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カゼトゲタナゴ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
カゼトゲタナゴ
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい環境省かんきょうしょうレッドリスト
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: コイ Cypriniformes
: コイ Cyprinidae
ぞく : バラタナゴぞく Rhodeus
たね : R. smithii
学名がくめい
Rhodeus smithii smithii
(Regan, 1908)
英名えいめい
Kyushu bitterling
Tiny bitterling

カゼトゲタナゴRhodeus smithii smithii) は、コイコイタナゴぞくする淡水魚たんすいぎょたね小名しょうみょうのsmithiiはリチャード・ゴードン・スミスにちなむけんじめいである[2]ニガブナをはじめ、ベンチョコ・シビンチャ・シュブタなどの地方ちほうめいがある[3]

分布ぶんぷ

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日本にっぽん固有こゆう亜種あしゅで、九州きゅうしゅう北部ほくぶから中部ちゅうぶ佐賀さがけん福岡ふくおかけん熊本くまもとけん)および壱岐島いきしま長崎ながさきけん)に分布ぶんぷする。分布ぶんぷ南限なんげん熊本くまもとけん八代やしろ球磨川くまがわで、しき産地さんちはら記載きさい標本ひょうほん産地さんち)は筑後川ちくごがわ

形態けいたい

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全長ぜんちょう4-5 cmとタナゴるいちゅうでもかなり小型こがたであるが、最小さいしょうのスイゲンゼニタナゴよりはややおおきい。体型たいけいがわひらたし、体高たいこうバラタナゴよりすこひくく、スイゲンゼニタナゴよりすこたかい。からだしょくぎん白色はくしょくで、体側たいそくに1ほん明瞭めいりょうくら青色あおいろたてじょうえらぶた後部こうぶ青色あおいろしょうはんがそれぞれはいる。たてじょうぜんはしほそとがっており、このてんでもスイゲンゼニタナゴとことなる[4]。メスおよび未成みせいぎょでは背鰭せびれ前部ぜんぶ黒色こくしょくまだらのこる。頭部とうぶちいさく、くちひげはない。側線そくせんはないかもしくは不完全ふかんぜん背鰭せびれだい1ひれじょうとげじょうで、ひれじょうすう背鰭せびれ9-11、しりひれ10-11。染色せんしょくたいすうは2n=46[5]

繁殖はんしょくのオスは体側たいそく前部ぜんぶおよび背部はいぶあわ青色あおいろ腹部ふくぶ淡紅あわべにしょく腹部ふくぶえんくろくなる婚姻こんいんしょくていする。たてじょうあかるいあおに、尾鰭おびれ基部きぶ口唇こうしんしゅあかに、しりひれくろえんられ内側うちがわしゅあかとなる。上部じょうぶには白色はくしょくついほしる。メスはあきらかな婚姻こんいんしょく発現はつげんせず、産卵さんらんかん伸長しんちょうさせる。

生態せいたい

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平野へいやあさ河川かせん細流さいりゅう用水路ようすいろといったゆるやかな水流すいりゅうがある淡水たんすいいき生息せいそくし、湧水わきみず付近ふきんなど水質すいしつ清浄せいじょう場所ばしょこのむ。しょくせい雑食ざっしょくせいだが、アカムシなど小型こがた水生すいせい昆虫こんちゅう甲殻こうかくるいといった動物どうぶつしょくかたよっている。

繁殖はんしょくは5-6がつで、イシガイマツカサガイ小型こがたドブガイなどの淡水たんすい二枚貝にまいがい産卵さんらんははかいとして繁殖はんしょく行動こうどうをとり、かいえらないたまごける。たまごは22 ℃前後ぜんこう水温すいおんでは受精じゅせい46あいだほどで孵化ふかする。前期ぜんきぎょ卵黄らんおう前部ぜんぶには、バラタナゴぞく特徴とくちょうである翼状よくじょう突起とっき発達はったつがみられる。孵化ふか24にちほどで8 mmあまりに成長せいちょうし、後期こうきぎょははかいからおよ自由じゆう生活せいかつはいる。発生はっせい過程かていはスイゲンゼニタナゴとほぼ同様どうようで、このことも両者りょうしゃきんえんせいしめしている[6]

1ねんで40 mmほどのおおきさとなり成熟せいじゅくする。自然しぜんかいにおける寿命じゅみょうは2ねん前後ぜんこうであるが、飼育しいくでは3ねん以上いじょうきる場合ばあいもある。温和おんわ性質せいしつであり、人工じんこう飼料しりょうにもよくれるため飼育しいく容易ようい複数ふくすうでの飼育しいくてき水槽すいそうない繁殖はんしょくさせることも可能かのうだが、二枚貝にまいがい管理かんりむずかしい[7]

保全ほぜん状態じょうたい評価ひょうか

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絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい (EN)環境省かんきょうしょうレッドリスト

NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))

河川かせん改修かいしゅう圃場ほじょう整備せいび事業じぎょうなどによる水路すいろ三面さんめんコンクリート護岸ごがんは、ほん亜種あしゅふくむタナゴるいおよびその産卵さんらんゆかとなる二枚貝にまいがいるい生息せいそく破壊はかい直結ちょっけつした。農薬のうやく使用しよう増加ぞうか水底みなそことみ栄養えいようにともなう水質すいしつ汚濁おだく肉食にくしょく外来がいらいぎょであるブラックバスブルーギル侵入しんにゅうほん亜種あしゅ生息せいそく圧迫あっぱくする要因よういんとなった。2007年版ねんばん環境省かんきょうしょうレッドリストでは、以前いぜん絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるいから絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるいにカテゴリの見直みなおしがなされた[8]都道府県とどうふけんばんRDBにおいては、大分おおいたけん福岡ふくおかけん長崎ながさきけんでそれぞれ絶滅ぜつめつ危惧きぐIるい佐賀さがけん絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい熊本くまもとけんじゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐとなっている[1]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b カゼトゲタナゴ”. 日本にっぽんのレッドデータ検索けんさくシステム. 2020ねん11月8にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2020ねん11月14にち閲覧えつらん
  2. ^ 北村きたむら内山うちやま(2020), p. 61.
  3. ^ 田口たぐち(1994)
  4. ^ スイゲンゼニタナゴとカゼトゲタナゴ”. 環境かんきょう農林のうりん水産すいさん総合そうごう研究所けんきゅうじょ. 2023ねん1がつ30にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  5. ^ 長田ながた(1995)
  6. ^ 鈴木すずき日比谷ひびや(1984)
  7. ^ 赤井あかいほか(2004).
  8. ^ 魚類ぎょるいのレッドリストの新旧しんきゅう対照たいしょうひょう” (PDF). 環境省かんきょうしょう. 2020ねん11月7にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2020ねん11月14にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 鈴木すずき伸洋のぶひろ日比谷ひびやきょう「カゼトゲタナゴとスイゲンゼニタナゴの初期しょき発育はついく過程かてい英文えいぶん)」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっし』Vol.31 No.3、日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい、1984ねん
  • 長田ながた芳和よしかず「カゼトゲタナゴ」『やまけいカラー名鑑めいかん 日本にっぽん淡水魚たんすいぎょかわ浩哉ひろや水野みずの信彦のぶひこへんやま渓谷社けいこくしゃ、1995ねん
  • 田口たぐちあきらちょ中村なかむらいずみ監修かんしゅうかわみずうみいけさかな成美せいびどう出版しゅっぱん、1994ねん
  • ちゅうぼうてっへん日本にっぽんさん魚類ぎょるい検索けんさく ぜんたね同定どうてい だいさんはん東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい東京とうきょう
  • 赤井あかいひろし秋山あきやま信彦のぶひこ鈴木すずき伸洋のぶひろ増田ますだおさむ『タナゴのすべて』エムピージェー、2004ねんISBN 978-4-909701-43-5 
  • 北村きたむら淳一じゅんいち内山うちやまりゅう『日本にっぽんのタナゴ』やま渓谷社けいこくしゃ、2020ねん、pp. 60-69ぺーじISBN 978-4-635-06289-3 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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