警察庁けいさつちょう広域こういき重要じゅうよう指定してい118号ごう事件じけん

警察庁けいさつちょう広域こういき重要じゅうよう指定してい118号ごう事件じけん（けいさつちょうこういきじゅうようしてい118ごうじけん）とは、1991年ねんに発覚はっかくした誘拐ゆうかいと監禁かんきんおよび強盗ごうとう殺人さつじん事件じけんで2人ふたりが殺害さつがいされた。別名べつめいを千葉ちば・福島ふくしま・岩手いわて誘拐ゆうかい殺人さつじん事件じけんともいう。

8人にんが逮捕たいほされ、3人にんが死刑しけい判決はんけつを受うけたが死刑しけいが執行しっこうされないまま3人にん全員ぜんいんが病死びょうしという結末けつまつとなった。

事件じけんの概要がいよう

第だい一いちの事件じけん

• 1986年ねん7月がつに、元もと警察官けいさつかんO、塗装とそう工こうS（逮捕たいほ時じ50歳さい）、土建どけん業者ぎょうしゃK（逮捕たいほ時じ48歳さい）、Kの弟おとうとで土木どぼく作業さぎょう員いんのW、土木どぼく作業さぎょう員いんのXの5人にんは、共謀きょうぼうの上うえ、岩手いわて県けん盛岡もりおか市しの金融きんゆう業者ぎょうしゃA（当時とうじ41歳さい）から、現金げんきん37万まん5000円えんを奪うばい、被害ひがい者しゃを岩手いわて郡ぐん岩手いわて郡ぐん雫石しずくいし町まちの山林さんりんに生いき埋うめにして殺害さつがいした。

第だい二にの事件じけん

• 1989年ねん7月がつ20日はつかに、O、S、K、W、X、元もと自動車じどうしゃ運転うんてん手しゅY、塗装とそう工こうZの7人にんは、共謀きょうぼうの上うえ、福島ふくしま県けん郡山こおりやま市しの塗装とそう会社かいしゃ社長しゃちょうB（当時とうじ48歳さい）を取引とりひきを装よそおって呼よび出だして1700万まん円えんを強奪ごうだつし、殺害さつがいして福島ふくしま県けん耶麻やま郡ぐん猪苗代いなわしろ町まちの山林さんりんに埋うめた。

第だい三さんの事件じけん

• 1991年ねん5月1日にちに、S、Z、別べつの塗装とそう工こうの男性だんせいは、共謀きょうぼうの上うえ、千葉ちば県けん市原いちはら市しの塗装とそう業者ぎょうしゃC（当時とうじ53歳さい）を誘拐ゆうかいし、身代金みのしろきん2000万まん円えんを強奪ごうだつした。Cは殺害さつがいされず栃木とちぎ県けん宇都宮うつのみや市しで2日にち後ごに解放かいほうされた。この事件じけんの被疑ひぎ者しゃとして3人にんが逮捕たいほされたが、最終さいしゅう的てきには主犯しゅはん格かくの元もと岩手いわて県けん警察けいさつ巡査じゅんさのO（逮捕たいほ時じ38歳さい）ら犯人はんにんたちが逮捕たいほされ、事件じけんの全貌ぜんぼうが判明はんめいした。

裁判さいばん

金きむ目的もくてきで無抵抗むていこうの被害ひがい者しゃを生いき埋うめにするなど極きわめて残忍ざんにんな犯行はんこう・2人ふたりを殺害さつがいした結果けっかの重大じゅうだい性せいから公判こうはん当初とうしょから死刑しけい適用てきようが予想よそうされた一方いっぽう、公判こうはんでは被告人ひこくにんらが「自分じぶんは主犯しゅはんではない」とそれぞれ主張しゅちょうし、弁護人べんごにんは死刑しけい制度せいどの問題もんだい点てんを指摘してきして死刑しけい回避かいひを訴うったえた。福島ふくしま地方ちほう検察庁けんさつちょうは「凶悪きょうあくな犯行はんこう」として2人ふたりの犠牲ぎせい者しゃ（被害ひがい者しゃ3人にん）の当とう事件じけんに関かんして、2人ふたりを殺害さつがいした被告人ひこくにんO・S・K・W・Xに死刑しけい、1人ひとりを殺害さつがいした被告人ひこくにんYに無期むき懲役ちょうえきを求刑きゅうけいした。なお、Zは公判こうはん中ちゅうに死亡しぼうしたため公訴こうそ棄却ききゃくとなっている。

第だい一いち審しん・福島ふくしま地方裁判所ちほうさいばんしょは1995年ねん1月がつ27日にちに開ひらかれた判決はんけつ公判こうはんで、被告人ひこくにん6人にんのうちO・S・Kの3被告人ひこくにんに「主導しゅどう的てき又または重要じゅうような役割やくわりを果はたした」「いずれの力ちからを欠かいてもAとBの殺害さつがいは実現じつげんしなかった」として死刑しけい判決はんけつを、死刑しけいを求刑きゅうけいされていたW・Xには「2人ふたりを殺害さつがいしたが従属じゅうぞく的てき立場たちばであった」、無期むき懲役ちょうえきを求刑きゅうけいされていたYには「殺害さつがい人数にんずうが1人ひとりで従属じゅうぞく的てき立場たちばだが無期むき懲役ちょうえきはやむを得えない」として、それぞれ無期むき懲役ちょうえき判決はんけつをそれぞれい渡いわたした。被告人ひこくにん3人にんに同時どうじに死刑しけい判決はんけつがい渡いわたされたのは1965年ねん・千葉ちば地裁ちさい（強盗ごうとう殺人さつじん罪ざいで被告人ひこくにん3人にんに死刑しけい判決はんけつ）以来いらい。

被告ひこくらは減刑げんけいを求もとめ控訴こうそした。また、WとXについては検察けんさつ側がわも求刑きゅうけい通どおりの死刑しけい判決はんけつを求もとめ控訴こうそした。しかし、仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょも1998年ねん3月がつ17日にちに一いち審しんと同様どうようの判決はんけつをい渡いわたし、各かく控訴こうそを棄却ききゃくした。

最高裁判所さいこうさいばんしょは2003年ねん（平成へいせい15年ねん）12月17日にちまでにO・S・Kの3被告人ひこくにんに関かんして「2004年ねん4月がつ22日にちに上告じょうこく審しん口頭こうとう弁論べんろん公判こうはんを開廷かいていする」と関係かんけい者しゃに通知つうちした。2004年ねん（平成へいせい16年ねん）6月がつ25日にち、最高裁判所さいこうさいばんしょ第だい二に小しょう法廷ほうてい（北川きたがわ弘治こうじ裁判さいばん長ちょう）は第だい一いち審しん・控訴こうそ審しんでO・S・Kの3被告人ひこくにんにい渡いわたされた死刑しけい判決はんけつを支持しじして3被告人ひこくにん・弁護人べんごにん側がわの上告じょうこくを棄却ききゃくする判決はんけつをい渡いわたしたため、被告人ひこくにん3人にんの死刑しけい判決はんけつが確定かくていした。

無期むき懲役ちょうえき判決はんけつを受うけた被告人ひこくにん3人にんのうちW・X両りょう被告人ひこくにんはそのまま上告じょうこくせずに控訴こうそ審しんで確定かくてい。被告人ひこくにんYも2003年ねんに最高裁さいこうさいで上告じょうこくを棄却ききゃくされ確定かくてい。被告人ひこくにんZは第だい一いち審しんの途中とちゅうで病死びょうし。被害ひがい者しゃが殺害さつがいされなかった千葉ちば事件じけんのみに加担かたんした男性だんせい被告人ひこくにんは1991年ねん9月がつ末まつに千葉ちば地方裁判所ちほうさいばんしょで懲役ちょうえき6年ねんをい渡いわたされ、やがて確定かくてい。

判決はんけつ確定かくてい後ご

死刑しけい囚しゅうSは福島ふくしま地裁ちさいに再審さいしん請求せいきゅうを行おこなったが、2012年ねん1月がつには福島ふくしま地裁ちさい、2012年ねん12月には仙台せんだい高裁こうさいとも請求せいきゅうを退しりぞけた。Sが72歳さいとなった2013年ねん2月がつ、最高裁さいこうさい第だい三さん小しょう法廷ほうていも再審さいしん請求せいきゅうを棄却ききゃくした。

2013年ねん8月がつ14日にち夜よる、死刑しけい囚しゅうSは収監しゅうかん先さきの宮城みやぎ刑務所けいむしょ仙台せんだい拘置こうち支所ししょ医務いむ棟とうで急性きゅうせい肺炎はいえんにより病死びょうしした。

死刑しけい囚しゅうKは東京とうきょう拘置こうち所しょに移送いそうされたが、2010年ねん12月、胆きも管かん癌がんと診断しんだんされたため医療いりょう施設しせつのある宮城みやぎ刑務所けいむしょ仙台せんだい拘置こうち支所ししょ医務いむ棟とうに移送いそうされ、2011年ねん1月がつ29日にち、拘置こうち支所ししょ外がいの一般いっぱん病院びょういんで病死びょうしした。

死刑しけい囚しゅうOも2008年ねん10月、福島ふくしま地裁ちさいに再審さいしん請求せいきゅう、同年どうねん東京とうきょう拘置こうち所しょに移送いそうされたが、2014年ねん6月26日にち未明みめい、誤あやま嚥えん性せい肺炎はいえんによる急性きゅうせい呼吸こきゅう器き不全ふぜんのため同所どうしょで病死びょうしした。これにより本ほん事件じけんの死刑しけい確定かくてい囚しゅう3人にんは全員ぜんいん死刑しけいを執行しっこうされぬまま病死びょうしするという結末けつまつとなった。

脚注きゃくちゅう

以下いかの文献ぶんけんにおいて、記事きじ名めいに死刑しけい囚しゅうらの実名じつめいが使つかわれている場合ばあい、その箇所かしょをイニシャルとする。

出典しゅってん

• 鎌田かまた正文まさふみ 著ちょ、事件じけん・犯罪はんざい研究けんきゅう会かい, 村野むらの薫かおる 編へん『明治めいじ・大正たいしょう・昭和しょうわ・平成へいせい 事件じけん・犯罪はんざい大だい事典じてん』（初版しょはん発行はっこう）東京法経学院出版とうきょうほうけいがくいんしゅっぱん、2002年ねん7月がつ5日にち、296頁ぺーじ。ISBN 978-4808940034。 

参考さんこう文献ぶんけん

刑事けいじ裁判さいばんの判決はんけつ文ぶん

• 最高裁判所さいこうさいばんしょ第だい二に小しょう法廷ほうてい判決はんけつ 2004年ねん（平成へいせい16年ねん）6月がつ25日にち 『最高裁判所さいこうさいばんしょ裁判さいばん集しゅう刑事けいじ』（集あつまり刑けい）第だい285号ごう503頁ぺーじ、裁判所さいばんしょウェブサイト掲載けいさい判例はんれい、平成へいせい10年ねん(あ)第だい551号ごう、『営利えいり誘拐ゆうかい，監禁かんきん，強盗ごうとう殺人さつじん，死体したい遺棄いき，みのしろ金きん目的もくてき拐取，拐取者しゃみのしろ金きん取得しゅとく被告ひこく事件じけん』「死刑しけいの量刑りょうけいが維持いじされた事例じれい（岩手いわて，福島ふくしまの営利えいり誘拐ゆうかい，強盗ごうとう殺人さつじん等とう事件じけん）」。
  • 判決はんけつ内容ないよう：O・S・Kの3被告人ひこくにん・弁護人べんごにん側がわの上告じょうこく棄却ききゃく（原審げんしんの死刑しけい判決はんけつ支持しじ・確定かくてい）
  • 最高さいこう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかん：北川きたがわ弘治こうじ（裁判さいばん長ちょう）・福田ふくだ博ひろし・滝井たきい繁男しげお・津野つの修おさむ
  • 検察官けんさつかん：福嶋ふくしま成しげる二に
  • 弁護人べんごにん
    • 被告人ひこくにんSの弁護人べんごにん：松下まつした明夫あきお
    • 被告人ひこくにんOもしくは被告人ひこくにんKの弁護人べんごにん：小川原おがわら優ゆう之これ
    • 被告人ひこくにんOもしくは被告人ひこくにんKの弁護人べんごにん：安田やすだ好弘よしひろ・村松むらまつ敦子あつこ
  • 原はら判決はんけつ：仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょ判決はんけつ・1998年ねん（平成へいせい10年ねん）3月がつ17日にち

関連かんれん項目こうもく

• 警察庁けいさつちょう広域こういき重要じゅうよう指定してい事件じけん
• 日本にっぽんにおける死刑しけい囚しゅうの一覧いちらん (2000-2009)
• 日本にっぽんにおける被ひ死刑しけい執行しっこう者しゃの一覧いちらん