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結晶化 - Wikipedia

結晶けっしょう(けっしょうか、えい: crystallization[1])は、均一きんいつ溶液ようえきから固体こたい結晶けっしょう生成せいせいする、自然しぜん、または人為じんいてき過程かていである。化学かがくでは、固体こたい液体えきたい分離ぶんりする技術ぎじゅつのひとつ。 

えだうえにできたしも結晶けっしょう

結晶けっしょうかく形成けいせい結晶けっしょう成長せいちょうという2つの段階だんかいからなる。

かく形成けいせい

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かく形成けいせいは、溶液ようえきちゅう分散ぶんさんしている溶質ようしつ分子ぶんしあつまり、すうナノメートル程度ていどおおきさのクラスター集団しゅうだん)をつく段階だんかいである。微小びしょう領域りょういきでの濃度のうど増加ぞうかこり、クラスターが十分じゅうぶん安定あんてい条件じょうけんととのうと、この段階だんかいはじまる。出来上できあがったクラスターは、結晶けっしょうかくとなるが、不安定ふあんてい場合ばあい解離かいりしてしまう。安定あんていかくとなるためには、ある程度ていどおおきさをえなければならないが、そのおおきさは溶液ようえきかれている条件じょうけん温度おんど過飽和かほうわ不純物ふじゅんぶつなど)によってまる。原子げんし規則きそくてき周期しゅうきてき配列はいれつし、結晶けっしょう構造こうぞう決定けっていされるのもこの段階だんかいである。ここでいう「結晶けっしょう構造こうぞう」とは、原子げんし配置はいち様式ようしき意味いみするかたりであり、出来上できあがる結晶けっしょうかたまりおおきさやかたちのことではない。

結晶けっしょう成長せいちょう

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結晶けっしょう成長せいちょうでは、出来上できあがったかく成長せいちょうする。過飽和かほうわ状態じょうたいつづかぎり、かく形成けいせい結晶けっしょう成長せいちょう進行しんこうつづける。過飽和かほうわ結晶けっしょう駆動くどうりょくであるため、かく形成けいせい結晶けっしょう成長せいちょうはやさは溶液ようえき過飽和かほうわたかいほど加速かそくされる。条件じょうけんによっては、かく形成けいせい結晶けっしょう成長せいちょうのうちのいずれかが支配しはいてきになるため、結果けっかとして、おおきさやかたちことなる結晶けっしょうられる。医薬品いやくひんなどの工業こうぎょうてき製造せいぞう過程かていにおいては、結晶けっしょうおおきさ・形状けいじょうのコントロールが重要じゅうよう課題かだいの1つである。過飽和かほうわ状態じょうたいわると、溶液ようえきかたえきあい平衡へいこうたっし、結晶けっしょう完了かんりょうする。条件じょうけん変化へんかして平衡へいこうやぶれ、溶液ようえき過飽和かほうわ状態じょうたいになれば、ふたた結晶けっしょうはじまる。

自然しぜんかいにおける結晶けっしょう

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ゆき結晶けっしょう結晶けっしょう成長せいちょう条件じょうけんによって幾何きかがく形状けいじょうことなることでられる

結晶けっしょうふく過程かてい自然しぜんかいには数多かずおお存在そんざいする。以下いかれいげる。

結晶けっしょうこるためには、溶液ようえき飽和ほうわしていなければならない。すなわち、平衡へいこう状態じょうたいにおける濃度のうどよりもおおくの溶質ようしつ分子ぶんしまたはイオン)をふくんでいる必要ひつようがある。そのような状態じょうたいこす一般いっぱんてき方法ほうほう以下いかがある。

溶媒ようばいをゆっくりと蒸発じょうはつさせる、といった方法ほうほうもとられる。

手順てじゅんとしては、溶媒ようばい選択せんたくし、そこへかし、脱色だっしょくし、個体こたい除去じょきょし、結晶けっしょうし、結晶けっしょうあつあらって乾燥かんそうさせる[2]。まず溶媒ようばい選択せんたくにあたり、不純物ふじゅんぶつまったかさないか、非常ひじょうによくかすため、結晶けっしょうすることができない性質せいしつち、化学かがく反応はんのうこさず、理想りそうてきには不燃ふねんせい無毒むどく安価あんかで、揮発きはつせいたかいなど最終さいしゅうてき除去じょきょしやすいものである[2]

溶質ようしつ溶解ようかいさせるにはビーカーではなく三角さんかくフラスコをもちい、可燃かねんせい溶媒ようばいときには使つかわず、ねつばん(またマントルヒーター・電気でんきフラスコヒーター[3])などであたため、溶媒ようばいをかきまぜたり、グルグルとふることで溶解ようかいうながしながら、溶質ようしつけるまで溶媒ようばいくわえていく[4]。(溶解ようかい参照さんしょう不溶性ふようせい不純物ふじゅんぶつけない[4]着色ちゃくしょくがあり、もし脱色だっしょくするには従来じゅうらい活性炭かっせいたんこな使つかったが、ろしきれず溶液ようえきくろずむため、Noritなどつぶ球状きゅうじょう活性炭かっせいたんのほうがてきしており、活性炭かっせいたんくわえてからすう分間ふんかん沸騰ふっとうし(ぎゃくではきこぼれる)、必要ひつよう以上いじょう活性炭かっせいたんくわえると不純物ふじゅんぶつ以外いがい吸着きゅうちゃくする[4]いで不純物ふじゅんぶつおおければろであり、容器ようきかたむけて溶液ようえきうつ不純物ふじゅんぶつだけをのこすとか(デカンテーション)、漏斗ろうと使つか[4]

最後さいご室温しつおんやし結晶けっしょうさせ、結晶けっしょううながすためにたね結晶けっしょう目的もくてきとする物質ぶっしつ)をくわえたり、ガラスぼう容器ようきをこすったり、さらに冷却れいきゃくする[4]結晶けっしょう完了かんりょうしたら、結晶けっしょう冷却れいきゃくした溶媒ようばいあらい、乾燥かんそうさせる[4]

結晶けっしょう不純ふじゅんであれば精製せいせいし、さい結晶けっしょうしたり、ときには昇華しょうかさせる[3]結晶けっしょうしない場合ばあい抽出ちゅうしゅつによってたんはなれする[3]

出典しゅってん

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  1. ^ 文部省もんぶしょう日本にっぽん物理ぶつり学会がっかいへん学術がくじゅつ用語ようごしゅう 物理ぶつりがくへん培風館ばいふうかん、1990ねんISBN 4-563-02195-4 
  2. ^ a b L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, pp. 33–34.
  3. ^ a b c L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, p. 2.
  4. ^ a b c d e f L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, pp. 36–39.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン『フィーザー/ウィリアムソン有機ゆうき化学かがく実験じっけん』(だい8はん丸善まるぜん、2000ねんISBN 4-621-04734-5  Organic experiments, 8th ed, 1998.

関連かんれん項目こうもく

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