしょうだい業務ぎょうむ一部いちぶ分担ぶんたんする日本にっぽん気象庁きしょうちょう地方ちほう機関きかん

測候所そっこうじょ(そっこうじょ)は、気象庁きしょうちょう管区かんく気象台きしょうだい下部かぶ組織そしきたる地方ちほう機関きかんであり、その地方ちほうにおける気象きしょう観測かんそくおこない、天気てんき予報よほう暴風ぼうふう警報けいほうなどをはっしたり、また地震じしん火山かざん噴火ふんか)などの観測かんそくおこな場所ばしょをいう[1]帯広おびひろ測候所そっこうじょ北海道ほっかいどう)・名瀬なぜ測候所そっこうじょ鹿児島かごしまけん)の2かしょある。

気象きしょう官署かんしょとして人員じんいん配置はいちされ、地方ちほう気象台きしょうだい担当たんとうする府県ふけん予報よほう一部分いちぶぶんち、波浪はろう予報よほう気象きしょう注意報ちゅういほう警報けいほう発表はっぴょうおこなう(気象庁きしょうちょう予報よほう警報けいほう規程きていだい10じょうおよだい12じょう)。帯広おびひろ測候所そっこうじょ釧路くしろ地方ちほう気象台きしょうだい管轄かんかつする釧路くしろ根室ねむろ十勝とかち地方ちほうのうち十勝とかち地方ちほうを、名瀬なぜ測候所そっこうじょ鹿児島かごしま地方ちほう気象台きしょうだい管轄かんかつする鹿児島かごしまけん全域ぜんいきのうち奄美あまみ地方ちほうを、それぞれ担当たんとうしている。

なお、航空こうくう気象きしょう関連かんれんする業務ぎょうむおこなう「航空こうくう測候所そっこうじょ」も全国ぜんこく3かしょ拠点きょてん空港くうこう構内こうない所在しょざいする。

かつて測候所そっこうじょ全国ぜんこくで100かしょ以上いじょう存在そんざいし、有人ゆうじん気象きしょう地震じしんとう観測かんそくおこなっていた。技術ぎじゅつ高度こうどにより無人むじん自動じどう観測かんそく可能かのうなものがえたことで、人員じんいん削減さくげんにより経費けいひ節減せつげんはかるため、1997ねんから2010ねんにかけて2かしょのぞいて廃止はいしされ、特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ移行いこうとなった。自動じどうはその地方ちほう気象台きしょうだいにもおよび、天気てんき積雪せきせつ観測かんそく自動じどうされるなどしている。

沿革えんかく

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明治めいじ近代きんだい気象きしょう業務ぎょうむ開始かいしから戦前せんぜんまで、現在げんざい気象台きしょうだいのほとんどは測候所そっこうじょとして設立せつりつされ業務ぎょうむ拡充かくじゅうしてきている。運営うんえいしていたのは府県ふけん民間みんかんで、1937ねんから1939ねんにかけて国営こくえい移管いかんした[2]現在げんざい特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょとなった測候所そっこうじょは、有人ゆうじん観測かんそく時代じだい観測かんそくもうひろげる過程かてい順次じゅんじ開設かいせつされてきた。

  • 1939ねん昭和しょうわ14ねん11月1にち - 仙台せんだい測候所そっこうじょから、仙台せんだい地方ちほう気象台きしょうだいげん仙台せんだい管区かんく気象台きしょうだい)、名古屋なごや測候所そっこうじょから、名古屋なごや地方ちほう気象台きしょうだい改称かいしょう
  • 1943ねん昭和しょうわ18ねん11月15にち - 金沢かなざわ米子よなご地方ちほう気象台きしょうだいから金沢かなざわ米子よなご測候所そっこうじょ改称かいしょう新潟にいがた広島ひろしま測候所そっこうじょから新潟にいがた広島ひろしま地方ちほう気象台きしょうだい改称かいしょう
  • 1945ねん昭和しょうわ20ねん8がつ11にち - 高松たかまつ測候所そっこうじょから、高松たかまつ管区かんく気象台きしょうだいげん高松たかまつ地方ちほう気象台きしょうだい)に改称かいしょう
  • 1952ねん昭和しょうわ27ねん4がつ1にち - 鹿児島かごしま測候所そっこうじょから、鹿児島かごしま地方ちほう気象台きしょうだい改称かいしょう[3]
  • 1957ねん昭和しょうわ32ねん9月1にち - 旭川あさひかわ室蘭むろらん釧路くしろ網走あばしり稚内わっかない青森あおもり盛岡もりおか秋田あきた山形やまがた福島ふくしま水戸みと宇都宮うつのみや前橋まえばし熊谷くまがい銚子ちょうし横浜よこはま甲府こうふ長野ながの富山とやま金沢かなざわ福井ふくい岐阜ぎふ静岡しずおか彦根ひこね京都きょうと奈良なら和歌山わかやま鳥取とっとり松江まつえ岡山おかやま徳島とくしま松山まつやま高知こうち下関しものせき佐賀さが熊本くまもと大分おおいた宮崎みやざき測候所そっこうじょから、地方ちほう気象台きしょうだい改称かいしょう
  • 1997ねんから2010ねん10月1にち - 16わたって測候所そっこうじょ自動じどう無人むじん実施じっし。103かしょ特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ移行いこう、1かしょ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ移行いこう帯広おびひろ名瀬なぜの2かしょ存続そんぞく

特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょとう移行いこうした地点ちてん

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1997ねんから2010ねんにかけて自動じどう無人むじんおこなった104かしょ以下いかとおり。

なお、八丈島はちじょうじまおよび潮岬しおのみさき(リストちゅうしるし)では、従前じゅうぜん観測かんそくのうち高層こうそう気象きしょう観測かんそくラジオゾンデ放出ほうしゅつ)をつづ最低限さいていげん人員じんいんにより現地げんちにて継続けいぞくしている[4]根室ねむろ米子よなごでも高層こうそう気象きしょう観測かんそくおこなっていたが、2010ねん釧路くしろ松江まつえにそれぞれ移転いてんした。

室戸岬むろとみさき移行いこう併設へいせつ気象きしょうレーダー施設しせつ存続そんぞくしている。

特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ移行いこう
一般いっぱんアメダスよりもおおい、気圧きあつ気温きおん湿度しつど風向ふうこう風速ふうそく降水こうすいりょう積雪せきせつふかさ、くも視程してい天気てんき日照ひでり時間じかん観測かんそくする[5][6]
廃止はいし
  • 2002ねん3月1にち - もり北海道ほっかいどう
    • もり測候所そっこうじょ北海道ほっかいどう駒ヶ岳こまがだけ火山かざん観測かんそく目的もくてき設置せっちされた経緯けいいがあり、札幌さっぽろ管区かんく気象台きしょうだい火山かざん監視かんし情報じょうほうセンターが設置せっちされ遠隔えんかく監視かんしとなったことで廃止はいしされた。なお、気象きしょう観測かんそくはアメダス「もり」として継続けいぞく。ただし統計とうけいじょう測候所そっこうじょ時代じだい観測かんそくデータはアメダスとは連続れんぞくしないものとしてあつかわれている[10][11]
  • 2017ねん11月7にち - 阿蘇山あそさん熊本くまもとけん
    • 阿蘇山あそさん特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょは1931ねん熊本くまもと測候所そっこうじょ]支所ししょ阿蘇あそ火山かざん観測かんそくしょとして阿蘇山あそさん火山かざんおよ地震じしん活動かつどう目的もくてきとして設置せっちされ、1939ねん国営こくえい移管いかんともな観測かんそくしょ廃止はいしし、阿蘇山あそさん測候所そっこうじょ設置せっちした。2009ねん10がつ測候所そっこうじょ廃止はいしされ、火山かざん監視かんし活動かつどう福岡ふくおか管区かんく気象台きしょうだい移行いこうし、気象きしょう観測かんそくとう観測かんそくしょおこなうこととなったが、火山かざん活動かつどう影響えいきょうにより観測かんそく困難こんなんとなり、みなみ阿蘇あそむら設置せっちしていた臨時りんじ観測かんそくしょ常設じょうせつしたみなみ阿蘇あそ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ気象きしょう観測かんそく業務ぎょうむ移行いこうした[12][13]

移行いこうによる気象きしょう観測かんそくへの影響えいきょう

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特別とくべつ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ移行いこうした地点ちてんでは、かみなり観測かんそく廃止はいしされているほか、西日本にしにほんおおくの地点ちてんでは積雪せきせつ観測かんそく廃止はいしされている[14]

きゅう測候所そっこうじょ施設しせつのその

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高岡たかおか伏木ふしき気象きしょう資料しりょうかんきゅう伏木ふしき測候所そっこうじょ富山とやまけん

観測かんそく施設しせつとしての歴史れきしてき価値かち建築けんちくてき意義いぎなどから、建物たてもの保存ほぞんされ、資料しりょうかんとうになっているきゅう測候所そっこうじょもある。

  • きゅう伏木ふしき測候所そっこうじょ富山とやまけん高岡たかおか) - 庁舎ちょうしゃはかふうとうくに登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいとして登録とうろく高岡たかおか伏木ふしき気象きしょう資料しりょうかんとして一般いっぱん公開こうかい[15][16]
  • きゅう飯田いいだ測候所そっこうじょ長野ながのけん飯田いいだ) - 洋風ようふう建築けんちく庁舎ちょうしゃくに登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいとして登録とうろく一般いっぱん公開こうかい[17]
  • きゅう三島みしま測候所そっこうじょ静岡しずおかけん三島みしま) - 庁舎ちょうしゃくに登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいとして登録とうろく一般いっぱん公開こうかい。エコセンターと名付なづ環境かんきょう学習がくしゅうとう拠点きょてんとしている[18]
  • きゅう高山こうざん測候所そっこうじょ岐阜ぎふけん高山市たかやまし) - 明治めいじ初期しょき庁舎ちょうしゃくに登録とうろく有形ゆうけい文化財ぶんかざいとして登録とうろく飛騨ひだ民俗みんぞく村山むらやまたけし資料しりょうかんとして一般いっぱん公開こうかい[19]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてんしょう項目こうもく電子でんし辞書じしょばん電子でんし辞書じしょ
  2. ^ 気象台きしょうだい」『小学しょうがくかん日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)」』https://kotobank.jp/word/%E6%B0%97%E8%B1%A1%E5%8F%B0コトバンクより2023ねん2がつ17にち閲覧えつらん 
  3. ^ 昭和しょうわ27ねん4がつ1にち 官報かんぽうだい7568ごう p.1 運輸省うんゆしょうれいだい13ごう - 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、2022ねん5がつ18にち閲覧えつらん
  4. ^ ラジオゾンデによる高層こうそう気象きしょう観測かんそく」、気象庁きしょうちょう、2022ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  5. ^ 地上ちじょう気象きしょう観測かんそく」、気象庁きしょうちょう、2022ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  6. ^ 地域ちいき気象きしょう観測かんそくシステム(アメダス)」、気象庁きしょうちょう、2022ねん7がつ8にち閲覧えつらん
  7. ^ 剣山けんざんは1991ねん4がつ1にちから無人むじんされていた。
  8. ^ 伊吹山いぶきやまは1989ねん6がつから無人むじんされていた。
  9. ^ 東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいにより庁舎ちょうしゃ機能きのう喪失そうしつした宮古みやこ海上かいじょう保安ほあんしょが、震災しんさいかり庁舎ちょうしゃとして使用しようしている。
  10. ^ 江差えさし測候所そっこうじょが9月で廃止はいし無人むじん」、函館はこだて新聞しんぶん電子でんしばん、2007ねん6がつ9にち、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  11. ^ 過去かこ気象きしょうデータ検索けんさく 観測かんそく史上しじょう1~10年間ねんかんつうじての)(きゅうもり渡島ととう地方ちほう気象庁きしょうちょう、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  12. ^ みなみ阿蘇あそ地域ちいき気象きしょう観測かんそくしょ常設じょうせつについて” (PDF). 気象庁きしょうちょう福岡ふくおか管区かんく気象台きしょうだい (2018ねん11月7にち). 2024ねん6がつ24にち閲覧えつらん
  13. ^ 熊本くまもと地方ちほう気象台きしょうだい組織そしき沿革えんかく”. 気象庁きしょうちょう熊本くまもと地方ちほう気象台きしょうだい. 2024ねん6がつ24にち閲覧えつらん
  14. ^ 気象きしょう観測かんそく統計とうけい解説かいせつ』2021ねん4がつ1にち改正かいせいばん、pp.33-34
  15. ^ 伏木ふしき気象きしょう資料しりょうかん」、高岡たかおか市役所しやくしょ、2020ねん5がつ19にち更新こうしん、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  16. ^ きゅう伏木ふしき測候所そっこうじょはかふうとう - くに指定してい文化財ぶんかざいとうデータベース(文化庁ぶんかちょう)、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  17. ^ きゅう飯田いいだ測候所そっこうじょ庁舎ちょうしゃ - くに指定してい文化財ぶんかざいとうデータベース(文化庁ぶんかちょう)、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  18. ^ エコセンター(きゅう三島みしま測候所そっこうじょ庁舎ちょうしゃ」、三島みしま市役所しやくしょ、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん
  19. ^ 飛騨ひだ民俗みんぞく村山むらやまたけし資料しりょうかんきゅう高山こうざん測候所そっこうじょ - くに指定してい文化財ぶんかざいとうデータベース(文化庁ぶんかちょう)、2022ねん7がつ1にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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