(Translated by https://www.hiragana.jp/)
セム語派 - Wikipedia コンテンツにスキップ

セム

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去かこはんです。42.145.121.253 (会話かいわ) による 2017ねん3がつ21にち (火) 11:59個人こじん設定せってい設定せっていならUTC時点じてんはん (→‎下位かい分類ぶんるい)であり、現在げんざいはんとはおおきくことなる場合ばあいがあります。

セム
はなされる地域ちいき西にしアジアきたアフリカ
言語げんご系統けいとうアフロ・アジア語族ごぞく
下位かい言語げんご
アフロアジア語族ごぞく分布ぶんぷ橙色だいだいいろセム

セム(セムごは)ないしセム語族ごぞく(セムごぞく)は、言語げんごがくにおいてアフロ・アジア語族ごぞくぞくするとされる言語げんごグループである。

言語げんごがくにおける沿革えんかく

「セム」という名称めいしょうは、18世紀せいきドイツのオリエント学者がくしゃ英語えいごばん[ようリンク修正しゅうせい]アウグスト・シュレーツァーによって、トーラー記述きじゅつされているノア息子むすこセムにちなんでづけられた。これが19世紀せいき発展はってんした比較ひかく言語げんごがく研究けんきゅうなか語族ごぞく転用てんようされ、「セム語族ごぞく」という用語ようごまれた[1]

かつてはセム語族ごぞく上位じょういセム・ハム語族ごぞくてられ、セム・ハム語族ごぞくインド・ヨーロッパ語族ごぞくウラル・アルタイ語族ごぞく現在げんざい、ウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごべつのグループとされている)となら世界せかいの3だい語族ごぞくひとつとされていた。20世紀せいきなか以降いこう、アメリカの言語げんご学者がくしゃジョーゼフ・グリーンバーグ研究けんきゅうにより、セム・ハム語族ごぞく構成こうせいするもう一方いっぽう語族ごぞくであるハム語族ごぞく存在そんざい疑問ぎもんしょうじたことから、セム・ハム語族ごぞくは「アフロ・アジア語族ごぞく」にえられ、セム語族ごぞくはそのなかいち語族ごぞくないし一語いちごとされた[2]いまでは語族ごぞくとしてはあつかわれなくなっている[よう出典しゅってん]

特徴とくちょう

セム共通きょうつう特徴とくちょうとしては、音声おんせいてきには子音しいん種類しゅるいおおく、とくにつよいきおいおとばれる特徴とくちょうてきおと咽頭いんとうおんがあることがあげられる。その一方いっぽう母音ぼいんすくなく、アラビアフスハー)では a i u ā ī ū ai au のみにすぎない。音節おんせつ構造こうぞう単純たんじゅんで CV または CVC が普通ふつうであり、子音しいん結合けつごうには制約せいやくがある。

文法ぶんぽうてきにはさん子音しいんからなる語根ごこんがきわめて特徴とくちょうてきで、このさん子音しいんあいだ母音ぼいん交替こうたいさせたり、接尾せつび接頭せっとうくわえたり、子音しいんかさねたりすることで複雑ふくざつ派生はせいおこなう。

セムぞくするしょ言語げんごあいだでは基本きほんてき語彙ごいがよく一致いっちし、そこからセム祖語そご構築こうちくされる。

インド・ヨーロッパ語族ごぞくとは、名詞めいしせいかくかず区別くべつがあり、形容詞けいようし代名詞だいめいしにおいてせいかずかく一致いっちられること、動詞どうしかず人称にんしょう変化へんかすること、母音ぼいん交替こうたいなど、類型るいけいてき顕著けんちょ類似るいじがあり、一部いちぶ語彙ごい数詞すうしなど)にも関係かんけい指摘してきされているが、親族しんぞく関係かんけい証明しょうめいされていない。

今日きょうはなされているおもなセムには、母語ぼご話者わしゃすうおおじゅんアラビアアムハラヘブライティグリニャアラムがある。それ以外いがいアッカドフェニキアゲエズなど、歴史れきし関係かんけいする重要じゅうよう言語げんごおおく、また旧約きゅうやく聖書せいしょコーランなど宗教しゅうきょうかんする重要じゅうよう書物しょもつもある。

下位かい分類ぶんるい

東方とうほうセム(アッカド)、北西ほくせいセム(アラム・カナン諸語しょご・ウガリット)、アラビア古代こだいみなみアラビア、エチオピア諸語しょご現代げんだいみなみアラビアの6つの区分くぶんがあることはひろみとめられているが、この6種類しゅるいがどのような関係かんけいにあるかは、学者がくしゃあいだ結論けつろん一致いっちていない。

伝統でんとうてき分類ぶんるいでは、まずセム東西とうざいけ(ひがしセムはアッカドのみ)、西にし北西ほくせいセムとみなみセムに、さらにみなみセムをアラビア南東なんとうセムに、南東なんとうセムを現代げんだいみなみアラビア諸語しょごとエチオピア=古代こだいみなみアラビアにけていた。

1970年代ねんだいになると、ウガリットとエブラ発見はっけんされ、またアラビアがもっともセム祖語そごちかいという従来じゅうらいかんがえが反省はんせいされるようになった。ロバート・ヘツロン英語えいごばんは、つよいきおいおと咽頭いんとうおととしてあらわれることや、動詞どうし活用かつよう特徴とくちょうなどから、アラビアみなみセムからのぞき、北西ほくせいセムをあわせてあらたに「中央ちゅうおうセム」とんだ[3]

脚注きゃくちゅう

  1. ^ 平凡社へいぼんしゃ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん』「セム語族ごぞく」のこう
  2. ^ 三省堂さんせいどう言語げんごがくだい辞典じてんだい2かんは「セム語族ごぞく」としるし、『オックスフォード言語げんごがく辞典じてん』の日本語にほんごばん(2009ねん)は Semitic を「セム語族ごぞく」と翻訳ほんやくしている。一方いっぽう、デイヴィッド・クリスタル『言語げんごがく百科ひゃっか事典じてん』の日本語にほんごばん(1992ねん)は「セム」と翻訳ほんやくしている。
  3. ^ Faber (1997) pp.5-7

参考さんこう文献ぶんけん

  • Faber, Alice (1997). “Genetic Subgrouping of the Semitic Languages”. In Robert Hetzron. The Semitic Languages. Routledge. pp. 3-15. ISBN 9780415412667 

関連かんれん項目こうもく