心臓しんぞう性せい喘息ぜんそく

心臓しんぞう性せい喘息ぜんそく（しんぞうせいぜんそく、英語えいご: cardiac asthma）は、心臓しんぞう病びょうによる急性きゅうせい心不全しんふぜんによって起おこる発作ほっさ性せいの呼吸こきゅう困難こんなん。単たんに心臓しんぞう喘息ぜんそくとも呼よばれる。

症状しょうじょう

発症はっしょうは夜間やかんに多おおく、誘引ゆういんとしては風邪かぜなどの感染かんせん症しょうやストレスが多おおい。心臓しんぞうのポンプ機能きのうの急速きゅうそくな低下ていかによって肺はいの鬱血うっけつが起おこり、激はげしい呼吸こきゅう困難こんなん・咳せき・血ち性せい痰たん・頻しき脈みゃくとそれによる動悸どうきなどの症状しょうじょうが現あらわれる。気管支きかんし喘息ぜんそくとの鑑別かんべつが重要じゅうよう。

病態びょうたい

左ひだり心室しんしつの機能きのうが急激きゅうげきに低下ていかすることにより、体からだ循環じゅんかん系けいへの心拍しんぱく出で量りょうが減少げんしょうすると同時どうじに肺はい循環じゅんかん系けいへの血液けつえきの過剰かじょうな配分はいぶんが起おこる。その結果けっか、肺はい血管けっかんの静水せいすい圧あつが上昇じょうしょうし、肺はい間あいだ質しつへの水分すいぶんの漏出ろうしゅつが起おこる。すなわち、呼吸こきゅう困難こんなんの原因げんいんは急性きゅうせいの肺はい水腫すいしゅが主おもである。

これにさらに、体からだ循環じゅんかんへの心拍しんぱく出で量りょう減少げんしょうに伴ともなう体からだ組織そしきの低てい酸素さんそが加くわわり、呼吸こきゅう困難こんなんを増悪ぞうあくさせる。

治療ちりょう

症状しょうじょうは呼吸こきゅう困難こんなんであるが、原因げんいんは心臓しんぞうにあるため、治療ちりょうは心臓しんぞうに対たいするものが主体しゅたいである。カテコールアミン投与とうよによって心拍しんぱく出で量りょうを増加ぞうかさせ、利尿りにょう剤ざい投与とうよによって心臓しんぞうへの容量ようりょう負荷ふかを減少げんしょうさせるとともに、肺はい間あいだ質しつの細胞さいぼう外がい液えきを減少げんしょうさせる。輸液量りょうは制限せいげんされなければならず、酸素さんそ投与とうよも行おこなわれる。