ササ

笹ささ

ササ（笹ささ、篠しの、筱、筿、小竹こだけ）は、イネ科かタケ亜あ科かに属ぞくする植物しょくぶつのうち、その茎くきにあたる稈（かん）を包つつんでいる葉は鞘さやが枯かれる時ときまで残のこるものの総称そうしょう。

定義ていぎ

ササは単たん子葉しよう植物しょくぶつイネ科かタケ亜あ科か（タケ科かとすることもある）に属ぞくする植物しょくぶつである。タケ（竹たけ）やササは多おおくの草本そうほん類るいと同おなじく茎くきにあたる稈には年輪ねんりんがみられないが、一方いっぽうで木本もくほん類るいのように堅かたくなる性質せいしつがある。

植物しょくぶつ学がく上うえはイネ科かタケ亜あ科かのうち、タケは稈が成長せいちょうするとともにそれを包つつむ葉は鞘さやが早はやく脱落だつらくしてしまうものをいい、ササは枯かれるまで稈に葉は鞘さやが残のこるものをいう。マダケなどタケの場合ばあいは芽め（タケノコ）の段階だんかいにはあった葉は鞘さやが成長せいちょうすると剥はがれ落おちるが、ササの場合ばあいは成長せいちょうしても葉は鞘さやはそのままである。

タケとササの分類ぶんるいは必かならずしも標準ひょうじゅん和名わみょうと一致いっちしない。分類ぶんるい上じょう、ヤダケは稈に皮かわがついたままなのでササ、オカメザサは皮かわが脱落だつらくするのでタケに分類ぶんるいされる。

「竹たけ#分類ぶんるい」を参照さんしょう

生育せいいく環境かんきょう

地下ちかに匍匐ほふく茎くきを伸のばし、密集みっしゅうした群落ぐんらくを作つくる。一いち面めんに生はえた場合ばあい、これを笹原ささはらという。

笹ささのよく生はえる条件じょうけんとして、日本にっぽんではいくつかのパターンがある。一ひとつはパイオニア植物しょくぶつとして振ふる舞まう場合ばあいである。よく河川かせん周辺しゅうへんや道端みちばたなどにネザサ類るいが出現しゅつげんする。これは、草刈くさかりや川かわの氾濫はんらんなどによる不定期ふていきな攪乱かくらん（かくらん）に強つよいためである。また、寒冷かんれい地ちでは森林しんりんの伐採ばっさいや山やま火事かじ跡地あとちでササが優ゆう占うらない植生しょくせいとなり、木本もくほん類るいの更新こうしんを阻害そがいして無む立木たちき地ちとなる例れいがよくある。ササの優ゆう占うらないを打破だはするためにブルドーザーなどで人為じんい的てきな掻かき起おこしを行おこない、あえて鉱こう質しつ土壌どじょうを露出ろしゅつさせて樹木じゅもくの実生みしょうの定着ていちゃくに適てきした環境かんきょうを造成ぞうせいすることがある。

もう一ひとつはブナ林りんの下生したばえで、日本にっぽんのブナ林りんでは林はやし床ゆかでササ類るいが優ゆう占うらないする例れいが多おおい。その種たねは地域ちいきによって異ことなり、太平洋たいへいよう側がわではスズタケ、日本海にほんかい側がわではチシマザサの場合ばあいが多おおい。

ササは放置ほうちすると藪やぶになってしまうが、生物せいぶつ多様たよう性せいの観点かんてんからは小しょう動物どうぶつの隠かくれ家がや昆虫こんちゅうの食しょく草そうとなっている。

一方いっぽうでササの繁茂はんもは地中ちちゅうの水分すいぶんを吸すい上あげて土壌どじょうを乾燥かんそう化かさせたり、日光にっこうを遮さえぎって他たの植物しょくぶつの光合成こうごうせいを妨さまたげたりする面めんもある。

開花かいか

正確せいかくな開花かいか周期しゅうきは未み解明かいめいで、約やく60年ねんから120年ねんと言いわれている。

分類ぶんるい

非常ひじょうに多おおくの種たねがある。日本にっぽんのタケ類るいのほとんどが中国ちゅうごく渡来とらいであるのに比くらべ、ササ類るいは土着どちゃくの種たねが多おおく、しかも地方ちほう変異へんいが多おおい。

• メダケ属ぞく　Pleioblastus:カンザンチク、リュウキュウチク、タイミンチク、ケネザサ、カムロザサ、ゴキタケ、アカネザサ、ギボウシノ、ハコネダケ、アズマネザサ、メダケ
• アズマザサ属ぞく　Arundinaria:アズマザサ、スエコザサ、トウゲザサ、サドザサ、タンゴシノチク、ヤブザサ、アリマシノ
• ササ属ぞく　Sasa:ミヤコザサ、ウンゼンザサ、オオクマザサ、ニッコウザサ、アポイザサ、クマザサ、オオササ、オオバザサ、ミヤマザサ、チマキザサ、クマイザサ、チシマザサ、オクヤマザサ、イブキザサ、トクガワザサ、キンキナンブスズ、ミカワザサ、タキザワザサ
• スズタケ属ぞく　Sasamorpha:スズタケ、ケスズ
• ヤダケ属ぞく　Pseudosasa:ヤダケ、ヤクシマダケ
• インヨウチク属ぞく　×Hibanobambusa:インヨウチク

ほかに、葉はの幅はばが広ひろいイネ科か植物しょくぶつには、ササの名なを持もつ例れいが多おおい。代表だいひょう的てきなものを以下いかに挙あげるが、最もっともササに似にているのはササクサである。

• チゴザサ、チヂミザサ
• ササクサ、ササガヤ、ササキビ

それ以外いがいにも、細長ほそながくてある程度ていど幅はばのある葉はをササになぞらえる例れいは多々たたある。

• ササノハスゲ（カヤツリグサ科か）
• ササバモ（ヒルムシロ科か）
• ササバサンキライ（サルトリイバラ科か）
• ササユリ（ユリ科か）
• ササバハギ（マメ科か）

利用りよう

笹ささの葉は

料理りょうりや食材しょくざい、特とくに保存ほぞん食しょくを包つつむ為ために使用しようされる（鱒ます寿司ずし、ちまきなど）。笹ささの葉はで包つつんだ餅菓子もちがしに笹ささ餅もちがある。笹ささの葉はの抗菌こうきん物質ぶっしつとして安息香あんそくこう酸さんやビタミンKが知しられている。

また、日本にっぽんでは、七夕たなばたにおいて笹ささ飾かざりとして使つかわれる。

戦国せんごく武将ぶしょうの可児かに吉長よしながは指物さしものに笹ささを用もちい、討うち取とった敵てきの首くびにその笹ささの葉はを含ふくませて手柄てがらの証あかしとしたため、「笹ささの才蔵さいぞう」の異名いみょうをとった。

笹ささの実み

笹ささの実じつは古来こらいから救荒きゅうこう食物しょくもつとして食用しょくようにも供きょうされてきた。

ササの実みをめぐる出来事できごと

• 1902年ねん（明治めいじ35年ねん） - 北海道ほっかいどうは大だい凶作きょうさくとなったが、全ぜん道みちでササの実みの当あたり年どしとなり、食料しょくりょうを確保かくほすることができた。
• 1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん） - 神奈川かながわ県けん、静岡しずおか県けん下したでハコネダケが開花かいか、結実けつじつ。湯河原ゆがわら町まち、真鶴まなづる町まちなどでノネズミが大だい繁殖はんしょくして山林さんりんや耕地こうちで被害ひがいを出だした。
• 1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）7月がつ - 岩手いわて県けんではオオバザサ（チマキザサの一種いっしゅ）が開花かいかし結実けつじつ。盛岡もりおか市し内うちの中学生ちゅうがくせいが報国ほうこく団だんを結成けっせいし、5日間にちかんで36m³の実みを採取さいしゅした。県けんの食糧しょくりょう公団こうだんは採取さいしゅした実みを用もちいたパンを配給はいきゅうしたがその実みが麦角ばっかく菌きんに感染かんせんしていたため多おおくの妊にん婦ふが流産りゅうざんした。

関連かんれん項目こうもく

• ウィキメディア・コモンズには、ササに関かんするカテゴリがあります。
• ウィキスピーシーズには、ササに関かんする情報じょうほうがあります。
• 笹ささ団子だんご
• 笹ささ寿司ずし（石川いしかわ・富山とやま県けん、長野ながの・新潟にいがた県けん）

外部がいぶリンク

• 『ササ』 - コトバンク