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辞典 - Wikipedia

辞典じてん

言葉ことば意味いみとう解説かいせつした書籍しょせき

辞典じてん(じてん)とは、言葉ことば物事ものごと漢字かんじなどをあつめ、その品詞ひんし意味いみ背景はいけい語源ごげんひとし)・使用しようほう用例ようれい)・派生はせいとう解説かいせつした書籍しょせき辞書じしょ(じしょ)・字引じびき(じびき)ともう。

グラーツ大学だいがく図書館としょかんラテン語らてんご辞書じしょ
辞典じてん

なお、「辞典じてん」「辞書じしょ」という単語たんごは、おも言葉ことばについてかれたもの(国語こくご辞典じてん英和えいわ辞典じてん漢和かんわ辞典じてんなど)についてもちいるもので、文字もじについてかれた辞典じてんは「字典じてん」、事物じぶついて詳細しょうさいかれた辞典じてん百科ひゃっか事典じてんなど)については「事典じてん」という表記ひょうきもちいて区別くべつされる。「辞典じてん」「字典じてん」「事典じてん」はいずれも「じてん」で発話はつわにおいては区別くべつできないため、それぞれ「ことばてん」(言葉ことばてん)、「もじてん」(文字もじてん)、「ことてん」(事典じてん)といいかえられることもある。

辞書じしょかんする学問がくもん分野ぶんやとして辞書じしょがくがある。辞書じしょ編纂へんさんしゃはレキシコグラファー(lexicographer)とばれる[1]

日本にっぽん

編集へんしゅう

日本にっぽんにおける現存げんそん最古さいこ辞典じてんは、平安へいあん時代じだい初期しょき空海くうかいによって編纂へんさんされた『篆隷万象ばんしょう名義めいぎ』であるとわれる。つぎまれたのは、あきらじゅうによって編纂へんさんされた漢和かんわ辞典じてん、『新撰しんせんきょう』である。これらは漢字かんじ字形じけいによって分類ぶんるいした字書じしょであった。この系統けいとうでは院政いんせいになると『類聚るいじゅう名義めいぎしょう』がつくられた。

一方いっぽう、『しかみやび』のながれを意味いみべつ漢字かんじ分類ぶんるいされた漢和かんわ辞典じてんには、平安へいあん時代じだい中期ちゅうき源順みなもとのしたごうによって編纂へんさんされた『和名わみょう類聚るいじゅうしょう』がある。項目こうもく多様たようせいから日本にっぽん最古さいこ百科ひゃっか事典じてんともされる。この系統けいとう辞典じてんでは室町むろまち時代ときよになると、ひろ階層かいそう普及ふきゅうはじめたことを背景はいけいに、『下学かがくしゅう』、諸種しょしゅの「節用せつようしゅう」などの辞典じてんおおまれた。

また、漢字かんじ字音じおんにもとづいて漢字かんじ分類ぶんるいした韻書いんしょとして、南北なんぼくあさ時代じだいに『聚分いんりゃく』がつくられた。

安土あづち桃山ももやま時代じだいさい末期まっき1603ねん慶長けいちょう8ねん)には、イエズスかいキリスト教きりすときょう宣教師せんきょうしにより『にち葡辞しょ』が作成さくせいされた[2]日本にっぽんにおける「辞書じしょ」の呼称こしょうは『葡日対訳たいやく辞書じしょ』 (1593ねん)が初出しょしゅつかんがえられる。にち葡辞しょは、当時とうじポルトガルアルファベット記述きじゅつされており、室町むろまち時代ときよ末期まっき安土あづち桃山ももやま時代じだい日本語にほんご音韻おんいんをよく記録きろくするだいいちきゅう史料しりょうでもある。

江戸えど時代じだいには、室町むろまちの「節用せつようしゅう」や往来おうらいぶつもとにして非常ひじょう多数たすう辞典じてん編集へんしゅう発行はっこうされた。それらのうち、『和漢わかんさんさい図会ずえ』や『古今ここん要覧ようらん稿こう』などは、百科ひゃっか事典じてんぶべき内容ないようそなえている。

明治めいじ時代じだいにはいると、言語げんご政策せいさく一環いっかんとして大槻おおつき文彦ふみひこの『げんうみ』が編纂へんさんされた。大槻おおつき西洋せいよう言語げんご理論りろん(とく英語えいご辞書じしょウェブスター英語えいご辞典じてん』)をもとにして日本語にほんご言語げんご理論りろん体系たいけいし、それにより『げんうみ』をつくった。そのげんうみはんとしておおくの辞典じてんがつくられた。

戦後せんご新村しんむらいずるへん広辞苑こうじえん』や、独特どくとく語釈ごしゃくられる山田やまだ忠雄ただおへんしん明解めいかい国語こくご辞典じてん』などをふくめ、様々さまざま辞典じてん発行はっこうされた。20世紀せいきまつから各種かくしゅ電子でんし辞書じしょ登場とうじょうした。

中国ちゅうごく

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中国ちゅうごく表記ひょうきする文字もじ漢字かんじであり、意味いみちがいにおうじてことなる文字もじ使つかわれる。このため、中国ちゅうごく言葉ことばあつめたり解説かいせつすることは、漢字かんじあつめ、その字義じぎ解説かいせつすることで代替だいたいされた。漢字かんじ字形じけいによって配当はいとうし、字義じぎ字音じおん字源じげんなどをまとめた書物しょもつ字書じしょ(じしょ)とんだ。『せつぶんかい』『たまへん』などがこれに相当そうとうする。これは日本にっぽん漢和かんわ辞典じてん原型げんけいである。字書じしょは『かん字典じてん以降いこう字典じてん(じてん)とばれることがおおくなった。一方いっぽう字義じぎによって漢字かんじあつめる書物しょもつもあり、一種いっしゅ類語るいご辞典じてんであるが、これには『しかみやび』『しゃくめい』『方言ほうげん』などがある。現在げんざい中国ちゅうごくではこれらを訓詁くんこしょ(くんこしょ)とんでいるが、日本にっぽんでは河野こうの六郎ろくろうしょ(ぎしょ)とぶことを提唱ていしょうしている。また、音韻おんいんによって漢字かんじ分類ぶんるいし、そのじゅんによってならべた書物しょもつ韻書いんしょ(いんしょ)とぶ。これには『きりいん』『こういん』『しゅういん』『中原なかはら音韻おんいん』などがある。

以上いじょうのように伝統でんとうてき中国ちゅうごく学問がくもんでは漢字かんじ1字義じぎあつかうものしかなく、現代げんだいてきにいえば、形態素けいたいそ意味いみあつか辞典じてんしかなかった。2以上いじょうあらわされる単語たんご意味いみあつかわれるようになるのは近代きんだい以降いこうであり、現在げんざい中国ちゅうごく語義ごぎあつかうものはてん(あるいは辞典じてん)とんでいる。

伝統でんとう学問がくもんでは類語るいご辞典じてんてき百科ひゃっか事典じてんてきなものがつくられた。これを類書るいしょという。もっぱら自然しぜんかい人間にんげんかい事物じぶつ現象げんしょうかんするかたりかんして古今ここんのさまざまな書物しょもつから用例ようれいあつめて引用いんようしたものである。のちには書物しょもつがまるごと分類ぶんるいされ、事典じてんよりも叢書そうしょてき様相ようそうていしたものもある。『芸文げいぶん類聚るいじゅう』『太平たいへい御覧ごらん』『永楽えいらく大典たいてん』『古今ここん図書としょ集成しゅうせい』といったものがげられる。漢詩かんしつくるのに利用りようされた『佩文いん』などは日本にっぽん漢和かんわ辞典じてん熟語じゅくご典故てんこ記載きさいなどに利用りようされた。

出典しゅってん

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  1. ^ デジタル大辞泉だいじせん解説かいせつ コトバンク
  2. ^ にち葡辞しょ”. 岩波書店いわなみしょてん. 1997ねん3がつ28にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2017ねん9がつ24にち閲覧えつらん

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