グリースガン (工具こうぐ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
レバーしきグリースガン
グリースガン(エアーしき

グリースガンえい:grease gun)は、各種かくしゅ機械きかい潤滑じゅんかつのためのグリース注入ちゅうにゅう注油ちゅうゆ)するときにもちいる工具こうぐ。グリースガンの注油ちゅうゆ口金くちがねを、機械きかいがわもうけられたグリースニップル圧着あっちゃくもしくはわせて使つかう。日本にっぽん産業さんぎょう規格きかく (JIS) においては、JIS B 9808「グリースガン」 (Grease guns) として規格きかくされている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

機械きかい部品ぶひんへの適度てきど注油ちゅうゆは、機械きかい寿命じゅみょう維持いじするために必要ひつようである。1900年代ねんだい初期しょき開発かいはつされたグリースガンとグリースニップルは、現在げんざいでは機械きかいあぶらをさす簡単かんたん方法ほうほうとしてひろ使用しようされている。

Arthur Gulborgは、シカゴの小型こがたダイカスト設備せつび共同きょうどう所有しょゆうしゃ息子むすこで、ダイカストあぶらカップに1にちすうかいあぶら補充ほじゅうする仕事しごとをしていたかれは、1916ねんにグリースガン(ネジタイプ)とグリースニップルを発明はつめいした[1]かれのグリースガンは、金属きんぞくホースはし特殊とくしゅ接続せつぞくつネジタイプ[2]のグリースガンで、アーサーとかれちちは、このグリースガンを“The Alemite High-Pressure Lubricating System”と名付なづけた。

1918ねんにアーサーはこの発明はつめいアメリカ陸軍りくぐんみ、トラックでテストした結果けっか、そのとしの7がつ10日とおか標準ひょうじゅんてき機材きざいとして採用さいようされた。 1922ねんまでに、おおくの産業さんぎょう応用おうようするため、とく丈夫じょうぶあぶらをさしているシステムに使つかえるように、アレマイトしゃ (Alemite) は「ボタンヘッド」システムを導入どうにゅうした。 「ジュニアボタンヘッド」システムはオートバイあぶらをさすためにもちいられた。そして、ボタンヘッドの「ジャイアント」バージョンが大型おおがた建設けんせつ機械きかいふく広範囲こうはんいにわたる産業さんぎょう使つかわれた。

自動車じどうしゃ産業さんぎょうへの納入のうにゅうはアレマイトの規模きぼ拡大かくだいするためのもっとおおきな可能かのうせいであった。アーサーが特許とっきょ登録とうろくしてから5ねんたたないうちに、乗用車じょうようしゃ車載しゃさい工具こうぐにはアレマイトせい手動しゅどうグリースガンとホースアッセンブリーそなわった。

グリースガンは一般いっぱん市民しみん普及ふきゅうし、だい部分ぶぶん自動車じどうしゃ注油ちゅうゆ自動車じどうしゃのオーナーによっておこなわれるようになった。1924ねんにはオハイオしゅうクリーブランドのAllyne-Zerkしゃが、Alemiteしゃ買収ばいしゅうされる。そして、Zerkの注油ちゅうゆ器具きぐ手動しゅどうグリースガンの種類しゅるいはAlemiteしゃのラインナップにくわえられた。

Oscar Zerk のって名付なづけられたZerkデザインは、Alemiteしゃのピンタイプより先端せんたん部品ぶひん非常ひじょうちいさく、ホースカプラーとグリースガンをロックしない方式ほうしきである。そのわりに、作業さぎょうしゃがフィッティングにガンのカプラーをけ、シールせいはその押力によって維持いじされた。これは、プッシュタイプシステムとしてられるようになった。

1930ねんにAlemiteしゃあたらしい油圧ゆあつ継手つぎて導入どうにゅうする。現在げんざい油圧ゆあつ継手つぎては、オリジナルばん非常ひじょう類似るいじしており、世界せかいもっと人気にんきがあるグリースアプリケーションシステムのままである[3][4]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

JISでは、グリースを方式ほうしきにより、プッシュしき記号きごうP)レバーしき記号きごうL)がある。後者こうしゃにはグリースを充填じゅうてんないし装填そうてんする方式ほうしきにより、つめがたチューブがた(もしくはカートリッジがた)がある。また、注油ちゅうゆ口金くちがね種類しゅるいとして、グリースニップルに圧着あっちゃくさせる構造こうぞうストレートしき、かみ構造こうぞうチャックしきホースしきがある。容量ようりょうは、グリースの容量ようりょうmlであらわしている。Pは、50,100,150にLは100,150,200,300とJISではさだめられている。

操作そうさには手動しゅどうによるもののほか、圧縮あっしゅく空気くうきもちいるものや電動でんどうしき製品せいひんされている。

性能せいのう[編集へんしゅう]

JISでは、グリースの排出はいしゅつりょうとしてグリースニップル内部ないぶに0.5 MPa圧力あつりょくがかかった状態じょうたいで、プッシュしきは0.3 cm3(ml)以上いじょう(グリースニップル内部ないぶ圧力あつりょく3 MPaのときでも注油ちゅうゆりょう圧力あつりょく0.5 MPaのときの80 %以上いじょう)、レバーしきは0.6 cm3(ml)以上いじょう(グリースニップル内部ないぶ圧力あつりょく6 MPaのときでも注油ちゅうゆりょう圧力あつりょく0.5 MPaのときの80 %以上いじょうゆうすることをもとめている。また、排出はいしゅつこうふさいで操作そうさしたさいにかかる圧力あつりょくとして、プッシュしきでは6 MPaをえること、レバーしき(チャックしき注油ちゅうゆ口金くちがね使用しよう)では20 MPaをえることをもとめている。

これは、グリースガンのプランジャーとグリースニップルにけられているぎゃくとめべんばねはがねだましつける仕組しくみ)のばねに状態じょうたいにより、グリースの排出はいしゅつりょうおおきな変化へんかいようにするため、さだめられている。

使用しよう方法ほうほう[編集へんしゅう]

アメリカ海軍かいぐん整備せいびへいが、グリースガンをもちいてE-2Cかた降着こうちゃく装置そうち注油ちゅうゆする様子ようす

グリースガンにグリースをめるには、あぶらとう本体ほんたいはなしてあぶらとうさきをグリースのなかんでハンドルをくと、グリースはあぶらとうないまれる。蛇腹じゃばら形状けいじょう軟質なんしつ樹脂じゅしチューブにグリースがはいっているカートリッジしき場合ばあいには、キャップをはずしてカートリッジを本体ほんたいないれる。

ストレートしきのグリースガンの場合ばあいには、ノズルをグリースニップルにまっすぐに装着そうちゃくしたのちハンドルすことによってグリースがニップルに注入ちゅうにゅうされる。まさしく装着そうちゃくされていない場合ばあい、グリースがれてしまうことがあるので注意ちゅういようする。

なお、チャックしき注油ちゅうゆ口金くちがねはグリースニップルの頭部とうぶをくわえこむ方式ほうしきになっているため、この装着そうちゃくミスがい。

おもなメーカー[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ US PAT.No.D53122
  2. ^ US PAT.No.1366381
  3. ^ Alemite Corporation成功せいこう歴史れきし
  4. ^ Grease Gun Buyers Guide

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]