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軍部 - Wikipedia

軍部ぐんぶ

国家こっか保有ほゆうする軍隊ぐんたい全体ぜんたいのこと。また、軍隊ぐんたい幹部かんぶ

軍部ぐんぶ(ぐんぶ)は、さい広義こうぎには陸軍りくぐん海軍かいぐん空軍くうぐんなど、国家こっか保有ほゆうする軍隊ぐんたい全体ぜんたいしていう言葉ことばである。

この「軍部ぐんぶ」がもちいられるのは、文民ぶんみん政府せいふとの関係かんけいろんじる文脈ぶんみゃくで、軍部ぐんぶによる政治せいじ介入かいにゅう軍部ぐんぶクーデターによる文民ぶんみん政府せいふ倒壊とうかい軍事ぐんじ専門せんもんしょく集団しゅうだんである軍部ぐんぶたいする文民ぶんみん統制とうせいアジアラテンアメリカ権威けんい主義しゅぎ体制たいせいしたにおける民政みんせい移管いかんなど、いわゆる「せいぐん関係かんけい(civil-military relations)」をろんじる場合ばあいである。

日本にっぽんにおける軍部ぐんぶ

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日本にっぽんにおける狭義きょうぎ軍部ぐんぶは、戦前せんぜんきゅう日本にっぽんぐんきゅう日本にっぽん陸軍りくぐんおよきゅう日本にっぽん海軍かいぐん)の上部じょうぶ組織そしき、すなわち、陸軍りくぐんしょう海軍かいぐんしょう陸軍りくぐん参謀さんぼう本部ほんぶ海軍かいぐん軍令ぐんれいひとしす(空軍くうぐん日本にっぽんふくおおくのくにで、登場とうじょうしたのがだい世界せかい大戦たいせん)。

戦前せんぜん日本にっぽんにおける軍部ぐんぶ制度せいどてき前提ぜんていとなったのは、軍部ぐんぶ政府せいふからの独立どくりつせい保障ほしょうした統帥とうすい大権たいけん大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうだい11じょう)、軍部ぐんぶ大臣だいじん現役げんえき武官ぶかんせい帷幄上奏いあくじょうそうけんぐん学校がっこうつうじた幹部かんぶ養成ようせい制度せいど陸軍りくぐん場合ばあいは、陸軍りくぐん幼年ようねん学校がっこう - 陸軍りくぐん士官しかん学校がっこう - 陸軍りくぐんだい学校がっこう海軍かいぐん場合ばあいは、海軍兵学校かいぐんへいがっこう - 海軍かいぐんだい学校がっこう)などであった。

ただし、実際じっさい軍部ぐんぶがその実体じったいせいちうるようになったのは、三宅みやけ正樹まさきによると、陸海りくかいぐん政党せいとう政治せいじ官僚かんりょう重臣じゅうしんなどの文民ぶんみん政治せいじ勢力せいりょくたいして自立じりつせいたかめ、さらにはこれを圧倒あっとうする政治せいじ勢力せいりょくとして登場とうじょうしてきたときであり、最初さいしょはもっぱら文民ぶんみん政治せいじ勢力せいりょくから批判ひはん反感はんかんめて「軍部ぐんぶ」という表現ひょうげんがしきりにもちいられるようになったという(三宅みやけ、1983ねん、10ぺーじ以下いか)。

だい世界せかい大戦たいせん敗戦はいせんは、戦闘せんとう能力のうりょくゆうする自衛隊じえいたい制度せいどてきにも実質じっしつてきにも文民ぶんみん統制とうせいしたいているため、すくなくとも自衛隊じえいたい戦前せんぜん軍部ぐんぶのような政治せいじ介入かいにゅうクーデターをおこなうことはかんがえにくくなっている。

日本にっぽん以外いがいにおける軍部ぐんぶ

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日本にっぽん以外いがいでこの「軍部ぐんぶ」に対応たいおうするかたり見出みいだすのはむずかしい。軍隊ぐんたいない上部じょうぶ機関きかんというてんでは、プロイセンの将校しょうこうだん下士官かしかん兵士へいしふくまない専門せんもんしょく団体だんたい)などがそれにもっともちかいかもしれない[独自どくじ研究けんきゅう?]

ハンティントン初期しょきせいぐん関係かんけい研究けんきゅうは、近代きんだいてき将校しょうこうだん特質とくしつをそのプロフェッショナリズムにいて、(1)暴力ぼうりょく独占どくせんてき管理かんり運営うんえい部門ぶもんにおける専門せんもん技術ぎじゅつせい、(2)国家こっか軍事ぐんじじょう安全あんぜん保障ほしょうにおける責任せきにんせい、(3)それ以外いがい社会しゃかいから区別くべつされた特殊とくしゅ職業しょくぎょう集団しゅうだん形成けいせいする団体だんたいせいをその特徴とくちょうとしてげている。こうしたハンティントンのせいぐん関係かんけいろんにはその論者ろんしゃによって批判ひはん修正しゅうせいくわえられたが、軍部ぐんぶ定義ていぎ実態じったい考察こうさつするさいには、依然いぜんとしてその出発しゅっぱつてんになることはたしかであろう[独自どくじ研究けんきゅう?]

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Huntington, Samuel P., The Soldier and the State:The Theory and Politics of Civil-Military Relations, Cambridge University Press, 1964
  • 三宅みやけ正樹まさき日本にっぽんせいぐん関係かんけい特質とくしつ病理びょうり」、どうほかへん昭和しょうわ軍部ぐんぶ政治せいじ1 軍部ぐんぶ支配しはい開幕かいまく』、だいいち法規ほうき、1983ねん
  • 廣瀬ひろせ克哉かつや軍事ぐんじ専門せんもん職業しょくぎょうろん論理ろんり構造こうぞうとその限界げんかい - ハンティントンの「客体かくたいてき文民ぶんみん統制とうせい批判ひはん -」、『思想しそう』1983ねん7がつ岩波書店いわなみしょてん
  • イ・ヒョンチョル 『軍部ぐんぶ昭和しょうわうえ合法ごうほうてき間接かんせつ支配しはいへのみち』、『どうした日本にっぽんがたせいぐん関係かんけい絶頂ぜっちょう終焉しゅうえん』、NHKブックス、1987ねん
  • チョウ・カッチェ(ファン・ミンギやく) 『軍部ぐんぶ !かたられざる韓国かんこく暗部あんぶ』、JICC出版しゅっぱんきょく、1990ねん
  • 小林こばやし道彦みちひこにち戦争せんそう軍事ぐんじ政治せいじ - 1906-1913 -」、『思想しそう』1992ねん4がつ岩波書店いわなみしょてん
  • 伊藤いとうじゅつせいぐん関係かんけい理論りろんてき課題かだい - 軍部ぐんぶ政治せいじ介入かいにゅう撤退てったいしょ問題もんだい -」、『政治せいじ経済けいざい史学しがく』328ごう、1993ねん10がつ

関連かんれん項目こうもく

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