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Wnn - Wikipedia

Wnnうんぬウーンヌ)は、日本語にほんごかな漢字かんじ変換へんかんによる日本語にほんご入力にゅうりょくシステムひとつである。元来がんらいワークステーションけに開発かいはつされ、のちくみこみ機器ききけが主要しゅよう用途ようととなった。

1985ねんから京都大学きょうとだいがく慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく立石たていし電機でんきげんオムロン)、アステック(げんアールワークス)によって共同きょうどう開発かいはつされ、1987ねん完成かんせいした[1]

開発かいはつ当時とうじは、PCでは連文節れんぶんせつ変換へんかんがすでに実現じつげんされていたが、ワークステーションでの日本語にほんご入力にゅうりょくシステムは一般いっぱんてきに、単語たんごごとまたは文節ぶんせつごとに変換へんかんしていた。このシステムは、ワークステーションでも「Watashino Namaeha Nakanodesu」と入力にゅうりょくしてまさしく「わたし名前なまえ中野なかのです」と一括いっかつ変換へんかんできるような連文節れんぶんせつ変換へんかん実現じつげんすることを目指めざして開発かいはつされたことから、その文字もじれつ頭文字かしらもじってWnnという名前なまえけられた。「中野なかの」は日本語にほんご処理しょり開発かいはつチームの立石たていし電機でんきがわ窓口まどぐちとなっていたひと名前なまえである[2][1]

Wnnバージョン4(Wnn4.x)は、1990年代ねんだいのUNIXワークステーションでひろ利用りようされ、X Window Systemにもどうこりされるようになった。ただし、辞書じしょ語彙ごいすう変換へんかんりつけっして満足まんぞくくものではなかった。Wnn4.2が基本きほんとなりワークステーションやくみこみ機器ききけにさまざまなバージョンのものが存在そんざいしている。Wnnはバージョン4.2まではフリーソフトである[3]

特徴とくちょう

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ワークステーションがたWnnのおおきな特徴とくちょうは、ネットワーク透過とうかクライアント・サーバかたシステムであるてんにある。一般いっぱんてき日本語にほんご入力にゅうりょくシステムは、すべての処理しょりをローカルでおこなう。これにたいしてWnnでは、ユーザーインターフェースをつクライアントと、かな漢字かんじ変換へんかんエンジンであるサーバが分離ぶんりしており、両者りょうしゃがネットワークじょう通信つうしんすることで動作どうさする。サーバはLANないのいずれかのコンピュータでひとつだけうごいていればよく、ローカルのCPU負荷ふか軽減けいげんになるほか単語たんご登録とうろく辞書じしょ学習がくしゅう成果せいか一元いちげんてき蓄積ちくせきされるというメリットがある。一方いっぽうで、ネットワークをかいすることによるレスポンスの低下ていかや、サーバやネットワークがダウンすると処理しょり不可能ふかのうになるというデメリットもあるが、これが重大じゅうだい問題もんだいである場合ばあいは、ローカルでサーバをうごかすというもある。

この柔軟じゅうなんせいむアーキテクチャは、当時とうじからネットワーク利用りよう一般いっぱんてきなUNIXワークステーションならではのものであり、CannaやSj3など入力にゅうりょくシステムにもがれている。

Wnnのサーバプログラムはjserverという。クライアントは以下いかのものがある。

uum(ううむ)
キャラクタ端末たんまつ動作どうさする。端末たんまつ最下さいかぎょう占有せんゆうし、MS-DOSの日本語にほんご入力にゅうりょくシステムをインラインで使用しようするのとおなじような操作そうさかんである。名称めいしょうはWnnを180回転かいてんしたところからづけられている。
kinput2、xwnmo(えっくすうんも)
X Window Systemインプットメソッドであり、インラインでの操作そうさ可能かのうである。
egg
NEmacsやMuleにまれている。

また、Wnnには中国ちゅうごく朝鮮ちょうせんバージョンも存在そんざいし、それぞれ以下いかのような名称めいしょうになっている。

Wnnのかく言語げんごばん
言語げんご システムめい サーバプログラム
日本語にほんご Wnn jserver
簡体字かんたいじ中国ちゅうごく cWnn cserver
繁体字はんたいじ中国ちゅうごく tWnn tserver
朝鮮ちょうせん kWnn kserver

ワークステーション

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Wnn6
1998ねん発表はっぴょう辞書じしょ大幅おおはば拡充かくじゅうし「FI(Flexible Intelligence)変換へんかん技術ぎじゅつにより変換へんかんりつ向上こうじょうさせ、UNIXとWindows商品しょうひんされた[4]
Wnn7
2001ねん発表はっぴょう。「入力にゅうりょく効率こうりつ向上こうじょう」をコンセプトとした機能きのう強化きょうかおこなわれ、入力にゅうりょく予測よそく連想れんそう変換へんかんぎゃく変換へんかん入力にゅうりょく補正ほせいなどのしん機能きのう追加ついかされた[5]
Wnn8
2005ねん発表はっぴょう入力にゅうりょく予測よそく機能きのう強化きょうかIIIMF対応たいおうUnicode/JIS X 0213対応たいおうなどがおこなわれた。2009ねんエムズソリューションからLinuxディストリビューション「Ubuntu」けにカスタマイズした「Wnn8 for Ubuntu」も発売はつばいされている。
FreeWnn
Wnn4.2をベースにフリーなライセンスを維持いじしたもの[6]

これ以外いがいにOpenWnnなど各種かくしゅバージョンが存在そんざいする。

くみこみ機器きき

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モバイルWnn
変換へんかんエンジン49KB、基本きほん辞書じしょ付属ふぞく辞書じしょインデックス(以下いか基本きほん辞書じしょその」と記載きさい)510KB[7]
連文節れんぶんせつ変換へんかん頻度ひんど学習がくしゅうそなえているものの入力にゅうりょく予測よそくには対応たいおう単語たんご追加ついかはユーザー辞書じしょ登録とうろくもしくはオプション辞書じしょ追加ついかによる。
ミニWnn
変換へんかんエンジン11KB、基本きほん辞書じしょその197KB[7]
メモリに制約せいやくのある機器ききでも搭載とうさい可能かのうなようにコンパクトさを志向しこうしたバージョン。単文節たんぶんせつ変換へんかんのみに対応たいおうしており、辞書じしょ学習がくしゅうおこなわない。基本きほん辞書じしょ収録しゅうろく語数ごすう最小限さいしょうげんおさえられている。オプション辞書じしょにより単語たんご追加ついか可能かのうだが、ユーザー辞書じしょ登録とうろく不可能ふかのう
モバイルWnn V2
変換へんかんエンジン103KB、基本きほん辞書じしょその529KB[7]
モバイルWnnの機能きのうくわえ、入力にゅうりょく予測よそく文脈ぶんみゃく変換へんかん学習がくしゅう性能せいのう向上こうじょうおこなわれている。ただ基本きほん辞書じしょサイズはさほどわらず、ATOKその比較ひかくして変換へんかん精度せいどおとっていた[8]
Advanced Wnn
変換へんかんエンジン113KB、基本きほん辞書じしょ3.359MB[7]
入力にゅうりょく予測よそく変換へんかん一体化いったいかさせ、変換へんかん効率こうりつたかめている。口語こうご表現ひょうげんにも対応たいおうするようになった。
Advanced Wnn V2
変換へんかんエンジン168KB、基本きほん辞書じしょ4.2MB[7]
より形態素けいたいそ解析かいせき性能せいのう改良かいりょうし、また着信ちゃくしんメールない単語たんご自動じどうもしくは手動しゅどう学習がくしゅうする機能きのう搭載とうさいされた。言語げんご対応たいおうした「マルチリンガル Advanced Wnn」もある。
iWnn
変換へんかんエンジン280KB、基本きほん辞書じしょ4.4MB[7]
"i"はintelligent・individual・integrated・internationalの4つのiに由来ゆらいする。文脈ぶんみゃく現在げんざい日時にちじから時制じせいぶし判断はんだんする機能きのうワイルドカードにより予測よそく候補こうほしぼ機能きのうインクリメンタルサーチ)、多言たげん対応たいおうなどAdvanced Wnnと比較ひかくして大幅おおはば機能きのう向上こうじょうおこなわれている。
OpenWnn
iWnnをApache v2ライセンスでオープンソースしたもの。Android Open Source Projectじょう公開こうかいされている[9]

Androidスマートフォン

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iWnn IME
言語げんご入力にゅうりょくエンジン"iWnn"をベースに、ソフトウェアキーボードを付加ふかしたIMEの形式けいしき提供ていきょうされる多言たげん入力にゅうりょくシステム[10]よう
Wnn Keyboard Lab
AndroidスマートフォンけにGoogle Playストアから無料むりょうでダウンロードできるバージョン。iWnn IMEの先行せんこう機能きのうそなえ、えや言語げんご入力にゅうりょく利用りようできる[11]

搭載とうさい機器きき

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くわしくは外部がいぶリンクのオムロンソフト公式こうしきサイトにあるかくバージョンの「搭載とうさい商品しょうひん」を参照さんしょうのこと。

フィーチャーフォン・PHS

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NTTドコモFOMA共通きょうつうプラットフォームであるオペレータパック(OPP)には標準ひょうじゅんでiWnnが採用さいようされ、それまでATOKを採用さいようしていた富士通ふじつうげん富士通ふじつうモバイルコミュニケーションズ)、ケータイShoin採用さいようしていたシャープの機種きしゅでもiWnnが採用さいようされるようになった。またソニー・エリクソンの機種きしゅでは初期しょきにはWnnの辞書じしょ部分ぶぶんのみを提供ていきょうしており、その基幹きかん部分ぶぶんふく搭載とうさいされた。iWnnが搭載とうさいされるようになってからもPOBox Proの機能きのう優先ゆうせんとなるためiWnnの機能きのう対応たいおうするのは比較的ひかくてきおそかった。たとえばワイルドカード予測よそく対応たいおうしたのはiWnnの発表はっぴょうからやく3ねん経過けいかした2011ねん発売はつばいされたS006搭載とうさいのPOBox Pro 5.0Eからだった[13]


スマートフォン・スマートブック

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  • iWnn IME
    • au(KDDI/沖縄おきなわセルラー電話でんわ
    • Nexus 7 (2012)
    • チャレンジタブレット

BD・DVDレコーダー

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パナソニックDIGAにモバイルWnnが搭載とうさいされている。

ニンテンドー3DS任天堂にんてんどう


脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b ひとい、気遣きづかいのできる文字もじ入力にゅうりょく技術ぎじゅつで、よりゆたかなコミュニケーションを可能かのうにスマホから医療いりょう現場げんばまで、活用かつようひろがるオムロンの文字もじ入力にゅうりょくシステム”. 2021ねん10がつ6にち閲覧えつらん
  2. ^ わたし名前なまえ中野なかのです」を一発いっぱつ変換へんかんしてしいと主張しゅちょう…… - Wnn開発かいはつおも”. 2011ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  3. ^ 三浦みうら 一則かずのり『MacBSD X Window System & 日本語にほんご環境かんきょう活用かつようガイド』広文ひろふみしゃ、1998ねん7がつ1にち、158ぺーじISBN 4-905999-80-4 
  4. ^ オムロンソフトウェア、Netscape Navigatorやメールソフトに"インライン"で日本語にほんご入力にゅうりょく可能かのうな「Wnn6 for Linux/BSD Ver2」を発売はつばい
  5. ^ オムロンソフトウェア、Linux対応たいおう 日本語にほんご入力にゅうりょくシステム「Wnn7 Personal」7がつ7にち発売はつばい開始かいし
  6. ^ FreeWnn
  7. ^ a b c d e f 岩城いわき俊介しゅんすけ (2008ねん5がつ15にち). “最新さいしん日本語にほんご入力にゅうりょくシステム「iWnn」、2008ねん携帯けいたいなつモデルに搭載とうさいへ - そのかしこさを一足ひとあしさき体験たいけん”. ITmedia +mobile. 2011ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  8. ^ 太田おおたじゅん (2005ねん2がつ18にち). “「Advanced Wnn V2」の実力じつりょくは - 「W22SA」の文字もじ入力にゅうりょくため”. 効率こうりつよいメール入力にゅうりょくかんがえる. ITmedia +mobile. 2011ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  9. ^ [git clone https://android.googlesource.com/platform/packages/inputmethods/OpenWnn android Git repositories]
  10. ^ iWnn IME for Android”. オムロン ソフトウェア. 2022ねん2がつ12にち閲覧えつらん
  11. ^ Wnn Keyboard Lab”. オムロン ソフトウェア. 2022ねん2がつ11にち閲覧えつらん
  12. ^ 後藤ごとう祥子さちこ (2006ねん5がつ22にち). “写真しゃしん解説かいせつする「W33SA II」”. ITmedia +mobile. 2011ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  13. ^ 多彩たさい機能きのう”. S006 機能きのう. ソニー・エリクソン. 2011ねん6がつ13にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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