カラーコンタクトレンズ

カラーコンタクトレンズの一いち例れい

カラーコンタクトレンズ（英語えいご: Color contact lens）とは、角膜かくまく（黒目くろめ）に直接ちょくせつ接触せっしょくさせて使用しようするコンタクトレンズに茶ちゃや青あおなどの色彩しきさいやデザインを施ほどこした器具きぐである。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

カラーコンタクトレンズには、視力しりょく矯正きょうせい用ようカラーコンタクトレンズと視力しりょく矯正きょうせいを目的もくてきとしないカラーコンタクトレンズ（おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズ）がある。おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズしか存在そんざいせず、材料ざいりょうとしてHEMA（2-ヒドロキシエチルメタクリレート 2-Hydroxyethylmethacrylate）が使用しようされている。着色ちゃくしょく方法ほうほうは、環状かんじょう着色ちゃくしょくが行おこなわれており、着色ちゃくしょくを薄うすくHEMAに溶とかし込こんだもの、表面ひょうめん（眼球がんきゅう側がわに接せっする側がわ、まぶたに接せっする側がわのいずれか）に着色ちゃくしょく剤ざいを印刷いんさつしたもの、着色ちゃくしょく剤ざいをHEMA材料ざいりょうの間あいだにはさみサンドイッチ構造こうぞうにして包つつみ込こんでいるもの、などがある。

これまでおしゃれ用ようカラーコンタクトレンズは「雑貨ざっか」の扱あつかいであったが、目めの障害しょうがいが多発たはつしたために、おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズも視力しりょく補正ほせい用ようカラーコンタクトレンズと同おなじように、高度こうど管理かんり医療いりょう機器ききとして薬事やくじ法ほうの規制きせい対象たいしょうとなった（2009年ねん 11月4日にち施行しこう）。

使用しよう目的もくてき[編集へんしゅう]

カラーコンタクトレンズは特とくに10代～20代だいの若わかい女性じょせいに人気にんきである。その最大さいだいの魅力みりょくは、さまざまな色いろやデザインを楽たのしみながら自分じぶん好このみのお洒落しゃれな目元めもとを演出えんしゅつできることにあり、近年きんねんは色いろやデザインのバリエーションが充実じゅうじつしている。これまでコンタクトレンズは視力しりょく補正ほせい用ようがメインだったが、おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズの登場とうじょうで、視力しりょくが悪わるくない人ひともファッションの一部いちぶとして楽たのしむことができるようになった。

読者どくしゃに高たかい支持しじを得えているカリスマモデルや読者どくしゃモデルの多おおくがカラーコンタクトレンズを使用しようしており、モデルやタレントとタイアップしたカラーコンタクトレンズも多数たすう販売はんばいされている。

その他たの使用しよう例れいとして、テレビドラマや映画えいが・演劇えんげきなどで特殊とくしゅメイクなどとともに俳優はいゆうが使用しようする場合ばあいや、コスプレにおいてコスプレイヤーが使用しようする、などが挙あげられる。

メリット&デメリット[編集へんしゅう]

メリット: カラーコンタクトレンズの急速きゅうそくな普及ふきゅうと発展はってんにより、いろいろなバリエーション（色いろ・デザイン）を気軽きがるに楽たのしめるようになった。カラーやデザインによって目元めもとや顔かおの印象いんしょうは大おおきく変かわり、その変化へんかをTPOに合あわせて自由じゆうに楽たのしむことができる。
デメリット: 角膜かくまくに直接ちょくせつ触ふれる器具きぐなので十分じゅうぶんなケアが必要ひつようだが、レンズを簡単かんたんに入手にゅうしゅできるようになった反面はんめん、レンズを使用しようするために知識ちしきやケアを怠おこたりがちで、誤あやまった使用しよう方法ほうほうで目めのトラブルへと発展はってんする危険きけんがある。

調査ちょうさ[編集へんしゅう]

製品せいひん評価ひょうか技術ぎじゅつ基盤きばん機構きこうが眼科がんか医いへのき取きとり調査ちょうさによって平成へいせい20年ねん7月がつにまとめた「視力しりょく補正ほせいを目的もくてきとしないカラーコンタクトレンズに関かんする調査ちょうさ報告ほうこく書しょ」によれば、おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズの使用しようにより生しょうじた眼め障害しょうがい報告ほうこくは167件けんで、眼め障害しょうがいを引ひき起おこす原因げんいんの多おおくは、誤あやまったお手入ていれの仕方しかたや装用そうよう時間じかんなどの使つかい方かたに関かんする理解りかいが不十分ふじゅうぶんであることも明あきらかになった。

■報告ほうこくされた眼め障害しょうがい（167件けん）

「角膜かくまく炎ほのお」 46件けん（27%）…（症状しょうじょう）角膜かくまくの炎症えんしょう。目め痛つう、充血じゅうけつ、かすみ、異物いぶつ感かんなど
「角膜かくまくびらん」 45件けん（27%）…（症状しょうじょう）角膜かくまくの剥へがれ。目め痛つう、充血じゅうけつ、かすみ、異物いぶつ感かんなど。
「角膜かくまく潰瘍かいよう」 24件けん（14%）…（症状しょうじょう）角膜かくまくに発生はっせいする潰瘍かいよう。目め痛つう、充血じゅうけつ、流ながれ涙なみだなど。
「角膜かくまく浸潤しんじゅん」 21件けん（13%）…（症状しょうじょう）角膜かくまくの炎症えんしょう。目め痛つう、充血じゅうけつ、異物いぶつ感かんなど。
「結膜炎けつまくえん」 17件けん（10%）…（症状しょうじょう）結膜けつまくの炎症えんしょう。かゆみ、目脂めやに、充血じゅうけつなど。
「角膜かくまく浮腫ふしゅ」 08件けん（5%） …（症状しょうじょう）角膜かくまくのむくみ。かすみ、視力しりょく低下ていかなど。
「角膜かくまく上皮じょうひ剥離はくり」05件けん（3%） …（症状しょうじょう）角膜かくまくの剥へがれ。目め痛つう、充血じゅうけつ、流ながれ涙なみだなど。
「その他た」 01件けん（1%）

これら障害しょうがいの原因げんいんについて、

「不明ふめい」51件けん（30%）が最もっとも多おおいが、原因げんいんと考かんがえられる要因よういんが報告ほうこくされた障害しょうがいのうち、
「手入ていれ不足ふそく」 42件けん（25%）
「長時間ちょうじかん装用そうよう」 16件けん（10%）
「使用しよう方法ほうほうを理解りかいしていない」 16件けん（10%）
「装用そうようしたまま就寝しゅうしん」 6件けん（3%）
「無理むりな装用そうよう」 6件けん（3%）

これらのように、その多おおくは使用しよう方法ほうほうの問題もんだいにより生しょうじたものであった。

その一方いっぽうで、

「品質ひんしつが悪わるい」 21件けん（13%）
「着色ちゃくしょく剤ざいの剥はげ落おち・漏出ろうしゅつ」 7件けん（4%）

といった、いわゆる品質ひんしつの問題もんだいと考かんがえられる原因げんいんもあった。

おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズが眼め障害しょうがいを生しょうじた要因よういんとして、使用しよう者しゃが視力しりょく補正ほせい用ようコンタクトレンズの使用しよう経験けいけんが少すくなく、また、おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズの購入こうにゅう時じにコンタクトレンズが有ゆうする危険きけん性せい（ハザード）の説明せつめいが行おこなわれていない実態じったいが明あきらかとなっている。そのため仕様しよう前まえには専門医せんもんいの指示しじをあおいだり、使用しよう上じょうの注意ちゅういをよく読よんで、適切てきせつなケアをすることが重要じゅうようになる。

雑貨ざっかから医療いりょう機器ききへ[編集へんしゅう]

おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズは、これまでつけまつげやかつらなどと同おなじ雑貨ざっか品しな扱あつかいとされ、品質ひんしつについて国くにの基準きじゅんが設もうけられていなかったため、安価あんかな商品しょうひんが量販りょうはん店てんやECサイトで販売はんばいされ、失明しつめいにも繋つながる重大じゅうだいな目めの障害しょうがいが発生はっせいしていた。こうした状況じょうきょうを受うけ、経済けいざい産業さんぎょう省しょうと厚生こうせい労働省ろうどうしょうは、おしゃれ用ようカラーコンタクトレンズも一般いっぱんのコンタクトレンズと同おなじように、2009年ねんに薬事やくじ法ほうで品質ひんしつや販売はんばい方法ほうほうを規制きせいされた。

規制きせい後ごは、一般いっぱんのコンタクトレンズと同おなじように、材質ざいしつやレンズ面めんのカーブの度合どあいなどについて、厚生こうせい労働省ろうどうしょうが定さだめる安全あんぜん基準きじゅんを満みたすことが求もとめられている。また2011年ねん 2月がつ4日にち以降いこうは、厚生こうせい労働省ろうどうしょうが承認しょうにんした品目ひんもくのみが流通りゅうつうしている。

2009年ねん11月4日にち以降いこう
- カラーコンタクトレンズは、薬事やくじ法ほう上うえの高度こうど管理かんり医療いりょう機器きき販売はんばい業ぎょう許可きょか業者ぎょうしゃにおいてのみ販売はんばい。
2010年ねん2月がつ4日にち以降いこう
- 許可きょかを取得しゅとくしている販売はんばい店てんであっても、その製品せいひんについては一定いっていの安全あんぜん性せいを確保かくほした経過けいか措置そち期間きかん届とどけ出品しゅっぴん、薬事やくじ法ほう第だい42条じょうに基もとづくコンタクトレンズ基準きじゅんに適合てきごうしたもののみが流通りゅうつう。
2011年ねん2月がつ4日にち以降いこう
- 厚生こうせい労働省ろうどうしょうから製造せいぞう販売はんばい承認しょうにんを受うけたもののみが流通りゅうつう。