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ギャグ漫画まんが

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ギャグ漫画まんが(ギャグまんが)は、読者どくしゃわらわせるギャグ描写びょうしゃ中心ちゅうしんとしてえがかれる日本にっぽん漫画まんがのこと。コメディ漫画まんが同一どういつされてもいるが、現代げんだい日本にっぽんにおいてコメディはほとんどが健全けんぜんわらいのイメージで使つかわれ、またギャグはかならずしも笑顔えがおしんなかだけでも)に誘導ゆうどうすることは目的もくてきとしていない。

歴史れきし[編集へんしゅう]

ポンチ絵ぽんちえ」とばれてきた明治めいじから、漫画まんがというかたり定着ていちゃくするようになった大正たいしょうなかばから昭和しょうわはいって以降いこうなが漫画まんがとは政治せいじ世相せそう風刺ふうししてわらえるものという位置付いちづけであった。大人おとな漫画まんがにおいても子供こども漫画まんがにおいても、ギャグのある漫画まんがことわるまでもなく、漫画まんがにとってわらいは不可分ふかぶん要素ようそであり、わらいのない漫画まんが存在そんざいしなかったのである。

ところが、子供こども漫画まんがにおいて、1960年代ねんだい後半こうはんごろよりわらいの要素ようそをなくした劇画げきが登場とうじょうどう時期じき赤塚あかつか不二夫ふじおの『おそまつくん』『天才てんさいバカボンとう少年しょうねんではわらいにとくした漫画まんが人気にんきぶようになった。こうして、1960年代ねんだい後半こうはんから1970年代ねんだいはじめにかけて、漫画まんがわらいの要素ようそのない劇画げきがとギャグせんもんのギャグ漫画まんが分化ぶんか。ギャグ漫画まんがというジャンルが成立せいりつした。

それまでの漫画まんが主流しゅりゅうであり、依然いぜんとしてわらいと不可分ふかぶんユーモアナンセンス要素ようそつよった大人おとな漫画まんがは、青少年せいしょうねんけのストーリー漫画まんがとギャグ漫画まんがわれるかたちで、1970ねん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう大人おとな漫画まんが漫画まんが読本とくほん』が休刊きゅうかんするなどジャンル自体じたい衰退すいたいしていった。

不条理ふじょうりギャグ[編集へんしゅう]

1980年代ねんだい一世いっせい風靡ふうびした吉田よしだ戦車せんしゃを「不条理ふじょうり[1]漫画まんが」のとすることがおお[2]。しかし、大塚おおつか英志えいじはこれにこととなえており、漫画まんがまとには吾妻あづまひでお1978ねんから1979ねんにかけて発表はっぴょうした『不条理ふじょうり日記にっき』(だい10かい星雲せいうんしょう受賞じゅしょう作品さくひん)が不条理ふじょうりギャグのルーツとみなすべきだと主張しゅちょうしている[2]

ただし「不条理ふじょうり漫画まんがてき作品さくひん吾妻あづま以前いぜんにも、つげ義春よしはるねじしき』や蛭子えびす能収よしかずあいあらし』、赤瀬あかせ川原平かわらたいさくらほう』などガロけい作家さっかによる前衛ぜんえいてき漫画まんが作品さくひんや、『天才てんさいバカボン』などの赤塚あかつか不二夫ふじお長谷ながたに邦夫くにお古谷ふるやさんさとしとりいかずよしフジオ・プロのギャグ漫画まんが、ないし谷岡たにおかヤスジ山上やまかみたつひこ鴨川かもがわつばめジョージ秋山あきやまあき竜山たつやまみなもと太郎たろうらによるナンセンスギャグ作品さくひんなどがあり、手塚てづか治虫おさむはそれらをまとめて「不条理ふじょうりギャグ」としてげている[3]

またかならずしもギャグを意識いしきしていない怪奇かいき漫画まんが少女しょうじょ漫画まんがでも、内容ないよう奇抜きばつさや不条理ふじょうり展開てんかいから、後年こうねんになって不条理ふじょうりギャグの文脈ぶんみゃくさい評価ひょうかされることもある。米沢よねざわ嘉博よしひろたけぐま健太郎けんたろう監修かんしゅうつとめた太田出版おおたしゅっぱん復刻ふっこく漫画まんがレーベル「QJマンガ選書せんしょ」からはとくみなみはれ一郎いちろうの『怪談かいだん人間にんげん時計とけい』(あけぼの出版しゅっぱん)をはじめ特殊とくしゅ作風さくふう貸本かしほん漫画まんが多数たすう復刻ふっこくされた。また押切おしきりれんかい貸本かしほんホラー漫画まんがの「ギャグにしかえないホラー」という「ひばりけいホラー」のテイストをあえて意識いしきした、ホラーとギャグを融合ゆうごうさせた作風さくふう創作そうさくおこなっていた。

マイナー[編集へんしゅう]

かつて「不条理ふじょうり漫画まんがてき作品さくひんは、1960年代ねんだい創刊そうかんされたあお林堂はやしどう発行はっこうオルタナティヴ・コミック月刊げっかん漫画まんがガロ』(1964ねん2002ねん)をはじめ、1970年代ねんだいすえから1980年代ねんだい初頭しょとうニューウェーブ相次あいついで創刊そうかんされた漫画まんがマニア、または蛭子えびす能収よしかず根本ねもとたかし山野やまのはじめねこぢるおっと)、平口ひらぐち広美ひろみ丸尾まるお末広すえひろ花輪はなわ和一かずいち渡辺わたなべ和博かずひろ山田やまだ花子はなこ杉作すぎさくJ太郎たろうひさうちみちおら「ガロけい」の作家さっか執筆しっぴつしていた自販機じはんきほんエロ劇画げきが、あるいはマニアけいSMなど、発表はっぴょうきわめてアンダーグラウンドなマイナーエロほん限定げんていされていた。

あお林堂はやしどう創業そうぎょうしゃで『ガロ初代しょだい編集へんしゅうちょう長井ながい勝一かついちも「かつてはガロけいめつけて出版しゅっぱんしゃではほんしてくれないこともあった」と当時とうじ回顧かいこしており、「不条理ふじょうり漫画まんがはメジャーで通用つうようしない」という共通きょうつう認識にんしき当時とうじ業界ぎょうかいにあったという[4]

メジャー[編集へんしゅう]

1980年代ねんだいなかばから、いがらしみきおぼのぼの』、相原あいはらコージコージえん』、『かってにシロクマ』が人気にんきはくすようになる。相原あいはらコージが連載れんさいしていた『ビッグコミックスピリッツ』(小学館しょうがくかん)では、相原あいはらしょうもうけられ、ほりのぶゆき榎本えのもと俊二しゅんじといった後進こうしんのギャグ漫画まんが輩出はいしゅつ貢献こうけんした[5]

1989ねん吉田よしだ戦車せんしゃつてそまるんです。』の連載れんさい開始かいしされ、不条理ふじょうりギャグ漫画まんがというジャンルを象徴しょうちょうする作品さくひんとなる。『つてそまるんです。』の単行本たんこうぼんのデザインは祖父江そふえまこと担当たんとうし、意図いとてき誤植ごしょくおこない、乱丁らんちょうほんおもわせる装丁そうてい仕立したてて、単行本たんこうぼんつくりそのものから不条理ふじょうりさをにじさせた[5]

つてそまるんです。』以降いこうかく青年せいねんには各誌かくし代表だいひょうする不条理ふじょうり漫画まんが活躍かつやくもあり、不条理ふじょうりギャグ漫画まんがのブームは定着ていちゃくしていくことになる[5]。こうして不条理ふじょうり漫画まんがおもなフィールドをマイナーからメジャーへとうつしていった[4]

ライターの青木あおきポンチは高野たかのきよしーナパパはニューギニア』をこの時期じきの「ブームの極致きょくちたっしたといえる作品さくひん」とひょうしている[5]

不条理ふじょうり」というめんれば、不条理ふじょうりギャグ漫画まんが代表だいひょうさくげられる『つてそまるんです。』よりも、榎本えのもと俊二しゅんじGOLDEN LUCKY』のほうがより不条理ふじょうりであり、熱狂ねっきょうてきなファンもんだとする見方みかたもあるが、ぎゃく面白おもしろさがまった理解りかいできない読者どくしゃもいたようで、榎本えのもと作風さくふう賛否さんぴ両論りょうろんこした[6]

インターネット[編集へんしゅう]

2000年代ねんだいはいると、インターネット普及ふきゅうによってサイト・漫画まんが投稿とうこうサイト・ネタ投稿とうこうサイト・投稿とうこうサイト・動画どうが投稿とうこうサイトなどでのアマチュアによるギャグ漫画まんが作品さくひん発表はっぴょうえている。プロの作品さくひんくらべ、2ch原作げんさくパロディ不条理ふじょうりヘタウマ混沌こんとんとしたものなどインディーズてき要素ようそつよい。小林こばやしどうちゅうニャロメロン高津たかつカリノちょぼらうにょぽみなどのインターネットじょうでギャグ漫画まんが公開こうかいし、人気にんきはくしていたアマチュア漫画まんが漫画まんが雑誌ざっし連載れんさいするようになるケースがえてきている。また、出版しゅっぱんしゃ運営うんえいするサイトでのギャグ漫画まんが連載れんさいはじめている。たとえばガンガンONLINE連載れんさいちゅうの『男子だんし高校生こうこうせい日常にちじょう』(山内やまうちやすしのべ)や月刊げっかん少年しょうねんシリウスのWebばん連載れんさいちゅうの『魔女まじょむすめつくねちゃんWEB』(まがりひろあき)などがこれである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ シュール (曖昧あいまい回避かいひ)
  2. ^ a b よるさかな太田おおたCOMICS芸術げいじゅつ漫画まんが叢書そうしょ』の大塚おおつか英志えいじによる解説かいせつ吾妻あづまひでおをふたたび「流通りゅうつう」させる理由りゆう
  3. ^ 『マンガのえがかた』(光文社こうぶんしゃカッパ・ホームス 1977年刊ねんかん
  4. ^ a b さいわい (1990ねん9がつ17にち). “拡大かくだいつづくマンガかい 最近さいきん人気にんきがあるのは… おなじみ「ちびまるちゃん」ほか”. 読売新聞よみうりしんぶん東京とうきょう朝刊ちょうかん: p. 9 
  5. ^ a b c d 青木あおきポンチ (2016ねん6がつ15にち). “「ギャグ漫画まんが」が主役しゅやくっていた90年代ねんだい どんな作品さくひんがあった?”. チョベリグニュース. 2018ねん6がつ7にち閲覧えつらん
  6. ^ みなみ信長のぶなが現代げんだいマンガの冒険ぼうけんしゃたち: 大友おおとも克洋かつひろからオノ・ナツメまで』NTT出版しゅっぱん、2008ねん、217ぺーじISBN 9784757141773 

参考さんこう資料しりょう[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]