オレンジ計画
オレンジ
概要
[カラーコード
1898
わずか
1905
1919
第 1案 は、西太平洋 におけるフィリピン、グアムなど海外 領土 を要塞 化 し、陸軍 と海軍 の兵力 を前方 展開 する案 だった。
この案 は、要塞 化 に莫大 な費用 がかかること、兵力 の前方 展開 により日本 との関係 が悪化 するであろうことから、ワシントン海軍 軍縮 条約 締結 に向 かっていた日米 外交 の時流 に合 わなくなり、次第 に忘 れられていく。第 2案 は、緒戦 では日本 軍 の攻勢 に対 し西太平洋 のアメリカ領土 が持 ちこたえることを想定 していた。
カリフォルニア基地 での太平洋艦隊 の編成 (平時 の艦船 はその乗組 員 の半分 のみ保持 している)と、日本 軍 のパナマ運河 への攻撃 に対 して防衛 することが重視 され、その間 フィリピンや他 の領土 では物資 の供給 停止 を予期 した(これらの地域 では、アメリカ本土 からの応援 は期待 できないため独力 で持 ちこたえることとされた)。次 の段階 では、兵士 動員 とカリフォルニアでの艦隊 編成 を完了 させた海軍 が、グアムとフィリピンのアメリカ軍 を救援 するために、西太平洋 に出動 する。その後 、艦隊 は日本 海軍 との決戦 のために真 北 の日本 列島 近海 へ進 み、日本 艦隊 と決戦 を行 いこれを倒 す。最終 段階 では、制海権 を握 ったアメリカ艦隊 が日本 本土 を海上 封鎖 し、中国 からの物資 に頼 る日本 の産業 や軍事 力 を圧迫 して降伏 へ追 い込 む[5]。
この兵站 無視 、戦術 重視 の短期 決戦 案 は、オレンジ計画 が立案 された当時 、最 有力 案 であり「フィリピンを見殺 しにするな」というアメリカ軍 部内 の一部 から熱烈 に支持 され続 けた。アメリカ側 の想定 では、日本 海軍 はアメリカ艦隊 の太平洋 横断 を許 すものの、途中 で潜水 艦 、空母 機動 部隊 、駆逐 艦 や巡洋艦 などの補助 艦 による攻撃 でアメリカ艦隊 の戦力 を削 るという対抗 策 (日本 ではこれを『漸減 邀撃 』と呼 んだ)を作成 していると考 えられた。そのような消耗 を与 えた後 で日本 艦隊 は日本 近海 の「決戦 海域 」へ艦隊 を誘 い込 みアメリカとの戦 いを挑 むとした。これは、300年 以上 にわたりそうであったように、戦争 は敵対 する国家 が保有 する海上 艦隊 同士 の交戦 によって決 する[6][7]としたアルフレッド・セイヤー・マハンの理論 (あらゆる主要 海軍 が第 二 次 世界 大戦 の前 に支持 した学説 )に合 わせている。しかし日本 軍 の大幅 な軍備 拡張 につれ、アメリカ艦隊 が来援 するまでアメリカ領土 が持 ち堪 える公算 が少 なくなり、この案 への支持 も少 なくなっていった。第 3案 は、1909年 から大 規模 な海軍 基地 建設 が始 まったハワイを起点 に、一旦 は日本 軍 が侵略 するであろうミクロネシアの島嶼 を、艦隊 戦力 をもって飛 び石 伝 いに占領 しながら反攻 していき、グアムとフィリピンを奪回 するという兵站 重視 の長期 戦 案 であった。
そしてアメリカ海軍 がミクロネシアの地理 的 重要 性 に気付 き始 めたとき、第 一 次 世界 大戦 においてアメリカと同 じ連合 国 として参戦 した日本 は、赤道 以北 のドイツ領 ニューギニア各 諸島 を占領 した(その後 ヴェルサイユ条約 によって正式 にこの地域 は日本 に委任 統治 されることとなる)。日本 が急速 に発展 膨張 して旧 ドイツ領 ニューギニア地域 にまで進出 してきたことはアメリカにとって、もはや潜在 的 な警戒 すべき問題 ではなく「脅威 」となり始 めていた。
そこで、創設 以来 絶 えず海軍 や陸軍 へ解体 吸収 されそうになっていたアメリカ海兵 隊 が、アメリカ軍部 内 における組織 としての存在 価値 を自 ら新 たに明示 するため、1921年 アール・H・エリス海兵 隊 少佐 が日本 本土 侵攻 作戦 についての論文 「ミクロネシア前進 基地 作戦 行動 (Advanced Base Operations in Micronesia)」を7ヶ月 で書 き上 げる。この論文 は既 に海軍 内 で非公式 に立案 されていたオレンジ計画 を肉付 けし、海兵 隊 は中部 太平洋 での飛 び石 伝 いの島嶼 攻撃 に重要 な役割 、つまり敵前 強行 上陸 を果 たしていくこととなる。
日本 側 の想定
[ロンドン
誤算
[アメリカの
アメリカの
オレンジ計画 の登場 する作品
[小説
[青山 智樹 『米国 東海岸 強襲 第 五 航空 戦隊 奮戦 録 3』勁文社 〈ケイブンシャノベルス V‐50〉、1994年 3月 15日 、213頁 。ISBN 4-7669-1966-1。 -架空 戦記 。
映像 作品
[- NHK
特集 「ドキュメント昭和 ~世界 への登場 」(5)-オレンジ作戦 - ~軍縮 下 の日米 太平洋 戦略 ~, 1986年 (昭和 61年 )10月 6日 NHK総合
- M.Bennighof,『プラン・オレンジ--
日本 侵攻 計画 --』,"en:U.S. Navy Plan Orange",en:Avalanche Press),1998、国際 通信 社 、(Command Magazine別冊 第 11号 )
脚注
[- ^ Holwitt, Joel I. "Execute Against Japan", Ph.D. dissertation, Ohio State University, 2005, p.131.
- ^ Holwitt, p.131; Vlahos, Michael. The Blue Sword (Newport, RI: Naval War College Press, 1980), p.163.
- ^ a b Miller 1991
- ^ ミラー 1994
- ^
加藤 2002, pp. 216f - ^ Mahan 1949
- ^ マハン 2008
- ^ a b
加藤 2002, pp. 210–212, 224–227 - ^ Willmott 1983
- ^ Parillo 1993
参考 文献
[- Willmott, H.P. (1983-10), The Barrier and the Javelin: Japanese and Allied Pacific Strategies, February to June 1942, Annapolis, MD: United States: Naval Institute Press, ISBN 978-0-87021-092-1
- NHK“ドキュメント
昭和 ”取材 班 編 『オレンジ作戦 軍縮 下 の日米 太平洋 戦略 』角川書店 〈ドキュメント昭和 世界 への登場 5〉、1986年 10月 、225頁 。ISBN 4-04-521605-7。- NHK
取材 班 編 『日本 の選択 〈5〉対 日 仮想 戦略 「オレンジ作戦 」』角川書店 〈角川 文庫 〉、1995年 7月 。ISBN 4-04-195407-X。 -注記 :『ドキュメント昭和 5』の改訂 。
- NHK
鹿島 守之 助 著 、鹿島 平和 研究所 編 『日本 外交 史 〈13〉ワシントン会議 及 び移民 問題 』鹿島 研究所 出版 会 、1971年 。加藤 陽子 『戦争 の日本 近 現代 史 東大 式 レッスン!征 韓 論 から太平洋戦争 まで』講談社 〈講談社 現代新書 〉、2002年 3月 。ISBN 4-06-149599-2。- Stinnett, Robert (2001-05-08) [1999], Day Of Deceit: The Truth About FDR and Pearl Harbor, Truth about FDR and Pearl Harbor (paperback ed.), NY: Free Press, ISBN 978-0-7432-0129-2
- ロバート・スティネット『
真珠湾 の真実 ルーズベルト欺瞞 の日々 』妹尾 作 太 男 監訳 、荒井 稔 ・丸田 知美 共 訳 、文藝春秋 、2001年 6月 。ISBN 4-16-357530-8。 -原 タイトル:Day of deceit。
- ロバート・スティネット『
前野 徹 『新 歴史 の真実 混迷 する世界 の救世主 ニッポン』講談社 〈講談社 +α 文庫 〉、2005年 3月 、217頁 。ISBN 4-06-256921-3。- Parillo, Mark P. (1993-04), The Japanese Merchant Marine in World War II (1st ed.), Annapolis, MD: United States: Naval Institute Press, ISBN 978-1-55750-677-1
- Mahan, Alfred Thayer (1949) [1890], The Influence of Seapower on History, 1660–1783 (13th reprinted ed.), Boston: Little, Brown and Co.
- Miller, Edward S. (1991), War Plan Orange: The U.S. Strategy to Defeat Japan, 1897–1945, Annapolis, MD: United States: Naval Institute Press, ISBN 0-87021-759-3
- エドワード・ミラー『オレンジ
計画 アメリカの対 日 侵攻 50年 戦略 』沢田 博 訳 、新潮社 、1994年 6月 。ISBN 978-4-10-528401-5。 -原 タイトル:War plan orange。
- エドワード・ミラー『オレンジ
関連 項目
[海上 権力 史論 - カラーコード
戦争 計画 太平洋戦争 - ダウンフォール
作戦 - レッド
計画 -対 イギリス戦争 計画
外部 リンク
[- 「オレンジ
計画 」から真珠湾 まで : アメリカの東 アジア・太平洋 大戦 略 の発展 1939~1941年 マーク・A・ストーラー、戦争 史 研究 国際 フォーラム報告 書 第 7回 (防衛 省 , 2009-03-31)