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[[ファイル:Baleen P1180086.jpg|サムネイル|くじらひげ]]
[[ファイル:Baleen.jpg|サムネイル|くじらひげの拡大かくだい上部じょうぶいたじょう規則正きそくただしく等間隔とうかんかくならんでいる。間隔かんかくは1[[センチメートル]]ほどとなっている。下部かぶ繊維せんいのようにこまかくなっている。]]
'''くじらひげ'''(くじらひげ)とは、[[ヒゲクジラ]]の動物どうぶつ上顎じょうがくられる、繊維せんいいたじょうとなった器官きかんである。'''ひげばん'''ともう。口腔こうくうない皮膚ひふがヒゲクジラるい独自どくじ変化へんかしたもので、[[ひげ]]や[[もう (動物どうぶつ)|]]とは由来ゆらいことなる。[[濾過ろか摂食せっしょく]]のための[[フィルター]]としての役割やくわりつ。弾力だんりょくせいなどにすぐれることから、[[プラスチック]]などの普及ふきゅう以前いぜんには各種かくしゅ工業こうぎょう素材そざい利用りようされ、[[捕鯨ほげい]]の重要じゅうよう目的もくてきにもなった。
[[ファイル:Gray whale calf by Marc Webber USFWS.jpg|サムネイル|[[コククジラ]]がくちけている様子ようす]]
'''くじらひげ'''(くじらひげ鯨鬚くじらひげ)とは、[[ヒゲクジラ]]の動物どうぶつ上顎じょうがくられる<ref name="kujira">{{Cite web|和書わしょ|title=クジラとわたしたちのくらし ヒゲを使つかった製品せいひん|url=https://kujira-digital-museum.com/ja/categories/16/articles/|date=2017|auther=|work=くじらの博物館はくぶつかんデジタルミュージアム|accessdate=2024-4-13}}</ref>繊維せんいいたじょうとなった器官きかんである。'''ひげばん'''ともう。口腔こうくうない皮膚ひふがヒゲクジラるい独自どくじ変化へんかしたもので、[[ひげ]]や[[もう (動物どうぶつ)|]]とは由来ゆらいことなる。[[濾過ろか摂食せっしょく]]のための[[フィルター]]としての役割やくわりつ。弾力だんりょくせいなどにすぐれることから、[[プラスチック]]などの普及ふきゅう以前いぜんには各種かくしゅ工業こうぎょう素材そざい利用りようされ、[[捕鯨ほげい]]の重要じゅうよう目的もくてきにもなった。


==構なり==
== みやつこ ==
===概説がいせつ===
=== 概説がいせつ ===
[[ヒゲクジラ|ヒゲクジラるい]]の上顎じょうがくのうち、口蓋こうがいの[[皮膚ひふ]]が変化へんかした器官きかんである。ヒゲクジラるいは[[濾過ろか摂食せっしょく]]をおこな生物せいぶつであり、くじらひげはそのさいもちいるフィルターとして発達はったつした。組成そせい皮膚ひふ角質かくしつ組織そしきおなじ[[ケラチン]]からなる。
[[ヒゲクジラ|ヒゲクジラるい]]の上顎じょうがくのうち、口蓋こうがいの[[皮膚ひふ]]が変化へんかした器官きかんである。ヒゲクジラるいは[[濾過ろか摂食せっしょく]]をおこな生物せいぶつであり、くじらひげはそのさいもちいるフィルターとして発達はったつした。組成そせい皮膚ひふ角質かくしつ組織そしきおなじ[[ケラチン]]からなる<ref name="kujira"/>


上顎じょうがく左右さゆうれつをなし、それぞれ最大さいだいで300まい程度ていどえる。1まいくじらひげは、細長ほそなが三角形さんかっけいいたじょう器官きかんである。ちょうあたりのうち一方いっぽう多数たすうえたようになっているが、これはくじらひげのいたじょう組織そしき内部ないぶ構成こうせいする繊維せんいが、先端せんたん摩滅まめつともなってしてくることで形成けいせいされる。この繊維せんいたがいにかさなりい、えさをこしとる、あるいはふるいけるフィルターとして機能きのうする。[[つめ]]などとおなじく一生いっしょう伸長しんちょうつづき、先端せんたん摩滅まめつおぎなう。成長せいちょうともない、いた部分ぶぶん表面ひょうめんいちねんごとにしわしょうじるので、くじら年齢ねんれい調査ちょうさにももちいることができる。ただし、くじらひげの先端せんたん徐々じょじょけてしまうため、わかくじらにしか有効ゆうこうでない。
上顎じょうがく左右さゆうれつをなし、それぞれ最大さいだいで300まい程度ていどえる。1まいくじらひげは、細長ほそなが三角形さんかっけいいたじょう器官きかんである<ref name="kujira"/>ちょうあたりのうち一方いっぽう多数たすうえたようになっているが、これはくじらひげのいたじょう組織そしき内部ないぶ構成こうせいする繊維せんいが、先端せんたん摩滅まめつともなってしてくることで形成けいせいされる。この繊維せんいたがいにかさなりい、えさをこしとる、あるいはふるいけるフィルターとして機能きのうする。[[つめ]]などとおなじく一生いっしょう伸長しんちょうつづき、先端せんたん摩滅まめつおぎなう。成長せいちょうともない、いた部分ぶぶん表面ひょうめんいちねんごとにしわしょうじるので、くじら年齢ねんれい調査ちょうさにももちいることができる。ただし、くじらひげの先端せんたん徐々じょじょけてしまうため、わかくじらにしか有効ゆうこうでない。


なお、[[中世ちゅうせい]]の[[ヨーロッパ]]では、ヒゲクジラがくちおおきくひらくとくじらひげが邪魔じゃまをしてくちじることができなくなり、んでしまうとかんがえられていた。
なお、[[中世ちゅうせい]]の[[ヨーロッパ]]では、ヒゲクジラがくちおおきくひらくとくじらひげが邪魔じゃまをしてくちじることができなくなり、んでしまうとかんがえられていた。


===くじらしゅによる差異さい===
=== くじらしゅによるちが===
すべてのヒゲクジラそなわった器官きかんであるが、種類しゅるいによってえさ生物せいぶつことなるのにあわせて、くじらひげの形状けいじょうことなっている。[[カイアシるい]]のような小型こがたの[[プランクトン]]をべることがおおいセミクジラの[[セミクジラ]]や[[ホッキョククジラ]]は、2メートルをえるもっとながくじらひげをつ。繊維せんい非常ひじょうほそい。これにたいして、プランクトンでも[[ネクトン]]にちか性質せいしつのオキアミなどくわえてしょうさかななどもべるナガスクジラの[[シロナガスクジラ]]などでは、くじらひげあまりながくなく、繊維せんいふと傾向けいこうがある。とくに、[[サンマ]]などの比較的ひかくてき大型おおがたさかなまでべる[[ニタリクジラ]]や[[ミンククジラ]]などは繊維せんいふと丈夫じょうぶである。[[ヨコエビ]]やナマコやカニなどの[[ベントス]](そこせい動物どうぶつ)を捕食ほしょくする[[コククジラ]]では、くじらひげはみじかかたい。
すべてのヒゲクジラそなわった器官きかんであるが、種類しゅるいによってえさ生物せいぶつことなるのにあわせて、くじらひげの形状けいじょうことなっている。[[カイアシるい]]のような小型こがたの[[プランクトン]]をべることがおおいセミクジラの[[セミクジラ]]や[[ホッキョククジラ]]は、2メートルをえるもっとながくじらひげを<ref name="kujira"/>繊維せんい非常ひじょうほそい。これにたいして、プランクトンでも[[ネクトン]]にちか性質せいしつ[[オキアミ]]やまれしょうさかなべるナガスクジラの[[シロナガスクジラ]]などでは、くじらひげ最大さいだいで1mとあまりながくなく<ref name="kujira"/>繊維せんいふと傾向けいこうがある。とくに、[[サンマ]]などの比較的ひかくてき大型おおがたさかなまでべる[[ニタリクジラ]]や[[ミンククジラ]]などは繊維せんいふと丈夫じょうぶである。[[ヨコエビ]]や[[ナマコ]][[カニ]]などの[[そこせい生物せいぶつ|ベントス]](そこせい動物どうぶつ)を捕食ほしょくする[[コククジラ]]では、くじらひげはみじかかたい。


==摂食せっしょく方法ほうほう==
== 摂食せっしょく方法ほうほう ==
くじらひげによる具体ぐたいてき摂食せっしょく方法ほうほうは、大別たいべつすると「こしとりがた」と「みこみがた」にけられる。
くじらひげによる具体ぐたいてき摂食せっしょく方法ほうほうは、大別たいべつすると「こしとりがた」と「いんみこみがた」にけられる。


こしとりがたは、くちけたままえさせいもの群集ぐんしゅうした海域かいいきおよぎ、くち前面ぜんめんからはいってくる海水かいすいからえさ生物せいぶつ連続れんぞくてきにこしとる方法ほうほうである。ながくじらひげをつセミクジラなどがおこなう。ナガスクジラでも、比較的ひかくてきながくじらひげをつイワシクジラはこの方法ほうほう併用へいようするとかんがえられる。
こしとりがたは、くちけたままもの群集ぐんしゅうした海域かいいきおよぎ、くち前面ぜんめんからはいってくる海水かいすいからえさ生物せいぶつ連続れんぞくてきにこしとる方法ほうほうである。ながくじらひげをつセミクジラなどがおこなう。ナガスクジラでも、比較的ひかくてきながくじらひげをつイワシクジラはこの方法ほうほう併用へいようするとかんがえられる。


みこみがたは、おおきくくちけてえさせいものぐんむかい突進とっしん海水かいすいごと群集ぐんしゅうしたえさ生物せいぶつ口腔こうくうないのみこみ、くちからくちなか海水かいすいくじらひげの隙間すきまからえさせいものだけをくじらひげで口中くちじゅうのこ方法ほうほうである。このときクジラの口腔こうくうは[[ペリカン]]ののどぶくろのようにおおきくふくらみ、巨大きょだい容量ようりょうえさ生物せいぶつ海水かいすいをのみこむ。ナガスクジラおこな。[[ザトウクジラ]]がおこなう、集団しゅうだんしょうさかなかこんで水面すいめんみ、一斉いっせいにジャンプするようにむバブルネットフィーディングは有名ゆうめいである。
いんみこみがたおもにナガスクジラおこなくちおおきくけてものぐんむかいかっ突進とっしん大量たいりょう海水かいすいごと口腔こうくうないふくむ。そしくちうちふくんだ海水かいすいくじらひげの隙間すきまからし、ものだけをくじらひげで口中くちじゅうのこ方法ほうほうである。[[ザトウクジラ]]がおこなう、集団しゅうだんしょうさかなかこんで水面すいめんみ、一斉いっせいにジャンプするようにむバブルネットフィーディングは有名ゆうめいである。


[[ベントス]]をべるコククジラは特殊とくしゅで、海底かいていすなどろくち側面そくめんから海水かいすいごとみ、くじらひげでふるいにかけるようにこしてのこったえさ生物せいぶつべる。
[[そこせい生物せいぶつ|ベントス]]をべるコククジラは特殊とくしゅで、海底かいていすなどろくち側面そくめんから海水かいすいごとみ、くじらひげでふるいにかけるようにこしてのこったえさ生物せいぶつべる。


==人間にんげんによるよう==
== よう ==
加工かこうしやす程度ていどかたさで強度きょうどがあり、かるく、弾力だんりょくせいがあるなどのすぐれた性質せいしつがあるため、ふるくから様々さまざま製品せいひん素材そざいもちいられてきた。ふるれいとしては、[[せいくらいん]]にくじらひげせいの[[如意にょい]]が宝物ほうもつとしておさめられている。とくにセミクジラのものは、ながくて非常ひじょう柔軟じゅうなんかつ弾力だんりょくがあることから重宝ちょうほうされ、結果けっかとしてセミクジラ乱獲らんかく一因いちいんともなった。その弾力だんりょくのある金属きんぞくせんやプラスチックが普及ふきゅうしたた現在げんざいでは工芸こうげいてき用途ようとのぞいては需要じゅようあまりくなって
[[蒸気じょうき]]で加熱かねつするとやわらかくなり、加工かこうしやすくなる<ref name="kujira"/>ほか強度きょうどがあり、かるく、弾力だんりょくせいがある、[[手垢てあか]]が付着ふちゃくしにくい<ref name="kujira"/>などのすぐれた性質せいしつがあるため、[[エンバばん]]ともばれふるくから様々さまざま製品せいひん素材そざいもちいられてきた。ふるれいとしては、[[せいくらいん]]にくじらひげせいの[[如意にょい]]が宝物ほうもつとしておさめられている。とくにセミクジラのものは、ながくて非常ひじょう柔軟じゅうなんかつ弾力だんりょくがあることから重宝ちょうほうされ、結果けっかとして乱獲らんかく一因いちいんともなった。その弾力だんりょくのある金属きんぞくせんやプラスチックが普及ふきゅうしたほか、捕鯨ほげい制限せいげん入手にゅうしゅ困難こんなんになっ<ref name="kujira"/>ことから現在げんざいでは工芸こうげいてき用途ようとのぞいては需要じゅようほとんない。
*[[釣竿つりざお]] - 日本にっぽんでは、弾力だんりょくせいかして釣竿つりざお先端せんたん部分ぶぶんもちいられる。現在げんざいでも一部いちぶ使用しようされている。
* [[釣竿つりざお]] - 日本にっぽんでは、弾力だんりょくせいかして釣竿つりざお先端せんたん部分ぶぶんもちいられる<ref name="kujira"/><ref name="taka">[[#高橋たかはし]] くじら利用りよう</ref>現在げんざいでも一部いちぶ使用しようされている。
*衣服いふく - 整形せいけいようほねもちいる。西洋せいようでは[[コルセット]]や[[クリノリン]]などの女性じょせいよう下着したぎやドレスの腰部ようぶ日本にっぽんでは[[かみしも]]のかたなど。
* 衣服いふく - 整形せいけいようほねもちいる。西洋せいようでは[[コルセット]]<ref>[[#高橋たかはし]]P.64</ref>や[[クリノリン]]などの女性じょせいよう下着したぎやドレスの腰部ようぶ日本にっぽんでは[[かみしも]]のかたなど。
* [[かんざし]] - 黄色おうしょく灰色はいいろものはナガスクジラのひげで、黒色こくしょくものはイワシクジラのひげでつくられた<ref name="kujira"/>。
*[[かさ]] - 西洋せいようではかさほねもちいた。
* [[かさ]] - 西洋せいようではかさほねもちいた。フランス語ふらんすごで「かさほね」を (os de) baleine というが「くじら」(の「ほね」)の意味いみ
*[[扇子せんす]] - 日本にっぽんでは、扇子せんすの[[扇子せんす#かなめ|よう]]としてもちいていた。
*[[しゃく#鯨尺くじらじゃく|呉服ごふくじゃく]] - 日本にっぽんでは着物きもの仕立した専用せんようのものさしの材料ざいりょうもちいた。[[しゃく#鯨尺くじらじゃく|鯨尺くじらじゃく]]ともばれ、ながさの単位たんいとしてそののこてい
* [[扇子せんす]] - 日本にっぽんでは扇子せんすの[[扇子せんす#構成こうせい|よう]]としてもちてい
* [[くつべら]] - 適度てきど弾力だんりょくせい強度きょうどがありれにくい<ref name="kujira"/><ref name="taka"/>。
*[[ぜんまいばね]] - 江戸えど時代じだい日本にっぽんでぜんまいの材料ざいりょうとされた。[[からくり]]人形にんぎょうなどで使用しようされた。
* [[しゃく#鯨尺くじらじゃく|呉服ごふくじゃく]] - 日本にっぽんでは着物きもの仕立した専用せんようのものさしの材料ざいりょうもちいた。[[しゃく#鯨尺くじらじゃく|鯨尺くじらじゃく]]ともばれ、ながさの単位たんいとしてそののこっている。くじらひげからつくられたからとされるがさだかではない。鯨尺くじらじゃく1[[しゃく]]は{{仮名がな|曲尺かねじゃく|かねじゃく}}の1しゃく2[[すん]]5ふん相当そうとうし、37.88[[センチメートル]]。
*[[文楽ぶんらく|文楽ぶんらく人形にんぎょう]] - 操作そうささくもちいる。
* [[ぜんまいばね]] - 江戸えど時代じだい日本にっぽんでぜんまいの材料ざいりょうとされ[[からくり]]人形にんぎょうなどで使用しようされた。
*[[ヴァイオリン#ゆみ|ヴァイオリンのゆみ]] - スティックのせんもちいる。現在げんざいは[[イミテーション]](模造もぞうひん)ざいる。
* [[文楽ぶんらく|文楽ぶんらく人形にんぎょう]] - 操作そうささくもちいる<ref name="kujira"/>
*その - くつべら、[[かぶと]]の装飾そうしょくなど。
* せせり - [[火縄銃ひなわじゅう]]のどう掃除そうじするための棒状ぼうじょう道具どうぐ。[[針金はりがね]]がかった[[戦国せんごく時代じだい]]や[[江戸えど時代じだい]]には、弾力だんりょくのあるくじらひげがおももちいられた<ref name="kujira"/>。
* ツモソ - [[鵜飼うかい]]でもちいる、[[ウ|]]と鵜匠うしょうをつなぐなわからまないようにつなほそぼう。プラスチックせいのものが使つかわれるまえは、くじらひげがもちいられた<ref name="kujira"/>。
* [[ヴァイオリン#ゆみ|ヴァイオリンのゆみ]] - スティックのせんもちいる。現在げんざいは[[レプリカ|イミテーション]]模造もぞうひんる。
* その - [[文房具ぶんぼうぐ]](ペンて、[[ペーパーナイフ]]など<ref name="kujira"/>)、[[みみかき]]<ref name="kujira"/>、[[まご]]<ref name="kujira"/>、置物おきもの<ref name="kujira"/>、[[かぶと]]の装飾そうしょくなど。


なお、特殊とくしゅ用途ようととして、日本にっぽんでは食用しょくようにももちいられたれいがある。わかいセミクジラのものを食用しょくようにしたほか、[[太平洋戦争たいへいようせんそう]]ちゅうに[[代用だいよう醤油じょうゆ]]の原料げんりょうとしてもちいられた。
なお、特殊とくしゅ用途ようととして、日本にっぽんでは食用しょくようにももちいられたれいがある。わかいセミクジラのものを食用しょくようにしたほか、[[太平洋戦争たいへいようせんそう]]ちゅうに[[代用だいよう醤油じょうゆ]]の原料げんりょうとしてもちいられた。


==参考さんこう文献ぶんけん==
== 出典しゅってん ==
<references />
*[[大村おおむら秀雄ひでお]] 『くじらって』 岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ新書しんしょ〉、1969ねん ISBN 4-00-416100-2

== 参考さんこう文献ぶんけん ==
* [[大村おおむら秀雄ひでお]] 『くじらって』 岩波書店いわなみしょてん[[岩波いわなみ新書しんしょ]]〉、1969ねん、{{ISBN2|4-00-416100-2}}。
* {{Cite book|和書わしょ|author=[[高橋たかはし順一じゅんいち]]|title=くじら日本にっぽん文化ぶんか-捕鯨ほげい文化ぶんか航跡こうせきをたどる|year=1992|publisher=[[あわ交社]]|month=1|isbn=4-473-01207-7|NCID=|ref=高橋たかはし}}


== 関連かんれん項目こうもく ==
== 関連かんれん項目こうもく ==
{{Commons|Baleen}}
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*[[クジラ]]
*[[ヒゲクジラ|ヒゲクジラ]]
*捕鯨ほげい産物さんぶつ - [[鯨油げいゆ]] / [[くじらにく]] / [[鯨骨げいこつ]]
*[[ヒゲクジラ]]
*[[捕鯨ほげい]] - そ産物さんぶつとして[[鯨油げいゆ]] / [[くじらにく]] / [[鯨骨げいこつ]]
*[[文楽ぶんらく]]


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[[sv:Barder]]
[[zh-min-nan:Keng-chhiu]]

2024ねん4がつ29にち (月)げつ 12:23時点じてんにおけるはん

くじらひげ
くじらひげの拡大かくだい上部じょうぶいたじょう規則正きそくただしく等間隔とうかんかくならんでいる。間隔かんかくは1センチメートルほどとなっている。下部かぶ繊維せんいのようにこまかくなっている。
コククジラくちけている様子ようす

くじらひげ(くじらひげ、鯨鬚くじらひげ)とは、ヒゲクジラ動物どうぶつ上顎じょうがくられる[1]繊維せんいいたじょうとなった器官きかんである。ひげばんともう。口腔こうくうない皮膚ひふがヒゲクジラるい独自どくじ変化へんかしたもので、ひげもうとは由来ゆらいことなる。濾過ろか摂食せっしょくのためのフィルターとしての役割やくわりつ。弾力だんりょくせいなどにすぐれることから、プラスチックなどの普及ふきゅう以前いぜんには各種かくしゅ工業こうぎょう素材そざい利用りようされ、捕鯨ほげい重要じゅうよう目的もくてきにもなった。

構造こうぞう

概説がいせつ

ヒゲクジラるい上顎じょうがくのうち、口蓋こうがい皮膚ひふ変化へんかした器官きかんである。ヒゲクジラるい濾過ろか摂食せっしょくおこな生物せいぶつであり、くじらひげはそのさいもちいるフィルターとして発達はったつした。組成そせい皮膚ひふ角質かくしつ組織そしきおなケラチンからなる[1]

上顎じょうがく左右さゆうれつをなし、それぞれ最大さいだいで300まい程度ていどえる。1まいくじらひげは、細長ほそなが三角形さんかっけいいたじょう器官きかんである[1]ちょうあたりのうち一方いっぽう多数たすうえたようになっているが、これはくじらひげのいたじょう組織そしき内部ないぶ構成こうせいする繊維せんいが、先端せんたん摩滅まめつともなってしてくることで形成けいせいされる。この繊維せんいたがいにかさなりい、えさをこしとる、あるいはふるいけるフィルターとして機能きのうする。つめなどとおなじく一生いっしょう伸長しんちょうつづき、先端せんたん摩滅まめつおぎなう。成長せいちょうともない、いた部分ぶぶん表面ひょうめんいちねんごとにしわしょうじるので、くじら年齢ねんれい調査ちょうさにももちいることができる。ただし、くじらひげの先端せんたん徐々じょじょけてしまうため、わかくじらにしか有効ゆうこうでない。

なお、中世ちゅうせいヨーロッパでは、ヒゲクジラがくちおおきくひらくとくじらひげが邪魔じゃまをしてくちじることができなくなり、んでしまうとかんがえられていた。

くじらしゅによるちが

すべてのヒゲクジラそなわった器官きかんであるが、種類しゅるいによってえさ生物せいぶつことなるのにあわせて、くじらひげの形状けいじょうことなっている。カイアシるいのような小型こがたプランクトンべることがおおいセミクジラセミクジラホッキョククジラは、2メートルをえるもっとながくじらひげを[1]繊維せんい非常ひじょうほそい。これにたいして、プランクトンでもネクトンちか性質せいしつオキアミまれしょうさかなべるナガスクジラシロナガスクジラなどでは、くじらひげ最大さいだいで1mとあまりながくなく[1]繊維せんいふと傾向けいこうがある。とくに、サンマなどの比較的ひかくてき大型おおがたさかなまでべるニタリクジラミンククジラなどは繊維せんいふと丈夫じょうぶである。ヨコエビナマコカニなどのベントスそこせい動物どうぶつ)を捕食ほしょくするコククジラでは、くじらひげはみじかかたい。

摂食せっしょく方法ほうほう

くじらひげによる具体ぐたいてき摂食せっしょく方法ほうほうは、大別たいべつすると「こしとりがた」と「みこみがた」にけられる。

こしとりがたは、くちけたまま獲物えもの群集ぐんしゅうした海域かいいきおよぎ、くち前面ぜんめんからはいってくる海水かいすいからえさ生物せいぶつ連続れんぞくてきにこしとる方法ほうほうである。ながくじらひげをつセミクジラなどがおこなう。ナガスクジラでも、比較的ひかくてきながくじらひげをつイワシクジラはこの方法ほうほう併用へいようするとかんがえられる。

みこみがたおもにナガスクジラおこない、くちおおきくけて獲物えものれにかって突進とっしん大量たいりょう海水かいすいごと口腔こうくうないふくむ。そして口内こうないふくんだ海水かいすいくじらひげの隙間すきまからし、獲物えものだけをくじらひげで口中くちじゅうのこ方法ほうほうである。ザトウクジラおこなう、集団しゅうだんしょうさかなかこんで水面すいめんみ、一斉いっせいにジャンプするようにむバブルネットフィーディングは有名ゆうめいである。

ベントスべるコククジラは特殊とくしゅで、海底かいていすなどろくち側面そくめんから海水かいすいごとみ、くじらひげでふるいにかけるようにこしてのこったえさ生物せいぶつべる。

用途ようと

蒸気じょうき加熱かねつするとやわらかくなり、加工かこうしやすくなる[1]ほか、強度きょうどがあり、かるく、弾力だんりょくせいがある、手垢てあか付着ふちゃくしにくい[1]などのすぐれた性質せいしつがあるため、エンバばんともばれ、ふるくから様々さまざま製品せいひん素材そざいもちいられてきた。ふるれいとしては、せいくらいんくじらひげせい如意にょい宝物ほうもつとしておさめられている。とくにセミクジラのものは、ながくて非常ひじょう柔軟じゅうなんかつ弾力だんりょくがあることから重宝ちょうほうされ、結果けっかとして乱獲らんかく一因いちいんともなった。その弾力だんりょくのある金属きんぞくせんやプラスチックが普及ふきゅうしたほか、捕鯨ほげい制限せいげん入手にゅうしゅ困難こんなんになった[1]ことから、現在げんざいでは工芸こうげいてき用途ようとのぞいては需要じゅようほとんどない。

  • 釣竿つりざお - 日本にっぽんでは、弾力だんりょくせいかして釣竿つりざお先端せんたん部分ぶぶんもちいられる[1][2]現在げんざいでも一部いちぶ使用しようされている。
  • 衣服いふく - 整形せいけいようほねもちいる。西洋せいようではコルセット[3]クリノリンなどの女性じょせいよう下着したぎやドレスの腰部ようぶ日本にっぽんではかみしもかたなど。
  • かんざし - 黄色おうしょく灰色はいいろものはナガスクジラのひげで、黒色こくしょくものはイワシクジラのひげでつくられた[1]
  • かさ - 西洋せいようではかさほねもちいた。フランス語ふらんすごで「かさほね」を (os de) baleine というが「くじら」(の「ほね」)の意味いみ
  • 扇子せんす - 日本にっぽんでは、扇子せんすようとしてもちいていた。
  • くつべら - 適度てきど弾力だんりょくせい強度きょうどがありれにくい[1][2]
  • 呉服ごふくじゃく - 日本にっぽんでは着物きもの仕立した専用せんようのものさしの材料ざいりょうもちいた。鯨尺くじらじゃくともばれ、ながさの単位たんいとしてそののこっている。くじらひげからつくられたからとされるがさだかではない。鯨尺くじらじゃく1しゃく曲尺かねじゃくかねじゃくの1しゃく2すん5ふん相当そうとうし、37.88センチメートル
  • ぜんまいばね - 江戸えど時代じだい日本にっぽんでぜんまいの材料ざいりょうとされ、からくり人形にんぎょうなどで使用しようされた。
  • 文楽ぶんらく人形にんぎょう - 操作そうささくもちいる[1]
  • せせり - 火縄銃ひなわじゅうどう掃除そうじするための棒状ぼうじょう道具どうぐ針金はりがねかった戦国せんごく時代じだい江戸えど時代じだいには、弾力だんりょくのあるくじらひげがおももちいられた[1]
  • ツモソ - 鵜飼うかもちいる、鵜匠うしょうをつなぐなわからまないようにつなほそぼう。プラスチックせいのものが使つかわれるまえは、くじらひげがもちいられた[1]
  • ヴァイオリンのゆみ - スティックのせんもちいる。現在げんざいイミテーション模造もぞうひん)もある。
  • その - 文房具ぶんぼうぐ(ペンて、ペーパーナイフなど[1])、みみかき[1]まご[1]置物おきもの[1]かぶと装飾そうしょくなど。

なお、特殊とくしゅ用途ようととして、日本にっぽんでは食用しょくようにももちいられたれいがある。わかいセミクジラのものを食用しょくようにしたほか、太平洋戦争たいへいようせんそうなか代用だいよう醤油じょうゆ原料げんりょうとしてもちいられた。

出典しゅってん

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r クジラとわたしたちのくらし ヒゲを使つかった製品せいひん”. くじらの博物館はくぶつかんデジタルミュージアム (2017ねん). 2024ねん4がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ a b #高橋たかはし くじら利用りよう
  3. ^ #高橋たかはしP.64

参考さんこう文献ぶんけん

  • 大村おおむら秀雄ひでおくじらって』 岩波書店いわなみしょてん岩波いわなみ新書しんしょ〉、1969ねんISBN 4-00-416100-2
  • 高橋たかはし順一じゅんいちくじら日本にっぽん文化ぶんか-捕鯨ほげい文化ぶんか航跡こうせきをたどる』あわ交社、1992ねん1がつISBN 4-473-01207-7 

関連かんれん項目こうもく