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オキシメタゾリン

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オキシメタゾリン
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
臨床りんしょうデータ
販売はんばいめい Afrin, Ocuclear, Drixine
Drugs.com monograph
胎児たいじ危険きけん分類ぶんるい
  • C
法的ほうてき規制きせい
依存いぞんせい Moderate
投与とうよ経路けいろ けいはな英語えいごばん
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
代謝たいしゃKidney (30%), Fecal (10%)
半減はんげん5-6 hours
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
1491-59-4 チェック
ATCコード R01AA05 (WHO)
R01AB07 (WHO) (combinations), S01GA04 (WHO)
PubChem CID: 4636
IUPHAR/BPS 124
DrugBank DB00935 チェック
ChemSpider 4475 チェック
UNII 8VLN5B44ZY チェック
KEGG D08322 en:Template:keggcite
ChEBI CHEBI:7862en:Template:ebicite
ChEMBL CHEMBL762en:Template:ebicite
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC16H24N2O
分子ぶんしりょう260.375 g·mol−1
物理ぶつりてきデータ
融点ゆうてん301.5 °C (574.7 °F)
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オキシメタゾリン(Oxymetazoline)は、選択せんたくてきαあるふぁ1作動さどうせい部分ぶぶんてきαあるふぁ2作動さどうせい局所きょくしょ充血じゅうけつ除去じょきょやく英語えいごばんである。1961ねん開発かいはつされた[1]てん鼻薬はなぐすりとして市販しはんされている。

日本にっぽんでは1967ねん医療いりょうよう医薬品いやくひんとして発売はつばいされ、2011ねん4がつよりスイッチOTCとしてみとめられた。

効能こうのう効果こうか[編集へんしゅう]

オキシメタゾリンは医療いりょうようとしては「上気じょうきどうしょ疾患しっかん充血じゅうけつ鬱血うっけつ」(耳鼻じびよう)、「おもてざいせい充血じゅうけつ原因げんいん療法りょうほう併用へいよう)」(眼科がんかよう)にたいして承認しょうにんされている[2]一般いっぱんよう医薬品いやくひん(OTC)としての効能こうのう効果こうかは「急性きゅうせい鼻炎びえんアレルギあれるぎせい鼻炎びえんまたはふく鼻腔びこうえんによるはなづまり」である[3]

血管けっかん収縮しゅうしゅく作用さようゆうすることから、鼻血はなぢ止血しけつたいする有効ゆうこうせい報告ほうこくされている[4][5]

薬物やくぶつ動態どうたい[編集へんしゅう]

イミダゾリンけい薬剤やくざいはアドレナリンαあるふぁ作動さどうやくであり、βべーた受容じゅようたいへの作用さようはほとんどない。オキシメタゾリンは経口けいこう投与とうよによりすみやかに吸収きゅうしゅうされる。経口けいこう投与とうよ場合ばあいは1かい投与とうよ最大さいだい7あいだ効果こうか持続じぞくする。ちゅう半減はんげんは5〜8あいだである。鼻腔びこうない投与とうよりょう場合ばあい腎臓じんぞうから72あいだで27〜38%、肝臓かんぞうから120あいだで9〜13%が排泄はいせつされる[6]:17

作用さようじょ[編集へんしゅう]

オキシメタゾリンは交感神経こうかんしんけいαあるふぁ1受容じゅようたい作動さどうせいαあるふぁ2部分ぶぶん作動さどうせい薬剤やくざいである[7]

血管けっかんにはαあるふぁ1受容じゅようたいおお発現はつげんしており、オキシメタゾリンは血管けっかん収縮しゅうしゅく作用さよう英語えいごばん発現はつげんする。くわえて、局所きょくしょ投与とうよ内皮ないひのシナプスαあるふぁ2受容じゅようたい作用さようして血管けっかん収縮しゅうしゅく作用さようしめす。これは、αあるふぁ2受容じゅようたい作動さどうやく全身ぜんしん投与とうよした場合ばあいにはシナプスまえαあるふぁ2受容じゅようたい作用さようして交感神経こうかんしんけい興奮こうふんをもたらし、血管けっかん拡張かくちょう作用さようしめこと対照たいしょうてきである[8]血管けっかん収縮しゅうしゅく作用さようもとづくはな改善かいぜんは、つぎの2つの理由りゆうによる。だいいちに、気道きどうない面積めんせき拡大かくだいする。だいに、こう毛細血管もうさいけっかんほそ静脈じょうみゃくからの滲出しんしゅつえき減少げんしょうさせる[9]。オキシメタゾリンは鼻腔びこう抵抗ていこう(Nasal Airway Resistance、NAR)を最大さいだい35.7%低減ていげんし、はな粘膜ねんまく流量りゅうりょう最大さいだい50%低減ていげんする[10]

副作用ふくさよう使用しようじょう注意ちゅうい[編集へんしゅう]

はんとべせい充血じゅうけつ[編集へんしゅう]

はんとべせい充血じゅうけつまたは薬物やくぶつせい鼻炎びえんこることがあるので、3にちえる連用れんようけるべきである[11]。それ以上いじょう連用れんようした場合ばあい依存いぞんせい形成けいせいされることがある。

塩化えんかベンザルコニウムの影響えいきょう[編集へんしゅう]

点眼てんがんやくてん鼻薬はなぐすりにしばしば防腐ぼうふざいとしてふくまれる塩化えんかベンザルコニウムはな粘膜ねんまく上皮じょうひ細胞さいぼう障害しょうがい薬物やくぶつせい鼻炎びえん原因げんいんになるとの研究けんきゅうがあるが、おおくの研究けんきゅうがベンザルコニウムが安全あんぜんであると結論けつろんしている[12]

にんへの投与とうよ[編集へんしゅう]

米国べいこく米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)はオキシメタゾリンの胎児たいじ危険きけん分類ぶんるいcategory Cとし、胎児たいじへの危険きけんみとめられないとした。たんかい投与とうよ母体ぼたい循環じゅんかんおよび胎児たいじ循環じゅんかんのいずれにも影響えいきょうあたえないことがしめされた[13]が、最終さいしゅうてき結論けつろんせるほどのデータがそろっていないとした。日本にっぽん添付てんぷ文書ぶんしょには、「妊婦にんぷまたは妊娠にんしんしている可能かのうせいのある婦人ふじんには治療ちりょうじょう有益ゆうえきせい危険きけんせい上回うわまわると判断はんだんされる場合ばあいにのみ使用しようすること。」と記載きさいされている[2]

りょう投与とうよ[編集へんしゅう]

偶発ぐうはつてきりょう投与とうよしてしまったとき吸収きゅうしゅうされるまえ薬物やくぶつ除去じょきょする手順てじゅんさだめておくべきである。オキシメタゾリンの解毒げどくざいはないが、薬理やくり学的がくてきにはフェントラミンひとし交感神経こうかんしんけいαあるふぁ受容じゅようたい遮断しゃだんやく有効ゆうこうである。高血圧こうけつあつクリーゼ英語えいごばんひとし重大じゅうだいりょう作用さよう発現はつげんしたときは、てんかんさま発作ほっさ痙攣けいれん不安ふあんしょう軽減けいげん血圧けつあつ低下ていかのためにベンゾジアゼピンけい薬物やくぶつ投与とうよ検討けんとうすべきである。小児しょうに場合ばあいクロニジン同様どうようαあるふぁ2受容じゅようたいおよびイミダゾリン受容じゅようたい英語えいごばんへの刺激しげき作用さようにより深刻しんこく中枢ちゅうすう神経しんけい抑制よくせいこす可能かのうせいがある[よう出典しゅってん]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ German Patent 1,117,588
  2. ^ a b ナシビンてんはな点眼てんがんえき0.05% 添付てんぷ文書ぶんしょ”. 2015ねん1がつ24にち閲覧えつらん
  3. ^ 持続じぞくせい血管けっかん収縮しゅうしゅく成分せいぶん「オキシメタゾリン塩酸えんさんしお配合はいごうスイッチOTCてん鼻薬はなぐすりナシビンMスプレーしん発売はつばい”. 佐藤製薬さとうせいやく (2011ねん3がつ). 2015ねん1がつ24にち閲覧えつらん
  4. ^ Katz, R.I. et al. (1990). “A comparison of cocaine, lidocaine with epinephrine, and oxymetazoline for prevention of epistaxis on nasotracheal intubation”. J Clin Anesth 2 (1): 16–20. doi:10.1016/0952-8180(90)90043-3. PMID 2310576. 
  5. ^ Krempl, G.A. and A.D. Noorily (1995). “Use of oxymetazoline in the management of epistaxis”. Ann Otol Rhinol Laryngol 104 (9 Pt 1): 704–6. PMID 7661519. 
  6. ^ ナシビンてんはな点眼てんがんえき0.05% インタビューフォーム” (2012ねん12がつ). 2015ねん1がつ23にち閲覧えつらん
  7. ^ Westfall Thomas C, Westfall David P, "Chapter 6. Neurotransmission: The Autonomic and Somatic Motor Nervous Systems" (Chapter). Brunton LL, Lazo JS, Parker KL: Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11e: http://www.accessmedicine.com/content.aspx?aID=954433.
  8. ^ Biaggioni Italo, Robertson David, "Chapter 9. Adrenoceptor Agonists & Sympathomimetic Drugs" (Chapter). Katzung BG: Basic & Clinical Pharmacology, 11e: http://www.accessmedicine.com/content.aspx?aID=4520412.
  9. ^ J. Widdicombe (1997). “Microvascular anatomy of the nose”. Allergy 52 (40 Suppl): 7–11. doi:10.1111/j.1398-9995.1997.tb04877.x. PMID 9353554. 
  10. ^ The Journal of Laryngology & Otology, Volume 100 , Issue 03, pp 285-288
  11. ^ JT Ramey, E Bailen, RF Lockey (2006). “Rhinitis medicamentosa”. J Investig Allergol Clin Immunol 16 (3): 148–155. PMID 16784007. 
  12. ^ Marple B, Roland P, Benninger M (2004). “Safety review of benzalkonium chloride used as a preservative in intranasal solutions: an overview of conflicting data and opinions”. Otolaryngol Head Neck Surg 130 (1): 131–141. doi:10.1016/j.otohns.2003.07.005. PMID 14726922. 
  13. ^ Rayburn WF, Anderson JC, Smith CV, Appel LL, Davis SA (1990). “Uterine and fetal Doppler flow changes from a single dose of a long-acting intranasal decongestant”. Obstet Gynecol 76 (2): 180–182. PMID 2196495.