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アドレナリン作動さどうやく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

アドレナリン作動さどうやく英語えいご: adrenergic drug)は、アドレナリン作動さどうせい神経しんけい刺激しげきしたとき同様どうよう作動さどうしめ薬物やくぶつおおくの場合ばあい交感神経こうかんしんけいけいシナプスに作動さどうするため、これらは交感神経こうかんしんけい作動さどうやくえい: sympathomimetic drug)ともばれる。

概要がいよう

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アドレナリン作動さどうやくとしては、生体せいたいカテコールアミンと、人工じんこうてき合成ごうせいされたものがあるが、これらは作動さどう発現はつげん方式ほうしきによってけられる。

作動さどう発現はつげん様式ようしきとしては、

  1. 直接ちょくせつ作動さどうがた
    アドレナリン受容じゅようたい直接ちょくせつ作動さどうするもの
  2. 間接かんせつ作動さどうがた
    アドレナリン作動さどうせい神経しんけいシナプスしょう作動さどうして神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつであるノルアドレナリン放出ほうしゅつさせ、交感神経こうかんしんけい作動さどう亢進こうしんさせるもの
  3. うえ2しゃ混合こんごうがた

の3種類しゅるいがある。

また、受容じゅようたいへの直接ちょくせつ作動さどうがたについては、さらに標的ひょうてきとなる受容じゅようたいおうじてこまかく分類ぶんるいされる。現在げんざい、アドレナリン受容じゅようたいとしては、αあるふぁ1・2、βべーた1〜3の5つのサブタイプ識別しきべつされているが、これらのかくサブタイプに特異とくいてき作動さどうするものと、選択せんたくてきすべてのサブタイプに作動さどうするものがある。

直接ちょくせつ作動さどうがた

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選択せんたくてき作動さどうやく:カテコールアミン

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カテコールアミンの構造こうぞうしき

カテコールアミン(あるいはカテコラミン)とは、受容じゅようたい直接ちょくせつ作動さどうする代表だいひょうてき物質ぶっしつである。これらは、選択せんたくてきなアドレナリン受容じゅようたい作動さどうやくとしてはたらく。生理せいりてき神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつとして使つかわれているものとしては、アドレナリンノルアドレナリンドーパミンがある。また、人工じんこうてきなものとしてはイソプロテレノールなどがある。

アドレナリンは、かく受容じゅようたいひとしく作動さどうし、強心きょうしん昇圧しょうあつ気管支きかんし拡張かくちょうひとみ血糖けっとう上昇じょうしょうかく作動さどう発揮はっきする。臨床りんしょうてきには、しん停止ていしときもちいたり、アナフィラキシーショック敗血症はいけつしょうたいする血管けっかん収縮しゅうしゅくやくや、気管支きかんし喘息ぜんそく発作ほっさどき気管支きかんし拡張かくちょう痙攣けいれん抑制よくせいやくとしてもちいられる。

ノルアドレナリンは、αあるふぁおよびβべーた1受容じゅようたいには作動さどうするが、βべーた2受容じゅようたいへの作動さどうよわい。したがって、昇圧しょうあつ作動さどうつよいことから、急性きゅうせいてい血圧けつあつやショック昇圧しょうあつざいとして、皮下ひか注射ちゅうしゃあるいは静脈じょうみゃくない持続じぞく投与とうよにより使用しようされる。

ドーパミンはノルアドレナリンの前駆ぜんくたいであり、αあるふぁβべーた受容じゅようたいのほか、ドーパミンに特異とくいてきなD1・D2受容じゅようたいたいしても作動さどうする。D1受容じゅようたい腎臓じんぞうなど内臓ないぞう血管けっかん平滑へいかつすじ分布ぶんぷしており、cAMP濃度のうど上昇じょうしょうさせてすじ弛緩しかんさせることから、内臓ないぞうりゅう増加ぞうかおよび利尿りにょう作動さどうつ。したがって、血圧けつあつ上昇じょうしょう作動さどうがある一方いっぽうで、とぼし尿にょうみゃくあつ脈拍みゃくはくすう変化へんかなどの悪影響あくえいきょう出現しゅつげんしにくいことからのカテコラミンよりもふく作動さどうよわく、とくにちゅう用量ようりょうドーパミンは昇圧しょうあつざいとして汎用はんようされる。

αあるふぁ作動さどうやく

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αあるふぁ1作動さどうやく
平滑へいかつすじ収縮しゅうしゅく作動さどうつよいことから、持続じぞくてき血管けっかん収縮しゅうしゅくによる昇圧しょうあつやく、あるいは局所きょくしょ投与とうよによる血管けっかん収縮しゅうしゅくやくとして使用しようされる。昇圧しょうあつやくとしてはフェニレフリン血管けっかん収縮しゅうしゅくやくとしてはナファゾリンなどが使用しようされる。
αあるふぁ2作動さどうやく
中枢ちゅうすうαあるふぁ2受容じゅようたい刺激しげきにより交感神経こうかんしんけいぶしぜん線維せんい興奮こうふん抑制よくせいし、またふし線維せんいシナプスぜんまくからのノルアドレナリンの分泌ぶんぴつ抑制よくせいすることにより血圧けつあつ低下ていかさせることから、中枢ちゅうすうせい降圧こうあつやくとして使用しようされる。クロニジンなどがある。

βべーた作動さどうやく

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βべーた1作動さどうやく
心臓しんぞうおも存在そんざいし、心筋しんきんβべーた1受容じゅようたい作用さようして収縮しゅうしゅくりょく増強ぞうきょうする。ドブタミンなどがある。
βべーた2作動さどうやく
βべーた2受容じゅようたい気管支きかんし血管けっかん子宮しきゅう膀胱ぼうこうかべにおいて、平滑へいかつすじ弛緩しかん作用さよう発揮はっきする。このことから、βべーた2作動さどうやくがいして、気管支きかんし拡張かくちょうやくとして気管支きかんし喘息ぜんそくおよび慢性まんせい閉塞へいそくせいはい疾患しっかん症状しょうじょう緩和かんわ使つかわれる。また、とくリトドリンについては、子宮しきゅう弛緩しかんやくとして、切迫せっぱく流産りゅうざん治療ちりょうもちいられる。

なお、アドレナリンのN-メチルもとをN-イソプロピルもと置換ちかんした人工じんこうカテコラミンであるイソプロテレノールβべーた作動さどうやくとしての性格せいかくつよく、βべーた1βべーた2ひとしく作動さどうし、またこう濃度のうどではβべーた3受容じゅようたい作動さどうする。

間接かんせつ作動さどうがた

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間接かんせつがたは、交感神経こうかんしんけい作用さよう増強ぞうきょうするものであり、アンフェタミンドロキシドパがある。

アンフェタミンは代表だいひょうてき覚醒剤かくせいざいひとつであり、ノルアドレナリンおよびドーパミンの放出ほうしゅつ促進そくしんおよびそのさい分解ぶんかい阻害そがいすることで、つよ交感神経こうかんしんけい興奮こうふん作用さよう中枢ちゅうすう興奮こうふん作用さようしめす。

ドロキシドパは、生体せいたいない代謝たいしゃによってノルアドレナリンに変換へんかんされることから、長時間ちょうじかんがた昇圧しょうあつざいとして使用しようされる。

混合こんごうがた

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直接ちょくせつ作動さどうがた間接かんせつ作動さどうがた両方りょうほうじょによって作用さようするもので、エフェドリンなどがある。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • こう久史ひさし麿まろ, 尾形おがた悦郎えつろう, 黒川くろかわきよし, 矢崎やさき義雄よしおしん臨床りんしょうない科学かがく だい8はん医学書院いがくしょいん、2002ねんISBN 978-4-260-10251-3 
  • こう久史ひさし麿まろ, 矢崎やさき義雄よしお, せきあらわ, 北原きたはら光夫みつお, 上野うえの文昭ふみあき, 越前えちぜんひろししゅん治療ちりょうやくマニュアル 2006』医学書院いがくしょいん、2006ねん5がつISBN 978-4-260-00139-7 
  • 田中たなか千賀子ちかこ, 加藤かとう隆一りゅういち『NEW薬理やくりがく 改訂かいていだい5はん南江堂なんこうどう、2008ねんISBN 978-4-524-24071-5 

関連かんれん項目こうもく

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