グルジア人じん

グルジア/ジョージア人じん
ქართველები
カルトヴェリ
総そう人口じんこう
	5,000,000 - 7,000,000
居住きょじゅう地域ちいき
ジョージア	3,956,000
トルコ	100,000-1,500,000
イラン	100,000
ロシア	160,803-900,000
言語げんご
	グルジア語ご
宗教しゅうきょう
	グルジア正教会せいきょうかい

グルジア人じん（グルジアじん）、あるいはジョージア人じん（ジョージアじん、英語えいご: Georgians）は、南みなみコーカサス地方ちほうの共和きょうわ制せい国家こっかであるジョージア（グルジア）の国民こくみんである。国外こくがいでは、同どう国内こくないで8割わり以上いじょうを占しめる多数たすう民族みんぞくである カルトヴェリ人じん（グルジア語ご: ქართველები, k'art'velebi）と同一どういつ視しされることも多おおい。また、同どう国内外こくないがいに居住きょじゅうする民族みんぞくの民族みんぞく名めいであり、カルトヴェリ諸語しょごに属ぞくするグルジア語ご（カルトゥリ）、メグレル語ご、スヴァン語ごを話はなす^[1]。その多数たすうがグルジア正教会せいきょうかいを信仰しんこうしているが、黒海こっかいに面めんしたジョージア国内こくないのアジャリアやアゼルバイジャン、トルコ、イランにはイスラームを奉ほうずるグルジア(ジョージア)系けい住民じゅうみんが居住きょじゅうしている^[1]。

概要がいよう

「ジョージアの国名こくめい」も参照さんしょう

ジョージア在住ざいじゅうのカルトヴェリ人じんの多おおくは20世紀せいき末すえまで続つづいたロシア帝国ていこくとソビエト連邦れんぽうによる被ひ支配しはいの関係かんけいからロシア語ご由来ゆらい（異説いせつあり）とされる「グルジア人じん」という呼称こしょうを忌避きひする傾向けいこうが強つよい^[2]。カルトヴェリ人じんはコーカサスで最もっとも古ふるい民族みんぞくであり、ジョージア(グルジア)を中心ちゅうしんにトルコ、ロシア、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、イランその他たの国くにに住すむ。南みなみコーカサス語族ごぞくに属ぞくする言語げんごを話はなす。人種じんしゅ系統けいとうは地中海ちちゅうかい人種じんしゅに属ぞくする。

こうした経緯けいいもあり「国家こっか国民こくみん」としての広義こうぎの「グルジア人じん」ないし「ジョージア人じん」は国内こくないに居住きょじゅうするカルトヴェリ人じん以外いがいの少数しょうすう民族みんぞくであるミングレル人じん、ラズ人じん、スヴァン人じん、また国内こくないで事実じじつ上じょうの独立どくりつ状態じょうたいとなっている南みなみオセチアのオセット人じんやアブハジアのアブハズ人じんなどを含ふくめた国籍こくせき保有ほゆう者しゃを表あらわす。これは国家こっかとしてのハンガリーの多数たすう民族みんぞくであるマジャル人じんと、それ以外いがいの民族みんぞくを含ふくめたハンガリー国籍こくせき保有ほゆう者しゃを表あらわす「ハンガリー人じん」の場合ばあいと同様どうようの関係かんけいである。

歴史れきし

最もっとも早はやくコーカサスに定住ていじゅうした人ひとたちを祖そとしながら、ジョージア（グルジア）の人々ひとびとは民族みんぞくの統合とうごうと、国家こっかの形成けいせいに複雑ふくざつなプロセスを経験けいけんしてきた。現在げんざい^[いつ?]、グルジア人じんは異ことなる風俗ふうぞく習慣しゅうかんや方言ほうげんをもつ多様たような準じゅん民族みんぞく（Sub-ethnic groups）集団しゅうだんからなっている。このような準じゅん民族みんぞくのなかには独自どくじの言語げんごを持もち、バイリンガルなミングレル人じん、ラズ人じん、スヴァン人じん、と純粋じゅんすいなグルジア人じんがいる。

純粋じゅんすいなグルジア人じんは5世紀せいき以来いらい書かかれてきた独自どくじのグルジア文字もじを持もち、グルジア語ごは公用こうよう語ごとされ、ジョージア国内こくないに住すむすべてのグルジア人じんがこの言葉ことばの教育きょういくを受うけている。

古代こだいのグルジア人じんは古代こだいギリシャ・ローマにコーカサス・イベリア人じん、あるいはコルキス人じんとして知しられてきた。イベリアというのはコーカサス地方ちほうを指さしたギリシャ・ローマ的てきな古称こしょうであり、現代げんだいのバスク人じんなどイベリア半島はんとうの先住民せんじゅうみん族ぞくとコーカサス・イベリア人じんが同おなじ起源きげんを持もつという説せつが根強ねづよくある。

グルジア人じんの大だい多数たすうはキリスト教徒きりすときょうとで、4世紀せいき以来いらい独立どくりつしたグルジア正教会せいきょうかいに忠実ちゅうじつである。4世紀せいきはじめにキリスト教化きょうかし、史上しじょう二に番目ばんめに古ふるいキリスト教きりすときょう国こくとして327年ねんに国教こっきょう化かした。トルコ、イラン、アゼルバイジャン、アジャリア自治じち共和きょうわ国こくにはイスラム教徒きょうとのグルジア人じんがおり、またカトリック教徒きょうとのグルジア人じんも存在そんざいする。

東西とうざいの十字路じゅうじろに位置いちするグルジアは、長ながい歴史れきしを通つうじて多おおくの文明ぶんめいに影響えいきょうされてきた。グルジア人じんは他た文化ぶんかの特徴とくちょうを吸収きゅうしゅうし、独自どくじの伝統でんとうと調和ちょうわさせ、中世ちゅうせいには高度こうどな文化ぶんかを形成けいせいした。古代こだいの部族ぶぞく連合れんごうに起源きげんを持もつグルジア人じんは11世紀せいきはじめには高度こうどに組織そしき化かされた封建ほうけん王国おうこくを樹立じゅりつし、13世紀せいきのモンゴル帝国ていこくによる侵略しんりゃくまでコーカサスに覇はをとなえた。

近隣きんりん諸国しょこくの脅威きょういと、国内こくないの絶たえ間まない不安定ふあんていを抱かかえながら、グルジア人じんは程度ていどの差さはあれ、独立どくりつを維持いじしてきたが、19世紀せいきはじめにロシア帝国ていこくに併合へいごうされた。その領土りょうどはソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく連邦れんぽうに引ひき継つがれたが、1991年ねんのソビエト連邦れんぽうの崩壊ほうかいに伴ともない再ふたたび独立どくりつした。

文化ぶんかと慣習かんしゅう

たぐいまれな歴史れきし的てき変動へんどうを経験けいけんしながら、グルジア人じんたちは尚武しょうぶの気風きふうを有ゆうし、独特どくとくの多た声こえ音楽おんがくポリフォニーはグルジア聖歌せいか以来いらいの長ながい歴史れきしを有ゆうして、最初さいしょのユネスコの無形むけい文化ぶんか遺産いさんのリストに掲載けいさいされている^[1]。また、古式こしき武術ぶじゅつ（チダオバ）や民族みんぞく舞踊ぶようなど独特どくとくの文化ぶんかを継承けいしょうし、ワインやヨーグルトなどの伝統でんとう的てきな食しょく文化ぶんかに支ささえられた世界せかい的てき長寿ちょうじゅ国こくとしても知しられている^[1]。

遺伝子いでんし

グルジア人じんのY染色せんしょく体たいは、ハプログループGが30.3％、ハプログループJ2が31.8％、ハプログループR1aが10.6％、ハプログループR1bが9.1％である^[3]。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c ^d 前田まえだ（2005）pp.178-179
^ “嫌いや露ろのグルジア　「ジョージア」と呼よんで”. MSN産経さんけいニュース. (2013年ねん12月12日にち) 2014年ねん11月5日にち閲覧えつらん。
^ “Y-chromosomal evidence of the cultural diffusion of agriculture in southeast Europe”. European Journal of Human Genetics 17 (6): 820–30. doi:10.1038/ejhg.2008.249. PMC 2947100. PMID 19107149 2021年ねん6月がつ13日にち閲覧えつらん。.

参考さんこう文献ぶんけん

前田まえだ弘毅こうき著ちょ「グルジア人じん」、小松こまつ久男ひさおら編へん『中央ちゅうおうユーラシアを知しる事典じてん』平凡社へいぼんしゃ、2005年ねん4月がつ。ISBN 4-582-12636-7。