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(2023年 ねん 10月 がつ )
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ITER (イーター[1] )は、国際 こくさい 協力 きょうりょく によって核 かく 融合 ゆうごう エネルギーの実現 じつげん 性 せい を研究 けんきゅう するための実験 じっけん 施設 しせつ である。この核 かく 融合 ゆうごう 実験 じっけん 炉 ろ は核 かく 融合 ゆうごう 炉 ろ を構成 こうせい する機器 きき を統合 とうごう した装置 そうち であり、ブランケット やダイバータ などのプラズマ対向 たいこう 機器 きき にとって総合 そうごう 試験 しけん 装置 そうち でもある。計画 けいかく が順調 じゅんちょう に行 い けば原型 げんけい 炉 ろ 、実証 じっしょう 炉 ろ または商業 しょうぎょう 炉 ろ へと続 つづ く。名称 めいしょう は、過去 かこ にはInternational Thermonuclear Experimental Reactor の略称 りゃくしょう と説明 せつめい された時期 じき もあったが、現在 げんざい は公式 こうしき にはiter (羅 ら :道 みち )に由来 ゆらい する、とされている[要 よう 出典 しゅってん ] 。
ITER参加 さんか 国 こく
日本 にっぽん では「国際 こくさい 熱 ねつ 核 かく 融合 ゆうごう 実験 じっけん 炉 ろ (こくさいねつかくゆうごうじっけんろ)」または「イーター (後述 こうじゅつ する協定 きょうてい の和文 わぶん 正文 せいぶん 等 とう における呼称 こしょう )」と呼 よ ばれている。
建設 けんせつ 候補 こうほ 地 ち として青森 あおもり 県 けん 六 ろく ヶ所 かしょ 村 むら (日本 にっぽん )とカダラッシュ (フランス )が挙 あ げられていたが、2005年 ねん 6月 がつ 、カダラッシュに建設 けんせつ することが決定 けってい された。2006年 ねん 11月にはプロジェクトの実施 じっし 主体 しゅたい となる国際 こくさい 機関 きかん を設立 せつりつ する国際 こくさい 協定 きょうてい である「イーター事業 じぎょう の共同 きょうどう による実施 じっし のためのイーター国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう エネルギー機構 きこう の設立 せつりつ に関 かん する協定 きょうてい (Agreement on the Establishment of the ITER International Fusion Energy Organization for the Joint Implementation of the ITER Project)」に対 たい する署名 しょめい が行 おこな われた後 のち 、2007年 ねん 10月 がつ 24日 にち に協定 きょうてい の効力 こうりょく が発生 はっせい し、イーター国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう エネルギー機構 きこう が国際 こくさい 機関 きかん として正式 せいしき に設立 せつりつ された。
ITERの炉心 ろしん モデル
21世紀 せいき 初頭 しょとう の現在 げんざい 、核 かく 融合 ゆうごう に関 かん する研究 けんきゅう は世界 せかい 各国 かっこく で活発 かっぱつ に行 おこな われており、装置 そうち の方式 ほうしき についても様々 さまざま な種類 しゅるい のものが検討 けんとう されている。しかし、これまでの研究 けんきゅう 装置 そうち では、実用 じつよう 化 か するに足 た る規模 きぼ のエネルギー(数 すう 十 じゅう 万 まん kW程度 ていど )を継続 けいぞく 的 てき に発生 はっせい させた例 れい はなく、瞬間 しゅんかん 値 ち としても欧州 おうしゅう 連合 れんごう のJET(Joint European Torus)が1997年 ねん に記録 きろく した1万 まん 6千 せん kWが最大 さいだい である。実用 じつよう 規模 きぼ の核 かく 融合 ゆうごう エネルギーが生 しょう じる条件下 じょうけんか でのプラズマ の物理 ぶつり は未知 みち の領域 りょういき であり、プラズマ物理 ぶつり における課題 かだい の解明 かいめい が大 おお きく期待 きたい されている。また、その解明 かいめい は核 かく 融合 ゆうごう エネルギーの実用 じつよう 化 か に不可欠 ふかけつ な課題 かだい の一 ひと つである。ITERでは最大 さいだい で50 - 70万 まん kWの出力 しゅつりょく (熱 ねつ 出力 しゅつりょく )が見込 みこ まれており、実用 じつよう 規模 きぼ のエネルギーを発生 はっせい させる初 はつ の核 かく 融合 ゆうごう 装置 そうち となる。さらに、ITERではエネルギー発生 はっせい プラントとしてのエネルギー収支 しゅうし も大 おお きく向上 こうじょう され、運転 うんてん 維持 いじ に必要 ひつよう となるエネルギー(入力 にゅうりょく エネルギー)と核 かく 融合 ゆうごう により生成 せいせい されるエネルギー(出力 しゅつりょく エネルギー)との比 ひ (エネルギー増 ぞう 倍率 ばいりつ )が従来 じゅうらい 装置 そうち では1程度 ていど であったところ、5 - 10を目標 もくひょう 値 ち としている。
また、核 かく 融合 ゆうごう による発電 はつでん を行 おこな う場合 ばあい 、長時間 ちょうじかん 連続 れんぞく して核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう を生 しょう じさせる必要 ひつよう があるが、実用 じつよう 可能 かのう な程度 ていど に高 たか い圧力 あつりょく のプラズマ を保持 ほじ するまでには至 いた っておらず、韓国 かんこく のKSTAR が55秒 びょう を達成 たっせい したのが最長 さいちょう である(低 ひく い圧力 あつりょく のプラズマについては、九州大学 きゅうしゅうだいがく のTRIAM が5時 じ 間 あいだ 16分 ぶん の記録 きろく を保持 ほじ )。ITERではこれを超 こ えて、エネルギー増 ぞう 倍率 ばいりつ が10以上 いじょう の場合 ばあい でも300 - 500秒 びょう の長時間 ちょうじかん 運転 うんてん を達成 たっせい できることに加 くわ え、エネルギー増 ぞう 倍率 ばいりつ が5の場合 ばあい には定常 ていじょう 運転 うんてん (連続 れんぞく 運転 うんてん )が可能 かのう となることを目標 もくひょう としている。
さらに、核 かく 融合 ゆうごう 装置 そうち はプラズマ閉 と じ込 こ め用 よう の超 ちょう 伝導 でんどう コイル、プラズマ加熱 かねつ 用 よう の加速器 かそくき 、保守 ほしゅ のための遠隔 えんかく ロボット等 とう 、高度 こうど な技術 ぎじゅつ の集大成 しゅうたいせい でもあり、ITERにおいてこれらの機器 きき を統合 とうごう 的 てき に運用 うんよう して、核 かく 融合 ゆうごう 装置 そうち という特殊 とくしゅ な環境 かんきょう においてもお互 たが いに悪影響 あくえいきょう を及 およ ぼさず、正常 せいじょう に運転 うんてん するという経験 けいけん を積 つ むことは、核 かく 融合 ゆうごう の実用 じつよう 化 か にあたって貴重 きちょう な機会 きかい であり、これもITERの大 おお きな目的 もくてき の一 ひと つである。
一方 いっぽう で、核 かく 融合 ゆうごう の実用 じつよう 化 か には、高 たか い中性子 ちゅうせいし 照射 しょうしゃ に耐 た えるとともに、放射 ほうしゃ 性 せい 物質 ぶっしつ に変化 へんか しにくい材料 ざいりょう の開発 かいはつ が必要 ひつよう 不可欠 ふかけつ であるが、ITERは材料 ざいりょう 開発 かいはつ に用 もち いるためには中性子 ちゅうせいし の発生 はっせい 量 りょう が不十分 ふじゅうぶん であり、これを主 おも な目的 もくてき とはしていない。したがってITERと並行 へいこう して核 かく 融合 ゆうごう 材料 ざいりょう の開発 かいはつ を行 おこな う必要 ひつよう があり、IFMIF 計画 けいかく という、国際 こくさい 協力 きょうりょく により材料 ざいりょう 開発 かいはつ のための照射 しょうしゃ 設備 せつび の建設 けんせつ 計画 けいかく が、日本 にっぽん の青森 あおもり 県 けん 六 ろく ヶ所 かしょ 村 むら で進行 しんこう 中 ちゅう である。
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん に敗 やぶ れた後 のち の日本 にっぽん は、核兵器 かくへいき や航空機 こうくうき 、宇宙 うちゅう ロケットなどの軍事 ぐんじ に関 かか わる分野 ぶんや での研究 けんきゅう と開発 かいはつ で大 おお きく規制 きせい がかけられ、世界 せかい の第 だい 一線 いっせん から大 おお きく取 と り残 のこ されることとなった。一方 いっぽう 、核 かく 融合 ゆうごう と高温 こうおん プラズマに関 かか わる研究 けんきゅう は、軍事 ぐんじ 兵器 へいき 利用 りよう の可能 かのう 性 せい の余地 よち がなかったため、比較的 ひかくてき 自由 じゆう に進 すす めることができた。1960年代 ねんだい からは、日本 にっぽん の核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう 者 しゃ が世界 せかい の研究 けんきゅう 者 しゃ と共同 きょうどう して高温 こうおん プラズマの研究 けんきゅう に従事 じゅうじ するようになった。1972年 ねん にはJFT-2というトカマク型 がた の研究 けんきゅう 装置 そうち が日本 にっぽん で完成 かんせい し、これは西側 にしがわ 世界 せかい での本格 ほんかく 的 てき なトカマク装置 そうち としては世界 せかい で最初 さいしょ であった。これにより、高温 こうおん プラズマと核 かく 融合 ゆうごう 技術 ぎじゅつ では日本 にっぽん が世界 せかい をリードしてゆくことになった。1978年 ねん に始 はじ まり約 やく 10年間 ねんかん のINTOR計画 けいかく (国際 こくさい トカマク炉 ろ 計画 けいかく )が終了 しゅうりょう した1988年 ねん からIAEAの後援 こうえん の下 した でITERの概念 がいねん 設計 せっけい 活動 かつどう が、1992年 ねん からは工学 こうがく 設計 せっけい 活動 かつどう が開始 かいし された。ITERの建設 けんせつ 地 ち は2006年 ねん にフランス・カダラッシュへ決 き まったが、日本 にっぽん はITER計画 けいかく の当初 とうしょ からの計画 けいかく 設立 せつりつ 国 こく であり、たとえばプラズマ中 ちゅう の断熱 だんねつ 層 そう の発見 はっけん によってITERの建設 けんせつ 費 ひ を約 やく 半分 はんぶん にする提案 ていあん を行 おこな い、1998年 ねん 以降 いこう に設計 せっけい 変更 へんこう まで成 な し遂 と げるなど、大 おお きな成果 せいか を挙 あ げてきた。現在 げんざい は、日本 にっぽん がITER計画 けいかく の主導 しゅどう 権 けん をとって推進 すいしん しているといえる。まだ計画 けいかく の域 いき から実行 じっこう 段階 だんかい の最初 さいしょ に差 さ し掛 か かったIFMIF計画 けいかく も、六 ろく ヶ所 かしょ 村 むら での建設 けんせつ 計画 けいかく がゆっくりと進 すす められている。
その後 ご の展開 てんかい としては、基礎 きそ 科学 かがく としての慣性 かんせい 核 かく 融合 ゆうごう 装置 そうち 「激 げき 光 こう 」を始 はじ めとして、ヘリカル型 がた 装置 そうち 「ヘリオトロン」等 とう の基礎 きそ 的 てき 研究 けんきゅう も進 すす めながら、ITER後 ご の核 かく 融合 ゆうごう 実証 じっしょう 炉 ろ 実現 じつげん に向 む けて基礎 きそ から応用 おうよう まで含 ふく んだ研究 けんきゅう 基盤 きばん 整備 せいび を続 つづ ける予定 よてい であり、原子力 げんしりょく 委員 いいん 会 かい 核 かく 融合 ゆうごう 専門 せんもん 部会 ぶかい や文部 もんぶ 科学 かがく 省 しょう 研究 けんきゅう 計画 けいかく ・評価 ひょうか 分科 ぶんか 会 かい 核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう 作業 さぎょう 部会 ぶかい などの審議 しんぎ 会 かい や、民間 みんかん 団体 だんたい である核 かく 融合 ゆうごう フォーラムの「社会 しゃかい と核 かく 融合 ゆうごう クラスター」などで議論 ぎろん が行 おこな われている。どの方式 ほうしき が最良 さいりょう の解 かい になるのか現時点 げんじてん ではわからないが、エネルギー問題 もんだい を解決 かいけつ する一 ひと つの解 かい として、研究 けんきゅう を進 すす めることになる予定 よてい である。原子力 げんしりょく 委員 いいん 会 かい は、「第 だい 三 さん 段階 だんかい 核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう 開発 かいはつ 基本 きほん 計画 けいかく における今後 こんご の核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう 開発 かいはつ の推進 すいしん 方策 ほうさく について 」(2005年 ねん (平成 へいせい 17年 ねん )11月1日 にち 原子力 げんしりょく 委員 いいん 会 かい 決定 けってい )において、トカマク方式 ほうしき とそれ以外 いがい について、「(1)トカマク方式 ほうしき については、
ITERの建設 けんせつ に必要 ひつよう な研究 けんきゅう 開発 かいはつ において我 わ が国 くに が主要 しゅよう な役割 やくわり を果 は たして、ITERの工学 こうがく 設計 せっけい が確定 かくてい するとともに、次段 じだん 階 かい につながる研究 けんきゅう 開発 かいはつ 計画 けいかく を具体 ぐたい 化 か するための基盤 きばん が形成 けいせい された、(2)トカマク方式 ほうしき 以外 いがい (ヘリカル方式 ほうしき とレーザー慣性 かんせい 閉 と じ込 こ め方式 ほうしき 等 とう )においては学術 がくじゅつ 研究 けんきゅう として研究 けんきゅう が着実 ちゃくじつ に進展 しんてん した」と評価 ひょうか している。また、原型 げんけい 炉 ろ 段階 だんかい への移行 いこう については、核 かく 融合 ゆうごう 専門 せんもん 部会 ぶかい の報告 ほうこく 書 しょ である「今後 こんご の核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう 開発 かいはつ の推進 すいしん 方策 ほうさく について」において「実用 じつよう 化 か を見据 みす えることや民間 みんかん 事業 じぎょう 者 しゃ の参画 さんかく を得 え ることも重要 じゅうよう 」としており、電力 でんりょく 各社 かくしゃ の判断 はんだん も含 ふく まれることを示唆 しさ しているとされる。[2]
2013年 ねん 1月 がつ 28日 にち 超電導 ちょうでんどう 型 がた 核 かく 融合 ゆうごう 実験 じっけん 装置 そうち 「JT-60SA」の建設 けんせつ が日本 にっぽん 原子力 げんしりょく 研究 けんきゅう 開発 かいはつ 機構 きこう の那珂 なか 核 かく 融合 ゆうごう 研究所 けんきゅうじょ で始 はじ まった[3] 。2021年 ねん 3月 がつ に完成 かんせい し、試運転 しうんてん 開始 かいし 前 まえ に起 お きた絶縁 ぜつえん 損傷 そんしょう で[4] 、2023年 ねん 6月 がつ 現在 げんざい 、改修 かいしゅう のために停止 ていし していた試運転 しうんてん が再開 さいかい されている[5] 。
建設 けんせつ 候補 こうほ 地 ち 決定 けってい までの経緯 けいい
編集 へんしゅう
1985年 ねん にジュネーヴ において行 おこな われた米 べい ソ首脳 しゅのう 会談 かいだん において、レーガン大統領 だいとうりょう とゴルバチョフ書記 しょき 長 ちょう は平和 へいわ 利用 りよう のための核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう の重要 じゅうよう 性 せい を認 みと め、核 かく 融合 ゆうごう エネルギー実用 じつよう 化 か のための国際 こくさい 協力 きょうりょく について合意 ごうい した。これを契機 けいき として、核 かく 融合 ゆうごう 研究 けんきゅう において先行 せんこう していた米国 べいこく 、ソ連 それん 、日本 にっぽん および欧州 おうしゅう 原子力 げんしりょく 共同 きょうどう 体 たい の代表 だいひょう 者 しゃ が協力 きょうりょく の形態 けいたい について1987年 ねん から協議 きょうぎ を開始 かいし した。その後 ご 、IAEA の後援 こうえん の下 した 、これら4ヶ国 かこく によってITERの概念 がいねん 設計 せっけい 活動 かつどう (Conceptual Design Activity, CDA)が1988年 ねん から1990年 ねん まで行 おこな われた。
概念 がいねん 設計 せっけい 活動 かつどう の終了 しゅうりょう 後 ご 、より詳細 しょうさい な設計 せっけい と、建設 けんせつ に必要 ひつよう な研究 けんきゅう 開発 かいはつ を行 おこな うことを目的 もくてき として、上記 じょうき 4ヶ国 かこく (ソ連 それん は1991年 ねん に崩壊 ほうかい したため、ロシア が継承 けいしょう )は工学 こうがく 設計 せっけい 活動 かつどう (Engineering Design Activity, EDA)を開始 かいし することに合意 ごうい し、「国際 こくさい 熱 ねつ 核 かく 融合 ゆうごう 実験 じっけん 炉 ろ のための工学 こうがく 設計 せっけい 活動 かつどう における協力 きょうりょく に関 かん する欧州 おうしゅう 原子力 げんしりょく 共同 きょうどう 体 たい 、日本国 にっぽんこく 政府 せいふ 、ロシア連邦 れんぽう 及 およ びアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく の間 あいだ の協定 きょうてい (EDA協定 きょうてい )」を1992年 ねん に締結 ていけつ した。当初 とうしょ の有効 ゆうこう 期間 きかん は6年間 ねんかん で、1998年 ねん に最終 さいしゅう 設計 せっけい 報告 ほうこく 書 しょ が提出 ていしゅつ されたが、各国 かっこく の財政 ざいせい 事情 じじょう から建設 けんせつ 費用 ひよう を軽減 けいげん する必要 ひつよう が生 しょう じ、再 さい 設計 せっけい のために工学 こうがく 設計 せっけい 活動 かつどう の期間 きかん は3年間 ねんかん 延長 えんちょう された。その後 ご 、財政 ざいせい 上 じょう の問題 もんだい や建設 けんせつ 地 ち 選定 せんてい の遅延 ちえん 等 とう を理由 りゆう として1999年 ねん に米国 べいこく が離脱 りだつ したが、他 た の3参加 さんか 国 こく により活動 かつどう は継続 けいぞく され、延長 えんちょう 後 ご の最終 さいしゅう 設計 せっけい 報告 ほうこく 書 しょ は2001年 ねん 7月 がつ に完成 かんせい した。
EDAの終了 しゅうりょう 後 ご 、ITERの建設 けんせつ ・運転 うんてん 等 とう 、計画 けいかく の実施 じっし に必要 ひつよう となる国際 こくさい 協定 きょうてい について議論 ぎろん するために「ITER政府 せいふ 間 あいだ 協議 きょうぎ (ITER Negotiations Meeting)」が開始 かいし された。カナダ は2001年 ねん 6月 がつ にオンタリオ州 しゅう クラリントン を建設 けんせつ 候補 こうほ 地 ち として提案 ていあん していたため、EDAに参加 さんか した日本 にっぽん 、欧州 おうしゅう 連合 れんごう 、ロシア の3ヶ国 かこく と並 なら んで政府 せいふ 間 あいだ 協議 きょうぎ に当初 とうしょ から参加 さんか した。第 だい 1回 かい 政府 せいふ 間 あいだ 協議 きょうぎ は2001年 ねん 11月にトロント において行 おこな われた。2003年 ねん 2月 がつ に開催 かいさい された第 だい 8回 かい 政府 せいふ 間 あいだ 協議 きょうぎ において、米国 べいこく が計画 けいかく に復帰 ふっき し、また、中国 ちゅうごく が新規 しんき に参加 さんか した。さらに2003年 ねん 6月 がつ には韓国 かんこく が、2005年 ねん 12月にはインド が新規 しんき に参加 さんか したが、一方 いっぽう でカナダ が2003年 ねん 12月に離脱 りだつ し、現在 げんざい の参加 さんか 国 こく は日本 にっぽん 、欧州 おうしゅう 連合 れんごう 、ロシア 、米国 べいこく 、中国 ちゅうごく 、韓国 かんこく 、インド の7ヶ国 かこく である。
建設 けんせつ 候補 こうほ 地 ち については、カナダが2001年 ねん 6月 がつ にオンタリオ州 しゅう クラリントンを提案 ていあん した他 ほか 、2002年 ねん 6月 がつ に日本 にっぽん が青森 あおもり 県 けん 六 ろく ヶ所 かしょ 村 むら を、欧州 おうしゅう 連合 れんごう がカダラッシュ(フランス )とバンデヨス(スペイン )をそれぞれ提案 ていあん し、4候補 こうほ 地 ち が誘致 ゆうち を競 きそ っていた。これらの候補 こうほ 地 ち を参加 さんか 国 こく が共同 きょうどう で調査 ちょうさ することを目的 もくてき として、「サイト共同 きょうどう 評価 ひょうか (Joint Assessment for Specific Site, JASS)」が2002年 ねん 9月から12月 がつ にかけて実施 じっし され、報告 ほうこく 書 しょ (PDF ) が2003年 ねん 2月 がつ の第 だい 8回 かい 政府 せいふ 間 あいだ 協議 きょうぎ において承認 しょうにん された。報告 ほうこく 書 しょ は、差異 さい はあるものの技術 ぎじゅつ 的 てき にはどの候補 こうほ 地 ち に建設 けんせつ することも可能 かのう としており、候補 こうほ 地 ち 間 あいだ の総合 そうごう 的 てき な優劣 ゆうれつ については言及 げんきゅう しなかったため、候補 こうほ 地 ち の決定 けってい は政治 せいじ 的 てき な判断 はんだん に委 ゆだ ねられた。その後 ご 、欧州 おうしゅう 連合 れんごう は11月に候補 こうほ 地 ち をカダラッシュに一本 いっぽん 化 か し、また、カナダが連邦 れんぽう 政府 せいふ から財政 ざいせい 的 てき な支援 しえん を受 う けられなかったために12月に提案 ていあん を取 と り下 さ げたため、六 ろく ヶ所 かしょ 村 むら とカダラッシュのみが候補 こうほ 地 ち として残 のこ った。候補 こうほ 地 ち の最終 さいしゅう 的 てき な選定 せんてい のために、参加 さんか 国 こく の閣僚 かくりょう 級 きゅう の代表 だいひょう による会合 かいごう が12月に行 おこな われたが、日 にち 欧 おう 共 ども に誘致 ゆうち を主張 しゅちょう し、また参加 さんか 国 こく のうち米 べい 韓 かん が日本 にっぽん 支持 しじ 、露 ろ 中 ちゅう が欧州 おうしゅう 支持 しじ と拮抗 きっこう したため、決定 けってい には至 いた らなかった。その後 ご 、2005年 ねん 5月にジュネーブにて日本 にっぽん とEUとの間 あいだ で次官 じかん 級 きゅう 協議 きょうぎ が行 おこな われ、建設 けんせつ 地 ち 決定 けってい に際 さい して誘致 ゆうち 国 こく と非 ひ 誘致 ゆうち 国 こく が合意 ごうい すべき条件 じょうけん が話 はな し合 あ われた。後 のち に発表 はっぴょう された共同 きょうどう 文書 ぶんしょ によれば、協議 きょうぎ における合意 ごうい 内容 ないよう は以下 いか の通 とお り。
誘致 ゆうち 国 こく は誘致 ゆうち できなかった国 くに に対 たい してITER建設 けんせつ 費 ひ の10%分 ぶん の調達 ちょうたつ 枠 わく を譲 ゆず る
誘致 ゆうち 国 こく は誘致 ゆうち できなかった国 くに にITER職員 しょくいん 枠 わく の10%を譲 ゆず る
誘致 ゆうち 国 こく は誘致 ゆうち できなかった国 くに が推薦 すいせん するITER機構 きこう 長 ちょう 候補 こうほ を支持 しじ する
誘致 ゆうち できなかった国 くに にITER関連 かんれん 施設 しせつ を建設 けんせつ し、誘致 ゆうち 国 こく が建設 けんせつ 費 ひ の50%を負担 ふたん する
これを受 う けて6月 がつ に再度 さいど 閣僚 かくりょう 級 きゅう 会合 かいごう が開催 かいさい され、建設 けんせつ 地 ち はカダラッシュに決定 けってい された。また、この合意 ごうい に従 したが い、11月に開催 かいさい された次官 じかん 級 きゅう 会合 かいごう において池田 いけだ 駐 ちゅう クロアチア大使 たいし が機構 きこう 長 ちょう 候補 こうほ として承認 しょうにん された。
プロジェクトの実施 じっし 主体 しゅたい となる国際 こくさい 機関 きかん として「イーター国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう エネルギー機構 きこう (仮称 かしょう )」の設立 せつりつ が予定 よてい されており、その設立 せつりつ 根拠 こんきょ となる国際 こくさい 協定 きょうてい である「イーター事業 じぎょう の共同 きょうどう による実施 じっし のためのイーター国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう エネルギー機構 きこう の設立 せつりつ に関 かん する協定 きょうてい 」に対 たい する署名 しょめい が2006年 ねん 11月21日 にち にパリ のエリゼ宮 えりぜきゅう において行 おこな われた。2007年 ねん 10月 がつ 24日 にち 、同 どう 協定 きょうてい の発効 はっこう とともにイーター国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう エネルギー機構 きこう (イーター機構 きこう 、ITER International Fusion Energy Organization)が正式 せいしき 設立 せつりつ され、初代 しょだい 機構 きこう 長 ちょう には池田 いけだ 要 かなめ 元 もと 駐 ちゅう クロアチア大使 たいし が就任 しゅうにん した。また、調達 ちょうたつ 枠 わく と職員 しょくいん 枠 わく については、上記 じょうき 合意 ごうい に基 もと づき日本 にっぽん がEUから割譲 かつじょう を受 う け、EU、日本 にっぽん 、その他 た 5か国 こく が4:2:各 かく 1の分担 ぶんたん となっている。
1990年代 ねんだい 初 はじ め、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく は核 かく 融合 ゆうごう の技術 ぎじゅつ 開発 かいはつ 計画 けいかく に関 かん して2つの大 おお きな選択肢 せんたくし を持 も っていた。1つは磁場 じば 閉 と じ込 こ め方式 ほうしき であり、もう1つは慣性 かんせい 閉 と じ込 こ め方式 ほうしき のひとつのレーザー核 かく 融合 ゆうごう であった。当然 とうぜん これら2つは米国 べいこく のみならず先進 せんしん 国 こく の間 あいだ では既知 きち のアイデアであり、各国 かっこく の核 かく 融合 ゆうごう 技術 ぎじゅつ に関 かん する研究 けんきゅう 者 しゃ 達 たち も磁場 じば 閉 と じ込 こ め方式 ほうしき のトカマク型 がた がいいかヘリカル型 がた がいいか、それとも慣性 かんせい 閉 と じ込 こ め方式 ほうしき のレーザー核 かく 融合 ゆうごう がいいかで検討 けんとう がなされていたが、米国 べいこく は1942年 ねん に始 はじ まる原子 げんし 爆 ばく 弾 だん 開発 かいはつ からの半 はん 世紀 せいき に渡 わた る核 かく 物理 ぶつり 学 がく の研究 けんきゅう 実績 じっせき の結果 けっか 、水素 すいそ 爆 ばく 弾 だん の開発 かいはつ に関連 かんれん した最高 さいこう 度 ど の軍事 ぐんじ 機密 きみつ であるコンピュータ・シミュレーションによって水素 すいそ の核 かく 融合 ゆうごう 時 じ の挙動 きょどう を解 と き明 あ かしたとの自負 じふ から、1990年 ねん 半 なか ばに他国 たこく に研究 けんきゅう 内容 ないよう を一切 いっさい 明 あ かさぬままローレンス・リバモア国立 こくりつ 研究所 けんきゅうじょ 内 うち でレーザー核 かく 融合 ゆうごう に関 かん する実験 じっけん 施設 しせつ の建設 けんせつ 、つまり軍事 ぐんじ 研究 けんきゅう としての性格 せいかく を帯 お びたNIF計画 けいかく (National Ignition Facility)を開始 かいし した。この秘密 ひみつ 計画 けいかく が順調 じゅんちょう に運 はこ んだため、米国 べいこく は1999年 ねん にITER計画 けいかく より離脱 りだつ した。しかし、その年 とし の末 すえ に設計 せっけい 上 じょう の大 おお きな問題 もんだい が隠蔽 いんぺい されていたことが判明 はんめい し、必要 ひつよう 予算 よさん は膨 ふく らみ、建設 けんせつ は大幅 おおはば に遅 おく れることが明 あき らかとなり、計画 けいかく は根本 こんぽん から見直 みなお されることとなった。全 すべ てをNIF計画 けいかく に賭 か けていた米 べい 政府 せいふ も、2003年 ねん 2月 がつ にITER計画 けいかく に復帰 ふっき した[6] 。
NIF計画 けいかく は当初 とうしょ での建設 けんせつ 費用 ひよう は7億 おく ドル以下 いか であったが、1997年 ねん には21億 おく ドルまで上昇 じょうしょう し、2000年 ねん には33億 おく ドルに増 ふ えて、完成 かんせい 予定 よてい も結局 けっきょく 7年 ねん 遅 おく れる事 こと となった。関連 かんれん 費用 ひよう まで含 ふく めると50億 おく ドルに届 とど くとNIFの反対 はんたい 派 は は主張 しゅちょう している。[7]
この誤算 ごさん 以前 いぜん は米国 べいこく も磁場 じば 閉 と じ込 こ め方式 ほうしき で世界 せかい のトップの位置 いち を日 にち 仏 ふつ と争 あらそ っていたが、ITER計画 けいかく に再 さい 加入 かにゅう した時点 じてん では大 おお きく後 おく れをとっており、計画 けいかく の主導 しゅどう 的 てき 地位 ちい には戻 もど れそうにない。今 いま もレーザー核 かく 融合 ゆうごう のNIF計画 けいかく は継続 けいぞく している。[8]
公式 こうしき のITERの目標 もくひょう は「平和 へいわ 的 てき 目的 もくてき のための核 かく 融合 ゆうごう エネルギーの科学 かがく 的 てき ・技術 ぎじゅつ 的 てき な実現 じつげん 性 せい のデモンストレーション」となっている。ITERではいくつか個別 こべつ の目標 もくひょう があるが、すべて実際 じっさい に役立 やくだ つ核 かく 融合 ゆうごう 動力 どうりょく 炉 ろ の開発 かいはつ についての事柄 ことがら である。
短時間 たんじかん 、外部 がいぶ 入力 にゅうりょく エネルギーより10倍 ばい の融合 ゆうごう 熱 ねつ によるエネルギーを発生 はっせい させる(Q値 ち =エネルギー増 ぞう 倍率 ばいりつ :10)
Q値 ね を5を超 こ えて安定 あんてい したプラズマ を発生 はっせい させる
最大 さいだい 8分間 ふんかん の融合 ゆうごう パルスを維持 いじ する
「燃焼 ねんしょう 」(自己 じこ 維持 いじ )プラズマを点火 てんか する
核 かく 融合 ゆうごう 発電 はつでん 所 しょ に必要 ひつよう な科学 かがく 技術 ぎじゅつ と技法 ぎほう を開発 かいはつ する ― 超 ちょう 伝導 でんどう 磁石 じしゃく とロボットによる遠隔 えんかく 操作 そうさ 技術 ぎじゅつ を含 ふく む
トリチウム の生産 せいさん 構想 こうそう を立証 りっしょう する
中性子 ちゅうせいし を遮蔽 しゃへい し熱 ねつ を生 う み出 だ す技術 ぎじゅつ を向上 こうじょう させる(D+T核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう での多 おお くのエネルギーが高速 こうそく 中性子 ちゅうせいし の形 かたち で得 え られる)
反応 はんのう 炉 ろ の原理 げんり と概要 がいよう
編集 へんしゅう
重水素 じゅうすいそ と三 さん 重水素 じゅうすいそ (トリチウム)を融合 ゆうごう させると、ヘリウム 4原子核 げんしかく (アルファ粒子 りゅうし )と高 こう エネルギー中性子 ちゅうせいし が生 しょう じる。
1
2
H
+
1
3
H
→
2
4
He
+
0
1
n
+
17.6
MeV
{\displaystyle {}_{1}^{2}{\mbox{H}}+{}_{1}^{3}{\mbox{H}}\rightarrow {}_{2}^{4}{\mbox{He}}+{}_{0}^{1}{\mbox{n}}+17.6{\mbox{ MeV}}}
鉄 てつ より原子 げんし 番号 ばんごう の小 ちい さな元素 げんそ の安定 あんてい 同位 どうい 体 たい は、融合 ゆうごう する事 こと でエネルギーを発生 はっせい させる。重水素 じゅうすいそ と三 さん 重水素 じゅうすいそ は水素 すいそ の同位 どうい 体 たい であり、最小 さいしょう のエネルギーで融合 ゆうごう を実現 じつげん できる、最 もっと も魅力 みりょく 的 てき なエネルギー源 げん である。
すべての主 しゅ 系列 けいれつ 星 ぼし は、核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう により莫大 ばくだい なエネルギーを得 え て夜空 よぞら に輝 かがや いている。重水素 じゅうすいそ ―三重 みえ 水素 すいそ 核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう は、ウラニウム235の核分裂 かくぶんれつ 反応 はんのう の約 やく 3倍 ばい のエネルギーを発生 はっせい する。石炭 せきたん を燃 も やすことで得 え られる化学 かがく 反応 はんのう のエネルギーと比 くら べれば数 すう 百 ひゃく 万 まん 倍 ばい の違 ちが いがある。核 かく 融合 ゆうごう 発電 はつでん プラントの目的 もくてき は、このエネルギーを発電 はつでん に利用 りよう することにある。
互 たが いに正 せい 電荷 でんか を持 も つ核 かく 内 ない の陽子 ようし 同士 どうし が強 つよ く反発 はんぱつ し合 あ うため、核 かく 融合 ゆうごう に必要 ひつよう なエネルギーは非常 ひじょう に大 おお きい。おおざっぱに見積 みつ もると、トンネル効果 こうか によって静電気 せいでんき 力 りょく の壁 かべ を越 こ え、さらに核 かく 力 りょく と静電気 せいでんき 力 りょく がバランスする距離 きょり まで近 ちか づいて融合 ゆうごう するには、原子核 げんしかく 同士 どうし は100フェムトメートル(1×10
−
{\displaystyle {}^{-}}
1
{\displaystyle {}^{1}}
3
{\displaystyle {}^{3}}
m)以下 いか にまで接近 せっきん しなければならない。ITERでは、これを高温 こうおん と磁気 じき による閉 と じ込 こ めによって実現 じつげん する計画 けいかく である。
高温 こうおん は、原子核 げんしかく 同士 どうし の静電気 せいでんき 斥力 せきりょく を超 こ える十分 じゅうぶん なエネルギーを与 あた える(マクスウェル分布 ぶんぷ を参照 さんしょう )。
重水素 じゅうすいそ ―三重 みえ 水素 すいそ 核 かく 融合 ゆうごう の反応 はんのう 率 りつ を最適 さいてき 化 か するには、1億 おく K(ケルビン )台 だい の高温 こうおん が必要 ひつよう である。
プラズマを高温 こうおん に熱 ねっ するにはジュール熱 ねつ を用 もち いる。この場合 ばあい はプラズマ中 ちゅう に電流 でんりゅう を流 なが して発生 はっせい させる。さらなる加熱 かねつ には中性 ちゅうせい 粒子 りゅうし ビーム入射 にゅうしゃ (Neutral Beam Injection, NBI)加熱 かねつ 法 ほう と高周波 こうしゅうは (Radio Frequency、RF)加熱 かねつ 法 ほう を用 もち いる。
このような高温 こうおん では、粒子 りゅうし は極 きわ めて大 おお きな運動 うんどう エネルギーをもつ。これらの粒子 りゅうし は、束縛 そくばく しなければエネルギーを保持 ほじ したまま直 ただ ちに拡散 かくさん してしまい、反応 はんのう を起 お こす最低 さいてい の温度 おんど 以下 いか にまでプラズマが冷 ひ えてしまう。核 かく 融合 ゆうごう 炉 ろ の設計 せっけい を成功 せいこう させるためには、プラズマが核 かく 融合 ゆうごう を行 おこ なうよう、十分 じゅうぶん に小 ちい さなスペースに必要 ひつよう な高温 こうおん の粒子 りゅうし を詰 つ め込 こ んだまま、必要 ひつよう な時間 じかん だけ維持 いじ する必要 ひつよう がある。ITERを含 ふく む磁気 じき 閉 と じ込 こ め式 しき の反応 はんのう 炉 ろ の多 おお くは、プラズマ、つまり荷電 かでん 粒子 りゅうし のガスを磁力 じりょく で閉 と じ込 こ めるよう設計 せっけい されている。粒子 りゅうし はトロイダル磁場 じば によって進行 しんこう 方向 ほうこう と垂直 すいちょく な中心 ちゅうしん 方向 ほうこう に加速 かそく され、内部 ないぶ に閉 と じ込 こ められることになる。
高熱 こうねつ と強力 きょうりょく な光子 こうし ・粒子 りゅうし から磁石 じしゃく とその他 た の機器 きき を守 まも り、同時 どうじ に真空 しんくう に近 ちか いプラズマ を保持 ほじ し、確実 かくじつ に密閉 みっぺい する格納 かくのう 容器 ようき も必要 ひつよう である。
格納 かくのう 容器 ようき は激 はげ しい粒子 りゅうし の衝突 しょうとつ にさらされる。表面 ひょうめん は電子 でんし 、イオン、陽子 ようし 、アルファ粒子 りゅうし 、中性子 ちゅうせいし の間断 かんだん ない攻撃 こうげき にさらされ、構造 こうぞう が劣化 れっか してゆく。このような厳 きび しい環境 かんきょう でも、経済 けいざい 的 てき な意味 いみ で十分 じゅうぶん な長期 ちょうき に渡 わた り発電 はつでん プラントとして存続 そんぞく できるよう、適切 てきせつ な材料 ざいりょう が選 えら ばれる。ITERと国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう 材料 ざいりょう 照射 しょうしゃ 施設 しせつ (International Fusion Materials Irradiation Facility, IFMIF)では、今後 こんご それらの材料 ざいりょう の試験 しけん が実施 じっし される。
核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう が開始 かいし すると、プラズマの反応 はんのう 領域 りょういき から高 こう エネルギー中性子 ちゅうせいし が放射 ほうしゃ される。中性子 ちゅうせいし は電荷 でんか を持 も たないため、磁界 じかい の影響 えいきょう を受 う けずに自由 じゆう に運動 うんどう できる(中性子 ちゅうせいし 束 たば (neutron flux)参照 さんしょう )。
これにより、ITERでは主 おも に中性子 ちゅうせいし がエネルギーを外部 がいぶ に運 はこ ぶ。理論 りろん 上 じょう はアルファ粒子 りゅうし がプラズマ中 ちゅう でエネルギーを放出 ほうしゅつ することで温度 おんど を保 たも つ働 はたら きをする。
格納 かくのう 容器 ようき の内壁 ないへき の内側 うちがわ には、数 すう 種 しゅ のテスト・ブランケット・モジュールのうちの一 ひと つが置 お かれる。
これらのモジュールは、信頼 しんらい 性 せい と効率 こうりつ 性 せい に配慮 はいりょ した方法 ほうほう で中性子 ちゅうせいし を減速 げんそく ・吸収 きゅうしゅう し、構造 こうぞう 物 ぶつ へのダメージを限定 げんてい しつつ、リチウムと入射 にゅうしゃ してくる中性子 ちゅうせいし とから新 あら たな燃料 ねんりょう となる三 さん 重水素 じゅうすいそ を生産 せいさん するよう設計 せっけい されている。
エネルギーは、高速 こうそく 中性子 ちゅうせいし が一 いち 次 じ 冷却 れいきゃく 液 えき を通 とお り抜 ぬ ける過程 かてい で吸収 きゅうしゅう される。発生 はっせい した熱 ねつ エネルギーは、実際 じっさい の発電 はつでん 所 しょ では発電 はつでん タービンを回 まわ す力 ちから として使 つか われることになるが、ITERでは科学 かがく 的 てき 興味 きょうみ の対象 たいしょう ではないため、取 と り出 だ されて捨 す てられる。
反応 はんのう 炉 ろ の構成 こうせい
編集 へんしゅう
ITERの反応 はんのう 炉 ろ は主 おも に以下 いか の装置 そうち 類 るい から構成 こうせい される。
真空 しんくう 容器 ようき の1単位 たんい
炉 ろ 壁 かべ
ブランケット : 炉 ろ 壁 かべ の最前線 さいぜんせん で冷却 れいきゃく ・燃料 ねんりょう 生産 せいさん ・遮蔽 しゃへい の役割 やくわり を担 にな う400-700個 こ ほどのセグメントと呼 よ ばれるタイル状 じょう のコンテナ
ダイバータ: 炉 ろ 壁 かべ の最前線 さいぜんせん 下部 かぶ でプラズマ中 ちゅう の不純物 ふじゅんぶつ を捕 と らえる
真空 しんくう 容器 ようき : ブランケットやダイバータの背後 はいご に控 ひか える壁 かべ 超 ちょう 高 こう 真空 しんくう を保 たも つ
ポート: 炉 ろ 壁 かべ に開 あ けられた開口 かいこう 部 ぶ ブランケットやダイバータの交換 こうかん 装置 そうち やテスト装置 そうち の出入 でい り口 ぐち となる
超 ちょう 伝導 でんどう 電磁石 でんじしゃく
センターソレノイドコイル: 6個 こ が鉛直 えんちょく に重 かさ なって1本 ほん のコイルとなる
トロイダルフィールドコイル: 300トンx18基 き 。D字形 じけい のコイルで、1基 き ごとの高 たか さ16.5メートル、幅 はば 9メートル。製造 せいぞう 費 ひ は1基 き あたり約 やく 100億 おく 円 えん 。2020年 ねん 、三菱重工 みつびしじゅうこう 明石 あかし 工場 こうじょう で製作 せいさく されてフランスに輸出 ゆしゅつ された[9] 。
ポロイダルフィールドコイル: 6本 ほん の円形 えんけい コイル 最大 さいだい 直径 ちょっけい 24.7m
超電導 ちょうでんどう 線 せん :Nb3 Sn 超 ちょう 伝導 でんどう 素 もと 線 せん (高温 こうおん 超 ちょう 伝導 でんどう ではない。直径 ちょっけい 0.83mm)576本 ほん と同 どう 寸法 すんぽう の銅 どう 線 せん 288本 ほん の撚 ひね 線 せん 。古河電工 ふるかわでんこう で製作 せいさく された。[10]
プラズマ加熱 かねつ 装置 そうち
高周波 こうしゅうは 加熱 かねつ 装置 そうち :
中性 ちゅうせい 粒子 りゅうし 入射 にゅうしゃ 装置 そうち (負 ふ イオンビーム入射 にゅうしゃ 装置 そうち ):
支持 しじ 体 たい
電力 でんりょく 供給 きょうきゅう システム(超 ちょう 伝導 でんどう 電磁石 でんじしゃく 、プラズマ加熱 かねつ 装置 そうち 、冷却 れいきゃく システム、その他 た )
冷却 れいきゃく システム(炉 ろ 壁 かべ 関連 かんれん 、超 ちょう 伝導 でんどう 電磁石 でんじしゃく )
燃料 ねんりょう 供給 きょうきゅう システム
燃料 ねんりょう 回収 かいしゅう システム
超 ちょう 高 こう 真空 しんくう 排気 はいき 装置 そうち
各種 かくしゅ センサー類 るい および 制御 せいぎょ 機器 きき 類 るい
遠隔 えんかく 操作 そうさ 炉 ろ 壁 かべ 交換 こうかん 装置 そうち 又 また はロボット
建物 たてもの
反応 はんのう 炉 ろ の諸 しょ 元 もと
編集 へんしゅう
(1998年度 ねんど 設計 せっけい 値 ち )
直径 ちょっけい : 26 m
高 たか さ: 14.5 m
大 だい 半径 はんけい : 8.1 m
断面 だんめん の幅 はば : 8.9 m
体積 たいせき : 4,250 m3
表面積 ひょうめんせき : 1,430 m2
重量 じゅうりょう : 〜9,000 t(遮蔽 しゃへい 体 たい を含 ふく む)
使用 しよう 温度 おんど : 1×10-7 Pa
真空 しんくう 性能 せいのう : 10 μΩ以上 いじょう
寸法 すんぽう 精度 せいど
工場 こうじょう 制作 せいさく 時 じ : ±5 nm
現場 げんば 組立 くみたて 時 じ : ±20 nm
(出典 しゅってん :「核 かく 融合 ゆうごう 工学 こうがく 概論 がいろん 」関 せき 昌弘 まさひろ 編 へん 日刊工業新聞社 にっかんこうぎょうしんぶんしゃ ISBN 4-526-04799-6 )
プラズマの計画 けいかく 値 ち
プラズマ大 だい 半径 はんけい : 6.2 m
プラズマ小 しょう 半径 はんけい : 2.0 m
プラズマ体積 たいせき : 840 m3
プラズマ電流 でんりゅう : 15.0 MA
軸 じく でのトロイダル磁場 じば 強度 きょうど : 5.3 T(テスラ)
核 かく 融合 ゆうごう 出力 しゅつりょく : 500 MW
プラズマ保持 ほじ 時間 じかん : >400 s
エネルギー増 ぞう 倍率 ばいりつ (Q値 ね ): >10
(出典 しゅってん :www.iter.org)
フランスの建設 けんせつ 予定 よてい 地 ち
編集 へんしゅう
フランスのカダラッシュが赤丸 あかまる コート・ダジュールの近 ちか く
ITERの建設 けんせつ 地 ち 選 えら びはとても長引 ながび いた。フランスのプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域 ちいき 圏 けん のカダラッシュ と日本 にっぽん の青森 あおもり 県 けん 六 ろく ヶ所 かしょ 村 むら が有力 ゆうりょく であった。カナダのクラリントンが2001年 ねん 5月 がつ に名乗 なの りを挙 あ げてきたが、2003年 ねん には引 ひ き下 さ がった。2002年 ねん 4月 がつ にスペインがヴァンデロスで立候補 りっこうほ してきたが、2003年 ねん 11月にEUはフランス単独 たんどく で集中 しゅうちゅう して応援 おうえん することに決 き めたので、候補 こうほ 地 ち 選 えら びは日本 にっぽん とフランスとの戦 たたか いとなった。
2005年 ねん 5月 がつ 3日 にち にEUと日本 にっぽん は7月 がつ にこの件 けん について話 はな し合 あ うことに合意 ごうい した。2005年 ねん の6月 がつ 28日 にち 、モスクワでの最後 さいご の会議 かいぎ において、参加 さんか 各国 かっこく はフランスのカダラッシュを建設 けんせつ 地 ち とする事 こと で合意 ごうい した。
ITERの建設 けんせつ は2008年 ねん より始 はじ められる予定 よてい となり、トカマク炉 ろ の組立 くみたて は2011年 ねん よりと決 き まった。
建設 けんせつ に関 かか わる国 くに と機関 きかん
編集 へんしゅう
今 いま のところ7つの国 くに と地域 ちいき がITER計画 けいかく に関 かか わっている。EU、インド、日本 にっぽん 、中国 ちゅうごく 、ロシア、韓国 かんこく 、そして、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく である。EUの一 ひと つのポルトガルがブラジルをプロジェクトに加 くわ えたがっている。
カナダは当初 とうしょ は正式 せいしき メンバーであったが、連邦 れんぽう 政府 せいふ の予算 よさん 不足 ふそく でメンバーから抜 ぬ けることとなった。2003年 ねん の建設 けんせつ 地 ち レースからカナダが抜 ぬ けたのも予算 よさん 不足 ふそく が原因 げんいん であった。ITER参加 さんか 国 こく ではカザフスタンの参加 さんか を認 みと めるか協議 きょうぎ 中 ちゅう である。
事業 じぎょう 期間 きかん 35年 ねん (建設 けんせつ 10年 ねん 、運転 うんてん 20年 ねん 、密閉 みっぺい 隔離 かくり 5年 ねん )
2025年 ねん 12月 運転 うんてん 開始 かいし
2035年 ねん 12月 核 かく 融合 ゆうごう 運転 うんてん [11]
日時 にちじ
できごと
2006-11-21
7 参加 さんか 国 こく が正式 せいしき に核 かく 融合 ゆうごう 炉 ろ への出資 しゅっし に合意 ごうい
2008
ITERサイトの整備 せいび 開始 かいし [12]
2009
ITERサイトの整地 せいち 完了 かんりょう [12]
2010
トカマク 建屋 たきのや の工事 こうじ が開始 かいし
2015
組立 くみたて 建屋 たきのや の屋根 やね 据付 すえつけ 完了 かんりょう [13]
2019
トカマク据 す え付 つ け完了 かんりょう 。 トーラス 真空 しんくう 排気 はいき 開始 かいし [12]
2025
初 はつ プラズマ 達成 たっせい (予定 よてい )[14]
2035
重水素 じゅうすいそ -トリチウム運転 うんてん 開始 かいし (予定 よてい )
現状 げんじょう では、ITERの開発 かいはつ 、建設 けんせつ と運用 うんよう に関 かか わる総 そう 資金 しきん は100億 おく ユーロ(約 やく 1.6兆 ちょう 円 えん )と見積 みつ もられている。2005年 ねん 6月 がつ のモスクワでの会議 かいぎ で、ITER機構 きこう の参加 さんか メンバーは以下 いか の比率 ひりつ での資金 しきん 拠出 きょしゅつ に合意 ごうい した。建設 けんせつ 国 こく であるフランスは50%を、EUとその他 た のメンバー国 こく は10%をそれぞれ拠出 きょしゅつ する。伝 つた えられるところでは、韓国 かんこく の済州 さいしゅう 島 とう で行 おこ なわれたITERの会議 かいぎ では非 ひ 建設 けんせつ 国 こく メンバー6カ国 かこく は総 そう 費用 ひよう の6/11、合 あ わせて半分 はんぶん を少 すこ し超 こ える拠出 きょしゅつ を行 おこ ない、EUは残 のこ る5/11を拠出 きょしゅつ する。工業 こうぎょう 的 てき な協力 きょうりょく でいうと他 た の5カ国 かこく 、韓国 かんこく 、中国 ちゅうごく 、インド、ロシア、アメリカの拠出 きょしゅつ はそれぞれ1/11で、合 あ わせて5/11となる。日本 にっぽん は2/11でEUは4/11を拠出 きょしゅつ する。
なお、大韓民国 だいかんみんこく に対 たい しては経済 けいざい 的 てき な支援 しえん ではなく知的 ちてき な面 めん での貢献 こうけん が求 もと められており、現在 げんざい 韓国 かんこく 内 ない で稼働 かどう 中 ちゅう の核 かく 融合 ゆうごう 実験 じっけん 施設 しせつ KSTAR で培 つちか われるであろう超電導 ちょうでんどう 磁石 じしゃく などの高度 こうど な技術 ぎじゅつ の提供 ていきょう が予定 よてい されているとのことである[15] 。
日本 にっぽん の資金 しきん 面 めん での協力 きょうりょく は非 ひ 建設 けんせつ 国 こく としての総額 そうがく の1/11であったが、EUは特殊 とくしゅ な状況 じょうきょう を考慮 こうりょ して、日本 にっぽん が建設 けんせつ 契約 けいやく の2/11を負担 ふたん する代 か わりに、カダラッシュの研究 けんきゅう 者 しゃ の2/11を占 し めることに同意 どうい した。これにより、EUの人員 じんいん と建設 けんせつ に関 かか わる費用 ひよう 拠出 きょしゅつ の割合 わりあい は5/11から4/11となった。また、その他 た にEUと日本 にっぽん 共同 きょうどう で幅広 はばひろ いアプローチ という関連 かんれん 研究 けんきゅう プロジェクトを行 おこな い、その拠点 きょてん を日本 にっぽん に置 お くことになった。
国際 こくさい 的 てき 批判 ひはん
編集 へんしゅう
国際 こくさい グリーンピースのジャン・バンデ・プット(Jan Vande Putte)は「各国 かっこく 政府 せいふ は、使 つか えるエネルギーを一 いち 度 ど も産 う み出 だ したことがない危険 きけん なオモチャに、われわれの金 かね をむだにするべきではない。その代 か わりに彼 かれ らは2080年 ねん ではなく今 いま 、豊富 ほうふ に存在 そんざい する再生 さいせい 可能 かのう なエネルギーに投資 とうし すべきだ。」と発言 はつげん した。[16]
コストで考 かんが えればITERは、米 べい 軍 ぐん が開発 かいはつ している新型 しんがた 戦闘 せんとう 機 き のひとつ ジョイント・ストライク・ファイター(Joint Strike Fighter,JSF、統合 とうごう 打撃 だげき 戦闘 せんとう 機 き )のプロジェクト費 ひ のおよそ5分 ぶん の1である。[17]
フランスの環境 かんきょう 団体 だんたい は、プロジェクトITERは「危険 きけん 」で「金 かね がかかる」それでいて「雇用 こよう は産 う まない」といっている。およそ700の反核 はんかく 団体 だんたい からなるフランスの協会 きょうかい 「Sortir du nucléaire(核 かく エネルギーは出 で て行 い け)」は、ITERは科学 かがく 者 しゃ がいまだ融合 ゆうごう 過程 かてい で扱 あつか う高 こう エネルギーの重水素 じゅうすいそ とトリチウム水素 すいそ 同位 どうい 体 たい を扱 あつか う方法 ほうほう を知 し らないので危険 きけん である、といっている。[18]
ITERプロジェクトは多 おお くの技術 ぎじゅつ 的 てき な挑戦 ちょうせん 課題 かだい に直面 ちょくめん している。フランスのノーベル物理 ぶつり 学 がく 賞 しょう 受賞 じゅしょう 者 しゃ 、ピエール=ジル・ド・ジャンヌ (Pierre-Gilles de Gennes)(融合 ゆうごう の専門 せんもん 家 か ではない)は「我々 われわれ は太陽 たいよう を箱 はこ に入 い れると言 い っている。これはすばらしい。問題 もんだい は、我々 われわれ がその箱 はこ の作 つく り方 かた を知 し らないことだ」と述 の べている。
技術 ぎじゅつ 的 てき な懸念 けねん として核 かく 融合 ゆうごう 反応 はんのう によって生 しょう じる 14MeV(1,400万 まん 電子 でんし ボルト )もの高 こう エネルギー中性子 ちゅうせいし が、製造 せいぞう された時点 じてん から障害 しょうがい を与 あた える。[19] 猛烈 もうれつ な中性子 ちゅうせいし の爆 ばく 撃 げき に曝 さら される中 なか にあって、十分 じゅうぶん に長期間 ちょうきかん に渡 わた って商業 しょうぎょう 動力 どうりょく 炉 ろ として成長 せいちょう しうるような炉 ろ 壁 かべ の設計 せっけい が行 くだり なえるか、それが可能 かのう ならばどうやって実現 じつげん するか、国際 こくさい 核 かく 融合 ゆうごう 材料 ざいりょう 照射 しょうしゃ 施設 しせつ (IFMIF)において開発 かいはつ が進 すす められている。
障害 しょうがい は主 しゅ として高 こう エネルギー中性子 ちゅうせいし が結晶 けっしょう 格子 こうし 中 ちゅう の原子 げんし を正 ただ しい位置 いち から叩 たた き出 だ すことで発生 はっせい する。
未来 みらい の商業 しょうぎょう 融合 ゆうごう 炉 ろ プラントでの関連 かんれん する問題 もんだい は、中性子 ちゅうせいし の爆 ばく 撃 げき が反応 はんのう 炉 ろ 自体 じたい の中 なか の放射 ほうしゃ 性 せい を誘発 ゆうはつ することである。商業 しょうぎょう 炉 ろ の保守 ほしゅ と廃棄 はいき は困難 こんなん で高価 こうか なものとなるだろう。また中性子 ちゅうせいし 束 たば による超 ちょう 伝導 でんどう 電磁石 でんじしゃく の障害 しょうがい も問題 もんだい である。
欧州 おうしゅう 議会 ぎかい の工業 こうぎょう ・研究 けんきゅう ・エネルギー委員 いいん 会 かい のGreen/EFA(European Greens ? European Free Alliance)のメンバーのレベッカ・ハームス(Rebecca Harms)は「今後 こんご 50年間 ねんかん 、核 かく 融合 ゆうごう は気象 きしょう 変動 へんどう を止 と めることはできないし、エネルギー供給 きょうきゅう の安定 あんてい 化 か を保障 ほしょう することもない」と主張 しゅちょう 。EUのエネルギー研究 けんきゅう はどこか他 た の方向 ほうこう へ集中 しゅうちゅう するべきだとするレベッカは「Green/EFAグループはそれらの予算 よさん をエネルギー開発 かいはつ に使 つか うよりも、未来 みらい のために当 とう を得 え た使 つか い方 かた を要求 ようきゅう する。今 いま こそ再生 さいせい 可能 かのう エネルギーに集中 しゅうちゅう すべきである」とも述 の べている。フランスの緑 みどり の党 とう の弁護士 べんごし ノエル・マメール は、現在 げんざい の地球 ちきゅう 温暖 おんだん 化 か との戦 たたか いにさらに集中 しゅうちゅう すべきなのに、ITERの結果 けっか によって無視 むし されることになるとし、「これは温室 おんしつ 効果 こうか との戦 たたか いにとっていいニュースではない。効果 こうか がないと判明 はんめい するまでの30-50年間 ねんかん に総額 そうがく 100億 おく ユーロの予算 よさん が1つのプロジェクトにつぎ込 こ まれようとしている」とコメントしている[20] 。ロバートバサード(Robert Bussard)やエリック・ラーナー(Eric Lerner)のような幾 いく 人 にん かのトカマクでないシステムで作業 さぎょう している研究 けんきゅう 者 しゃ は、よりリーズナブルでより費用 ひよう 対 たい 効果 こうか の高 たか い核 かく 融合 ゆうごう 動力 どうりょく プラントの設計 せっけい に予算 よさん を振 ふ り換 か えるべきだとITERを批判 ひはん し、また「批判 ひはん はいつもITER支持 しじ 者 しゃ の抵抗 ていこう にぶつかる。彼 かれ らを潜在 せんざい 的 てき な技術 ぎじゅつ 的 てき ・経済 けいざい 的 てき 問題 もんだい に目 め を向 む けさせようとしても、多 おお くの科学 かがく 者 しゃ の仕事 しごと がトカマク研究 けんきゅう にかかっているのだ」とも述 の べている。
国際 こくさい 的 てき 批判 ひはん への反論 はんろん
編集 へんしゅう
ITER賛成 さんせい 派 は は、ITER反対 はんたい 派 は の実験 じっけん にまつわる「根源 こんげん 的 てき な危険 きけん 」という典型 てんけい 的 てき な主張 しゅちょう に含 ふく まれる多 おお くの批判 ひはん は、誤解 ごかい であり不正確 ふせいかく であるとしている。商業 しょうぎょう 融合 ゆうごう 動力 どうりょく ステーション設計 せっけい に関 かん する公表 こうひょう された目標 もくひょう は、分裂 ぶんれつ 炉 ろ に比 くら べて数 すう 百 ひゃく 分 ぶん の一 いち 以下 いか の総 そう 放射 ほうしゃ 性 せい 廃棄 はいき 物 ぶつ しか出 だ さず、それらは長命 ちょうめい な放射 ほうしゃ 性 せい 廃棄 はいき 物 ぶつ ではなく、また分裂 ぶんれつ 炉 ろ のような大 だい 規模 きぼ な核分裂 かくぶんれつ の連鎖 れんさ 反応 はんのう によるメルトダウンの危険 きけん も存在 そんざい していない。プラズマが炉 ろ 壁 かべ に直接 ちょくせつ ふれただけで不純物 ふじゅんぶつ が混 ま じったプラズマは冷 ひ えてしまい、融合 ゆうごう 反応 はんのう が止 と まってしまうからだ。さらに、分裂 ぶんれつ 炉 ろ が数 すう 年 ねん 持続 じぞく するのに比 くら べれば、融合 ゆうごう 炉 ろ の中 なか に投入 とうにゅう される燃料 ねんりょう 、総量 そうりょう わずか0.5グラムの重水素 じゅうすいそ /三重 みえ 水素 すいそ で反応 はんのう が長 なが くても1時 じ 間 あいだ 持続 じぞく できるだけである[21] 。賛成 さんせい 者 しゃ たちは、もし完成 かんせい したら、巨大 きょだい な核 かく 融合 ゆうごう 炉 ろ で実用 じつよう 的 てき な電気 でんき が生 う み出 だ せて、なおかつ一切 いっさい のCO2 / SO2 / NOx ガスを排出 はいしゅつ しないですむ点 てん を強調 きょうちょう している。
赤 あか は原油 げんゆ 価格 かかく が高 たか い場合 ばあい の予測 よそく 。青 あお は予測 よそく 中央 ちゅうおう 値 ち 。黄色 おうしょく は原油 げんゆ 価格 かかく が低 ひく くなった場合 ばあい の予測 よそく 値 ち
黄色 おうしょく が高 こう 成長 せいちょう 経済 けいざい の結果 けっか 需要 じゅよう がさらに高 たか くなった場合 ばあい の予測 よそく 値 ち 。青 あお は予想 よそう の中央 ちゅうおう 値 ち 。赤 あか は経済 けいざい があまり伸 の びなかった場合 ばあい の需要 じゅよう 予測 よそく 値 ち
科学 かがく 的 てき または工学 こうがく 的 てき なプロジェクトのコストは、それから得 え られる利益 りえき によって慎重 しんちょう に計 はか られねばならない。アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく だけでも年間 ねんかん の電気 でんき 料金 りょうきん の総額 そうがく は2,100億 おく ドルであった[22] 。アジア地域 ちいき への1990年 ねん から1999年 ねん までの電力 でんりょく 産業 さんぎょう への企業 きぎょう 投資 とうし 額 がく の総額 そうがく は930億 おく ドルであった[23] 。
これらの数字 すうじ は単 たん に現在 げんざい の価格 かかく で計 はか っているに過 す ぎない。原油 げんゆ 価格 かかく は上昇 じょうしょう してゆき、二酸化炭素 にさんかたんそ の排出 はいしゅつ に圧力 あつりょく がかかり、今後 こんご も電力 でんりょく 需要 じゅよう は伸 の び続 つづ ける限 かぎ り、この数字 すうじ は疑 うたが いなく増 ふ えてゆく。賛成 さんせい 派 は は、経済 けいざい 的 てき に見 み ても現在 げんざい の研究 けんきゅう への投資 とうし が近 ちか い将来 しょうらい の大 おお きな利益 りえき に結 むす びつくと主張 しゅちょう している。そして、世界中 せかいじゅう 集 あつ めても年間 ねんかん 10億 おく ドル以下 いか のITERへの投資 とうし が見合 みあ うだけの、他 た に代 か わりうる発電 はつでん に関 かん する同 おな じような研究 けんきゅう は存在 そんざい しない。批判 ひはん 派 は の話 はなし と正 せい 反対 はんたい に、ITERの推進 すいしん 派 は はこのプロジェクトが大 おお きな雇用 こよう の機会 きかい を生 う み出 だ すと主張 しゅちょう している。ITERは数 すう 百 ひゃく の物理 ぶつり 学者 がくしゃ 、エンジニア、物性 ぶっせい 科学 かがく 者 しゃ 、建設 けんせつ 作業 さぎょう 者 しゃ 、技術 ぎじゅつ 者 しゃ を短期 たんき 的 てき に雇用 こよう する。また、融合 ゆうごう 炉 ろ 発電 はつでん 所 しょ が完成 かんせい すればそれを中心 ちゅうしん とした大 おお きな雇用 こよう を生 う むこととなることが予想 よそう される。
ITERを支持 しじ する人達 ひとたち は、猛烈 もうれつ な中性子 ちゅうせいし 束 たば に耐 た えるという、考 かんが えを納得 なっとく させ立証 りっしょう する唯一 ゆいいつ の方法 ほうほう は、その耐 た ええる被 ひ 験 けん 材料 ざいりょう を実験 じっけん に基 もと づいて示 しめ すことである、と強調 きょうちょう する。そしてそれは、2つの実験 じっけん 施設 しせつ にとって、実際 じっさい のD-T燃焼 ねんしょう プラズマとIFMIFで得 え られるものとの中性子 ちゅうせいし のパワー分布 ぶんぷ の違 ちが いは、極 きわ めて重要 じゅうよう な目的 もくてき である[24] 。
ITERの目的 もくてき は、将来 しょうらい 適切 てきせつ に発電 はつでん プラントが建設 けんせつ できるように、核 かく 融合 ゆうごう 発電 はつでん に関 かん する科学 かがく 的 てき で工学 こうがく 的 てき な疑問 ぎもん を解明 かいめい することである。材質 ざいしつ の特性 とくせい に関 かん して、理論 りろん どおりの結果 けっか を得 え るには、あまりにも強力 きょうりょく な中性子 ちゅうせいし 束 たば のためにほとんど不可能 ふかのう に近 ちか い。また、実際 じっさい のプラズマは外部 がいぶ で加熱 かねつ して作 つく ったプラズマとは全 まった く違 ちが った特性 とくせい を持 も つ[要 よう 出典 しゅってん ] 。
支持 しじ する人達 ひとたち によれば、ITERの実験 じっけん によって融合 ゆうごう 炉 ろ に関 かん するこれらの疑問 ぎもん が解決 かいけつ した時 とき 、経済 けいざい 的 てき な研究 けんきゅう 投資 とうし に対 たい して、途方 とほう もなく大 おお きな利益 りえき が得 え られるという。
最後 さいご に、支持 しじ 派 は の人達 ひとたち は、現在 げんざい の化石 かせき 燃料 ねんりょう 資源 しげん の使用 しよう を何 なに か選択肢 せんたくし へと切 き り替 か えることは、我々 われわれ 自身 じしん の環境 かんきょう 問題 もんだい であると指摘 してき している。太陽光 たいようこう 発電 はつでん 、風力 ふうりょく 発電 はつでん 、水力 すいりょく 発電 はつでん などはすべて面積 めんせき あたりの発電 はつでん 効率 こうりつ が低 ひく い点 てん で劣 おと っている。ITERの次 つぎ のDEMO では5,000 MWを発電 はつでん する予定 よてい であり、これは大 おお きな核分裂 かくぶんれつ 発電 はつでん プラントを超 こ える規模 きぼ となる[25] 。もし融合 ゆうごう 技術 ぎじゅつ が商業 しょうぎょう 的 てき に成功 せいこう すれば、火力 かりょく 発電 はつでん などからの温室 おんしつ 効果 こうか ガスの発生 はっせい が完全 かんぜん に抑 おさ えられるので、環境 かんきょう に与 あた える影響 えいきょう は最小限 さいしょうげん になり、同時 どうじ に長命 ちょうめい な核 かく 廃棄 はいき 物 ぶつ の問題 もんだい は消滅 しょうめつ する。