ウラル・アルタイ語族ごぞく

ウラル語族ごぞく、アルタイ諸語しょごの分布ぶんぷ

ウラル・アルタイ語族ごぞく（ウラル・アルタイごぞく）は、過去かこに考かんがえられていた言語げんごの分類ぶんるいの一ひとつであり、かつては、インド・ヨーロッパ語族ごぞく、セム・ハム語族ごぞく（現在げんざいのアフロ・アジア語族ごぞく）とともに世界せかいの3大だい語族ごぞくとされていた。現在げんざいはウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごに分わけられている。

概要がいよう

ウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごに共通きょうつうする特徴とくちょうとしては、膠着こうちゃく語ごであり、SOV語順ごじゅん（例外れいがいもある）、母音ぼいん調和ちょうわ、人称にんしょう代名詞だいめいしの類似るいじが挙あげられる。これらをもって「ウラル・アルタイ語族ごぞく」という括くくりが設もうけられ、ツラン民族みんぞくという概念がいねんが生しょうじたりもした。

ウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごの人称にんしょう代名詞だいめいしの比較ひかく

しかしウラル語族ごぞく内うちの共通きょうつう語彙ごいを除のぞいて共通きょうつうする基礎きそ語彙ごいがほとんどなく、言語げんご類型るいけい論ろん的てき特徴とくちょうは地域ちいき特性とくせい（言語げんご連合れんごう）である可能かのう性せいが高たかいとされ、同系どうけい性せいを示しめす証拠しょうこがないため、現在げんざいではウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごは別々べつべつに扱あつかわれている。

1990年代ねんだいからはウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごの関係かんけい性せいがユーラシア大だい語族ごぞくの観点かんてんから再ふたたび関心かんしんがもたれるようになり、ウラル語族ごぞく、アルタイ諸語しょご、インド・ヨーロッパ語族ごぞくの間あいだで関連かんれん性せいを指摘してきする見方みかたもある。

区分くぶん

• ウラル語族ごぞく
  • サモエード語ご派は
  • フィン・ウゴル語ご派は
  • （ユカギール語族ごぞく）※ウラル語族ごぞくとの同系どうけい説せつがある

• アルタイ諸語しょご
  • チュルク語族ごぞく
  • モンゴル語族ごぞく
  • ツングース語族ごぞく
  • 日本語にほんご族ぞく※アルタイ諸語しょごに含ふくめない説せつもある
  • 朝鮮ちょうせん語族ごぞく※アルタイ諸語しょごに含ふくめない説せつもある

他た語族ごぞくとの関係かんけい

ドラヴィダ語族ごぞくとウラル語族ごぞく、アルタイ諸語しょごの間あいだには文法ぶんぽうの著いちじるしい類似るいじ性せいが存在そんざいする。インド・ヨーロッパ語族ごぞくとウラル語族ごぞく、アルタイ諸語しょごは一部いちぶの形態素けいたいそが明あきらかに同どう源みなもとである。また、母音ぼいん調和ちょうわが存在そんざいする膠着こうちゃく語ごという点てんではシュメール語ごとも類似るいじするが、シュメール語ごは能のう格言かくげん語ご、ウラル語族ごぞく、アルタイ諸語しょごは対格たいかく言語げんごという相違そういがある。

話者わしゃ集団しゅうだんと遺伝子いでんし

ウラル系けい民族みんぞくを特徴とくちょうづける遺伝子いでんしはY染色せんしょく体たいハプログループNである。このタイプは極北きょくほくを中心ちゅうしんに広ひろく分布ぶんぷし、ほとんどのウラル系けい民族みんぞくで高こう頻度ひんどに観察かんさつされる。中国ちゅうごく北部ほくぶを起源きげんとし、遼りょう河かわ文明ぶんめい時代じだい人じんの人骨じんこつから約やく70％の高こう頻度ひんどで観察かんさつされていることから、ウラル語族ごぞくの原郷はらごうは遠とおく遼りょう河かわ地域ちいきまで遡さかのぼる可能かのう性せいがある。

アルタイ系けい民族みんぞくを特徴とくちょうづける遺伝子いでんしはY染色せんしょく体たいハプログープC2であり、カザフ人じん、モンゴル人じん、エベンキ人じんなどで高こう頻度ひんどに観察かんさつされるが、ハプログループNも中なか頻度ひんどに見みられる集団しゅうだんが多おおい。

このことから、ウラル語族ごぞくとアルタイ諸語しょごの言語げんご的てき類似るいじはハプログループN集団しゅうだんに依よるとする見方みかたがある。

関連かんれん項目こうもく

• ツラン
• ツラン人種じんしゅ
• ツラニズム
• 膠着こうちゃく語ご
• 母音ぼいん調和ちょうわ