シロサイ

シロサイ
シロサイ Ceratotherium simum
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ワシントン条約じょうやく附属ふぞく書しょI
分類ぶんるい
ドメイン : 真ま核かく生物せいぶつ Eukaryota 界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia 門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata 亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata 綱つな : 哺乳ほにゅう綱つな Mammalia 目め : 奇き蹄目 Perissodactyla 科か : サイ科か Rhinocerotidae 属ぞく : シロサイ属ぞく Ceratotherium Gray, 1868 種たね : シロサイ C. simum
学名がくめい
Ceratotherium simum (Burchell, 1817)
シノニム
Rhinoceros simum Burchell, 1817
和名わみょう
シロサイ
英名えいめい
Square-lipped rhinoceros White rhinoceros

シロサイ(Ceratotherium simum)は、哺乳ほにゅう綱つな奇き蹄目サイ科かシロサイ属ぞくに分類ぶんるいされる奇き蹄類。本ほん種しゅのみでシロサイ属ぞくを構成こうせいする。

分布ぶんぷ

南みなみアフリカ共和きょうわ国こく。コンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こく、スーダン、南みなみスーダンでは絶滅ぜつめつしたと考かんがえられ、チャド、中央ちゅうおうアフリカ共和きょうわ国こくでは絶滅ぜつめつした。ウガンダ、エスワティニ、ケニア、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、モザンビークに再さい導入どうにゅう。ザンビアへ移入いにゅう。

形態けいたい

頭あたま胴どう長ちょう（体長たいちょう）335 - 420センチメートル。尾長おなが50-70cm。肩かた高だか171 - 185センチメートル。体重たいじゅうオス2,000-3,600kg、メス1,400-1,700kg。サイ科か最大さいだい種しゅ。メスよりもオスの方ほうが大型おおがたになる。

頭部とうぶには2本ほんの角かくがあり、吻端部ぶの角かくのほうが長ながくなり最長さいちょう160cmに達たっする。吻端が幅広はばひろい。幅広はばひろい吻端は、地面じめん付近ふきんにある丈たけの低ひくい草くさを食たべるのに適てきしている。名前なまえはアフリカーンス語ごで「幅広はばひろい」の意いのwijdeを、英語えいごで「白しろい」の意いがあるwhiteと誤解ごかいしたことが由来ゆらいとされる。歯は列れつは臼歯きゅうし上下じょうげ6本ほんずつ、大だい臼歯きゅうし上下じょうげ6本ほんずつの計けい24本ほん。

幼よう獣じゅうでは体毛たいもうが見みられるが、成長せいちょうに伴ともない毛けは抜ぬけ落おちる。

分類ぶんるい

亜種あしゅC. s. cottoni（キタシロサイ）を独立どくりつ種しゅとする説せつもある。

Ceratotherium simum simum (Burchell, 1817) ミナミシロサイ Southern white rhinoceros

Ceratotherium simum cottoni Lydekker, 1908 キタシロサイ Northern white rhinoceros

ウガンダ、コンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国北くにほく東部とうぶ、スーダン、チャド、中央ちゅうおうアフリカ共和きょうわ国こくに分布ぶんぷしていた。

生態せいたい

サバンナに生息せいそくする。数すう頭とうからなる小規模しょうきぼな群むれを形成けいせいするが、時ときに10-24頭とう前後ぜんこうの群むれを形成けいせいすることもある。オスは縄張なわばりを持もち、決きまった場所ばしょに尿にょうや糞くそをすることより縄張なわばりを主張しゅちょうする。オス同士どうしでは角かくを突つき合あわせて争あらそうことがあるが、激はげしい争あらそいになることはまずない。昼間ひるまは木陰こかげで休やすむか水みず場じょうで水みずを飲のんだり泥どろ浴あびを行おこない、薄明はくめい時じや夕方ゆうがたに食物しょくもつを摂取せっしゅする。

食しょく性せいは植物しょくぶつ食しょくで、主おもに地面じめん付近ふきんにある背せの低ひくい草くさを食たべるが、木きの葉はを食たべることもある。

繁殖はんしょく様式ようしきは胎生たいせい。妊娠にんしん期間きかんは530 - 550日にち。1回かいに1頭とうの幼よう獣じゅうを産うむ。

人間にんげんとの関係かんけい

角かくは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくで薬用やくようになると信しんじられていたり、中東ちゅうとうでは短剣たんけんの柄えに用もちいられる。しかし角かくの主成分しゅせいぶんは人間にんげんの髪かみの毛けや爪つめと同おなじケラチンというタンパク質たんぱくしつで、科学かがく的てきにみて薬効やっこう成分せいぶんはほぼ期待きたいできない。

角すみ目的もくてきの乱獲らんかくにより、生息せいそく数すうは減少げんしょうしている。2007 - 2014年ねんにかけて密猟みつりょうが急増きゅうぞう傾向けいこうにあったため、影響えいきょうが懸念けねんされている。1975年ねんのワシントン条約じょうやく発効はっこう時じから、（1977年ねんからはサイ科か単位たんいで）附属ふぞく書しょIに掲載けいさいされている。2012年ねんにおける生息せいそく数すうは18,933頭とう、2017年ねんにおける生息せいそく数すうは18,064頭とうと推定すいていされている。

C. s. simum ミナミシロサイ

1995年ねんには南みなみアフリカ共和きょうわ国こくの個体こたい群ぐんのみが、2005年ねんにはエスワティニ（当時とうじはスワジランド）の個体こたい群ぐんも含ふくめてワシントン条約じょうやく附属ふぞく書しょIIに掲載けいさいされている。

NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))

C. s. cottoni キタシロサイ

民族みんぞく紛争ふんそう、耕作こうさく地ちや牧草ぼくそう地ちなどの農地のうち開発かいはつ、角すみ目的もくてきの乱獲らんかくにより激減げきげんした。1980年代ねんだいに、コンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくのガランバ国立こくりつ公園こうえんを除のぞいて絶滅ぜつめつした。ガランバ国立こくりつ公園こうえんでは1970年代ねんだいおよび1990年代ねんだいにスーダン（1990年代ねんだいはウガンダ軍ぐんおよびスーダン人民じんみん解放かいほう軍ぐん）からの武装ぶそう勢力せいりょくが退去たいきょして保護ほご政策せいさくが徹底てっていされたことで一時いちじ的てきに生息せいそく数すうが増加ぞうかしたが、後のちに再ふたたび密猟みつりょうが横行おうこうするようになった。ガランバ国立こくりつ公園こうえんでの1963年ねんにおける生息せいそく数すうは1,200頭とう、1970年ねんにおける生息せいそく数すうは20 - 30頭とう、1976年ねんにおける生息せいそく数すうは490頭とう、2003年ねんにおける生息せいそく数すうは30頭とう、2005年ねんにおける生息せいそく数すうは4頭とうと推定すいていされている。2006年ねん以降いこうは、野生やせい個体こたいが確認かくにんされていない。

CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))

亜種あしゅキタシロサイは一時期いちじき生息せいそく数すうが増加ぞうかしたが、近年きんねんになり生息せいそく地ちの政情せいじょう不安ふあん、内戦ないせんによって再ふたたび生息せいそく数すうが激減げきげんし絶滅ぜつめつ寸前すんぜんとされる。2006年ねん8月がつ以降いこう、キタシロサイの野生やせいの個体こたいは発見はっけんされていない。このため動物どうぶつ園えん等とうで本ほん種しゅの名前なまえで飼育しいくされているのは主おもに基もと亜種あしゅのミナミシロサイである。2009年ねんに絶滅ぜつめつを回避かいひするためにキタシロサイの繁殖はんしょくプログラムが導入どうにゅうされたが、2014年ねん10月がつ17日にちにこのプログラムでの保護ほご下かにあったオス1頭とうが死亡しぼうした。2014年ねん12月16日にちに米べいカリフォルニア州しゅうサンディエゴ動物どうぶつ園えんのキタシロサイのオス1頭とう、2015年ねん7月がつ27日にちにチェコ共和きょうわ国こくのドゥブール・クラローベ動物どうぶつ園えんのメス1頭とう（ナビレ〈Nabire〉・31歳さい）、2015年ねん11月22日にちにサンディエゴ動物どうぶつ園えんのメス1頭とうが死亡しぼうした。2018年ねん3月がつ19日にちにオルペジャタ保護ほご区くのオス1頭とうが死亡しぼう（スーダン）し、これによりオスが絶滅ぜつめつした。

現存げんそんするキタシロサイは以下いかの2頭とうとなる。

• ケニア共和きょうわ国こく オルペジェタ自然しぜん保護ほご区く メス2頭とう

日本にっぽんでは2020年ねんの時点じてんでさい科か（サイ科か）単位たんいで特定とくてい動物どうぶつに指定していされており、2019年ねん6月がつには愛玩あいがん目的もくてきでの飼育しいくが禁止きんしされた（2020年ねん6月がつに施行しこう）。2008年ねんにおける飼育しいく個体こたい数すうは、全ぜん世界せかいで750頭とうと推定すいていされている。2018年ねん5月がつ21日にち、米べいカリフォルニア州しゅうのサンディエゴ動物どうぶつ園えん（San Diego Zoo）で、ミナミシロサイの雌めすが人工じんこう授精じゅせいで妊娠にんしんしたことが分わかった。発表はっぴょうした米べい研究けんきゅうチームは、絶滅ぜつめつ寸前すんぜんの亜種あしゅキタシロサイの保全ほぜんに向むけた大おおきな一いち歩ほだと期待きたいを示しめしている。