ゴヨウマツ

ゴヨウマツ
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	LOWER RISK - Least Concern; (IUCN Red List Ver.2.3 (1994));
分類ぶんるい
学名がくめい
	Pinus parviflora Siebold et Zucc.（広義こうぎ）
和名わみょう
	ゴヨウマツ
英名えいめい
	Japanese White Pine

ゴヨウマツ（五葉松ごようまつ^[3]、学名がくめい: Pinus parviflora）は、マツ科かマツ属ぞくの樹木じゅもくである。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

日本にっぽん固有こゆう種しゅ。本州ほんしゅうの東北とうほく地方ちほう東ひがし南部なんぶ、四国しこく、九州きゅうしゅうに分布ぶんぷし、山地さんちに生はえる^[3]。基もと変種へんしゅヒメコマツ (P. p var. parviflora) は本州ほんしゅう、四国しこく、九州きゅうしゅうの海抜かいばつ1300-1800 m(例外れいがい的てきに房総丘陵ぼうそうきゅうりょうでは120m-350m)の場所ばしょに、変種へんしゅキタゴヨウ P. p var. pentaphylla は本州ほんしゅう北部ほくぶと北海道ほっかいどうに分布ぶんぷする。これらの地域ちいきは温帯おんたいで、年間ねんかん降水こうすい量りょうは1000-3000 mmである。土壌どじょうは湿潤しつじゅんでポドゾルである^[4]。

他たの植物しょくぶつとの関係かんけい[編集へんしゅう]

北海道ほっかいどうにおいては以下いかのような植物しょくぶつと混生こんせいする。カラマツ (Larix kaempferi)、ナナカマド (Sorbus commixta)、ハイマツ (Pinus pumia)、ダケカンバ (Betula ermanii)、ススキ (Miscanthus sinensis)、オオイタドリ (Polygonum sachalinense)、ツツジ類るい、ミズナラ (Quercus moncolica)、ミヤマヤナギ (Salix reinii)、ウメガサソウ、サルナシ、ナワシログミ、オオイタヤメイゲツ、エビガライチゴ、ドロノキ、ヤマナラシなど.^[5]^[4]。

微生物びせいぶつとの関係かんけい[編集へんしゅう]

他たのマツ同様どうように根ねにおいて菌類きんるいとの共生きょうせい関係かんけいを結むすび、外そと生せい菌きん根ねを形成けいせいする。本ほん種しゅと共生きょうせいする菌類きんるいとしてベニハナイグチ (Suillus pictus) が知しられている。この菌きんは本ほん種しゅだけに限かぎらずアカマツ (Pinus densiflora) やクロマツ (P. thunbergii) とも菌きん根ねを形成けいせいできる^[6]。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

常緑じょうりょく針葉樹しんようじゅの高木たかぎ^[3]。樹き高だかは30 - 35メートル (m) になるが、成長せいちょうは遅おそい^[3]。樹冠じゅかんは円錐えんすい型がただが、老齢ろうれいの個体こたいでは扁平へんぺいであり不規則ふきそくに生長せいちょうする。原産地げんさんち以外いがいに植うえ栽されたものは樹き高だか6 - 8 mにしか成長せいちょうしない。樹皮じゅひは暗くら灰色はいいろで、老木ろうぼくになると裂きれ片へんがうろこ状じょうに剥はがれ落おちる^[3]。

葉はは青あおみを帯おびた緑色みどりいろで、長ながさ5 - 6センチメートル (cm) の針はり状じょうで、短たん枝えだに5個こずつ束たばになって生はえる^[3]^[4]。

花期かきは5 - 6月がつ^[3]。雌雄しゆう同どう株かぶであり、一ひとつの個体こたいに雄蕊おしべだけを持もつ雄花おばな、雌蕊めしべだけを持もつ雌花めばなの2種類しゅるいの花はなをつける。雄花おばなは緑みどり黄き褐色かっしょくで大おおきさは7 - 10ミリメートル (mm) 、本年ほんねん枝えだの下部かぶにつき^[3]、花粉かふんは風かぜで運はこぶ風媒花ふうばいかである。雌花めばなは紅紫こうし色しょくから緑色みどりいろで、本年ほんねん枝えだの先さきにつく^[3]。

果実かじつは毬かさ果はて（松まつかさ）で、熟じゅくすのは2年ねん目めの10月がつ頃ごろである^[3]。毬かさ果はては大おおきさが4 - 7 cmの卵たまご型がたで、はじめは緑色みどりいろだが熟じゅくすと茶色ちゃいろに変かわり、苞つと鱗うろこを開ひらく^[3]。種子しゅしは大おおきさ1 cmほどで2 - 10 mm ほどの翼つばさを持もつ^[4]。

若わかい個体こたいの樹き形がた。ポーランドにて
樹皮じゅひ
若わかく緑色みどりいろの毬かさ果はて
熟じゅくして種子しゅしを散布さんぷした毬かさ果はて

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

ゴヨウマツには下記かきの変種へんしゅ、品種ひんしゅが記載きさいされている^[7]。

Pinus parviflora ゴヨウマツ（広義こうぎ）
- var. parviflora ヒメコマツ。基もと変種へんしゅ。
- var. pentaphylla キタゴヨウ　
  - var. pentaphylla f. laevis トドハダゴヨウ品種ひんしゅ

ヒメコマツ（姫小松ひめこまつ）は、ゴヨウマツの高山こうざんに生しょうじているもので、丈たけが低ひくく、低地ていちにかけて生しょうじているゴヨウマツよりも姿すがた形がたは小ちいさい^[8]。

キタゴヨウ（北五葉きたごよう）はヒメコマツの変種へんしゅともいわれ、北海道ほっかいどう（渡島ととう半島はんとう、日高ひだか地方ちほう）に分布ぶんぷし、岩いわの多おおい急斜面きゅうしゃめんや尾根おねに自生じせいする^[9]。高たかさは25メートル、幹みきの直径ちょっけいは80センチメートルに達たっする^[9]。

園芸えんげい[編集へんしゅう]

木材もくざいの用途ようとは少すくないが、庭木にわきや盆栽ぼんさいによく植うえられる^[3]。

栽培さいばい[編集へんしゅう]

日本にっぽん三さん大だい五葉松ごようまつに挙あげられる吾妻あづま五葉松ごようまつ（福島ふくしま市し）、那須なす五葉松ごようまつ（那須なす地域ちいき）、四国しこく五葉松ごようまつ（四国しこく中央ちゅうおう市し）が園芸えんげい産地さんちとして盛さかんである。

盆栽ぼんさい[編集へんしゅう]

本ほん種しゅは盆栽ぼんさいにするのに人気にんきのある樹き種しゅであり^[10] 、庭木にわきとしてもいくつかの種類しゅるいが開発かいはつされている。同おなじく盆栽ぼんさいに用もちいられるアカマツやクロマツなどと比くらべても樹齢じゅれいが長ながく、暑あつさにも寒さむさにも強つよいことが特徴とくちょうである。成長せいちょうによる変化へんかが緩ゆるやかな点てんも特徴とくちょうとして挙あげられる。

五葉松ごようまつの盆栽ぼんさい
ヒロシマ・サバイバー
Foire du Valais
葉はの色いろが白しろっぽい品種ひんしゅ

天然記念物てんねんきねんぶつ[編集へんしゅう]

京都きょうと・善ぜん峯みね寺てらにある五葉松ごようまつは「遊ゆう龍りゅう松まつ」として国くにの天然記念物てんねんきねんぶつに指定していされている^[11]。

自治体じちたいの木き[編集へんしゅう]

ゴヨウマツ

蔵王ざおう町まち - （宮城みやぎ県けん）町まちの花はな
那須なす町まち - （栃木とちぎ県けん）町まちの花はな

五葉松ごようまつ

三条さんじょう市し - （新潟にいがた県けん）市しの花はな

日高ひだか五葉松ごようまつ

浦河うらかわ町まち - （北海道ほっかいどう）町まちの花はな

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ Conifer Specialist Group 1998. Pinus parviflora. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Pinus parviflora Siebold et Zucc.”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2021年ねん8月がつ7日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ編へん 2009, p. 31.
^ ^a ^b ^c ^d Wikipedia ドイツ語どいつご版ばん de:Mädchen-Kiefer 10:14, 20. Okt. 2011 TP12 UTC の版はん
^ Shiro Tsuyuzaki: Flora on Mount Koma (英語えいご)
^ D. Hirose, T. Shirozou, S. Tokumasu 2010. Host range and potential distribution of ectomycorrhizal basidiomycete Suilus pictus in Japan
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-)　「BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス」（YList）
^ 辻井つじい達たち一いち 1995, p. 20.
^ ^a ^b 辻井つじい達たち一いち 1995, pp. 20–21.
^ yamadori-bonsai.de
^ 遊ゆう龍りゅう松まつ - 国くに指定してい文化財ぶんかざい等とうデータベース（文化庁ぶんかちょう）

文献ぶんけん[編集へんしゅう]

辻井つじい達一たついち『日本にっぽんの樹木じゅもく』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ〈中公新書ちゅうこうしんしょ〉、1995年ねん4月がつ25日にち、18-21頁ぺーじ。ISBN 4-12-101238-0。
西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ編へん『日本にっぽんの樹木じゅもく』 5巻かん、学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ〈増補ぞうほ改訂かいていベストフィールド図鑑ずかん〉、2009年ねん8月がつ4日にち、31頁ぺーじ。ISBN 978-4-05-403844-8。
Wikipedia ドイツ語どいつご版ばん de:Mädchen-Kiefer 10:14, 20. Okt. 2011 TP12 UTC の版はん