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ツラニズム

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ツラニズム英語えいご: Turanism), ひろしツラニズムえい: pan-Turanism)、ひろしツラン主義しゅぎとは、中央ちゅうおうアジア起源きげんとするとされる様々さまざま民族みんぞく民族みんぞくてき文化ぶんかてき統一とういつせい主張しゅちょうするうごきである。イラン中央ちゅうおうアジアを意味いみする単語たんごツラン」をもちいてひろしツラニズムとび、ひろしスラブ主義しゅぎひろしゲルマン主義しゅぎひろしイラン主義しゅぎドイツばんひろしケルト主義しゅぎ英語えいごばんひろしスカンジナビア主義しゅぎひろしトルコ主義しゅぎひとしひろしナショナリスト政治せいじイデオロギー類似るいじする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

この政治せいじイデオロギーはフィンランドひとナショナリストで言語げんご学者がくしゃマティアス・カストレン英語えいご起源きげんはっする。カストレンはひろしツラニズムのイデオロギー、すなわちウラル・アルタイけい民族みんぞく人種じんしゅてき統一とういつせい将来しょうらいにわたる重要じゅうようせい信念しんねん擁護ようごし、フィンじん中央ちゅうおうアジアアルタイ山脈さんみゃく)に起源きげんをもち、ハンガリーじんテュルクじんモンゴルじんなどをふく民族みんぞく集団しゅうだん一部いちぶであったと結論けつろんけた[1][2]。カストレンはひろしトルコ主義しゅぎにおけるすべてのテュルクじんのみならず、より広範こうはん類縁るいえん関係かんけいツラン人種じんしゅ、すなわち「ツラン語族ごぞく」の話者わしゃとしてウラル・アルタイ人種じんしゅ団結だんけつとなえたのである。アーリアンというかたりのように、〈ツラニアン〉とかたり言語げんごがく用語ようごとしておももちいられ、ウラル・アルタイ語族ごぞく相当そうとうするものとされた[3]

「アルタイ」、チュルク、ウラルはな地域ちいきしめすユーラシアの地図ちず
凡例はんれいAJ:日本語にほんご。AK:朝鮮ちょうせん緑色みどりいろけい(AMo1–7)=モンゴル語族ごぞく青色あおいろけい:トルコ(ATu1–3)。チュルク語族ごぞく:AT1–31。フィン・ウゴルけい民族みんぞく:UF1–6。サモエード:US1–2。ユカギール語族ごぞく:UY[4]

ツラニズムはウラル・アルタイけい民族みんぞくすべてを統合とうごうする政治せいじてきうごきであるが、その包括ほうかつ範囲はんいについては様々さまざま意見いけんがある[5]有名ゆうめいなツラン学者がくしゃズィヤ・ギョカルプ英語えいごはツラニズムをテュルクけい民族みんぞくのみに適用てきようし、ツランけいほかフィンじん、マジャールじん朝鮮ちょうせんじん日本人にっぽんじんといった民族みんぞくとは文化ぶんかてきことなるとして、ツラニズムの範囲はんいひろしトルコ主義しゅぎ範囲はんいまでせばめた[6]。「ツランじん兄弟きょうだいであり、協力きょうりょく」が必要ひつようであるとするかんがえは、ひろしスラブ主義しゅぎの「スラブじん兄弟きょうだいで、協力きょうりょくしなければならない」というかんがえにしたがったものである[7][リンク]

だいいち世界せかい大戦たいせんちゅうロスロップ・スタッダード英語えいご(1883-1950)は以下いかのように描写びょうしゃした。

"北欧ほくおうからアジアにわたり、バルト海ばるとかいから太平洋たいへいようまで、そして地中海ちちゅうかいから北極ほっきょくかいにかけて、民族みんぞく学者がくしゃが「ウラル・アルタイ人種じんしゅ」、より一般いっぱんてきには「ツランじん」と民族みんぞくおびがのびている。このグループはもっと広範囲こうはんいらばった人々ひとびとイスタンブールアナトリアオスマントルコじん英語えいごばん中央ちゅうおうアジアペルシャトルクメンじんロシア南部なんぶみなみコーカサスタタールじんハンガリーマジャルじんフィンランドバルト海ばるとかい沿岸えんがんフィンじんシベリア先住民せんじゅうみん、そしてモンゴルじん満州まんしゅうじん — をふくんでいる。その文化ぶんか伝統でんとう外見がいけん多様たようだが、これらの民族みんぞくには共通きょうつうするさいだった特徴とくちょうがある。かれらの言語げんごはみな類似るいじし、さらに重要じゅうようなことに、物質ぶっしつてき精神せいしんてき表象ひょうしょううたが余地よちのないほどている[8]

現在げんざいウラル・アルタイ語族ごぞく仮説かせつれられていないが、1920年代ねんだい-1930年代ねんだいには、ツラン協会きょうかいのトルコ支部しぶ、ハンガリー支部しぶ日本にっぽん支部しぶ朝鮮ちょうせん支部しぶすきっかけとなった[7]

日本にっぽんにおけるツラン運動うんどう[編集へんしゅう]

中心ちゅうしんてき活動かつどうとして今岡いまおか十一郎とりひこ[9][13]すみおか知良かずよし[16]野副のぞえ重遠しげとお[23]北川きたがわ鹿蔵しかぞう[24]らがいた。今岡いまおかはハンガリーの民俗みんぞく学者がくしゃバラートシ・バログ・ベネデク(ハンガリーアイヌ研究けんきゅう来日らいにちしたさい通訳つうやくつとめ、1920年代ねんだいにバラートシがさい来日らいにちしたさいにツラニズムの日本にっぽん普及ふきゅう協力きょうりょくするようもとめられた[26]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ ブリタニカ百科ひゃっか事典じてんより、「Matthias Alexander Castrén」“Matthias Alexander Castrén | Finnish Scholar, Explorer & Ethnologist” (英語えいご). Britannica. https://www.britannica.com/biography/Matthias-Alexander-Castren 2015ねん7がつ13にち閲覧えつらん .
  2. ^ “Matthias Alexander Castrén | Finnish Scholar, Explorer & Ethnologist” (英語えいご). Britannica. https://www.britannica.com/biography/Matthias-Alexander-Castren 2015ねん7がつ13にち閲覧えつらん 
  3. ^ Czaplicka 2010, p. 19
  4. ^ これらは「チュルク理論りろんした統合とうごうされている。資料しりょう:İhsan Yılmaz Bayraktarlı、描画びょうが:Maximilian Dörrbecker(2011ねん10がつ)。
  5. ^ 1xBet En Çok Kazandıran Oyun -1xbet Casino Slot Oyunları” (トルコ). 1xBet En Çok Kazandıran Oyun -1xbet En Çok Kazandıran Casino Slot Oyunları [1xBet もっと収益しゅうえきせいたかいゲーム - 1xBet もっと収益しゅうえきせいたかいカジノ スロット ゲーム]. 2015ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  6. ^ Gökalp 1923, p. 25
  7. ^ a b query: turanism”. britannica.com. 2016ねん1がつ25にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん7がつ13にち閲覧えつらん
  8. ^ Stoddard 1917, p. 16
  9. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1933a, 「ツラン民族みんぞく運動うんどうとはなにか」
  10. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1933b, pp. 41–54
  11. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1933b, pp. 55–73
  12. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1933b, pp. 74-77ぺーじ
  13. ^ だい14しょう 日本にっぽんとハンガリーの関係かんけい[10]、「だい17しょう ツランとはなにんぞや」[11]、「だい20しょう ツラン民族みんぞくとはどれどれか」[12]
  14. ^ ヘゲデュス 1935, 序文じょぶん
  15. ^ ヘゲデュス 1935, pp. 1–164
  16. ^ 訳者やくしゃじょ[14]、「殺人さつじんはん戯曲ぎきょく)」[15]
  17. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1932, pp. 1–9
  18. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1932, pp. 25–30
  19. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1932, pp. 31–34
  20. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1932, pp. 35–43
  21. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1932, pp. 44–49
  22. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1932, pp. 62-
  23. ^ 日本にっぽん民族みんぞく指導原理しどうげんりとしてのひろしツラニズム』より、「1 ツランけい同胞どうほう民族みんぞく[17]、「4 満州まんしゅうのツランけいしょ民族みんぞくかん民族みんぞく移住いじゅう[18]、「5 ツランけい同胞どうほう民族みんぞくとしての朝鮮ちょうせんじん[19]、「6 トルコ民族みんぞくとツラン運動うんどう[20]、「7 ハンガリーにけるツラン運動うんどう[21]、「9 ツラン連邦れんぽう大陸たいりく遷都せんとろん[22]
  24. ^ 日本にっぽんツラン協会きょうかい 1993c
  25. ^ 展示てんじ図録ずろく 1993, 参考さんこう文献ぶんけん
  26. ^ バラートシバログ「1 稿こう」、今岡いまおか十一郎とりひこ「2 書簡しょかん稿こう)」、「3 関係かんけい新聞しんぶん記事きじ」、「4 資料しりょう分割ぶんかつかんする書簡しょかん[25]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

おも著者ちょしゃ編者へんしゃせいじゅん

  • 今岡いまおか十一郎とりひこ『ツラン民族みんぞく運動うんどうとはなにか』日本にっぽんツラン協会きょうかい、1933ねんNDLJP:1710402 
  • 今岡いまおか十一郎とりひこわれとうをひくハンガリー』(マイクロフィッシュ) 1かん〈ツラン民族みんぞく運動うんどうとはなにか〉、1933ねん昭和しょうわ8ねん)。doi:10.11501/1465927全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47009490 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、インターネット公開こうかい許諾きょだく)。
    • だい14しょう 日本にっぽんとハンガリーの関係かんけい」41-54ぺーじ
    • だい17しょう ツランとはなにんぞや」55-73ぺーじ
    • だい20しょう ツラン民族みんぞくとはどれどれか」74-77ぺーじ
  • 北川きたがわ鹿蔵しかぞう『ツラン民族みんぞく分布ぶんぷ地図ちず解説かいせつしょ)』日本にっぽんツラン協会きょうかい、1933ねんNDLJP:1455483 
  • 野副のぞえ重遠しげとお [じゅつ]『日本にっぽん民族みんぞく指導原理しどうげんりとしてのひろしツラニズム』ツラン協会きょうかい昭和しょうわ7ねんNDLJP:1269322  国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション、インターネット公開こうかい裁定さいてい)。
    • 「1 ツランけい同胞どうほう民族みんぞく」1-9ぺーじ
    • 「4 満州まんしゅうのツランけいしょ民族みんぞくかん民族みんぞく移住いじゅう」25-30ぺーじ
    • 「5 ツランけい同胞どうほう民族みんぞくとしての朝鮮ちょうせんじん」31-34ぺーじ
    • 「6 トルコ民族みんぞくとツラン運動うんどう」35-43ぺーじ
    • 「7 ハンガリーにけるツラン運動うんどう」44-49ぺーじ
    • 「9 ツラン連邦れんぽう大陸たいりく遷都せんとろん」62ぺーじ-
  • はら敏弘としひろ、ヴィルヘルム・ガーボル へん『ブダペスト民族みんぞくがく博物館はくぶつかん所蔵しょぞうバラートシ・バログコレクション調査ちょうさ報告ほうこくしょ北海道ほっかいどうりつアイヌ民族みんぞく文化ぶんか研究けんきゅうセンター、ブダペスト民族みんぞくがく博物館はくぶつかん共同きょうどう刊行かんこう、ブダペスト)、1999ねん3がつdoi:10.11501/1237448NDLJP:2770573 全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:99092188べつだい『Museum of Ethnography, Budapest Baráthosi Balogh collection catalogue』。
  • はら敏弘としひろ へん『ブダペスト民族みんぞくがく博物館はくぶつかん所蔵しょぞうバラートシバログコレクション調査ちょうさ報告ほうこくしょ谷本たにもと一之かずゆき今岡いまおか十一郎とりひこNéprajzi Múzeum英語えいご(ハンガリー野外やがい博物館はくぶつかん)、北海道ほっかいどうりつアイヌ民族みんぞく文化ぶんか研究けんきゅうセンター、ブダペスト民族学博物館みんぞくがくはくぶつかん、1999ねん3がつ NCID BA82712007とはべつ書誌しょしNDLJP:1130282272045294208
    • べつだい『Museum of ethnography, Budapest Baráthosi Balogh collection catalogue』
      • 会期かいき:1997ねん1がつ16にち-2がつ9にちほか。
      • 会場かいじょう北海道ほっかいどう開拓かいたく記念きねんかんほか。
      • 図版ずはん解説かいせつはら敏弘としひろ
    • 参考さんこう資料しりょう
      • バラートシバログ「1 稿こう
      • 今岡いまおか十一郎とりひこ「2 書簡しょかん稿こう)」
      • 「3 関係かんけい新聞しんぶん記事きじ
      • 「4 資料しりょう分割ぶんかつかんする書簡しょかん
  • ヘゲデュス ちょすみおか知良かずよし やく殺人さつじんはんげんうみ書房しょぼう昭和しょうわ10ねんdoi:10.11501/1237448NDLJP:1237448 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション。
    • すみおか知良かずよし訳者やくしゃじょ
    • ホルロース名誉めいよ領事りょうじ書翰しょかん
    • 今岡いまおか十一郎とりひこ紹介しょうかい
    • すみおか知良かずよしわけ)「殺人さつじんはん戯曲ぎきょく)」1-164ぺーじ
洋書ようしょ

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]