アイルランド共和軍あいるらんどきょうわぐん

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戦前せんぜんのIRA戦闘せんとういん(1921ねんごろ

アイルランド共和軍あいるらんどきょうわぐん(アイルランドきょうわぐん、アイルランド: Óglaigh na hÉireann英語えいご: Irish Republican Army、略称りゃくしょう: IRA) とは、アイルランド独立どくりつ闘争とうそうたいえいテロ闘争とうそう)をおこなってきたアイルランド武装ぶそう組織そしきである。アイルランド共和きょうわ国軍こくぐん表記ひょうきされることもある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

IRAの目的もくてきは、アイルランド自由じゆうこく成立せいりつは、北部ほくぶ6けん南部なんぶ26けん共和きょうわこく)とを統一とういつすること、つまりきたアイルランドイギリスから分離ぶんりさせてぜんアイルランドを統一とういつすることにある。歴史れきしじょうさまざまな組織そしき集団しゅうだんがIRAを名乗なのっており、また戦前せんぜん戦後せんごでは組織そしき直接的ちょくせつてきつながりもうすい。戦後せんごとく1969ねん以降いこう文脈ぶんみゃくにおいては、たんにIRAといえばIRA暫定ざんていアイルランド共和軍あいるらんどきょうわぐん暫定ざんてい)をすことがほとんどである。

ルーツとなるはんえい武装ぶそう組織そしき結成けっせい19世紀せいき中頃なかごろからはじまり、20世紀せいき初頭しょとう設立せつりつされたアイルランド義勇軍ぎゆうぐん直系ちょっけい前身ぜんしん組織そしきとする。アイルランド義勇軍ぎゆうぐんは、北部ほくぶ6けんプロテスタントけい武装ぶそう組織そしきアルスター義勇軍ぎゆうぐん対抗たいこうして結成けっせいされたカトリックけい武装ぶそう組織そしきであり、1916ねんイースター蜂起ほうき主要しゅよう役割やくわりになった。その1919ねん正式せいしきアイルランド共和軍あいるらんどきょうわぐん改名かいめいされた。

アイルランド独立どくりつ戦争せんそう1921ねんえいあい条約じょうやく締結ていけつによりアイルランド自由じゆうこく成立せいりつしたが、このとき北部ほくぶ6けんきたアイルランドとして連合れんごう王国おうこく一部いちぶとどまった。独立どくりつ戦争せんそうたたかったIRAの一部いちぶアイルランド国防こくぼうぐんくわわったが、一部いちぶ条約じょうやく反対はんたいし、正規せいきぐんとしてアイルランド内戦ないせん国防こくぼうぐんたたかった。そのせんあいだからだい世界せかい大戦たいせんちゅう政権せいけんから弾圧だんあつけ、勢力せいりょく衰退すいたいした。

戦後せんご本格ほんかくてき活動かつどう再開さいかいするもきたアイルランド問題もんだい激化げきかしていた1969ねん内部ないぶ分裂ぶんれつをおこし暫定ざんていべつ組織そしきとして分派ぶんぱした。1986ねん暫定ざんていから「IRAつぎせん英語えいごばん(CIRA)」が分派ぶんぱし、さらに1998ねんベルファスト合意ごうい実現じつげんさせた暫定ざんてい和平わへい路線ろせんへの転換てんかん強硬きょうこう反対はんたいしたメンバーらがしんのIRAとして分派ぶんぱ、それぞれテロ活動かつどうおこなっている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

背景はいけい[編集へんしゅう]

IRAをふくめたはんえい武装ぶそう組織そしき設立せつりつ背景はいけいには、17世紀せいきにイギリス本土ほんどでの清教徒せいきょうと革命かくめい実権じっけんにぎったオリバー・クロムウェルおこなったアイルランド侵攻しんこうにおいて、プロテスタントによるカトリック弾圧だんあつからつづいてきた「アイルランドじんたいする抑圧よくあつ」がある。また、19世紀せいき中頃なかごろにアイルランドにおいてジャガイモ飢饉ききん発生はっせいし、イギリスの圧政あっせいからの独立どくりつ目指めざはんえいナショナリズムひろがっていたことも背景はいけいにある。アイルランドのナショナリズムにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく移住いじゅうしたアイリッシュけい人々ひとびとはたらきかけがおおきく作用さようし、また19世紀せいきなかばは世界せかいてきなナショナリズムが高揚こうようしていた時期じきであることも重要じゅうよう社会しゃかい背景はいけいとなる。

IRA創設そうせつまで[編集へんしゅう]

アイルランドにおけるイギリスの要地ようちであったアルスター地方ちほうでは、プロテスタントのしんえい連合れんごうとカトリックの民族みんぞくとの緊張きんちょうたかまり、双方そうほう衝突しょうとつ頻発ひんぱつしていた。1858ねんにアメリカのニューヨークでアイルランド移民いみん創設そうせつして活動かつどうしていた秘密ひみつ結社けっしゃであるアイルランド共和きょうわ同盟どうめい(IRB)が、ダブリン民族みんぞく組織そしき合併がっぺいしてアイルランドとうでの活動かつどうはじめる。また、1907ねんにアイルランド文化ぶんか復興ふっこう運動うんどうかかげて政治せいじ活動かつどうをしていたシン・フェインとう勢力せいりょく拡大かくだいする。プロテスタントのしんえい連合れんごう1913ねん結成けっせいした実力じつりょく部隊ぶたいであるアルスター義勇軍ぎゆうぐん(UVF)に対抗たいこうして、IRBとシン・フェインとう、および保守党ほしゅとう労働党ろうどうとうだい3の勢力せいりょくである自治じち主義しゅぎのアイルランド国民党こくみんとうは、アイルランド義勇軍ぎゆうぐん(IV)を設立せつりつした。さらに1914ねんだいいち世界せかい大戦たいせん勃発ぼっぱつすると、イギリス本国ほんごくがアイルランドの情勢じょうせい介入かいにゅうする余裕よゆううしない、これを独立どくりつ達成たっせい機会きかいかんがえたIRBは、統合とうごうアイルランド共和軍あいるらんどきょうわぐん(JIRA)を組織そしきし、イギリスのてきである中央ちゅうおう同盟どうめいこくドイツ帝国ていこくから武器ぶき弾薬だんやく調達ちょうたつすべく秘密ひみつ活動かつどう開始かいしした。

内戦ないせん自由じゆうこく成立せいりつ国土こくど分裂ぶんれつ[編集へんしゅう]

1916ねんにはダブリンイースター蜂起ほうきこすが、兵力へいりょく弾薬だんやく不足ふそく市民しみんがわ支援しえんられなかったことが原因げんいんで、わずか6日間にちかん鎮圧ちんあつされた。イギリス総督そうとくは、蜂起ほうき直後ちょくご蜂起ほうき首謀しゅぼうしゃであるJIRAの幹部かんぶ16めい即決そっけつ軍事ぐんじ裁判さいばん処刑しょけいし、このことが蜂起ほうきたいしアイルランドの市民しみん同情どうじょうてき態度たいどんだ(ただし首謀しゅぼうしゃたちは武装ぶそうしたまま逮捕たいほされ、当人とうにん容疑ようぎみとめていたこと、事実じじつ関係かんけい明白めいはくだったこと、敵国てきこくのドイツと連絡れんらくしていたこと、かれらの反乱はんらん多数たすうのダブリン市民しみんえにしたことをかんがえれば、一方いっぽうてき処刑しょけいだったとはれないめんがある)。蜂起ほうき消極しょうきょくてきだった穏健おんけんのシン・フェインとうは、蜂起ほうき市民しみん同情どうじょうたところで上手うままわって人気にんきあつめ、1918ねんそう選挙せんきょ議席ぎせきばして躍進やくしん1919ねん1がつにはドイル・エアラン(アイルランド国民こくみん議会ぎかい)の設立せつりつ着手ちゃくしゅし、マイケル・コリンズ軍事ぐんじ担当たんとう任命にんめいする。臨時りんじ政府せいふ国防こくぼう大臣だいじんカサール・ブルッハーはアイルランド義勇軍ぎゆうぐんを「アイルランド共和軍あいるらんどきょうわぐん」とあらためた。一説いっせつによると、軍事ぐんじ部門ぶもんたいするコリンズの影響えいきょうりょく増大ぞうだいにより、リーダーの私兵しへいすこと[注釈ちゅうしゃく 1]おそれたシン・フェインとう幹部かんぶらが、共和きょうわこく軍隊ぐんたいとしての自覚じかくうながすために改称かいしょうしたともいう。その、コリンズの指導しどうしたでのたいえい闘争とうそう結果けっか、1921ねん臨時りんじ政府せいふ首班しゅはんエイモン・デ・ヴァレラとイギリス首相しゅしょうデビッド・ロイド・ジョージとの首脳しゅのう会談かいだん実現じつげんし、和平わへい成立せいりつする(えいあい条約じょうやく)。

この和平わへい結果けっかイギリス連邦れんぽううち英国えいこくおう国家こっか元首げんしゅいただ自治領じちりょう「アイルランド自由じゆうこく」が成立せいりつするが、あくまで完全かんぜん独立どくりつした共和きょうわこく設立せつりつ目指めざすデ・ヴァレラらは条約じょうやく締結ていけつ反対はんたいし、アーサー・グリフィスやコリンズら条約じょうやく対立たいりつした。その結果けっかIRAは、自由じゆう国軍こくぐん英語えいごばん編入へんにゅうされるグループとデ・ヴァレラ分裂ぶんれつした[注釈ちゅうしゃく 2]。そして、条約じょうやく賛否さんぴ国民こくみん投票とうひょうでデ・ヴァレラらはん条約じょうやくやぶれると、IRAは武装ぶそう蜂起ほうきし、内戦ないせんがダブリンを中心ちゅうしんひろがり、コリンズも何者なにものかによって殺害さつがいされる[注釈ちゅうしゃく 3]。そして1921ねんに、内戦ないせん格好かっこう口実こうじつとしてアルスター議会ぎかい自由じゆうこくからの離脱りだつ宣言せんげん、アイルランドは南北なんぼくかれることとなった。

内戦ないせん政府せいふによる弾圧だんあつ[注釈ちゅうしゃく 4]のため、IRAは衰退すいたいした。だい世界せかい大戦たいせんにおいてアイルランドは公式こうしきには中立ちゅうりつ立場たちばったが、IRAはこの時期じきナチス援助えんじょもとめて代表だいひょうしゃがドイツに渡航とこうするなどしており、きたアイルランドにたいする攻撃こうげきについてたいどく協力きょうりょくしていたとの指摘してきもある。

ドイツとおな枢軸すうじくこくである日本にっぽんがシンガポールを陥落かんらくさせると(シンガポールのたたか)、IRA幹部かんぶのち上院じょういん議長ぎちょうとなったトム・マリンズらがダブリン駐在ちゅうざい日本にっぽん領事りょうじかこんで祝賀会しゅくがかいひらいた。このほかアイルランド政府せいふ大戦たいせんちゅう日本にっぽんざいおう外交がいこう拠点きょてんたいして送金そうきん便宜べんぎはかるなど支援しえんした[1]

IRA暫定ざんてい分裂ぶんれつきたアイルランド紛争ふんそう[編集へんしゅう]

戦後せんご公民こうみんけん運動うんどうたいするユニオニストによる攻撃こうげき警察けいさつによる取締とりしまりけ、これに対抗たいこうするかたち統一とういつアイルランドの実現じつげん目指めざすIRAはその活動かつどう再開さいかい[2]。1956ねんから1960年代ねんだい初頭しょとうにかけては「ボーダー・キャンペーン」とばれる一連いちれんのゲリラ攻撃こうげきおこなった。しかし、一般いっぱんからの支持しじられず、成果せいかなかった。これにより、組織そしき内部ないぶ方向ほうこうせいちがいが顕在けんざいし、1969ねんから1970ねんにかけて、完全かんぜん武装ぶそう闘争とうそう主義しゅぎくべきとする一派いっぱと、政治せいじてき統一とういつアイルランドを達成たっせいすべきとする一派いっぱとが分裂ぶんれつした。前者ぜんしゃが「IRA暫定ざんてい」となり、1970年代ねんだいから1990年代ねんだいにかけての一般いっぱんに「きたアイルランド紛争ふんそう」とばれる事態じたいにおいてさい重要じゅうようされる勢力せいりょくである。

IRA暫定ざんていは、1971ねん導入どうにゅうされた治安ちあん当局とうきょくによる一斉いっせい拘留こうりゅう(インターンメント)や1972ねん1がつ30にちロンドンデリー発生はっせいした「日曜日にちようび事件じけん」など、「イギリスによるアイルランドへの暴力ぼうりょくてき抑圧よくあつ」を背景はいけい人員じんいん規模きぼ拡大かくだいさせ、プロテスタントけい武装ぶそう組織そしききたアイルランドに駐留ちゅうりゅうする英軍えいぐんきたアイルランド警察けいさつ(ほとんどがプロテスタント教徒きょうとであった)にゲリラ攻撃こうげきくわえた。

1976ねん3がつ13にち、「英国えいこく市民しみんたいする攻撃こうげき強化きょうかする」と宣言せんげんした前後ぜんごから、ロンドン市内しない鉄道てつどう標的ひょうてきとしたばくだんテロをはじ[3]、イギリス本土ほんど(ブリテンとう)にも拡大かくだいさせた。1984ねん10がつの「ブライトンばくだんテロ事件じけん[注釈ちゅうしゃく 5]」など、王室おうしつ政府せいふねらったものから、一般いっぱん市民しみんねらった無差別むさべつなものまで数々かずかずのテロ事件じけんおこなった。ロンドンなどイングランドの大都市だいとし公共こうきょう交通こうつう機関きかん頻繁ひんぱん標的ひょうてきになり、また、ロンドンのシティやドックランズ地区ちくといった経済けいざいてき重要じゅうよう場所ばしょでもだい規模きぼばくだんテロがおこなわれた。マンチェスターバーミンガムといった地方ちほう都市としでもばくだんテロはきている(詳細しょうさい英語えいごばんウィキペディアの年表ねんぴょう参照さんしょう)。他方たほうでは、弾圧だんあつ政策せいさくおこなうイギリス政府せいふたいする反感はんかんもあって、過激かげきなテロ行為こういにもかかわらずきたアイルランドのカトリックけい住民じゅうみんからのIRA暫定ざんていたいする支持しじには根強ねづよいものがあった[2]

1916ねんのイースター蜂起ほうきでの独立どくりつ宣言せんげんにもられるように、歴史れきしてきにIRAはマルクス主義まるくすしゅぎてき側面そくめんゆうしてきたが(また前述ぜんじゅつとおりナチスとんだこともある)大戦たいせん東西とうざい冷戦れいせん構図こうずなか、IRA暫定ざんていソ連それんリビアからの軍事ぐんじてき支援しえんけて闘争とうそうつづけ、同様どうよう民族みんぞく闘争とうそうひろげていたスペインETAや、イタリアあか旅団りょだんなどの極左きょくさテロ組織そしきとの交流こうりゅうもあった。しかし、冷戦れいせん終結しゅうけつするとこういった構図こうずこわれ、アメリカでのアイルランドけい住民じゅうみんによる募金ぼきんなどの民間みんかん支援しえんといったかたちのぞいては、IRAを表向おもてむきに援助えんじょする勢力せいりょくはなくなった。さらアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんによってテロ組織そしきたいするけがきびしくなったことで、2000年代ねんだい以降いこうはそうした募金ぼきんもなくなっていったとわれる。

一方いっぽうで、マーガレット・サッチャー政権せいけん時代じだい強硬きょうこう対決たいけつ姿勢しせいられたが、一方いっぽうつね和平わへいへのみが模索もさくされており、1970年代ねんだいにはイギリス政府せいふとIRA幹部かんぶらとの秘密ひみつ交渉こうしょうおこなわれていた。1990年代ねんだい、サッチャー退陣たいじんジョン・メージャー政権せいけん和平わへいけたうごきが加速かそく。1993ねん12月にイギリス政府せいふとアイルランド政府せいふがシン・フェインとう地位ちいみとめ、和平わへい協議きょうぎへの参加さんかみとめる条件じょうけんとしてIRAに停戦ていせんもとめる宣言せんげん(ダウニングがい宣言せんげん)をだしたことから、1994ねん8がつにIRA暫定ざんてい停戦ていせん宣言せんげんした[2]1996ねんいちやぶられた(うごきが遅々ちちとしてすすまなかったことへの抗議こうぎだと解釈かいしゃくされる)ものの、アメリカのミッチェルもと上院じょういん議員ぎいん議長ぎちょうとする国際こくさい委員いいんかい提案ていあんしたがうかたちで、1997ねん7がつ20日はつかふたた停戦ていせん[2]同年どうねん労働党ろうどうとうトニー・ブレア首相しゅしょうとなったことで、和平わへいプロセスが加速かそく1998ねん4がつ10日とおかベルファスト合意ごうい成立せいりつし、このめにもとづいてアイルランドは国民こくみん投票とうひょう実施じっし賛成さんせい多数たすうきたアイルランドの領有りょうゆうけん主張しゅちょう放棄ほうきした[2]

現況げんきょう[編集へんしゅう]

国民こくみん投票とうひょう和平わへい合意ごういふくまれていたIRAの武装ぶそう解除かいじょ進展しんてんしないことから、2000ねん2がつにはイギリス政府せいふ自治じち政府せいふ機能きのう停止ていしして直轄ちょっかつ統治とうち復活ふっかつさせる強硬きょうこう処置しょち[2]。これをけて同年どうねん5がつにIRA暫定ざんてい段階だんかいてき武装ぶそう解除かいじょ表明ひょうめい独立どくりつ国際こくさい武装ぶそう解除かいじょ委員いいんかいれにもおうじた。2005ねん7がつ25にちにはどう委員いいんかいによって武装ぶそう解除かいじょ確認かくにんされ、7がつ28にち武装ぶそう闘争とうそう終結しゅうけつ宣言せんげん実質じっしつてき活動かつどう停止ていしした[2]

しかし、CIRA継続けいぞくIRA)やRIRAしんのIRA)は、合意ごういになおも反対はんたい散発さんぱつてき活動かつどうおこなっている[2]とく後者こうしゃは、設立せつりつ直後ちょくごからきたアイルランドにおいてくるまばくだんもちいた差別さべつテロをかえした。1998ねん発生はっせいしたオマーのショッピングがいこした差別さべつテロでは、29にん市民しみん死亡しぼう、200にん以上いじょう負傷ふしょうしている。これは過去かこ30年間ねんかんきたアイルランド紛争ふんそうにおける最大さいだいきゅうのテロ事件じけんのひとつだった(単一たんいつばくだん最大さいだい犠牲ぎせいしゃした)。RIRAはバルカン半島ばるかんはんとうからアムステルダム経由けいゆしてアイルランドおよびイギリスへの武器ぶき密輸みつゆ積極せっきょくてき従事じゅうじしている。密輸みつゆひんなかにはRPG-22のような対戦たいせんしゃ兵器へいきもあり、2000ねん9がつ20日はつかにはロンドン中心ちゅうしん秘密ひみつ情報じょうほう(MI6)本部ほんぶの8かい発射はっしゃされる事件じけんがおこった。

2007ねん5月のUVFの活動かつどう停止ていし宣言せんげんと、プロテスタントけいとカトリックけい権限けんげん分担ぶんたんするかたちでのきたアイルランド自治じち政府せいふ復活ふっかつ実現じつげんしたのちには、CIRAおよびRIRAなどの活動かつどう停止ていし宣言せんげんがあるとの観測かんそく一部いちぶメディアにながれたが、実際じっさいにそのような宣言せんげん予定よていはないと即座そくざ否定ひていされており、最終さいしゅうてきにどのような決着けっちゃくをみるかは不透明ふとうめいである。

なお、2003ねん11月のきたアイルランド自治じち議会ぎかい選挙せんきょでは、事前じぜん武装ぶそう解除かいじょ宣言せんげんおこなっていたことにより、IRA暫定ざんてい政治せいじ組織そしきであるシン・フェインとう躍進やくしんげ、社会民主労働党しゃかいみんしゅろうどうとう(SDLP)にわってカトリックけい(ナショナリストけい)でだいいちとうとなった。2007ねん1がつには旧来きゅうらい姿勢しせい転換てんかんして警察けいさつへの協力きょうりょくとう大会たいかい決議けつぎし、同年どうねん3がつ自治じち議会ぎかい選挙せんきょではシン・フェインとうはさらに議席ぎせきばした。同年どうねん5がつ復活ふっかつした自治じち政府せいふでは、カトリックけいだいいちとうとしてふく首相しゅしょうなど重要じゅうようなポストをになっている。

2017ねん11月時点じてんで、IRA暫定ざんてい武装ぶそう活動かつどう確認かくにんされていないが、ブレグジットによってアイルランドときたアイルランドあいだ国境こっきょう管理かんり再開さいかいされれば、RIRAやCIRAをはじめとする過激かげき武装ぶそう闘争とうそう再燃さいねんするのではないかという懸念けねんもなされている。

関連かんれん作品さくひん[編集へんしゅう]

このなかには便宜べんぎてきにIRAの名前なまえ使つかっただけでストーリーとは関係かんけいのない作品さくひんもある。とくにハリウッドでは 9.11以前いぜんはIRAをよく使用しようしていた。

アイルランド共和きょうわ国軍こくぐん名乗なの組織そしき[編集へんしゅう]

  • アイルランド国防こくぼうぐん(アイルランド共和きょうわこく暫定ざんてい政府せいふ正規せいきぐん)(1919ねん – 1922ねん
  • アイルランド共和きょうわ国軍こくぐん(1922ねん - 1969ねん
  • オフィシャルIRA(1969ねん - 現在げんざい
  • IRA暫定ざんてい (1969ねん - 現在げんざい
  • コンティニュイティIRA (1986ねん - 現在げんざい
  • しんのIRA (1997ねん - 現在げんざい

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 日本にっぽんびいきのアイリッシュ 大戦たいせん「シンガポール陥落かんらく」…首都しゅとでは日本にっぽん領事りょうじかこ祝賀しゅくがかい. 産経新聞さんけいしんぶん. (2017ねん2がつ5にち). https://www.sankei.com/article/20170205-HIXNQLPJ3RP5NAOOHSPOHT4EVY/ 
  2. ^ a b c d e f g h IRA(アイアールエー)とは”. コトバンク. 2020ねん4がつ11にち閲覧えつらん
  3. ^ 地下鉄ちかてつばくだんテロ ロンドン IRAか『朝日新聞あさひしんぶん』1976ねん昭和しょうわ51ねん)3がつ16にち夕刊ゆうかん、3はん、11めん

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ イースター蜂起ほうきすでにこの傾向けいこうがあった。
  2. ^ 1990年代ねんだいまで活動かつどうしていたIRAはこのデ・ヴァレラ系列けいれつである。
  3. ^ コリンズを暗殺あんさつしたのがだれだったのか、そもそも偶発ぐうはつてきな「戦死せんし」ではないかなど、そのをめぐる状況じょうきょうには諸説しょせつあるが、暗殺あんさつだったとして、はん条約じょうやくによるとするせつ、イギリスぐんによるとするせつなどがある。
  4. ^ デ・ヴァレラも首相しゅしょうになった途端とたん弾圧だんあつてんじた。
  5. ^ 保守党ほしゅとうとう大会たいかい会期かいきちゅうサッチャー首相しゅしょう標的ひょうてきとしてホテルにばくだん設置せっちしたもの。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Cronin, Sean, The Ideology of the IRA (Ann Arbor 1972)
  • Hart, Peter, IRA at War 1916–1923 (Oxford 2003)
  • Hart, P, The IRA and its Enemies: Violence and Community in Cork 1916–1923 (Oxford 1998)
  • Joy, Sinead, The IRA in Kerry 1916–1921 (Cork 2005)
  • Martin, F.X., (ed.) Irish Volunteers 1913–1915. Recollections and Documents (Dublin 1963)
  • O'Ruairc, Padraig Og, Blood on the Banner: The Republican Struggle in Clare 1913–1923 (Cork 2009)
  • Ryan, Meda, Tom Barry: IRA Freedom Fighter (Cork 2005)
  • Townshend, Charles, 'The Irish Republican Army and the Development of Guerrilla Warfare 1916–21', English Historical Review 94 (1971), pp. 318–345.
  • Nolan, Cillian, The IRA True History 1922-1969 (Kerry 1985)