青銅 せいどう と並 なら ぶ重要 じゅうよう な銅 どう 合金 ごうきん で、先史 せんし 時代 じだい から使用 しよう されていた[2] 。初期 しょき は、亜鉛 あえん が豊富 ほうふ に含 ふく まれる銅鉱 どうこう 石 せき を精練 せいれん して自然 しぜん に得 え ていたと考 かんが えられる[3] 。考古学 こうこがく では、紀元前 きげんぜん 3千年紀 せんねんき には、西 にし アジア や地中海 ちちゅうかい 東岸 とうがん 地域 ちいき でごく少数 しょうすう の痕跡 こんせき が確認 かくにん されている[4] 。また紀元前 きげんぜん 5世紀 せいき の中国 ちゅうごく で真鍮 しんちゅう の痕跡 こんせき がある[5] 。紀元 きげん 前後 ぜんこう の古代 こだい ローマ人 じん は銅鉱 どうこう と亜鉛 あえん 鉱 こう を混 ま ぜて精製 せいせい して使用 しよう していた。
しかし製造 せいぞう 時 じ に使 つか う亜鉛 あえん 蒸気 じょうき が金属 きんぞく として認識 にんしき されていなかったため、銅 どう 亜鉛 あえん 合金 ごうきん としての真 しん の性質 せいしつ は中世 ちゅうせい 後期 こうき まで理解 りかい されていなかった[6] 。両 りょう 単体 たんたい 金属 きんぞく を溶 と かし合 あ わせて作 つく るようになったのは、十 じゅう 六 ろく 世紀 せいき に亜鉛 あえん 金属 きんぞく が発見 はっけん されてからである[7] 。
製法 せいほう は、ローマ時代 じだい までにはセメント化 か プロセスを使用 しよう したカラミンブラス (英語 えいご 版 ばん ) が開発 かいはつ され、19世紀 せいき 半 はん まで類似 るいじ 手法 しゅほう で製造 せいぞう された[8] 。その後 ご 、16世紀 せいき にヨーロッパに導入 どうにゅう されたスペルター (英語 えいご 版 ばん ) 法 ほう に置 お き換 か えられた[3] 。
なお、古代 こだい ローマではドゥポンディウス やセステルティウス などの貨幣 かへい に使用 しよう されていた。
銅 どう -亜鉛 あえん 混合 こんごう 系 けい の相 そう 図 ず 。横 よこ 軸 じく は銅 どう ・亜鉛 あえん 混合 こんごう 比 ひ 、縦 たて 軸 じく は温度 おんど を示 しめ す。混合 こんごう 比 ひ によりα あるふぁ 相 しょう ,β べーた 相 しょう ,γ がんま 相等 そうとう の異 こと なる相 そう をとる。
配合 はいごう の比 ひ によって外見 がいけん が変化 へんか し、亜鉛 あえん の量 りょう が増 ふ えるに従 したが い銅 どう 赤色 あかいろ →黄金 おうごん 色 しょく →帯 おび 赤 あか 銀 ぎん 白色 はくしょく となり、機械 きかい 的 てき 性質 せいしつ も変 か わるが一般 いっぱん 的 てき に引 ひ っ張 ぱ り強 つよ さ・硬 かた さ・延 の びともに良好 りょうこう で加工 かこう しやすく比較的 ひかくてき 安価 あんか なため、機械 きかい 器具 きぐ や日 にち 用品 ようひん に極 きわ めて広 ひろ い用途 ようと を持 も つ。また、鉛 なまり ・錫 すず ・ニッケルなどを加 くわ えると特別 とくべつ な性質 せいしつ を持 も つので、用途 ようと に応 おう じて特殊 とくしゅ 黄銅 こうどう (鉛 なまり 入 にゅう 黄銅 こうどう ・ネーバル黄銅 こうどう ・高力 こうりき 黄銅 こうどう など)として製作 せいさく される[7] 。
亜鉛 あえん のみとの合金 ごうきん では亜鉛 あえん の割合 わりあい が増 ま すごとに硬度 こうど を増 ま すが、同時 どうじ に脆 もろ さ も増 ま すため、亜鉛 あえん 45%以上 いじょう では実用 じつよう に耐 た えない。最 もっと も一般 いっぱん 的 てき な黄銅 こうどう は、銅 どう 65%、亜鉛 あえん 35%のものである。また、銅 どう と亜鉛 あえん の割合 わりあい によって物性 ぶっせい が変化 へんか する。JISでは銅 どう 合金 ごうきん として扱 あつか われ、材料 ざいりょう 記号 きごう は頭文字 かしらもじ Cで始 はじ まる4桁 けた 記号 きごう で表 あらわ される。下記 かき に例 れい を示 しめ す。
C2600:七 なな 三 さん 黄銅 こうどう (銅 どう が約 やく 70%、亜鉛 あえん が約 やく 30%) イエローブラスとも言 い う。
C2801:六 ろく 四 よん 黄銅 こうどう (銅 どう が約 やく 60%、亜鉛 あえん が約 やく 40%) 黄金 おうごん 色 しょく に近 ちか い黄色 おうしょく を示 しめ す。
C3604:快 かい 削 そぎ 黄銅 こうどう (銅 どう が57.0-61.0%、鉛 なまり が1.8-3.7%、鉄 てつ が0.50%以下 いか 、鉄 てつ +錫 すず が1.0%以下 いか 、亜鉛 あえん は残部 ざんぶ ) 被 ひ 削 そぎ 性 せい を高 たか めるために鉛 なまり を添加 てんか している。
C3771:鍛造 たんぞう 用 よう 黄銅 こうどう (銅 どう が57.0-61.0%、鉛 なまり が1.0-2.5%、鉄 てつ +錫 すず が1.0%以下 いか 、亜鉛 あえん は残部 ざんぶ )
C4600台 だい :ネーバル(naval )黄銅 こうどう (海軍 かいぐん 黄銅 こうどう とも言 い う) 錫 すず (すず)を添加 てんか し耐 たい 海水 かいすい 性 せい を高 たか めたもの。
CAC201:黄銅 こうどう 鋳物 いもの 1種 しゅ
いずれの黄銅 こうどう も展延 てんえん 性 せい に優 すぐ れており、よく冷 ひや 間 あいだ 加工 かこう で使用 しよう される。適度 てきど な硬 かた さと過度 かど ではない展延 てんえん 性 せい によって、旋盤 せんばん やフライス盤 ふらいすばん などによる切削 せっさく 加工 かこう が容易 ようい でなおかつ価格 かかく もほどほどなので、微細 びさい な切削 せっさく 加工 かこう を要求 ようきゅう される金属 きんぞく 部品 ぶひん の材料 ざいりょう としての使用 しよう 頻度 ひんど が高 たか い[注釈 ちゅうしゃく 1] 。
黄銅 こうどう の比較的 ひかくてき 低 ひく い融点 ゆうてん (組成 そせい に応 おう じて900〜940°C、1,650〜1,720°F)とその流動 りゅうどう 特性 とくせい により、黄銅 こうどう は青銅 せいどう や亜鉛 あえん などより簡単 かんたん に鋳造 ちゅうぞう 可能 かのう である。
鉄鋼 てっこう 材 ざい に比 くら べ錆 さ びにくく水気 みずけ にも強 つよ いので、クローム めっき やステンレス 材 ざい の普及 ふきゅう 以前 いぜん は食器 しょっき 、調理 ちょうり 器具 きぐ 、水 みず 回 まわ り配管 はいかん 、建具 たてぐ 等 とう にも多用 たよう された。
物 もの に当 あ たっても火花 ひばな が出 で ないため、火気 かき 厳禁 げんきん の場所 ばしょ での工具 こうぐ に利用 りよう された。
リサイクル性 せい
2002年 ねん の本 ほん によると90%回収 かいしゅう されており、強 つよ 磁性 じせい ではないため磁石 じしゃく によって容易 ようい に選別 せんべつ 可能 かのう である[9] 。
黄銅 こうどう 製 せい の南京錠 なんきんじょう (アルファ 製 せい 1000シリーズ)
前記 ぜんき の特性 とくせい ゆえに、身近 みぢか なところでは切削 せっさく 加工 かこう を多用 たよう する鍵 かぎ や錠前 じょうまえ 、時計 とけい 部品 ぶひん 。他 た には紙幣 しへい の印刷 いんさつ 機 き などの精密 せいみつ 機械 きかい や理化学 りかがく 器械 きかい 類 るい 、蛇口 じゃぐち などの水道 すいどう 設備 せつび 、弾薬 だんやく の薬莢 やっきょう や金属 きんぞく 模型 もけい などに広 ひろ く使用 しよう されている。
エッチング して模型 もけい に使用 しよう される場合 ばあい もあるほか、市販 しはん されている金色 きんいろ の塗料 とりょう の多 おお くには黄銅 こうどう の微粉 びふん 末 まつ が使 つか われている。ただし、塗料 とりょう については、経年 けいねん により黒 くろ く変色 へんしょく し輝 かがや きを失 うしな うことがあり、ラテックス 類 るい ・生 なま ゴム に塗 ぬ ると黄銅 こうどう の成分 せいぶん (銅 どう と亜鉛 あえん )によりゴム を分解 ぶんかい 腐食 ふしょく させてしまう欠点 けってん がある。
金 きむ に似 に た美 うつく しい黄色 おうしょく の光沢 こうたく を放 はな つことから金 かね の代 だい 用品 ようひん にもされ、poorman's gold (貧者 ひんじゃ の金 かね )と呼 よ ばれる。ただし錆 さび に絶対 ぜったい 的 てき 耐 たい 性 せい をもつ純金 じゅんきん と違 ちが い、黄銅 こうどう は表面 ひょうめん にくすみを生 しょう じるので、銀 ぎん 食器 しょっき と同様 どうよう に磨 みが いたり、透明 とうめい ラッカーでコーティング処理 しょり する対策 たいさく を要 よう する。
日本 にっぽん では仏具 ぶつぐ 、多 おお くの金管楽器 きんかんがっき (別名 べつめい であるブラス(brass )は黄銅 こうどう の英名 えいめい に由来 ゆらい している)などに多用 たよう されている。日本 にっぽん の時代 じだい 劇 げき において小道具 こどうぐ として使 つか われる偽 にせ の小判 こばん も真鍮 しんちゅう 製 せい のものが多 おお い。
日本 にっぽん では、12世紀 せいき の平安 へいあん 時代 じだい には、金 かね の代 だい 用品 ようひん として使 つか われ始 はじ め、写経 しゃきょう に大量 たいりょう に使 つか われた。これは奈良大学 ならだいがく の東野 とうの 治之 はるゆき らの調査 ちょうさ によって判明 はんめい した(2014年 ねん 4月 がつ 21日 にち )[10] [11] [12] 。なお亜鉛 あえん は比較的 ひかくてき 、低温 ていおん で蒸発 じょうはつ してしまうため、精錬 せいれん が難 むずか しく、それまでの通説 つうせつ では、日本 にっぽん での黄銅 こうどう の製法 せいほう の普及 ふきゅう は江戸 えど 時代 じだい になってからとされた[11] 。
寛永 かんえい 通宝 つうほう にも真鍮 しんちゅう 製 せい のものがあり、これは一文 いちぶん 銭 ぜに よりやや大型 おおがた で裏面 りめん に波 なみ の模様 もよう があり、四 よん 文 ぶん に通用 つうよう した。
また、1948年 ねん から現在 げんざい に至 いた るまで、日本 にっぽん で発行 はっこう されている五 ご 円 えん 硬貨 こうか (品位 ひんい は銅 どう 60%-70%、亜鉛 あえん 40%-30%)の素材 そざい としても使 つか われている。日本 にっぽん の貨幣 かへい 素材 そざい としてのこの組成 そせい は、戦争 せんそう に使用 しよう した薬莢 やっきょう や弾 たま 帯 たい その他 た の兵器 へいき のスクラップを材料 ざいりょう に用 もち いたのが起源 きげん で、五 ご 円 えん 硬貨 こうか に使 つか われる以前 いぜん は、終戦 しゅうせん 直後 ちょくご の五 ご 十 じゅう 銭 ぜに 硬貨 こうか (大小 だいしょう 2種 しゅ あり)に使 つか われ、また1948年 ねん の五 ご 円 えん 硬貨 こうか と同時 どうじ に発行 はっこう が開始 かいし された一 いち 円 えん 硬貨 こうか にも使 つか われていた。また戦前 せんぜん にも日本 にっぽん で1938年 ねん の烏 がらす 一 いち 銭 ぜに 黄 き 銅貨 どうか が発行 はっこう されたこともあったが、これは「黄 き 銅貨 どうか 」と称 しょう しても組成 そせい が戦後 せんご の黄 き 銅貨 どうか と異 こと なり、この硬貨 こうか の品位 ひんい は銅 どう 90%、亜鉛 あえん 10%で、トムバック 黄銅 こうどう と呼 よ ばれる組成 そせい である。その一銭 いっせん ・五 ご 十 じゅう 銭 ぜに および一 いち 円 えん の黄 き 銅貨 どうか はいずれも現在 げんざい 通用 つうよう 停止 ていし となっている。
英語 えいご の慣用 かんよう 句 く で、組織 そしき のトップを top brass 、高級 こうきゅう 将校 しょうこう を brass hat と言 い う。また「真鍮 しんちゅう 色 しょく の」という意味 いみ の brazen は、「恥知 はじし らず、図々 ずうずう しい」という意味 いみ をもつ。
アンモニアによる腐食 ふしょく
イギリス領 りょう インド帝国 ていこく のイギリス軍 ぐん 内部 ないぶ で、夏場 なつば に厩舎 きゅうしゃ に保管 ほかん されていた弾薬 だんやく の薬莢 やっきょう がクラックしていたのが発見 はっけん された。調査 ちょうさ の結果 けっか 、夏場 なつば の熱 あつ さで厩舎 きゅうしゃ 内 ない のアンモニア が蒸発 じょうはつ し、それによって弾薬 だんやく に使用 しよう される真鍮 しんちゅう を腐食 ふしょく させたと判明 はんめい した。この現象 げんしょう は、特定 とくてい の季 き 節 ぶし に発生 はっせい したことから、シーズンクラッキング (英語 えいご 版 ばん ) と呼 よ ばれる。
プレート
教会 きょうかい に寄進 きしん されるプレート(モニュメンタル・ブラス (英語 えいご 版 ばん ) )に使用 しよう された。13-16世紀 せいき のイギリスで、プレートに彫 ほ られた文字 もじ や絵画 かいが をプレートの上 うえ に紙 かみ を置 お き、炭 すみ で擦 こす って複写 ふくしゃ する技法 ぎほう である乾 いぬい 拓 たく することが流行 はや り、ブラスラビング (英語 えいご 版 ばん ) (直訳 ちょくやく すると黄銅 こうどう 擦 こす り)と呼 よ ばれた。
^ 金属 きんぞく の切削 せっさく 加工 かこう 材 ざい としては、金 かね や純銅 じゅんどう などの軟 やわ らかい金属 きんぞく は展延 てんえん 性 せい がありすぎて粘 ねば りが強 つよ く、硬 かた い金属 きんぞく は削 けず りにくく割 わ れやすくどちらも微細 びさい な切削 せっさく 加工 かこう はしにくい。
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丹 に 銅 どう (たんどう):亜鉛 あえん が5 - 20%未満 みまん 、赤 あか みが強 つよ い。ゴールドブラスとも言 い う。
洋 よう 白 しろ (銅 どう と亜鉛 あえん とニッケルの合金 ごうきん )
青銅 せいどう (銅 どう と錫 すず の合金 ごうきん )
砲金 ほうきん (銅 どう と錫 すず の合金 ごうきん )
白銅 はくどう (銅 どう とニッケルの合金 ごうきん )
赤銅 しゃくどう (銅 どう と金 かね の合金 ごうきん )
セバ屑 くず (銅 どう 含有 がんゆう 量 りょう が65%、亜鉛 あえん 含有 がんゆう 量 りょう が35%位 くらい の板 いた の新 しん くず)
コーペル屑 くず (銅 どう 含有 がんゆう 量 りょう が60%、亜鉛 あえん 含有 がんゆう 量 りょう が40%位 くらい の板 いた の新 しん くず)
脱 だつ 亜鉛 あえん 腐食 ふしょく
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