グラミン銀行ぎんこう

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Grameen Bank
グラミン銀行ぎんこう
業種ぎょうしゅ 金融きんゆう業ぎょう
設立せつりつ 1983年ねん10月がつ (1983-10)
創業そうぎょう者しゃ ムハマド・ユヌス
本社ほんしゃ バングラデシュの旗 バングラデシュ ダッカ
拠点きょてん数すう
 2,568支店してん (2017年ねん7月がつ)[1]
事業じぎょう地域ちいき
 バングラデシュの旗 バングラデシュ
製品せいひん マイクロファイナンス
売上うりあげ高だか (US$160 million)(2010)[2]
営業えいぎょう利益りえき
 (US$110 million)(2010)[2]
利益りえき
 (US$9.7 million)(2010)[2]
総そう資産しさん (US$1.6 billion) (2010)[3]
従業じゅうぎょう員数いんずう
 20,138人にん（2017年ねん7月がつ）[1]
ウェブサイト www.grameenbank.org.bd
ノーベル賞しょう受賞じゅしょう者しゃノーベル賞
受賞じゅしょう年ねん：2006年ねん
受賞じゅしょう部門ぶもん：ノーベル平和へいわ賞しょう
受賞じゅしょう理由りゆう：貧困ひんこん層そうの経済けいざい的てき・社会しゃかい的てき基盤きばんの構築こうちくに対たいする貢献こうけん
グラミン銀行ぎんこう本部ほんぶ

グラミン銀行ぎんこう（ベンガル語ご: গ্রামীণ ব্যাংক、英語えいご: Grameen Bank）は、バングラデシュにある銀行ぎんこう、マイクロファイナンス機関きかんである。

「グラミン」という言葉ことばは「村むら（グラム）」という単語たんごに由来ゆらいする。本部ほんぶはバングラデシュの首都しゅとダッカ。ムハマド・ユヌスが1983年ねんに創設そうせつした。マイクロクレジットと呼よばれる貧困ひんこん層そうを対象たいしょうにした比較的ひかくてき低てい金利きんりの無む担保たんぽ融資ゆうしを主おもに農村のうそん部ぶで行おこなっている。銀行ぎんこうを主体しゅたいとして、インフラ・通信つうしん・エネルギーなど、多た分野ぶんやで「グラミン・ファミリー」と呼よばれるソーシャル・ビジネスを展開てんかいしている。2006年ねん、同どう銀行ぎんこうはムハマド・ユヌスと共ともにノーベル平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうした。

歴史れきし[編集へんしゅう]

グラミン銀行ぎんこうの起源きげんはチッタゴン大学だいがく教授きょうじゅであったムハマド・ユヌスが銀行ぎんこうサービスの提供ていきょうを農村のうそんの貧困ひんこん者しゃに拡大かくだいし、融資ゆうしシステムを構築こうちくするための可能かのう性せいについて調査ちょうさプロジェクトを立たち上あげたことにさかのぼることができる。銀行ぎんこうの創設そうせつ者しゃであるムハマド・ユヌスは、アメリカのヴァンダービルト大学だいがくで経済けいざい博士はかせ号ごうを取得しゅとくした。1974年ねん、バングラデシュで飢饉ききんがあった際さい、ユヌスは42の家族かぞくに総額そうがく27ドルという小額しょうがくの融資ゆうしをした。それは高金利こうきんりのローンによる圧迫あっぱくで、売うり物もののための小額しょうがくの支出ししゅつにも金貸かねかしに頼たよらざるを得えないという負担ふたんを無なくすためである[4]。ユヌスは、そのような（金利きんりは一般いっぱん銀行ぎんこうの数すう分ぶんの1の年率ねんりつ20％と低ひくく、複利ふくりではなく単利たんりである。利子りしの総額そうがくは元本がんぽんを上回うわまわることがない。）小額しょうがく融資ゆうしを多おおくの人ひとが利用りようできるようにすることで、バングラデシュの農村のうそんにはびこる貧困ひんこんに対たいして良よい影響えいきょうを及およぼせると考かんがえた。

グラミン銀行ぎんこう総裁そうさい、ムハマド・ユヌス

ユヌスとチッタゴンにあるバングラデシュ大学だいがくの地方ちほう経済けいざいプロジェクト、貧困ひんこん者しゃ向むけの金融きんゆうサービス拡大かくだい理論りろんの実証じっしょう調査ちょうさとして銀行ぎんこうは始はじめられた。1976年ねんに、ジョブラ村むらを代表だいひょうとする大学だいがく周辺しゅうへんの村むらが、グラミン銀行ぎんこうからサービスを受うける最初さいしょの地域ちいきとなった。銀行ぎんこうは成功せいこうし、プロジェクトはバングラデシュ中央ちゅうおう銀行ぎんこうの支援しえんもあって首都しゅとダッカの北方ほっぽうにあるタンガイル県けんでも1979年ねんに始はじめられた[5]。銀行ぎんこうの成功せいこうは続つづき、バングラデシュの各地かくちに広ひろがるのにそれほど時間じかんを必要ひつようとしなかった。1983年ねん10月がつ2日にちのバングラデシュの政令せいれいによって、プロジェクトは独立どくりつ銀行ぎんこうになった。1998年ねんのバングラデシュ洪水こうずいで同行どうこうの返済へんさい率りつは打撃だげきを被こうむったが、システムの改良かいりょうによってその後ご数すう年ねんのうちに回復かいふくした。銀行ぎんこうは今日きょう全域ぜんいきに拡大かくだいし続つづけ、農村のうそんの貧困ひんこん者しゃに小規模しょうきぼローンを提供ていきょうしている。その成功せいこうを受うけ、40カ国かこく以上いじょうで類似るいじのプロジェクトがなされるようになり、世界銀行せかいぎんこうがグラミンタイプの金融きんゆう計画けいかくを主導しゅどうするようになった。

銀行ぎんこうは複数ふくすうのドナーから資金しきん提供ていきょうを受うけていたが、主要しゅような提供ていきょう者しゃは時間じかんとともに変化へんかした。初期しょきには、非常ひじょうに低ひくい利率りりつでドナー機関きかんから資本しほんの大半たいはんを提供ていきょうされていた。1990年代ねんだい半なかばには、バングラデシュ中央ちゅうおう銀行ぎんこうから資本しほんの大だい部分ぶぶんを得えるようになった。最近さいきんは、資金しきん調達ちょうたつのために債券さいけんを発行はっこうしている。債券さいけんはバングラデシュ政府せいふより保証ほしょう、援助えんじょされているが、なお公定歩合こうていぶあいを上回うわまわった利率りりつで売うられている[6]。

グラミン銀行ぎんこうの特徴とくちょうはそれが銀行ぎんこうの貧まずしい借かり手てによって所有しょゆうされることである。そのほとんどは女性じょせいである。借かり手てが銀行ぎんこうの総そう資産しさんの90%を所有しょゆうし、残のこりの10%はバングラデシュ政府せいふが所有しょゆうしている。2009年ねん5月がつ現在げんざい、銀行ぎんこうの借かり手ては787万まんを越こえ、2003年ねんの312万まん人にんから2倍ばい以上いじょうとなった。その内うち97％が女性じょせいである[7] 。銀行ぎんこうの成長せいちょうは、カバーする村むらの数かずでも確認かくにんできる。2009年ねん5月がつ現在げんざい、銀行ぎんこうの支店してんがある村むらは2003年ねんの43,681村むらから、84,388村むらまで増ふえ、2,556の支店してんに23,445人にん以上いじょうの従業じゅうぎょう員いんがいる。銀行ぎんこうは総額そうがく約やく4515億おく8000万まんタカ（約やく80億おく7000万まんドル）を貸付かしつけ、約やく4016億おくタカ（約やく71億おく6000万まんドル）は返済へんさいされている。銀行ぎんこうは、1998年ねんの95%の返済へんさい率りつから上昇じょうしょうし、97.86%になったと主張しゅちょうしている。

2011年ねん3月がつ2日にち、バングラデシュ中央ちゅうおう銀行ぎんこうは、銀行ぎんこう創設そうせつ者しゃであるムハマド・ユヌス総裁そうさいを解任かいにんしたことを発表はっぴょうした[8]が、権限けんげんがない為ために、2022年ねん現在げんざいも彼かれは総裁そうさいである（辞任じにんもしていない）[9]。バングラディッシュ首相しゅしょうのシェイク・ハシュナ側がわによる「攻撃こうげき」や「意向いこうが働はたらいた」との見方みかたがあるが[10][11]、2019年ねんには逮捕たいほ状じょうを出だし、2024年ねん1月がつ1日にちにバングラディッシュの裁判所さいばんしょはムハマド・ユヌスに禁固きんこ6ヶ月かげつの判決はんけつをい渡いわたした。

2018年ねんには、日本にっぽんの芸能げいのう事務所じむしょの吉本興業よしもとこうぎょうとグラミン銀行ぎんこうの総裁そうさいで社会しゃかい起業きぎょう家かのムハマド・ユヌスとの共同きょうどう出資しゅっしでソーシャルビジネスによる地方ちほう創そう生せいをめざすユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社かぶしきがいしゃ(yySA)を設立せつりつした。

グラミン銀行ぎんこうは2020年ねん以降いこう、ハシナ首相しゅしょうが指名しめいした経営けいえい陣じんが運営うんえいしている[12]。

システム[編集へんしゅう]

16の決意けつい[13]
  1. 私わたしたちはグラミン銀行ぎんこうの4つの原則げんそくに従したがい、私わたしたちの人生じんせいのあらゆる歩あゆみの中なかでこれを推進すいしんする：規律きりつ、団結だんけつ、勇気ゆうき、そして勤勉きんべん。
  2. 繁栄はんえいは家族かぞくのために。
  3. 私わたしたちはあばら家やには住すまない。まず第だい一いちに家いえを修繕しゅうぜんし、新あたらしい家いえを作つくるために働はたらく。
  4. 私わたしたちは一いち年ねんを通とおして野菜やさいをつくる。私わたしたちはそれらを豊富ほうふに食たべ、余あまった分ぶんを売うる。
  5. 私わたしたちは耕作こうさく期きにはなるべく多おおくの種たねをまく。
  6. 私わたしたちは家族かぞくを増ふやしすぎないように計画けいかくする。支出ししゅつをおさえ、健康けんこうに気きを遣つかう。
  7. 私わたしたちは子供こどもたちを教育きょういくし、子供こどもたちの教育きょういく費ひを払はらえるよう保証ほしょうする。
  8. 私わたしたちはつねに子供こどもと周囲しゅういの環境かんきょうを清潔せいけつに保たもつ。
  9. 私わたしたちは穴あなを掘ほったトイレ (pit-latrine) をつくり、使つかう。
  10. 私わたしたちは筒つつ井戸いどから水みずを飲のむ。もし井戸いどがない場合ばあいは、水みずを沸わかすかミョウバンを使つかう。
  11. 私わたしたちは息子むすこの結婚式けっこんしきで持参じさん金きんをもらわず、娘むすめの結婚式けっこんしきにも持参じさん金きんを持もっていかない。私わたしたちのグループは持参じさん金きんの呪のろいから距離きょりをおく。私わたしたちは幼年ようねんでの婚姻こんいんをさせない。
  12. 私わたしたちは不正ふせいなことをせず、また他人たにんに不正ふせいなこともさせない。
  13. 私わたしたちはより多おおくの収入しゅうにゅうを得えるため、共同きょうどうで大おおきな投資とうしをする。
  14. 私わたしたちはつねにお互たがいに助たすけ合あえるよう用意よういする。もし誰だれかに困難こんなんがあれば、私わたしたちは全員ぜんいんで彼かれまたは彼女かのじょを助たすける。
  15. もしどこかのグループが破綻はたんしそうだとわかったときは、私わたしたちはそこへいって回復かいふくを手助てだすけする。
  16. 私わたしたちはすべての社会しゃかい活動かつどうに共同きょうどうで加くわわる。

グラミン銀行ぎんこうでは、貧困ひんこん層そう向むけに事業じぎょう資金しきんを融資ゆうしし、生活せいかつの質しつの向上こうじょうを促うながす活動かつどうを行おこなっている。バングラデシュにおいては「16の決意けつい」と呼よばれる価値かち観かんを広ひろめている[14]。グラミン銀行ぎんこうの全すべての支店してんで借かり手ては16の決意けついを暗唱あんしょうし、守まもることを誓ちかう。その結果けっか、借かり手ては良よい社会しゃかい習慣しゅうかんを受うけ入いれるようになる。16の決意けついを採用さいようするようになってから、ほとんど全すべての借かり手てが学齢がくれいに達たっした子こどもを入学にゅうがくさせるようになった。このような行動こうどうは社会しゃかいの変化へんかを促うながし、次世代じせだいの教育きょういくにもつながっている[15]。 メンバーになるには、土地とち無なしか、0.5エーカー（2,023.42821平方へいほうメートル）未満みまんの耕作こうさく地ちしかもっていないことが条件じょうけんである[16]。 銀行ぎんこうは顧客こきゃくに対たいし担保たんぽを求もとめない代かわりに、顧客こきゃく5人にんによる互助ごじょグループをつくることが条件じょうけんとして求もとめられる。これは、それぞれが他たの4人にんの返済へんさいを助たすける義務ぎむがあるが、連帯れんたい責任せきにんや連帯れんたい保証ほしょうではなく、他たのメンバーに本人ほんにんに代かわっての支払しはらいの義務ぎむは生しょうじない仕組しくみである[7]。しかし、実際じっさいにはしばしばグループのメンバーが返済へんさいできないメンバーの肩代かたがわりをすることがある。銀行ぎんこうはそのような行動こうどうを借金しゃっきんを重かさねることの無ないよう方針ほうしんとして是認ぜにんしている[17]。銀行ぎんこうと借かり手ての間あいだには法的ほうてきな文書ぶんしょの契約けいやくはなく、システムは信頼しんらいを基礎きそとして機能きのうしている[18]。融資ゆうし以外いがいにも不慮ふりょの出来事できごとが起おこることに備そなえ、緊急きんきゅう基金ききんやグループ基金ききんの形かたちで定期ていき的てきに預金よきんすることをメンバーに求もとめている[19]。得えられた利益りえきの全額ぜんがくが災害さいがい時じのための基金ききんにまわされる。大だい規模きぼ商業しょうぎょう銀行ぎんこうでは女性じょせいが融資ゆうしを受うけることができず、グラミン銀行ぎんこうが女性じょせいに焦点しょうてんを当あてているため、借かり手ての97％が女性じょせいである[7] 。グラミン銀行ぎんこうは、5000万まん人にん近ちかくのバングラデシュの顧客こきゃくの半数はんすう以上いじょうが絶対ぜったい的てき貧困ひんこんから脱出だっしゅつし、学齢がくれい期きの子こどもは全すべて学校がっこうに通かよい、全すべての世帯せたいが一いち日にち三さん回かい食事しょくじをし、清潔せいけつな水みずを飲のみ、衛生えいせい的てきなトイレと雨漏あまもりしない家いえを持もち、ローンを週しゅうに300タカ返かえせるようになっていると主張しゅちょうしている。

ノーベル平和へいわ賞しょう[編集へんしゅう]

グラミン銀行ぎんこうはバングラデシュ独立記念日どくりつきねんび賞しょうをはじめとする多おおくの賞しょうを受賞じゅしょうしているが、最もっとも大おおきな業績ぎょうせきは2006年ねん10月がつ13日にちにあった。グラミン銀行ぎんこうと創設そうせつ者しゃのムハマド・ユヌスに2006年ねんのノーベル平和へいわ賞しょうが与あたえられた[20]。受賞じゅしょう理由りゆうは「底辺ていへんからの経済けいざい的てきおよび社会しゃかい的てき発展はってんの創造そうぞうに対たいする努力どりょく」である。 グラミン銀行ぎんこうは、世界中せかいじゅうで次々つぎつぎに生うまれてきたマイクロクレジット分野ぶんやの多おおくの組織そしきのアイデアと事業じぎょうモデルの源みなもとになっている。代表だいひょうとしてモサマト・タスリマ・ベグム（1992年ねんに銀行ぎんこうからヤギを買かうための約やく20ドルを借かり、その後ご成功せいこうして取締役とりしまりやくの1人ひとりとなった）がオスロ市庁舎しちょうしゃで賞しょうを受うけ取とった[21]。グラミン銀行ぎんこうは、ノーベル平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうした最初さいしょの企業きぎょうとなった。ノルウェー・ノーベル委員いいん会かいの議長ぎちょうのオーレ・ダンボルト・ミョース教授きょうじゅは、グラミン銀行ぎんこうとムハマド・ユヌスに賞しょうを与あたえることによって、イスラム世界せかいとの対話たいわに関かんして、女性じょせいの見方みかたに関かんして、そして、貧困ひんこんとの戦たたかいに関かんして注意ちゅういを向むけることを望のぞむと言及げんきゅうしている[22]。ノーベル賞しょう発表はっぴょうは、バングラデシュで熱狂ねっきょうとともに祝いわわれた[23] 。一部いちぶの批評ひひょう家かは、賞しょうが新しん自由じゆう主義しゅぎを支持しじしていると主張しゅちょうした[24]。

評価ひょうか及および問題もんだい点てん[編集へんしゅう]

世界銀行せかいぎんこうの研究けんきゅうではマイクロクレジットは女性じょせいが財産ざいさんの管理かんりをすることでエンパワーメントを持もち、意思いし決定けってい能力のうりょくが向上こうじょうすると結論けつろん付つけられたが、一部いちぶの経済けいざい学者がくしゃからはマイクロクレジットと女性じょせいのエンパワーメントに直接ちょくせつの関係かんけいはないとする説せつもでている[24]。グラミン銀行ぎんこうの発表はっぴょうしている98%という高たかい返済へんさい率りつについて、ウォールストリート・ジャーナルは2001年ねん11月時点じてんで同どう銀行ぎんこうの提供ていきょうしているローンの5分ぶんの1が返済へんさい期間きかんを1年ねん以上いじょう過すぎており、グラミン銀行ぎんこうの用もちいた返済へんさい率りつの計算けいさん基準きじゅんは疑うたがわしいとした[25]。

低てい金利きんり融資ゆうしとはいえ、金利きんりは年率ねんりつ20％近ちかくであり日本にっぽんにおけるノンバンク系けい金融きんゆう機関きかん（グレーゾーン金利きんりが撤廃てっぱいされた場合ばあいの最大さいだい年率ねんりつ20％）と数値すうち的てきには大差たいさがないように見みえる。 しかしながらバングラデシュにおける貧困ひんこん層そう向むけ高利貸こうりかしの金利きんりは年率ねんりつ100％、200％とも言いわれており、バングラデシュの物価ぶっか上昇じょうしょう率りつ（10.3％（2005年度ねんど））を考かんがえると低ひくく抑おさえているといえる（日本にっぽんの物価ぶっか上昇じょうしょう率りつ0.6％（2006年度ねんど）、0.8％（2007年度ねんど見通みとおし））。また、商業しょうぎょう銀行ぎんこうとは違ちがいグラミン銀行ぎんこうのローンは複利ふくりではなく単利たんりである。利子りしの総額そうがくは元本がんぽんを上回うわまわることがない。

戦たたかうメンバープログラム[編集へんしゅう]

今いままでグラミン銀行ぎんこうは特徴とくちょうであるグループ貸付かしつけによって、物乞ものごいなど社会しゃかいから排除はいじょされた貧困ひんこん層そうをカバーできていない点てんを指摘してきする声こえがあった[26]。2003年ねんに、グラミン銀行ぎんこうは新あたらしいプログラムを始はじめた。それは伝統でんとう的てきなグループ貸付かしつけの手法しゅほうではなく、バングラデシュの乞食こじきのみを対象たいしょうとしたものである。このプログラムは今いままでよりも小規模しょうきぼなローンを乞食こじきに貸かし付つける。既存きそんのルールは適用てきようされず、ローンは完全かんぜんに無む利子りしである。返済へんさい期間きかんは任意にんいで長ながく設定せっていできる。さらに、借かり手ては無料むりょうで生命せいめい保険ほけんに入はいることができる。銀行ぎんこうは、借かり手てに物乞ものごいをやめるよう強制きょうせいしない。借かり手てはバッジを付つけることで、グラミン銀行ぎんこうから融資ゆうしを受うけていることをアピールする。ユヌスは著書ちょしょでおよそ10万まん人にん以上いじょうが9500万まんタカを借かり、6300万まんタカが返済へんさいされていると主張しゅちょうしている[27]。

一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん・グラミン日本にっぽん[編集へんしゅう]

2018年ねん9月がつ18日にちに官僚かんりょうOBや有志ゆうしメンバーが中心ちゅうしんとなり、一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじんグラミン日本にっぽんを創立そうりつをした。 「貧困ひんこんのない、誰だれもが活いき活いきと生いきられる社会しゃかい」の実現じつげんのために、シングルマザーを中心ちゅうしんとした困難こんなんを抱かかえる女性じょせいの方々かたがたなどに対たいし、就労しゅうろうや起業きぎょう(小商こあきない)のための、マイクロファイナンス(少額しょうがく融資ゆうし)を展開てんかいする団体だんたい。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b “Grameen Bank at a Glance”. Grameen Bank. 2017年ねん9月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  2. ^ a b c “Profit and Loss Account”. Grameen Bank. 2011年ねん9月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  3. ^ “Balance Sheet (1983–2010) in BDT”. Grameen Bank. 2011年ねん9月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  4. ^ Anand Giridharas and Keith Bradsher (2006年ねん10月がつ13日にち). “Microloan Pioneer and His Bank Win Nobel Peace Prize”. New York Times. 2006年ねん10月がつ13日にち閲覧えつらん。
  5. ^ Rahman, Aminur (2001). Women and Microcredit in Rural Bangladesh: Anthropological Study of Grameen Bank Lending. Boulder, Colorado: Westview Press. pp. 4. ISBN 0-8133-3930-8 
  6. ^ *Morduch, Jonathan (October 1999). “The role of subsidies in microfinance: evidence from the Grameen Bank” (PDF). Journal of Development Economics (Elsevier) 60 (1): p 240. doi:10.1016/S0304-3878(99)00042-5. http://www.nyu.edu/projects/morduch/documents/microfinance/Role_of_Subsidies.pdf 2008年ねん1月がつ16日にち閲覧えつらん。. 
  7. ^ a b c “Grameen Bank At a Glance”. Grameen Communications (2009年ねん). 2009年ねん7月がつ4日にち閲覧えつらん。
  8. ^ ノーベル平和へいわ賞しょうのユヌス・グラミン銀ぎん総裁そうさい、バングラ中ちゅう銀ぎんが解任かいにん（2011年ねん3月がつ3日にち Thomson Reuters）
  9. ^ About Grameen Bank "The founder of “Grameen Bank” – Muhammad Yunus, and its Managing Director"
  10. ^ “バングラデシュのグラミン銀行ぎんこう創設そうせつ者しゃのムハマド・ユヌス氏しに、労働ろうどう争議そうぎ絡がらみで逮捕たいほ状じょう執行しっこう。背景はいけいに、ハシュナ首相しゅしょうとの対立たいりつ説せつも（RIEF)”. 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん環境かんきょう金融きんゆう研究けんきゅう機構きこう (2019年ねん10月がつ10日とおか). 2024年ねん4月がつ27日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “「グラミン銀行ぎんこう」のユヌス氏しに禁錮きんこ刑けい バングラデシュ”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん (2024年ねん1月がつ1日にち). 2024年ねん4月がつ27日にち閲覧えつらん。
  12. ^ “ノーベル平和へいわ賞しょう受賞じゅしょうから、首相しゅしょうとの対立たいりつまで ムハマド・ユヌスとは何者なにものか？ | Forbes JAPAN 公式こうしきサイト（フォーブス ジャパン）”. forbesjapan.com. 2024年ねん4月がつ27日にち閲覧えつらん。
  13. ^ Sherraden, Margaret S. (1998). Community Economic Development and Social Work. Binghamton, New York: Haworth Press. pp. 113–114. ISBN 0-7890-0506-9 
  14. ^ Sixteen Decisions on Grameen Bank Official Site
  15. ^ Ghista, Garda (2004年ねん). “Bangladesh:Towards Economic and Women’s Liberation Via Grameen Bank”. ProutWorld. 2008年ねん2月がつ4日にち閲覧えつらん。
  16. ^ 坪井つぼいひろみ『グラミン銀行ぎんこうを知しっていますか』東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、2006年ねん、55頁ぺーじ頁ぺーじ。ISBN 4492443258。 
  17. ^ Hossain, Mahabub (1988). Credit for Alleviation of Rural Poverty: The Grameen Bank in Bangladesh. Int Food Policy Res Inst IFPRI. p. 7. ISBN 0896290670. https://books.google.com.sg/books?hl=en&lr=&id=GkrRrt_ao50C&oi=fnd&pg=PA7&dq=grameen+bank&ots=YpRKHvi-x_&sig=zHG-ScV4T9DQnQwuy77WsyGTOHA#PPA29,M1 2008年ねん1月がつ16日にち閲覧えつらん。 
  18. ^ Sinclair, Paul (2007年ねん12月22日にち). “Grameen Micro-Credit & How to End Poverty from the Roots Up”. One World One People. 2008年ねん2月がつ4日にち閲覧えつらん。
  19. ^ Khandker, Shahidur R.; Baqui, M. A. & Khan Z. H. (1995) [1995]. Grameen Bank: Performance and Sustainability. World Bank Publications. p. x. ISBN 0821334638. https://books.google.com.sg/books?hl=en&lr=&id=rNN3Dfxcc3oC&oi=fnd&pg=PR5&dq=grameen+bank&ots=NWEF1ebHUI&sig=5qYr4t_ewY4jmKa1RmC9oDSYFq0 2008年ねん1月がつ16日にち閲覧えつらん。 
  20. ^ “The Nobel Peace Prize for 2006”. The Nobel Peace Prize for 2006 (2006年ねん10月がつ13日にち). 2006年ねん10月がつ13日にち閲覧えつらん。
  21. ^ Agence France-Presse, Oslo (2006年ねん12月11日にち). “Yunus unveils vision to end global poverty”. The Daily Star (Bangladesh). Vol 5 Num 903. http://www.thedailystar.net/2006/12/11/d6121101011.htm 2008年ねん1月がつ31日にち閲覧えつらん。 
  22. ^ Mjøs, Ole Danbolt (2006年ねん10月がつ13日にち). “The Nobel Peace Prize for 2006: Presentation Speech”. The Nobel Peace Prize for 2006. 2008年ねん2月がつ4日にち閲覧えつらん。
  23. ^ “Nation parties on Nobel win”. The Daily Star (Bangladesh). (2006年ねん10月がつ15日にち). Vol 5 Num 850. http://www.thedailystar.net/2006/10/15/d6101501011.htm 2008年ねん2月がつ4日にち閲覧えつらん。 
  24. ^ a b Feiner, Susan F.; Barker, Drucilla K. (Nov-Dec 2006), “Microcredit and Women's Poverty”, Dollar & Sense, The magazine of Economic Justice, Boston, USA: Economic Affairs Bureau, Inc., http://www.dollarsandsense.org/archives/2006/1106feinerbarker.html 
  25. ^ Pearl, Daniel; Phillips, Michael M. (2001年ねん11月27日にち). “Grameen Bank, Which Pioneered Loans For the Poor, Has Hit a Repayment Snag”. The Wall Street Journal. http://online.wsj.com/public/resources/documents/pearl112701.htm 2008年ねん2月がつ4日にち閲覧えつらん。 
  26. ^ 佐藤さとう寛ひろし『開発かいはつ援助えんじょの社会しゃかい学がく』世界せかい思想しそう社しゃ、2005年ねん、164頁ぺーじ頁ぺーじ。ISBN 479071151X。 
  27. ^ ムハマド・ユヌス『貧困ひんこんのない世界せかいを創つくる』猪熊いのくま弘子ひろこ訳やく、早川書房はやかわしょぼう、2008年ねん、121頁ぺーじ頁ぺーじ。ISBN 415208944X。 

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