ハンティ人じん

ハンティ人じん
	トムスクのハンティ人じんの老人ろうじん（2006年ねん）
	(30,943)
居住きょじゅう地域ちいき
	ハンティ・マンシ自治じち管区かんく・ユグラ、; ヤマロ・ネネツ自治じち管区かんく（ロシア）
言語げんご
	ロシア語ご、ハンティ語ご
宗教しゅうきょう
	シャーマニズム、ロシア正教会せいきょうかい
関連かんれんする民族みんぞく
	マンシ人じん、マジャル人じん

ハンティ人じん（ハンティじん、Khante、Khanty、Xanty people）とは西にしシベリアにあるオビ川がわ流域りゅういきとイルティシ川がわ東岸とうがん側がわに住すむウラル系けい民族みんぞく。旧称きゅうしょうオスチャーク族ぞく。人口じんこうは30,943人にん^[2] 。大半たいはんがハンティ・マンシ自治じち管区かんくに在住ざいじゅうする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

形質けいしつ的てきにはモンゴロイドとコーカソイドとの混合こんごう型がたであるウラル人種じんしゅに属ぞくし、ハプログループNが高こう頻度ひんど～中ちゅう頻度ひんどで（ある調査ちょうさでは76.6％^[3]）見みられる。かつては西方せいほうに多おおく住すむマンシ人じんとともに「オビ・ウゴル」と総称そうしょうされ、ハンティ人じんは「オスチャク｣（Ostyak、大河たいがの民みんの意いのハンティ語ごに由来ゆらい）として知しられていた。自称じしょう・ハンティは「人ひと」の意い。

言語げんご[編集へんしゅう]

ハンティ語ごは、マンシ語ごとともにオビ・ウゴル諸語しょごに分類ぶんるいされ、ハンガリー語ごとも類縁るいえん関係かんけいにある。1989年ねんの旧きゅうソ連それん最後さいごの人口じんこう統計とうけいではハンティ語ごの話者わしゃは22,521人にん中ちゅう13,615人にんで母語ぼご保存ほぞん率りつは60.5％だった^[4]。

起源きげん・歴史れきし[編集へんしゅう]

ハンティとマンシは元来がんらい同おなじ民族みんぞくであったが、鉄器てっき時代じだい以降いこう紀元きげん1世紀せいき頃ころに分わかれたとされる。古ふるくは騎馬きば文化ぶんかを持もっていたようであるが、シベリアの環境かんきょうへの適応てきおうから、狩猟しゅりょう・漁猟ぎょりょう・トナカイ飼育しいくの生活せいかつを導入どうにゅうするようになった。10世紀せいき頃ころにはロシア人じんとの接触せっしょくをはじめ、11世紀せいきまでには定期ていき的てきな交易こうえきを行おこなっていた。

モンゴル帝国ていこくの拡大かくだいにともないマンシ人じんと共ともに服属ふくぞくし、西にしシベリア汗あせ国こくに含ふくまれた。その後ご、ロシア帝国ていこくのイェルマークによるシベリア征服せいふくで、西にしシベリア平原へいげんがロシア帝国ていこくによる支配しはいを受うけた。

ハンティ人じんは、ロシア人じんとの同化どうかが、マンシ人じんと比較ひかくすると遅おそく17世紀せいき以降いこうであったという。

居住きょじゅう地ち[編集へんしゅう]

52.8%がハンティ・マンシ自治じち管区かんくに住すむ。残のこりの多おおくはヤマロ・ネネツ自治じち管区かんくに居住きょじゅうする。フィン・ウゴル学者がくしゃの研究けんきゅうにより、「ハンティ民族みんぞく」としての民族みんぞく区分くぶんが設もうけられ、ソ連それんの政策せいさくによってハンティの名前なまえを冠かんする行政ぎょうせい区分くぶんが設置せっちされたことで、ハンティ人じんは民族みんぞくとして維持いじされることになった。ソ連それん時代じだいの行政ぎょうせい区分くぶんは、1930年ねんに設置せっちされた「オスチャク・ヴォグル民族みんぞく管区かんく」、1940年ねんに「ハンティ・マンシ民族みんぞく管区かんく」、1977年ねんに「ハンティ・マンシ自治じち管区かんく」と改称かいしょうをし、1993年ねんにはロシア共和きょうわ国こくのチュメニ州しゅうの所属しょぞくから離脱りだつし、ロシア連邦れんぽう直属ちょくぞくの自治じち管区かんくとなった。

生活せいかつ様式ようしき[編集へんしゅう]

生活せいかつ様式ようしきは狩猟しゅりょう・漁猟ぎょりょう・トナカイ飼育しいくが基本きほんで、農業のうぎょうは行おこなわなかった。シャーマニズムを信仰しんこうし、多おおくの神かみ々と精霊せいれいと交まじわり、生贄いけにえなど儀式ぎしきを行おこなう祭事さいじ場じょうにはトーテムの像ぞうや神像しんぞうを安置あんちし、シャーマンを通つうじて交信こうしんした。墓はかはネネツ人じんと同様どうようの形式けいしきである。基本きほん的てきに父系ふけい社会しゃかいで、同一どういつの系けい族ぞく（リニージ）内ないでの結婚けっこんはできなかった。また試ためし罪ざい法ほうで争あらそいを解決かいけつした。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

^ http://www.gks.ru/free_doc/new_site/perepis2010/croc/perepis_itogi1612.htm
^ http://www.gks.ru/free_doc/new_site/perepis2010/croc/perepis_itogi1612.htm
^ Tambets, Kristiina et al. 2004, The Western and Eastern Roots of the Saami—the Story of Genetic “Outliers” Told by Mitochondrial DNA and Y Chromosomes
^ 金子かねこ亨とおる『先住民せんじゅうみん族ぞく言語げんごのために』草くさ風ふう館かん、1999年ねん、78頁ぺーじ。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

『新版しんぱんロシアを知しる事典じてん』川端かわばた香かおり男里おのさと他た監修かんしゅう、平凡社へいぼんしゃ、2004年ねん1月がつ、608頁ぺーじ。ISBN 978-4-582-12635-8。
『世界せかいの民族みんぞく第だい14巻かんシベリア・モンゴル』平凡社へいぼんしゃ、1979年ねん1月がつ、50頁ぺーじ。ISBN 978-4-582-47614-9。