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エデュテインメント

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

エデュテインメントえい: edutainment)は、娯楽ごらくでありながら、娯楽ごらく関係かんけいない分野ぶんや教育きょういくとして機能きのうするようなエンターテインメント形式けいしきである。テレビ番組ばんぐみテレビゲーム映画えいが音楽おんがくウェブサイトマルチメディアソフトウェアなどといった一般いっぱんてき娯楽ごらくなか教育きょういくてき要素ようそむことで、聴衆ちょうしゅう視聴しちょうしゃ教育きょういくする。たとえば、競合きょうごう状態じょうたい解決かいけつ子供こどもおしえるテレビゲームもエデュテインメントであり、ガイド解説かいせつきツアーで野生やせい動物どうぶつ生態せいたい生息せいそくまなぶのも一種いっしゅのエデュテインメントである。

子供こどもけの体験たいけんがた博物館はくぶつかん教育きょういくてき遊戯ゆうぎ施設しせつなどもエデュテインメントの一種いっしゅなすことができる。たとえば、PlayWiseKids(アメリカ)、Talents Center(サウジアラビア)、Strong National Museum of Play(アメリカ)、Please Touch Museum(アメリカ)などがある。これらの施設しせつ幼稚園ようちえん小学校しょうがっこう先生せんせい見学けんがくおおいことでもられている。

おおくの場合ばあい、エデュテインメントは特定とくてい対象たいしょう指導しどうし、その社会しゃかい文化ぶんかてきいを改善かいぜんする。イギリスでは一部いちぶ学校がっこうでエデュテインメントがれられている。成功せいこうしたエデュテインメントでは魅力みりょくてき面白おもしろく、いつのまにかまなぶことができ、たのしい。

基本きほんてきに、あそんでいる、たのしんでいると、いつのにか自然しぜん知識ちしきがつくというのがエデュテインメントの定義ていぎである。したがって、系統けいとう講義こうぎろくビデオなどは、たとえ内容ないよう囲碁いご講座こうざなど趣味しゅみ娯楽ごらくかんするものであっても、エデュテインメントにふくめない。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくイギリスでは、薬物やくぶつ乱用らんよう予防よぼう接種せっしゅじゅうだい出産しゅっさんHIV / AIDS悪性あくせい腫瘍しゅようといった医療いりょう問題もんだい社会しゃかい問題もんだい教育きょういくにエデュテインメントをもちいている。

語源ごげん

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「エデュテインメント (edutainment)」は1975ねん、Chris Daniels が Millennium Project(の Elysian World Project)のテーマを包括ほうかつてきしてつくったかばんである[よう出典しゅってん]。このプロジェクトはエンターテインメントによる教育きょういく理念りねんとしていた。その、この言葉ことばほかにも使つかわれるようになり、Bob Heyman がナショナルジオグラフィック協会きょうかいドキュメンタリー一般いっぱんひろめた[よう出典しゅってん]

べつ文献ぶんけんによれば、Peter Catalanotto が1990年代ねんだい後半こうはんつくった言葉ことばとされる。かれ様々さまざま学校がっこうめぐって、たのしみながらイラストとぶんくことをおしえていた。しかし、1990ねんブギーダウン・プロダクションズというヒップホップグループが "Edutainment" というアルバムをリリースしており、Catalanotto 以前いぜんからエデュテインメントという言葉ことば存在そんざいしていたことはあきらかである。

1983ねん、イギリスではホームコンピュータようのゲームのパッケージに "edutainment" という言葉ことば使つかっていた。1983ねんごろの "Your Computer" にも広告こうこくに "arcade edutainment" とかれているものが見受みうけられる。これらのソフトウェアパッケージは政府せいふ支援しえんしていた Telford ITEC が発売はつばいしたもので、ITEC に勤務きんむしていた Chris Harvey がこの言葉ことば使つかった。エレクトロニック・アーツが1984ねんにリリースしたゲーム Seven Cities of Gold でも広告こうこくに "edutainment" という言葉ことば使つかっていた。

社会しゃかい進化しんかのためのエデュテインメント

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エデュテインメントはコミュニケーション理論りろん教育きょういく理論りろん伝達でんたつ手段しゅだんわせ、社会しゃかい進化しんかてきメッセージをひろめるのに使つかわれる。ふるくからあるエデュテインメントとして寓話ぐうわがあるが、現代げんだいてきなエデュテインメントの第一人者だいいちにんしゃは Miguel Sabido であろう。1970年代ねんだい、Sabido は家族かぞく計画けいかく、リテラシーなどの教育きょういくてき要素ようそテレノベラ(ソープオペラあるいは連続れんぞくドラマ)をラテンアメリカ制作せいさくはじめた。かれアルバート・バンデューラらの理論りろんれ、番組ばんぐみ視聴しちょうしゃあたえるインパクトも考慮こうりょし、この分野ぶんや一種いっしゅ革命かくめいこした。この手法しゅほういまではひろ世界中せかいじゅう使つかわれ、とく健康けんこうかんする重要じゅうようなメッセージを大衆たいしゅうつた教育きょういくする役割やくわりたしている。この分野ぶんやでは、ジョンズ・ホプキンス大学だいがくのような主要しゅよう大学だいがくPCI-Media Impact のような政府せいふ組織そしきアメリカ疾病しっぺい予防よぼう管理かんりセンター (CDC) のような政府せいふ機関きかんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく活動かつどうしており、世界せかいてきにも影響えいきょうあたえている。

エデュテインメントてき要素ようそれて成功せいこうしたラジオ番組ばんぐみとして、つぎのようなものがある。

  • "The Lawsons/Blue Hills" - オーストラリアの農民のうみんあたらしい農法のうほう順応じゅんのうさせる支援しえん意図いとしたラジオ番組ばんぐみ
  • "Tinka Tinka Sukh" - インドでの環境かんきょう健康けんこう増進ぞうしん意図いとしたラジオ番組ばんぐみ
  • "Soul City"[1] - AIDS撲滅ぼくめつ意図いとしたみなみアフリカのラジオ番組ばんぐみ

テレビ番組ばんぐみにもエデュテインメントをれたものが多数たすう存在そんざいする。みなみカリフォルニア大学だいがく Annenberg Center for Communication、CDCアメリカ国立こくりつがん研究所けんきゅうじょ (NCI) は、健康けんこう医療いりょうかんする教育きょういくてき要素ようそのある番組ばんぐみ表彰ひょうしょうする Sentinel Award を毎年まいとし開催かいさいしている。2006ねんのノミネート作品さくひん受賞じゅしょう作品さくひんには以下いか作品さくひんがあった。

教育きょういく理論りろん

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エデュテインメントの制作せいさく基盤きばんには、コミュニケーション理論りろん教育きょういくがく存在そんざいする。さらにCDCではウェブサイトに制作せいさくしゃけのガイダンスとなる情報じょうほう公開こうかいしている[2]

エデュテインメントにかかわるコミュニケーション理論りろんとしてはつぎのような理論りろんがある。

  • 説得せっとくてきコミュニケーション理論りろん(Aristotle、Petty、Cacioppo) - 心理しんりがくてき特徴とくちょうは、メッセージたいするひと反応はんのう影響えいきょうおよぼす。また、情報じょうほうげん信頼しんらいせい魅力みりょく権威けんいなど人々ひとびと反応はんのう影響えいきょうするメッセージと情報じょうほうげん要因よういんしめす。
  • 合理ごうりてき行為こうい理論りろん(エイゼン、フィッシュバイン) - 社会しゃかいてき影響えいきょうは、信念しんねん一般いっぱんてき社会しゃかい規範きはんふくめたいに影響えいきょうする。
  • 社会しゃかいてき学習がくしゅう理論りろん(バンデューラ) - 人間にんげん他人たにん他人たにん行動こうどう結果けっか観察かんさつすることからまなぶ。
  • 普及ふきゅう理論りろん(ロジャース) - いは時間じかんともにコミュニティやグループに普及ふきゅうしていく。テレビはアイデアをえつけるが、社会しゃかいてきネットワークはそれを補強ほきょう成長せいちょうさせる。

エデュテインメントにかかわる教育きょういくがくとしてはつぎのような理論りろんがある。

  • 適合てきごうせい: あたえられる知識ちしき役立やくだつとき、学習がくしゅう効果こうかたかくなる。
  • 段階だんかいてき学習がくしゅう: そのひとのペースでまなぶのがもっと学習がくしゅう効果こうかたかい。
  • 分散ぶんさん学習がくしゅう: 様々さまざま人々ひとびと様々さまざま期間きかん様々さまざま方法ほうほう学習がくしゅうする。情報じょうほう様々さまざまかたち提供ていきょうすることで、より吸収きゅうしゅうしやすくなる。

映画えいがやテレビ番組ばんぐみにおけるエデュテインメント

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初期しょき教育きょういくてき要素ようそった映画えいがとしては、1943ねんPrivate Snafu などがある。

だい世界せかい大戦たいせん、エデュテインメントの主役しゅやくはテレビとなり、『セサミストリート』、『ドーラといっしょにだい冒険ぼうけん』、『テレタビーズ』といった子供こども番組ばんぐみ制作せいさくされた。

子供こども製作せいさくされたOVA娯楽ごらくせいをメインとしたテレビアニメとの差別さべつから主要しゅようジャンルひとつであり、業務ぎょうむようビデオグラム一種いっしゅである安全あんぜん教育きょういくアニメ1970年代ねんだい16じゅうろくミリフィルムからはじまり、時代じだいすすごとVHSレーザーディスクDVD-Videoといったメディアにも進出しんしゅつした。1988ねんころからひく予算よさん製作せいさくひく価格かかく販売はんばいとしたうえでVHSのみの流通りゅうつうおも家庭かていよう作品さくひんくわわり、それゆえうごきをすくなめとし、無名むめい声優せいゆう積極せっきょくてき使つか作風さくふうとなっている。

大人おとなけとしては、シチュエーション・コメディエピソードがエデュテインメントてき要素ようそつことがある。そのようなエピソードをアメリカコマーシャル用語ようごで very special episode とぶ。たとえば Happy Days というシチュエーション・コメディのあるエピソードは、アメリカでの図書館としょかんカードの需要じゅようを600%に増大ぞうだいさせるという効果こうか発揮はっきした。一方いっぽうイギリスのラジオドラマ The Archersすうじゅうねんわた体系たいけいてき農業のうぎょうについての教育きょういくはかってきた。タンザニアのラジオドラマ Twende na Wakati家族かぞく計画けいかく教育きょういく意図いとしている。

批判ひはん

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、エデュテインメントは科学かがくかんパラダイムとしても成長せいちょうつづけている。その場合ばあい教育きょういくてき内容ないよう犠牲ぎせいにして娯楽ごらくせい強調きょうちょうすることがおおい。問題もんだいはアメリカじん映画えいがやテーマパークのような刺激しげきてき娯楽ごらくれているため、科学かがくかん博物館はくぶつかん同様どうようなものを要求ようきゅうするてんである。そのため、博物館はくぶつかん教育きょういく歴史れきしてき保存ほぞんとおして公益こうえき提供ていきょうする研究けんきゅう機関きかんというよりも、エンターテインメント産業さんぎょうなかのビジネスの一種いっしゅしているとの批判ひはんがなされている[1]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Stoll, Clifford (1999ねん). High Tech Heretic. Doubleday. ISBN 0-385-48975-7