亜寒帯あかんたい

		fa	fb	fc	fd	m	wa	wb	wc	wd	sa	sb	sc	sd
E	寒帯かんたい														ET		EF
D	亜寒帯あかんたい	Dfa	Dfb	Dfc	Dfd		Dwa	Dwb	Dwc	Dwd	Dsa	Dsb	Dsc	Dsd
C	温帯おんたい	Cfa	Cfb	Cfc			Cwa	Cwb	Cwc		Csa	Csb	Csc
B	乾燥かんそう帯たい														BSh	BSk	BWh	BWk
A	熱帯ねったい	Af				Am	Aw				As

亜寒帯あかんたい（あかんたい）、または冷ひや帯たい（れいたい）とは、ケッペンの気候きこう区分くぶんにおける気候きこう帯たいのひとつである。記号きごうはDで、低てい緯度いどから4番目ばんめに位置いちすることを示しめす。

フローンの気候きこう区分くぶんにおいては、亜寒帯あかんたい（記号きごう：6a）と冷ひや帯たい（記号きごう：6）は区別くべつされる。フローンの気候きこう区分くぶんの場合ばあい、亜寒帯あかんたい（6a）はケッペンの気候きこう区分くぶんの亜寒帯あかんたい・冷ひや帯たいと一致いっちし、冷ひや帯たい（6）はケッペンの気候きこう区分くぶんのツンドラ気候きこう（ET）に相当そうとうする。

定義ていぎ

• 最さい寒月かんげつ平均へいきん気温きおんが-3℃未満みまん（冬季とうきの積雪せきせつが根雪ねゆきになること）。
• 最さい暖だん月がつ平均へいきん気温きおんが10℃以上いじょう（樹木じゅもくが生育せいいくできること）。
• 年とし平均へいきん降水こうすい量りょうが乾燥かんそう限界げんかい以上いじょう。

気候きこう区く

ケッペン

「ケッペンの気候きこう区分くぶん」も参照さんしょう

オリジナルのケッペンの区分くぶんでは雨あめの多おおい季き節ぶしにより、3つの気候きこう区くに分わけた。これらを夏なつの気温きおんにより、それぞれ4つに分わけた。

• 亜寒帯あかんたい湿潤しつじゅん気候きこう（Dfa,Dfb,Dfc,Dfd）
• 亜寒帯あかんたい冬季とうき少雨しょうう気候きこう（Dwa,Dwb,Dwc,Dwd）
• 高地こうち地中海ちちゅうかい性せい気候きこう（Dsa,Dsb,Dsc,Dsd） - 亜寒帯あかんたいの一種いっしゅだが分布ぶんぷ地域ちいきはごく限かぎられている。

fは湿潤しつじゅん（feucht）、wは冬ふゆに乾燥かんそう（wintertrocken）、sは夏なつに乾燥かんそう（sommertrocken）のドイツ語ごでの頭文字かしらもじである。

トレワーサ

トレワーサは、ケッペンが下位かい区分くぶんに使つかった夏なつの気温きおんにより、2つの気候きこう区くに分わけた。

• 湿潤しつじゅん大陸たいりく性せい気候きこう（Dfa,Dwa,Dsa,Dfb,Dwb,Dsb）
• 亜寒帯あかんたい気候きこう（Dfc,Dwc,Dsc,Dfd,Dwd,Dsd） ⇒ 北半球きたはんきゅう一いちの寒さむ極ごくがある。

冬ふゆの期間きかんは長ながく寒さむいがやはり四季しきの変化へんかが見みられ植物しょくぶつの生育せいいく期間きかんも長ながいので農のう牧まき業ぎょうが可能かのうである混合こんごう林りん型がた（Da,Db）と、夏なつが短みじかく冬ふゆは前ぜん気候きこう（Da,Db）よりもさらに長ながく寒さむさもきびしい上うえ、土壌どじょうもやせており農業のうぎょう不ふ適地てきちの針葉樹しんようじゅ林りん型かた（Dc,Dd）という分わけ方かたである。

特徴とくちょう

樹林きばやし気候きこうの中なかでは、寒暖かんだんの差さが最もっとも大おおきい気候きこうである。シベリア東部とうぶ内陸ないりく部ぶなどでは夏なつは暑あつく冬ふゆになると氷雪ひょうせつ気候きこう並なみもしくはそれ以下いかの寒さむさになるところがあり、世界せかい的てきな年とし較差かくさをなしている。

樹木じゅもくの生育せいいく及および夏季かきの農業のうぎょうが可能かのうなため冬季とうきの寒さむさ対策たいさくにより人間にんげんは居住きょじゅう可能かのうである。

農業のうぎょう・林業りんぎょう・畜産ちくさん業ぎょうといった産業さんぎょうに加くわえて近代きんだい以降いこう北海道ほっかいどう、ヨーロッパ東部とうぶやアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくとカナダの国境こっきょう付近ふきんでは高度こうどな産業さんぎょう集積しゅうせきが行おこなわれ数々かずかずの都市としが活動かつどうしている。

分布ぶんぷ地域ちいき

• 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく北部ほくぶ・朝鮮半島ちょうせんはんとうの大だい部分ぶぶん・ロシアの大だい部分ぶぶん・ドイツ東部とうぶから東ひがしヨーロッパにかけて・アルプス山脈あるぷすさんみゃく周辺しゅうへん・コーカサス山脈さんみゃく周辺しゅうへん・アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく北部ほくぶからカナダにかけての地域ちいきなど、主おもにユーラシア大陸たいりくや北きたアメリカ大陸あめりかたいりくの、概おおむね緯度いど40°以上いじょう（大陸たいりく西岸せいがんでは50-60°以上いじょう）の高緯度こういど地域ちいきや高こう標高ひょうこう地域ちいきに比較的ひかくてき広ひろく分布ぶんぷする。アイスランド南部なんぶや日本にっぽん北部ほくぶは数少かずすくない亜寒帯あかんたいに属ぞくする島国しまぐにである（「島しま」であれば、カナダ最さい東部とうぶのケープ・ブレトン島とうやニューファンドランド島とうもこの気候きこう帯たいに属ぞくする）。南半球みなみはんきゅうではこの緯度いどに陸地りくちが少すくなく（このために吠ほえる40度ど、狂くるう50度ど、絶叫ぜっきょうする60度どと呼よばれる荒あれた海域かいいきが広ひろがる）、南みなみアメリカ最さい南部なんぶのフエゴ島とう等ひとしわずかな陸地りくちでは年とし較差かくさの小ちいさい海洋かいよう性せい気候きこうとなって、むしろ夏なつの気温きおんで、即すなわち最さい寒月かんげつ平均へいきん気温きおんが氷点下ひょうてんか3℃未満みまんとなることなく最さい暖だん月がつ平均へいきん気温きおんが10℃以上いじょうか未満みまんかで温帯おんたいか寒帯かんたいかに分わかれるため、陸上りくじょうに亜寒帯あかんたいがみられるのは北半球きたはんきゅうのみである。
• 日本にっぽんでは北海道ほっかいどうのほぼ全域ぜんいきと東北とうほくの内陸ないりく部ぶ、北関東きたかんとうから甲信越こうしんえつ・飛騨ひだ・北陸ほくりく地方ちほうにかけての高原こうげん地帯ちたいがDfa,Dfbに属ぞくする。

植生しょくせいと土壌どじょう

• トレワーサによる細分さいぶんにより、亜寒帯あかんたい地域ちいきの植生しょくせいと土壌どじょうを区分くぶんして説明せつめいすることができる。
• 湿潤しつじゅん大陸たいりく性せい気候きこう（Da、Db）に属ぞくする地域ちいき（おもに南部なんぶ）では、針葉樹しんようじゅ林りんと広葉樹こうようじゅ林りんの混合こんごう林りんが広ひろがり、肥沃ひよくな褐色かっしょく森林しんりん土どが分布ぶんぷしている。
• 亜寒帯あかんたい気候きこう（Dc、Dd）に属ぞくする地域ちいき（おもに北部ほくぶ）では、タイガと呼よばれる針葉樹しんようじゅの純じゅん林はやし（単たん一樹いちじゅ種しゅが大半たいはんを占しめる森林しんりん）が形成けいせいされ、寒冷かんれいな気候きこうのため有機物ゆうきぶつの分解ぶんかいが進すすまず、溶脱作用さようによって酸性さんせいのポドゾルと呼よばれるやせた灰白色かいはくしょくの土どが多おおくを占しめる。地下ちかには年間ねんかんを通つうじて凍結とうけつしたままの永久えいきゅう凍土とうどが広ひろがる。地球ちきゅう温暖おんだん化かの進行しんこうとともに永久えいきゅう凍土とうどが解とけて閉とじこめられていた有機物ゆうきぶつが分解ぶんかいし、強力きょうりょくな温室おんしつ効果こうか物質ぶっしつであるメタンとなって大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつされるという悪循環あくじゅんかんの形成けいせいが報告ほうこくされている。

主おもな農作物のうさくもつ

春はる小麦こむぎ・ライ麦らいむぎ・ジャガイモなど。

土地とちがやせて穀物こくもつ生産せいさんなど農作物のうさくもつ栽培さいばいに向むかない地域ちいきや月つき平均へいきん気温きおん10℃以上いじょうが3ヶ月かげつ以下いか（Dc,Dd気候きこう）の地域ちいきでは放牧ほうぼくや酪農らくのうが行おこなわれる。地域ちいきによっては、冷涼れいりょうな気候きこうに強つよいジャガイモ・ライ麦らいむぎ・蕎麦そばなどが栽培さいばいされているところがある。北海道ほっかいどうや中国ちゅうごく東北とうほく部ぶなど、比較的ひかくてき低てい緯度いどで夏季かきに高温こうおん湿潤しつじゅんとなる地域ちいきでは稲作いなさくも行おこなわれている。

酪農らくのうは主おもに大だい消費しょうひ地ちに近ちかい地域ちいき、放牧ほうぼくはそうでない地域ちいきで行おこなわれている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 矢澤やざわ大だい二に『気候きこう地域ちいき論考ろんこう―その思潮しちょうと展開てんかい―』古今ここん書院しょいん、1989年ねん11月がつ20日はつか、738pp. ISBN 4-7722-1113-6