あそがた巡視じゅんしせん

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あそがた巡視じゅんしせん
PL-42「でわ」
PL-42「でわ」
基本きほん情報じょうほう
かんしゅ 1,000トンがたPL
命名めいめい基準きじゅん 配備はいび付近ふきん山岳さんがく名前なまえ
就役しゅうえき期間きかん 2005ねん - 現在げんざい
まえきゅう おじかかた
つぎきゅう はてるまかた
要目ようもく
総トン数そうとんすう 770トン
全長ぜんちょう 79.0メートル (259.2 ft)
最大さいだいはば 10.0メートル (32.8 ft)
ふか 6.0メートル (19.7 ft)
おも 新潟にいがた16V20FX(2ばんせん以降いこう)ディーゼルエンジン×4
推進すいしん ウォータージェット推進すいしんうつわ×4じく
速力そくりょく 30ノット以上いじょう[1]
乗員じょういん 30にん
へいそう 70口径こうけい40mmたんそう機関きかんほう×1[1]
搭載とうさいてい 7メートルがた高速こうそく警備けいび救難きゅうなんてい
ふくごうがた警備けいびてい
FCS FCS射撃しゃげき指揮しき装置そうち (40mm機銃きじゅうよう)
レーダー たい水上すいじょう捜索そうさくよう航海こうかいよう
光学こうがく機器きき 赤外線せきがいせん捜索そうさく監視かんし装置そうち (FCS兼用けんよう)
遠隔えんかくかんあかし装置そうち
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PL41 あそ

あそがた巡視じゅんしせん(あそがたじゅんしせん、英語えいご: Aso-class patrol vessel)は、海上保安庁かいじょうほあんちょう巡視じゅんしせん船級せんきゅう分類ぶんるいじょうはPL(Patrol vessel Largeがた公称こうしょう船型せんけいは1,000トンがた[2]

予算よさん要求ようきゅうには高速こうそく高機能こうきのう大型おおがた巡視じゅんしせんともしょうされていた[1]建造けんぞう費用ひようは1せきあたりやく53おくえんである[3]

来歴らいれき[編集へんしゅう]

1999ねん能登半島のとはんとうおき不審ふしんせん事件じけん出動しゅつどうした高速こうそく巡視じゅんしていは、船型せんけい過小かしょうのために外洋がいよういき高速こうそく維持いじできず、高速こうそく逃走とうそうする不審ふしんせん追尾ついびしきれなかった。この反省はんせいから、海上保安庁かいじょうほあんちょうでは、まず外洋がいよういき高速こうそく維持いじできる小型こがた巡視じゅんしせんとしてどう年度ねんど平成へいせい11年度ねんど)のだい2補正ほせい計画けいかく高速こうそく特殊とくしゅ警備けいびせん3せき建造けんぞうした[2]

また平成へいせい14年度ねんど計画けいかくでは、あらため2-900トンがたPL「むろと」のだいふねとして1,000トンがたPLの建造けんぞうまれていたが、こちらについても、不審ふしんせん対処たいしょとともに、東シナ海ひがししなかいおよび九州きゅうしゅう北方ほっぽう海域かいいきで、外国がいこく漁船ぎょせんかん不法ふほう入国にゅうこく薬物やくぶつ密輸みつゆまりにあたることも視野しやれて、速力そくりょく操船そうせん性能せいのう向上こうじょう企図きとされることになった。これによって建造けんぞうされたのがほんがたのネームシップである[4][5]

その平成へいせい14年度ねんど予算よさん内示ないじけた翌日よくじつ九州きゅうしゅう南西なんせい海域かいいき工作こうさくせん事件じけん発生はっせいした。この事件じけんで、不審ふしんせん予想よそう以上いじょうじゅう武装ぶそうであることが判明はんめいしたことから、単独たんどく巡視じゅんしせんではなく、ユニット単位たんい対応たいおうする体制たいせい整備せいびされることになった。事件じけん教訓きょうくん反映はんえいして、ネームシップ設計せっけい艤装ぎそう改正かいせいされるとともに、ほんがたは、そのユニットの一員いちいんとして期待きたいされるようになった。当初とうしょ警備けいび救難きゅうなんでは、2,000トンがたPL 1せき指揮しきせんとして、ほんがた2せき高速こうそく特殊とくしゅ警備けいびせん3せきでユニット(機動きどう船隊せんたい)を構成こうせいし、これを5たい整備せいびすることを構想こうそうした。しかし予算よさん当局とうきょく査定さていけた結果けっか太平洋たいへいようがん配備はいび予定よていだった2たいけずられるとともに、かくユニットからも1,000トンがた1せき高速こうそく特殊とくしゅ警備けいびせん1せきけずられて、4せき×3たい整備せいびとなった。このため、ほんがたも、平成へいせい15年度ねんど計画けいかくで2せき追加ついか建造けんぞうされるにとどまった[6]

設計せっけい[編集へんしゅう]

上記じょうき経緯けいいより、ほんがたは、北朝鮮きたちょうせん工作こうさくせん対処たいしょできる速力そくりょく武装ぶそうゆうする高速こうそく高機能こうきのう大型おおがた巡視じゅんしせんとして開発かいはつされた[1]。このことから、従来じゅうらいの1,000トンがたPLがいずれも排水はいすいがたであったのにたいし、ほんがたでははん滑走かっそうがた高速こうそく船型せんけい採用さいようされた[7]。またふねから重量じゅうりょう軽減けいげんのため、250フィートきゅう大型おおがたせんであるにもかかわらず、船体せんたいそうアルミニウム合金ごうきんせいとされた。これは、そうアルミの船体せんたいとしては、当時とうじ世界せかい最大さいだいのものであった[6]。また推進すいしんウォータージェット推進すいしんとされている[2]

なお、2・3ばんせんでは、設計せっけいにあたり「高速こうそくせん安全あんぜんかんする国際こくさい規則きそく2000」(HSCコード)が適用てきようされた[8]。このため、船橋ふなばし構造こうぞう後部こうぶ吸気きゅうきしつなど、艤装ぎそう一部いちぶ変更へんこうされている[2]

装備そうび[編集へんしゅう]

おもへいそうとしては、当初とうしょ30mm口径こうけいブッシュマスターII[9]を、従来じゅうらいエリコン 90口径こうけい35mmたんそう機関きかんほう同様どうようたんそう砲塔ほうとうんで搭載とうさいする予定よていであった。これは、赤外線せきがいせん捜索そうさく監視かんし装置そうち連動れんどうすることで射撃しゃげき管制かんせい機能きのうFCS)をそなえ、精確せいかく射撃しゃげき可能かのうとすることとなっていた[4]

しかし九州きゅうしゅう南西なんせい海域かいいき工作こうさくせん事件じけんでは、巡視じゅんしせんたいしてRPG-7対戦たいせんしゃ擲弾発射はっしゃ発射はっしゃされ、さら自沈じちんした工作こうさくせんげたところ、82mm反動はんどうほう携帯けいたいしき防空ぼうくうミサイルシステムのように、従来じゅうらいかんがえられていたよりもちょう射程しゃてい強力きょうりょく兵器へいき搭載とうさいしていたことが判明はんめいした[9]。これらの兵器へいきアウトレンジして、遠距離えんきょりおおむね5,000m以上いじょう)から威嚇いかく射撃しゃげきおこなえるように、ちょう射程しゃてい武装ぶそう搭載とうさいすることがもとめられたことから、よりだい口径こうけいちょう射程しゃていボフォースMk.3 70口径こうけい40mmたんそう機関きかんほう変更へんこうされた[3]

センサとしては、FCSの一部いちぶとなる赤外線せきがいせん捜索そうさく監視かんし装置そうち[1]のほか、レーダー遠隔えんかくかんあかし装置そうちそなえている。また船橋ふなばし後部こうぶ舷側げんそくには夜間やかんでも使用しよう可能かのう停船ていせん命令めいれいとう表示ひょうじ装置そうち電光でんこう掲示板けいじばん)を装備そうびした。

運用うんよう[編集へんしゅう]

同型どうけいせん一覧いちらん[2][10]
計画けいかく年度ねんど # ふねめい ふねめい由来ゆらい 造船ぞうせんしょ 起工きこう 進水しんすい 竣工しゅんこう 所属しょぞく 備考びこう
平成へいせい14ねん PL-41 あそ 阿蘇山あそさん 三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう下関造船所しものせきぞうせんしょ 2003ねん
12月18にち
2004ねん
10月28にち
2005ねん
3月15にち
福岡ふくおか(だいなな管区かんく)
平成へいせい15ねん PL-42 でわ 出羽山地でわさんち ユニバーサル造船ぞうせん京浜けいひん事業じぎょうしょ 2004ねん
4がつ5にち
2005ねん
5月9にち
2006ねん
4がつ12にち
秋田あきた(だい管区かんく)
PL-43 はくさん 白山はくさん ユニバーサル造船ぞうせん京浜けいひん事業じぎょうしょ 2005ねん
10月5にち
2006ねん
4がつ12にち
金沢かなざわ(だいきゅう管区かんく)

巡視じゅんしせん配属はいぞく変更へんこうともなって名称めいしょう変更へんこうすることがあるため、上記じょうき名称めいしょう所属しょぞくさき現時点げんじてんでのものである。

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

時空じくう自衛隊じえいたい
だい1かんに「はくさん」が登場とうじょう竹島たけしま近海きんかい韓国かんこく測量そくりょうせんまっていた最中さいちゅう突如とつじょとして飛来ひらいしたF-15Kからそらたいかんミサイルによる攻撃こうげきけてしまう。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e 2005ねん海上かいじょう保安ほあんレポート 高速こうそく高機能こうきのう大型おおがた巡視じゅんしせん「あそ」就役しゅうえき
  2. ^ a b c d e 警備けいび救難きゅうなん業務ぎょうむ用船ようせん (海上保安庁かいじょうほあんちょうせんてい全容ぜんよう)」『世界せかい艦船かんせんだい800ごう海人あましゃ、2014ねん7がつ、53ぺーじNAID 40020105550 
  3. ^ a b 不審ふしんせんへの対応たいおうについて 平成へいせい14ねん10がつ 海上保安庁かいじょうほあんちょう
  4. ^ a b 警備けいび救難きゅうなん業務ぎょうむ用船ようせん (写真しゃしん特集とくしゅう海上保安庁かいじょうほあんちょう現有げんゆうせんてい全容ぜんよう)」『世界せかい艦船かんせんだい595ごう海人あましゃ、2002ねん5がつ、69ぺーじNAID 40002156309 
  5. ^ 海上保安庁かいじょうほあんちょう装備そうび技術ぎじゅつ/水路すいろ/灯台とうだい海上保安庁かいじょうほあんちょう新型しんがたせんてい航空機こうくうき (特集とくしゅう海上保安庁かいじょうほあんちょう)」『世界せかい艦船かんせんだい595ごう海人あましゃ、2002ねん5がつ、150-155ぺーじNAID 40002156317 
  6. ^ a b 坂本さかもとしげるひろし創設そうせつ50ねんから60ねん そして70ねんけて (創設そうせつ60周年しゅうねんむかえた海上保安庁かいじょうほあんちょう)」『世界せかい艦船かんせんだい692ごう海人あましゃ、2008ねん7がつ、132-137ぺーじNAID 40016073810 
  7. ^ 真山まやま良文よしふみ技術ぎじゅつめんから海上保安庁かいじょうほあんちょうせんてい変遷へんせん (創設そうせつ60周年しゅうねんむかえた海上保安庁かいじょうほあんちょう)」『世界せかい艦船かんせんだい692ごう海人あましゃ、2008ねん7がつ、138-143ぺーじNAID 40016073811 
  8. ^ 高速こうそく巡視じゅんしせん「でわ」「はくさん」そろって竣工しゅんこう!」『世界せかい艦船かんせんだい660ごう海人あましゃ、2006ねん7がつ、12ぺーじ 
  9. ^ a b 中名生なかのみょうただしおのれ巡視じゅんしせん 武装ぶそうあゆみ(した)」『世界せかい艦船かんせんだい825ごう海人あましゃ、2015ねん11月、168-173ぺーじNAID 40020597434 
  10. ^ Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 386. ISBN 978-1591149545 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]